| 【発明の名称】 |
沸騰水型原子炉の監視制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】影 山 隆 夫
【氏名】増 原 康 博
【氏名】深 堀 貴 憲
【氏名】金 沢 徹
【氏名】本 谷 朗
【氏名】菅 原 雅 敏
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| 【要約】 |
【課題】発電用沸騰水型原子炉の炉心の過渡特性と安定性の改善を図った監視制御装置を得ること。
【解決手段】給水加熱喪失事象が発生し、炉心入口サブクール度が増大したときに、定格出力運転状態での熱的健全性上の余裕を増加させるのと同時に、低流量/高出力運転状態での中性子束振動の発生に対する余裕を増加させることを可能とする監視制御装置に関する。具体的には、沸騰水型原子炉において、炉心平均中性子束計測値(APRM)に燃料棒での熱伝達時定数相当の遅れを考慮することにより算出された疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合と、主蒸気流量計測値の定格値に対する割合との偏差が、予め定められた値よりも大きくなったときに、擬似燃料表面熱流束と炉心入口流量で指定される運転点が二次元座標上の所定の領域内となった場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、予め定められた値よりも大きくなったときに、擬似燃料表面熱流束と炉心入口流量で指定される運転点が二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項2】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心平均中性子束計測値(APRM)に燃料棒での熱伝達時定数相当の遅れを考慮することにより算出された疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合と、主蒸気流量計測値の定格値に対する割合との偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項3】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機を用いて、沸騰水型原子炉の炉心による蒸気生成とタービン系での仕事、及び、熱損失を含めた熱収支計算を行うことにより求めた炉心入口サブクール度と、プラント発電開始前に、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求めた炉心入口サブクール度の偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項4】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機の入力となる給水温度計測値と、プラント発電開始前に、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求めた給水温度の偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項5】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機を用いて、炉心の径方向ピーキング係数が最大のチャンネル、または、径方向ピーキング係数と軸方向ピーキング係数の積が最大のチャンネルについて算出されたサブクール沸騰長さと、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められたサブクール沸騰長さの偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項6】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、与えられたヒートバランスを境界条件として、炉心熱水力計算コードを組み込んだ計算機により算出された炉心出口クオリティと、予め定められた値との偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項7】沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、疑似燃料表面熱流束とタービン蒸気流量との偏差、または、疑似燃料表面熱流束とタービン加減弁開度の偏差、または、疑似燃料表面熱流束と発電機出力の偏差、または、疑似燃料表面熱流束と給水流量の偏差であることを特徴とする、請求項1記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項8】炉心運転監視用プロセス計算機により算出される、炉心平均軸方向出力分布のピーク位置が、制御棒パターンを変更しないにも拘わらず、炉心入口方向に移動し、その移動距離が予め定められた距離を超えたときに、疑似表面熱流束と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点が、二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項9】疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量の偏差に代表される対になる監視パラメータ間の偏差、または、監視パラメータの設計値との偏差、または、移動距離のいずれかが異常検知用設定点を超えたときに、炉心入口流量計測値がある所定の幅の中で一定と見なすことができ、かつ疑似表面熱流束と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点が、二