| 【発明の名称】 |
燃料ペレットと、その製造方法と、その燃料要素および燃料集合体 |
| 【発明者】 |
【氏名】天谷 政樹
【氏名】平井 睦
【氏名】細川 隆徳
【氏名】梁井 康市
【氏名】大越 由己
【氏名】水谷 千尋
【氏名】大内 敦
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| 【要約】 |
【課題】燃焼に伴う核分裂生成ガスの放出を抑制し、燃焼中のペレットのスエリング量を抑え、ペレットと被覆管相互作用を抑制する。
【解決手段】核的毒物(Gd2O3分散相9)または核分裂性物質と核的毒物との混合物が核分裂性物質中に分散している焼結ペレット8において、核的毒物以外の添加物の析出相10を含んでいる。この析出相10は焼結ペレット8内の結晶粒界に析出しており、Si,Al,SiO2,Al2O3から選択された少なくとも一種からなっている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 核的毒物、または核分裂性物質と前記核的毒物との混合物が核分裂性物質中に分散して存在している燃料ペレットにおいて、前記核的毒物以外の添加物の析出相を含んでいることを特徴とする燃料ペレット。 【請求項2】 前記核的毒物以外の添加物は、焼結した燃料ペレット内の結晶粒界に析出していることを特徴とする請求項1記載の燃料ペレット。 【請求項3】 前記核的毒物以外の添加物は、珪素、アルミニウム、珪素の酸化物、アルミニウムの酸化物、珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物、珪素の酸化物およびアルミニウムの酸化物から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載の燃料ペレット。 【請求項4】 前記核的毒物以外の添加物は、珪素およびアルミニウムの酸化物からなり、珪素およびアルミニウムの酸化物からなり、前記添加物中の各酸化物をそれぞれ二酸化珪素および三酸化二アルミニウムに換算した場合、二酸化珪素の重量比率が0ないし100%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の燃料ペレット。 【請求項5】 前記核的毒物以外の添加物の燃料ペレット内における濃度は、重量割合で250ないし2500ppmの範囲であることを特徴とする請求項1ないし4記載の燃料ペレット。 【請求項6】 前記燃料ペレット内における核分裂性物質領域の平均結晶粒径は10ないし60μmの範囲にあることを特徴とする請求項1ないし5記載の燃料ペレット。 【請求項7】 前記燃料ペレットの気孔率が9%から0.5%であることを特徴とする請求項1ないし6記載の燃料ペレット。 【請求項8】 前記燃料ペレット中に存在する核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の直径が0.1μm以上ペレットの直径または軸方向長さのうち大きい方の長さを超えない範囲にあることを特徴とする請求項1ないし7記載の燃料ペレット。 【請求項9】 核分裂性物質を含む燃料ペレットの製造方法において、前記核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物および前記核的毒物、または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物を添加して圧粉成形および焼結するか、または前記核分裂性物質を含む粉末に予め前記核的毒物以外の添加物を添加した後、前記核的毒物または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物を添加して圧粉成形および焼結することを特徴とする燃料ペレットの製造方法。 【請求項10】 前記核的毒物以外の添加物、前記核分裂性物質および前記核的毒物または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物の混合粉末を圧粉成形し、1000℃以上1800℃以下の温度で、かつ−600kJ/mol以上−100kJ/mol以下の酸素ポテンシャルを有する雰囲気で焼結することを特徴とする請求項9記載の燃料ペレットの製造方法。 【請求項11】 前記核的毒物、または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物の周囲に0℃以上1000℃以下の温度で分解または蒸発する物質を予め被覆した後に、前記核的毒物以外の添加物および前記核分裂性物質からなる粉末と混合し、圧粉成形した後、焼結することを特徴とする請求項9ないし10記載の燃料ペレットの製造方法。 【請求項12】 燃料ペレットを燃料被覆管内に装填して密封してなる燃料要素において、前記燃料ペレットは前記請求項1ないし請求項8記載の燃料ペレットからなり、この燃料ペレットの少なくとも一部を、前記燃料被覆管内に装填して封入してなることを特徴とする燃料要素。 【請求項13】 燃料ペレットを燃料被覆管内に装填して密封してなる燃料要素において、前記請求項1ないし8記載の燃料ペレットを前記燃料被覆管の軸方向出力を平均した値を超える部分に装填してなることを特徴とする燃料要素。 【請求項14】 前記請求項1ないし8記載の燃料ペレットを燃料被覆管内の少なくとも一部に装填して密封してなる前記請求項12または13記載の燃料要素を少なくとも一部に含む多数本の燃料要素を上下タイプレートに固定して結束してなることを特徴とする燃料集合体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、Gd2O3等の核的毒物を含有する燃料ペレットと、その製造方法と、その燃料要素および燃料集合体に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、軽水炉用燃料では中性子吸収材としてGdが利用されており、軽水炉用核燃料の高燃焼度化に伴ってGdの添加濃度が増加する傾向にある。通常、燃料としてのUO2にGdを添加して焼結したUO2燃料ペレットはUO2粉末とGd2O3粉末とを機械的に混合し、これを圧粉成形したのち焼結して得られる。以下、焼結した燃料ペレットを単にペレットと記す。 【0003】UO2とGd2O3との混合酸化物は、UO2と比べ焼結性が低く、同一条件下では、そのペレットの密度、結晶粒径は共にUO2ペレットよりも小さくなることが知られている。また、Gdの添加濃度が高い場合には、焼結中に微細な割れ(マイクロクラック)が容易に発生することが知られている。 【0004】結晶粒径が小さいと、核分裂に伴って生成する核分裂生成ガス(FPガス)の拡散距離が短くなり、燃焼中のFPガス放出およびスエリング量が大きくなる欠点がある。