| 【発明の名称】 |
照射劣化診断装置およびシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】坂本 博司
【氏名】久保 達也
【氏名】田中 重彰
【氏名】斉藤 宣久
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| 【要約】 |
【課題】照射劣化診断をより高精度で安価かつ迅速に行える照射劣化診断装置およびシステムを提供すること。
【解決手段】照射量診断手段3は診断対象部位から採取された試験片1から測定された放射化放射能に基づいて中性子照射量診断を行い、破壊靱性診断手段4は試験片1から測定された微小硬さまたは陽電子消滅ガンマ線スペクトルから得られるSパラメータに基づいて破壊靱性診断を行い、IASCC感受性診断手段5は試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC感受性診断を行い、IASCC進展寿命診断手段6は試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC進展寿命診断を行い、溶接性診断手段7は試験片から測定されたHe含有量に基づいて溶接性診断を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 診断対象部位から採取された試験片から測定された放射化放射能に基づいて中性子照射量診断を行う照射量診断手段と、前記試験片から測定された微小硬さまたは陽電子消滅ガンマ線スペクトルから得られるSパラメータに基づいて破壊靱性診断を行う破壊靱性診断手段と、前記試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC感受性診断を行うIASCC感受性診断手段と、前記試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC進展寿命診断を行うIASCC進展寿命診断手段と、前記試験片から測定されたHe含有量に基づいて溶接性診断を行う溶接性診断手段とを備えたことを特徴とする照射劣化診断装置。 【請求項2】 前記試験片は、診断しようとする複数の照射劣化事象に必要な形状の異なる複数の試験片を一体構造にして前記診断対象部位に設置し、前記診断部位から一体構造の試験片を採取した後にそれぞれの形状毎に分離して複数の照射劣化事象の測定を行うことを特徴とする請求項1記載の照射劣化診断装置。 【請求項3】 前記診断部位から採取した試験片に対して、第一に非破壊的測定を実施し、第二に破壊試験による測定を実施し、第三以降に試験片の溶融または溶解を伴う測定を実施することを特徴とする請求項2記載の照射劣化診断装置。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか1項の照射劣化診断装置をインターネットまたはイントラネットに接続すると共に、前記インターネットまたはイントラネットに前記照射劣化診断装置にアクセスするための入出力装置を接続したことを特徴とする照射劣化診断システム。 【請求項5】 前記入出力装置は、前記照射劣化診断装置に接続するためのプログラムを内蔵する汎用のコンピュータであることを特徴とする請求項4記載の照射劣化診断システム。 【請求項6】 前記照射劣化診断装置は、前記入出力装置から入力される利用者識別記号およびパスワードを予め登録されている利用者識別記号およびパスワードとを照合してからシステムを起動し、前記利用者識別記号ごとの累積使用時間を記録することを特徴とする請求項4または5記載の照射劣化診断システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉炉内構造物のように中性子照射を受ける部材の照射劣化の程度を診断する照射劣化診断装置およびシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、原子炉炉内構造物は運転時間が長くなるに従い中性子照射量も増加し、炉内構造物の材料は経年的に脆化が進行する。また、照射誘起応力腐食割れ感受性が増し、溶接に有害なHe(ヘリウム)を内部に蓄積する。照射劣化診断装置は、このような照射劣化の程度を監視するものであり、監視の結果、必要な場合に適切な保全処置を講じることにより原子炉を安全に運転する。 【0003】炉内構造物の材料の劣化診断は、被診断部位またはそれに近い部分から試験片を切り出して破壊試験を行い、その結果から診断するか、非破壊測定装置を被非診断部位に近づけ、直接に中性子照射量を測定して、その結果から診断する方法がとられている。 