トップ :: G 物理学 :: G21 核物理;核工学




【発明の名称】 貯蔵システム、並びに貯蔵システムに用いる貯蔵容器および搬送装置
【発明者】 【氏名】松永 健一

【氏名】西出 淳

【要約】 【課題】貯蔵建屋の建屋階高を低できるとともに貯蔵容器を容易にかつ安全に配置可能な貯蔵システム、貯蔵システムに用いる貯蔵容器および搬送装置を提供することにある。

【解決手段】貯蔵システムの貯蔵建屋は、貯蔵容器を搬入、搬出するための搬入搬出エリアと多数の貯蔵容器を貯蔵する貯蔵エリアとを有している。貯蔵容器は、それぞれエアパレット72を装着可能なパレット装着部92を底部に有した金属キャスク80およびコンクリートキャスクを含み、貯蔵エリアは、金属キャスクおよびコンクリートキャスクを任意に載置可能な設置床を有している。貯蔵システムは、貯蔵建屋内を自走するとともにエアパレット72を有した搬送車100を備え、この搬送車は、任意の貯蔵容器のパレット装着部にエアパレットを装着し、貯蔵容器を浮上させた状態で搬送する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】放射性物質を収納した貯蔵容器を貯蔵するための貯蔵システムにおいて、貯蔵容器を搬入、搬出するための搬入搬出エリアと多数の貯蔵容器を貯蔵する貯蔵エリアとを有した貯蔵建屋を備え、上記貯蔵容器は、それぞれエアパレットを装着可能なパレット装着部を底部に有した金属キャスクおよびコンクリートキャスクを含み、上記貯蔵エリアは、金属キャスクおよびコンクリートキャスクを任意に載置可能な設置床を有し、更に、上記貯蔵建屋内を自走し、上記パレット装着部に装着されたエアパレットにより上記金属キャスクおよびコンクリートキャスクを選択的に搬送する容器搬送装置を備えていることを特徴とする貯蔵容器の貯蔵システム。
【請求項2】上記金属キャスクは、放射性物質が封入された筒状の金属容器本体と、上記金属容器本体の底部に取り付けられ、上記底部よりも大きな平面積を有しているとともに上記パレット装着部を有した架台と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の貯蔵容器の貯蔵システム。
【請求項3】上記コンクリートキャスクは、放射性物質が封入された密閉容器を収納する筒状のコンクリート容器本体を有し、上記コンクリート容器本体はその底に設けられた上記パレット装着部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯蔵容器の貯蔵システム。
【請求項4】上記容器搬送装置は、自動あるいは手動により走行する台車と、上記台車に取り付けられているとともに上記金属キャスクおよびコンクリートキャスクのパレット装着部に装着可能なエアパレットと、上記エアパレットが装着された上記金属キャスクあるいはコンクリートキャスクを把持する把持部と、上記エアパレットのエアダイアフラムに給気する給気部と、を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貯蔵容器の貯蔵システム。
【請求項5】上記搬入搬出エリアに設けられ、上記搬入搬出エリアに搬送されてきた輸送用容器と上記コンクリートキャスクとの間で、放射性物質が封入された密閉容器を詰替える詰替え装置を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の貯蔵容器の貯蔵システム。
【請求項6】放射性物質を貯蔵するための貯蔵システムに用いる貯蔵容器において、上記放射性物質を収納可能なほぼ筒状の容器本体と、上記容器本体の底部に取り付けられ、上記底部よりも大きな平面積を有したほぼ板状の架台と、上記架台に形成され、この架台と設置面との間にエアパレットを装着可能なパレット装着部と、を備えていることを特徴とする貯蔵容器。
【請求項7】放射性物質を収納した貯蔵容器を搬送する容器搬送装置において、自動あるいは手動により走行する台車と、上記台車に取り付けられているとともに上記貯蔵容器の底面と設置面との間に装着可能なエアパレットと、上記エアパレットが装着された上記貯蔵容器を把持する把持部と、上記エアパレットのエアダイアフラムに給気する給気部と、を備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】上記台車は操作者が乗車可能な運転席を有しているとともに、放射性物質を遮蔽する遮蔽材によって被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】上記エアパレットは、上記貯蔵容器の設置面に沿って上記台車から前方に突出した板状に形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、放射性物質を収納した貯蔵容器を貯蔵管理する貯蔵システム、貯蔵システムにおいて使用する貯蔵容器、および容器搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉の使用済燃料に代表される高放射性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の再度燃料として使用可能な有用物質を回収するため、再処理される。