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項10】スクラムまたは選択制御棒挿入機構を動作させる異常検知用設定値を、擬似燃料表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される運転点に依存させることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項11】対になる監視パラメータ間の偏差、または、監視パラメータの設計値との偏差、または、移動距離に関し、現時点より一定時間前に演算された偏差または移動距離の、一定時間についての平均値からの拡大幅を算出し、同拡大幅が各監視パラメータ毎の異常検知用設定点を超えたときに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項12】偏差の時間変化率を計測周期毎に算出し、同時間変化率が所定の回数連続して予め定められた設定値を超えたときに、あるいは、偏差の時間変化率が予め定められた設定値を超えたときに、あるいは、偏差が予め定められた設定値を超えたときに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項13】炉心入口流量を所定の範囲内で一定とみなす方法として、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻での炉心入口流量計測値、または、再循環ポンプ速度計測値、または、再循環ポンプ駆動流量の一定時間前の計測値との偏差、または、計測周期の一定回数前の計測値との偏差が、それぞれの計測値に対して設定された変化幅内であることを確認することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項14】炉心入口流量が所定の範囲内で一定とみなす方法として、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻から見たときに、至近の計測時刻を含む、計測周期毎の過去の所定の回数全てにおいて炉心入口流量変化率、あるいは、再循環ポンプ速度変化率、あるいは、再循環ポンプ駆動流量変化率が設定された変化率内であることを確認することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項15】炉心入口流量が所定の範囲内で一定とみなす方法として、請求項13に記載の一定時間内の変化量を一回確認する方法と請求項14に記載の計測周期毎の変化率を2回以上確認する方法の両方を用いることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【請求項16】炉心流量が一定とみなせるときに、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えたときに、炉心入口サブクール度が異常増大したことを診断結果として出力することを特徴とする、請求項1乃至15のいずれかに記載の沸騰水型原子炉の監視制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、発電用沸騰水型原子炉の炉心の過渡特性と安定性の改善を図った監視制御装置に係わり、特に、給水加熱喪失事象が発生し、炉心入口サブクール度が増大したときに、定格出力運転状態での熱的健全性上の余裕を増加させるのと同時に、低流量/高出力運転状態での中性子束振動の発生に対する余裕を増加させることを可能とする監視制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】沸騰水型原子力発電プラント(以下、「BWR」と記す)においては、図11に示すように原子炉格納容器1内に原子炉圧力容器2が設けられており、この原子炉圧力容器2内には複数の燃料集合体3及び制御棒4等からなる炉心5と冷却材6(例えば水)が収容されている。冷却材6は再循環系7により強制循環されており、炉心5でウラン235(以下、「U235」と記す)の核分裂により発生した熱を受けることにより飽和水と飽和蒸気が混合した状態となり、炉心5の上部に移動する。そして、図示しない気水分離器及び蒸気乾燥器により乾燥状態となり、原子炉圧力容器2に接続された主蒸気配管系8を介してタービン9に送られタービン9を駆動させる。このタービン9の駆動により発電機10が回転され発電する。タービン9で仕事をした蒸気は復水器11内に導入されて復水となり、復水ポンプ12で給水加熱器13に送給されその給水加熱器13で昇温されたのちに給水ポンプ14により再度原子炉圧力容器2内に供給される。 【0003】図12は、上記構成のBWRの典型的な運転特性図を示したものである。通常の運転は定格出力曲線、設計流量制御曲線、安定性制限曲線、最低ポンプ速度曲線、キャビテーション制限曲線、最大ポンプ速度曲線の各線上とそれらによって囲まれた領域内と自然循環曲線上で行われる。図12の例では、定格出力は炉心流量が85%(A点)〜105%(B点)にかけて達成されている。原子炉の運転は、通常、サイクル初期では85%流量近傍にあり、冷却材流量増による反応度利得を利用するためにサイクル燃焼度が進むに従い高流量側に移動し、サイクル末期では105%流量近傍となる。また炉心軸方向出力分布は、通常、サイクル初期では下歪みとなるよう炉心核設計を行い、炉心出口でのボイド率を高めている。これにより、ウラン238(以下、「U238」と記す)から、核分裂性物質であるプルトニウム239(以下、「Pu239」と記す)の生成が促進される。サイクル中期〜末期にかけてはU235に加えてPu239を燃焼させる運転となるため、炉心軸方向出力分布は上歪み傾向となる。経済性を向上させた炉心では、上記炉心流量調整と、軸方向出力分布調整を可能とする核設計を組み合わせた最適化がなされている。 【0004】沸騰水型原子炉の炉心は、より具体的には、図13に示すように構成されている。