【0004】例えば、特開平11−17390号公報では実機構造物の応力腐食割れ感受性を評価診断する方法を提供しており、特開平11−248691号公報では実機構造物の脆化度合いを診断する方法を提供している。これらのものでは、その診断のために独特の試験片1を実機構造物から採取し、劣化度を測定した上で、データベースを比較することにより診断を行なっている。また、特開平11−23776では診断制度を向上するために炉内機器の劣化度を直接的に診断することを含む複合診断装置を提供している。 【0005】図5は、各劣化事象毎に採取された試験片から得られた測定データを各々の参照用データと比較して各事象毎に別個に診断を行う従来の照射劣化診断方法の説明図である。すなわち、診断しようとする劣化事象A、B、Cに対して、まず、各々の診断に適した試験片A、B、Cを診断対象機器から採取し、次いで、各々の試験片に対して劣化度A、B、Cの測定を行い、この結果と予め実験的に得られているデータベースA、B、Cと比較参照する。これにより、A、B、Cの劣化診断を別々に行うものである。 【0006】実際の診断作業は、印刷された参照データと印刷された測定データとを人力により比較して劣化度を判断するか、参照データを画面上に表示したコンピュータに測定データを入力して、画面上で比較して劣化度を判断する方法をとっている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、原子炉炉内構造物の場合は高度な放射線場であり、通常は水中にあること、および複雑な内部構造物であり狭隘部が多く、非破壊測定装置を近づけることが困難なことが多い。また、評価すべき劣化事象別に各々の試験片を採取するか、各々の劣化事象の測定に適した装置を別個に原子炉内に持ち込む必要があり、多大な時間とコストを要するものである。 【0008】また、特開平11−17390号公報や特開平11−248691号公報のものでは、ある構造物の劣化度を総合的に診断するためには複数の試験片1を採取し、複数の診断装置を用いて行なう必要がある。さらに、特開平11−23776ものでは、複数の劣化事象に対しての診断方法及び装置については具体化されていない。 【0009】一方、図5に示した照射劣化診断方法では、診断しようとする劣化事象A、B、Cに対して独立して試験片採取から診断まで実施できる利点があるが、対象機器の劣化度を総合的に判断するために、A、B、Cの劣化事象全部または複数を診断する場合は、各々の劣化診断のために、劣化事象に対応する全部または複数の試験片を採取し、複数の劣化データから各々個別に劣化診断する必要がある。 【0010】供用中の原子炉内機器から複数の試験片を採取することは、採取自体にも多大な時間とコストがかかり、実施の大きな障害になっている。また診断プログラムも劣化事象に対応した個別のプログラムを用いているため、全体の診断に時間を要する一因となっている。 【0011】このように、炉心構造物の劣化度を総合的に評価するためには評価しようとする事象の測定に適した試験片を、その事象の数だけ採取するものであるため、採取する試験片の数や種類が多く、試験片の採取から診断に至るまでに要する時間および費用が多大なものとなっている。 【0012】また、安価に診断を行うため、実構造物のデータを用いずに計算上の中性子照射量に基づくものである。さらに、試験片を採取せずに行う照射劣化診断方法として、検出しようとする劣化事象に応じた測定装置を実構造物に近づけて測定する方法も考えられるが、複数の劣化事象を総合的に診断する場合は、その事象の数の測定装置を実構造物に接近させる遠隔操作装置が必要となり、非常に高価なもとのとなる。 【0013】本発明の目的は、照射劣化診断をより高精度で安価かつ迅速に行える照射劣化診断装置およびシステムを提供するものである。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係わる照射劣化診断装置は、診断対象部位から採取された試験片から測定された放射化放射能に基づいて中性子照射量診断を行う照射量診断手段と、前記試験片から測定された微小硬さまたは陽電子消滅ガンマ線スペクトルから得られるSパラメータに基づいて破壊靱性診断を行う破壊靱性診断手段と、前記試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC感受性診断を行うIASCC感受性診断手段と、前記試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC進展寿命診断を行うIASCC進展寿命診断手段と、前記試験片から測定されたHe含有量に基づいて溶接性診断を行う溶接性診断手段とを備えたことを特徴とする。 