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【発明の名称】 放射性物質の輸送兼貯蔵容器
【発明者】 【氏名】広瀬 誠

【氏名】望月 信一

【要約】 【課題】従来に比べて製造が容易であり、かつ、除熱性能の向上を計る。

【解決手段】放射性物質を収容する容器本体1の外周に、容器本体1の外周面に接触する第1辺部41と容器本体1の放射方向に延びる第2辺部42とからなる伝熱部材4を容器本体1の周方向に複数本隣接して配置するとともに、第2辺部42の外端を外筒3の内面に結合させ、かつ、伝熱部材4と外筒3によって形成された密閉空間に中性子遮蔽材料2を充填させた放射性物質輸送兼貯蔵容器。伝熱部材4を、第2辺部42の内端に当該第2辺部42に対して左右対称となるように第1辺部41を結合させた形状とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射性物質を収容する容器本体の外周に、容器本体の外周面に接触する第1辺部と、容器本体の放射方向に延びる第2辺部とからなる伝熱部材を容器本体の周方向に複数本隣接して配置するとともに、第2辺部の外端を外筒の内面に結合させ、かつ、伝熱部材と外筒によって形成された密閉空間に中性子遮蔽材料を充填させた放射性物質の輸送兼貯蔵容器において、前記伝熱部材を、第2辺部の内端に当該第2辺部に対して左右対称となるように第1辺部を結合させた形状とすることを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項2】 第1辺部と第2辺部とを結合して伝熱部材の形状を横断面T又はY字形に形成することを特徴とする請求項1記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項3】 第1辺部の形状を外筒側に向かって凸形の横断面円弧状に形成することを特徴とする請求項1記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項4】 第1辺部の半径rを容器本体の半径Rと同等又はそれより小さくすることを特徴とする請求項2記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項5】 第1辺部と第2辺部とを溶接により結合することを特徴とする請求項1記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項6】 第1辺部と第2辺部との溶接部、および第2辺部と外筒との溶接部の溶接脚長hを辺部の板厚tと同等とすることを特徴とする請求項4記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【請求項7】 外筒を周方向に四分割された横断面円弧状の金属板で形成することを特徴とする請求項1記載の放射性物質の輸送兼貯蔵容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所などで発生する使用済燃料を輸送兼貯蔵するための容器に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所などで発生する使用済燃料を輸送兼貯蔵するための容器は、使用済燃料を収容した状態で所定の貯蔵場所で長期間貯蔵される。このため、長期間中性子の漏洩を生じないように容器本体の外周に中性子遮蔽層を設けている。この中性子遮蔽層は、本体外周との間に空間を形成するために外筒を設け、その中間に中性子遮蔽材料を充填するとともに、胴部内部の熱を外部に放出するための伝熱部材を容器本体と外筒との両方に接触するように配置している。
【0003】中性子遮蔽層の構造としては、従来、ほぼL字形断面の条片(伝熱部材)を円筒状の包囲体(容器本体)の周方向に互いに隣接させて配置し、各条片の一端部を包囲体の外周に溶接により取り付ける一方、外筒は条片を相互に溶接することにより形成し、これらの間に中性子吸収材料を充填させたものが公開されている(特開昭58−202899号公報参照)。
【0004】また、L字形断面の伝熱部材(フィン)の一方の辺部(容器本体の外周に面接触する辺部)を容器本体の外周面に押圧し、他方の辺部(容器本体の放射方向に延びる辺部)の端を外筒に溶接し、容器本体と伝熱部材と外筒からなる密封空間に中性子遮蔽材料を充填させたものが公開されている(特公平5−39520号公報参照)。
