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【発明の名称】 水圧制御ユニットおよびその据付け方法
【発明者】 【氏名】今崎 善夫

【氏名】柳瀬 悟郎

【要約】 【課題】原子炉の水圧制御ユニットの搬入のために、建屋の建設作業を中断する必要をなくし、建設工程の遅延要因を解消する。

【解決手段】高圧窒素ガスを蓄える窒素ガス容器1と、高圧水を蓄えるアキュムレータ2と、制御棒駆動機構の制御棒緊急挿入時に瞬時に開き、アキュムレータ内の高圧水を開放するスクラム弁3と、これらを接続する配管類4とをユニット部材として備える。ユニット部材を原子炉建屋の水圧制御ユニット室9の縦壁9aおよび床9bにそれぞれ据付け固定するための壁金物20および床金物21を一体の支持金物17として構成する。この支持金物17ユニット部材を一体に組立てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 沸騰水型原子炉の制御棒駆動水圧系を構成する水圧制御ユニットであって、高圧窒素ガスを蓄える窒素ガス容器と、高圧水を蓄えるアキュムレータと、制御棒駆動機構の制御棒緊急挿入時に瞬時に開き、前記アキュムレータ内の高圧水を開放するスクラム弁と、これらを接続する配管類とをユニット部材として備えたものにおいて、前記ユニット部材を原子炉建屋の水圧制御ユニット室の縦壁および床にそれぞれ据付け固定するための壁金物および床金物を一体の支持金物として構成し、この支持金物に前記ユニット部材を一体に組立てたことを特徴とする水圧制御ユニット。
【請求項2】 請求項1記載の水圧制御ユニットを予め工場で一体に組立てた後、原子力発電所の建設現地に搬送し、原子炉建屋の水圧制御ユニット室内にその天井施工前に搬入して据付けを行なうことを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法。
【請求項3】 請求項2記載の水圧制御ユニット据付け方法において、1または複数の水圧制御ユニットを一体に組立て、搬送および据付けを行なうことを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法。
【請求項4】 請求項3記載の水圧制御ユニット据付け方法において、一体に組立てる水圧制御ユニットの数を、水圧制御ユニット室を構成する縦壁の1面全面、2面全面、3面全面または4面全面のいずれかに対応するユニット数とすることを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法。
【請求項5】 請求項2から4までのいずれかに記載の水圧制御ユニット据付け方法において、予め支持金物に一体化するユニット部材を窒素ガス容器とし、これと別工程として他のユニット部材を組立てておき、前記窒素ガス容器を水圧制御室に据付けた後に、前記他のユニット部材を前記窒素ガス容器に組付けることを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法。
【請求項6】 請求項2から5までのいずれかに記載の水圧制御ユニット据付け方法において、支持金具の壁金具部分を水圧制御ユニット室の縦壁コンクリート打設枠として使用することを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法。
【請求項7】 請求項1記載の水圧制御ユニットに加え、工場から発電所の建設現地までの梱包および水圧制御ユニット室への据付け時またはその後の補強と養生とを兼ねる構造物を支持金具に一体に設けたことを特徴とする水圧制御ユニット。
【請求項8】 請求項2から6までのいずれかに記載の水圧制御ユニットの据付け方法において、請求項1記載の水圧制御ユニットに代えて請求項7記載の水圧制御ユニットを使用することを特徴とする水圧制御ユニットの据付け方法。
【請求項9】 請求項1記載の水圧制御ユニットを、原子炉建屋の水圧制御ユニット室に据付けてなる沸騰水型原子力プラント。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸騰水型原子炉の制御棒駆動水圧系を構成する水圧制御ユニット、この水圧制御ユニットを原子炉建屋の水圧制御ユニット室内に据付ける方法、および同水圧制御ユニットを据付けた沸騰水型原子力プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】図7〜図12を参照して、従来の水圧制御ユニット(以下、「HCU」という)、およびHCUの水圧制御ユニット室(以下、「HCU室」という)への据付け技術について説明する。
