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【発明の名称】 原子炉制御棒
【発明者】 【氏名】押部 敏弘

【氏名】栗山 博美

【氏名】藤井 澄夫

【氏名】村上 省三

【氏名】室田 実

【氏名】内藤 考文

【氏名】川原 博人

【要約】 【課題】加圧水型原子炉などで使用される原子炉制御棒の損傷検査に要する時間を短縮する。

【解決手段】原子炉制御棒50は、両端が上部端栓53及び下部端栓55により密封された外側被覆管51、外側被覆管51内に設けられた上蓋付きスリーブ63、外側被覆管51内でスリーブ63に載設されたカプセル構造体67、カプセル構造体67の中に収容された炭化硼素ペレット79の積重体と第1の銀・インジウム・カドミウム合金棒81、スリーブ63の中に収容された第2の銀・インジウム・カドミウム合金棒59、及びカプセル構造体67と上部端栓53との間に設けられた押さえばね69を有し、カプセル構造体67及びスリーブ63と外側被覆管51の内面との間に濾水収容用の空間65が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端が上部端栓及び下部端栓により密封された外側被覆管、該外側被覆管内に設けられた制御棒先端付近の燃料集合体との干渉による摩耗軸方向範囲をカバーした上蓋付きスリーブ、前記外側被覆管内で前記スリーブに載設され、制御棒の外部(上部炉内構造物)との干渉による摩耗軸方向範囲をカバーしたカプセル構造体、該カプセル構造体の中に収容された炭化硼素ペレットの積重体と第1の銀・インジウム・カドミウム合金棒、これらの押さえばね、前記スリーブの中に収容された第2の銀・インジウム・カドミウム合金棒、及び、前記カプセル構造体と前記上部端栓との間に設けられた押さえばねを有し、外側被覆管の貫通摩耗損傷を容易に且つ効率的に検出できるよう前記カプセル構造体と前記スリーブとの間に大きな濾水収容空間が形成されていることを特徴とする原子炉制御棒。
【請求項2】 前記外側被覆管が全長に亘って外面にクロムメッキが施されていることを特徴とする請求項1記載の原子炉制御棒。
【請求項3】 前記濾水収容空間内に銀等の微粒子が封入されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の原子炉制御棒。
【請求項4】 制御棒先端付近から上方の外側被覆管のクロムメッキ厚さを厚くして、被覆管貫通摩耗が最初に発生する箇所を先端に絞らせ、制御棒損傷検査を容易に且つ効率化が図れるようにした原子炉制御棒。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉制御棒に関し、特に加圧水型原子炉の制御棒の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、広く使用されている加圧水型原子炉において、原子炉の炉内核反応を制御するために使用されている制御棒集合体乃至制御棒クラスタの代表的構造は、図7に示すようになっている。これを概説すると、制御棒クラスタ1は、主としてスパイダ構造体3と複数の制御棒5とから構成されている。スパイダ構造体3のハブ部材7から複数のベーン部材9が放射状に延出している。このベーン部材9の先端部又は中間部にフィンガ部11が一体的に形成されていて、これに制御棒5の上端が個別に連結されている。このような複数の制御棒5は互いに平行に垂下されており、原子炉炉心を構成する燃料集合体(図8)の制御棒案内シンブルの中に挿入される。
【0003】図8に一般的な燃料集合体の上部の構造が示されている。図8を参照して燃料集合体13の構造を概説すると、複数の互いに平行に配置された制御棒案内シンブル15の上端に、上部ノズル17が固定されている。通常3乃至5メートル程度の長い案内シンブル15の下端には、図示しない下部ノズルが連結されている。このような案内シンブル15には、複数の支持格子19(1個のみ図示)が長手方向に間隔を置いて取り付けられ、その多数の格子開口に多数の燃料棒21が個別に挿通され支持されている。上部ノズル17は箱形の構造物であり、上端面にホールドダウンばね23が取り付けられると共に、図示しない底板部分には冷却材用流れ孔と、案内シンブル取付穴が所定の配置で複数設けられている。
