| 【発明の名称】 |
上部格子板検査装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】高林 順一
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| 【要約】 |
【課題】上部格子板の格子材の上部をガイドとして容易かつ迅速に検査部位に移動して停止および位置決めすることができ、かつセンサ等を組み込んだ部分を各格子セル内に一回挿入するだけで、その各格子セルを構成する4面の格子材の板面を短時間で能率よく、しかも高精度で検査することができるようにする。
【解決手段】原子炉内構造物である上部格子板上3に設置され、上部格子板3の各格子セル9毎に位置決め停止できる移動体10と、この移動体10に昇降可能に設けられ、上部格子板3の各格子セル9内を上下方向に通過する際に探傷試験用センサ25によって各格子セル9に面する格子材11の板面検査を行なうセンサブロック12とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉内構造物である上部格子板上に設置され、前記上部格子板の各格子セル毎に位置決め停止できる移動体と、この移動体に昇降可能に設けられ、前記上部格子板の各格子セル内を上下方向に通過する際に探傷試験用センサによって前記各格子セルに面する格子材の板面検査を行なうセンサブロックとを備えたことを特徴とする上部格子板検査装置。 【請求項2】 請求項1記載の上部格子板検査装置において、センサブロックの探傷試験用センサは渦電流探傷試験用プローブであり、このプローブが格子セル内を通過する際に、その通過部位における欠陥、板面変形の有無および程度等の異常を確認し得るものである上部格子板検査装置。 【請求項3】 請求項2記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用プローブは格子セルに面する各格子材に対応して複数設けられ、センサブロックを格子セル内に1回通過させることにより前記格子セル内における板面全体の検査が可能である上部格子板検査装置。 【請求項4】 請求項2または3記載の上部格子板検査装置において、センサブロックは格子セル内の横断面とほぼ一致する断面形状を有し、かつ渦電流探傷試験用プローブは前記格子セルに面する4方向の全板面に対向して配置されている上部格子板検査装置。 【請求項5】 請求項2から4までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用プローブは複数の検出子を有し、格子セル内通過時に電気的に高速で隣接する検出子毎に順次励起することにより移動走査と同様の信号を得るものとし、これらの信号を比較処理して得られた信号の変化データより当該プローブの移動方向と平行な欠陥の検出が可能である上部格子板検査装置。 【請求項6】 請求項1から5までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用センサは、センサブロックの格子セル内での昇降と連動して格子材に設離する方向に進退可能とされてている上部格子板検査装置。 【請求項7】 請求項1から6までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、センサブロックに渦電流探傷試験用プローブとともに、またはこれに代えて、アレイ型の超音波探傷試験用プローブ、ラインイメージスキャナ、ブラシ、吸引ノズル、吹き飛ばしノズルおよび加工工具のうち、少なくともいずれか一つを組み込んだ上部格子板検査装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原子力発電所の炉内構造物である上部格子板、特にその格子材の板面に対して非破壊検査を行い、これらの部位に対する健全性確認を容易かつ迅速に行うことができる上部格子板検査装置に関する。 【0002】 【従来の技術】原子力発電所の停止期間中に原子炉内の点検を行う場合、一般に原子炉内を満水にした状態でウェル上部に据え付けられている燃料交換機を使用して、点検器材を炉内に吊り下ろし、目的部位に接近させることが行なわれる。 【0003】原子炉内の炉心シュラウド上部に設けられる上部格子板の点検もこの例によっている。上部格子板は燃料の上部を保持するため、格子状に連結した板材(以下、「格子材」という)で構成される100以上の格子セルをもつ構成とされており、燃料に最も接近している構造物の一つである。