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【発明の名称】 制御棒案内管および制御棒案内管における中板の固定方法
【発明者】 【氏名】藤原 芳久

【氏名】上坂 泰彦

【氏名】米元 聡志

【要約】 【課題】原子炉用の制御棒案内管において、囲板の中における中板の振動を低減すること。

【解決手段】長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って上下移動する制御棒集合体を囲む囲板2であって、長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板2と、囲板2の内周側に長尺方向に沿って複数備えられ、断面の中心側に、制御棒集合体が長尺方向に沿って移動可能な案内孔4が設けられた中板3とを備えてなる制御棒案内管1であって、中板3を囲板2に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って上下移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、前記長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、前記囲板の内周側に前記長尺方向に沿って複数備えられ、前記断面の中心側に、前記制御棒集合体が前記長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた中板とを備えてなる制御棒案内管であって、前記中板を前記囲板に固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管。
【請求項2】 請求項1に記載の制御棒案内管において、前記中板を前記囲板にネジを用いて固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管。
【請求項3】 請求項1に記載の制御棒案内管において、前記中板にテーパーを挿入するテーパー挿入孔を穿孔し、前記囲板に前記テーパーを貫通させるテーパ−貫通孔を穿孔し、前記テーパー貫通孔を貫通させて前記テーパ−挿入孔にテーパーを挿入することによりこのテーパーを前記中板に固定し、前記中板に固定されたテーパーを前記囲板に溶接することによって前記中板を前記囲板に固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管。
【請求項4】 請求項1に記載の制御棒案内管において、前記中板の上部および下部を保持する保持部と突起部とを備え前記中板と前記囲板とを固定する固定手段を、前記中板の所定位置に配置するための位置決め穴を前記中板に穿孔し、前記穿孔された位置決め穴に前記突起部を嵌めることによって前記固定手段を前記中板の前記所定位置に配置するとともに、前記保持部によって前記中板の上部および下部を保持し、前記中板の上部および下部を保持した前記固定手段を前記囲板に溶接により固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管。
【請求項5】 長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、前記長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、前記囲板の内周側に前記長尺方向に沿って複数備えられ、前記断面の中心側に、前記制御棒集合体が前記長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた前記断面の形状が対称体である中板とを備えてなる制御棒案内管であって、前記中板の前記断面の対称体の各辺において、前記断面の中心と前記辺の中央点とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置に固定部材を配し、前記固定部材によって前記中板を前記囲板に固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管。
【請求項6】 長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って上下移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、前記長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、前記囲板の内周側に前記長尺方向に沿って複数備えられ、前記断面の中心側に、前記制御棒集合体が前記長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた中板とを備えてなる制御棒案内管における前記中板の固定方法であって、前記中板を前記囲板にネジを用いて固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管における中板の固定方法。
