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【発明の名称】 沸騰水型原子力発電プラント
【発明者】 【氏名】中丸 幹英

【氏名】日置 秀明

【氏名】斉藤 健彦

【氏名】平岩 宏司

【氏名】奈良林 直

【氏名】大水 諭

【氏名】下田 強

【氏名】新井 健司

【氏名】師岡 慎一

【氏名】鈴木 征治郎

【要約】 【課題】静的安全系の簡素化された構成を基に、動的安全系の確実な格納容器の減圧を得ることを目的とする。

【解決手段】非常用炉心冷却系として減圧弁および重力落下式炉心注水系を有し、格納容器冷却系として静的格納容器冷却系714および格納容器冠水系を有する沸騰水型原子力プラントにおいて、格納容器を減圧して事故後長期の放射能漏洩を制限するために動的な格納容器スプレイ冷却系を安全系として加えたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 非常用炉心冷却系として減圧弁および重力落下式炉心注水系を有し、格納容器内の蒸気を格納容器上部に設置した冷却水プール内の熱交換器で冷却する静的格納容器冷却系および事故時に格納容器内に形成されたドライウェル内に冷却水を注水する格納容器冠水系を有する沸騰水型原子力プラントにおいて、冷却水をポンプを介して格納容器内に注水する格納容器スプレイ冷却系を安全系として加えたことを特徴とする沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項2】 格納容器スプレイ冷却系は事故時の単一故障を考慮して100%×2系統構成とし、それに対応して電源系も含めた非常用区分も2区分としたことを特徴とする請求項1記載の沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項3】 請求項1または2に記載の沸騰水型原子力発電プラントにおいて、2区分の残留熱除去系などを冷却する海水系の各区分毎に予備機を設け50%×3基×2系統構成とし、また取水炉を100%×3本として、各々の取水炉に区分IおよびIIの海水熱交換器を1基ずつ組み合わせることにより、プラント通常運転中に任意の1系列の海水系の保守を行うことができることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラント。
【請求項4】 非常用炉心冷却系として減圧弁および重力落下式炉心注水系を有する静的安全系構成において、爆破弁等の無漏洩弁とは異なる、普通の空気作動弁または電動の減圧弁を格納容器ドライウェル内の逃し安全弁排気管上に設置し、プラント通常運転中のドライウェル内への炉蒸気の漏洩をほぼ完全に防止できることを特徴とする沸騰水型原子力発電プラント。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸騰水型原子力発電プラントに係り、特に安全系の構成を改良した沸騰水型原子力発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】現在商用として使われている沸騰水型原子力発電プラントの非常用炉心冷却系および格納容器冷却系の構成は一般に、ポンプなどの動的機器による炉心への注水系、および熱交換器による格納容器からの除熱系を系統のネットワークとして組み合わせることにより、炉心に繋がる配管の破断に対してこれら系統に単一故障が生じても大丈夫なような冗長性を有した設計になっていた。
【0003】一方、静的安全系を用いた構成を有する単純化沸騰水型原子力発電プラントに関しても、既に多方面で研究が進められてきており、代表的な例としては、非常用炉心冷却系として原子炉を減圧する減圧弁に重力落下式の炉心注水系を組み合わせたもの、および格納容器冷却系として格納容器内の蒸気を格納容器上部に設置した冷却水プール内の熱交換器で冷却するか、或いはその冷却水で格納容器の壁面を直接冷却するなどの静的格納容器冷却系を採用した構成が考案されてきた。
【0004】図6〜図9を参照して、沸騰水型原子力発電プラントの安全系の構成の従来例について説明する。
【0005】図6は、従来の最新型の沸騰水型原子力発電プラントの安全系の構成を示したものであり、非常用炉心冷却系は3区分I、II、IIIに分けて構成されている。区分Iには原子炉隔離時冷却系741、低圧炉心注水系/残留熱除去系742および非常用ディーゼル発電機744により構成され、区分IIは高圧炉心注水系743、低圧炉心注水系/残留熱除去系742および非常用ディーゼル発電機744により構成され、区分IIIは高圧炉心注水系743、低圧炉心注水系/残留熱除去系742およびそれらに繋がる区分毎の非常用発電機744により構成され、さらに、冗長性を持たせた別区分の自動減圧系745により構成されている。