【0004】図9に従来の制御棒5の代表的な構造が示されている。図示するように、制御棒5は、前述のベーン部材9のフィンガ部11への連結部(図示しない)を持つ上部端栓25、下部端栓27、これらに両端が密封溶接されたステンレス鋼製長尺被覆管29、その中に挿入された中性子吸収材としての銀・インジュウム・カドミウム(Ag−In−Cd)合金棒31、33及び押さえばね35を有している。そして、図示はしていないが、被覆管29の先端部以外の外面には、耐摩性を向上するためクロムメッキが施されている。
【0005】而して、最近二酸化ウラン燃料に代えて混合酸化物燃料所謂MOX燃料の使用が提唱されている。そして、これに適する制御棒が図10に示すハイブリッド型制御棒40として提案されている。ハイブリッド型制御棒40も全体的な構造は制御棒5と同様であり、同様な構造の上部端栓41、下部端栓43、ステンレス鋼製で相対的に厚肉の長尺被覆管45及び押さえばね47を有している。その被覆管45の中には、下側に銀・インジュウム・カドミウム合金棒48及び上側に炭化硼素ペレットの積重体49が中性子吸収体として入れられている。このようなハイブリッド型制御棒40は、炉心にMOX燃料が大量に装荷された時の必要な停止余裕を確保できると共に、1本当たりの制御棒価値が大きくなって通常型炉心においては必要な制御棒の本数又は制御棒クラスタの体数を削減できるなどのメリットがある。尚、被覆管45の外面のクロム鍍金も適宜行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した制御棒5を使用した従来の原子炉の運転管理においても、又提案中のハイブリッド型制御棒40を使用する場合においても、制御棒被覆管の摩耗損傷は定期的、或いは必要に応じて行われる検査・点検においてその有無が検査される。損傷が無ければその信頼性は確保されるのであるが、確率的にその破損損傷を零にすることには無理がある。そして、もし仮に被覆管45に損傷が発生して銀・インジウム・カドミウム合金棒あるいは炭化硼素ペレットを減損(削り取る或いは溶出)させると、制御棒の機能低下を招来する虞がある。更には、制御棒被覆管の検査は、その数が多く、且つ前述のように長いものであるので、検査に要する手数、費用も膨大なものとなっている。従って、本発明の課題は、中性子吸収材として炭化硼素を使用しても、制御棒被覆管の損傷によってその機能低下が生じず、且つ検査を容易に且つ効率的にできるハイブリット型制御棒のような制御棒を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】如上の課題を解決するため、本発明によれば、原子炉制御棒は、両端が上部端栓及び下部端栓により密封された外側被覆管、該外側被覆管内に設けられた制御棒先端付近の燃料集合体との干渉による摩耗軸方向範囲をカバーした上蓋付きスリーブ、前記外側被覆管内で前記スリーブに載設され、制御棒の外部(上部炉内構造物)との干渉による摩耗軸方向範囲をカバーしたカプセル構造体、該カプセル構造体の中に収容された炭化硼素ペレットの積重体と第1の銀・インジウム・カドミウム合金棒、これらの押さえばね、前記スリーブの中に収容された第2の銀・インジウム・カドミウム合金棒、及び、前記カプセル構造体と前記上部端栓との間に設けられた押さえばねを有して構成され、前記カプセル構造体と前記スリーブとの間に大きな濾水収容空間が形成されていることを特徴とする。又、外側被覆管の全長に亘って外面にクロムメッキを施すのが耐摩耗性を向上するために好適であり、加えて、カプセル構造体を形成する内側被覆管の外面にクロムメッキを施すのも、制御棒の外部(上部炉内構造物の制御棒案内管カード部等)からの摩耗軸方向に対して2重の防護となり、全体的な信頼性を更に向上する点で有効である。また、スリーブについても同様である。濾水収容空間内の水の有無は、超音波検査により検知されるが、この空間内に銀等の微粒子などを予め封入しておいて、原子炉冷却材中での存否をモニタリングしても早期損傷検出に有効である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。尚、全図に亙り、同一部分には同一符号を付すこととする。図1乃至図3は、本発明に係る制御棒50を示している。これらの図において、制御棒50のステンレス鋼製被覆管51は、従来のものと同様な形状の上部端栓53及び下部端栓55と両端とが円周溶接37により接合されて閉じている。