したがって、放射線照射による脆化の影響を受け易く、この脆化の影響によって万一、格子板に欠陥が発生し、規則正しく配列されている格子形状に狂いが発生することを想定すると、燃料間距離の変化によって核反応度の変化や制御棒の挿入に支障をきたす可能性が考えられる。 【0004】そこで従来、上部格子板の格子材の検査を実施する場合、炉心上部から検査用センサを走査させる装置を吊り降ろして上部格子板上に設置し、そのセンサを走査させて格子材の板面の検査を実施することとなるが、走査のため長時間がかかるうえ、一つの格子セルから次の格子セルへの移動および停止位置決め等にも時間がかかり、100以上もある格子セルの全数について検査するには膨大な時間が必要となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このため、上述した従来の技術のもとにおいては、定期検査中のクリティカルとなる炉心作業として、上部格子板の検査を実施することは殆ど不可能な状況であり、検査部位のごく一部の抜き取り検査を実施する程度しかできない状況であった。 【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上部格子板の格子材の上部をガイドとして容易かつ迅速に検査部位に移動して停止および位置決めすることができ、かつセンサ等を組み込んだ部分を各格子セル内に一回挿入するだけで、その各格子セルを構成する4面の格子材の板面を短時間で能率よく、しかも高精度で検査することができる上部格子板検査装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明では、原子炉内構造物である上部格子板上に設置され、前記上部格子板の各格子セル毎に位置決め停止できる移動体と、この移動体に昇降可能に設けられ、前記上部格子板の各格子セル内を上下方向に通過する際に探傷試験用センサによって前記各格子セルに面する格子材の板面検査を行なうセンサブロックとを備えたことを特徴とする上部格子板検査装置を提供する。 【0008】請求項2に係る発明では、請求項1記載の上部格子板検査装置において、センサブロックの探傷試験用センサは渦電流探傷試験用プローブであり、このプローブが格子セル内を通過する際に、その通過部位における欠陥、板面変形の有無および程度等の異常を確認し得るものである上部格子板検査装置を提供する。 【0009】請求項3に係る発明では、請求項2記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用プローブは格子セルに面する各格子材に対応して複数設けられ、センサブロックを格子セル内に1回通過させることにより前記格子セル内における板面全体の検査が可能である上部格子板検査装置を提供する。 【0010】請求項4に係る発明では、請求項2または3記載の上部格子板検査装置において、センサブロックは格子セル内の横断面とほぼ一致する断面形状を有し、かつ渦電流探傷試験用プローブは前記格子セルに面する4方向の全板面に対向して配置されている上部格子板検査装置を提供する。 【0011】請求項5に係る発明では、請求項2から4までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用プローブは複数の検出子を有し、格子セル内通過時に電気的に高速で隣接する検出子毎に順次励起することにより移動走査と同様の信号を得るものとし、これらの信号を比較処理して得られた信号の変化データより当該プローブの移動方向と平行な欠陥の検出が可能である上部格子板検査装置を提供する。 【0012】請求項6に係る発明では、請求項1から5までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、渦電流探傷試験用センサは、センサブロックの格子セル内での昇降と連動して格子材に設離する方向に進退可能とされてている上部格子板検査装置を提供する。 【0013】請求項7に係る発明では、請求項1から6までのいずれかに記載の上部格子板検査装置において、センサブロックに渦電流探傷試験用プローブとともに、またはこれに代えて、アレイ型の超音波探傷試験用プローブ、ラインイメージスキャナ、ブラシ、吸引ノズル、吹き飛ばしノズルおよび加工工具のうち、少なくともいずれか一つを組み込んだ上部格子板検査装置を提供する。 