【0003】図7は、従来のHCUをHCU室内に据付けた構成を示している。この図7に示すように、HCU10は主なユニット部材として、高圧の窒素ガスを蓄える窒素ガス容器1と、高圧水を蓄えるアキュムレータ2と、制御棒駆動機構(CRD)のスクラム時に瞬時に開きアキュムレータ2内の高圧水を開放するスクラム弁3と、窒素ガス容器1、アキュムレータ2、スクラム弁3および図示しないCRD駆動水圧系配管等を各々接続する各種の配管4とを備えている。
【0004】窒素ガス容器1は、HCU室9の縦壁9aの表面に固定された横長な板状の上部壁金物8aに、2本の上部耐震サポート7aを介して搭載支持されている。すなわち、窒素ガス容器1のラグ1a部分が上部耐震サポート7aに支持され、複数本のボルトにより締結固定されている。また、縦壁9aの下部には下部壁金物8bが固定され、この下部壁金物8bにも、2本の下部耐震サポート7bが設けられている。この下部耐震サポート7b部分では、図示しない3枚の内面円弧状の板によって窒素ガス容器1の下部が拘束され、これにより窒素ガス容器1の下部の振れ止めが行われている。
【0005】一方、アキュムレータ2とスクラム弁3および各種の配管4等は、上部耐震サポート7aおよび下部耐震サポート7bの先端に連結した垂直枠状のフレーム5に一体に組立てられ、HCU室9の床9b上に支持されている。すなわち、フレーム5の下端は床9bの表面位置に設置された床金物21上の所定位置に載置され、このフレーム5の下端に設けた長方形状の座6の部分がそれぞれ2本のボルト16により床金物21に固定されている。なお、縦壁9aの上下部耐震サポート7a,7bの先端とフレーム5とは、互いにボルトにより固定されている。
【0006】窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とは、フランジ13,14を介して接続され、ボルトにより締結固定されている。以上のHCU据付け状態において、スクラム弁3が図示しないCRD駆動水圧系配管に溶接により接続される。
【0007】窒素ガス容器1内には高圧の窒素ガスが封入され、CRD駆動水圧系配管からアキュムレータ2の上部に接続した充填水用配管4aを通ってアキュムレータ2内に高圧水が供給される。アキュムレータ2内にはピストンが組み込まれ、アキュムレータ2上部の高圧水と下部の高圧窒素ガスをピストンが隔離している。
【0008】次に、HCU10の機能および動作について説明する。
【0009】HCU10は、原子炉を緊急停止する場合に、原子炉内の制御棒を高速で炉心内に挿入(スクラム)するため、原子炉圧力容器下部に設置された図示しないCRDのピストン下部に高圧水を供給する機能を有する。
【0010】スクラム時には、HCU10のスクラム弁3上部に設けられた電磁弁3aを電源OFFすることによって弁開とし、そこからスクラム弁3を閉止している空気圧を開放することにより、スクラム弁3内に組込まれている圧縮されたばねの復元力でスクラム弁3を瞬時に開く。そうすると、窒素ガス容器1内の高圧ガスが窒素ガス容器1下端の配管11とそれに接続したアキュムレータ2下部につながる配管12を通ってアキュムレータ2のピストンを押し上げ、アキュムレータ2内の高圧水がスクラム弁3から排出される。高圧水はHCU10内の配管4および図示しないCRD駆動水圧系配管を通ってCRD内に流入し、CRDのピストンを押し上げる。これにより、CRDのピストン上端に連結された制御棒は炉心内に高速で挿入される。
【0011】図8は、以上の構成を有するHCU10の配置について、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の原子炉建屋内に設けたHCU室9を例として示す平面図である。
【0012】この図8に示すように、HCU室9は平面視で長方形状をなし、例えば原子炉建屋の地下2階に設けられ、原子炉建屋の中心に設置される図示しない原子炉圧力容器に対して対称に2室設けられる。
【0013】HCU室9内には、4面の各縦壁9aに沿ってHCU10が配列してあり、各HCU10は部屋の中心方向を向くように据付けられている。ABWRの例においては、HCU10が103台設置され、2つのHCU室9にそれぞれ52台と51台とが配置される。
【0014】次に、図9〜図12も使用して従来のHCU10据付け方法を説明する。
【0015】図9および図10はHCU10を据付けるための金具等の支持構造を示し、図11は窒素ガス容器1の据付け状態を示し、図12は他のユニット部材の据付け途中状態を示している。