被覆管51の外表面には、適当なクロムメッキが施されている。なお、上部端栓53のスパイダ部材との連結部の図示は省略されている。一方、被覆管51と下部端栓55との連結部の構造が、特に図2に拡大されて明確に示されている。又、別の方法として、下部端栓55の上部の被覆管内挿入部に円周溝56を形成すると、後述するように漏洩検査を行う際により便となる。被覆管51の内部において、下部端栓55の上面に中性子吸収材である銀・インジウム・カドミウム合金棒(以下合金棒と略称する。)59が載って配置されている。そして、合金棒59は上蓋61付きのスリーブ63で囲まれ、スリーブ63と被覆管51とは間に空間65を画成している。
【0009】スリーブ63の上蓋61の上にカプセル構造体67が載設され、更にはカプセル構造体67と上部端栓53の間にコイル状の押さえばね69が介装されており、これによりカプセル構造体67を下方のスリーブ63に押し付けている。カプセル構造体67は、被覆管51と同様な内側被覆管71及びこれの両端に円周溶接73によって密封接合された内側上部端栓75及び内側下部端栓77とから構成されており、その中に複数の炭化硼素(B4C)ペレット79と合金棒81が入れられている。図示するように、合金棒81が内側下部端栓77に載り、その上に炭化硼素ペレット79の積重体が載っている。そして最上の炭化硼素ペレット79と内側上部端栓75の間に螺旋状の内側押さえばね83が設けられ、これにより炭化硼素ペレット79の積重体と合金棒81とは下向きに押し付けられ、安定的に保持される。図示していないが、内側押さえばね83及び前述の押さえばね69は、C型クリップ等に代えることも可能である。下方のスリーブ63とカプセル構造体67の内側下部端栓77の隣接部分が図3に拡大して示されているが、本図でも明らかなように、前述の空間65は外側被覆管51と内側被覆管71との間にも延びている。尚、図4の(a)に示すように、スリーブ63の上蓋61の上面外周部及び内側下部端栓77の下面外周部にそれぞれテーパ部を形成して上蓋61a及び内側下部端栓77aとなし、円周溝85aを形成すると、濾水収容空間が大きくなって濾水有無確認の検査を行う際により便となる。また、テーパ形状でなく、溝形状として図4の(b)のように円周溝85bを形成してもよい。この円周溝の形状はこれにこだわらない。尚、被覆管51の下方先端部に摩耗やクラックの発生が懸念される場合は、特開平11−153685号公報及び特開平11−281784号公報記載の発明を適宜適用しても良い。
【0010】上述の構成の制御棒50も制御棒クラスタに組み立てられて、従来のものと同様に原子炉容器の上蓋に設けられた制御棒駆動装置に連結されて使用される。制御棒クラスタは多数使用され、概念的には負荷調整用と非常時落下用(停止用)に分けられるが、制御棒50はいずれにも使用できる。現在の原子炉運転においては定格出力運転が大部分であるが、この場合には負荷調整用制御棒クラスタも炉心上方に引き上げられ、その下端部は炉心内に延びている。即ち、図1において、2点鎖線の横線X付近は、定格出力運転時の有効燃料部の上端付近を示し、又、2点鎖線の横線Y付近は負荷調整のために炉心内に入る、所謂調整範囲の上端を示しており、これより下方に合金棒59、81が位置することになる。これは、専ら炭化硼素ペレット79が、停止時に炉心内に入って機能することを示している。この炭化硼素ペレット79の積重体の長さと、合金棒59、81の合計長さの比の一例は、6対4である。
【0011】原子炉運転の停止時に制御棒50は、炉心内に全挿入状態で使用されるが、炭化硼素ペレット79の中性子吸収能は大きいから、炉心が高燃焼度燃料(炉心寿命の初期において余剰反応度が大きい。)で構成されていても、中性子を十分吸収して炉内反応を安全に停止できる。又、内側押さえばね83の収容空間は、炭化硼素ペレット79から発生するヘリウムガスを収容して内圧上昇を緩和する。一方、定格運転時の制御棒は、前述のように燃料集合体からある程度引き抜かれた位置にあり、1次冷却水の流体励振力により、制御棒と上部炉内構造物の制御棒案内管カード部等と干渉する。燃料集合体内に挿入されている制御棒先端付近も同様である。
