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【発明の名称】 原子炉出力測定装置
【発明者】 【氏名】栗林 卓也

【氏名】平山 俊幸

【氏名】石井 一彦

【要約】 【課題】TIP駆動装置の操作・監視装置のバックアップ機能及び計測データの記録・保存を効率よく実施することにある。

【解決手段】原子炉の炉心内を上下方向に移動する移動型炉心内検出器(TIP)によって中性子束を計測し、計測された原子炉内の軸方向の中性子束分布に基づいて局部出力領域監視装置の検出感度を校正する原子炉出力測定装置において、全てのTIP駆動制御器13a〜13eへ制御データを伝送し、全駆動装置17a〜17eの制御・監視を行う統括制御器9、この統括制御器9を操作・監視する統括部操作・監視装置10、TIP検出器18a〜18eから得られる検出信号を統括入出力装置11を介して統括制御器9に入力する統括部入出力装置11からなるTIP統括制御部8を設け、駆動部操作・監視装置15a〜15eが故障したとき、統括部操作・監視装置10に切り替える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉の炉心内を上下方向に移動する移動型炉心内検出器(TIP)によって中性子束を計測し、計測された原子炉内の軸方向の中性子束分布に基づいて局部出力領域監視装置の検出感度を校正する原子炉出力測定装置において、前記TIPの駆動装置と、前記TIPを操作、監視する駆動部操作・監視手段を有すると共に前記駆動装置を制御する駆動制御装置を備え、前記駆動制御装置に接続され、前記TIPを操作、監視する統括部操作・監視手段を有するTIP統括制御装置を設け、前記駆動部操作・監視手段が故障したとき、前記統括部操作・監視手段に切り替えることを特徴とする原子炉出力測定装置。
【請求項2】 請求項1において、前記統括部操作・監視前記TIP手段が発する前記TIPの操作指令は、前記TIPの駆動装置が発する操作許可信号を条件に出力することを特徴とする原子炉出力測定装置。
【請求項3】 原子炉の炉心内を上下方向に移動する移動型炉心内検出器(TIP)によって中性子束を計測し、計測された原子炉内の軸方向の中性子束分布に基づいて局部出力領域監視装置の検出感度を校正する原子炉出力測定装置において、前記TIPの駆動装置と、前記駆動装置を制御する駆動制御装置を備え、前記駆動制御装置に接続され、前記TIPを操作、監視する統括部操作・監視手段と、前記TIPによって計測した中性子束を入出力する統括部入出力手段と、前記計測した中性子束を信号処理する統括制御手段を有するTIP統括制御装置と、前記TIP統括制御装置に接続したデータ処理端末及びプリンタを設け、前記計測した中性子束及び原子炉内軸方向の中性子束分布を表示、記録することを特徴とする原子炉出力測定装置。
【請求項4】 請求項3において、計測した中性子束を記憶・保存するメモリ手段を有することを特徴とする原子炉出力測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉内の中性子束を移動型炉心内検出器によって計測し、計測された原子炉内の軸方向中性子束レベルに基づいて局部出力領域監視装置の検出感度を校正する原子炉出力測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、沸騰水型原子炉の出力検出は局部出力領域監視装置(以下、LPRM)(Local Power Range Monitor)によって行われる。しかし、LPRMは、原子炉内に常設されているため、検出器感度が変化する。このため、始動時又は定期検査時のプラント起動時において、移動型炉心内検出器(以下、TIP)(Travesing Incore Prove)を用いて原子炉内の中性子束を計測し、LPRMの検出器感度を校正する。従来例として、例えば特開2000−28782号公報に記載の技術がある。TIP検出器は、未使用時には、原子炉内から引き抜かれており、使用時には、原子炉内の案内管に挿入され、炉心内で垂直方向に移動させながら、出力を計測する。しかし、TIP検出器を移動させるTIP駆動装置を制御するTIP駆動制御部の駆動制御器が故障した場合、TIP検出器を移動させることが不可能となり、TIP検出器を遮蔽容器位置まで引抜くことが出来なくなる。このため、TIP駆動制御装置は、インターロック回路による引抜き回路を有しており、この引抜き回路を用いてTIP駆動部の駆動制御器が停止した場合においても、手動にてTIP検出器を遮蔽容器内に引抜くことが出来るようになっている。TIP駆動制御部の操作・監視装置が故障した場合も、TIP駆動装置を操作することが不可能になるため、手動にてTIP検出器を遮蔽容器内に引き抜く。また、TIP検出器により得られる中性子束信号及び位置信号は、XYレコーダによって記録される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例では、TIP駆動装置の操作・監視装置のバックアップ機能及び計測データの記録・保存を効率よく実施し、プラント起動時間を短縮することについては、十分な検討がされていなかった。