【0005】しかしながら、前者の場合は、多数の条片(伝熱部材)をそれぞれ包囲体(容器本体)の外周面に溶接するとともに、条片を溶接によって互いに結合させる必要があるため、その製造に非常に手間がかかるという問題がある。
【0006】一方、後者の場合は、容器本体にL字形断面の伝熱部材を押圧させているので、容器本体とL字形断面の伝熱部材との間に熱抵抗が生じ、容器本体で発生する熱の除熱性能が低下するという問題がある。
【0007】すなわち、後者の場合は、容器本体にL字形断面の伝熱部材(フィン)を押圧させる必要があるため、図7に示すように、押圧力Fが高まると、容器本体1と伝熱部材6との支点のずれによりL字形断面の伝熱部材6に曲げ荷重が働いて伝熱部材6が図のように湾曲する。その結果、容器本体1と伝熱部材6との密着度が低下し、除熱性能が低下することになる。なお、符号pは、押しつけ荷重を示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来に比べて製造が容易である一方、除熱性能の向上を計ることができる放射性物質の輸送兼貯蔵容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる放射性物質の輸送兼貯蔵容器は、放射性物質を収容する容器本体の外周に、容器本体の外周面に接触する第1辺部と、容器本体の放射方向に延びる第2辺部とからなる伝熱部材を容器本体の周方向に複数本隣接して配置するとともに、第2辺部の外端を外筒の内面に結合させ、かつ、伝熱部材と外筒によって形成された密閉空間に中性子遮蔽材料を充填させた放射性物質の輸送兼貯蔵容器において、前記伝熱部材を、第2辺部の内端に当該第2辺部に対して左右対称となるように第1辺部を結合させた形状とすることを特徴としている。
【0010】本構造により、図8(a)に示すように、T字型構造では第1辺部と第2辺部の接合点が第1辺部の中央に位置するのに対して、図8(b)の如く、L字型構造では第1辺部と第2辺部の接合点が第1辺部の端部に位置する。このため、容器本体からの熱は第1辺部を介して第2辺部に伝わるのであるが、T字型構造では、L字型構造に比較してこの伝わる長さが半分になるため、本部分の伝熱性能は2倍向上する構造である。なお、図8(a)および図8(b)において、符号wは第1辺部の長さ、lは第1辺部の伝熱長さ、aは熱の伝わり方を示している。
【0011】上記の構成により、容器本体の外周面に押圧される第1辺部に荷重が対称に、かつ、均等に加わるため、押圧力が強く均等に働き、容器本体と容器本体の外周面に押圧される第1辺部、すなわち、容器本体と伝熱部材との間の接触熱抵抗を小さく抑えることができる。
【0012】また、本発明によれば、第1辺部と第2辺部とを結合して伝熱部材の形状を横断面T又はY字形に形成すること、特に、第1辺部の形状を外筒側に向かって凸形の横断面円弧状に形成することが望ましい。これにより、押圧力が均等に働き、容器本体と容器本体の外周面に押圧される第1辺部との間の接触熱抵抗を小さく抑えることができる。
【0013】また、本発明によれば、第1辺部の半径rを容器本体の半径Rと同等又はそれより小さくすることが望ましい。これにより、より押圧力が強く均等に働き、容器本体と容器本体の外周面に押圧される第1辺部との間の接触熱抵抗をより小さく抑えることができる。
【0014】また、本発明によれば、第1辺部と第2辺部とを溶接により結合することを特徴とすることが望ましい。その際、第1辺部と第2辺部との溶接部、および第2辺部と外筒との溶接部の溶接脚長hを辺部の板厚tと同等とすることが望ましい。溶接部の溶接脚長hが辺部の板厚tより短いと、熱抵抗が大きくなる。逆に、溶接部の溶接脚長hが辺部の板厚tより長くなると、熱抵抗が小さくなるが、溶接が面倒になる。
【0015】また、本発明によれば、外筒を周方向に四分割された横断面円弧状の金属板で形成することが望ましい。これにより、容器本体の外周面に押圧される第1辺部、すなわち、全ての伝熱部材を容器本体の外周面に均等に押圧させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0017】図1〜図3に示すように、炭素鋼などの鍛造品からなる容器本体1は、有底筒形に形成され、その開口部は、容器本体と同材質の一次蓋5および二次蓋7によって密閉されている。
【0018】容器本体1の外周部には、中性子遮蔽材2が外筒3に覆われて配置され、中性子遮蔽層を形成している。この中性子遮蔽材2中に容器本体1から外筒3に熱を伝達するための伝熱部材(伝熱フィン)4が配置されている。また、一次蓋5の外側にも中性子遮蔽材20が設けられている。符号8は、容器10を運搬する際に把手として利用するトラニオンである。