【0006】一方、図7は静的安全系を取入れた単純化沸騰水型原子力発電プラントの安全系の構成を示している。この構成には前者のような安全区分はなく、非常用炉心冷却系として原子炉を減圧する減圧弁751に重力落下式の炉心注水系752を組み合わせたもの、および格納容器冷却系として格納容器内の蒸気を格納容器上部に設置した冷却水プール内の熱交換器で冷却する静的格納容器冷却系753、原子炉冷却系として非常用復水器を使用する静的原子炉冷却系754を採用した構成となっている。これらは全体として静的機器については単一故障を考慮する必要がなく、一部動的機器の弁などに関してのみ単一故障を考慮する設計となっている。
【0007】また、図8は従来型沸騰水型原子力発電プラントの原子炉補機冷却系/同海水系の概要を示している。このプラントの場合は、区分IおよびIIの2区分の電源系に対応して、原子炉補機冷却系/同海水系も2区分構成の例を示した。この時海水系のオンライン保守を行おうとすると、取水路が同じ電源区分に対応して2区分となっているために、例えば予備の海水熱交換器761を各々の区分毎に設置しても、取水路762自体のオンライン保守ができずに海水熱交換器のみの保守しかできない欠点があった。これで無理に取水路のオンライン保守を行おうとすれば、各々の熱交換器毎に独立した取水路を設け、結局、合計で6個の取水路が必要となってしまうなどの課題が有り、コストがかさむためになかなか実現は難しかった。
【0008】図9において、単純化沸騰水型原子力発電プラントの静的安全系の構成に対して、原子炉を減圧するための減圧弁771は原子炉圧力容器772に直接か、或いは主蒸気管773に接続されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の原子力発電プラントの安全系の構成に関しては、動的であれ静的であれ以下のような各々の課題が存在した。
【0010】前者の動的安全系の構成に対しては、原子炉に繋がる配管の自己破断に加えて他の1区分の単一故障を仮定すると、最低3区分の安全系としての構成が必要となっていた。
【0011】後者の静的安全系の構成に対しては、事故時の格納容器圧力が長時間下がらないで保持されるために、現在の基準では格納容器からの漏洩量が担保できないという静的格納容器冷却系の特有の問題点が存在した。
【0012】これら両方の課題を克服した上で、簡素化された経済的な安全系の構成を形作ることが従来からの課題であった。
【0013】沸騰水型原子力発電プラントの定期検査期間のクリティカルパスの一つに海水系機器の保守があるが、これを短縮するには海水系機器のオンライン保守が有効であることは以前から判っていた。そのために、海水系機器の系統構成をオンライン保守のし易い構成で、且つ、コストインパクトが小さいものとすることが従来からの課題であった。
【0014】静的安全系における減圧弁に関しては、それが原子炉の圧力バウンダリーを構成し、かつそれが格納容器のドライウェルに開放していることから、蒸気のドライウェルへの漏洩や誤開放による冷却材喪失事故(LOCA)発生などを避けるために、火薬を用いる爆破弁などの特殊な無漏洩弁が用いられていた。そのため、定期的な弁の爆破開放テストや取り替え用弁の保管等の義務づけがされており、取り扱いが大変であり、これを爆破弁以外でも無漏洩を担保できる弁構成にすることが従来からの課題であった。
【0015】本発明は上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、静的安全系の簡素化された構成を基に、動的安全系の確実な格納容器の減圧を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る原子力発電プラントの安全系においては、以下の構成をとる。
【0017】請求項1記載の発明では、非常用炉心冷却系として減圧弁および重力落下式炉心注水系を有し、格納容器内の蒸気を格納容器上部に設置した冷却水プール内の熱交換器で冷却する静的格納容器冷却系および事故時に格納容器内に形成されたドライウェル内に冷却水を注水する格納容器冠水系を有する沸騰水型原子力プラントにおいて、冷却水をポンプを介して格納容器内に注水する格納容器スプレイ冷却系を安全系として加えたことを特徴とする。
【0018】本発明によれば、静的安全系の基本的な構成に対して動的な格納容器スプレイ冷却系を付加することにより、事故後の格納容器の減圧を確実に行うことで、現在の基準にて格納容器からの放射能漏洩量を許容値以内に抑えることができる。
【0019】請求項2記載の発明では、格納容器スプレイ冷却系は事故時の単一故障を考慮して100%×2系統構成とし、それに対応して電源系も含めた非常用区分も2区分としたことを特徴とする。
