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【発明の名称】 貯蔵容器、貯蔵容器の詰替えシステム、および詰替え方法
【発明者】 【氏名】松永 健一

【氏名】阿部 岩司

【氏名】村上 和夫

【氏名】浅田 和雄

【氏名】白石 直

【氏名】国嶋 茂

【要約】 【課題】詰替え作業中において密閉容器が落下した場合でも、密閉容器の破損を防止可能な貯蔵容器、詰替えシステム、詰替え方法を提供することにある。

【解決手段】コンクリートキャスク10の容器本体12は、キャニスタ14を収納する収納部22を備えている。容器本体の収納部22に対してキャニスタの装填および取り出しを行う詰め替えシステムは、収納部の径よりも小さな外径およびキャニスタの径よりも大きな内径を有した減速シリンダ72と、減速シリンダを収納部内の下降位置と収納部から引き出された上昇位置との間で昇降させる第1昇降機構74と、キャニスタの一端部を保持する保持部76を有し、キャニスタを容器本体に対して昇降させる第2昇降機構78と、を備えている。詰替え作業時、容器本体の収納部内に減速シリンダを装着した状態で、第2昇降機構により、キャニスタを収納部に対して装填および取り出しを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】放射性物質が封入された密閉容器を貯蔵する貯蔵容器において、上記密閉容器を収納する収納部と、この収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口と、を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定される冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、上記密閉容器を上記収納部に対して出し入れする際、上記吸気口および排気口を閉塞する閉塞部材と、上記容器本体の上端開口に設けられているとともに、上記収納部の寸法よりも小さくかつ上記密閉容器の外寸法よりも大きな寸法に形成され上記密閉容器を挿通可能な挿通孔を有した速度減衰部と、を備えたことを特徴とする貯蔵容器。
【請求項2】上記速度減衰部は、上記容器本体の上端開口に脱着可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の貯蔵容器。
【請求項3】上記速度減衰部は、上記容器本体と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯蔵容器。
【請求項4】上記速度減衰部は、上記挿通孔の内面にこの挿通孔とほぼ同軸的に形成された溝を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貯蔵容器。
【請求項5】上記閉塞部材の各々は、上記容器本体に対し脱着自在に取付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貯蔵容器。
【請求項6】上記閉塞部材の各々は、上記吸気口あるいは排気口を閉塞する位置と上記吸気口あるいは排気口を開放する位置との間を移動可能に上記容器本体に取付けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貯蔵容器。
【請求項7】上記容器本体はコンクリートにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の貯蔵容器。
【請求項8】放射性物質が封入された密閉容器を収納する収納部、およびこの収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定される冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、を備えた貯蔵容器に対して、上記密閉容器を装填および取り出す貯蔵容器の詰替えシステムにおいて、上記収納部の寸法よりも小さな外寸法および上記密閉容器の寸法よりも大きな内寸法を有し、上記上端開口を通して上記収納部内に装着可能な減速シリンダと、上記減速シリンダを上記容器本体の収納部内に装着された下降位置と、上記収納部から引き出された上昇位置との間で昇降させる第1昇降機構と、上記密閉容器の一端部を保持する保持部を有し、上記密閉容器を上記容器本体に対して昇降させる第2昇降機構と、を備え、上記容器本体の収納部内に上記減速シリンダを装着した状態で、上記第2昇降機構により、上記密閉容器を上記収納部に対して装填および取り出しを行うことを特徴とする貯蔵容器の詰替えシステム。
【請求項9】上記密閉容器を収納し搬送するための輸送容器と、上記貯蔵容器とを並べて配置する容器載置部を備え、上記第2昇降機構は、上記輸送容器の上方に位置する第1位置と、上記貯蔵容器の上方に位置する第2位置との間を移動可能に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の貯蔵容器の詰替えシステム。
【請求項10】上記容器載置部の上方において、上記輸送容器と対向する第1位置と、上記貯蔵容器と対向する第2位置との間を移動可能に設けられたハウジングを備え、上記第1および第2昇降機構は上記ハウジング内に設けられ、上記ハウジングは、上記第1位置において上記輸送容器の上端開口と対向し上記第2位置において上記貯蔵容器の上端開口と対向するとともに、上記減速シリンダおよび密閉容器を挿通可能な導入開口と、上記導入開口を開閉する開閉部と、を備え、上記第1昇降機構によって引き上げた上記減速シリンダおよび上記第2昇降機構によって引き上げた上記密閉容器を収納可能に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の貯蔵容器の詰替えシステム。
