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【発明の名称】 沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置
【発明者】 【氏名】星 豊

【要約】 【課題】沸騰水型核燃料集合体の燃料棒が、冷却材に混入する金属小片等の異物により損傷を受けるのを防止する異物捕捉装置に関し、冷却材の流路抵抗を小さくし圧力損失を低減しても充分な強度を保有でき、しかも小片異物までの確実な捕捉を実現可能とする。

【解決手段】沸騰水型核燃料集合体の下部タイプレートに横向内設する異物捕捉装置Bで、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2は、夫々第1、第2枠縁部1A、2A内にあって、第1、第2隔壁板1a、2aにより区画された多数の第1、第2区分通口1b、2bを具備している。上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2は密接でなく盤面間通隙3を介在させて重層固設するが、この際第1、第2区分通口1b、2bは、互いに夫々の口芯x1、x2が半ピッチ等だけ齟齬するよう配装する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部タイプレートと下部タイプレートとの間には、スペーサにより保持された複数の燃料棒が、所定の流通隙だけ離間した状態にて併立され、前記下部タイプレートに下方から供給された冷却材が上記の所定の流通隙に導入流過され、当該下部タイプレートには冷却材に混入の異物を捕捉して、その流入を阻止するよう固設された沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置において、当該異物捕捉装置は、第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を配設してなる上流側ハニカム状フィルター盤と、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画された多数の第2区分通口を配設してなる下流側ハニカム状フィルター盤とが、盤面間通隙を介在して重積状態に固設することにより、前記第1区分通口と第2区分通口が、夫々の口芯を齟齬させて配装されていることを特徴とする沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置。
【請求項2】 上流側ハニカム状フィルター盤の第1区分通口と下流側ハニカム状フィルター盤の第2区分通口が、ステンレススチール板材等のレーザーカッティイング法または放電加工法により加工開設されていること、第1、第2区分通口の輪郭が六角形、円形、楕円形、長方形のうちから任意に選定されていること、第1、第2区分通口の輪郭辺コーナをアール部により連続されることのうち、一以上が選択的に採択されている請求項1に記載した沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置。
【請求項3】 第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を備えてなる上流側ハニカム状フィルター盤は、その第1下流側盤面と第1上流側盤面とをもって平盤状に形成され、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画された多数の第2区分通口を備えて、その第2下流側盤面と第2上流側盤面とをもって平盤状に形成されている下流側ハニカム状フィルター盤には、上記第2枠縁部における対辺から夫々上流側へ向けて突設した一対の外側大突設縁部と内側小突設縁部とを形成し、当該一対の外側大突設縁部間に形成された凹嵌部に、前記平盤状の上流側ハニカム状フィルター盤を嵌設することによって、この上流側ハニカム状フィルター盤の第1枠縁部を下流側ハニカム状フィルター盤の上記内側小突設縁部に当接することで、その前記第1下流側盤面と下流側ハニカム状フィルター盤の第2上流側盤面との間に盤面間通隙を離間形成すると共に、第1上流側盤面を前記一対の外側大突設縁部と面一状態にした請求項1に記載の沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置。