【0020】本発明によれば、その静的な非常用炉心冷却系と格納容器冷却スプレイ系の組み合わせにより、安全系の区分数を2区分とすることが可能となった。なぜならば、非常用炉心冷却系に静的な重力落下式炉心注水系を用いているために、炉心に繋がる配管の自己破断は想定する必要があるが、格納容器スプレイ冷却系自体は炉心に繋がっていないために自己破断を想定する必要がなくなり、単一故障のみを想定すれば良く、動的安全系としては非常用電源も含めて従来の3区分から2区分(100%×2系統)があれば良いことになった。
【0021】請求項3記載の発明では、請求項1または2に記載の沸騰水型原子力発電プラントにおいて、2区分の残留熱除去系などを冷却する海水系の各区分毎に予備機を設け50%×3基×2系統構成とし、また取水炉を100%×3本として、各々の取水炉に区分IおよびIIの海水熱交換器を1基ずつ組み合わせることにより、プラント通常運転中に任意の1系列の海水系の保守を行うことができることを特徴とする。
【0022】本発明によれば、前記2区分の残留熱除去系に対応した、2区分の補機冷却系/同海水系の構成に対して、原子炉補機冷却系熱交換器を含む海水系を各々の区分に対して50%×3基×2区分構成とし、同じく取水路の部分を100%×3系統として、各々の取水炉に区分IおよびIIの海水熱交換器を1基ずつ組み合わせることにより、プラントの通常運転中にその取水炉を含む100%部分の任意のトレインを隔離して海水系のオンライン保守を可能とする構成である。
【0023】請求項4記載の発明では、非常用炉心冷却系として減圧弁および重力落下式炉心注水系を有する静的安全系構成において、爆破弁等の無漏洩弁とは異なる、普通の空気作動弁または電動の減圧弁を格納容器ドライウェル内の逃し安全弁排気管上に設置し、プラント通常運転中のドライウェル内への炉蒸気の漏洩をほぼ完全に防止できることを特徴とする。
【0024】本発明は静的安全系の構成に対して、特にその減圧弁の構成を規定したものであり、減圧弁の設置位置を同じ運転モードで自動減圧系として働く逃し安全弁の排気管上に設置してドライウェル側に開放することにより、従来のような爆破弁ではなく、空気作動弁或いは電動弁などの一般的な弁形式にて代用できるようにしたものである。これにより、逃し安全弁の排気ラインは圧力抑制プール内に水没しているので、たとえ逃し安全弁が漏洩しても、その時に減圧弁が同時に漏洩する可能性は小さいので、その蒸気は圧力抑制プール内で凝縮されてドライウェル側には漏洩しないことになる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る沸騰水型原子力発電プラントの安全系の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態は、例えば100MWeクラスの沸騰水型原子力発電プラントに適用したものである。
【0026】図1は本実施形態による沸騰水型原子力発電プラントの全体構成を示す系統図であり、図2は安全系の構成図である。
【0027】図1に示すように、このプラントは原子炉圧力容器1内の底部に炉心2を有する冷却水自然循環型の沸騰水型原子力プラントであり、制御棒を駆動する内蔵型上部制御棒駆動機構を炉心2の上方に有するものである。安全系としては、炉心2およびドライウェル3に対しては、重力落下式炉心冷却系713および静的格納容器冷却系714が備えられている。また、自動減圧系712および非常用復水器770、残留熱除去系771等が備えられている。
【0028】そして、図2に示すように、通常直流電源(DC)区分(I)、(II)が設けられている。これらの電源区分は重力落下式炉心冷却系(GDCS)713、静的格納容器冷却系(PCCS)716および自動減圧系(ADS)712、減圧弁(DPV)712、非常用復水器(アイソレーションコンデンサ:IC)770、ドライウェル冠水系(D/W)、原子炉隔離時冷却系(RCIC)775等により構成されている。
【0029】また、非常用直流電源(EAC)区分I、IIが設けられ、これらの電源区分は原子炉残留熱除去系(RHR)771、原子炉格納容器スプレイ(RCVスプレイ)系772、原子炉補器冷却系(RCW/RSW)、海水系熱交換器の弁等、非常用ディーゼル発電機(DG)、ガスタービン発電機(GTG)等により構成されている。この非常用直流電圧区分(I)はディーゼル発電機(DG)を電源とし、非常用直流電源区分(II)はガスタービン発電機(GTG)を電源として採用している。
【0030】図3は図1に示したプラントの安全系を示す構成例を示している。
【0031】本実施形態の安全系は、非常用交流電源に拠らない非常用直流電源系にて作動する区分が、原子炉隔離時冷却系711、自動減圧系(減圧弁)712、重力落下式炉心注水系713、静的格納容器冷却系(壁面冷却、または静的格納容器熱交換器)714およびドライウェル冠水系716等から構成されている。