また、マイクロクラックが存在すると、ペレットの実効的な熱伝導率を低下させ、ひいては燃焼中のFPガス放出およびスエリング量を増加させる。 【0005】Gd2O3を添加したUO2ペレットの結晶粒径を増大させ、マイクロクラックの発生を防止するためには、UO2とGd2O3との固溶状態を良くする必要があると考えられており、従来、均一な組織を有するペレット、すなわちUO2とGd2O3との固溶状態が良いペレットを製造する方法が検討されてきた。 【0006】そのうちの一つとして、共沈法(溶液状態でUとGdを混合した後、同時に沈殿させて混合粉末を製造する方法)でUとGdの混合状態が均一な粉末を作製し、この粉末を使用してペレットを製造する方法がある。この方法で製造したペレットは、UO2とGd2O3の固溶状態が極めて良好であり、ペレットの組織も均一である。 【0007】しかしながら、この方法は工程が非常に複雑であるため製造費用が高くなる上、沈殿時に核燃料物質で汚染された多量の放射性廃液が発生するという欠点がある。そこで、機械的に混合されたUO2−Gd2O3混合粉末を利用して固溶状態の良いペレットを得る製造方法(例えば、特開平5−11088号公報、特開平1−193691号公報、特開平2−242195号公報)が提唱されている。 【0008】一方、UO2にGdが固溶すると、Journal of Nuclear Materialsの第105巻(1982)の201ページ以降に報告されているように、UO2中の不純物濃度が上昇することによって熱伝導率の低下することが知られている。 【0009】この熱伝導率の低下は、燃料中心温度の増大、その結果としてFPガス放出およびスエリング量、ペレット被覆管相互作用(PCI)の増大を招く。このため、燃料集合体を構成する燃料要素のうち、Gd2O3添加ペレットを装填した燃料要素が経験する最大出力は、通常、UO2燃料よりも低めに設計されている。 【0010】そこで、Gdの固溶を故意に抑えることにより、ペレットの熱伝導率低下を低減する方法(例えば特開昭59−90082号公報、特開昭60−231195号公報、特開平11−287883号公報)が提唱されている。特開昭59−90082号公報には、ホウ化タングステンで被覆した1μm〜20μmのGd2O3粒子を添加することにより、焼結中におけるUO2粒子とGd2O3粒子の接触を避けてGdを固溶させない方法が示されている。 【0011】特開昭60−231195号公報には、1mm以上のGd2O3粒子を添加することにより、焼結中におけるUO2粒子とGd2O3粒子の接触面積を少なくしてGdの固溶を抑える方法が示されている。特開平11−287883号公報では、Gd2O3単体を添加するのではなく、UO2と類似の結晶構造を有するUO2−Gd2O3の固溶体を添加する方法が示されている。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭60−231195号公報の方法では、焼結中にUO2とGd2O3との反応を完全に避けることができず、焼結中にUO2とGd2O3との反応界面で、体積変化を伴う相変化が起こり続けるために、界面近傍に気孔やクラックが発生する。これらの気孔やクラックは、密度の減少および熱伝導率の低下ならびにFPガスの放出経路の増加を招くことになり、期待した効果が得られない。 【0013】同様の概念を応用した例が、国際会議(International Atomic Energy Agency, Technical Committee Meeting on Advances in Pellet Technology for Improved Performance at High Burnup,28 Oct.−1Nov.,Tokyo,Japan,Paper No 2-1)で報告されている。この報告では、Gd2O3の小球を熱処理してUO2粉末に混合し焼結することにより、Gd2O3小球分散型ペレットを得ている。 【0014】しかし、このGd2O3小球分散型ペレットには、マイクロクラックは観測されなかったが、Gd2O3小球の周りに気泡が集まり、一部連結している。このことから、熱伝導率の向上は小さいものと推察される。 【0015】また、特開昭59−90082号公報の方法では、工程が複雑で費用が高くなり工業的でない上、ホウ化タングステンとのUO2の熱膨張率が異なることなどにより界面近傍にクラックが発生し、熱伝導率の低下を招くことが予想され、やはり期待した効果が得られない。 【0016】特開平11−287883号公報では、UO2に類似したUO2−Gd2O3固溶体を分散相とし、UO2ペレット内に分散させることにより、高濃度のGd2O3を含む領域周辺の割れの発生を抑え、ペレットの熱伝導率を向上させる方法が開示されている。 【0017】しかし、上記の方法ではGd2O3粒子以外の領域、すなわちのUO2領域については制御することができないため、これらの方法で作製したペレットのUO2領域の結晶粒径は10μm前後であり、ペレット燃焼中のFPガス放出を抑えるために最低限必要な30μmに達していない。 【0018】本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、Gd2O3等の核的毒物を含有する酸化物焼結ペレットを提供することにある。さらに詳しくは、前記ペレット内にGd等の核的毒物のペレット平均濃度よりも高い濃度の領域を存在させ、かつ、UO2等の核分裂性物質からなる粉末に核的毒物以外の添加物を添加することにより、ペレット平均の核的毒物濃度が従来と同一でありながら、核的毒物がペレット内に均一に分布している従来の酸化物ペレットに比べて熱伝導率の低下を抑え、かつUO2等の核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させて従来の酸化物ペレットに比べて燃焼に伴うFPガスの放出を抑制できる核的毒物添加のペレットおよびそのペレットの製造方法を提供することにある。 【0019】また、本発明は前記燃料ペレットと、前記製造方法により得られた燃料ペレットを被覆管内に装填し封入した燃料要素およびその燃料要素を多数本結束した燃料集合体を提供することにある。 【0020】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、核的毒物、または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物が核分裂性物質中に分散して存在している燃料ペレットにおいて、前記核的毒物以外の添加物の析出相を含んでいることを特徴とする。 【0021】この発明によれば、核的毒物以外の添加物により核分裂性物質からなる領域の焼結が促進されるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べ増大させることができる。