炉心内には複数の燃料集合体30が挿入されており、その各々の燃料集合体30はチャンネルボックス31に覆われている。また炉心内には、制御棒32、中性子束を検出するための複数個の局部出力領域モニタ33(以下、「LPRM33」という)が配置されている。さらに、各チャンネルボックス31は、図14に示すように炉心支持板34及び上部格子板35で支持され、円筒形のシュラウド36に囲まれている。冷却材6は、下方より、燃料支持金具37のオリフィス及び下部タイプレートを経由してチャンネルボックス31内に流入し、燃料集合体30により熱せられ、沸騰により蒸気(ボイド)を発生し、気液二相流となる。現在運転されている商用BWRでの燃料集合体有効長さは、約3.7mである。 【0005】ところで、炉心内での沸騰状態はより具体的には以下のようになっている。即ち、二相流が熱的に非平衡状態にあるサブクール沸騰とボイドと平衡状態にある飽和沸騰に分類される。公知文献1「”THE THERMAL-HYDRAULICS OF A BOILINGWATER REACTOR -Second Edition- by R.T.Lahey,Jr. & F.J.Moody” ANS(米国原子力学会)発行」」のFig.5-16によれば、サブクール沸騰状態でのボイドは、伝熱面に沿って局所的に発生するが、流れの中心部にある液相のエンタルピは飽和点に達していない。これに対して、飽和沸騰状態でのボイドは、液相部は飽和エンタルピhfに達しており、気相部(ボイド)のエンタルピhgとの差は蒸発潜熱hfgで一定である。サブクール沸騰状態での伝熱面液相部から中央液相部への熱流束には、代表する2つの相関式が提案されており、原子炉の熱設計で使用されている。1つは、Zuber-StaubらによるProfile-Fit Modelであり、もう1つはLaheyらによるMechanistic Modelである。これらのモデルによれば、気泡発生部から中央サブクール部への熱流束qh″が壁面での熱流束qW″の他に、中央サブクール部エンタルピh1、混合エンタルピh′、クオリティX等の関数で与えられている。そしてqli″が、hlまたはh′に大きく影響される現象が取込まれている。これに対して、飽和沸騰の中でもBWRで主に利用されている核沸騰領域では、蒸気泡が伝熱面から離脱し、かつ、液相部エンタルピが一定値hfに保たれているため、壁面からの熱流束qwは安定したものとなる。 【0006】以上のような沸騰水型原子炉における燃料集合体としては、国内で商用の発電が行われて以来、7行7列型、8行8列型、改良8行8列型、高燃焼度化8行8列型そして、高燃焼度化9行9列型が採用されるに至っている。これらの改良により集合体当たりの核分裂性物質の収容量が増加し、集合体内濃縮度分布の最適化と可燃性毒物の最適配置により、高燃焼度化と長期運転サイクル化が実現されている。これと前記炉心流量調整幅の有効利用により、炉心の経済性は向上している。高燃焼度化8×8燃料から9×9燃料では、高燃焼度化/長期運転サイクル化に伴うボイド反応度係数絶対値増加による過渡特性と核的要因に基づく安定性の悪化は、2本の太径ウォータロッドの採用等により防止されている。また、集合体格子の増加に伴う二相圧損増加による熱水力的要因に基づく安定性の悪化は、スペーサ圧損係数の低減と8本の部分長燃料棒、および、高圧損型下部タイプレートの採用により防止されている。 【0007】ここで、過渡特性とは、プラントで給水加熱喪失、発電機負荷遮断等の運転時の異常な過渡変化が発生したときの、出力、圧力等のプロセスパラメータの時間変化の他に、燃料集合体の熱的健全性を意味する。燃料集合体は、前記過渡変化中も良好な除熱が行えるのが望ましく、過渡変化中に全燃料棒の0.1%以上が遷移沸騰とならないように設計することが工学的に妥当とされている。燃料の除熱性能に関するパラメータとしては最小限界出力比(Minimum Critical Power Ratio、以下MCPRと記す)があり、過渡変化時のMCPRが安全限界MCPR(Safety Limit MCPR;以下SLMCPRと記す)を下回らないように運転時のMCPRに制限が加えられている。運転制限MCPR(Operation Limit MCPR;以下、「OLMCPR」と記す)は、プラント寿命中に発生することが予想される様々な過渡変化を解析し、MCPRの変化(以下ΔMCPRと記す)が求められるが、その中で最大の変化(以下、「ΔMCPRmax」と記す)を前記SLMCPRに加えることにより算出される。 【0008】OLMCPR = ΔMCPRmax + SLMCPRΔMCPRmaxは、スクラム速度が比較的遅いBWR建設初期でのプラント(以下、「従来スクラムプラント」と記す)では、タービントリップ・バイパス弁不作動により決定され、スクラム速度が速い近年のBWRプラントでは(以下、「高速スクラムプラント」と記す)、給水加熱喪失により決定される場合が多い。図15に、9×9燃料を装荷した高速スクラムプラントが定格出力/定格流量運転状態において、給水加熱喪失が発生したときの過渡変化解析結果を示す。炉心入口流量は一定運転(再循環系手動)状態であることが仮定されている。給水温度の低下に伴い炉心入口サブクール度が増大するため、減速材密度の増加により、中性子束と燃料表面熱流束は漸増する。これに伴い、主蒸気流量も増加傾向となるが、炉心入口サブクール度の増大は出口クオリティの低下要因となるため、主蒸気流量の増加率は、中性子束、燃料表面熱流束と比べて小さい。中性子束の計測結果であるAPRM信号に対して、6秒の時定数を考慮することにより得られる擬似表面熱流束信号が、約100秒でスクラム設定点115%に到達したときに、原子炉スクラムが発生している。スクラムにより炉心内のボイド量が減少することにより二相流圧損が低下するため、炉心入口流量は初期値よりも大きい値に整定する。