【請求項7】 請求項6に記載の制御棒案内管における中板の固定方法において、前記中板にテーパーを挿入するテーパー挿入孔を穿孔する段階と、前記囲板に前記テーパーを貫通させるテーパ−貫通孔を穿孔する段階と、前記テーパー貫通孔を貫通させて前記テーパ−挿入孔にテーパーを挿入することによりこのテーパーを前記中板に固定する段階と、前記中板に固定されたテーパーを前記囲板に溶接する段階とからなることを特徴とする制御棒案内管における中板の固定方法。
【請求項8】 請求項6に記載の制御棒案内管における中板の固定方法において、前記中板の上部および下部を保持する保持部と突起部とを備え前記中板と前記囲板とを固定する固定手段を、前記中板の所定位置に配置するための位置決め穴を前記中板に穿孔する段階と、前記穿孔された位置決め穴に前記突起部を嵌めることによって前記固定手段を前記中板の前記所定位置に配置するとともに、前記保持部によって前記中板の上部および下部を保持する段階と、前記中板の上部および下部を保持した前記固定手段を前記囲板に溶接により固定する段階とからなることを特徴とする制御棒案内管における中板の固定方法。
【請求項9】 長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、前記長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、前記囲板の内周側に前記長尺方向に沿って複数備えられ、前記断面の中心側に、前記制御棒集合体が前記長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた前記断面の形状が対称体である中板とを備えてなる制御棒案内管における前記中板の固定方法であって、前記中板の前記断面の対称体の各辺において、前記断面の中心と前記辺の中央点とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置に固定部材を配し、前記固定部材によって前記中板を前記囲板に固定するようにしたことを特徴とする制御棒案内管における中板の固定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御棒案内管および制御棒案内管における中板の固定方法に係り、更に詳しくは、原子炉の炉心に未挿入の制御棒を収納する制御棒案内管、および制御棒案内管の構成部材であって、収納している制御棒を炉心に挿入する場合に、制御棒を所定の挿入位置に正しく導くための中板の固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、原子炉の出力を調節する場合には、内部に中性子を吸収する物質を充填した原子炉用制御棒が用いられている。
【0003】この種の原子炉用制御棒40は、図9(a)および図9(b)に示すように、その両端が上部端栓41および下部端栓42で封入されたステンレス鋼製の被覆管43を備え、この被覆管43内にバネ44で押圧された中性子吸収材45が収納されている。
【0004】このような原子炉用制御棒40は、単独で用いられるのではなく、図10に示すように、複数の原子炉用制御棒40が束ねられて構成される制御棒集合体47として用いられる。すなわち、このような制御棒集合体47を、炉心へ挿入したり、炉心から引き抜いたりすることによって原子炉の出力が調整される。
【0005】図10に示す制御棒集合体47は、加圧水型原子炉(以下「PWR」と称する)用のものであり、スパイダー48に複数本の原子炉用制御棒40を、その中心軸49を回転軸として1/4回転対称になるように配置して吊設することにより構成される。
【0006】原子炉の出力を低下する場合には、図11に示すような制御棒駆動装置51を用いてスパイダー48を駆動し、制御棒集合体47を炉心上部から下降させる。これによって、原子炉用制御棒40が、図12に示すような燃料集合体52内の制御棒案内シンブル53に挿入され、炉心に負の反応度が投入されるので、原子炉出力が低下する。なお、制御棒案内シンブル53は、原子炉用制御棒40が挿入できるような中空管からなる。
【0007】一方、原子炉の出力を上昇する場合には、制御棒駆動装置51を用いてスパイダー48を駆動し、制御棒集合体47を上昇させる。これによって、原子炉用制御棒40が、制御棒案内シンブル53から引き抜かれ、炉心に正の反応度が投入されるので、原子炉出力が上昇する。このように、PWRでは、制御棒集合体47の挿入引抜によって炉心の出力が制御される。
