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【発明の名称】 高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管
【発明者】 【氏名】磯部 毅

【氏名】村井 琢弥

【要約】 【課題】高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管を提供する。

【解決手段】原子炉燃料被覆管を、質量%で、Nb:0.4〜0.9%、Cr:0.05〜0.6%、Fe:0.05〜0.4%を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、Nb:0.4〜0.9%、Cr:0.05〜0.6%、Fe:0.05〜0.4%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成したことを特徴とする高強度およびすぐれた耐食性を有するZr合金製原子炉燃料被覆管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高強度を有し、かつ高温高圧水に対する耐食性にもすぐれ、したがって細径化および薄肉化を可能ならしめるZr合金製原子炉燃料被覆管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に原子炉、例えば軽水炉が燃料被覆管を備え、この燃料被覆管は内部に収容した放射性物質である燃料の発する熱を外周面に接して流通する高温高圧水に伝達する機能をもつものであり、これの製造には多くのZr合金が提案され、実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の原子炉の高性能化に対応して、燃料被覆管にも細径化および薄肉化が要求される傾向にあるが、従来提案されている各種のZr合金製の燃料被覆管の場合、いずれも強度が不十分であるために、これらの要求に満足に対応することができないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、上述のような観点から、高強度を有するZr合金製原子炉燃料被覆管を開発すべく研究を行なった結果、質量%で(以下、%は質量を示す)、Nb:0.4〜0.9%、Cr:0.05〜0.6%、Fe:0.05〜0.4%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金は、高強度を有し、かつ高温高圧水に対してもすぐれた耐食性を示し、したがってこのZr合金によれば燃料被覆管の細径化および薄肉化が可能になるという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基いてなされたものであって、Nb:0.4〜0.9%、Cr:0.05〜0.6%、Fe:0.05〜0.4%、を含有し、残りがZrと不可避不純物からなる組成を有するZr合金で構成してなる、高強度を有し、かつ耐食性にもすぐれたZr合金製原子炉燃料被覆管に特徴を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の原子炉燃料被覆管を構成するZr合金の組成を上記の通りに限定した理由を説明する。
(a)NbNb成分には、Fe成分との共存において素地に微細に析出する金属間化合物を形成して、強度を向上させる作用があるが、その含有量が0.4%未満では所望の高強度を確保することができず、一方その含有量が0.9%を越えると製管時の熱間および冷間加工性が低下し、所望の細径化および薄肉化を図ることが困難になるほか、耐食性に低下傾向が現われるようになることから、その含有量を0.4〜0.9%と定めた。
(b)CrCr成分には、素地に固溶して耐食性を向上させる作用があるが、その含有量が0.05%未満では所望の耐食性向上効果が得られず、一方その含有量が0.6%を越えるとNbと同様に製管時の熱間および冷間加工性が低下するほか、耐食性にも低下傾向が現れるようになることから、その含有量を0.05〜0.6%と定めた。
(c)FeFe成分には、上記の通りNbとの共存において金属間化合物を形成して、強度を向上させる作用があるが、その含有量が0.05%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が0.4%を越えると製管加工性が低下し、かつ耐食性も低下するようになることから、その含有量を0.05〜0.4%と定めた【0007】
【発明の実施の態様】つぎに、この発明の原子炉燃料被覆管を実施例により具体的に説明する。真空アーク溶解炉にて表1に示される成分組成をもったZr合金を溶製し、直径:380mmのインゴットに鋳造し、このインゴットに熱間鍛造を施して直径:240mmの棒材とし、この棒材に1050℃に加熱後水冷の溶体化処理を施した後、750℃に加熱した状態で、熱間押出し加工を施して、外径:85mm×内径:60mmの寸法をもった管状素材とし、この管状素材に600℃での中間焼鈍を加えながら6回の冷間圧延を施すことにより外径:7.5mm×内径:6.7mmの寸法をもった本発明燃料被覆管1〜7および比較燃料被覆管1〜6を製造した。なお、比較燃料被覆管1〜6は、合金成分のうちのいずれかの成分含有量がこの発明の範囲から外れた組成を有するZr合金で構成されたものである。
【0008】つぎに、この結果得られた本発明燃料被覆管1〜7および比較燃料被覆管1〜6について、強度を評価する目的で、引張り強さを測定し、さらに耐食性を評価する目的で、軽水炉の燃料被覆管が受ける腐食条件に相当する条件、すなわち長さ:50mmに切り出した試験片を静置式オートクレーブ内にセットし、イオン交換水(伝導度:0.1μSv以下)を用い、360℃飽和水蒸気圧の高温高圧水中に放置の条件で200日間の腐食試験を行い、酸化膜生成による重量増加を測定した。これらの結果を表1に示したが、腐食増量に関しては単位面積当りの増量で示した。
【0009】
【表1】

【0010】
【発明の効果】表1に示される結果から、本発明燃料被覆管1〜7は、いずれも高強度を有し、かつすぐれた耐食性を示すのに対して、比較燃料被覆管1〜6に見られるように、構成成分のうちのいずれかの成分含有量でもこの発明の範囲から外れると少なくとも強度および耐食性のいずれかが低下し、所望の高強度とすぐれた耐食性の両方を具備せしめることができないことが明らかである。上述のように、この発明の原子炉燃料被覆管は、高強度を有し、かつ耐食性にもすぐれているので、原子炉の高性能化に対応して要求される細径化および薄肉化にも満足に対応できるものである。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【代理人】 【識別番号】100076679
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−214375(P2002−214375A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−4516(P2001−4516)