そして、これらの使用済燃料は、再処理を行うまでの間、密閉された状態で貯蔵されている。このような高放射性物質の貯蔵方法としては、キャスク等の貯蔵容器を用いた乾式法が注目されている。乾式法に用いるキャスクには種々の構造のものがあるが、コンクリート構造物によって使用済燃料を遮蔽するコンクリートキャスク、あるいは金属キャスク等が知られている。これらのキャスクは、上部および底部が閉塞された筒状の容器本体を備え、コンクリートキャスクの場合、容器本体内に、使用済燃料が封入された筒状の金属密閉容器、いわゆるキャニスタ、が収納されて、また、金属キャスクの場合、使用済燃料が直接封入されている。
【0003】このような放射性物質として、例えば、原子炉の使用済燃料は、通常、以下の工程によって処理される。まず、使用済燃料は、原子力発電所の貯蔵プール等でキャニスタに収納され密閉される。そして、このキャニスタは輸送用容器、いわゆる輸送用キャスクに収納された後、トレーラ等によって貯蔵施設に搬送される。貯蔵施設において、搬送されてきたキャニスタは、輸送用キャスクから引き抜かれ、予め用意しておいたコンクリートキャスクに装填される。そして、キャニスタはこれらのキャスクに収納された状態で、所定期間貯蔵される。更に、所定期間貯蔵された後、キャニスタは、コンクリートキャスクから取り出され、再度、輸送用キャスクに装填され、トレーラ等によって再処理施設へ搬送される。なお、輸送、貯蔵兼用の金属キャスクも提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなキャスクを貯蔵する貯蔵施設では、多数のキャスクを並べて配置するための貯蔵建屋が設けられている。従来、このような貯蔵建屋では、その天井部分に設置された天井クレーンにより、トレーラ等に対してキャスクの積み下ろしを行うとともに、この天井クレーンによりキャスクを所定位置まで搬送して貯蔵する方式が取られている。
【0005】しかしながら、このような天井クレーンを使用する場合、天井クレーンの走行、昇降エリアを確保する必要性から貯蔵建屋の階高が高くなり、キャスクの貯蔵容量に比較して貯蔵建屋が大型となり易い。
【0006】また、通常、コンクリートキャスク、金属キャスクは約100〜200トンと非常に重く、これらのキャスクを天井クレーンで吊り上げて搬送するためには、大型の天井クレーンが必要になるとともに、搬送中にキャスクが落下する恐れも生じる。
【0007】この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、貯蔵建屋の小型化、特に、建屋階高を低くすることができるとともに貯蔵容器を所望の位置へ容易にかつ安全に配置可能な貯蔵システム、並びに貯蔵システムに用いる貯蔵容器および搬送装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明に係る貯蔵システムは、放射性物質を収納した貯蔵容器を貯蔵するための貯蔵システムにおいて、貯蔵容器を搬入、搬出するための搬入搬出エリアと多数の貯蔵容器を貯蔵する貯蔵エリアとを有した貯蔵建屋を備え、上記貯蔵容器は、それぞれエアパレットを装着可能なパレット装着部を底部に有した金属キャスクおよびコンクリートキャスクを含み、上記貯蔵エリアは、金属キャスクおよびコンクリートキャスクを任意に載置可能な設置床を有し、更に、上記貯蔵建屋内を自走し、上記パレット装着部に装着されたエアパレットにより上記金属キャスクおよびコンクリートキャスクを選択的に搬送する容器搬送装置を備えていることを特徴としている。
【0009】以上のように構成された貯蔵システムによれば、貯蔵されるコンクリートキャスクおよび金属キャスクは、いずれもその底部にパレット装着部を備えている。そして、貯蔵建屋内を自走する搬送装置によって、任意のキャスクのパレット装着部に装着されたエアパレットを用いてキャスクを浮上させた状態で搬送することにより、重いキャスクを容易に任意の場所へ搬送することができる。この際、天井クレーン等によりキャスクを吊り下げて搬送する場合に比較して、落下等の危険がなく、キャスクを安全に搬送することが可能となる。また、貯蔵建屋の天井部分に大型の天井クレーンを設ける必要がなく、貯蔵建屋の階高を低くし、建屋全体の小型化を図ることができる。