【0008】図13は、PWRにおける原子炉容器55の一例を示す斜視図である。
【0009】上述したような制御棒集合体47は、制御棒案内シンブル53に未挿入の場合には、原子炉容器55の上部側に設けられた制御棒案内管1内に収納されている。この制御棒案内管1は、図14(a)にその斜視図を示すように、断面円筒形状である上部案内管56と断面正方形状である下部案内管57とから構成されている。
【0010】そして、図14(b)の断面図に示すように、円筒パイプ(上部案内管56)および角管パイプ(下部案内管57)からなる囲板2と、囲板2の内周側に固定ピン34によって囲板2に固定された中板3とから構成されている。
【0011】中板3は、スパイダー48が横ズレすることなく、原子炉用制御棒40が制御棒案内シンブル53に正しく挿入されるようにガイドするためのものであり、制御棒案内管1の軸方向に沿って複数備えられている。図14(a)において、固定ピン34のある高さに中板3が備えられている。そして、その中心側は、スパイダー48に吊設された原子炉用制御棒40の配置形状にあわせて、制御棒案内孔4が穿孔されている。これによって、制御棒集合体47を下降する場合には、原子炉用制御棒40が、この制御棒案内孔4に沿って下降することによって所定の制御棒案内シンブル53に正しく挿入される。また、制御棒集合体47を上昇する場合には、制御棒案内シンブル53から引抜かれた原子炉用制御棒40がこの制御棒案内孔4に沿って真っ直ぐに引抜かれ、制御棒案内管1に再び収納される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の制御棒案内管では、以下のような問題がある。
【0013】上述するような従来の制御棒案内管1では、各中板3は、4本の固定ピン34によって、以下のようにして囲板2に固定されている。すなわち、図15の断面図、および図16の詳細図に示すように、まず、中板3に4箇所のピン穴35が穿孔される。次に、囲板2のピン穴35と対向する箇所に貫通孔7が穿孔され、この貫通孔7を介して、囲板2の外側から固定ピン34がピン穴35に嵌め込まれる。最後に、固定ピンヘッド36が囲板2に溶接される(溶接部37)ことによって中板3が囲板2に固定される。
【0014】しかしながら、原子炉容器55内では、図13に示すように、入口ノズル59から供給された冷却水60が、図中矢印に示すように、燃料集合体52の下部側から上部側へと高流量で循環して出口ノズル60から流出されている。したがって、図11に示すように、制御棒案内管1は、下部側から冷却水61による流体力を外力として受ける。固定ピン34は、ピン穴35に嵌め込まれていても、溶接等は行われておらず完全に固定されている訳ではないので、図16に示すように、ピン穴35と固定ピン34との間に僅かな隙間38がある。中板3を囲板2に溶接によって固定することも考えられるが、中板3は囲板2の内部に収納されるように配置される都合上、溶接を行うことは困難である。また、囲板2は薄肉の長尺パイプであることから、溶接変形が生じ易く、軸方向の芯を一致させることが困難である。
【0015】このように、ピン穴35と固定ピン34との間に僅かな隙間38がある状態で中板3が冷却水60によって外力を受けると、中板3は、この隙間38の範囲で振動する。これによって、ピン穴35と固定ピン34とは互いに摩耗し、振動が益々大きくなり、ピン穴35および固定ピン34の摩耗がますます加速され、隙間38が拡大し、振動も益々激しくなるという悪循環に陥る。
【0016】囲板2の内部における中板3の振動が大きくなると、軸方向に複数備えられた中板3同士の芯にズレが生じ、原子炉用制御棒40を移動させることができなくなるという問題がある。
【0017】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、原子炉の出力調整を行うための制御棒を原子炉内の所定の挿入場所に導くための中板を、この中板の外周を囲み制御棒を保護する囲板に固定する固定方法を改良し、もって、囲板の中における中板の振動を低減することが可能な制御棒案内管および制御棒案内管における中板の固定方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0019】すなわち、請求項1の発明では、長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って上下移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、囲板の内周側に長尺方向に沿って複数備えられ、断面の中心側に、制御棒集合体が長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた中板とを備えてなる制御棒案内管であって、中板を囲板に固定する。