【請求項4】 第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を備えてなる上流側ハニカム状フィルター盤は、上記第1枠縁部の一辺から下流側へ向けて突設した第1外側大突設縁部と第1内側小突設縁部とにより端面略L字状に形成し、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画されて多数の第2区分通口を備えた下流側ハニカム状フィルター盤は、上記第2枠縁部の一辺から上流側へ向けて突設した第2外側大突設縁部と第2内側小突設縁部とにより端面略L字状に形成し、上流側ハニカム状フィルター盤の第1枠縁部における第1対辺部を、下流側ハニカム状フィルター盤の前記第2外側大突設縁部における内側辺部と第2内側小突設縁部とに嵌当すると共に、下流側ハニカム状フィルター盤の第2対辺部を、上流側ハニカム状フィルター盤の前記第1外側大突設縁部における内側辺部と第1内側小突設縁部とに嵌当することによって、上流側ハニカム状フィルター盤の第1下流側盤面と下流側ハニカム状フィルター盤の第2上流側盤面との間に、盤面間通隙を離間形成すると共に、上流側ハニカム状フィルター盤の第1上流側盤面を第2外側大突設縁部に、下流側ハニカム状フィルター盤の第2下流側盤面を第1外側大突設縁部に夫々面一状態となるようにして構成された請求項1に記載の沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は沸騰水型核燃料集合体のうちで、特に高燃焼度用核燃料集合体にあって、下位側から流入して燃料棒を冷却するための循環冷却材中にあって、これに混入している金属小片等の異物を、当該核燃料集合体の下部タイプレート内において捕捉してしまい、燃料棒とスペーサとの隙間に流入した当該異物によるフレッティング等の原因によって、燃料棒が損傷してしまうことを防止するための異物捕捉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】既知の通り沸騰水型核燃料集合体Aは図2に例示の如く、上部タイプレートaと下部タイプレートbとの間には、スペーサcにより保持された複数の燃料棒dが所定の流通隙eだけ離間した状態にて併立状態に保持されており、同上図にあってfは燃料棒dの上部端栓、gはロッドスプリング、そしてDは水管を示し、さらにh1、h2は燃料棒dの下部端栓(フリーロッドとタイロッド)、iはチャンネルボックスである。
【0003】しかし、フレッテイング等による燃料棒の破損原因が、炉内へ流入した冷却材中の異物にあることが明らかになり、当該異物の捕捉を目論んだ手段として、既に鋼状フィルターとか邪魔腕といったものを、下部タイプレートbのグリットb1近傍に設けることが実施されるようになって来ているが、その異物捕捉特性に充分な期待を持つことができないことから本格的な導入までには至っていない。また下部タイプレートbに異物捕捉用フィルターを横向内設するようにした異物捕捉用フィルターとして、特開平9−166675号公報に開示の如く板状体に多数の円孔を縦横方向へ列設開口させたものも知られている。しかし当該従来例では円孔相互間の板肉幅部につき、冷却材に対する面圧強度を確保する必要から可成りの肉幅を要求されることになり、この結果冷却材の流路抵抗に基づく圧力損失を充分に低減することができないという問題を充分に解消し得ないものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術の難点に鑑み検討されたもので、請求項1に係る沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置によるときは、上流側ハニカム状フィルター盤と下流側ハニカム状フィルター盤とを、盤面間通隙を介して重積状態に固設すると共に、何れのフィルター盤にも夫々第1、第2枠縁部内に第1、第2隔壁板によって区画された多数の第1、第2区分通口がハニカム状に開口されているだけでなく、これらの第1区分通口と第2区分通口とが夫々の口芯を半ピッチだけずらせるといった手法により齟齬させて配装するのである。