【請求項11】上記減速シリンダは、上記下降位置において、上記容器本体の底壁によって閉塞される下端開口と、上記容器本体の排気口よりも上方に位置する上端開口と、を有していることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の貯蔵容器の詰替えシステム。
【請求項12】放射性物質が封入された密閉容器を収納する収納部、およびこの収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定される冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、を備えた貯蔵容器に対して、上記密閉容器を装填および取り出す貯蔵容器の詰替え方法において、上記収納部の寸法よりも小さな外寸法および上記密閉容器の寸法よりも大きな内寸法を有した減速シリンダを、上記貯蔵容器の上端開口を通して上記収納部内に装着し、上記減速シリンダの上端開口を通して、上記密閉容器を上方から上記減速シリンダ内に挿入することにより上記収納部内に配置した後、上記減速シリンダを上記収納部から引き上げ、上記密閉容器を上記収納部から取り出す際、上記貯蔵容器の上端開口を通して上記減速シリンダを上記収納部内に装着し、上記密閉容器の外側に配置した後、上記密閉容器を上記収納部から引き上げることを特徴とする貯蔵容器の詰替え方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発熱を伴う放射性物質を貯蔵管理する貯蔵容器、放射性物質を収納した金属製の密閉容器、いわゆるキャニスタを貯蔵容器に対して装填及び取り出しを行う詰替えシステム、および詰替え方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の燃料として再度使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。そして、これらの使用済燃料は、再処理を行うまでの間、密閉された状態で貯蔵されている。このような高放射性物質の貯蔵方法としては、キャスク等の貯蔵容器を用いた乾式法が注目されている。乾式法に用いるキャスクには種々の構造のものがあるが、コンクリート構造物によって使用済燃料を遮蔽するコンクリートキャスクは、低コストであることから特に注目されている。コンクリートは、構造体として必要な強度が得られる等の利点も備えている。
【0003】このようなコンクリートキャスクは、上部および底部が閉塞された筒状のコンクリート容器を備え、このコンクリート容器内に、使用済燃料が封入された筒状の金属密閉容器、いわゆるキャニスタ、が収納されている。
【0004】一般に、キャニスタは、使用済燃料から発生した崩壊熱により加熱され200℃程度の高温となるため、コンクリートキャスクには、使用済燃料から発生した崩壊熱を除熱するための除熱構造が設けられている。すなわち、コンクリート容器の内周面とキャニスタの外周面との間には、冷却空気流路として機能する環状の隙間が形成され、コンクリート容器の下端周縁部には吸気口が、また、容器の上端周縁部には排気口がそれぞれ設けられている。そして、吸気口からコンクリート容器内に導入された冷却空気としての外気を、冷却空気流路を流して自然対流させ排気口から排出することにより、キャニスタおよびコンクリート容器を除熱し冷却している。
【0005】このように構成されたコンクリートキャスクでは、上述した除熱構造により、使用済燃料の冷却、コンクリート層により放射線の遮蔽、キャニスタにより使用済燃料の密封を担保している。そして、コンクリートキャスクは、高放射性物質を長期間に亘って安全に、かつ、安定して保管する必要があり、長期間に亘って高い放射線遮蔽性能が要求されている。
【0006】一方、このようなコンクリートキャスクに対する放射性物質の収納作業および取り出し作業は以下の工程で行われる。まず、放射性物質として、例えば、原子炉の使用済燃料は、原子力発電所の貯蔵プール等でキャニスタに収納され密閉される。そして、このキャニスタは輸送用容器、いわゆる輸送用キャスクに収納された後、トラック等によって貯蔵施設に搬送される。この貯蔵施設において、搬送されてきたキャニスタは、輸送用キャスクから引き抜かれ、予め用意しておいたコンクリートキャスク内に装填される。そして、キャニスタはコンクリートキャスクに収納された状態で、所定期間貯蔵される。
【0007】また、このようにして所定期間貯蔵された後、キャニスタは、コンクリートキャスクから取り出され、再度、輸送用キャスクに装填され、トラック等によって再処理施設へ搬送される。
【0008】コンクリートキャスクに対するキャニスタの装填および取り出し、すなわち、コンクリートキャスクに対するキャニスタの詰替え作業は、通常、コンクリートキャスクを立てた状態で配置し、キャニスタを上から吊り下げた状態で、コンクリートキャスクの上端開口を通して、コンクリートキャスク内へ装填あるいはコンクリートキャスクから取り出しを行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したようなキャニスタの詰替え作業において、吊り上げられたキャニスタが何らかの原因により万一落下する場合も想定する必要がある。例えば、詰替え作業中にキャニスタがコンクリートキャスクの真上に位置した状態から、あるいは、一部がキャニスタに挿入された状態から落下した場合、このキャニスタは、コンクリートキャスク内を通ってコンクリートキャスクの底壁に衝突し、その衝撃によって破損することが考えられる。