【0019】上記伝熱部材4は、容器本体1の周方向に多数本互いに隣接して設けられるとともに(図3参照)、容器本体1の図示しない軸心に対して平行に配置されている(図2参照)。伝熱部材4は、銅製であるが、伝熱性が銅に準ずるものであれば、銅以外の材料でもよい。
【0020】図4に示すように、伝熱部材4は、容器本体1の外周面に面接触する第1辺部41と、容器本体1の放射方向に延びる第2辺部42とを溶接により結合して横断面T又はY字形に形成されている。そして、第1辺部41は、その全面が容器本体1の外周面に均一に押圧され、第2辺部42の外端部は、金属板からなる外筒3の内面に溶接により結合されている。
【0021】図5に示すように、第1辺部41と第2辺部42との溶接部11、および第2辺部42と外筒3との溶接部12の溶接脚長hを第2辺部42の板厚tと同等とする。溶接部11,12は、第1辺部41および第2辺部42の全長にわたって連続して施工されている。
【0022】上記第1辺部41は、図5に示すように、横断面円弧状、すなわち、外筒3側に向かって凸形の横断面円弧状に形成され、その半径rは、容器本体1の半径R(図4参照)と同等又はそれより小さく設定されている。
【0023】外筒3は、円筒を周方向に4等分した横断面円弧状の金属板30からなり、全ての第1辺部41を容器本体1の外周面に均一に押圧させた状態で隣接する金属板30を互いに接合部13で突き合わせ溶接することにより形成されている(図3参照)。そして、容器本体1と伝熱部材4と外筒3によって形成される空間に中性子遮蔽材料2が充填されている。また、外筒3の端部は、端板31,32によって密閉されている(図3参照)。
【0024】上記のように、本発明は、第1辺部41と第2辺部42とを結合して伝熱部材4の形状を横断面T又はY字形に形成したから、図6に示すように、支点のずれにより伝熱部材の湾曲を起こすことなく容器本体1の外周面に押圧される第1辺部41に荷重pが対称に、かつ、均等に加わる。このため、押圧力が強く均等に働き、容器本体1と容器本体の外周面に押圧される第1辺部41、換言すれば、容器本体1と伝熱部材4との間の接触熱抵抗を小さく抑えることができるようになった。
【0025】特に、第1辺部41の形状を外筒3側に向かって凸形の横断面円弧状に形成する一方、第1辺部41の半径rを容器本体1の半径Rと同等又はそれより小さくすることにより、より押圧力が強く均等に働き、容器本体1と容器本体の外周面に押圧される第1辺部41との間の接触熱抵抗をより小さく抑えることができるようになった。
【0026】また、本発明は、外筒3を周方向に四分割された4枚の横断面円弧状の金属板30によって形成したから、全ての伝熱部材4の第1辺部41を容器本体1の外周面に均等に押圧させることができるようになった。
【0027】
【発明の効果】上記のように、本発明は、伝熱部材の形状を横断面T又はY字形、すなわち、第2辺部の内端に第1辺部を第2辺部に対して左右対称となるような形状に結合したから、容器本体の外周面に押圧される第1辺部に荷重が対称に、かつ、均等に加わるため、押圧力が強く均等に働き、容器本体と容器本体の外周面に押圧される第1辺部、換言すれば、容器本体と伝熱部材との間の接触熱抵抗を小さく抑えることができるようになった。その結果、良好な放熱効果が得られるようになった。
【0028】特に、第1辺部の形状を外筒3側に向かって凸形の横断面円弧状に形成する一方、第1辺部の半径rを容器本体の半径Rと同等又はそれより小さくすることにより、より押圧力が強く均等に働き、容器本体1と容器本体の外周面に押圧される第1辺部41との間の接触熱抵抗をより小さく抑えることができるようになった。
【0029】また、本発明は、外筒を周方向に四分割された4枚の横断面円弧状の金属板によって形成したから、全ての伝熱部材の第1辺部を容器本体の外周面に均等に押圧させることができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
【出願日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2002−90492(P2002−90492A)
【公開日】 平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願番号】 特願2000−283537(P2000−283537)