かくして当該発明によるときは、上記第1、第2隔壁なる比較的薄肉の帯状板により区画されたハニカム状の構成をもたせることにより、流路抵抗を低減させて圧力損失特性を向上させるようにしても、充分による上記の面圧強度、とりわけ異物が捕捉されて流路抵抗が高まった場合の当該強度に対しても、優れた特性を確保することができるようにし、低圧力損失化の期待できる異物捕捉装置を提供可能にしようとするのが、第1の目的である。しかも、前記した第1、第2区分通口の齟齬配置により、第1区分通口が複数の第2区分通口を画成している第2隔壁板によって、さらに区画されることになり、これにより小さな異物までを、多数の第1、第2隔壁板によって捕捉可能とし、その異物捕捉性能を飛躍的に向上しようとするのが、第2の目的である。さらに当該請求項1では前掲の通り下流側、上流側ハニカム状フィルター盤を密接状態でなく盤面間通隙だけ離間して重積することにより、冷却材の流路抵抗を密接の場合に比し緩和可能とし、圧力損失性能の改善についても充分な結果を得ようとするのが、第3の目的である。
【0005】次に請求項2にあっては、上記した請求項1における各種の実施態様の一つを明示したもので、下流側、上流側ハニカム状フィルター盤の第1、第2区分通口を第1、第2隔壁板を残設することによって開設するには、レーザーカッティング法または放電加工法を採択することで、高精度の加工を簡易迅速にして、低コスト化を可能にしようとしており、また第1、第2区分通口の輪郭についても六角形のみでなく各種のものが採用でき、従って第1区分通口と第2区分通口に異種の輪郭をもたせることをも示唆しており、さらには当該輪郭コーナ箇所につき、これをアール部により連続することも、面圧強度の増強上望ましいことが開示されている。
【0006】そして請求項3と請求項4にあっては、前掲請求項1に係る各別の実施態様を開示しており、まず請求項3では平盤状に形成した上流側ハニカム状フィルター盤を、下向きに開口した下流側ハニカム状フィルター盤の凹嵌部に嵌合するようにして、冷却材による面圧力を受けても上流側、下流側ハニカム状フィルター盤との一体性が確保され易くして、前記請求項1による前記の目的を、すべて確実に達成し得るようにしている。そして請求項4によるときは、上記の上流側、下流側ハニカム状フィルター盤を、何れも端面L字状に形成することによって、簡易な加工により製作でき、上記請求項3と実質的に同等の作用効果を発揮し得るようにし、もって前掲請求項1による目的を請求項3と同様にして達成しようとしている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願請求項1にあっては、上記の目的を達成するため上部タイプレートと下部タイプレートとの間には、スペーサにより保持された複数の燃料棒が、所定の流通隙だけ離間した状態にて併立され、前記下部タイプレートに下方から供給された冷却材が上記の所定の流通隙に導入流過され、当該下部タイプレートには冷却材に混入の異物を捕捉して、その流入を阻止するよう固設された沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置において、当該異物捕捉装置は、第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を配設してなる上流側ハニカム状フィルター盤と、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画された多数の第2区分通口を配設してなる下流側ハニカム状フィルター盤とが、盤面間通隙を介在して重積状態に固設することにより、前記第1区分通口と第2区分通口が、夫々の口芯を齟齬させて配装されていることを特徴とする沸騰水型核燃料集合体の異物捕捉装置を提供しようとしている。
【0008】次に請求項2によるときは、上記請求項1を実施する場合にあって選択的に採択できる実施態様を示しており、請求項1において上流側ハニカム状フィルター盤の第1区分通口と下流側ハニカム状フィルター盤の第2区分通口が、ステンレススチール板材等のレーザーカッティイング法または放電加工法により加工開設されていること、第1、第2区分通口の輪郭が六角形、円形、楕円形、長方形のうちから任意に選定されていること、第1、第2区分通口の輪郭辺コーナをアール部により連続されることのうち一以上が選択的に採択されていることを、その内容としている。