この効果によって、結晶粒径が従来のペレットに比べ燃焼中のペレットからのFPガス放出量が小さくなる。 【0022】請求項2の発明は、前記核的毒物以外の添加物は、焼結した燃料ペレット内の結晶粒界に析出していることを特徴とする。この発明によれば、核的毒物以外の添加物をペレット内の結晶粒界に析出させることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりを促進しペレットのクリープ速度を従来のペレットを用いた燃料に比べて大きくさせることができる。このことは、燃焼中のペレット−被覆管相互作用(PCI)を従来のペレットを用いた燃料に比べて抑えることができる。 【0023】また、請求項1の発明において、核的毒物以外の添加物を、ペレット内の結晶粒界にガラス状または結晶性の物質として析出させることもできる。この場合には、核的毒物以外の添加物をペレット内の結晶粒界に析出させることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりを促進し、ペレットのクリープ速度を従来のペレットに比べて大きくさせることができ、燃焼中のペレット−被覆管相互作用を従来のペレットを用いた燃料に比べて抑えることができる。 【0024】また、この効果については、結晶粒界に析出している添加物がガラス相である方が良い。加えて、結晶粒界に析出している添加物の形態がガラス状であれば、そうでない場合に比べ結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。これらの効果は、燃料の健全性を従来に比べて向上させることができるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0025】請求項3の発明は、前記核的毒物以外の添加物は、珪素、アルミニウム、珪素の酸化物、アルミニウムの酸化物、珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物、珪素の酸化物およびアルミニウムの酸化物から選択された少なくとも1種からなることを特徴とする。 【0026】この発明によれば、核的毒物以外の添加物中に珪素またはアルミニウムを含んでいるために、結晶粒界に析出している添加物がガラス状になりやすく、そのためペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。 【0027】加えて、結晶粒界に析出している添加物の形態がガラス状であれば、そうでない場合に比べ結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。この効果は燃料の健全性を従来の比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0028】また、核的毒物以外の添加物が珪素の酸化物である場合、結晶粒界に析出している添加物がガラス状になりやすく、そのためペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。 【0029】加えて、結晶粒界に析出している添加物の形態がガラス状であれば、そうでない場合に比べて結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。この効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0030】また、核的毒物以外の添加物としてアルミニウムの酸化物を選ぶことにより、核分裂性物質からなる領域の焼結が促進されるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べて増大させることができる。この効果によって、この発明のペレットは燃焼中のペレットからのFPガス放出に関し結晶粒径が従来のペレットに比べて小さくなる。この効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0031】また、核的毒物以外の添加物が珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物を含んでいる場合、結晶粒界に析出している添加物がガラス状になりやすく、そのためペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。また、核的毒物以外の添加物は焼結温度付近で液相を形成するため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させる効果がある。これらの効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0032】また、核的毒物以外の添加物が珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物からなっている場合、結晶粒界に析出している添加物がガラス状になりやすく、そのため、ペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。また、核的毒物以外の添加物は焼結温度付近で液相を形成するため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させる効果がある。 【0033】また、核的毒物以外の添加物が珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物からなり、ペレット内の結晶粒界に析出していることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。 【0034】前記添加物が珪素の酸化物およびアルミニウムの酸化物からなる場合、各酸化物の混合比率によってはペレット内での析出形態が結晶性またはガラス状になるが、この効果については、結晶粒界に析出している添加物がガラス相である方が良い。 【0035】各酸化物の混合比率を適当に選択し、ペレット内の結晶粒界に析出している添加物の形態をガラス状にすれば、そうでない場合に比べて結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。さらに、核的毒物以外の添加物は焼結温度付近で液相を形成するため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させる効果がある。