| 【発明の名称】 |
原子炉第1炉心 |
| 【発明者】 |
【氏名】スツレ、ヘルメルソン
|
| 【要約】 |
【課題】軽水型原子炉の第1運転サイクルにおいて経済的に有利な炉心を提供すること。
【解決手段】本発明は、軽水型原子炉の第1原子炉炉心において、第1運転サイクル中の原子炉炉心が複数個の燃料集合体からなり、各々の該燃料集合体が複数個の燃料棒を有し、各々の燃料棒が該燃料のコラムを取り囲む被覆管を有し、少なくとも1本の燃料棒における核燃料が可燃性中性子吸収体を含んでいる第1原子炉炉心に関するものである。原子炉炉心の第1運転サイクルの開始時に、該可燃性中性子吸収体は濃縮されたガドリニウムからなっており、該ガドリニウムが天然のガドリニウムの中性子吸収断面積より大きな中性子吸収断面積を有する1あるいはそれ以上の同位元素に関して濃縮されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軽水型原子炉の第1原子炉炉心において、第1運転サイクル中の原子炉炉心が複数個の燃料集合体からなり、各々の該燃料集合体が複数個の燃料棒を有し、各々の燃料棒が該燃料のコラムを取り囲む被覆管を有し、少なくとも1本の燃料棒における核燃料が可燃性中性子吸収体を含んでおり、原子炉炉心の第1運転サイクルの開始時に、該可燃性中性子吸収体が濃縮されたガドリニウムからなっており、該ガドリニウムが天然のガドリニウムの中性子吸収断面積より大きな中性子吸収断面積を有する1あるいはそれ以上の同位元素に関して濃縮されていることを特徴とする第1原子炉炉心。 【請求項2】 前記濃縮されたガドリニウムが同位元素ガドリニウム−157に関して濃縮されている、特許請求の範囲第1項記載の第1原子炉炉心。 【請求項3】 前記同位元素ガドリニウム−157が濃縮ガドリニウムの60−70%を占めている、特許請求の範囲第2項記載の第1原子炉炉心。 【請求項4】 前記濃縮ガドリニウムの量が核燃料の5−12%を占めている、特許請求の範囲第1項記載の第1原子炉炉心。 【請求項5】 前記濃縮ガドリニウムの量が核燃料の7−10%を占めている、特許請求の範囲第1項記載の第1原子炉炉心。
|
【発明の詳細な説明】【0001】(技術分野)本発明は軽水型原子炉における第1炉心に関するものであり、該原子炉はその第1運転サイクル中には複数個の燃料集合体を有し、各々の該燃料集合体は複数個の燃料棒からなっている。該燃料棒の各々は核燃料のコラムを取り囲む被覆管を有している。少なくとも1本の前記燃料棒は可燃性中性子吸収体からなっている。 【0002】(背景技術)沸騰水炉(BWR)あるいは加圧水炉(PWR)のような軽水炉における炉心は通常は数百体の燃料棒のバンドルを有している。各々の燃料棒バンドルは複数個の燃料棒からなり、該燃料棒は核燃料のコラムを取り囲む被覆管を有している。燃料のコラムは通常は燃料ペレットの形をしていて、該燃料ペレットが上下に積み上げられている。前記被覆管は通常はジルコニウム合金でできている。前記燃料棒バンドルにおいては燃料棒は底部タイプレートと頂部タイプレートとの間に配置され、これらのタイプレートに対してある種の燃料棒が固定されている。 【0003】燃料ペレットを製造するときには2酸化ウランの粉末、UO2粉末と、U3O8粉末との混合物が通常用いられる。該混合物はペレット状に形成され、圧縮、焼結され、所定の寸法になるまで湿式研削される。 【0004】全運転サイクルにおいて原子炉の中で核反応を生じさせるためには、炉心はある程度の余剰反応度、即ち、丁度臨界になっている炉心に対して要求される中性子増倍率より大きな中性子増倍率を有していなければならない。 【0005】1運転サイクルという用語の意味は、新燃料だけの初期装荷と燃料の部分再装荷との間の期間、あるいは2回の燃料部分再装荷の間の期間のことである。 【0006】前記余剰反応度は、運転サイクル中における燃料の燃焼を補償するため、即ち燃料材料の消費を補償するために必要な反応度のことである。