【0020】請求項2の発明では、請求項1の発明の制御棒案内管において、中板を囲板にネジを用いて固定する。
【0021】請求項3の発明では、請求項1の発明の制御棒案内管において、中板にテーパーを挿入するテーパー挿入孔を穿孔し、囲板にテーパーを貫通させるテーパ−貫通孔を穿孔し、テーパー貫通孔を貫通させてテーパ−挿入孔にテーパーを挿入することによりこのテーパーを中板に固定し、中板に固定されたテーパーを囲板に溶接することによって中板を囲板に固定する。
【0022】請求項4の発明では、請求項1の発明の制御棒案内管において、中板の上部および下部を保持する保持部と突起部とを備え中板と囲板とを固定する固定手段を、中板の所定位置に配置するための位置決め穴を中板に穿孔し、穿孔された位置決め穴に突起部を嵌めることによって固定手段を中板の所定位置に配置するとともに、保持部によって中板の上部および下部を保持し、中板の上部および下部を保持した固定手段を囲板に溶接により固定する。
【0023】請求項5の発明では、長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、囲板の内周側に長尺方向に沿って複数備えられ、断面の中心側に、制御棒集合体が長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた断面の形状が対称体である中板とを備えてなる制御棒案内管であって、中板の断面の対称体の各辺において、断面の中心と辺の中央点とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置に固定部材を配し、固定部材によって中板を囲板に固定する。
【0024】請求項6の発明では、長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って上下移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、囲板の内周側に長尺方向に沿って複数備えられ、断面の中心側に、制御棒集合体が長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた中板とを備えてなる制御棒案内管における中板の固定方法であって、中板を囲板にネジを用いて固定する。
【0025】請求項7の発明では、請求項6の発明の制御棒案内管における中板の固定方法において、中板にテーパーを挿入するテーパー挿入孔を穿孔する段階と、囲板にテーパーを貫通させるテーパ−貫通孔を穿孔する段階と、テーパー貫通孔を貫通させてテーパ−挿入孔にテーパーを挿入することによりこのテーパーを中板に固定する段階と、中板に固定されたテーパーを囲板に溶接する段階とからなる。
【0026】請求項8の発明では、請求項6の発明の制御棒案内管における中板の固定方法において、中板の上部および下部を保持する保持部と突起部とを備え中板と囲板とを固定する固定手段を、中板の所定位置に配置するための位置決め穴を中板に穿孔する段階と、穿孔された位置決め穴に突起部を嵌めることによって固定手段を中板の所定位置に配置するとともに、保持部によって中板の上部および下部を保持する段階と、中板の上部および下部を保持した固定手段を囲板に溶接により固定する段階とからなる。
【0027】請求項9の発明では、長尺パイプからなり、その内部を長尺方向に沿って移動する制御棒集合体を囲む囲板であって、長尺方向に直交する断面の形状が正多角形または円である囲板と、囲板の内周側に長尺方向に沿って複数備えられ、断面の中心側に、制御棒集合体が長尺方向に沿って移動可能な案内孔が設けられた断面の形状が対称体である中板とを備えてなる制御棒案内管における中板の固定方法であって、中板の断面の対称体の各辺において、断面の中心と辺の中央点とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置に固定部材を配し、固定部材によって中板を囲板に固定する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図9から図16と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0030】(第1の実施の形態)第1の実施の形態を図1から図3を用いて説明する。
【0031】図1および図2は、第1の実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管1の断面図であって、特に、囲板2と中板3との固定部分を示すものである。図1は、断面形状が正方形である下部案内管57の囲板2と中板3との固定部分を示すものであり、図2は、断面形状が円筒形である上部案内管56の囲板2と中板3との固定部分を示すものである。