これらの効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0036】請求項4の発明は、前記核的毒物以外の添加物は、珪素およびアルミニウムの酸化物からなり、珪素およびアルミニウムの酸化物からなり、前記添加物中の各酸化物をそれぞれ二酸化珪素および三酸化二アルミニウムに換算した場合、二酸化珪素の重量比率が0ないし100%の範囲にあることを特徴とする。 【0037】この発明によれば、核的毒物以外の添加物が珪素の酸化物またはアルミニウムの酸化物からなり、ペレット内の結晶粒界に析出していることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。 【0038】前記添加物が珪素の酸化物およびアルミニウムの酸化物からなる場合、各酸化物の混合比率によってはペレット内での析出形態が結晶性またはガラス状になるが、この効果については、結晶粒界に析出している添加物がガラス相である方が良い。 【0039】加えて、各酸化物の混合比率を適当に選択し、ペレット内の結晶粒界に析出している添加物の形態をガラス状にすれば、そうでない場合に比べて結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。 【0040】さらに、核的毒物以外の添加物がこの組成域にある場合、焼結温度付近で液相を形成するため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させる効果がある。これらの効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0041】請求項5の発明は、前記核的毒物以外の添加物の燃料ペレット内における濃度は、重量割合で250ないし2500ppmの範囲であることを特徴とする。この発明によれば、核的毒物以外の添加物の濃度を上記範囲に設定することにより、添加物がペレット内の結晶粒界に析出することができ、またペレット内に最低限必要とされる核分裂性物質の量を保持することができる。 【0042】前記添加物がペレット内の結晶粒界に析出していることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりが促進され、ペレットのクリープ速度が従来のペレットに比べて大きくなるため、燃焼中のペレット−被覆管相互作用が従来のペレットに比べて抑えられる。 【0043】ペレット内の結晶粒界に析出している添加物の形態がガラス状であれば、そうでない場合に比べて結晶粒界に蓄積されるFPガスの量が少ないため、燃焼中のペレットのスエリング量が抑えられるという効果もある。さらに、核的毒物以外の添加物の濃度がこの範囲にある場合、焼結温度付近で十分な量の液相を形成するため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させる効果がある。これらの効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0044】請求項6の発明は、前記燃料ペレット内における核分裂性物質領域の平均結晶粒径は10ないし60μmの範囲にあることを特徴とする。この発明によれば、燃料ペレット内における核分裂性物質領域の平均結晶粒径が10ないし60μmの範囲にあることにより、燃焼中のペレットからのFPガス放出を従来の結晶粒径のペレットに比べて抑えることができる。この効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0045】請求項7の発明は、前記燃料ペレットの気孔率が9%から0.5%であることを特徴とする。この発明によれば、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物が分散しているペレットの気孔率が上記範囲にあれば、ペレット内に最低限必要とされる核分裂性物質の量を保持しながら、ペレットの熱伝導率を従来のペレットと同等またはそれ以上に保つことができる。この効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0046】請求項8の発明は、前記燃料ペレット中に存在する核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の直径が0.1μm以上ペレットの直径または軸方向長さのうち大きい方の長さを超えない範囲にあることを特徴とする。 【0047】この発明によれば、燃料ペレット中に存在する核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の直径が上記範囲にある場合、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物と核的毒物以外の添加物との反応を抑えることができる。また、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物が核分裂性物質からなる領域に固溶しないため、核的毒物の固溶による核分裂性物質からなる領域の結晶粒径減少を抑えることが可能になる。この作用により、燃焼中のペレットからのFPガス放出を結晶粒径が従来のペレットに比べて抑えることができる。この効果は燃料の健全性を従来に比べて向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0048】請求項9の発明は、核分裂性物質を含む燃料ペレットの製造方法において、前記核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物および前記核的毒物、または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物を添加して圧粉成形および焼結するか、または前記核分裂性物質を含む粉末に予め前記核的毒物以外の添加物を添加した後、前記核的毒物または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物を添加して圧粉成形および焼結することを特徴とする。 【0049】この発明によれば、核分裂性物質を含む核的毒物以外の添加物を添加することにより、核分裂性物質からなる領域の焼結を促進させることができるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べて増大させることができる。 【0050】また、従来のペレットに比べて燃焼中のペレットからのFPガス放出量が小さくなるペレットを製造することができる。このことは従来に比べて健全性を向上させた燃料要素または燃料集合体を提供できる副次的な効果がある。 【0051】さらに、燃料ペレットの製造方法において、核分裂性物質を含む粉末に予め前記核的毒物以外の添加物を添加した後、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物を添加して圧粉成形および焼結することができる。 