【0032】また、非常用交流電源に拠る区分Iは、格納容器スプレイ冷却系717および非常用ガスタービン発電機718等から構成されている。さらに非常用交流電源に拠る区分IIが、格納容器スプレイ冷却系、および非常用ディーゼル発電機719から構成されている。
【0033】このように構成された本実施の形態においては、以下の様な作用となる。
【0034】原子炉冷却材喪失事故が生じた場合には、炉水位が低下すると原子炉圧力を低下させて重力落下式炉心注水系713の注水を促すために、ドライウェル2に開放する減圧弁4が開放して、原子炉内蒸気をドライウェル3側へ逃すことにより原子炉圧力容器1と原子炉格納容器5との間の差圧を、重力落下式炉心注水系713による注水がされる圧力まで均圧させる。
【0035】重力落下式炉心注水系713が注水開始すると、原子炉内蒸気のブローにより低下した原子炉圧力容器1内の水位は再度上昇し、この結果炉水位は燃料頂部よりも上に維持されるので炉心は露出することなく、その後も原子炉格納容器5内に放出された蒸気の凝縮水が重力落下式炉心注水系として循環するので、正常な冷却を継続できる。
【0036】一方、原子炉格納容器5内に放出された炉蒸気や炉水により原子炉格納容器5内の温度圧力は上昇するが、静的格納容器冷却系(PCCS)の壁面冷却(或いは、静的格納容器冷却熱交換器)により、設計圧力温度を上回ることなく冷却維持される。その後、ある程度時間が経過した後に、動的機器である格納容器スプレイ冷却系772が作動し、格納容器圧力温度は低圧冷温状態まで冷却されるので、格納容器内に放出された放射性物質が許容値以上に環境へ放出されることはない。
【0037】一方、これらの二重故障まで仮定して動的安全系が万一作動しないような過酷事故を想定したとしても、格納容器壁面冷却、或いは静的格納容器冷却熱交換器による静的格納容器冷却系が有るので格納容器圧力温度は設計値以下に維持される。
【0038】また、万一の過酷事故の場合にはこれとは別にドライウェル冠水系が作動し、圧力抑制プール水をドライウェルの下部に注水することができるので、たとえ原子炉圧力容器1内の燃料が溶融して原子炉圧力容器1の底部に落下するような場合でも、原子炉圧力容器1内が水浸け状態となり溶融燃料を原子炉圧力容器外部から冷却できるので、溶融燃料は原子炉圧力容器1を貫通してドライウェル3の下部に落下するようなことはない。
【0039】原子炉冷却材喪失事故が生じるのは、原子炉圧力容器1に繋がる配管などが破断した場合が想定されるが、本発明の原子炉圧力容器1に繋がる配管は、主蒸気系、給水系、重力落下式炉心注水系、非常用復水器(蒸気供給、凝縮水戻り)、停止時冷却系(吸込み)が有るが、これらのうち非常用系の必要区分数に関連するものは重力落下式炉心注水系のみであるが、これの配管に自己破断を想定しても、単一故障基準を満足するのには作動弁に冗長性を持たせてやれば良いので、100%×2区分で充分である(或いは、50%×2本×2区分でも良い)。即ち本実施の形態によれば、炉心注水系として重力落下式炉心注水系を採用し動的な注水系に期待していないことから、あとの非常用交流電源に期待する系統に関しては2区分有れば充分であることになる。このことにより、非常用交流電源に依存する非常用の区分は従来プラントの3区分から2区分に合理化されたことになる。
【0040】また、給水喪失事象や原子炉圧力容器に繋がる小口径配管の破断などの場合には、炉水位が所定の値よりも低下すると原子炉隔離時冷却系が作動して圧力抑制プール6の水を原子炉へ補給することにより炉水位を回復させる。この系統は、従来は動的機器により安全系を構成するプラントとの組み合せにおいて実施された例があったもので、本実施形態のように静的機器により安全系を構成するプラントとの組み合せにおいては例が無かった。
【0041】本実施例のように、静的安全系を基本とする構成においては、原子炉が高圧時の補給系として、例えば従来からある制御棒駆動水圧系を強化して利用するなどの案は有ったが容量および運転方法などに若干の無理があり、この原子炉隔離時冷却系を用いることで従来と同程度の容量および信頼性が確保できることになった。
【0042】原子炉過渡事象などで原子炉を安全に停止する必要があるなど場合に、非常用復水器770により原子炉格納容器1は高温で隔離された状態で停止できる。このため従来の様に、原子炉隔離時冷却系で炉水位を維持しながら逃し安全弁で原子炉を減圧した後に、動的機器である残留熱除去系の安全系としての停止時冷却モードを運転して原子炉を冷温状態まで冷却する必要がなくなった。