【0016】原子炉建屋の建設時には、地下階から床、壁、天井の順にコンクリートが打設され、上階に向かって建設が進められる。この場合、図9および図10に示すように、HCU室9の縦壁9aにはコンクリート打設の際に、HCU10を支持するための横長板状の上部壁金物8aおよび下部壁金物8bが上下離間配置で設けられる。これらの壁金物8a,8bには、HCU室9側に向って突出する上部耐震サポート7aおよび下部耐震サポート7bが、それぞれ左右1対ずつ設けられている。また、HCU室9の床9bには、平板状の床金物21が設けられる。床金物21には、HCU10の固定用ボルトを螺挿するためのねじ孔(図示せず)が所要数だけ設けられている。そして、HCU10の据付けは、このようなHCU室9の床、壁および天井の全てが打設され、完成した後に行われる。
【0017】すなわち、HCU室9が完成した後、窒素ガス容器1とそれ以外の部分(アキュムレータ2、スクラム弁3、配管4およびフレーム5等の組み立て品)とが、原子炉建屋の図示しない大物搬入口から搬入され、HCU室9が設けられた階まで垂直移動された後、さらにHCU室9まで水平移動され、HCU室9内に搬入される。そして、窒素ガス容器1がまず全数据付けられ、次にアキュムレータ2、スクラム弁3、配管4およびフレーム5等の組み立て品が据付けられる。
【0018】窒素ガス容器1の据付けに際しては、図11に示すように、上下部壁金物8a,8bから突出する左右2本の上部耐震サポート7a間に窒素ガス容器1を縦状態で挿入し、その窒素ガス容器1の外周対象部位に設けた2個のラグ1aを上部耐震サポート7a上に掛止させ、ボルトによりラグ1aと上部耐震サポート7aとを締結する。また、下部耐震サポート7bにおいては、図示しない3枚の分割円弧状の板によって窒素ガス容器1の周囲を拘束した状態でボルトにより固定し、窒素ガス容器1の下部の振れ止めを行う。
【0019】次に、図12に示すように、座6を有するフレーム5にアキュムレータ2、スクラム弁3および配管4等を一体的に組付けた状態とし、チェンブロック付き台車18等により縦壁9aに向けて床上を移動させ、フレーム5の座6が床金物21の上に配置する位置で停止させ、台車18から吊降す。このとき、窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とを精度良く接続するために位置合わせを行う必要があり、フレーム5の座6の下にシムを入れたり、窒素ガス容器1のラグ1aの下にシムを入れること等によって調整を行う。その後、図7に示すように、フレーム5の下端の座6をそれぞれボルトにより床金物21に固定する。また、各壁金物8a,8bの上下耐震サポート7a,7bの先端部分とフレーム5とを、ボルト16により締結する。さらに、窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とを、それらの先端のフランジ13,14の接合および接合部のボルト締結により連結する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来技術においては、HCU室9が完成してからHCU10の据付けを行う場合、HCU10の搬入のために他の作業を中断する必要があり、建設工程の遅延要因になるという課題がある。
【0021】また、現地でHCU10を据付ける場合、作業スペースが狭いこと、クレーンが使えないこと等により、多大な作業時間を必要とするという課題がある。
【0022】さらに、窒素ガス容器1と、アキュムレータ2、スクラム弁3、配管およびフレーム5等の組み立て品とを別個に据付ける場合、窒素ガス容器1の下端とアキュムレータ2下部との配管接続を行うために精度の良い位置合わせが必要であり、この調整を建設現地で行なうには多大な作業と時間とを要するという課題がある。
【0023】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、HCU室への据付けを行う場合に建設工程の遅延要因にならないHCU据付け方法、およびその方法の実施に好適なHCU、ならびにそのHCUを据付けた沸騰水型原子力プラントを提供することを目的とする。
【0024】また、据付け作業時間を従来に比して短縮できるHCU据付け方法、および窒素ガス容器の下端とアキュムレータ下部との配管接続を高精度かつ短時間で行うことができ、位置合わせに多大な時間を要しないHCU据付け方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明では、沸騰水型原子炉の制御棒駆動水圧系を構成する水圧制御ユニットであって、高圧窒素ガスを蓄える窒素ガス容器と、高圧水を蓄えるアキュムレータと、制御棒駆動機構の制御棒緊急挿入時に瞬時に開き、前記アキュムレータ内の高圧水を開放するスクラム弁と、これらを接続する配管類とをユニット部材として備えたものにおいて、前記ユニット部材を原子炉建屋の水圧制御ユニット室の縦壁および床にそれぞれ据付け固定するための壁金物および床金物を一体の支持金物として構成し、この支持金物に前記ユニット部材を一体に組立てたことを特徴とする水圧制御ユニットを提供する。