【0012】従って、上部炉内構造物の制御棒案内管カード部などと干渉する軸方向範囲を2重被覆管構造(カプセル構造)としている。一方で、制御棒の先端付近については照射を受けやすいので、先端付近の銀・インジウム・カドミウム合金棒のスェリングによる被覆管損傷モードもあるため、カプセル構造の中にカプセル構造の中にこの先端付近の合金棒を装填せず、スリーブで覆うこととしている。そして、原子炉の運転に長らく使用されて、被覆管51に摩耗による貫通損傷が仮に発生して外部の水が侵入しても、炭化硼素ペレット51は健全なカプセル構造体67により囲繞されているから、水との接触反応及び溶出が防止される。また、前述の被覆管51の損傷による浸水乃至濾水は、被覆管51と内側被覆管71及びスリーブ63との間の空間65内を通って空間の大きい内側下部端栓77aとスリーブ上蓋61aとの円周溝85に溜まるから、この浸水の存在をこの軸方向位置に絞った超音波検査で検知することにより、外側の被覆管51の貫通摩耗損傷を容易に且つ効率的に検出することができる。従って、従来行われていた被覆管51の全面走査による損傷検査(摩耗深さの定量検査)に比し、本制御棒構造では検査時間を大幅に短縮し、検査効率を向上することができる。尚、空間65内に銀等の微粒子などを予め封入しておいて、原子炉冷却材中での存否をモニタリングしても早期損傷検出が可能となる。
【0013】次に図5乃至図9を参照して本発明の改変実施形態を説明する。前述したように、図1の実施形態において、外側被覆管51の損傷は容易に検出されるのであるが、後述のように耐摩耗性を向上すれば、損傷の発生時期を遅らせることができる。図5及び図6において、制御棒90の機械的構造は前述の制御棒50とほぼ同じであり、被覆管51、カプセル構造体67の内側被覆管71及びスリーブ63の外面にそれぞれクロムメッキ91、93、95が施されている部分が異なる。クロムメッキ95は場合により省略しても良い。このように被覆管51、71などの外面に耐摩耗性を向上するクロムメッキを施すことにより、それらの摩耗損傷の進行を抑制することができる。クロムメッキの厚さは、コスト的には軸方向に一様にするのがよい。一方で、従来の使用経験などを考慮して、軸方向に一様な厚さとせず、外側被覆管51の下端(先端)付近から上方のメッキ厚さを適切に厚くすることで、制御棒の外側被覆管51の貫通損傷発生位置を制御棒先端に絞り、この部分の損傷検査を実施するだけでよいようにすれば、この方法でも検査は容易で且つ効率的となる。尚、この時の制御棒先端(下部端栓)の構造は図2のようなものが効果的である。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、炭化硼素ペレットなどの中性子吸収材は、被覆管の内側にあるカプセル構造体やスリーブの中に収容されているので、被覆管が摩耗損傷を生じても、これらの中性子吸収材は減損する(削り取られる或いは溶出する)ことがないのは勿論、先端の銀・インジウム・カドミウム合金棒のスェリングによる被覆管の損傷(クラック)による炭化硼素ペレットの溶出に配慮し、先端の吸収材はカプセル構造体内に装填せず、別のスリーブ内に装填させているので、摩耗以外の劣化モードに対しても配慮した構造である。そのような観点から、カプセル構造体とスリーブの軸方向長さは適切に設定(カプセル構造体の長さは上部炉内構造物の制御棒案内管カード部等との干渉位置をカバーし、且つ、照射は受けにくい)しているので、摩耗或いはスェリングの劣化モードに対して、信頼性の高い構造である。又、前述のように(カプセル構造体の長さは上部炉内構造物の制御棒案内管カード部等との干渉位置をカバーし、且つ、照射は受けにくい)被覆管検査の貫通摩耗有無の検査について、容易で且つ効率化が図れるような構造としている。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
【識別番号】000180368
【氏名又は名称】四国電力株式会社
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
【識別番号】000230940
【氏名又は名称】日本原子力発電株式会社
【出願日】 平成13年1月15日(2001.1.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−214378(P2002−214378A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−6142(P2001−6142)