【0010】この発明に係る貯蔵容器は、放射性物質を貯蔵するための貯蔵システムに用いる貯蔵容器において、上記放射性物質を収納可能なほぼ筒状の容器本体と、上記容器本体の底部に取り付けられ、上記底部よりも大きな平面積を有したほぼ板状の架台と、上記架台に形成され、この架台と設置面との間にエアパレットを装着可能なパレット装着部と、を備えていることを特徴としている。
【0011】上記構成の貯蔵容器によれば、容器本体の底部に架台を備えていることにより、底面積が増大し、容器全体を安定して載置することが可能となる。また、上記架台に設けられたパレット装着部にエアパレットを装着することにより、このエアパレットを利用して貯蔵容器を容易に搬送することが可能となる。
【0012】更に、この発明に係る搬送装置は、放射性物質を収納した貯蔵容器を搬送する容器搬送装置において、自動あるいは手動により走行する台車と、上記台車に取り付けられているとともに上記貯蔵容器の底面と設置面との間に装着可能なエアパレットと、上記エアパレットが装着された上記貯蔵容器を把持する把持部と、上記エアパレットのエアダイアフラムに給気する給気部と、を備えていることを特徴としている。このような構成の搬送装置によれば、エアパレットを用いて重量の重い貯蔵容器を容易にかつ安全に、更には、任意の場所に搬送することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る貯蔵容器の貯蔵システムについて詳細に説明する。図1ないし図3に示すように、貯蔵システムは、例えば細長い矩形の平屋状に形成された貯蔵建屋10と、貯蔵建屋内の温度、湿度、各種装置の動作等を制御する制御建屋12と、を備えている。貯蔵建屋10は、その長手方向中央部を直角に横切って延びた搬入搬出エリア14と、この搬入搬出エリア14の両側にそれぞれ形成された貯蔵エリア16と、で構成されている。
【0014】貯蔵建屋10は全体がコンクリート壁によって形成され、底壁20、天井壁22、および複数の側壁24を備えている。各貯蔵エリア16において、天井壁22の中央部には多数の排気口25を有した排気塔26が設けられ長軸方向に沿って延びている。また、各貯蔵エリア16において、天井壁22の長手方向の両側縁部には、それぞれ多数の吸気口27が設けられている。吸気口27の近傍には、天井壁22から底壁20の近傍まで延びた隔壁30が設けられ、吸気口に続く流入路33を形成している。
【0015】搬入搬出エリア14では、原子力発電所等から送られて来た輸送用容器、つまり、放射性物質が封入された密閉容器としてのキャニスタを収納した輸送用キャスクの搬入、および、貯蔵建屋10から再処理施設へ送られる輸送用キャスクの搬出等が行われる。そして、この搬入搬出エリア14には、輸送用キャスク31の仮置きエリア32、貯蔵容器としての後述する金属キャスクやコンクリートキャスクの仮置きエリア34、更には、貯蔵容器と輸送用キャスクとの間でキャニスタの詰替えを行う詰替え装置36等が設けられている。また、貯蔵建屋10の側壁24には、搬入搬出エリア14への搬入搬出口37が形成され、輸送用キャスク31等を積載したトレーラ等は、搬入搬出口37を通って搬入搬出エリアに出入りすることができる。
【0016】各貯蔵エリア16は、平坦な設置床40を備えている。そして、各貯蔵エリア16の設置床40上には、多数の金属キャスクおよびコンクリートキャスクを任意の位置に設置可能となっている。
【0017】次に、本貯蔵システムで用いる貯蔵容器としての金属キャスク、およびコンクリートキャスクについて説明する。まず、コンクリートキャスクについて説明すると、図4に示すように、このコンクリートキャスク50は、コンクリートにより形成され遮蔽構造体として機能する容器本体52を備え、この容器本体内には、キャニスタ54が収納される。キャニスタ54は、金属によって形成されているとともに、両端が閉塞した円筒形状の密閉容器からなり、この密閉容器内には、バスケット56により支持された状態で、使用済燃料集合体58が複数体封入されている。これらの使用済燃料集合体58は、例えば、原子炉の使用済燃料であり、崩壊熱に伴う発熱と放射線の発生を伴う放射性物質を含んでいる。