【0026】請求項2に係る発明では、請求項1記載の水圧制御ユニットを予め工場で一体に組立てた後、原子力発電所の建設現地に搬送し、原子炉建屋の水圧制御ユニット室内にその天井施工前に搬入して据付けを行なうことを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法を提供する。
【0027】請求項3に係る発明では、に係る発明では、請求項2記載の水圧制御ユニット据付け方法において、1または複数の水圧制御ユニットを一体に組立て、搬送および据付けを行なうことを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法を提供する。
【0028】請求項4に係る発明では、請求項3記載の水圧制御ユニット据付け方法において、一体に組立てる水圧制御ユニットの数を、水圧制御ユニット室を構成する縦壁の1面全面、2面全面、3面全面または4面全面のいずれかに対応するユニット数とすることを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法を提供する。
【0029】請求項5に係る発明では、請求項2から4までのいずれかに記載の水圧制御ユニット据付け方法において、予め支持金物に一体化するユニット部材を窒素ガス容器とし、これと別工程として他のユニット部材を組立てておき、前記窒素ガス容器を水圧制御室に据付けた後に、前記他のユニット部材を前記窒素ガス容器に組付けることを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法を提供する。
【0030】請求項6に係る発明では、請求項2から5までのいずれかに記載の水圧制御ユニット据付け方法において、支持金具の壁金具部分を水圧制御ユニット室の縦壁コンクリート打設枠として使用することを特徴とする水圧制御ユニット据付け方法を提供する。
【0031】請求項7に係る発明では、請求項1記載の水圧制御ユニットに加え、工場から発電所の建設現地までの梱包および水圧制御ユニット室への据付け時またはその後の補強と養生とを兼ねる構造物を支持金具に一体に設けたことを特徴とする水圧制御ユニットを提供する。
【0032】請求項8に係る発明では、請求項2から6までのいずれかに記載の水圧制御ユニットの据付け方法において、請求項1記載の水圧制御ユニットに代えて請求項7記載の水圧制御ユニットを使用することを特徴とする水圧制御ユニットの据付け方法を提供する。
【0033】請求項9に係る発明では、請求項1記載の水圧制御ユニットを、原子炉建屋の水圧制御ユニット室に据付けてなる沸騰水型原子力プラントを提供する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。なお、従来例として説明したHCUのユニット部材と同一または対応する部材等については、これらの図1〜図6に、図7〜図12と同一の符号を付して説明する。
【0035】第1実施形態(図1〜図4)図1は、本発明の第1実施形態によるHCUを沸騰水型原子力プラントの原子炉建屋に据付けた状態を示す構成図である。図2(A)〜(D)は工場におけるHCUの組立て手順を示す工程図であり、図3は組立て完了後のHCUを示す構成図である。図4は図3に示したHCUの据付け状態における下端部分の拡大図である。
【0036】図1に示すように、本実施形態のHCU10を構成するユニット部材は、主なユニット部材として、高圧の窒素ガスを蓄える窒素ガス容器1と、高圧水を蓄えるアキュムレータ2と、制御棒駆動機構(CRD)のスクラム時に瞬時に開きアキュムレータ2内の高圧水を開放するスクラム弁3と、窒素ガス容器1、アキュムレータ2、スクラム弁3および図示しないCRD駆動水圧系配管等を各々接続する各種の配管4とを備えている。
【0037】本実施形態では、これらのユニット部材が、壁金物20と床金物21とを一体構成にした支持金物17に、一体に組立てられている。すなわち、壁金物20は上下に長い1枚構成の矩形状平板として構成されており、HCU室9の縦壁9a下端近傍から窒素ガス容器1の据付け状態における頂部と略同一の高さまで立上っている。壁金物20の下端に水平な矩形状の床金物21が溶接により一体に連結され、これら壁金物20の下端および床金物21の下面は、水平な基部フレーム22に溶接等により固定されている。