【0032】本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管1は、以下のようにして構成する。
【0033】まず、中板3に、テーパー5を挿入するテーパー挿入孔6を穿孔する。テーパー挿入孔6は、テーパー5が隙間無く挿入されるように、テーパー5の先端側の先細円錐形状にあわせて穿孔している。このテーパー挿入孔6は、最低4箇所設ける。図1に示すような下部案内管57に関しては、断面の略正方形の各辺に少なくとも1箇所設け、図2に示すような、上部案内管56に関しては、断面中心を中心として回転させた場合に、互いに回転対称となるような位置に少なくとも4箇所設ける。
【0034】次に、テーパー5を貫通させる貫通孔7を、囲板2に穿孔する。そして、テーパー5を、囲板2の貫通孔7を貫通させて、中板3のテーパー挿入孔6に挿入することによりこのテーパー5を中板3に固定する。更に、中板3に固定されたテーパー5の頭部をリング8と溶接し(溶接部9)、このリング8を囲板2に溶接する(溶接部10)。
【0035】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の作用について説明する。
【0036】すなわち、本実施の形態における中板の固定方法を適用した制御棒案内管では、まず、中板3にテーパー挿入孔6が、囲板2に貫通孔7がそれぞれ穿孔される。そして、貫通孔7を介してテーパー5がテーパー挿入孔6に挿入される。テーパー挿入孔6は、テーパー5が隙間無く挿入されるように、テーパー5の先端側の先細円錐形状にあわせて穿孔しているので、テーパー5はテーパー挿入孔6に隙間無く、密着して固定される。
【0037】このようにして、各辺に少なくとも1箇所設けられたテーパー挿入孔6に密着して固定された各テーパー5は、その頭部がリング8と溶接され、更に、このリング8が囲板2に溶接される。これによって、中板3は囲板2に固定される。
【0038】上述したように、本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管においては、上記のような作用により、テーパー5を用いることによって、中板3を囲板2に固定することができる。中板3の固定部材であるテーパー5は、中板3に穿孔されたテーパー挿入孔6に隙間無く、密着して固定されるので、中板3が、原子炉容器55を流れる冷却水による流体力を外力として受けても、それによって振動することは無い。
【0039】したがって、原子炉用制御棒40が上下に移動する方向である軸方向に複数備えられた中板3同士の芯にズレが生じることもなく、原子力発電所の運転の信頼性を高めることが可能となる。
【0040】なお、本発明の実施の形態は、上記構成に限定されるものではなく、次のようにしても同様に実施できるものである。
【0041】図3は、本実施の形態の変形例を示すものであり、テーパー5の代わりにネジ付きピン12を適用したものである。このネジ付きピン12はその先端部を球面状に加工している。一方、中板3の、ネジ付きピン12の先端部によって押圧される部もまた球面状に加工している。更にこのネジ付きピン12は、ネジ13を備えている。
【0042】このような構成によって、各辺に少なくとも設けられたネジ付きピン12は、ネジ13によって囲板2にネジ固定されるとともに、その先端部が中板3を押圧固定する。ネジ付きピン12の先端部、および中板3においてネジ付きピン12の先端部によって押圧される部は、ともに球面状に加工している。これによって、ネジ付きピン12の先端部と中板3との接触面積が確保され、ネジ付きピン12が中板3を効率よく押圧することができるようにしている。更に、ネジ付きピン12のピンヘッド14を、囲板2の表面に溶接する(溶接部15)。
【0043】上述したような構成によっても、固定部材であるネジ付きピン12と中板3とが隙間無く、密着して固定されるので、中板3が、原子炉容器55内を流れる冷却水による流体力を外力として受けても、それによって振動することは無く、図1に示す中板の固定方法を適用した制御棒案内管と同様の効果が得られる。
【0044】(第2の実施の形態)第2の実施の形態を図4を用いて説明する。
【0045】図4(a)は、第2の実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の断面図であって、図4(b)は、特に、囲板2と中板3との固定部分の詳細図を示すものである。ここでは、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0046】本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管は、以下のようにして構成する。