【0015】請求項1の発明に係わる照射劣化診断装置においては、診断対象部位から採取された試験片から測定された放射化放射能に基づいて中性子照射量診断を行い、試験片から測定された微小硬さまたは陽電子消滅ガンマ線スペクトルから得られるSパラメータに基づいて破壊靱性診断を行い、試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC感受性診断を行い、試験片から測定された電気化学的再活性過電流密度比に基づいてIASCC進展寿命診断を行い、試験片から測定されたHe含有量に基づいて溶接性診断を行う。 【0016】請求項2の発明に係わる照射劣化診断装置は、請求項1の発明において、前記試験片は、診断しようとする複数の照射劣化事象に必要な形状の異なる複数の試験片を一体構造にして前記診断対象部位に設置し、前記診断部位から一体構造の試験片を採取した後にそれぞれの形状毎に分離して複数の照射劣化事象の測定を行うことを特徴とする。 【0017】請求項2の発明に係わる照射劣化診断装置においては、請求項1の発明の作用に加え、診断しようとする複数の照射劣化事象に必要な複数の試験片を包含する一体構造の試験片の形状を予め決定して、その試験片を採取し、複数の照射劣化事象の測定を行う。 【0018】請求項3の発明に係わる照射劣化診断装置は、請求項2の発明において、前記診断部位から採取した試験片に対して、第一に非破壊的測定を実施し、第二に破壊試験による測定を実施し、第三以降に試験片の溶融または溶解を伴う測定を実施することを特徴とする。 【0019】請求項3の発明に係わる照射劣化診断装置は、請求項2の発明の作用に加え、診断部位から採取した試験片に対して、第一に非破壊的測定を実施し、第二に破壊試験による測定を実施し、第三以降に試験片の溶融または溶解を伴う測定を実施する。 【0020】請求項4の発明に係わる照射劣化診断システムは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項の照射劣化診断装置をインターネットまたはイントラネットに接続すると共に、前記インターネットまたはイントラネットに前記照射劣化診断装置にアクセスするための入出力装置を接続したことを特徴とする。 【0021】請求項4の発明に係わる照射劣化診断システムにおいては、インターネットまたはイントラネットを介して入出力装置から照射劣化診断装置にアクセスする。これにより、照射劣化診断装置を共用する。 【0022】請求項5の発明に係わる照射劣化診断システムは、請求項4の発明において、前記入出力装置は、前記照射劣化診断装置に接続するためのプログラムを内蔵する汎用のコンピュータであることを特徴とする。 【0023】請求項5の発明に係わる照射劣化診断システムにおいては、請求項4の発明の作用に加え、入出力装置は汎用のコンピュータで構成され照射劣化診断装置に接続する以外の用途にも使用する。 【0024】請求項6の発明に係わる照射劣化診断システムは、請求項4または請求項5の発明において、前記照射劣化診断装置は、前記入出力装置から入力される利用者識別記号およびパスワードを予め登録されている利用者識別記号およびパスワードとを照合してからシステムを起動し、前記利用者識別記号ごとの累積使用時間を記録することを特徴とする。 【0025】請求項6の発明に係わる照射劣化診断システムにおいては、請求項4または請求項5の発明の作用に加え、入出力装置から入力される利用者識別記号およびパスワードを照合してからシステムを起動しセキュリティを図ると共に、利用者識別記号ごとの累積使用時間を記録する。 【0026】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係わる照射劣化診断装置の構成図である。 【0027】原子炉圧力容器内部の内部にある炉内構造物の一部から試験片1を採取する。そして、その試験片1に対して、放射化放射能分析S1、微小硬さ測定S2、陽電子消滅γ線Sパラメータ測定S3、電気化学的再活性化電流密度比測定S4、He含有量測定S5を行う。 【0028】これら測定された劣化度測定データは、必要な設計情報Dと共に、照射劣化診断装置2に入力され、原子炉内の機器や構造物の照射劣化を総合的に診断する。