燃料表面熱流束の増加によりMCPRは低下し、ΔMCPRが0.15に達した時点で、原子炉スクラムにより緩和されている。 【0009】次に、安定性とは、プラント起動時または停止時に運転点が低流量/高出力状態となった場合、あるいは、プラントで再循環ポンプ1台トリップ等の過渡変化が発生し、運転点が低流量/高出力に移行したときの、中性子束振動の減衰特性を意味する。炉心は、全運転領域で安定であることが望ましく、安定性の判定パラメータである減幅比が1.0未満であることを解析することにより確認される。逆に、減幅比1.0に対して余裕の少ない運転領域は、選択制御棒(Selected RodsInsertion;以下、「SRI」と記す)や安定性制限曲線により除外される。安定性の種類には、特に最高出力チャンネルの熱水力的な安定性に注目したチャンネル安定性、炉心全体の位相が揃った中性子束振動である炉心安定性、炉心周方向に対称軸を有し180度位相がずれた中性子束振動である領域安定性がある。それぞれの安定性の軸方向出力分布への感度は、炉心安定性が一般に平坦な分布ほど厳しい方向であり、チャンネル安定性、領域安定性は下部ピークな分布ほど厳しい方向となっている。炉心安定性では、他の安定性と軸方向出力分布への感度が異なるのは、炉心安定性では核的フィードバックの効果が大きく、これはボイド率の高いところで出力ピークが高いときに、大きな影響となって現れるためである。 【0010】図16に、9×9燃料を装荷した高速スクラムプラントが最低ポンプ速度最大出力運転状態において、給水加熱喪失が発生したときの過渡変化解析結果を示す。給水温度の低下に伴い炉心入口サブクール度が増大するため、減速材密度の増加により、中性子束と燃料表面熱流束は漸増する。これに伴い、主蒸気流量も増加傾向となるが、炉心入口サブクール度の増大は出口クオリティの低下要因となるため、主蒸気流量の増加率は、中性子束、燃料表面熱流束と比べて小さい。原子炉出力の増加と炉心入口サブクールの増大は、安定性の悪化要因となるため、チャンネル、炉心、領域安定性減幅比は増加傾向となる。特に、炉心安定性減幅比は、約130秒以降0.8を超えた状態となる。 【0011】このように、9×9燃料を採用したBWR炉心では、各種設計改良により過渡・安定性の悪化が防止されているが、炉心入口サブクール度の増大に対しては、さらなる対策が必要とされている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】従来より提案されている沸騰水型原子炉の監視制御装置では、炉心入口サブクール度が異常に大きくなったことへの対応方法として、擬似燃料表面熱流束、炉心入口流量、および、炉心熱出力等を監視し、それらの監視パラメータが設定値を超えた場合に、選択制御棒挿入機構、または、スクラムを動作させることにより、過渡・安定性の悪化が防止されている。しかしながら、さらに高燃焼度、長期運転サイクルした炉心について信頼度の高い監視を行うためには、前述の監視パラメータを変化要因である炉心入口サブクール度の異常増大をできるだけ初期の段階で、且つ高精度で検知し、的確に対処する監視制御装置の実現が必須である。そのためには、炉心入口サブクールが増大する要因、あるいは、炉心入口サブクール度が増大したときの炉心核熱水力、および、プロセス量への影響を考慮に入れた上で、個々のパラメータの変化よりもむしろ、関連パラメータ間の偏差の増大傾向に着目し、それに対して適切な異常検知用設定値を設けた監視制御装置の開発が不可欠である。 【0013】本発明は、このような点に鑑み、炉心入口サブクールの増大と関係の深いパラメータ間の偏差の増大傾向が、所定の設定値を超えた場合に、選択制御棒挿入機構、または、スクラムを動作させることにより、過渡・安定性上の余裕を実効的に増加させるような沸騰水型原子炉の監視制御装置を得ることを目的とする。 【0014】 【課題を解決する手段】請求項1に係る発明は、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、予め定められた値よりも大きくなったときに、擬似燃料表面熱流束と炉心入口流量で指定される運転点が二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする。 【0015】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心平均中性子束計測値(APRM)に燃料棒での熱伝達時定数相当の遅れを考慮することにより算出された疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合と、主蒸気流量計測値の定格値に対する割合との偏差であることを特徴とする。 【0016】請求項3に係る発明は、請求項1記載の発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機を用いて、沸騰水型原子炉の炉心による蒸気生成とタービン系での仕事、及び、熱損失を含めた熱収支計算を行うことにより求めた炉心入口サブクール度と、プラント発電開始前に、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求めた炉心入口サブクール度の偏差であることを特徴とする。 【0017】請求項4に係る発明は、請求項1記載の発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機の入力となる給水温度計測値と、プラント発電開始前に、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求めた給水温度の偏差であることを特徴とする。 