【0047】まず、中板3に、ネジ付きピン17をネジ固定するためのネジ穴18を穿孔する。このネジ穴18は最低4箇所設ける。図1に示すような下部案内管57 に関しては、断面の略正方形の各辺に少なくとも1箇所設け、図2に示すような、上部案内管56 に関しては、断面中心を中心として回転させた場合に、互いに回転対称となるような位置に少なくとも4箇所設ける。
【0048】次に、ネジ付きピン17を貫通させる貫通孔7を、囲板2に穿孔する。そして、ネジ付きピン17を、囲板2の貫通孔7を貫通させて、中板3のネジ穴18にネジ固定することにより、ネジ付きピン17を中板3に固定する。更に、ネジ付きピン17をネジ穴18にネジ込み、ピンヘッド19が囲板2を押圧することによって、中板3と囲板2とを固定する。なお、必要に応じてピンヘッド19を囲板2に溶接していも良い。
【0049】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の作用について説明する。
【0050】すなわち、本実施の形態における中板の固定方法を適用した制御棒案内管では、まず、中板3にネジ穴18が、囲板2に貫通孔7がそれぞれ穿孔される。そして、貫通孔7を介してネジ付きピン17がネジ穴18にネジ固定される。また、ネジ付きピン17をネジ穴18にネジ込むことによって、囲板2がピンヘッド19によって押圧固定される。このようにして、囲板2と中板3とが固定される。
【0051】上述したような構成によっても、中板3が囲板2に固定されるので、第1の実施の形態で説明したものと同様の効果を奏することができる。
【0052】(第3の実施の形態)第3の実施の形態を図5を用いて説明する。
【0053】図5(a)は、第3の実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の断面図であって、図5(b)は、特に、囲板2と中板3との固定部分の詳細図を示すものである。ここでは、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0054】本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管は、以下のようにして構成する。
【0055】まず、中板3に、薄肉パイプ21を挿入して固定するための円周ミゾ付き穴22を穿孔する。この円周ミゾ付き穴22は、図5に示すように、部分的に他の穴径よりも太い穴径であるミゾ23を備えている。この円周ミゾ付き穴22は最低4箇所設ける。図1に示すような下部案内管57 に関しては、断面の略正方形の各辺に少なくとも1箇所設け、図2に示すような、上部案内管56 に関しては、断面中心を中心として回転させた場合に、互いに回転対称となるような位置に少なくとも4箇所設ける。
【0056】次に、薄肉パイプ21を貫通させる貫通孔7を、囲板2に穿孔する。そして、薄肉パイプ21を、囲板2の貫通孔7を貫通させて、中板3の円周ミゾ付き穴22に挿入する。そして、薄肉パイプ21内にウレタンゴムを詰め、このウレタンゴムに力を加え圧縮する。圧縮されたウレタンゴムは、その圧縮力によって、薄肉パイプ21を膨張させる。特に、ミゾ23の内周側の薄肉パイプ21は、ほぼミゾ23に沿って膨張するので、このミゾ23において薄肉パイプ21と中板3とが固定されるようになる。ウレタンゴムは圧縮状態から解放されると、元の形状に戻るので、薄肉パイプ21を膨張するために用いられた後には、薄肉パイプ21から容易に引抜可能である。
【0057】次に、中板3に固定された薄肉パイプ21の頭部をリング24と溶接し(溶接部25)、このリング24を更に囲板2に溶接する(溶接部26)。このように、薄肉パイプ21を用いて囲板2に中板3を固定する。
【0058】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の作用について説明する。
【0059】すなわち、本実施の形態における中板の固定方法を適用した制御棒案内管では、まず、中板3に薄肉パイプ21を挿入するための円周ミゾ付き穴22が、囲板2に薄肉パイプ21を貫通させる貫通孔7がそれぞれ穿孔される。薄肉パイプ21は、この貫通孔7を介して、中板3の円周ミゾ付き穴22に挿入される。次に、薄肉パイプ21内にウレタンゴムが詰め込まれ、このウレタンゴムが力を加えられると、ウレタンゴムが圧縮し、その圧縮力によって、薄肉パイプ21が膨張する。特に、ミゾ23の内周側の薄肉パイプ21は、ほぼミゾ23に沿って膨張するので、このミゾ23において薄肉パイプ21と中板3とが固定される。
【0060】次に、中板3に固定された薄肉パイプ21の頭部が、リング24と溶接され(溶接部25)、このリング24が更に囲板2に溶接される(溶接部26)。これによって、囲板2と中板3とが固定される。