すなわち、照射量診断手段3は、原子炉内中性子束分布データベースを有し、試験片1から測定された放射化放射能を原子炉内中性子束分布データベースと比較して中性子照射量診断を行い、その診断結果である照射量診断結果H1を出力する。破壊靱性診断手段4は、破壊靱性の照射量依存性データベースを有し、試験片1から測定された微小硬さまたは陽電子消滅ガンマ線スペクトルから得られるSパラメータを破壊靱性の照射量依存性データベースと比較して破壊靱性診断を行い、その診断結果である破壊靱性診断結果H2を出力する。 【0029】IASCC感受性診断手段5は、IASCC感受性の照射量依存性データベースを有し、試験片1から測定された電気化学的再活性過電流密度比をIASCC感受性の照射量依存性データベースと比較してIASCC感受性診断を行い、その診断結果であるIASCC感受性診断結果H3を出力する。IASCC進展寿命診断手段6は、IASCC亀裂進展則照射量依存性データベースを有し、試験片1から測定された電気化学的再活性過電流密度比とIASCC亀裂進展則照射量依存性データベースとを比較してIASCC進展寿命診断を行い、その診断結果をIASCC進展寿命診断結果H4として出力する。 【0030】また、溶接性診断手段7は、溶接割れのHe含有量依存性データベースおよびステンレス鋼要せすシミュレーションプログラムを有し、試験片1から測定されたHe含有量と溶接割れのHe含有量依存性データベースと比較して溶接性診断を行う。あるいは、試験片1から測定されたHe含有量をデータとしてステンレス鋼溶接シミュレーションプログラムにより溶接性診断を行う。そして、その診断結果を溶接性診断結果として出力する。 【0031】原子炉内の機器や構造物の照射劣化事象としては、中性子照射による機器や構造物の放射化、脆化、材料の結晶粒界における照射誘起偏析(特に、結晶粒界におけるクロムの減少)、核変換により生成するHeの蓄積とこれに伴う溶接性の低下がある。 【0032】採取した試験片1の放射化放射能を測定し、放射化量から当該試験片1の中性子照射量を推定することが可能であり、この結果と炉内機器や構造物の中性子照射量の計算解析結果と照合することにより、炉内機器や構造物全体についての高精度の照射量分布を推定することができる。そこで、照射劣化診断装置2の照射量診断手段3により、試験片1から測定された放射化放射能を原子炉内中性子束分布データベースと比較して中性子照射量診断を行う。 【0033】中性子照射による脆化(破壊靭性値の減少)は、微小な硬さや陽電子消滅γ線スペクトルから得られるSパラメータと一次の相関があることが知られており、これらを劣化度として測定して予め実験的に得られたそれら測定値と破壊靭性値の関係を示す破壊靱性の照射量依存性データベースとを比較することにより照射脆化程度の精度良い推定を与える。 【0034】この場合に微小硬さとSパラメータとの両方が必要ではなくどちらか一方でも良い。照射誘起偏析による結晶粒界のクロムの減少は、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の原因であるが、特定の化学的溶液中における電気化学的再活性化電流密度比と一次の対応関係があることが知られているため、試験片1についてのこの測定値を劣化度として、予め実験的に得られた電気化学的再活性化電流密度比と粒界クロム濃度の関係またはそれとIASCC感受性及びIASCC進展速度との関係を示すデータベースと比較することにより、高精度のIASCC感受性診断を与える。 【0035】中性子照射を受けた材料の溶接性にはHeの含有量が大きく影響し、原子炉内機器や構造物を供用期間中に溶接等により改良しようとする場合、そのHe含有量を知り溶接性を評価する必要がある。このため、He含有量を劣化度として測定し、予め実験的に得られたHe含有量と溶接性に関する溶接割れのHe含有量依存性データベースと比較するか、ステンレス鋼溶接シミュレーションプログラムによる溶接性の診断を与える。 【0036】さらに、例えば、採取した試験片1の中性子照射量の推定は、前記のごとく放射化放射能の測定によってなされるが、これは主として熱中性子照射量を強く反映する測定値である。そこで、高速中性子照射による材料内部の照射欠陥の蓄積を良く反映する「陽電子消滅γ線スペクトルから得られるSパラメータ」の測定結果と合わせて推定することにより、より高精度の中性子照射量の評価が可能となる。 【0037】図2は、劣化度測定データを取得するための実機からの試験片1の採取の説明図である。