【0009】さらに請求項3の場合にあっては、請求項1に係る第1の実施態様を示しており、第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を備えてなる上流側ハニカム状フィルター盤は、その第1下流側盤面と第1上流側盤面とをもって平盤状に形成され、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画された多数の第2区分通口を備えて、その第2下流側盤面と第2上流側盤面とをもって平盤状に形成されている下流側ハニカム状フィルター盤には、上記第2枠縁部における対辺から夫々上流側へ向けて突設した一対の外側大突設縁部と内側小突設縁部とを形成し、当該一対の外側大突設縁部間に形成された凹嵌部に、前記平盤状の上流側ハニカム状フィルター盤を嵌設することによって、この上流側ハニカム状フィルター盤の第1枠縁部を下流側ハニカム状フィルター盤の上記内側小突設縁部に当接することで、その前記第1下流側盤面と下流側ハニカム状フィルター盤の第2上流側盤面との間に盤面間通隙を離間形成すると共に、第1上流側盤面を前記一対の外側大突設縁部と面一状態にしたことを、その特徴としている。
【0010】そして請求項4では請求項1に係る第2の実施態様を示すもので、ここでは第1枠縁部内にあって第1隔壁板により区画された多数の第1区分通口を備えてなる上流側ハニカム状フィルター盤は、上記第1枠縁部の一辺から下流側へ向けて突設した第1外側大突設縁部と第1内側小突設縁部とにより端面略L字状に形成し、第2枠縁部内にあって第2隔壁板により区画されて多数の第2区分通口を備えた下流側ハニカム状フィルター盤は、上記第2枠縁部の一辺から上流側へ向けて突設した第2外側大突設縁部と第2内側小突設縁部とにより端面略L字状に形成し、上流側ハニカム状フィルター盤の第1枠縁部における第1対辺部を、下流側ハニカム状フィルター盤の前記第2外側大突設縁部における内側辺部と第2内側小突設縁部とに嵌当すると共に、下流側ハニカム状フィルター盤の第2対辺部を、上流側ハニカム状フィルター盤の前記第1外側大突設縁部における内側辺部と第1内側小突設縁部とに嵌当することによって、上流側ハニカム状フィルター盤の第1下流側盤面と下流側ハニカム状フィルター盤の第2上流側盤面との間に、盤面間通隙を離間形成すると共に、上流側ハニカム状フィルター盤の第1上流側盤面を第2外側大突設縁部に、下流側ハニカム状フィルター盤の第2下流側盤面を第1外側大突設縁部に夫々面一状態となるようにして構成されたことを、その内容としている。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明について図面を参照して以下説示すること、先ず既に図2によって説示した通りの沸騰水型核燃料集合体Aにおける異物捕捉装置Bであることに関しては同じであり、当該沸騰水型核燃料集合体Aの構成については図2と同一符号をもって以下説示する。すなわち沸騰水型核燃料集合体Aの構成をここで確認すると、上部タイプレートaと下部タイプレートbとの間には、スペーサcにより保持された複数の燃料棒dが、所定の流通隙eだけ離間した状態にて併立され、前記下部タイプレートbに下方から供給された冷却材Wが上記の所定の流通隙eに導入流過され、当該下部タイプレートbには冷却材Wに混入の異物を捕捉して、その流入を阻止するよう固設された沸騰水型核燃料集合体Aということになる。
【0012】上記の沸騰水型核燃料集合体Aにおける下部タイプレートbには、前掲図2に略示する通り、本発明に係る異物捕捉装置Bなるものが、横向状態にて固設されることになる。その固設手段の一例を示すと図3、図4によって例示される如く、下部タイプレートbの正面壁b2と背面壁b3の開口部b4、b5と左右の側壁b6、b7における内壁に穿設した凹溝条b8、b9とからなる取着用嵌合通口b10に嵌合され、この状態にあって溶接手段などにより固設するようにしてある。そして上記の異物捕捉装置Bにつき以下図1を参照して説示すると、図2によって理解される通り下部タイプレートbの下位側、すなわち冷却材Wの流れの上流側に配設することになる上流側ハニカム状フィルター盤1と、その上位である下流側に配設される下流側ハニカム状フィルター盤2との重積構造をなしており、もちろん当該重積構造を保持するためには上下両者を必要に応じ予め溶接して一体化したり、前記の如く取着用嵌合通口b10に嵌合した状態で下部タイプレートbに溶着するといった手段が採択されることになる。