【0010】したがって、キャニスタおよびコンクリートキャスクの放射線に対する密閉性および遮蔽性を確実に担保し、信頼性および安全性を一層向上するためには、上記のような落下に対するキャニスタの破損を防止するための対策が必要となる。
【0011】この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、密閉容器の詰替え作業等において密閉容器の落下が生じた場合でも、密閉容器の破損を防止可能な貯蔵容器、貯蔵容器の詰替えシステム、および詰替え方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明に係る貯蔵容器は、放射性物質が封入された密閉容器を収納する収納部、およびこの収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定された冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、上記密閉容器を上記収納部に対して出し入れする際、上記吸気口および排気口をそれぞれ閉塞する複数の閉塞部材と、上記容器本体の上端開口に設けられているとともに、上記収納部の寸法よりも小さくかつ上記密閉容器の外寸法よりも大きな寸法に形成され上記密閉容器を挿通可能な挿通孔を有した速度減衰部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】上記構成の貯蔵容器によれば、収納部に対して密閉容器を装填あるいは取り出す場合、速度減衰部の挿通孔を通して装填あるいは取り出しが行われる。そして、この挿通孔は、上記収納部の寸法よりも小さくかつ上記密閉容器の外寸法よりも大きな寸法を有しているため、密閉容器が挿通孔を通る際に形成される密閉容器外面と挿通孔との隙間を、上記収納部内に装着した状態における密閉容器と収納部内面との隙間よりも小さくすることができる。そして、同時に、閉塞部材によって吸気口および排気口を閉塞することにより、収納室内の空気は上記密閉容器外面と挿通孔との狭い隙間のみを通って外部に排気される。
【0014】従って、密閉容器の詰替え作業中に密閉容器が万一落下した場合でも、上記密閉容器外面と挿通孔との隙間を通る空気の抵抗が大きく、空気ダンパとして作用し、密閉容器の落下速度を大幅に減速することができる。これにより、不慮の事故等によって密閉容器が落下した場合でも、密閉容器に作用する衝撃を低減し、密閉容器の破損を防止することが可能となる。
【0015】また、この発明に係る貯蔵容器の詰替えシステムは、放射性物質が封入された密閉容器を収納する収納部、およびこの収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定された冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、を備えた貯蔵容器に対して、上記密閉容器を装填および取り出す貯蔵容器の詰替えシステムにおいて、上記収納部の寸法よりも小さな外寸法および上記密閉容器の寸法よりも大きな内寸法を有し、上記上端開口を通して上記収納部内に装着可能な減速シリンダと、上記減速シリンダを上記容器本体の収納部内に装着された下降位置と、上記収納部から引き出された上昇位置との間で昇降させる第1昇降機構と、上記密閉容器の一端部を保持する保持部を有し、上記密閉容器を上記容器本体に対して昇降させる第2昇降機構と、を備え、上記容器本体の収納部内に上記減速シリンダを装着した状態で、上記第2昇降機構により、上記密閉容器を上記収納部に対して装填および取り出しを行うことを特徴としている。
【0016】更に、この発明に係る貯蔵容器の詰替え方法は、放射性物質が封入された密閉容器を収納する収納部、およびこの収納部に対して上記密閉容器を出し入れするための上端開口を有した容器本体と、上記容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、上記容器本体の底部に設けられた吸気口、上記容器本体の上部に設けられた排気口、および上記収納部の内面とこの収納部に収納された上記密閉容器の外面との間に規定された冷却空気流路を有し、上記吸気口から容器本体内に導入された空気を上記冷却空気流路に流して上記放射性物質から発生する熱を除去し、上記排気口から排出する除熱部と、を備えた貯蔵容器に対して、上記密閉容器を装填および取り出す貯蔵容器の詰替え方法において、上記収納部の寸法よりも小さな外寸法および上記密閉容器の寸法よりも大きな内寸法を有した減速シリンダを、上記貯蔵容器の上端開口を通して上記収納部内に装着し、上記減速シリンダの上端開口を通して、上記密閉容器を上方から上記減速シリンダ内に挿入することにより上記収納部内に配置した後、上記減速シリンダを上記収納部から引き上げ、上記密閉容器を上記収納部から取り出す際、上記貯蔵容器の上端開口を通して上記減速シリンダを上記収納部内に装着し、上記密閉容器の外側に配置した後、上記密閉容器を上記収納部から引き上げることを特徴としている。