診断しようとする複数の照射劣化事象に必要な複数の試験片1a、1b、1cを包含する試験片1の形状を予め決定して、次いで、その試験片1を実機から採取し、その後に試験片1を試験片1a、1b、1cに分離して、複数の劣化度測定データを取得する。 【0038】これは、複数の劣化を診断する場合の費用と時間との節約のために行うものである。複数の劣化を診断する場合には、劣化度測定データの測定のために必要な試験片1の採取量が増加し、費用と時間とを増大させる。 【0039】そこで、診断しようとする複数の劣化事象に対する劣化データ測定に必要な個々の試験片1の形状を検討し、それらを包含する試験片1の形状を予め決定し、複数の形状を有した試験片1a、1b、2cを一体構造にした試験片1を採取して劣化データを測定する。これにより、採取する試験片1の数を最小限度にし、費用と時間の少ない診断が可能となる。 【0040】図3は、照射劣化診断のための劣化度測定データを取得する説明図である。実機の機器や構造物の一部から試験片1を採取する(S11)。そして、採取した試験片1に対して、第一にその試験片1の形状を殆ど変えないで測定し、データ取得を行える非破壊劣化測定を行う(S12)。非破壊的に測定を行えるのは微小硬さ測定、電気化学的再活性化電流密度比、放射化放射能測定がある。 【0041】第二に、同じ試験片1に対して、試験片1を破壊する劣化度測定を行う(S13)。一般的には引張り試験や衝撃試験がこれに該当するが、測定条件によっては、放射化放射能測定や電気化学的再活性化電流密度比の測定も試験片1を破壊して小さくした場合の方が測定が容易になる場合がある。また、陽電子消滅γ線Sパラメータ測定も試験片を小さく破壊してから測定した方が測定しやすい。 【0042】第三に、試験片を溶融・溶解する劣化度測定を行う(S14)。これには、He含有量の測定が含まれる。このような手順で劣化度の測定を行うことにより、採取した試験片1から効率的に複数の劣化診断を行うことが可能となり、ひいては、採取する試験片1の量を最小限にすることができる。 【0043】このように、採取した少数の試験片1から多くの劣化データを測定できる。すなわち、1個の試験片1について、先ず、試験片1の破壊をしないで可能な測定を実施し、次いで、試験片1を破壊する必要のある劣化データの測定を行い、最後に、破壊された試験片1をさらに小片にしたり、溶解・溶融する必要のある劣化度測定データの測定を行う。これにより、採取する試験片を少なくする。従って、試験片1を採取される機器や構造物への影響を最小限にするとともに、試験片採取にかかる費用の少ない診断が可能となる。 【0044】また、非破壊的に測定できる劣化データとしては放射化放射能や電気化学的再活性化電流密度比があり、試験片1を破壊する必要があるか、破壊して小片にした方が測定が容易になる劣化度測定データとしては、微小試験片や陽電子消滅Sパラメータがある。He含有量は小片の試験片を溶融して測定する劣化度測定データである。 【0045】次に、図4は本発明の実施の形態に係わる照射劣化診断システムの構成図である。図1に示した第1の実施の形態の照射劣化診断装置2は、図4に示すようにインターネットまたはイントラネット8に接続され、入出力装置9a、9b、9cによって、照射劣化診断を実施する場合のデータの入出力が行われる。すなわち、照射劣化診断は、インターネットまたはイントラネット8を介して、入出力装置9からの劣化度測定データの入力により、照射劣化診断装置2を共用して行われる。 【0046】入出力装置9a、9b、9cは、必要に応じて複数の場所に設置することが可能であり、1台の照射劣化診断装置2を複数の入出力装置9a、9b、9cから有効に使用可能としている。 【0047】各々設置場所の異なる入出力装置9a、9b、9cから、インターネットまたはイントラネット8を介して、照射劣化診断装置2に劣化度測定データを入力する。そして、照射劣化診断装置2からその診断結果である劣化診断結果を取得し入出力装置9a、9b、9c出力する。 【0048】これにより、当該照射劣化診断システムを多数の原子力発電所の炉内機器や構造物の診断に利用するが可能となる。また、原子炉運用者自らが取得した劣化度測定データを用いてリアルタイムに診断することも可能となり、診断にかかる時間を大幅に短縮できる。 【0049】このように、この実施の形態の照射劣化診断システムでは、照射劣化診断装置2をインターネットまたはイントラネット8に接続し、複数の入出力装置9で照射劣化診断装置2を共用して使用できるようにしている。