【0052】この場合には、核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物を予め添加することにより、核分裂性物質からなる領域の焼結を選択的に促進させることができるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べて増大させることができる。これにより、結晶粒径が従来のペレットに比べて燃焼中のペレットからのFPガス放出量が小さくなるペレットを製造することができる。このことは、従来に比べ健全性を向上させた燃料を提供できる。 【0053】請求項10の発明は、前記核的毒物以外の添加物、前記核分裂性物質および前記核的毒物または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物の混合粉末を圧粉成形し、1000℃以上1800℃以下の温度で、かつ−600kJ/mol以上−100kJ/mol以下の酸素ポテンシャルを有する雰囲気で焼結することを特徴とする。 【0054】この発明によれば、核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物を添加することにより、核分裂性物質からなる領域の焼結を促進させることができるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べて増大させることができる。また、結晶粒径が従来のペレットに比べて燃焼中のペレットからのFPガス放出量が小さくなるペレットを製造することができ、従来に比べ健全性を向上させた燃料を提供できる。なお、ニ酸化珪素の蒸発は、焼結雰囲気の酸素ポテンシャルに依存するため、ニ酸化珪素の蒸発を抑える観点から、焼結雰囲気はできるだけ酸化性の方が良い。 【0055】請求項11の発明は、前記核的毒物、または前記核分裂性物質と前記核的毒物との混合物の周囲に0℃以上1000℃以下の温度で分解または蒸発する物質を予め被覆した後に、前記核的毒物以外の添加物および前記核分裂性物質からなる粉末と混合し、圧粉成形した後、焼結することを特徴とする。 【0056】この発明によれば、添加する核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の周囲に0℃以上1000℃以下の温度で分解または蒸発する物質を予め被覆することにより、核分裂性物質を含む粉末と核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物との反応を抑えながら、かつ核的毒物以外の添加物を添加することにより、核分裂性物質からなる領域の焼結を促進させることができる。 【0057】これにより、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べて増大させることができ、結晶粒径が従来のペレットに比べて燃焼中のペレットからのFPガス放出量が小さくなるペレットを製造することができる。このことは、従来に比べ健全性を向上させた燃料を提供できる。 【0058】請求項12の発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に装填して密封してなる燃料要素において、前記燃料ペレットは前記請求項1ないし請求項8記載の燃料ペレットからなり、この燃料ペレットの少なくとも一部を、前記燃料被覆管内に装填して封入してなることを特徴とする。 【0059】この発明によれば、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させた請求項1ないし8記載の燃料ペレットの少なくとも一部を、前記燃料被覆管に装填して密封することにより、燃料の燃焼に伴いペレットから放出されるFPガスの量を、従来の結晶粒径を有するペレットのみを被覆管に装填して密封した燃料要素に比べて抑えることができる。 【0060】請求項13の発明は、燃料ペレットを燃料被覆管内に装填して密封してなる燃料要素において、前記請求項1ないし8記載の燃料ペレットを前記燃料被覆管の軸方向出力を平均した値を超える部分に装填してなることを特徴とする。 【0061】この発明によれば、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させた請求項1ないし8記載の燃料ペレットを、被覆管、つまり燃料要素の軸方向出力を平均した値を超える部分に選択的に配置し、前記燃料被覆管に装填し密封することにより、燃料要素の燃焼に伴いペレットから放出されるFPガスの量を、従来の結晶粒径を有するペレットのみを装填した燃料要素に比べて抑えることができる。 【0062】この発明による燃料要素は、従来の結晶粒径を有するペレットのみを装填した燃料要素に比べFPガス放出量を抑えることができるため、燃料温度に起因した燃料要素の出力制限を従来に比べて緩和することができる。 【0063】請求項14の発明は、前記請求項1ないし8記載の燃料ペレットを燃料被覆管内の少なくとも一部に装填して密封してなる前記請求項12または13記載の燃料要素を少なくとも一部に含む多数本の燃料要素を上下タイプレートに固定して結束してなることを特徴とする。 【0064】この発明によれば、従来の結晶粒径を有するペレットのみを装填した燃料要素に比べてFPガス放出量を抑えることができる燃料要素を多数本結束するため、燃料温度に起因した燃料集合体の出力制限を従来に比べて緩和することができる。このことは、従来に比べ健全性を向上させた燃料集合体を提供できる。 【0065】次に、本発明に係るペレットの作用を説明する。本発明に係る製造方法にしたがってペレットを製造すると、焼結中に核的毒物以外の添加物が液相を形成し、液相焼結メカニズムにより核分裂性物質を含む粉末間の表面反応を促進するため、結晶粒の成長を助長する。この結晶粒の成長により、ペレット燃焼中に発生するFPガスの結晶粒界への拡散距離が増加するため、結晶粒径の小さい従来のペレットに比べて、本発明のペレットからのFPガス放出量が減少する。 【0066】核的毒物以外の添加物として、珪素の酸化物およびアルミニウムの酸化物を使用した場合、ペレット内の核分裂性物質からなる領域の結晶粒径は40ないし60μmとなり、無添加のものに比べて4ないし6倍となる。この粒径増大効果により、ペレットからのFPガス放出量についてみると、添加物を添加して結晶粒径を増大させた場合、増大させない場合に比べて約半分になる。 【0067】また、一般にペレットは金属製被覆管に装填して密封されており(これを燃料要素という)、ペレットの燃焼中にはペレットの熱膨張等によりペレットと被覆管の間に機械的な相互作用(PCI)が働く。