【0013】さて、上流側ハニカム状フィルター盤1は、図示例のように四角形をなす第1枠縁部1A内にあって第1隔壁板1aにより区画された多数の第1区分通口1bを縦横方向に列設したり、あるいは不規則であるがハニカム状となるように配設することにより構成されているのである。ここで図示例では第1隔壁盤1aが、所謂ハニカム構成として一般に呼ばれているように、六角形の第1区分通口1bを区画形成するように曲折して構成されており、当該第1隔壁板1aの比較的薄い肉厚Sは大略均一に形成されて、所望の奥行長tを具有している。従って既知の如く広義のハニカム構成としてあることから、肉厚Sは比較的小さくとも全体として可成りの強度を保有させることができる。一方、下流側ハニカム状フィルター盤2も、本質的には全く上記の上流側ハニカム状フィルター盤1と同等の構成となっており、第2枠縁部2A内にあって第2隔壁板2aにより区画された多数の第2区分通口2bを、これまた縦横方向へ列設したり、あるいは不規則に配設することにより構成し、図示例にあっては前同様にして六角形のハニカム状となるよう第2区分通口2bが画成されている。
【0014】さらに請求項1にあっては、上記した上流側ハニカム状フィルター盤1と下流側ハニカム状フィルター盤2とを重積状態とするが、この際上流側ハニカム状フィルター盤1の第1下流側側面1cと、下流側ハニカム状フィルター盤2の第2上流側盤面2cとを全面的に当接してしまうのではなしに、盤面間通隙3を介在して固設するのである。そしてこの盤面間通隙3の形成手段としては、どのようにしてもよく、図示しない薄板を部分的に狭入固定したり、後に請求項3、請求項4にあって詳記する通り、第1、第2枠縁部1A、2Aの一方にあって、その一部分に厚肉弾部を隆設させるようにしてもよい。ここで、上記の盤面間通隙3を設定することにより、冷却水Wに対する当該異物捕捉装置Bによる流路抵抗が、盤面間通隙3のない場合に比し緩和されることになり、これにより圧損性能を良好な状態に保有させることが可能となった。
【0015】しかも当該発明にあっては、図1(B)によって理解される通り、上記した重積状態にあって第1区分通口1bの口芯x1と、第2区分通口2bの口芯x2とが夫々齟齬するようにしてあり、図示例では丁度1/2ピッチだけずらすようにして、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2を重積固定するようにしてある。従って同図にあっては、六角形の第1、第2区分通口1b、2bが、相互に三個の第2、第1区分通口2b、1bを形成している第2、第1隔壁板2a、1aにおける区分辺部によって形成されたY形辺部yにより、三個の細成区分口zに区分されるようにしてあり、このことにより小さな異物をも捕捉することが可能となっているだけでなく、万一Y形辺部yの一区分辺部が破損されたとしても、他の二区分辺部に支えられることにより、強度の維持が保証されることになる。従って、上記した口芯x1、x2の齟齬構成に基づく細成区分口zによる異物捕捉性能の向上を図ることができ、しかも前記した盤面間通隙3の形成による流路抵抗の増大削減効果とを兼備し得ることとなり、異物捕捉装置としての良好な特性を発揮することができる。
【0016】ここで因みに、前記した盤面間通隙3の通隙長に対して流路抵抗がどのように緩和されるかにつき説示すると、図8に示す如く通隙長0.5mmまで大きくしていくことにより、可成りの程度で流路抵抗が減少していくことを確認できた。また実際上試作された異物捕捉装置例にあっては、図9(A)に開示したように板辺長D=120mmの正方形板Pに対して、辺長E=1.705mm(外接円径F=3.41mm)で、奥行長t=3mmの正六角形である第1、第2区分通口1b、2bを、約1024個分だけ第1、第2隔壁板1a、2aにより区画配装し、これにより、その流路断面積率が約54%となるようにした。
【0017】次に請求項2について詳記すると、ここでは上記した請求項1に係る各部構成の実施態様として、以下の諸事項から選択的に、それらを採択し得ることにつき開示している。すなわち、先ず第1の選択肢として望ましいことは上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2の第1、第2区分通口の開設手段についてであり、それにはステンレススチール板材等の原材料につきレーザーカッティング法または放電加工法によることである。当該手段によるときは、前記の如く六角形等の第1、第2区分通口1b、2bのカッティングに際し、その操作性が良好で効率的な作業にて安価に製品を提供できるだけでなく、加工に際しステンレススチール板材に対して大きな熱応力を与えないですみ、従って精度の高い製品を得ることが可能となる。