【0017】上記のように構成された詰替えシステムおよび詰替え方法によれば、貯蔵容器の収納部に対する密閉容器の装填および取り出しは、予め、減速シリンダを収納部内に装着した状態で行う。減速シリンダを収納部内に装着することにより、収納部内には、減速シリンダによって収納部よりも寸法の小さな空間が規定される。そのため、減速シリンダ内を通る密閉容器の外面と減速シリンダの内面との隙間は、上記収納部内に装着した状態における密閉容器と収納部内面との隙間よりも小さく、減速シリンダ内の空気はこの小さな隙間のみを通って外部に排気される。従って、密閉容器の詰替え作業中に密閉容器が万一落下した場合でも、上記減速シリンダ内面と密閉容器外面との隙間を通る空気の抵抗が大きく、空気ダンパとして作用し、密閉容器の落下速度を大幅に減速することができる。これにより、不慮の事故等によって密閉容器が落下した場合でも、密閉容器に作用する衝撃を低減し、密閉容器の破損を防止することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発明の第1の実施の形態に係るコンクリートキャスクについて詳細に説明する。図1ないし図3に示すように、コンクリート製貯蔵容器としてのコンクリートキャスク10は、コンクリートにより形成され遮蔽構造体として機能する容器本体12を備え、この容器本体内には、キャニスタ14が収納されている。キャニスタ14は、金属によって形成されているとともに、両端が閉塞した円筒形状の密閉容器からなり、この密閉容器内には、バスケット16により支持された状態で、使用済燃料集合体18が複数体封入されている。これらの使用済燃料集合体18は、例えば、原子炉の使用済燃料であり、崩壊熱に伴う発熱と放射線の発生を伴う放射性物質を含んでいる。
【0019】コンクリートキャスク10の容器本体12は、底部の閉塞された円筒形状を有し、例えば、高さ約6m、直径約4m程度に形成され、また、コンクリートの壁厚は、約0.9m程度に形成されている。容器本体12の上端開口は、外面が炭素鋼板によって覆われたコンクリート製の蓋体20により閉塞されている。この蓋体20は、複数のボルト21により容器本体12の上端にボルト止めされている。なお、容器本体12のコンクリート壁内には、図示しない配筋が施されている。
【0020】容器本体12内には、この容器本体の内周面および蓋体20により、円柱形状の収納部22が規定されている。そして、この収納部22内にキャニスタ14が収納されている。キャニスタ14は、収納部22の底面に形成された複数のリブ31上に載置されているとともに、容器本体12と同軸的に配置されている。また、キャニスタ14は、その外周面が容器本体12の内周面との間に所定の隙間、例えば、10cm程度の隙間G1を持った状態で、収納部22内に収納されている。
【0021】そして、キャニスタ14の外周面と容器本体12の内周面との間の上記隙間により、冷却空気が流れる冷却空気流路24が形成されている。この冷却空気流路24は、キャニスタ14の外周面の全周に亘って、かつ、外周面の軸方向全長に亘って形成されている。
【0022】容器本体12の底部には複数、例えば4つの吸気口26が形成され、また、容器本体12の上端部には、同様に、4つの排気口28が形成され、それぞれ冷却空気流路24に連通している。4つの吸気口26は、容器本体12の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、容器本体12の底部外周面に開口している。また、排気口28は、容器本体12の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、容器本体12の上端部外周面に開口している。
【0023】これらの吸気口26、排気口28、および冷却空気流路24は、空気の自然循環冷却によりコンクリートキャスク10を除熱する除熱部を構成している。すなわち、吸気口26から容器本体12内に導入された冷却空気としての外気は、冷却空気流路24を通ってキャニスタ14の周囲を流れ、その間、キャニスタ14および容器本体12を除熱し冷却する。そして、キャニスタ14からの熱によって加熱され昇温した冷却空気は、排気口28から容器本体12の外部に排出される。
【0024】一方、容器本体12の内周面には、炭素鋼等の金属からなる円筒状のライナ30が設けられている。金属からなるライナ30は、コンクリートに比較して伝熱性が高く、使用済燃料集合体18から発生した熱の伝熱を促進するとともに、使用済燃料集合体18からの放射線、主としてγ線、を遮蔽する機能を有している。
【0025】また、第1の実施の形態に係るコンクリートキャスク10は、容器本体12の収納部22に対してキャニスタ22を装填および取り出す際、すなわち、詰替えを行う際に使用する速度減衰部、および容器本体12の吸気口26および排気口28を閉塞する閉塞部材を備えている。
【0026】詳細に述べると、図4ないし図6に示すように、速度減衰部は、ほぼ環状に形成され容器本体12の上端開口部に脱着自在に装着される速度減衰部材34を備えている。速度減衰部材34は、その上端部外周に位置したフランジ35を有し、炭素鋼、ステンレス等の金属によって一体に形成されている。速度減衰部材34の内孔はキャニスタ14を挿通可能な挿通孔36として機能し、この挿通孔の径は、収納部22の径よりも小さくかつキャニスタ14の外径よりも大きく形成されている。また、速度減衰部材34の外径は収納部22の径とほぼ一致しているとともに、フランジ35の径は収納部22の径よりも十分に大きく形成されている。
【0027】キャニスタ14の詰替え作業を行う場合、コンクリートキャスク10の容器本体12から蓋体20を取り外して上端を開放し、代わって、容器本体12の上端開口部に速度減衰部材34を装着する。この場合、速度減衰部材34は、その外周面が容器本体12の収納部22の上端部内面に密着し、かつ、フランジ35が容器本体12の上端部に載置された状態で、容器本体12の上端開口部に嵌合され、容器本体と同軸的に保持される。同時に、速度減衰部材34は4つの排気口28を閉塞し、この発明における閉塞部材の一部としても機能する。