燃料要素の健全性はPCIの程度に左右されるため、PCIを抑えるためには、ペレット中に適当な添加物を加えることによりペレット内の結晶粒界にガラス相を析出させ、結晶粒界同士を滑りやすくさせてやれば良い。 【0068】また、結晶粒界にガラス相を析出させると、析出させない場合に比べて、結晶粒界に保持されるFPガスの量を少なくできるため、照射中に起こるペレットの体積膨張(スエリング)を抑えられる。既に述べた焼結中に形成された液相は、ペレットの中心部を除きペレット燃焼中にはガラスもしくは結晶質の相状態になる。 【0069】この相状態は核的毒物以外の添加物の種類および組成に依存し、一般に珪素の酸化物やアルミニウムの酸化物およびこれらの混合物や化合物を利用するとガラス相になりやすいため、核的毒物以外の添加物としてこれらの物質を使用すれば良い。 【0070】本発明に核的毒物以外の添加物の添加濃度については、例えば二酸化珪素と三酸化二アルミニウムの混合物を使用した場合、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させるためには、重量割合で250ppm以上必要である。また、2500ppm以上の添加量は、焼結ペレットの密度を低下させる原因となるため適当でない。 【0071】また、核的毒物以外の添加物の混合方法については、例えば添加物として二酸化珪素と三酸化二アルミニウムの混合物を使用した場合、例えば核的毒物として一般に使用されているGd2O3がペレットの焼結中にこれらの物質と反応しやすく、核的毒物以外の添加物と核的毒物を核分裂性物質を含む粉末と同時に混合すると、核的毒物以外の添加物と核的毒物とが最初に反応してしまい、添加物の添加による核分裂性物質を含む領域の結晶粒径増大効果が打ち消されてしまう。 【0072】この反応をできるだけ抑えるために、まず核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物を混合し、その後に核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物を添加して圧粉成形するのが良い。または、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物からなる粒子の周囲に、核的毒物以外の添加物との反応を抑えるような物質を塗布するのも良い。 【0073】この際、塗布した物質が製品ペレットの焼結温度まで残存するとペレットの焼結状態に影響が現れるため、塗布する物質としては、核分裂性物質を含む粉末が焼結を終了する温度(一般に1000℃以上)までに分解して揮発するものが適している。 【0074】ペレット内に存在する核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の直径の下限については、次のように決められる。通常市販されている核的毒物粉末の比表面積から求めた粒子直径が約0.1μmであり、この粉末を使用して本発明に係る製造方法で本発明に係るペレットを製造すると、ペレット内の核分裂性物質からなる領域にほぼ均一に核的毒物が固溶した。 【0075】このペレットでは、従来製造されている核的毒物添加のペレットと何ら変わらず、本発明によってもたらされる効果はほとんど現れない。すなわち、核的毒物粉末の粒子直径が0.1μmという値よりも小さくなると本発明の効果は現れない。直径の上限については、核的毒物または核分裂性物質と核的毒物との混合物の大きさがペレットの大きさを超えなければ、本発明によりもたらされる効果を得ることができる。 【0076】 【発明の実施の形態】本発明に係るペレットと、その製造方法の実施の形態を図1および図2により説明する。 (第1の実施の形態)図1において、符号1で示す立方晶の結晶構造を有するGd2O3粉末を2t/cm2の圧力で成形し、真空中または空気中1450℃で15分間仮焼して単斜晶の結晶構造を有するGd2O3焼結ペレットとした。このペレットを乳鉢内で粉砕後、さらに超微粉砕機により湿式で2時間粉砕して単斜晶Gd2O3粉末2とした。 【0077】この単斜晶Gd2O3粉末2を約50%TD(%TDは、理論密度に対するペレット密度の比)となるように圧粉成形後、再び乳鉢内で粉砕し篩い分けにより約200μmの粒径を有するGd2O3粒子3とした。Gd2O3粒子3の周りにGd2O3の粉末が残っていると、ペレットの焼結に影響を及ぼすため、篩い分け後のGd2O3粒子3を洗浄し乾燥させた。 【0078】一方、UO2粉末4に核的毒物以外の添加物として二酸化珪素(SiO2)および三酸化二アルミニウム(Al2O3)の混合粉末5を予め250ないし2500ppm添加した後、この粉末に対し洗浄・乾燥させたGd2O3粒子3を10wt%Gd2O3の添加濃度となるように秤量し添加して混合した。 【0079】混合粉末を2.3t/cm2の圧力でプレスし、内部にGd2O3粒子3と二酸化珪素(SiO2)および三酸化二アルミニウム(Al2O3)の混合粉末とを含む成形密度50%TDの圧粉成形体6を得た。この圧粉成形体6を露点9℃の40%H2−N2ガス中、1740℃で4時間にわたり焼結7し、密度約96%TDの焼結ペレット(以下、単にペレットと記す)8を製造した。 【0080】図2は、このようにして製造されたペレット8の金相を模式的に図示したものである。図中の符号8はペレットであり、9はペレット内に分散させたGd2O3粒子3、10は核的毒物以外の添加物の析出相、11は核的毒物と核的毒物以外の添加物とが反応したと思われる核的毒物と核的毒物以外の添加物との反応領域である。 【0081】核的毒物以外の添加物に関し、添加濃度および添加物の組成を変化させてペレットを製造し、各ペレットについて数箇所のペレット横断面金相写真から評価した。その結果、UO2領域の結晶粒径は、核的毒物以外の添加物を250ppm添加した場合に10μm、2500ppm添加した場合に約60μmであった。 【0082】無添加の場合のUO2領域における結晶粒径は約10μmであったことを考慮すると、核的毒物以外の添加物を250ppmより少ない場合は効果がないと考えられる。このことは、核的毒物粒子を添加していない場合や、核的毒物を均一に混合した場合の粒径変化(例えば特開平5−11088号公報)では、核的毒物以外の添加物を250ppm添加しただけでペレット内の結晶粒径増大効果が現れていることと対照的である。 【0083】両者の差異については、Gd2O3粒子の周囲にはGd2O3と添加したSiO2およびAl2O3とが反応したと思われる反応相が観察されたことから、核的毒物と核的毒物以外の添加物とが反応することにより核的毒物以外の添加物による結晶粒径増大効果が小さくなっているためと考えられる。 