【0014】なお、本発明において望ましくは、移動体を、検査すべき格子セルを構成する4枚の格子材上に設置し、この格子材をガイドとして移動できる構造とする。これにより、隣接する格子の無い最外周部に位置する格子セルまで検査でき、上部格子板全体に渡る検査が可能となる。 【0015】また、移動体は望ましくは、格子セル内で相対する平行な格子材に対して3個(例えば片側1個、他方2個)以上の車輪を有するものとし、これらの車輪はそれぞれ格子セル内面側に沿う鍔を有するものとする。これにより装置全体を安定に保持することができる。 【0016】また、車輪は、鍔の突出量以上の昇降動作を行なわせる昇降機構によって支持させる構成とする。これにより、装置移動の障害となる方向に配置される車輪をこの昇降機構によって持ち上げ、スムーズに隣接する格子セルへ移動することができる。 【0017】なお、移動体の各一辺に設けられる車輪の少なくとも1つを、装置移動のための駆動輪とする。 【0018】さらに、移動体には少なくとも直交する2つの格子材の有無を検知するセンサを具備するものとする。これにより、装置移動に際して次の検査位置における各停止位置を検出し、正確に位置決めすることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る上部格子板検査装置の実施形態について、図面を参照して説明する。 【0020】まず、図1〜図8によって一実施形態を説明する。 【0021】図1は、本実施形態で適用する沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内を示したものであり、蒸気乾燥器およびシュラウドヘッドを取外した定期検査時の炉心周りの状況を示す概略図である。この図1に示すように、原子炉圧力容器1内には炉心シュラウド2、上部格子板3および炉心支持板4のみが残存している。このように、上部格子板3上部には障害となる構造物が存在しないため、オペレーションフロア5上の燃料交換機6および補助ホイスト7により、本実施形態による上部検査装置8を上部格子板3上に吊り降ろすことが可能となる。 【0022】図2は上部格子板3の構成を示す平面図である。この図2に示すように、上部格子板3の本体部分は、1辺約120mmの正方格子状の格子セル9が規則正しく並んだ縦横に交差した格子材11によって構成されている。なお、格子材11は例えば厚さ約9mmの板材である。 【0023】図3は上部格子板検査装置8を上部格子板3上に設置した状態を示す側面図であり、図4は一部を切欠して示す平面図である。図5は上部格子板検査装置8による検査状態を示す側面図である。 【0024】これらの図に示すように、上部格子板検査装置8は大別して、上部格子板3の格子材11上で移動する移動体10と、この移動体10に保持された検査用のセンサブロック12とからなる。 【0025】移動体10は、上部格子板3の格子材11上に設置され、この格子材11をガイドとして互いに隣接する格子セル9に順次移動可能とされ、かつ各格子セル9毎に位置決め可能とされている。すなわち、移動体10は、水平な四角形状のトッププレート13を主体として構成され、このトッププレート13の中央に垂直な例えば断面四角形状のガイドシャフト14が昇降可能に挿通されている。このガイドシャフト14の下端部に、センサブロック12が連結されている。トッププレート13上には、センサブロック12を昇降させるための昇降モータ15が設けられ、この昇降モータ15の駆動軸に設けられたギア16が、ガイドシャフト14の側面に設けたラック17に噛合して、ガイドシャフト14を昇降させ、これによりセンサブロック12を昇降駆動するようになっている。センサブロック12の構成については、後に詳述する。 【0026】トッププレート13の外側の辺縁部には、それぞれ縦長な車輪昇降プレート18が配置されている。この各車輪昇降プレート18の上端部が、トッププレート13に取付けたエアシリンダ19のシリンダロッド19aに連結され、このシリンダロッド19aの上下方向の進退動作に応じて車輪昇降プレート18が昇降できるようになっている。なお、昇降プレート18の両側縁はガイドプレート18aによってスライド可能に支持されている。 【0027】各車輪昇降プレート18の下端部には、それぞれ水平軸周りで回転する車輪20が2組ずつ設けられている。