【0018】次に第2の選択肢としては、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2につきその第1、第2区分通口1b、2bに関し、その輪郭はもちろん、前記の六角形に特定されるべきものでなく、例えば円形、楕円形、長方形等任意の形状から選択することが可能であり、また各第1、第2区分通口1b、2bに関し、六角形と円形とを混在させるとか、第1区分通口1bは細長いスリット状とし第2区分通口2bは六角形にするといった組合せとしてもよい。
【0019】また第3の選択肢としては、第1、第2区分通口1b、2bにあって、六角形であれば、その直線状の二辺が交差する輪郭辺コーナにあって、これをアール部Rによって連続するのであり、このようにすることで、全体の強度を向上するのが望ましい。
【0020】以下に説示する請求項3と請求項4の内容は請求項1に係る異物捕捉装置の各実施態様を示すもので、先ず請求項3について図1を参照して、その構成内容を詳記する。すなわち、ここでは前説の通り、第1枠縁部1A内にあって第1隔壁板1aで区画された多数の第1区分通口1bを備えている上流側ハニカム状フィルター盤1については、その第1下流側盤面1cと第1上流側盤面1dとをもって平盤状に形成され、その端面が矩形状のものを採用するようにしている。これに対して第2枠縁部2A内にあって第2隔壁板2aにより区画された多数の第2区分通口2bを備えている方の下流側ハニカム状フィルター盤2には、第2枠縁部2Aにおける対辺から夫々上流側へ向けて突設した一対の外側大突設縁部2dと内側小突設縁部2eとを形成するのであり、図示例ではこの外側大突設縁部2d、2dの基根部から内側小突設縁部2e、2eが連設され、これによって当該一対の外側大突設縁部2d、2d間にあって凹嵌部2fが形成されることで、図1(A)の如く下流側ハニカム状フィルター盤2は端面コ字状に形成されている。
【0021】さらに請求項3にあっては、上記した下流側ハニカム状フィルター盤2における凹嵌部2fに、前記の平盤状とした上流側ハニカム状フィルター盤1を嵌合するのであって、これにより上流側ハニカム状フィルター盤1の第1枠縁部1Aを、下流側ハニカム状フィルター盤2の上記した内側小突設縁部2eに対して当接するのである。このことで、前記した第1下流側盤面1cと、下流側ハニカム状フィルター盤2の第2上流側盤面2cとの間にあって、盤面間通隙3を離間形成するのであり、この際第1上流側盤面1dを上記した一対の外側大突設縁部2d、2dと面一状態にするのである。かくして、上流側からの冷却材により上流側ハニカム状フィルター盤1が面圧を受けても、これは下流側ハニカム状フィルター盤2の凹嵌部2fに嵌合されていることから、当該両フィルター盤1、2の不本意な分離はなく、高い信頼性をもった安定強度を保有させることができ耐久性の点でも満足する結果が得られ、また第1、第2区分通口1b、2bのずれ具合についても安定性が確保され、前記した請求項1による作用、効果を発揮し得ることになる。なお図4に明示の如く下部タイプレートbの開口部b4、b5が、外側大突設縁部2d、2d側により閉塞されるように、当該異物捕捉装置は装填されることになる。
【0022】次に請求項4につき図5、図6、図7によって以下これを説示すると、先ず図6により知得できるように第1枠縁部1A内にあって第1隔壁板1aにより区画された多数の第1区分通口1bを備えた上流側ハニカム状フィルター盤1は、第1枠縁部1Aの一辺からのみ下流側へ向けて突設した第1外側大突設縁部1eと第1内側小突設縁部1fとにより、ここでは端面略L字状に形成されている。これに対し第2枠縁部2A内にあって第2隔壁板2aにより区画されて多数の第2区分通口2bを備えた下流側ハニカム状フィルター盤2は、図5により明示の如く上記した第2枠縁部2Aの一辺から上流側へ向けて突設した第2外側大突設縁部2gと第2内側小突設縁部2hとにより、これまた端面略L字状に形成されている。