従って、各種データベースやプログラムを変更する場合も共用する1台のみ更新すれば良いため、全体として安価なシステムとなる。 【0050】ここで、入出力装置9a、9b、9cとして、インターネットまたはイントラネット8を介して接続される照射劣化診断装置2の診断システムにアクセスするためのプログラムを内蔵した汎用のコンピュータを使用することも可能である。そうした場合には、照射劣化診断システムの入出力装置9a、9b、9cを専用のコンピュータとすることなく他の用途と共用できる。従って、必要な時間のみに照射劣化診断システムの入出力装置9a、9b、9cとして使用することを可能とし、システムのコストをさらに安価できる。 【0051】また、入出力装置9a、9b、9cから入力される利用者識別記号およびパスワードを予め当該照射劣化診断システムの照射劣化診断装置2に登録しておき、入出力装置9a、9b、9cから照射劣化診断装置2にアクセスする際に、入力された利用者識別記号およびパスワードと、予め登録された利用者識別記号およびパスワードとを照合してからシステムを起動する。また、照射劣化診断装置2は利用者識別記号ごとの累積使用時間を記録する。 【0052】すなわち、当該照射劣化診断システムの所有者は、所有者が認めた利用者へ利用者識別記号を発行すると共に、照射劣化診断システムに登録する。これにより、照射劣化診断システムの利用者を特定し、特定利用者に関わる劣化度測定データや診断結果のような利用者固有の機密保持が可能となり、照射劣化診断に関わる機密保持の信頼性を確保できる。 【0053】また、照射劣化診断システムへの個々の利用者の累積使用時間を記録することにより、個別の利用者へ各々の使用時間に応じた費用負担を請求することが可能となり、利用者の費用負担を公平なものとする。さらに、利用者の利便に応じて、利用開始、終了時刻や、利用回数を記録する機能を内蔵させてもよい。 【0054】このように、インターネットまたはイントラネット8に接続している不特定多数のユーザのアクセスを防ぐとともに、照射劣化診断システムの利用者とその利用時間を特定して、診断にかかる料金の賦課を可能とできる。このことは、原子炉内機器や構造物の劣化という高度で専門的な情報の流出を防ぐ意味で、システムの運用上非常に重要な機能を与えるものであると共に、利用者にとっても診断にかかる経費が明瞭に把握できるという利点を与えるものである。 【0055】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、診断対象になり得る複数の劣化事象に対応したデータベースと診断プログラムを具備し、診断対象構造物から採取した試験片を用いて測定したデータを用いて照射劣化診断を行うので、高精度で安価な照射劣化診断装置が提供できる。また、診断対象構造物で測定した劣化度測定データを診断に用いるに際して、構造物から採取する試験片を最小限できるので、運用コストが安価となる。 【0056】また、照射劣化診断装置をインターネットまたはイントラネットに接続して複数台の入出力装置から共用できるので、より安価でシステムの保守性のよい照射劣化診断システムを提供できる。この場合、入出力装置として汎用のコンピュータを使用した場合には、さらに運用コストが安価となる。また、複数の入出力装置からアクセスする利用者に対して、予め登録された利用者のみがアクセスできるようにしているので、診断の秘密が守られると共に、利用時間が記録されることにより、利用度合いに応じた費用の負担を可能にできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成12年11月8日(2000.11.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083231 【弁理士】 【氏名又は名称】紋田 誠
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| 【公開番号】 |
特開2002−148383(P2002−148383A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月22日(2002.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−339988(P2000−339988) |
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