該余剰反応度は運転サイクル中性子に消費されるので、適当な間隔をおいて燃料交換を実施しなければならない。前記部分再装荷は、原子炉内の燃焼が最少許容余剰反応度に到達するまで進んだときに実施される。もし燃料交換が連続的に実施されれば燃料は最良状態で利用され、そのために各々の再装荷の間に約20%ないし40%の燃料棒が交換される。 【0007】交換燃料の濃縮度のみならず交換すべき燃料の量を平衡させることによって、次の再装荷までのエネルギー出力を確保するための反応度上昇が得られる。原子炉燃料の装荷あるいは部分再装荷の間に得られる余剰反応度には注意を払わなければならない。余剰反応度の一部分は通常は制御自在な制御棒によって制御される。運転サイクルの第1部分の間の余剰反応度を制御するために、また可燃性中性子吸収体が用いられる。該可燃性中性子吸収体として中性子吸収断面積の非常に大きな物質のみが用いられる。中でも適当な物質はボロン(B)、あるいは3酸化2ガドリニウム(Gd2O3)の形をしたガドリニウム(Gd)である。BWRやPWRのような軽水冷却原子炉の通常の制御方法はガドリニウムを用いる方法である。ガドリニウムはいわゆる土類金属であり、複数個の安定同位元素(第1表参照)として天然に存在する。該同位元素Gd−155とGd−157が中性子吸収容量の点で優れている。天然ガドリニウムは約30重量%の同位元素Gd−155とGd−157を含んでいる。Gd−153とGd−159,Gd−161はそれらがβ不安定元素であるので表には含まれていない。 【0008】前記可燃性中性子吸収体が燃料ペレットの製造中に燃料と混合され、可燃性中性子吸収体を含んだペレットになる。可燃性中性子吸収体を含んだ前記ペレットは原子炉のある種の燃料棒の中で、所定のパターンに従って配置される。該可燃性中性子吸収体は中性子を捕獲すると消費され、比較的小さな中性子吸収断面積を有する新しい同位元素が形成される。可燃性中性子吸収体の、量と燃料棒バンドル内の位置とは望みの燃焼速度が得られるように調整される。 【0009】ガドリニウムが大きな中性子吸収断面積を有しているということは、その材料が自己遮蔽的になっていることを意味し、即ち、ガドリニウムを含む燃料ペレットの外側部分に位置された原子核が、それ自身消費されながら、その内側部分に位置された原子核が消費されるのを保護することを意味している。同位元素のこれらの特性があるので、炉心内における同位元素の量と配置とを調整することによって、空間的、時間的に余剰反応度を望みどおりに制御するために、それらの同位元素を利用することができる。 同位元素 存在比 熱中性子吸収断面積 (重量%) (バーン) Gd−152 0.2 1100±100 Gd−154 2.2 85±12 Gd−155 14.9 61100±500 Gd−156 20.6 1.5±1.2 Gd−157 15.7 254300±2000 Gd−158 24.7 2.5±0.5 Gd−160 21.7 0.77±0.02 表1【0010】一方で、その他のガドリニウム同位元素、Gd−152,Gd−154,Gd−156,Gd−158,Gd−160は比較的小さな中性子吸収断面積(表1参照)を有しており、中性子の吸収も遅く、従って、自己遮蔽体にはならない。従って、それらの燃焼率は制御することができず、中性子経済の観点からは、それらは負担である。Gd−155とGd−157は中性子を吸収すると、それぞれGd−156とGd−158に転換される。米国特許明細書US5,524,033からは、燃料集合体内の可燃性中性子吸収体として濃縮ガドリニウムを用いる事が知られている。 【0011】原子炉の第1炉心において、即ち、原子炉の中へ最初に燃料集合体を装荷して、炉心が100%新燃料で満たされている場合において、得られる燃焼度は、第1運転サイクル中にどれだけ多くの余剰反応度を取り扱うことができるかということによって決定される。