【0061】上述したような構成によっても、中板3が囲板2に固定されるので、第1の実施の形態で説明したものと同様の効果を奏することができる。
【0062】(第4の実施の形態)第4の実施の形態を図6を用いて説明する。
【0063】図6(a)は、第4の実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の断面図である。図6(b)および図6(c)は、特に、囲板2と中板3とを固定する固定治具28の詳細図であって、図6(b)は、この固定治具28を囲板2の外側から見た正面図、図6(c)は、中板3に固定された固定治具28の、原子炉用制御棒40が上下に移動する方向(軸方向)に沿った断面図を示すものである。図6(d)は、囲板2の斜視図であって、その表面に固定治具28を中板3に取り付けるための作業穴である固定治具用穴29を示す図である。ここでは、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0064】本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管は、以下のように、中板3と囲板2とを固定する固定治具28を用いて構成する。
【0065】固定治具28は、図6(c)に示すように、断面コの字形状をしており、コの字の凹部に中板3を挟んで固定する。また、コの字の凹部にはボス30を備えている。
【0066】一方、中板3には、このボス30を嵌め合わせるためのボス穴31を穿孔する。このボス穴31は、ボス30を嵌め合わせることによって、固定治具28の位置合わせをすることを目的としている。したがって、図1に示すテーパー挿入孔6、図4に示すネジ穴18、あるいは図5に示す円周ミゾ付き穴22のように深く穿孔する必要はない。したがって、原子炉用制御棒40と対向した部位に備えることも可能であり、図6(a)に示すように、略正方形状の断面における各辺の中点に穿孔することも可能である。更に、囲板2には、図6(d)に示すように、その表面に固定治具28を中板3に取り付けるための作業穴である固定治具用穴29を穿孔する。
【0067】そして、固定治具28を、囲板2の固定治具用穴29を貫通させて、中板3側に挿入する。そして、固定治具28のボス30を、中板3のボス穴31に嵌め合わせながら、固定治具28のコの字の凹部に中板3を挟む。これによって、固定治具28を所定位置に正しく設置するとともに、中板3を固定する。
【0068】更に、図6(b)に示すように、固定治具用穴29を塞ぐように、固定治具28の4辺を囲板2に溶接する(溶接部32)。これによって、中板3を囲板2に固定する。
【0069】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の作用について説明する。
【0070】すなわち、本実施の形態における中板の固定方法を適用した制御棒案内管では、まず、図6(c)に示すように中板3の上下端が固定治具28によって挟まれ固定される。また、この固定治具28は、固定治具28のボス30と、中板3のボス穴31とを嵌め合わせることによって、所定位置に正しく配置される。
【0071】次に、固定治具用穴29を塞ぐように、固定治具28の4辺が囲板2に溶接される(溶接部32)。これによって、固定治具28が囲板2と一体化され、中板3が囲板2に固定される。
【0072】上述したような構成では、中板3に穿孔するボス穴31は、固定治具28を位置決めするためのものであり、深い穴を穿孔する必要が無くなるので、原子炉用制御棒40と対向し、深い穴を穿孔することができない略正方形状の断面における辺の中央部にも固定治具28を配することができる。
【0073】各辺の中央部に固定治具28を配することにより、各辺における固定強度が対称となるので、断面に対して径方向(横方向)に作用する外力に対して安定した抵抗力を発揮することができ、中板3の同方向の振動を効果的に無くすことができる。また、中板3は、固定治具28によってその上下部が挟まれ固定されるので、原子炉用制御棒40が移動する方向(上下方向)に作用する外力に対しても安定した抵抗を発揮することができ、中板3の同方向の振動もまた効果的に無くすことができる。
【0074】(第5の実施の形態)第5の実施の形態を図7から図8を用いて説明する。
【0075】図7(a)は、第5の実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の断面図であって、図7(b)は、特に、囲板2と中板3との固定部分の詳細図を示すものである。ここでは、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0076】本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管は、中板3の断面の各辺において、断面の中心Gと各辺の中点M(M〜M)とを結ぶ各軸線に対して互いに対称な位置に固定ピン34を配し、この固定ピン34によって中板3を囲板2に固定するようにしたものである。