各車輪20は周囲に鍔21を有しており、これらが1つのセル空間において対向する平行な格子材11の内側に突出するようになっている。しかして、各辺に対応してそれぞれ車輪20が昇降可能に配置され、これらの車輪20の昇降により、車輪20が格子材11の上縁に接触し、または上方に離間することができる。 【0028】各車輪20は2つずつが、車輪昇降プレート18に設けられた駆動モータ22に例えばベベルギア等を用いた動力伝達機構23によって連結され、同時に同一方向に回転できるようになっている。本実施形態においては、全ての車輪20が駆動輪とされているが、少なくとも1列に配置された2つの車輪20のうちの一方だけを駆動輪としてもよい。つまり、平行に相対する格子材11上に乗つた移動体10の車輪20の少なくとも1つは装置移動のための駆動輪である。 【0029】なお、移動体10には少なくとも直行する2つの格子材11上に格子材の有無を検知する近接センサ24が具備されている。この近接センサ24れにより、装置移動に際して次の検査位置における格子位置を検出することで正確に位置決めできるようになっている。 【0030】このように、各車輪20は鍔21を有しているため、格子材11上から車輪20が外れることがなく、また検査すべき格子セル9を構成する4枚の格子材11上に設置され、この格子材11をガイドとして移動することができるので、検査すべき格子セル9内のみで位置決めされ、隣接する他の部材の形状に影響されない。したがって、隣接する格子セル9が無い最外周部に位置する格子セル9まで検査することができ、よって上部格子板3の全体に亘る検査が可能となる。 【0031】また、移動体10の車輪20には鍔21の突出量以上の距離だけ昇降する昇降機構(車輪昇降プレート18、エアシリンダ19等)が設けられているので、装置移動に障害となる車輪20はこの昇降機構によって持ち上げられることにより、スムーズに隣接する格子セル9へ移動することができる。 【0032】次に、センサブロック12について説明する。センサブロック12は例えば直方体状のものであり、前記の如く移動体10のトッププレート13に垂直なガイドシャフト14を介して昇降可能に支持され、その内部に組込んだ探傷試験用センサにより、各格子セル9内を通過する際に各格子セル9に面する格子材11の板面検査、例えば通過部位における欠陥の有無およびその大きさ、板面の変形等の異状の有無確認等を迅速にを行なうものである。 【0033】すなわち、図5に示すように、センサブロック12の横断面形状は格子セル9の横断面サイズより小さく、かつ車輪20と干渉しない構成とされている。このセンサブロック12の各外側面部位に、探傷試験用プローブとして、多数の渦電流探傷試験用プローブ(ECTプローブ)25がそれぞれユニットとして組み込まれている。 【0034】すなわち、各ECTプローブ25は格子セル9に面する格子材11の板面に接近できるようにするため、それぞれケース内に収納した形で4つのコーナユニット26と、それらの間に配置された4つのセンタユニット27とに分離され、これら各ユニット26,27がそれぞれ内外側方向に移動可能な構成としてある。 【0035】図6,図7および図8は、このようなコーナユニット26およびセンタユニット27の構成および動作等を示す説明図である。 【0036】図6(a)は、センサブロック12の準備状態を示す斜視図である。同図に示すように、コーナユニット26およびセンタユニット27は非検査状態ではセンサブロック12の内方に収納された状態となっている。また、図6(b)は検査時の状態を示している。同図に示すように、検査時にはコーナユニット26およびセンタユニット27が格子材11の格子セルに面する表面に当たるまで押出される。図6(c)は上記の各状態を平面的に示す説明図である。同図に示すように、各ユニット26,27を格子材11の板面まで押出すには、まずコーナユニット26が斜め方向に押出され、センタユニット27の押出しに障害がなくなってからセンタユニット27が押出される。また、各ユニット26,27の収納はこれと逆の手順となる。 【0037】図7(a)はコーナユニット26の押出し機構を示す斜視図であり、同図(b)は平面図である。これらの図に示すように、コーナユニット26の上部に、このコーナユニット26を斜め方向に案内するためのガイドシャフト28が設けられ、またコーナユニット26の側面にはスライドベース29が設けられている。