【0004】本発明の課題は、TIP駆動装置の操作・監視装置のバックアップ機能及び計測データの記録・保存を効率よく実施することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、原子炉の炉心内を上下方向に移動する移動型炉心内検出器(TIP)の駆動装置と、TIPを操作、監視する駆動部操作・監視手段を有すると共に駆動装置を制御する駆動制御装置を備え、駆動制御装置に接続され、TIPを操作、監視する統括部操作・監視手段を有するTIP統括制御装置を設け、駆動部操作・監視手段が故障したとき、統括部操作・監視手段に切り替える。また、TIPを操作、監視する駆動部操作・監視手段を有すると共にTIPの駆動装置を制御する駆動制御装置に接続され、TIPを操作、監視する統括部操作・監視手段と、TIPによって計測した中性子束を入出力する統括部入出力手段と、計測した中性子束を信号処理する統括制御手段を有するTIP統括制御装置と、TIP統括制御装置に接続したデータ処理端末及びプリンタを設け、また、計測した中性子束を記憶・保存するメモリ手段を有し、計測した中性子束及び原子炉内軸方向の中性子束分布を記憶・保存、表示、記録する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態による原子炉出力測定装置の構成図を示す。図1において、原子炉1の炉心2には、原子炉出力に対応した数のLPRM検出器集合体3が設置される。例えば1100MWe級の原子力プラントでは43本のLPRM検出器集合体3が設置される。1本のLPRM検出器集合体3はそれぞれLPRM検出器5a,5b,5c,5d及びLPRM検出器5e,5f,5g,5hを内蔵する。LPRM検出器集合体3にはTIP検出器18aを挿入する案内管4a,4bが設けられる。LPRM検出器集合体10本に対してTIP検出器18aを駆動するTIP駆動装置17aが1台設置される。従って、1100Mwe級の原子力プラントでは、図2に示すように、5つのTIP駆動装置17a,17b,17c,17d,17eが設置される。TIP検出器18aで計測された中性子束は、TIP統括制御部8で演算され、プロセス計算機7に入力される。また、LPRM検出器集合体3のLPRM検出器5aで計測された中性子束は、LPRM6で演算され、プロセス計算機7へ入力される。TIP統括制御部8の出力はTIP駆動制御部13aに入力され、TIP駆動制御部13aの出力によりTIP駆動装置17aが作動し、TIP検出器18aを駆動する。
【0007】図2に、本実施形態のシステム全体の構成を示す。TIP駆動装置17aは、信号ケーブル、駆動部入出力装置16aを介して駆動制御器14aに接続され、この駆動制御器14aの制御信号によって制御される。駆動制御器14aを操作・監視する駆動部操作・監視装置15a例えばフラットディスプレイは、この駆動制御器14aに接続される。駆動制御器14a、駆動部操作・監視装置15a、駆動部入出力装置16aをまとめてTIP駆動制御部13aとする。他のTIP駆動制御部13b〜13eについても同様な構成である。これらのTIP駆動制御部13a〜13eは、例えば光伝送である伝送路12を介して統括制御器9に接続される。統括制御器9は、全てのTIP駆動制御器13a〜13eへ制御データを伝送し、全駆動装置の制御・監視を行っている。統括部操作・監視装置10例えばフラットディスプレイは、統括制御器9に接続され、この統括制御器9を操作・監視する。TIP検出器18aから得られる検出器信号は、信号ケーブル、統括入出力装置11を介して統括制御器9に入力される。TIP検出器18b〜18eについても同様に入出力装置11を介して統括制御器9に入力される。統括制御器9、統括部操作・監視装置10、統括部入出力装置11をまとめてTIP統括制御部8という。
【0008】図3を用いて、本実施形態におけるバックアップ操作について説明する。図3において、駆動制御器14aは操作・監視装置切替回路23及び論理回路24を備え、また、TIP駆動装置17aは操作切替スイッチ21と操作許可スイッチ22を有するインターロック回路19及び駆動装置駆動部20を備える。TIP制御部13aの駆動部操作・監視装置15aにおいてTIP検出器の挿入・引抜操作を行う場合、駆動部操作・監視装置15aより出力された挿入・引抜指令は、駆動制御器14aに入力される。通常時、操作・監視装置切替回路23は、駆動部操作・監視装置15a側の信号が入力されるようになっている。この挿入・引抜指令とインターロック回路19に設けられた操作許可スイッチ22との論理回路24よりアンド条件が成立すると、挿入・引抜指令は駆動部入出力装置16aを介してTIP駆動装置17aへ入力される。TIP駆動装置17aに入力された挿入・引抜指令は、インターロック回路19内のインターロックを介して駆動装置駆動部20に入力され、TIP検出器18aの挿入・引抜操作を行う。TIP駆動制御部13aの内、駆動部操作・監視装置15aのみが故障した場合、以下の手順でTIP駆動を継続し、バックアップする。ここで、故障したか否かは自己診断機能により検出される。また、統括部操作・監視装置10は、正常時の駆動部操作・監視装置15aと同じ画面を表示している。自己診断機能により駆動部操作・監視装置15aの故障が検出されると、運転員がインターロック回路19に設けられた操作切替スイッチ21を操作する。