【0038】基部フレーム22は、例えば床金物21の幅方向(図1の紙面厚さ方向)に沿う両端位置に平行に配置されたH型鋼等により構成されており、HCU室9の床9bのコンクリートに埋設された脚柱付き水平板からなる埋金物23に溶接等により固定されている。
【0039】また、壁金物20は縦壁9aのコンクリート表面(HCU据付け面)に配置され、この壁金物20の反HCU室9側の面に突設した多数のジベル20aが縦壁9aのコンクリート内に埋設されることにより、壁金物20が縦壁9aに強固に固定されている。この1枚構造の壁金物20の表面側に上下に離間配置として、従来と同様の各2本の上部耐震サポート7aおよび下部耐震サポート7bが突設されている。
【0040】窒素ガス容器1は、その上下2箇所をこれらの耐震サポート7a,7bを介して搭載支持されている。すなわち、窒素ガス容器1のラグ1a部分が上部耐震サポート7aによって支持され、複数本のボルトにより締結固定されている。また、下部耐震サポート7b部分では、図示しない3枚の内面円弧状の板によって窒素ガス容器1の下部が拘束され、窒素ガス容器1の下部の振れ止めが行なわれている。
【0041】一方、アキュムレータ2と、スクラム弁3および各種の配管4等とは、上部耐震サポート7aおよび下部耐震サポート7bの先端に連結した垂直枠状のフレーム5に一体に組立て支持されている。すなわち、フレーム5の下端は床金物21上の所定位置に載置され、このフレーム5の下端に設けた長方形状の座6の部分がそれぞれ2本のボルト16により床金物21に固定されている。なお、上下部耐震サポート7a,7bの先端にフレーム5がボルトにより固定されている。
【0042】窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とは、フランジ13,14を介して接続され、ボルトにより締結固定されている。以上のHCU10据付け状態において、スクラム弁3に接続された2本の配管4が図示しないCRD駆動水圧系配管に溶接により接続される。
【0043】そして、窒素ガス容器1内には高圧の窒素ガスが封入され、CRD駆動水圧系配管からアキュムレータ2の上部に接続した充填水用配管4aを通ってアキュムレータ2内に高圧水が供給される。アキュムレータ2内にはピストンが組み込まれ、アキュムレータ2上部の高圧水と下部の高圧窒素ガスをピストンが隔離している。HCU10の機能および動作については、従来例と同一であるから、その説明は省略する。また、HCU10の設置数および配列等についても、図8に示した従来例と同様であるから、その説明を省略する。
【0044】次に、図2〜図4も参照してHCU10の組立ておよび据付け手順について説明する。本実施形態においては、壁金物20および床金物21を一体化した支持金物17と、ユニット部材との組立てを図2(A)〜(D)に示すように、全て工場で行ない、組立てたHCU10を原子炉建屋に搬送して据付ける。
【0045】すなわち、図2(A)に示すように、壁金物20を例えば水平に配置し、その下面にジベル20aを突設するとともに、上面側に上下部耐震サポート7a,7bを取付け、この壁金物20の据付時に下端となる一端側(図2(A)の右端側)に床金物21を縦状態で接合して支持金物17を作成し、さらに床金物21の据付時に底部となる側面(図2(A)の右側面)に基部フレーム22を接合する。
【0046】次に、図2(B)に示すように、窒素ガス容器1を横向きとして上下部耐震サポート7a,7bに支持固定させる。この場合、窒素ガス容器1を壁金物20の上部耐震サポート7aの上部となる位置に配置し、窒素ガス容器1に設けた2個のラグ1aの部分で支持されるように搭載して、ラグ1aと上部耐震サポート7aとのボルトによる締結、および下部耐震サポート7bにおける3枚の図示しない円弧状の板を使用して窒素ガス容器1を拘束した状態とし、ボルトにより固定する。
【0047】一方、アキュムレータ2、スクラム弁3および配管4,4a等の他のユニット部材はフレーム5に予め一体的に組み立てた状態しておき、図2(C)に示すように、窒素ガス容器1の上方に配置させ、窒素ガス容器1の配管11とアキュムレータ2の配管12とをフランジ13,14の接合により精度良く位置合わせして連結する。この場合、フレーム5の座6の据付時に下面となる部位にシムを入れたり、窒素ガス容器1のラグ1aの据付時に下面となる部位にシムを入れること等によって位置調整を行う。その後、フレーム5の座6と床金物21とをボルトにより固定する。また、壁金物20の上下部耐震サポート7a,7bの先端の部分とフレーム5とをボルトにより締結する。