【0028】一方、図5および図7に示すように、閉塞部材は、例えば炭素鋼、ステンレス等の金属で形成された複数の閉塞板38を含んでいる。そして、キャニスタ14の詰替え作業を行う際、各閉塞板38はOリング40を間に挟んで容器本体12の外面にボルト止めされ、吸気口26を閉塞する。
【0029】このように、速度減衰部材34を装着するとともに閉塞板38によって各吸気口26を閉塞した後、図5および図6に示すように、キャニスタ14を保持した詰替え装置の外筒42を容器本体12の上方に配置する。そして、この外筒42から速度減衰部材34の挿通孔36を通して、キャニスタ14を容器本体12の収納部22内に装填する。逆に、収納部22からキャニスタ14を取り出す場合も同様に、速度減衰部材34の挿通孔36を通して、キャニスタ14を引き上げ、外筒42内に収納する。
【0030】このように、キャニスタ14の装填および取り出し作業は、速度減衰部材34の挿通孔36を通して行う。ここで、挿通孔36は、収納部22の径よりも小さくかつキャニスタ14の外径よりも大きな径を有しているため、キャニスタ14が挿通孔36を通る際に形成されるキャニスタ外面と挿通孔との隙間G2は、収納部22内に装着した状態におけるキャニスタ14と収納部内面との隙間G1よりも大幅に狭くなる。例えば、この隙間G2は、約10〜40mm、望ましくは約10〜20mmに設定される。同時に、装填および取り出し作業時、各吸気口26は閉塞板38により、また、排気口28は速度減衰部材34によってそれぞれ閉塞されている。
【0031】そのため、キャニスタ14の詰替え作業中に何らかの原因でキャニスタが落下した場合、収納室22内に閉じ込められた空気およびその他の気体は、キャニスタ14外面と挿通孔36との狭い隙間G2を通ってのみ外部に排気され、その際の流通抵抗が大きくキャニスタ14に対し空気ダンパとして作用する。従って、キャニスタ14の落下速度を大幅に減速することができる。
【0032】図8は、隙間G2を種々変更して、キャニスタの時間に対する落下速度の変化を示したもので、隙間G2が小さい程、落下速度を減速できることが分かる。これにより、詰替え作業中に不慮の事故等によってキャニスタ14が落下した場合でも、キャニスタに作用する衝撃を低減し、キャニスタの破損を防止することができる。
【0033】なお、上述した第1の実施の形態において、速度減衰部材34に形成された挿通孔36の内面は滑らかな表面としたが、図9に示すように、挿通孔36の内面に、この挿通孔とほぼ同軸的な環状溝44を速度減衰部材の軸方向に離間して複数形成する構成としても良い。このような速度減衰部材34を用いた場合、キャニスタ14外面と挿通孔36との隙間を通る空気の圧力損失係数が増大し、一層大きなダンピング効果を得ることができる。
【0034】また、速度減衰部材34は、容器本体12に対して脱着自在な構成としたが、図10に示すように、容器本体12の上端開口部内に固定的に設けても良い。この場合、速度減衰部材34は金属あるいはコンクリートによって形成され、コンクリートを用いる場合には、容器本体12と一体的に形成しても良い。更に、この場合、キャニスタの詰替え作業時、排気孔28は上述した閉塞板38と同様の閉塞部材によって閉塞される。
【0035】更に、吸気口26、排気口28を閉塞する閉塞板38はボルト止めに限らず、チャック等の他の方法によって脱着可能に取付けても良い。また、閉塞板38は、脱着式のものに限らず、吸気口あるいは排気口を閉塞する位置と吸気口あるいは排気口を開放する位置との間を移動可能に容器本体12に取付けられていても良い。この場合、例えば、図11に示すように、吸気口26あるいは排気口28の近傍において、容器本体12の外面に一対のガイドレール46を設け、閉塞板38をこれらのガイドレール46に沿って摺動可能に設けても良い。
【0036】次に、この発明の第2の実施の形態に係る貯蔵容器の詰替えシステムについて説明する。図12に示すように、詰替えシステムは、例えばコンクリート壁によって構成された建屋50を備え、この建屋50は容器載置部52と容器載置部の上方に設けられたハウジング56とを備え、これら容器載置部52およびハウジング56は水平な床壁54によって仕切られている。
【0037】容器載置部52は、キャニスタ14を収納し輸送するための輸送容器、つまり、輸送用キャスク60を立位状態で配置するための第1載置部62a、およびコンクリートキャスク10を立位状態で配置するための第2載置部62bを有している。そして、第1および第2載置部62a、62bは並んで位置しているとともに、垂直な隔壁64によって互いに仕切られている。また、第1載置部62aおよび第2載置部62bは、床壁54に形成された第1開口65aおよび第2開口65bを通してそれぞれハウジング56内に連通している。なお、コンクリートキャスク10は、前述した第1の実施の形態において図1ないし図3に示したコンクリートキャスクと同一の構成を備えているものとする。
【0038】ハウジング56内には、コンクリートキャスク10に対してキャニスタ14を詰替える詰替え装置70が設けられている。この詰替え装置70は、コンクリートキャスク10の収納部22内に装填可能な減速シリンダ72と、コンクリートキャスク10に対して減速シリンダ72を昇降させる第1昇降機構74と、キャニスタ14の上端を保持する保持部76を有し、キャニスタを保持して昇降させる第2昇降機構78と、を備えている。