この操作により、操作・監視装置切替回路23は駆動部操作・監視装置15a側からTIP統括制御部8側へ切替わる。同時に、統括部操作・監視装置10から挿入・引抜操作指令を発する。統括部操作・監視装置10により出力された挿入・引抜操作指令は、統括制御器9、伝送路12を介して駆動制御器14aへ入力され、正常時の駆動部操作・監視装置15aから出力された場合と同様に、操作許可スイッチ22との論理回路によりアンド条件が成立すると、駆動部入出力装置16aを介してTIP駆動装置17aへ入力される。続いて、インターロック回路19内のインターロックを介して駆動装置駆動部20に入力され、駆動装置駆動部20はTIP検出器18aの引き抜き操作を行う。このように、本実施形態では、駆動部操作・監視装置15aの故障時に、TIP統括制御部8のバックアップによってTIP駆動を継続すると共に、TIP統括制御部8から発せられるTIP操作指令を操作許可を条件に出力することより、誤操作を防止している。
【0009】次に、図4を用いて、本実施形態により計測した中性子束データの記憶・保存・記録について説明する。図4において、統括制御器9はプロセッサ31、メモリ32、操作・監視装置演算装置33、通信演算装置34を備え、また、統括部操作・監視装置10に接続したプリンタ36、通信演算装置34に通信ケーブルを介して接続した例えばパソコンであるデータ処理端末35、データ処理端末35に接続したプリンタ36を設ける。TIP検出器18a〜18eによって検出された中性子束データは、TIP統括制御部8の統括部入出力装置11を介して統括制御器9へ入力される。入力された中性子束データは、プロセッサ31で演算され、操作・監視装置演算装置33で画面表示信号に変換され、統括部操作・監視装置10の画面に表示される。この場合、運転員による印刷操作によってプリンタ36に記録することができる。 また、プロセッサ31によって演算された中性子束データは、メモリ32に入力され、記憶される。ここで、統括部操作・監視装置10からダウンロード開始指令を発すると、このダウンロード開始指令は操作・監視装置演算装置33を介してプロセッサ31に入力される。メモリ32に記憶された中性子束データは、プロセッサ31によってメモリ32から読み出され、通信演算装置34によって通信データに変換される。通信データに変換された中性子束データは、通信ケーブルを介してデータ処理端末35に入力される。データ処理端末35では、中性子束データをデータ処理端末35上で動作するアプリケーションデータとして記憶・保存する。保存された中性子束データは、データ処理端末35において統括部操作・監視装置10と同様な表示を行うことができる。また、運転員による印刷操作によってプリンタ36にデータ処理端末35に保存された中性子束データを記録することができる。
【0010】図5に、本実施形態の統括部操作・監視装置の表示画面を示す。統括部操作・監視装置10において、原子炉内軸の位置信号を横軸、計測された中性子束データを縦軸として原子炉内軸方向の中性子束分布を表示する。ここで、CH.18aはTIP検出器18a、NO.10はLPRMNO.10、32−33は原子炉内のLPRMNO.10の位置を表す。ここで、表示画面の印刷を操作すると、原子炉内軸方向の中性子束分布をプリンタ36に記録する。また、ダウンロード開始を操作すると、ダウンロード開始指令は操作・監視装置演算装置33を介してプロセッサ31に入力される。計測された中性子束データは、プロセッサ31によってメモリ32から読み出され、通信演算装置34によって通信データに変換され、通信ケーブルを介してデータ処理端末35に入力される。
【0011】図6に、本実施形態のデータ処理端末の取込画面を示す。データ処理端末35において、原子炉内軸の位置信号を横軸、計測された中性子束データを縦軸として原子炉内軸方向の中性子束分布を統括部操作・監視装置10と同様に表示する。ここで、計測された中性子束データは、統括制御部8から伝送路12を介して駆動制御部13aに伝送される。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、移動式中性子束検出器の駆動装置において、TIP駆動制御部の操作・監視装置が故障した場合においても、TIP統括制御器の操作・監視装置からTIPの操作・監視を継続することができる。このため、プラント起動時間の長時間化を防止することができる。また、本発明のTIP統括制御部の処理により、計測した中性子束データを効率よく記憶・保存・記録することができるので、炉心性能計算の精度及びLPRM検出器の校正精度を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年12月13日(2000.12.13)
【代理人】 【識別番号】100099302
【弁理士】
【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
【公開番号】 特開2002−181987(P2002−181987A)
【公開日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願番号】 特願2000−378637(P2000−378637)