【0048】そして、支持金物17への各ユニット部材の組付けが終了した後、図2(D)に示すように、これらユニット部材の上方および側方を被覆するための梱包24を施す。この梱包24は、例えば型鋼による補強枠25と、薄い鉄板等の被覆板26とからなる。補強枠25は図示の如く、例えば側面視L字状をなしており、その各先端部を壁金物20と基部フレーム22とに図示しないボルトにより取付ける。被覆板26は、補強枠25を支持として、その空間部を覆う状態に敷設され、例えばボルト等により取付けられる。これにより、HCU10のユニット部材の外面側全体が硬質な梱包24によって密閉状態で被覆された状態となる。そこで、このように壁金物20と床金物21およびユニット部材を一体に組立て、かつ梱包24を施したHCU10を、発電所建設現地に輸送する。
【0049】図3は、図2(D)に示した梱包24が施されたHCU10を据付け姿勢である縦型配置として示し、図4はHCU室9の縦壁9aに据付けた状態を示す拡大図である。
【0050】これらの図4および図5に示すように、発電所建設現地のHCU室9の床9bには、四角形板23aに複数のジベル23bを溶接した埋金物23を複数個、敷設しておく。また、縦壁9a側には壁背筋30を設置しておく。このような状態で壁金物20、床金物21および基体フレーム22を一体として構成した支持金物17上にユニット部材を組立てたHCU10を床9bの上に置く。壁金物20と床金物21およびユニット部材の位置を調整した後、床金物21の下部の基部フレーム22を埋金物23に溶接により固定する。その後、壁金物20を型枠の一部として使用してその裏側にコンクリートを打設し、これにより縦壁9aを形成する。その後、図示しない天井壁を構築するが、据付け後から天井壁等の形成期間中は梱包24を装着状態とし、これにより梱包24を据付時およびその後の補強材として機能させるとともに、作業中の落下物との衝突防止用の養生材としても機能させる。そして、空調設備等も含めたHCU室9の施工が完了した後に梱包24を外し、図1に示した使用状態とする。
【0051】本実施形態によれば、原子力発電所の建設時に原子炉建屋のHCU室9の天井が形成される前にHCU10の据付け、すなわち青空搭載を行なうため、HCU10の搬入の際に他の作業を中断する必要がなく、したがってHCU据付作業が建設工程の遅延要因になることがない。また、工場において壁金物20と床金物21およびユニット部材を一体に組立てるため、建築現地と異なり作業スペースを十分に確保することができるとともに、クレーン等の作業に必要な設備が充実し、かつ壁金物20、床金物21およびユニット部材等を横置き状態で組立てることができるので、作業が容易に、かつ能率よく行なえる。また、窒素ガス容器1を取り付ける上下部耐震サポート7a,7bの据付け精度も高くすることができる。したがって、本実施形態によれば作業時間を大幅に短縮でき、また窒素ガス容器1の下端とアキュムレータ2の下部の配管接続等を行うために必要な精度の良い位置合わせも容易に行なえ、この調整に多大な時間を要することもない。
【0052】また、壁金物20、床金物21およびHCU10のユニット部材を一体に組み立て、さらに梱包24を設けることにより、工場から発電所迄の梱包と青空搭載およびその後の補強と養生とを兼ねた構造物を有する構成とすることにより、運搬および据付時等の安全確保が確実に図れるとともに、壁金物20をコンクリート打設用の型枠にも兼用することで、通常のコンクリート打設に使用する木材製の型枠の使用量を低減することもできる。すなわち、補強枠25と被覆板26とは、工場から現地まで輸送する際の梱包材として輸送中のHCU10の保護をすることになる。また、トラック等への積み下ろしや現地でHCU10の青空搭載を行う場合の吊り込み時、さらに青空搭載後のコンクリート打設時の補強材となる。また、青空搭載後は、天井が無く、HCU室9の空調設備も無い劣悪な環境であるが、例えば図示しない清浄機を通した空気を補強枠25と被覆板26とにより形成した空間内に送り込むことにより、HCU10を保護する養生材として利用することができる。
【0053】このように、壁金物20と床金物21およびHCU10を一体に組み立て、さらに工場から発電所迄の梱包と青空搭載後の補強と養生とを兼ねた構造物としての梱包24を採用した本実施形態の据付け方法によれば、工場出荷から、現地据付け後のHCU室9の空調設備の完成までHCU10を養生できるとともに、このような梱包、青空搭載後の補強および養生の兼用により材料の節約にもなり、例えば木材を無駄に使うことがない等、環境にやさしい製品を実現することができる。
【0054】なお、本実施形態では最も望ましいHCUとして、梱包24まで含めたユニット構成を例示したが、場合によっては梱包24の形態を変えたり、省略することも可能である。