【0018】請求項5に係る発明は、請求項1記載の発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、炉心運転監視用プロセス計算機を用いて、炉心の径方向ピーキング係数が最大のチャンネル、または、径方向ピーキング係数と軸方向ピーキング係数の積が最大のチャンネルについて算出されたサブクール沸騰長さと、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められたサブクール沸騰長さの偏差であることを特徴とする。 【0019】請求項6に係る発明は、請求項1記載の発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、与えられたヒートバランスを境界条件として、炉心熱水力計算コードを組み込んだ計算機により算出された炉心出口クオリティと、予め定められた値との偏差であることを特徴とする。 【0020】請求項7に係る発明は、請求項1記載の発明において、沸騰水型原子炉における監視パラメータ間の偏差が、疑似燃料表面熱流束とタービン蒸気流量との偏差、または、疑似燃料表面熱流束とタービン加減弁開度の偏差、または、疑似燃料表面熱流束と発電機出力の偏差、または、疑似燃料表面熱流束と給水流量の偏差であることを特徴とする。 【0021】請求項8に係る発明は、炉心運転監視用プロセス計算機により算出される、炉心平均軸方向出力分布のピーク位置が、制御棒パターンを変更しないにも拘わらず、炉心入口方向に移動し、その移動距離が予め定められた距離を超えたときに、疑似表面熱流束と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点が、二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする沸騰水型原子炉の監視制御装置。 【0022】請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明において、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量の偏差に代表される対になる監視パラメータ間の偏差、または、監視パラメータの設計値との偏差、または、移動距離のいずれかが異常検知用設定点を超えたときに、炉心入口流量計測値がある所定の幅の中で一定と見なすことができ、かつ疑似表面熱流束と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点が、二次元座標上の所定の領域内に一定時間存在した場合のみに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする。 【0023】請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明において、スクラムまたは選択制御棒挿入機構を動作させる異常検知用設定値を、擬似燃料表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される運転点に依存させることを特徴とする。 【0024】請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明において、対になる監視パラメータ間の偏差、または、監視パラメータの設計値との偏差、または、移動距離に関し、現時点より一定時間前に演算された偏差または移動距離の、一定時間についての平均値からの拡大幅を算出し、同拡大幅が各監視パラメータ毎の異常検知用設定点を超えたときに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする。 【0025】請求項12に係る発明は、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明において、偏差の時間変化率を計測周期毎に算出し、同時間変化率が所定の回数連続して予め定められた設定値を超えたときに、あるいは、偏差の時間変化率が予め定められた設定値を超えたときに、あるいは、偏差が予め定められた設定値を超えたときに、原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発することを特徴とする。 【0026】請求項13に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、炉心入口流量を所定の範囲内で一定とみなす方法として、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻での炉心入口流量計測値、または、再循環ポンプ速度計測値、または、再循環ポンプ駆動流量の一定時間前の計測値との偏差、または、計測周期の一定回数前の計測値との偏差が、それぞれの計測値に対して設定された変化幅内であることを確認することを特徴とする。 【0027】請求項14に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、炉心入口流量が所定の範囲内で一定とみなす方法として、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻から見たときに、至近の計測時刻を含む、計測周期毎の過去の所定の回数全てにおいて炉心入口流量変化率、あるいは、再循環ポンプ速度変化率、あるいは、再循環ポンプ駆動流量変化率が設定された変化率内であることを確認することを特徴とする。 【0028】請求項15に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明において、炉心入口流量が所定の範囲内で一定とみなす方法として、請求項13に記載の一定時間内の変化量を一回確認する方法と請求項14に記載の計測周期毎の変化率を2回以上確認する方法の両方を用いることを特徴とする。 