【0039】減速シリンダ72は、例えば、炭素鋼、ステンレス等の金属によって形成され、コンクリートキャスク10の容器本体12内に形成された収納部22の径よりも小さな外径、およびキャニスタ14の径よりも大きな内径を有している。それにより、この減速シリンダ72は、床壁54の第2開口65bおよび容器本体12の上端開口を通して、コンクリートキャスク10の収納部22内に挿入可能となっている。同時に、この減速シリンダ72内にキャニスタ14を挿通可能と成っている。減速シリンダ72の内径は、キャニスタ14を挿入した状態で、キャニスタ外面と減速シリンダ内面との隙間が、約10〜40mm、望ましくは約10〜20mmとなるように設定される。更に、減速シリンダ72は、収納部22の軸方向長さよりも長く形成され、後述するように、収納部22内に装填された際、その上端部が容器本体12から僅かに突出するように形成されている。
【0040】第1昇降機構74は、ハウジング56の天壁57に設けられ第1開口65bの上方に位置した駆動部75を有し、この駆動部は複数本のワイヤ80を介して減速シリンダ72を吊り下げ支持している。そして、第1昇降機構74は、駆動部75によってワイヤ80を巻き上げおよび送り出すことにより減速シリンダ72を昇降させ、この減速シリンダをコンクリートキャスク10の収納部22内に装填し、あるいは収納部から引き上げることができる。
【0041】一方、第2昇降機構78の保持部76は、複数の係合爪83を有し、これらの係合爪をキャニスタ14の上端壁に形成された図示しない複数の係合凹所にそれぞれ係合させることにより、キャニスタ14を保持する。また、第2昇降機構78は、ハウジング56の天壁57に設けられた駆動部77を有し、この駆動部は複数本のワイヤ81を介して保持部76を吊り下げ支持している。更に、駆動部77は、床壁54に形成された第1開口65aの上方、つまり、輸送用キャスク60の上方に位置する図示の第1位置と、コンクリートキャスク10の上方に位置する第2位置との間を、天壁57の内面に取付けられたガイドレール82に沿って移動可能に設けられている。
【0042】そして、第2昇降機構78は、駆動部77によってワイヤ81を巻き上げおよび送り出すことにより、保持部76に保持されたキャニスタ14を昇降させるとともに、キャニスタ14を保持した状態で第1位置と第2位置との間を移動可能となっている。
【0043】以下、上記詰替えシステムによるキャニスタの詰替え動作を説明する。まず、原子力発電所等から輸送されてきた輸送用キャスク60を第1載置部62aに立位状態で配置するとともに、コンクリートキャスク10を第2載置部62bに立位状態で配置する。輸送用キャスク60には、使用済燃料を封入したキャニスタ14が収納されている。この際、減速シリンダ72をハウジング56内に収納された上昇位置に保持し、また、第1昇降機構78を第1位置に移動させておく。更に、コンクリートキャスク10の蓋は予め取り外しておく。
【0044】続いて、図13に示すように、第1載置部62aの側方を可動壁53によって遮蔽するとともに、輸送用キャスク60の蓋を取り外す。この状態で、第2昇降機構78の駆動部77を駆動して保持部76をキャニスタ14の上端まで下降させ、この保持部によってキャニスタ14の上端部を保持する。その後、キャニスタ14と共に保持部76を引き上げ、キャニスタ14を輸送用キャスク60から取り出してハウジング56内に収容する。
【0045】同時に、第1昇降機構74の駆動部75を駆動して減速シリンダ72を下降させ、床壁54の第2開口65bおよび容器本体12の上端開口を通して、収納部22内に挿入する。そして、減速シリンダ72の下端が容器本体12の底壁内面に当接した時点で、すなわち、減速シリンダ72が図示の下降位置まで挿入された時点で駆動部75による駆動を停止する。
【0046】下降位置において、減速シリンダ72の下端開口は容器本体12の底壁によって閉塞されるとともに、減速シリンダの上端部は、容器本体12の排気口28よりも上方に位置し容器本体の上端開口から僅かに突出した状態となる。従って、収納部22内には、減速シリンダ72および容器本体12の底壁によって仕切られた空間が形成され、この空間は収納部22よりも小さな径を有しているとともに、減速シリンダ72の上端開口を除いて外部から遮蔽されている。
【0047】次に、図14に示すように、第2昇降機構78の駆動部77を第1位置から第2位置へ移動させ、この第2昇降機構によって吊り下げられたキャニスタ14をコンクリートキャスク10の上方位置まで搬送する。なお、輸送用キャスク60からキャニスタ14を取り出し後、輸送用キャスク60の蓋を閉めておく。
【0048】続いて、図15に示すように、第2昇降機構78の駆動部77を駆動して保持部76およびキャニスタ14を下降させ、床壁54の第2開口65bおよび減速シリンダ72の上端開口を通して、キャニスタ14を減速シリンダ内に挿入する。そして、キャニスタ14の下端が容器本体12の底壁内面に当接した時点で、すなわち、キャニスタ14がコンクリートキャスク10の収納部22内に完全に収納された時点で、駆動部77による駆動を停止する。
【0049】その後、図16に示すように、第2昇降機構78は、保持部76によるキャニスタ14の保持を解除し、駆動部75を駆動して保持部76をハウジング56内に引き上げる。同時に、第1昇降機構74は、駆動部75を駆動して減速シリンダ72をコンクリートキャスク10の収納部22から引き上げ、ハウジング56内へ収納する。