【0055】第2実施形態(図5、図6)図5は、本発明の第2実施形態によるHCU10の構成を示す正面図であり、図6は図5の平面図である。
【0056】本実施形態も、第1実施形態と同様に、壁金物20および床金物21を一体とした支持金物17にHCU10のユニット部材を一体に組み立てて構成するものであるが、本実施形態においては、一つの支持金物17に、窒素ガス容器1等の複数体のユニット部材を一体に組立てて構成し、かつ据付けを行なう点が第1実施形態と異なる。なお、HCU10の据付け手順は第1実施形態と同様である。
【0057】本実施形態では、壁金物20と床金物21とを一体とした支持金物17の面積を数体のHCU10分に対応して大きくし、これに複数体のHCU10のユニット部材を据付ける。また、図示しないが、それに対応する形態の梱包を施す。そして、建築現地に輸送して青空搭載により据付ける。
【0058】本実施の形態によれば、原子力発電所の建設時に原子炉建屋のHCU室9の天井ができる前にHCU10を青空搭載するため、HCU10の搬入の際に他の作業を中断する必要がなく、建設工程の遅延要因になることがなく、第1実施形態と同様の効果が奏されることに変りがないが、さらに複数体のHCU10を同時に据付けることができるので、製作、運搬および据付け等の作業についてのより一層の能率向上が図れるものとなる。すなわち、複数体のHCU10を壁床金物21と一体とすることにより、1体のHCU10の場合に比べて、組み上がった後の寸法がトレーラーに搭載可能な寸法にできる等、輸送や青空搭載およびHCU室9の製作上において効率がよくなるものである。
【0059】他の実施形態なお、補発明は、以上の第1および第2実施形態の他、種々の変更および応用が可能である。以下、それらの態様を下記の(第1例)〜(第5例)として具体的に説明する。なお、下記の符号については、図1〜図6を参照する。
【0060】(第1例)本例においては、一体に組立てるHCU10の数を、HCU室9を構成する縦壁9aの1面全面に対応するものとする。すなわち、壁金物20および床金物21の大きさを、HCU室9の1面に設置されるユニット部材の全数に対応する大きさとし、これらを一体化した支持金物17に一面分のHCU10を全て一括して据付ける。
【0061】なお、HCU10の製作および据付けは、前記第1実施形態および第2各実施形態と同様の方法により行なうことができる。すなわち、ユニット部材および梱包24等の組立ては対応する大きさに設定して工場にて行い、その後、建築現地に輸送して、青空搭載により据付ける。
【0062】本例によれば、HCU室9の1面全面分のHCU10を一体とするので、現地作業が大幅に減少し、現地における青空搭載およびHCU室9の製作上において効率が一層向上できる。なお、同様にHCU室9の縦壁9aの2面分または3面分として実施することもできる。
【0063】(第2例)本例においては、一体に組立てるHCU10の数を、HCU室9を構成する縦壁9aの4面全面に対応するものとする。すなわち、壁金物20および床金物21を有する支持金物17の大きさを、HCU室9の4面に設置されるユニット部材の全数に対応する大きさとし、この支持金物17に一面分のHCU10を全て一括して据付けるものとする。
【0064】なお、HCU10の製作および据付けは、前記(第1例)と同様の方法により行なうことができる。すなわち、ユニット部材および梱包24等の組立ては対応する大きさに設定して工場にて行い、その後、建築現地に輸送して、青空搭載により据付ける。
【0065】本例によれば、HCU室9の4面全面分のHCU10を一体とするので、現地作業が1回で済み、現地における青空搭載およびHCU室9の製作上において効率がさらに向上できる。
【0066】(第3例)本例では、第1実施形態に示した壁金物20および床金物21からなる支持金物17に対し、ユニット部材のうち窒素ガス容器1だけを一体に組み立てる。すなわち、窒素ガス容器1の組立てについては、図2(A)および(B)に示した工程の後に、梱包24を施す。また、これと別工程として他のユニット部材を組立てておき、窒素ガス容器1を水圧制御室9に据付けた後に、他のユニット部材を窒素ガス容器1に組付ける。
【0067】このようにして支持金物17に窒素ガス容器1を一体に組み立て、梱包24を施した後、建築現地に輸送する。現地においては、床金物21の下部の基部フレーム22を埋金物23に溶接により固定する。その後、壁金物20の裏側にコンクリートを打設し、縦壁9aを形成し、更に天井壁を構築する。