【0029】請求項16に係る発明は、請求項1乃至15のいずれかに記載の発明において、炉心流量が一定とみなせるときに、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えたときに、炉心入口サブクール度が異常増大したことを診断結果として出力することを特徴とする。 【0030】面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される運転点に依存させたことを特徴とする。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示すブロック構成図である。図1において符号50は時定数回路であって、その時常数回路50にAPRM信号が入力され、APRMに燃料棒での熱伝達時定数相当の遅れを考慮した疑似燃料表面熱流束が算出される。そしてこの疑似燃料表面熱流束は加算回路51に入力される。上記加算回路51には主蒸気流量も入力されており、そこで疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合と、主蒸気流量計測値の定格値に対する割合とが比較され、その偏差信号が炉心監視装置60に入力される。炉心監視装置60は、上記偏差信号とともに前記擬似表面熱流束、および炉心入口流量が入力信号として入力されるとともに、判定部60a、情報保管部60b、および、表示部60cから構成されている。そして上記情報保管部60bには、図2に示すような監視対象プラントの運転領域と監視強化領域(領域1、領域2)、許容偏差値(領域1で5%、領域2で10%)、および、監視強化領域における許容偏差を逸脱した状態での許容時間(領域1で10秒、領域2で20秒)が予め入力されている。 【0032】しかして、炉心の運転サイクル末期において、定格出力105%の流量(図12のB点)で、給水加熱喪失事象が発生した場合に、疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合(%)と主蒸気流量の定格値に対する割合(%)の偏差が5%を超え、かつ、運転点が図2の点線で区分された領域1に10秒間存在したときに、原子炉スクラム指令或いは選択制御棒挿入指令が発せられる。すなわち、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量の各定格値に対する割合の偏差の拡大が、現時点(0秒)から一定時間(Δt1秒)例えば2秒前に演算された偏差の、一定時間(Δt2秒=(Δt2+Δt1)−Δt1)すなわち−12秒から−2秒間での平均値に対して検出され、偏差の異常な拡大はその平均値が5%以上となったことをもって判定される(図3)。また、前記パラメータ間の偏差の時間変化率を計測周期0.2秒毎に算出し、偏差の異常な拡大は、偏差の時間変化率が2秒間に3回連続して1%/秒(=0.2%/0.2秒)以上となったことをもって判定することもできる(図4)。或いは、偏差の時間変化率が予め定められた設定値を超えたときに、または偏差が予め定められた設定値を超えたときに、原子炉スクラム指令等を発するようにすることもできる。 【0033】また、サイクル中期で定格出力、定格流量運転状態で再循環ポンプ速度を最低ポンプ速度に降速させることにより、運転点が最低ポンプ速度、最大出力点(図12のD点)となったときに給水加熱喪失事象が発生した場合には、疑似燃料表面熱流束の定格値に対する割合(%)と、主蒸気流量の定格値に対する割合(%)の偏差が10%を超え、かつ運転点が図20の点線で区分された領域2に20秒間存在したときに、原子炉スクラムが動作される。 【0034】主蒸気流量は直接的に計測されており、疑似表面熱流束はAPRMを元にした計算値であることからいずれも信頼性が高い。このようなことから、疑似表面熱流束と主蒸気流量は現行の商用BWRで標準的なパラメータとして監視されており、各種安全係・制御系の入力信号として用いられている。ところで、炉心入口サブクール度が増加すると、減速材密度増大→中性子束増大→炉心熱出力増大により、疑似表面熱流束は緩やかに増加する。また、主蒸気流量は、炉心熱出力増大が蒸気発生を促す方向に作用するが、炉心入口サブクール度の増大が炉心出口クオリティを減少させる方向に作用するため、疑似表面熱流束よりは小さな増加率で漸増する。このため、初期点で規格化した場合、疑似表面熱流束と主蒸気流量には拡大方向となる偏差が生じる。したがって、上述のように上記偏差を監視し、その偏差の拡大によって原子炉スクラム信号等を発生させることにより、従来のように単に或パラメータを監視するものより炉心の変化を早急に検知でき、安全性を高めることができる。 【0035】図5は、炉心の運転サイクルの末期に原子炉スクラムを動作させたときの主要変数の時間変化を示す図であって、炉心入口サブクール度の漸増によりAPRMが増加するため、MCPRが低下する。しかしながら、本発明においては疑似燃料表面熱流束がスクラム設定点(115%)に到達する前に、54秒で疑似燃料表面熱流束−主蒸気流量の許容偏差大を検出し、64秒で原子炉スクラムが作動するため、MCPRの低下量(ΔMCPR)は0.13にとどまっている。 【0036】また、図6は炉心サイクル中期において原子炉スクラムを動作させたときの主要変数の時間変化を示す図であって、炉心入口サブクール度の漸増によりAPRMの減衰特性が低下するが、APRMが発振状態となる前に、60秒で疑似燃料表面熱流束−主蒸気流量許容偏差大を検出し、80秒で原子炉スクラムが動作する。そのため炉心安定性減幅比、領域安定性減幅比、およびチャンネル安定減幅比は、1.0未満にとどまっている。 【0037】ところで、現行の商用BWRは、負荷に追従して出力制御を行う場合にも、タービン入口圧力が一定となるように制御された状態で運転されている。これは、タービン圧力制御系によるタービン入口蒸気加減弁の開度制御、および再循環流量制御系による再循環ポンプの回転数制御により達せられるが、実際のプラントの運転状態として、負荷への追従運転と、基底負荷運転の運転状態が存在する。 