【0018】コンクリートキャスク50の容器本体52は、底部の閉塞された円筒形状を有し、例えば、高さ約6m、直径約4m程度に形成され、また、コンクリートの壁厚は、約1m程度に形成されている。容器本体52の上端開口は、外面が炭素鋼板によって覆われたコンクリート製の蓋体60により閉塞されている。この蓋体60は、複数のボルト61により容器本体52の上端にボルト止めされている。なお、容器本体52のコンクリート壁内には、図示しない配筋が施されている。
【0019】容器本体52内には、この容器本体の内周面および蓋体60により、円柱形状の収納部62が規定されている。そして、蓋体60を外すことにより、収納部62内にキャニスタ54を出し入れすることができる。キャニスタ54は、収納部62の底面に形成された複数のリブ上に載置されているとともに、容器本体52と同軸的に配置されている。また、容器本体52の内周面には、炭素鋼等の金属からなる円筒状のライナ70が設けられている。そして、キャニスタ54は、その外周面が容器本体52の内周面との間に所定の隙間を持った状態で、収納部62内に収納されている。
【0020】キャニスタ54の外周面と容器本体52の内周面との間の上記隙間により、冷却空気が流れる冷却空気流路64が形成されている。この冷却空気流路64は、キャニスタ54の外周面の全周に亘って、かつ、外周面の軸方向全長に亘って形成されている。
【0021】容器本体52の底部には複数、例えば4つの吸気口66が形成され、また、容器本体52の上端部には、同様に、4つの排気口68が形成され、それぞれ冷却空気流路64に連通している。4つの吸気口66は、容器本体52の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、容器本体52の底部外周面に開口している。また、排気口68は、容器本体52の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設けられ、容器本体52の上端部外周面に開口している。
【0022】これらの吸気口66、排気口68、および冷却空気流路64は、空気の自然循環冷却によりコンクリートキャスク50を除熱する除熱部を構成している。すなわち、吸気口66から容器本体52内に導入された冷却空気としての外気は、冷却空気流路64を通ってキャニスタ54の周囲を流れ、その間、キャニスタ54および容器本体52を除熱し冷却する。そして、キャニスタ54からの熱によって加熱され昇温した冷却空気は、排気口68から容器本体52の外部に排出される。
【0023】更に、容器本体52の底には複数の脚部55が突設され、これら脚部間に、後述するエアパレット72を挿入し装着可能なパレット装着部74が形成されている。
【0024】このように構成されたコンクリートキャスク50に対するキャニスタ54の詰替え作業は、詰替え装置36を用いて以下の工程で行われる。すなわち、図1に示すように、搬入搬出エリア14に設置された詰替え装置36は、コンクリートキャスク50および輸送用キャスク31を並べて載置するための容器載置部94と、容器載置部の上方に移動可能に設けられ、キャニスタを把持して搬送する把持機構96と、を備えている。
【0025】トレーラ等によって輸送されて来た輸送用キャスク31および空のコンクリートキャスク50は、容器載置部94に並べて載置される。この輸送用キャスク31には、原子力発電所等で使用済燃料が封入されたキャニスタ54が収納されている。そして、把持機構96は、輸送用キャスク31からキャニスタ54を引き出して保持した後、コンクリートキャスク50上に移動し、このキャニスタをコンクリートキャスクの収納部52内に装填する。その後、コンクリートキャスク50の蓋体60を閉じることにより、キャニスタ54の装填が終了する。
【0026】また、所定期間の貯蔵が終了したキャニスタ54を搬出する場合、詰替え装置36により、上記と逆の工程で、コンクリートキャスク50からキャニスタ54を取り出し、輸送用キャスク31に装填する。そして、この輸送用キャスク31をトレーラ等によって再処理施設へ輸送する。
【0027】次に、金属キャスクについて説明する。図5および図6(a)に示すように、本実施の形態において、金属キャスク80は、輸送、貯蔵兼用の金属キャスクとして構成されている。すなわち、金属キャスク80は、ステンレス、炭素鋼等の金属によって形成されたほぼ円筒状の容器本体82と、容器本体の外側に隙間を置いて、かつ、容器本体と同軸的に配置され、キャスク外面を構成した外筒83と、容器本体82と外筒83との間に設けられたレジン層84と、を備えている。レジン層84は、例えば、水素を含有した高分子材料で形成され、中性子遮蔽体として機能する。