【0068】次に、アキュムレータ2、スクラム弁3および配管4等をフレーム5に据付け、その後従来と同様に台車等を使用して床金物21上の所定の位置に置く。このとき、窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とは精度良く位置合わせを行う必要があり、フレーム5の座6の下にシムを入れたり、窒素ガス容器1のラグ1aの下にシムを入れること等によって調整を行う。その後、フレーム5の脚部下端の座6において、それぞれボルトにより床金物21に固定する。また、壁金物20の上下部耐震サポート7a,7bの先端の部分とフレーム5とをボルトにより締結する。さらに、窒素ガス容器1の下端に設けた配管11とアキュムレータ2の下部に設けた配管12とをボルトによりフランジ結合する。
【0069】本例によっても、原子力発電所の建設時に原子炉建屋のHCU室9の天井ができる前に窒素ガス容器1を青空搭載するため、窒素ガス容器1の搬入の際に他の作業を中断する必要がなく、その分だけ建設工程の遅延要因が少なくなる。
【0070】また、工場で壁金物20と床金物21および窒素ガス容器1を一体に組み立てるため、作業スペースを十分に確保できること等、前記各実施形態と同様の効果に加え、窒素ガス容器1を取り付ける上下の耐震サポート7,8の据付け精度が良い等の理由により、窒素ガス容器1の据付け作業時間を短縮でき、また窒素ガス容器1の下端の配管11とアキュムレータ2下部の配管12との接続を行うための精度の良い位置合わせが従来に比して容易となり、それにより調整時間が少なくて済む。
【0071】さらに本例によれば、窒素ガス容器1の据付け作業時間を短縮でき、また窒素ガス容器1の下端とアキュムレータ2下部の配管の接続を行うための精度の良い位置合わせが容易に行なえ、調整時間が少なくて済む。なお、本例においては、1体または複数体の窒素ガス容器1を一つの支持金具17に組立てる構成として実施することもできる。
【0072】(第4例)本例は上記の(第3例)を縦壁1面分の窒素ガス容器1の据付けに適用するものである。すなわち、壁金物20と床金物21の大きさをHCU室9の4面の縦壁9a内の1面とし、そこに縦壁1面分に対応する数の窒素ガス容器1を据付ける。窒素ガス容器1の据付け方法は(第3例)と同様の方法で行う。すなわち、HCU室9の壁1面分の壁金物20と床金物21および壁1面分の体数の窒素ガス容器1を一体に組み立てた後、梱包24を施し、現地に輸送して青空搭載により据付ける。
【0073】本例によると、上記の(第3例)と同様の効果に加え、HCU室9の縦壁9aの1面分の壁床金物21と窒素ガス容器1とを一体とすることにより、数体の窒素ガス容器1を一体化する場合に比べて現地作業がさらに減少し、現地における青空搭載およびHCU室9の製作上において一層の効率向上が図れる。なお、同様にHCU室9の縦壁9aの2面分または3面分として実施することもできる。
【0074】(第5例)本例では、壁金物20と床金物21の大きさをHCU室9の4面の縦壁9aと床壁9bに相当するものとし、そこに1つのHCU室9に納められる全数の窒素ガス容器1を据付ける。窒素ガス容器1の据付け方法は(第3例)および(第4例)と同様の方法で行う。すなわち、HCU室9の縦壁9aの4面分の壁金物20と床金物21および1つのHCU室9に納められる全数の窒素ガス容器1を一体に組み立てた後、梱包24を施し、現地に輸送して青空搭載により据付ける。
【0075】本例によれば、(第3例)および(第4例)の効果に加え、HCU室9の4面の壁床金物21と窒素ガス容器1とを一体とすることにより、複数体の窒素ガス容器1を一体とする場合に比べてさらに一層の現地作業の減少が図れ、現地における青空搭載およびHCU室9の製作効率をさらに一層向上することができる。
【0076】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、原子力発電所の建設時に原子炉建屋のHCU室の天井形成前に壁金物と床金物およびHCUを一体に組み立てた状態で青空搭載することにより、HCUの搬入のために他の作業を中断する必要がなく、建設工程の遅延要因になることがなくなる。また、工場において壁金物と床金物およびHCUを一体に組み立てることにより、作業スペースを十分に確保できるとともに、充実した設備のもとで作業時間を大幅に短縮することができる。さらに、窒素ガス容器とアキュムレータとの配管接続等についても高精度の位置合せ等が多大な時間を要することなく行なえる等、多大な効果が奏される。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2002−181980(P2002−181980A)
【公開日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願番号】 特願2000−377895(P2000−377895)