【0084】ちなみに、Gd2O3粒子の周囲には、熱伝導率に影響を与えるような大きな割れや空隙は認められず、またペレットの熱伝導率をレーザーフラッシュ法で測定した結果、本実施の形態によるペレットの熱伝導率は核的毒物がペレット内に含まれているにもかかわらず、UO2単体のそれとほぼ同等であった。 【0085】次に本実施の形態における応用例1から12と参考例1および2を説明する。 [応用例1]第1の実施の形態では、核的毒物としてGd2O3単体を使用したが、ペレット内で核的毒物濃度が局所的に高い組成からなる領域を分散させれば良いので、ペレット平均よりも高いGd2O3濃度を有するUO2とGd2O3の固溶体を分散させても良い。 【0086】[応用例2]第1の実施の形態では、核分裂性物質を含む粉末として二酸化ウランを使用しているが、二酸化ウラン粉末以外の核分裂性物質の粉末、例えば二酸化プルトニウム(PuO2)や二酸化トリウム(ThO2)、それらの混合粉末を用いても本発明と同様の効果が得られる。 【0087】[応用例3]第1の実施の形態ではガドリニウム酸化物を特定の物質で被覆していないが、核的毒物と核的毒物以外の添加物との反応をできるだけ抑えた方が、核分裂性物質を含む領域の結晶粒径増大に関し有利である。このため、核的毒物の周囲を特定の物質で被覆しても良い。このような物質として、無機性化合物、有機系化合物、金属脂肪酸や脂肪酸、例えばステアリン酸亜鉛、ラウリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸やアミド系化合物を使用しても良い。 【0088】[応用例4]第1の実施の形態では、核的毒物としてガドリニウム酸化物の単体を使用したが、核的毒物からなる粒子と核的毒物以外の添加物と反応させ難くする物質を、予め核的毒物からなる粒子に添加しても良い。 【0089】[応用例5]第1の実施の形態では、核的毒物粒子を混合前に予め洗浄したが、洗浄しなくても良い。 【0090】[応用例6]第1の実施の形態では、核的毒物粒子の表面状態を制御しなかったが、核的毒物以外の添加物との反応を抑える観点から、できるだけ表面を滑らかにしてから他の粉末と混合しても良い。 【0091】[応用例7]第1の実施の形態では、核的毒物粒子の形状を制御しなかったが、核的毒物以外の添加物との反応を抑える観点から、できるだけ球に近い形状にしてから他の粉末と混合しても良い。 【0092】[応用例8]第1の実施の形態では、添加している核的毒物粒子の大きさを約200μmとしているが、粒子径がこの値よりも小さくても大きくても良い。燃料の核的性質を考慮すると粒子径は小さい方が望ましいが、その分、核的毒物粒子の表面積が増加するため核的毒物以外の添加物との反応量が増加し、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径増大効果が小さくなる。 【0093】[応用例9]第1の実施の形態では、添加している核的毒物粒子を圧粉成形して作製しているが、核的毒物を予め焼結しても良い。 【0094】[応用例10]第1の実施の形態では、核的毒物としてガドリニウム酸化物を使用したが、Gdと化学的性質が類似しているErやDy等の他の核的毒物でも第1の実施の形態と同様の効果が得られる。 【0095】[応用例11]第1の実施の形態では、焼結時の雰囲気ガスとしてH2Oを含んだH2とN2の混合ガスを使用したが、焼結挙動は焼結時に固相と平衡になる雰囲気ガスの酸素ポテンシャルに影響されるので、同様な酸素ポテンシャルを有する他の雰囲気ガス、例えばCO−CO2混合ガスやCO2−NH3混合ガス等を使用しても良い。 【0096】[応用例12]第1の実施の形態では、核的毒物以外の添加物として二酸化珪素および三酸化二アルミニウムの混合物を使用したが、その他の添加物として粒径増大効果を有するチタン酸化物やニオブ酸化物、およびこれらを含む混合物や化合物を使用しても良い。 【0097】ただし、チタン酸化物やニオブ酸化物はUO2等の核分裂性物質に固溶しやすく、固溶することでペレットからのFPガス放出量を増加させることが知られており、これらの添加物を使用したペレットは、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径が増大していたとしても、FPガス放出量低減効果はない。 【0098】[参考例1]第1の実施の形態では、核的毒物からなる粒子として単斜晶の構造を有するGd2O3粒子を使用した。一般に販売されているGd2O3粉末は立方晶の構造を有しており、この粉末をそのまま使用すると、立方晶−単斜晶の相変化に伴う体積減少により、製品ペレットのGd2O3粒子の周囲に気孔が発生し製品ペレットの密度が低下した。この減少は、立方晶の構造を有するGd2O3粉末の特性を変化させた場合、例えば粉砕して比表面積を増大させた場合でも、その程度は小さいものの同様に発生した。 【0099】[参考例2]第1の実施の形態では、核的毒物をペレット状に圧粉成形し粉砕した粒子を添加した。この方法以外に、核的毒物のペレットを1500℃で焼結し、これを切断して一辺が0.5ないし2mmの核的毒物焼結粒子を作製し、第1の実施の形態による方法でペレットを製造した。その結果、核的毒物粒子の大きさによらず、核的毒物粒子と核分裂性物質からなる領域の界面に割れが発生した。また、核的毒物の焼結粒子を用いた場合、核分裂性物質の粉末と焼結時の体積収縮割合が異なるため、焼結後のペレットは、核的毒物の焼結粒子の付近を中心として表面に凹凸が顕著に現れた。 【0100】次に本発明に係る燃料要素の実施の形態を図3(a)により説明する。図3(a)に示した燃料要素12は、例えばジルコニウム基合金からなる長尺円筒状燃料被覆管13内に複数個の燃料ペレット14が積層して装填されており、燃料被覆管13の上下両端部は上部端栓15と下部端栓16で密封されている。 【0101】上部端栓15と燃料ペレット14の上端との間にはプレナムスプリング17が設けられており、プレナムスプリング17により燃料ペレット14の上下動を防止している。ここで、燃料ペレット14は上記実施の形態によって製造されたものと同様のもので、次のように構成されている。 【0102】すなわち、図1に示したように立方晶の結晶構造を有するGd2O3粉末(立方晶)1を2t/cm2の圧力で成形し、真空中もしくは空気中1450℃で15分間仮焼して単斜晶の結晶構造を有するGd2O3焼結ペレットとし、このペレットを乳鉢内で粉砕後、さらに超微粉砕機にて湿式で2時間粉砕してGd2O3粉末(単斜晶)2とした。 【0103】このGd2O3(単斜晶)粉末2を約50%TD(%TDは、理論密度に対するペレット密度の比)となるように圧粉成形後、再び乳鉢内で粉砕し篩い分けにより約200μmの粒径を有するGd2O3粒子3を取り出した。