該第1運転サイクル中に発生させることのできる全ての余剰反応度は、制御棒とその他の吸収体によって制御することができるはずであり、このことは第1炉心の平均濃縮度を燃料交換中の交換燃料の平均濃縮度よりも比較的低くしておかなければならないことを意味している。発生される余剰反応度の量は、第1再装荷までの運転期間に依存しており、即ち、第1運転サイクルが長くなればなるほど、多くの余剰反応度が発生し、より多くの制御棒と、より多くの可燃性中性子吸収体が必要となる。 【0012】(発明が解決しようとする課題)第1炉心における第1再装荷の時期は、第1運転サイクル中に取り扱うことができる余剰反応度の大きさによって決定される。この第1再装荷の間に、通常20%の年賀交換される。この時までに、この20%の燃料は約30%の燃焼度にまで進行する。より高い燃焼度にまで燃料を燃焼させることは可能であるが、余剰反応度に対する注意が必要であることが課題である。 【0013】余剰反応度を制御するために、制御棒と共に中性子吸収用のボロン板を用いる事が知られている。該ボロン板は第1運転サイクルの後には除去される。またそれ以外の吸収体として、Gd2O3の形をした可燃性中性子吸収体を用いることも知られている。必要な制御棒の数は減少する。通常は、第1運転サイクルの方がその後の運転サイクルよりも必要とされる制御棒の数が多くなる。 【0014】第1炉心において第1運転サイクル中に十分高い燃焼度を達成する場合の1つの課題は、燃料中に十分多量の可燃性中性子吸収体(BA)を得ることにある。 【0015】燃焼度を増加させるために、燃料中のガドリニウムの量が増加が増加される。しかしながら、ガドリニウムの量が増加されると、燃料ペレットの熱機械的な特性が大きく低下し、特に燃料が高燃焼度にまで燃焼進行しようとする場合、大きく低下することになる。 【0016】(課題を解決するための手段)、(発明の概要) 本発明の目的は第1運転サイクル中において、既知の技術と比較して、核燃料の高燃焼度と、高エネルギー出力と、長い第1運転サイクルとを提供する第1炉心を達成することにある。 【0017】このことは、核燃料に可燃性中性子吸収体を添加し、該可燃性中性子吸収体が、炉心の第1運転サイクルを開始する際に、天然に存在するガドリニウムの中性子吸収断面積よりも大きな中性子吸収断面積を有する1あるいはそれ以上の同位元素を濃縮した濃縮ガドリニウムからなっていることによって達成される。 【0018】本発明による原子炉の第1炉心は、核燃料のコラムを取り囲む被覆管からなる複数個の燃料棒を有する複数個の燃料集合体からなっている。少なくとも1本の燃料棒における核燃料は可燃性中性子吸収体を含有している。 【0019】Gd−157に関してガドリニウムを濃縮することによって、第1炉心において第1運転サイクルを開始するときには、該濃縮ガドリニウムが天然に存在する通常15.7重量%のガドリニウムに比べて、60重量%ないし70重量%の同位元素Gd−157を含有しており、この燃料集合体が通常よりも比較的長く燃焼することができるので、第1炉心の第1運転サイクル中の数百体の燃料集合体を節約することができる。 【0020】第1炉心における第1運転サイクルに関しては、部分燃料交換は通常は1.5年後ないし2年後に行われるが、それはまた第1運転サイクルが1年である場合もある。本発明による第1炉心に関していうと、第1運転サイクルの期間を3年ないし4年に増加させることも可能である。 【0021】第1炉心の第1運転サイクルに対して可燃性中性子吸収体として濃縮ガドリニウムを添加すると、背景技術の項で記載したように、その後の運転サイクルにおいて濃縮ガドリニウムを添加する場合に比べて、他の効果が得られる。第1運転サイクルに濃縮Gd−157を用いることにより、Gd−157を濃縮していないガドリニウムを用いた場合に比べて、より高い燃焼度とより高いエネルギー効率が得られる。 【0022】背景技術の項で記載したように、Gd−157のみならずGd−155も大きな中性子吸収断面積を有している。それにもかかわらず、Gd−155を濃縮したガドリニウムを添加することは望ましくない。