【0028】容器本体82の下端開口は、この容器本体の下端に溶接された底板によって閉塞されている。また、容器本体82の上端開口は、図示しない一次蓋と、この一次蓋に重ねて配置された二次蓋85とによって閉塞されている。一次蓋および二次蓋85は、ステンレス、炭素鋼等の金属によって形成されている。
【0029】このように構成された容器本体82内には、バスケット86に支持された状態で多数の使用済燃料集合体87が収納されている。バスケット86は、ボロン(B)とアルミニウムとの複合材料によって構成されている。また、容器本体82内には、ヘリウムガスが負圧状態で充填されている。
【0030】上記構成の金属キャスク80を輸送する際、容器本体82の上端部および下端部には図示しないショックアブソーバが取付けられ、輸送時の衝撃を吸収する構成となっている。しかしながら、貯蔵時、一対のショックアブソーバは容器本体82から取り外され、代わって、容器本体82の下端部には、架台として機能するパレット88が脱着可能に取付けられる。
【0031】詳細に述べると、図5および図6に示すように、パレット88は外筒83の外径とほぼ等しい辺を有した正方形状に形成され、その4箇所で、例えば、各辺の中央部で、それぞれ止め具89により容器本体82の底面に取付けられ、容器本体と同芯状に位置している。
【0032】パレット88の底面の中央および両側縁には、互いに平行に延びた細長い脚部90が一体に形成されている。そして、これら脚部90間の隙間により、底面側に開口しているとともに後述するエアパレット72を装着可能なパレット装着部92が形成されている。
【0033】このように構成された輸送、貯蔵兼用の金属キャスク80の場合、原子力発電所等から輸送されて来た後、内部の使用済燃料を入れ変えることなく、そのまま、貯蔵される。ただし、上述したように、貯蔵する前に、ショックアブソーバを取り外し、パレット88を取付ける。なお、金属キャスクとしては、輸送、貯蔵兼用のものに限らず、貯蔵専用の金属キャスクを用いても良い。この場合、コンクリートキャスク50と同様に、詰替え装置36によりキャニスタを詰替えて使用する。
【0034】一方、本貯蔵システムは、貯蔵建屋10内でコンクリートキャスク50および金属キャスク80を選択的に搬送する容器搬送装置として、搬入搬出エリア14および貯蔵エリア16内を自由に走行可能な搬送車100を備えている。
【0035】図7および図8に示すように、この搬送車100は、貯蔵建屋10内および路上を自走可能な台車102を備え、この台車は、4つの車輪104と、これらの車輪を駆動する図示しないモータあるいはエンジン等を備えている。また、台車102内には、給気部として機能するエアコンプレッサ112が設けられている。そして、台車102は運転席106又は図示しない操作用ペンダントスイッチを有し、操作者によって手動で運転可能となっている。なお、台車102は、操作者の被曝を防止するため、遮蔽材で被覆されている。
【0036】台車102の前端部には、コンクリートキャスク50のパレット装着部74、および金属キャスク80のパレット装着部92にそれぞれ挿入可能な一対のエアパレット72が、駆動部108を介して取り付けられている。これらのエアパレット72は、細長い矩形状に形成され、駆動部108から床面に沿って前方へ突出している。各エアパレット72は、並んで配置された2つの円形のエアダイアフラム110を備えている。そして、これらのエアダイアフラム110は、台車102内に設けられたエアコンプレッサ112に接続されている。
【0037】一対のエアパレット72は、駆動部108により、互いに接離する方向に移動され間隔を調整可能であるとともにそれぞれ昇降駆動可能となっている。また、後述するように、各エアパレット72は、コンクリートキャスク50あるいは金属キャスク80のパレット装着部74、92に装着した状態で、駆動部108との連結が解除され、少なくとも上下方向に自由度を持つように構成されている。
【0038】更に、搬送車100は、駆動部108から前方へ延出した一対の把持アーム114を備え、これらの把持アームは、エアパレット72が装着されたキャスクを両側から把持し、この発明における把持部として機能する。
【0039】上記構成の搬送車100によってコンクリートキャスク50を搬送する場合、図4および図8に示すように、台車102を操作して一対のエアパレット72をコンクリートキャスク50のパレット装着部74に挿入し、コンクリートキャスクの底面と床面との間に配置する。この状態で各エアパレット72の連結を解除した後、エアコンプレッサ112からエアダイアフラム110に空気を供給する。これにより、各エアダイアフラム110が膨らむとともにエアダイアフラムの多数の排気孔から床面に向けて空気が排気される。その結果、各エアダイアフラム110と床面との間にエアベアリングが形成され、コンクリートキャスク50は床面から僅かに浮上した状態に保持される。