【0077】この固定ピン34および、固定ピン34による中板3と囲板2との固定方法については、図15に示す従来技術による方法と同一である。すなわち、まず、中板3にピン穴35を、囲板2のピン穴35と対向する箇所に貫通孔7をそれぞれ穿孔する。そして、この貫通孔7を介して、囲板2の外側から固定ピン34をピン穴35に嵌合する。最後に、固定ピンヘッド36を囲板2に溶接する(溶接部37)ことによって中板3が囲板2に固定される。
【0078】なお、ピン穴35は、上述したように中板3の断面の中心Gと各辺の中点M(M〜M)とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置に穿孔する。これによって、ピン穴35に嵌合された各固定ピン34の位置は、中板3の断面の中心Gと辺の中点M(M〜M)とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置となる。すなわち、図7(a)において、固定ピン34(1a)と固定ピン34(1b)とは軸線G−Mに対して互いに対称な位置である。固定ピン34(2a)と固定ピン34(2b)とは軸線G−Mに対して、固定ピン34(3a)と固定ピン34(3b)とは軸線G−Mに対して、固定ピン34(4a)と固定ピン34(4b)とは軸線G−Mに対してそれぞれ互いに対称な位置である。
【0079】図7(a)では、どの辺においても軸線G−Mから等距離の場所に固定ピン34を配置した例を示しているが、図8に示すように、各辺において軸線G−Mとの距離が異なるように固定ピン34を配置しても良い。
【0080】次に、以上のように構成した本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管の作用について説明する。
【0081】すなわち、本実施の形態に係る中板の固定方法を適用した制御棒案内管は、まず、中板3にピン穴35が穿孔される。このピン穴35は、中板3の断面の略正方形の各辺において、断面の中心Gと各辺の中点M(M〜M)とを結ぶ各軸線に対して互いに対称な位置に穿孔される。更に、囲板2のピン穴35と対向する箇所にも貫通孔7がそれぞれ穿孔される。そして、この貫通孔7を介して、囲板2の外側から固定ピン34がピン穴35に嵌合される。最後に、固定ピンヘッド36が囲板2に溶接される(溶接部37)ことによって中板3が囲板2に固定される。
【0082】これによって、中板3の断面の略正方形の各辺において、断面の中心Gと辺の中点M(M〜M)とを結ぶ各軸線に対して互いに対称な位置に配置された固定ピン34によって、中板3が囲板2に固定される。
【0083】上述したような構成では、中板3の断面の略正方形の各辺において、断面の中心Gと辺の各中点M(M〜M)とを結ぶ軸線に対して互いに対称な位置を、固定ピン34によって固定することができるので、第4の実施の形態で説明したように、各辺における固定強度が対称となるので、断面に対して径方向(横方向)に作用する外力に対して安定した抵抗力を発揮することができ、中板3の同方向の振動を低減することができる。
【0084】なお、ピン穴35と固定ピン34とは溶接されてはおらず、僅かな隙間38があるために、ピン穴35と固定ピン34との振動は避けられないが、固定ピン34を増やしたことによって、固定ピン34とピン穴35との接触面積が増加しているので、振動を低減することにより、摩耗の進行を防ぐことが可能である。
【0085】また、固定ピン34の固定方法自体は、図15を用いて説明した従来技術によるものと同様である。したがって、現状の製造ラインを何ら改造することなく製造することが可能である。
【0086】以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、原子炉の出力調整を行うための制御棒を原子炉内の所定の挿入場所に導くための中板を、この中板の外周を囲み制御棒を保護する囲板に固定する固定方法を改良することによって、中板の振動を低減することが可能な制御棒案内管および制御棒案内管における中板の固定方法を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2002−181979(P2002−181979A)
【公開日】 平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願番号】 特願2000−377760(P2000−377760)