このことは、Gd−155の副産物がGd−156であり、Gd−155を避けることによって、Gd−156において、生じる残余吸収の大部分が避けられるという事実によるものである。従来技術によってその後の運転サイクルにおいて中性子吸収体として濃縮ガドリニウムを用いた場合、より高い燃焼度が得られるが、より高いエネルギー効率は得られない、即ち、以後の運転サイクルに要する運転期間が、第1運転サイクルの運転期間に応じるようして延長されることがない。本発明によってエネルギー効率が向上するのは、第1炉心におけるように、全ての燃料が新燃料である場合のみである。 【0023】第1運転サイクルを、例えば、1.5年から3年に延長することによる1つの利点は、部分再装荷を実施するために原子炉の停止が少なくとも1回は不要になるという点にある。この原子炉停止は通常は1ヶ月ないし2ヶ月継続される。第1運転サイクルを延長させると、相当な経済的な節約ができる。 【0024】第1運転サイクルを1.5年から3年に延長することによる他の利点は、交換用の装荷燃料を製造する必要が無くなるという点にある。 【0025】付加的な利点は、部分燃焼された燃料が、通常は約30%の燃焼度しか達成できなかったのが、さらに燃焼することができ、最終的な廃棄物処分に関する手当てが必要でなくなる。またこのことは大きな費用の節約になる。 【0026】前述した利点に関し、本発明の第1炉心によって、大きな経済的な節約ができることが理解できる。 【0027】(好的実施例の説明)以下において、BWRあるいはPWRのような軽水炉における第1炉心に関する本発明の実施例を説明するが、第1運転サイクル中の原子炉炉心は複数個の燃料棒からなる複数個の燃料集合体を有している。該燃料棒は核燃料のコラムを取り囲む被覆管を有し、少なくとも1本の該燃料棒のコラムが可燃性中性子吸収体からなっている。通常は、核燃料のコラムは燃料ペレットからなっており、該燃料ペレットが上下に積み上げられている。原子炉の第1炉心において第1運転サイクルを開始させるときに、前記可燃性中性子吸収体はGd−157を濃縮した濃縮ガドリニウムを有している。 【0028】前記ガドリニウムは同位元素Gd−157が濃縮ガドリニウムの60%ないし70%を組成するように濃縮される。天然に存在するガドリニウムにおいては、同位元素Gd−157はガドリニウムの約15.7重量%を占める。 【0029】燃料ペレットの製造中に、ある種の燃料ペレットにおいて濃縮ガドリニウムが燃料と混合される。濃縮ガドリニウムを含んだ燃料ペレットは、燃料の最適燃焼を達成する目的で、既知の技術によって所定のパターンに配置された、少なくともある種の燃料棒の中に存在する。燃料棒の中に可燃性中性子吸収体を含んだ燃料ペレットがどの程度配置されているかの例が、例えば、米国特許明細書US3,799,839に記載されている。 【0030】第1原子炉炉心の第1運転サイクルの開始時における核燃料の総量の内、濃縮ガドリニウムは、好ましくは、5%ないし12%含まれている。さらに好ましい実施例によると、第1原子炉炉心の開始時における核燃料の総量の7%ないし10%の濃縮ガドリニウムが含まれている。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500570070 【氏名又は名称】ウェスチングハウス アトム アクチボラゲット
|
| 【出願日】 |
平成12年12月13日(2000.12.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−148379(P2002−148379A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月22日(2002.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−378271(P2000−378271) |
|