【0040】更に、浮上状態のコンクリートキャスク50を一対の把持アーム114によって両側から把持し、コンクリートキャスクと台車102とを連結する。そして、この状態で台車102を走行させることにより、コンクリートキャスク50を任意の位置に搬送することができる。
【0041】所定位置に搬送後、把持アーム114によるコンクリートキャスク50の把持を解除し、更に、エアコンプレッサ112からの給気を停止してコンクリートキャスク50を着地させることにより、コンクリートキャスク50を所定位置に載置することができる。続いて、各エアパレット72を駆動部108に連結した後、台車102を後退させてエアパレット72をコンクリートキャスク50のパレット装着部74から引き抜くことにより、搬送作業が終了する。
【0042】搬送車100によって金属キャスク80を搬送する場合も上記と同様の操作により行う。ただし、この場合、駆動部108により、一対のエアパレット72間の間隔を金属キャスク80のパレット装着部92に合わせて調整した後、これらのエアパレット72をパレット装着部94に挿入および装着する。
【0043】なお、上述した実施の形態では、搬送車100として操作者が運転する手動式のものを示したが、図9に示すように、この搬送車は自動運転式あるいは遠隔操作式として構成しても良い。このような搬送車100は、運転席を除いて前述した搬送車と同様であり、車輪104を有した台車102、エアコンプレッサ112、駆動部108、一対のエアパレット72、一対の把持アーム114を備えて構成されている。
【0044】以上のように構成された貯蔵システムによれば、貯蔵されるコンクリートキャスク50および金属キャスク80は、いずれもその底部にパレット装着部74、92を備えている。そして、貯蔵建屋10内を自走する搬送車100に設けられたエアパレット72を任意のキャスクのパレット装着部74あるいは92に装着し、このエアパレットによってキャスクを浮上させた状態で搬送することにより、重いキャスクを容易に任意の場所へ搬送することができる。この際、天井クレーン等によりキャスクを吊り下げて搬送する場合に比較して、落下等の危険がなく、キャスクを安全に搬送することが可能となる。従って、コンクリートキャスク50および金属キャスク80を混在した状態で自由に配置し貯蔵することが可能となる。
【0045】また、このような構成によれば、貯蔵建屋10の天井部分に大型の天井クレーンを設ける必要がなく、貯蔵建屋の階高を低くし、建屋全体の小型を図ることができる。更に、金属キャスク80においては、その底部にパレット88を装着することにより、金属キャスクの底面積が増大し、この金属キャスクを安定して載置することが可能となる。
【0046】なお、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態において、金属キャスクに取り付けられたパレット88は、パレット装着部92を備え、このパレット装着部に搬送車100のエアパレット72を装着して搬送する構成としたが、各パレット88自身がパレット装着部92に取り付けられたエアパレット72を備えている構成としても良い。この場合、搬送車100は、エアパレット72を省略した構成とする。そして、金属キャスク80の搬送時、搬送車100は、エアコンプレッサ112を金属キャスク80のエアパレット72に接続して給気し、かつ、把持アーム114により把持した状態で、金属キャスクを搬送する。そして、このような構成においても、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、貯蔵建屋の小型化、特に、建屋階高を低くすることができるとともに貯蔵容器を所望の位置へ容易にかつ安全に配置可能な貯蔵システム、並びに貯蔵システムに用いる貯蔵容器および搬送装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成12年11月8日(2000.11.8)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2002−148386(P2002−148386A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−340837(P2000−340837)