【0050】このように減速シリンダ72および第2昇降機構78の保持部76を引き上げた後、図17に示すように、コンクリートキャスク10の容器本体12の上端開口に蓋体20を装着して閉じることにより、キャニスタ14の装填作業が終了する。装填作業終了後、容器載置部52の可動壁85を移動して第2載置部62bを開放し、キャニスタ14が装填されたコンクリートキャスク10を搬出する。
【0051】一方、コンクリートキャスク10からキャニスタ14を取り出して輸送用キャスク60に移し変える場合には、上述した装填工程を逆の順番で行う。すなわち、コンクリートキャスク10の容器本体12の収納部22内に減速シリンダ72を挿入し、下降位置に配置した後、第2昇降機構78により、減速シリンダ72の上端開口を通してキャニスタ14を引き上げる。そして、引き上げたキャニスタ14を輸送用キャスク60の上方まで搬送した後、輸送用キャスク内に装填する。その後、減速シリンダ72を収納部22から引き上げ、容器本体12の上端開口を蓋体20で閉じることにより、キャニスタ14の取り出し作業が終了する。
【0052】以上のように構成された詰替えシステムおよび詰替え方法によれば、コンクリートキャスク10の収納部22に対するキャニスタ14の装填および取り出しは、予め、減速シリンダ72を収納部22内に装着した状態で行う。そして、減速シリンダ72を収納部22内に装着した場合、収納部内には、減速シリンダによって収納部よりも径の小さな空間が規定される。そのため、減速シリンダ72内を通るキャニスタ14の外面と減速シリンダの内面との隙間は、収納部22内面とキャニスタ14との間の隙間よりも小さく、減速シリンダ内の空気はこの小さな隙間のみを通って外部に排気される。従って、キャニスタ14の詰替え作業中にキャニスタ14が落下した場合でも、減速シリンダ72内面とキャニスタ14外面との隙間を通る空気の抵抗が大きく、空気ダンパとして作用し、キャニスタ14の落下速度を大幅に減速することができる。これにより、不慮の事故等によってキャニスタ14が落下した場合でも、キャニスタに作用する衝撃を低減し、キャニスタの破損を防止することができる。その結果、詰替え作業時における放射線漏洩等の事故発生を防止し、信頼性および安全性の向上を図ることができる。
【0053】次に、この発明の第3の実施の形態に係る貯蔵容器の詰替えシステムについて説明する。図18に示すように、詰替えシステムは、例えばコンクリート壁によって構成された建屋50を備え、この建屋50は容器載置部52と容器載置部の上方に設けられたハウジング56とを備えている。そして、第3の実施の形態によれば、ハウジング56は容器載置部52に対して移動自在に配設され、代わって、第2昇降機構78はハウジングに対して固定的に設けられている。
【0054】詳細に述べると、容器載置部52は、輸送用キャスク60を立位状態で配置するための第1載置部62a、およびコンクリートキャスク10を立位状態で配置するための第2載置部62bを有している。そして、第1および第2載置部62a、62bは並んで位置しているとともに、垂直な隔壁64によって互いに仕切られている。また、第1載置部62aおよび第2載置部62bは、それぞれ上方に向かって開放している。
【0055】ハウジング56は、容器載置部52に隣接対向した底壁59を有し、この底壁には、導入開口86が形成されているとともに、導入開口86を開閉するための後述するシャッタ88が設けられている。そして、ハウジング56は、その導入開口86が第1載置部62aに対向する第1位置と、第2載置部62bに対向する図示の第2位置との間を移動自在に設けられている。
【0056】また、ハウジング56内には、第1昇降機構74、減速シリンダ72、第2昇降機構78が設けられ、減速シリンダ72は、導入開口86を通して昇降可能となっている。ただし、第2昇降機構78の駆動機構77は、ハウジング56に対して固定的に配設されているとともに、第1昇降機構74のワイヤ80の先端には、減速シリンダ72を保持および開放可能な図示しない保持手段が設けられている。その他、第1昇降機構74、減速シリンダ72、第2昇降機構78の構成は前述した第2の実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】上述した第3の実施の形態に係る詰替えシステムによってキャニスタの詰替えを行う場合、図18に示すように、まず、原子力発電所等から輸送されてきた輸送用キャスク60を第1載置部62aに立位状態で配置するとともに、コンクリートキャスク10を第2載置部62bに立位状態で配置する。この際、減速シリンダ72をハウジング56内に収納された上昇位置に保持し、また、コンクリートキャスク10の蓋は予め取り外しておく。
【0058】続いて、ハウジング56を第2載置部62bと対向する第2位置に移動させた後、後述するシャッタ88を開けてハウジングの導入開口86を開放する。次に、第1昇降機構74の駆動部75を駆動して減速シリンダ72を下降させ、導入開口86およびコンクリートキャスク10の容器本体12の上端開口を通して、収納部22内に挿入する。そして、減速シリンダ72の下端が容器本体12の底壁内面に当接した時点で、すなわち、図18(b)および図19に示す下降位置まで挿入された時点で駆動部75による駆動を停止する。
【0059】下降位置において、減速シリンダ72の下端開口は容器本体12の底壁によって閉塞されるとともに、減速シリンダの上端部は、容器本体12の排気口28よりも上方に位置し容器本体の上端開口から僅かに突出した状態となる。従って、収納部22内には、減速シリンダ72および容器本体12の底壁によって仕切られた空間が形成され、この空間は収納部22よりも小さな径を有しているとともに、減速シリンダ72の上端開口を除いて外部から遮蔽されている。