【0023】そして請求項4にあっては、図7により理解される通り上流側ハニカム状フィルター盤1の第1枠縁部1Aにあって、前記第1外側大突設縁部1eの反対側である第1対辺部1gを、下流側ハニカム状フィルター盤2の前記第2外側大突設縁部2gにおける内側辺部2iと第2内側小突設縁部2hとに嵌当すると共に、下流側ハニカム状フィルター盤2にあって、前記第2外側大突設縁部2gの反対側である第2対辺部2jを、上流側ハニカム状フィルター盤1の前記第1外側大突設縁部1eにおける内側辺部1hと、第1内側小突設縁部1fとに嵌当させるのである。かくして上流側ハニカム状フィルター盤1の第1下流側盤面1cと下流側ハニカム状フィルター盤2の第2上流側盤面2cとの間にあって、盤面間通隙3を離間形成すると共に、上流側ハニカム状フィルター盤1の第1上流側盤面1dを第2外側大突設縁部2gに、そして下流側ハニカム状フィルター盤2の第2下流側盤面2kを、第1外側大突設縁部1eに対して、夫々面一状態となるようにして構成されている。従って請求項4によるときは、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤1、2を夫々L字状に加工して用い得ることになるから、製作上における加工が容易となり、かつ請求項3における前述各種の利点を具有し、請求項1の目的を確実に達成することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明は上記のようにして構成することが出来るので、請求項1によるときは、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤が、ハニカム状に構成されていることから、第1、第2隔壁板を薄肉に形成して流路抵抗を小さくしても、面圧強度を充分に確保することが可能となる。さらに第1、第2区分通口を齟齬配置にしたことから、重畳状態になる第1、第2隔壁板によって可成り小さな異物までを捕捉することができ、異物捕捉性能を強度上の心配なく飛躍的に向上させることが可能となる。しかも当該請求項1にあっては、単に下流側、上流側ハニカム状フィルター盤を密接状態に重積してしまうことなく、盤面間通隙を離間形成するようにしたから、冷却材の流路抵抗を緩和することができ、圧力損失性能をも充分に保有することが可能となった。
【0025】そして、上記請求項1を実施するに際し請求項2に開示の如く、異物捕捉装置の製造に当たってレーザーカッティング法または放電加工法を用いることで高精度の製品を簡易迅速にして低コストで提供可能となり、また第1、第2区分通口を六角形を含む各種の輪郭となるよう選定することで、異物捕捉手段としての各種の要請に適応させることができ、さらに当該輪郭コーナ箇所にアール部を形成することで面圧強度を改善することも可能となる。従って高燃焼度化に伴う原子炉内滞在期間の長期化により、これまでより冷却材に混入した金属小片類の異物による燃料棒の異常磨耗等の頻度が増えることが予想されることから、これに対処し得る異物捕捉装置として期待し得るものである。
【0026】次に請求項3では請求項1において、下流側ハニカム状フィルター盤は倒立した皿状に形成し、これにより形成された凹嵌部に平盤状に形成の上流側ハニカム状フィルター盤を嵌合固定するようにしたので、冷却材による面圧を受けても、両盤の一体性が強固に保持され、請求項1による作用効果を充分に発揮し得ると共に、その安定した耐久性を確保することができる。そして請求項4では、これまた請求項1において、上流側、下流側ハニカム状フィルター盤を何れも端面L字状に形成することで、製作加工を容易とし、請求項3と同様に請求項1の前記作用効果を確実に発揮し得ることとなる。
【出願人】 【識別番号】000165697
【氏名又は名称】原子燃料工業株式会社
【出願日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【代理人】 【識別番号】100090435
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 義雄
【公開番号】 特開2002−214377(P2002−214377A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−11331(P2001−11331)