【0038】主制御器自動運転中に、炉心入口サブクール度が増加すると、タービン蒸気流量増加時にタービン入口圧力一定になるように加減弁開度が増加方向に制御されると同時に、再循環ポンプ回転数が減少方向に制御される。このため、炉心入口流量が減少方向となり、炉心熱出力、したがって疑似表面熱流束の増加も抑制される。 【0039】他方、主制御器手動運転中に、炉心入口サブクール度が増加した場合には、炉心入口流量が一定に保持されるため、疑似表面熱流束の増加量が大きくなり、最小限界出力比の変化(ΔMCPR)、および安定性(減幅比)ともに厳しい事象となる。 【0040】また、低炉心流量/低炉心熱出力状態から再循環ポンプ速度の上昇により炉心入口流量を増加させる場合、炉心内ボイド率の減少により核反応が促進され炉心熱出力は増加する。その結果、主蒸気流量も増加するが、燃料からの熱伝達による遅れがあるため、炉心熱出力と主蒸気流量の偏差が一時的に増加する方向となる。これは、本発明装置の監視制御の対象外であるためスクラム或いは選択制御棒の動作は不要である。 【0041】このようなことから、主制御運転モードを正しく監視し、その後備手段として、炉心入口流量一定を他の手段により精度よく監視するとともに、さらに、主制御器の運転モードによらず、炉心入口サブクール度の増加以外の要因で監視パラメータが増大した場合には、本発明の制御装置のスクラム動作等を回避することを目的として、炉心入口流量が一定と見なせる状態に限って上記監視制御装置を動作させることも可能である。 【0042】すなわち、例えば、監視強化領域1にて疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差が異常検知用設定値(5%)を超えた時刻(0秒)での炉心入口流量計測値と、一定時間(10秒)前の炉心入口流量計測値との偏差が設定された変化幅(3%)内であることを確認し、或いは、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻から見たときに、至近の計測時刻を含む、計測周期(0.2秒)毎の過去の所定の回数(10回)全てにおいて炉心入口流量変化率が設定された変化率(0.2%/0.2秒=1%/秒)以内であることを確認することによって、炉心入口流量が一定と見なせる状態に限って、スクラム動作させることが可能である。後者の方法に関しては、プロセス量の計測にデジタル計測系を採用することにより容易に達せられる。また、アナログ計測系の場合でも、データのサンプリング周期を固定化することにより同様の監視が可能である。 【0043】なお、炉心熱出力と主蒸気流量の偏差が過渡的に増加する事象としては、他には主蒸気隔離弁の閉止があるが、この場合はスクラム動作が要求されるため、本発明の監視制御装置の基本動作と矛盾はない。また、再循環ポンプを有する強制循環型BWRが、全数の再循環ポンプトリップ時に自然循環状態で連続している場合、或いは、再循環ポンプを有しない自然循環型BWRが定常運転中は、炉心入口流量はほぼ一定となる。したがって、この場合は特に炉心入口流量の監視なしに本発明の監視制御装置の本来の機能を期待できる。 【0044】図7は、本発明の第2の実施の実施の形態を示す図であり、LPRM信号と、原子炉圧力P、炉心入口流量W、給水流量WFW、給水温度TFWからなるプロセス信号が入力され、径方向出力ピーキングΨ(r)と軸方向出力ピーキングΦ(z)からなる炉心出力分布、原子炉熱出力Q、炉心入口サブクール度1を算出するプロセス計算機52が設けられている。炉心監視装置60の情報保管部には、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められた炉心入口サブクール度2が予め記録されている。そこで、上記プロセス計算機52により、沸騰水型原子炉の炉心による蒸気生成とタービン系での仕事、及び熱損失を含めた熱収支計算を行うことにより求められた炉心入口サブクール度1と、上記炉心入口サブクール度2が加算機53に入力されてその偏差が求められ、両者の偏差信号が予め定められた値よりも大きくなり、しかも、疑似表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される原子炉の運転点が、第1の実施の形態と同様に二次元座標上の所定の運転範囲を超えた場合のみに、炉心監視装置60から原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてある。 【0045】上記炉心サブクール度はプラントヒートバランスを決定する1パラメータであり、プロセス計算機を用いた演算結果として算出されるものであり、信頼度は高い。しかして、この実施の形態においても第1の実施の形態と同様な作用効果を奏する。 【0046】図8は、本発明の第3の実施の形態を示す図であり、炉心監視装置60の情報保管部には、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められた給水温度2が予め記録されている。そこで、実際の給水温度1と符号を反転させた上記給水温度2が加算機54で加算され、その偏差信号が炉心監視装置60に入力され、その偏差信号が予め定められた値よりも大きくなり、しかも、疑似表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される原子炉の運転点が、第1の実施の形態と同様に二次元座標上の所定の運転範囲を超えた場合のみに、炉心監視装置60から原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてある。しかして、上記給水温度は運転プラントでは温度計により計測され、その信頼度は高いものであり、この場合も前記第1の実施の形態と同様な作用効果を奏する。 