【0060】続いて、図19に示すように、ワイヤ80から減速シリンダ72を解放するとともに輸送用キャスク60の蓋を取り外した後、ハウジング56を第1載置部62aと対向する第1位置に移動させる。この状態で、第2昇降機構78の駆動部77を駆動し、導入開口86を通して保持部76をキャニスタ14の上端まで下降させ、この保持部によってキャニスタ14の上端部を保持する。その後、キャニスタ14と共に保持部76を引き上げ、キャニスタ14を輸送用キャスク60から取り出してハウジング56内に収容する。更に、シャッタ88によりハウジング56の導入開口86を閉塞する。
【0061】次に、図20に示すように、ハウジング56を第2載置部62bと対向する第2位置へ移動させる。なお、輸送用キャスク60からキャニスタ14を取り出し後、輸送用キャスク60の蓋を閉めておく。
【0062】続いて、図21に示すように、シャッタ88を開けて導入開口88を開放した後、第2昇降機構78の駆動部77を駆動して保持部76およびキャニスタ14を下降させ、導入開口86および減速シリンダ72の上端開口を通して、キャニスタ14を減速シリンダ内に挿入する。そして、キャニスタ14の下端が容器本体12の底壁内面に当接した時点で、すなわち、キャニスタ14がコンクリートキャスク10の収納部22内に完全に収納された時点で、駆動部77による駆動を停止する。
【0063】その後、図22に示すように、第2昇降機構78は、保持部76によるキャニスタ14の保持を解除し、駆動部75を駆動して保持部76をハウジング56内に引き上げる。同時に、第1昇降機構74は、ワイヤ80を介して減速シリンダ72を支持した後、駆動部75を駆動して減速シリンダ72をコンクリートキャスク10の収納部22から引き上げ、図23に示すように、ハウジング56内へ収納する。そして、シャッタ88によってハウジング56の導入開口86を閉じるとともに、コンクリートキャスク10の容器本体12の上端開口に蓋体20を装着して閉じることにより、キャニスタ14の装填作業が終了する。
【0064】一方、コンクリートキャスク10からキャニスタ14を取り出して輸送用キャスク60に移し変える場合には、上述した装填工程を逆の順番で行う。すなわち、コンクリートキャスク10の容器本体12の収納部22内に減速シリンダ72を挿入し、下降位置に配置した後、第2昇降機構78により、減速シリンダ72の上端開口を通してキャニスタ14を引き上げる。そして、引き上げたキャニスタ14をハウジング56内に収納し、輸送用キャスク60の上方まで搬送した後、輸送用キャスク内に装填する。その後、減速シリンダ72を収納部22から引き上げ、容器本体12の上端開口を蓋で閉じることにより、キャニスタ14の取り出し作業が終了する。
【0065】以上のように構成された第3の実施の形態に係る詰替えシステムおよび詰替え方法においても、コンクリートキャスク10の収納部22に対するキャニスタ14の装填および取り出しは、予め、減速シリンダ72を収納部22内に装着した状態で行う。そして、減速シリンダ72を収納部22内に装着した場合、収納部内には、減速シリンダによって収納部よりも径の小さな空間が規定される。そのため、減速シリンダ72内を通るキャニスタ14の外面と減速シリンダの内面との隙間は、収納部22内面とキャニスタ14との隙間よりも小さく、減速シリンダ内の空気はこの小さな隙間のみを通って外部に排気される。従って、キャニスタ14の詰替え作業中にキャニスタ14が落下した場合でも、減速シリンダ72内面とキャニスタ14外面との隙間を通る空気の抵抗が大きく、空気ダンパとして作用し、キャニスタ14の落下速度を大幅に減速することができる。これにより、不慮の事故等によってキャニスタ14が落下した場合でも、キャニスタに作用する衝撃を低減し、キャニスタの破損を防止することができる。その結果、詰替え作業時における放射線漏洩等の事故発生を防止し、信頼性および安全性の向上を図ることができる。
【0066】なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態において、コンクリートキャスクの容器本体は円筒形状としたが、これに限らず、四角筒、三角筒等の多角形筒状としても良い。この場合、キャニスタ、速度減衰部材、減速シリンダの形状も、コンクリートキャスクの容器本体に対応した形状とすることにより、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】また、詰替えシステムにおいて、第1および第2昇降機構の保持部、駆動部等の構成は上述した実施の形態に限定されることなく、必要に応じて種々選択可能である。また、キャニスタを詰替える対象となるキャスクは、コンクリートキャスクに限らず、他の貯蔵容器であっても良い。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、密閉容器の詰替え作業等において密閉容器の落下が生じた場合でも、密閉容器の破損を防止でき安全性および信頼性の向上した貯蔵容器、貯蔵容器の詰替えシステム、および詰替え方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2002−148387(P2002−148387A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−339534(P2000−339534)