そして、スライドベース29対するスライダ30を動作ロッドとするエアシリンダ31がセンサブロック12に設けられ、このエアシリンダ31によりコーナユニット26の側面を押し引きすることにより、コーナユニット26がセンサブロック12から斜め方向に出し入れされるようになっている。 【0038】図8(a)はセンタユニット27の押し出し機構を示す平面図であり、同図(b)は斜視図である。これらの図に示すように、センタユニット27はガイドシャフト32によってセンサブロック12の外側面に直行する方向に案内されて移動できるようになっており、さらにセンサブロック12内に設けたエアシリンダ33の動作ロッド34に連結され、このエアシリンダ33の動きに連動してセンタユニット27が進退できるようになっている。センタユニット27自体は横方向に長いが、ガイドシャフト32によって案内されることから、進退動作がよりスムーズに行なえるようになっている。 【0039】なお、以上のシリンダ、モータ等の駆動機構は、図示しないオペレーションフロア等の制御装置に接続され、遠隔的に自動操作できるようになっている。 【0040】次に作用を説明する。 【0041】図1に示すように、通常の定期検査の際に取外す機器を取外した後、炉水を保持した状態で本実施形態による上部格子板検査装置8をRPV内に吊下げ、上部格子板3の任意の格子上に着座させる。 【0042】着座の後、図3、図4等に示すように、移動体10に設けたエアシリンダ19を作動させ、互いに平行に配置されている1対の車輪20のいずれかを上昇させた後、残る車輪20を駆動モータ22により回転駆動させて検査装置を移動させる。すなわち、移動方向に沿う車輪20は格子上に搭載し、移動に対して障害となる方向の車輪20を車輪昇降プレート18を介して上部格子板3に引掛らない位置まで上昇させる。同様に、センサブロック12もガイドシャフト14を介して昇降モータ15により上部格子板3に引掛らない位置まで持上げておく。そして、センサブロック12が検査すべき格子セル9の真上に位置したとき、この位置関係を近接センサ24によって検出する。隣接した他の格子セル9への移動の際には、この近接センサ24が格子材11を検出した位置で装置を停止させることにより、自動的にセンサブロック12を格子内に挿入し得る位置に位置決めすることができる。 【0043】車輪20およびセンサブロック12が完全に格子セル9内に挿入された状態が図5に示した状態である。位置決め移動を実施する車輪20は、車輪昇降プレート18に保持され、駆動モータ22によって回転させられる。車輪昇降プレート18は両側面をガイドプレート18aでガイドされ、エアシリンダ19により車輪20が上部格子版3上への設置状態から格子材11と干渉しない位置まで昇降する。 【0044】すなわち、センサブロック12を格子セル9内に通過させることで板面の検査を実施する際、簡便な構造により格子自体をガイドとして隣接する格子セル9に順次移動できることにより、上部格子板3の格子材11全体の検査を遠隔自動的に迅速に実施することができる。 【0045】また、センサブロック12にはECTプローブ25が格子セル9を囲む格子材の各板面に相対して並列配置されているので、センサブロック12に別途ECTプローブのスキャン機構を必要とすることがなく、センサブロック12を格子セル9内に1回通過させるだけで、格子セル9を囲む全ての格子材の板面全体を同時に検査することができる。 【0046】また、本実施形態では、ECTプローブ25の列において、センサブロック121の格子内通過時に各プローブを電気的に高速で隣接するプローブ順に順次励起させることにより、各々のプローブからの信号を比較処理して得られた信号の変化データにより、あたかも1つのECTプローブを横方向に走査させたのと同等の信号を得ることができ、従って通常では検出困難となるECTプローブの移動方向と平行な欠陥の検出も可能となる。 【0047】以上のように、本実施形態によれば、車輪20の昇降および回転駆動を繰返すことにより、検査スタート位置から移動体10を移動させ、センサブロック12を格子セル9内に挿入し、主にECTを主体とした非破壊検査を行なうことにより、4方向の格子面全面に対する検査を実施することができる。特に本実施形態においては、放射線照射に伴う脆化による割れや疲労割れ等の欠陥の有無を検査することにより、上部格子板3の健全性を確認でき、ひいては原子炉の安全性向上に寄与することができる。 