【0043】このため、残留熱除去系としては、原子炉通常運転中に停止時冷却モードに繋がる吸込み隔離弁および原子炉への戻り弁の開閉テストを行う必要がなくなり(常時閉のままでよい)、残留熱除去系自体の設計圧力が原子炉側のそれに比べて低いことに起因するインターフェースLOCA(弁開閉テストの最中に、他の一弁が壊れて、高圧の炉水が低圧設計の残留熱除去系の配管内に流れ込み系統配管が破損して、格納容器外で冷却材喪失事象が起きてしまう事故)の懸念をなくすことができた。
【0044】同じく、図4に示した本実施形態は、補機冷却系および同海水系は電源区分に対応して区分IおよびIIから構成される。各区分には、非常用系負荷721、常非常用負荷722、および常用系負荷723がグループ毎に纏められている。一方、海水系も同様に、区分IおよびIIから構成されるが、海水系の取水炉724は、これとは別にA,BおよびCの3つのトレインから構成される。海水熱交換器725および海水ポンプ726の弁などは各電源区分に対応して、区分IおよびIIから構成されるが、熱交換器およびポンプそのものの設置場所は、海水系取水炉のトレインA,BおよびCに対応して、海水熱交換器、ポンプIAおよびIIA、海水熱交、ポンプIBおよびIIB、および海水熱交換器、ポンプICおよびIICが同じトレイン区画内に設置される。
【0045】その容量は、各熱交換器およびポンプが50%ずつを受け持ち、50%×3基(台)/区分×2区分の計300%容量を有している。
【0046】図4は原子炉通常運転中に、トレインAの熱交換器、海水ポンプおよび取水炉のオンライン保守を行っている場合の状態を示している。
【0047】トレインAは保守のために隔離し、トレインBは待機状態、そしてトレインCにて通常運転中の区分IおよびIIの原子炉補機の負荷を冷却している。このオンライン保守はローテーションしてA、BおよびCのどのトレインも保守が可能な構成となっている。
【0048】ひとたび事故が起これば、待機しているトレインBが自動起動して、非常用負荷の区分IおよびIIに冷却水を供給できるようになっている。この時区分Iの電源の単一故障を仮定しても、区分IIの非常用負荷にはトレインBおよびCの区分IIの電源に繋がる海水ポンプが起動しているので、100%容量の冷却水を区分IIの海水熱交換器に送ることができて、区分IIの非常用負荷の100%の冷却が可能となる。
【0049】またこの海水系のオンライン保守はプラント通常運転中に全てのトレインの保守が可能なので、例えば原子炉通常停止冷却時に3トレインの全てを運転すれば、残留熱除去系への冷却水供給温度を更に下げることが可能なので、この残留熱除去系熱交換器の除熱量の仕様値を合理化することもできる。
【0050】図5は他の実施形態を示すものである。
【0051】本実施形態では、一般的な静的安全系の構成に対して、原子炉を減圧するための減圧弁737は原子炉圧力容器731の逃し安全弁732に接続された逃し安全弁排気管733上に配設され、原子炉の減圧時に原子炉の蒸気を原子炉格納容器734のドライウェル735内に開放する構成となっている。
【0052】原子炉冷却材喪失事故が生じた場合には、炉水位が低下すると原子炉圧力を低下させて重力落下式炉心注水系の注水を促すために、まず自動減圧系として逃し安全弁732が開放して原子炉圧力容器731内の蒸気を圧力抑制プール736に逃し、その圧力を、逃し安全弁排気管733内の圧力損失に加えて、圧力抑制プール736に水没している分の水頭を加えた分程度まで減圧した後に、ドライウェル735に開放する減圧弁737が開放して原子炉内蒸気を更にドライウェル735側へ逃がすことにより、原子炉圧力容器731と原子炉格納容器734間の差圧を重力落下式炉心注水系が注水される圧力まで均圧させる。
【0053】一方、原子炉通常運転中に、仮に逃し安全弁732に微少漏洩が生じても、その蒸気は逃し安全弁排気管を介して圧力抑制プール内で凝縮してしまうので、逃し安全弁廃棄管733内の圧力が上昇することがなく、蒸気が減圧弁737からドライウェル側へ直接漏洩することはない。
【0054】したがって、本実施形態によっても静的安全系の課題を克服し、かつ、動的安全系による確実な格納容器の減圧を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によれば、静的安全系の課題を克服し、かつ、動的安全系による確実な格納容器の減圧を得ることができ、その上、海水系のオンライン保守も可能な、経済的な安全系の構成が達成された。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2002−122689(P2002−122689A)
【公開日】 平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願番号】 特願2000−317170(P2000−317170)