【0047】図9は、本発明の第4の実施例を示すものであり、炉心監視装置60の情報保管部には、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められたサブクール沸騰長さ2が予め記録されている。一方、与えられたヒートバランスを境界条件として、炉心熱水力計算コード(プログラム)を組み込んだ計算機によりサブクール沸騰長さ1が算出されており、このサブクール沸騰長さ1と符号を反転させたサブクール沸騰長さ2が加算機55で加算され、その偏差信号が炉心監視装置60に入力され、その偏差信号が予め定められた値よりも大きくなり、しかも、疑似表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される原子炉の運転点が、第1の実施の形態と同様に二次元座標上の所定の運転範囲を超えた場合のみに、炉心監視装置60から原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてある。 【0048】この場合、モデルの誤差を含めた監視性能は若干劣るが、サブクール沸騰長さ1の計算時間は短く、前記第1の実施の形態とほぼ同様な効果を奏する。 【0049】また、第4の実施の形態においては、サブクール沸騰長さの偏差によって原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてあるが、炉心出口クオリティの偏差によって原子炉スクラム指令、或いは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてもよい。 【0050】図10は、本発明の第5の実施例を示すものであり、炉心監視装置60の情報保管部には、原子炉熱出力と炉心入口流量により指定される原子炉の運転点毎にプラント設計条件を用いて求められた炉心平均軸方向出力分布の移動の基準距離が予め記録されている。 【0051】一方、LPRM計測値を基にして炉心平均軸方向出力分布ピーク位置移動距離がプロセス計算機で算出されており、この炉心平均軸方向出力分布ピーク位置移動距離と符号を反転させた炉心平均軸方向出力分布の移動の基準距離が加算機56で加算され、その偏差信号が炉心監視装置60に入力され、その偏差信号が予め定められた値よりも大きくなり、しかも、疑似表面熱流束と炉心入口流量計測値により指定される原子炉の運転点が、第1の実施の形態と同様に二次元座標上の所定の運転範囲を超えた場合のみに、炉心監視装置60から原子炉スクラム指令、あるいは、選択制御棒挿入指令を発するようにしてある。 【0052】しかして、この場合にはピーク位置が滑らかに起きない場合があり得ることから、前期実施の形態に比し総合的な監視性能はやや劣るが、上記各実施の形態とほぼ同様な効果を奏する。 【0053】ところで、炉心入口流量を所定の範囲内で一定と見なす方法としては、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻での炉心入口流量計測値の一定時間前の計測値との偏差以外に、再循環ポンプ速度計測値や、再循環ポンプ駆動流量を使用することもできる。また、再循環ポンプ速度変化率、或いは再循環ポンプ駆動流量変化率が設定された変化率内であることを確認してもよい。 【0054】さらに、炉心入口流量を所定の範囲内で一定と見なす方法としては、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻での炉心入口流量計測値、または、再循環ポンプ速度計測値、または、再循環ポンプ駆動流量の一定時間前の計測値との偏差、または、計測周期の一定回数前の計測値との偏差が、それぞれの計測値に対して設定された変化幅内であることを1回確認するとともに、疑似燃料表面熱流束と主蒸気流量との偏差を含む前述の監視パラメータが異常検知用設定値を超えた時刻から見たときに、至近の計測時刻を含む、計測周期毎の炉心入口流量変化率、あるいは再循環ポンプ速度変化率、あるいは再循環ポンプ駆動流量変化率が設定された変化率内であることを2回以上確認する方法を用いることもできる。 【0055】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、炉心入口サブクール度に関連の深いパラメータ間の偏差の増大傾向を監視し、それらが、予め定められた運転領域において所定の異常検知用設定値を超えたときに、選択制御棒機構、または、スクラムを動作させるようにしたので、定格出力運転状態での過渡特性を初期状態時に改善させることができ、低流量/高出力運転状態での炉心の安定性を改善させることができる。また、自然循環型BWRのように、強制再循環ポンプを有しない炉の場合には、本監視装置により、定格出力運転時に給水加熱喪失が発生した場合のMCPR低下と中性子束振動の両方を防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000229461 【氏名又は名称】株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
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| 【出願日】 |
平成12年12月11日(2000.12.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064285 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−181984(P2002−181984A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−376009(P2000−376009) |
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