Gd2O3粒子3の周りにGd2O3の粉末が残っていると、ペレットの焼結に影響を及ぼすため、篩い分け後のGd2O3粉末3を洗浄し乾燥させた。 【0104】一方、UO2粉末4に核的毒物以外の添加物として二酸化珪素および三酸化二アルミニウムの混合粉末5を予め250ないし2500ppm添加した後、この粉末に対し洗浄・乾燥させたGd2O3粒子3を10wt%Gd2O3の添加濃度となるように秤量し添加・混合した。 【0105】混合粉末を2.3t/cm2の圧力でプレスし、内部にGd2O3粒子3と二酸化珪素(SiO2)および三酸化二アルミニウム(Al2O3)の混合粉末5とを含む成形密度50%TDの圧粉成形体6を得た。この圧粉成形体6を露点9℃の40%H2−N2ガス中、1740℃で4時間焼結7し、密度約96%TDの焼結ペレット8を製造した。 【0106】上記方法により製造されたペレット8を図3(a)に示す燃料ペレット14として、図3(a)に示したようにジルコニウム基合金からなる燃料被覆管13に装填し、燃料被覆管13の上下両端部を上部端栓15および下部端栓16により密封して燃料要素12を構成した。 【0107】例えば、核的毒物以外の添加物として、珪素の酸化物およびアルミニウム酸化物の混合物を使用した場合、ペレット14内の核分裂性物質からなる領域の結晶粒径は40ないし60μmとなり、無添加のものに比べて4ないし6倍となる。この粒径増大効果により、ペレット14からのFPガス放出量についてみると、添加物を添加して結晶粒径を増大させた場合、そうでない場合に比べて約半分になる。これにより、核的毒物以外の添加物を添加していないペレットを用いた燃料要素に比べて、その燃焼に伴い発生するFPガス放出量を約半分に低減した燃料要素を提供することができる。なお、上記ペレット14は、燃料被覆管13内の一部または全部に配置することができる。 【0108】本発明に係るペレットはFPガス放出量が従来のペレットに比べて抑えられており、ペレットからのFPガス放出はペレット温度に依存していることを考慮すると、燃料要素12の軸方向で相対的に出力の高い位置に配置すれば、燃料要素12内のFPガス放出量を従来のペレットを使用した燃料要素に比べて抑えることができる。 【0109】次に、本発明に係る燃料集合体の実施の形態を図3(b)によリ説明する。図3(b)に示した燃料集合体18は図3(a)に示した燃料要素12の上下両端を上部タイプレート19および下部タイプレート20にスペーサ21を介在して組み込み結束したものである。スペーサ21は多数本の燃料要素12の間隔を保持するためのものである。この燃料集合体18は炉心内に装荷する場合、その外側は角筒状のチャンネルボックス(図示せず)によって包囲される。図3(b)中、符号22はチャンネルファスナで、下部タイプレート20と下部端栓16によって固定されている。 【0110】本実施の形態によれば、図3(a)に示す燃料要素12を多数本スペーサを介在し結束して燃料集合体18とすることにあり、本発明に係るペレット14を装填した燃料要素12は、燃料被覆管13内でのFPガス放出量が従来の燃料要素に比べて抑えることができる。 【0111】よって、ペレット14からのFPガス放出はペレット温度に依存していることを考慮すると、燃料集合体内で相対的に出力の高い位置に選択的に本発明に係る燃料要素を配置すれば、従来の燃料要素を結束した燃料集合体に比べて燃料要素内のFPガス放出量の抑えることができる燃料集合体を提供することができる。 【0112】 【発明の効果】本発明の燃料ペレットによれば、核的毒物以外の添加物により核分裂性物質からなる領域の焼結が促進されるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べ増大させることができる。このことは結晶粒径が従来のペレットに比べ燃焼中のペレットからのFPガス放出量を抑える効果があり、燃料の健全性を従来に比べ向上させるため、燃料の高燃焼度化に寄与する。 【0113】また、核的毒物以外の添加物をペレット内の結晶粒界に析出させることにより、ペレット内の結晶粒界のすべりを促進しペレットのクリープ速度を従来のペレットに比べて大きくさせることができる。このことは、燃焼中のペレット−被覆管相互作用を従来のペレットを用いた燃料に比べて抑える効果がある。 【0114】本発明の燃料ペレットの製造方法によれば、核分裂性物質を含む粉末に核的毒物以外の添加物を添加することにより、核分裂性物質からなる領域またはこの領域の焼結を促進させることができるため、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を従来のペレットに比べ増大させることができる。したがって、結晶粒径が従来のペレットに比べ燃焼中にペレットからのFPガス放出量が小さくなるペレットを製造することができる。このことは、従来に比べ健全性を向上させた燃料要素または燃料集合体を提供できる副次的な効果がある。 【0115】本発明の燃料要素によれば、核分裂性物質からなる領域の結晶粒径を増大させた本発明に係る燃料ペレットの少なくとも一部を、燃料被覆管に装填して密封することにより、燃料要素の燃焼に伴いペレットから放出されるFPガスの量を、従来の結晶粒径を有するペレットのみを装填して密封した燃料要素に比べて抑えることができる。また、燃料温度に起因した燃料要素の出力制限を従来に比べ緩和することができ、従来に比べ健全性を向上させた燃料要素を提供できる効果がある。 【0116】本発明の燃料集合体によれば、FPガス放出量を抑えることができる本発明に係る燃料要素を多数本結束するため、燃料温度に起因した燃料集合体の出力制限を従来に比べ緩和することができる。このことは、従来に比べ健全性を向上させた燃料集合体を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000230733 【氏名又は名称】日本核燃料開発株式会社 【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成12年12月11日(2000.12.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087332 【弁理士】 【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−181975(P2002−181975A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月26日(2002.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−375959(P2000−375959) |
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