【0048】また、横一列に配置されたECTプローブ25は、各通過位置における亀裂や減肉などの欠陥の有無を検査することができる。この場合、一つ一つのECTプローブ25での検査によってはECTプローブ25の移動方向に延びた欠陥の検知はECTの特性上困難となるところ、本実施形態においては、横一列に配置したECTプローブ25を高速で順次励起させ、隣接するプローブ同士の信号の比較処理をすることにより、あたかも一つのプローブを横方向に移動させたのと同様の信号を得ることにより、センサブロック12が移動する方向と平行な欠陥も十分検出することができる。 【0049】なお、本発明は上記実施形態に限らず、図9〜図12に示すように、他の種々の態様で実施することができる。 【0050】図9(a),(b)は、ECTプローブ25に代えてアレイ型のUTセンサ50を適用した構成を示している。 【0051】この図9(a)に示した実施形態においては、センサブロック12に、前記一実施形態にのECTプローブと同一配置でアレイ型の超音波探傷試験用センサ(UTセンサ)50が組み込まれている。なお、図9(a)には詳細に示してないが、本例のUTセンサ50もセンサブロック12に対して進退可能に設けられる。 【0052】このアレイ型のUTセンサ50の場合には、電気的制御によってECTでは検出困難な板内面および裏面側の検査も可能となる。すなわち、図9(b)に示すように、アレイ型UTセンサ50の各検出子エレメント51を励起パルス遅延回路52により順次に変えて励起させることにより、電気的に超音波の発振方向をコントロールすることができる。また、数個の検出子エレメント51を1セットとして任意の角度で超音波を発信した後、1エレメント分だけ超音波を発振するエレメントのセットを順次ずらしていくことにより、あたかもセンサブロック12が移動する方向と直交する方向に超音波センサを移動走査させた場合と同様に、センサを機械的に動かすことなく探傷することが可能となる。このようなセンサの励起を高速で実施することにより、格子材11の板内部から表裏面に至るまで板面の全範囲を詳細に検査することが可能となる。 【0053】図10は、格子材11の板面を視覚適に検査する場合の例を示している。 【0054】すなわち、この例ではセンサブロック12の外周面に帯状のイメージセンサ、つまりラインイメージセンサ55を設けている。このような構成によると、センサブロック12にラインイメージセンサ55を組込んで、センサブロック12の移動に同期して映像を撮り込むことによって、格子材11の板面の外観検査が可能となる。つまり、センサブロック12が格子内を通過することで、ラインイメージセンサ55が格子面に沿って移動し、格子セル9に面する板面全体の外観映像を取り込むことが可能となり、位置的情報と合せて映像的な面から異常の有無等を確認することが可能となる。 【0055】図11は、センサブロック12のセンサ部を挟むようにブラシ57を取りつけた例を示している。 【0056】この例では、センサブロック12に、センサ56とともにブラシ57を設け、図示しない吸引ノズルまたは吹き飛ばしノズル等が組付けられている。これにより、検査に支障をきたす可能性のある格子材11の表面に付着したクラッドを除去できるようになっている。 【0057】一般に、上部格子板を含めた炉内構造物の表面にはソフトクラッドが付着しており、場合によっては欠陥検出感度を低下させる要因となる。図11の例では、センサ56近傍に設けたブラシ57によって、このようなソフトクラッドを掻き落として除去することができ、これにより上記問題を解決することができる。 【0058】図12は、センサブロック12に付随させて設ける補修手段の構成例を示している。すなわち、万一欠陥が発見された場合における補修を、検査直後に行なえるようにするものである。 【0059】この図12の例では、センサブロック12が移動体10に対して前記各例のものと交換可能に奏着できる構成としてあり、欠陥が確認された場合にはその交換を行なう。例えばセンサブロック12の下端等にY軸ガイドシャフト61、X軸ガイドシャフト63等を有する移動機構を設け、これによりドリル60等の加工工具をX−Y方向に沿って移動機構に取付けるようにする。 【0060】このような加工工具の付け替えにより、検出した欠陥の除去や保修を実施することができる。すなわち、前述した検査用のセンサブロック12を取外し、代りに補修工具を前後方向および左右方向に移動できる機構を介して搭載し、欠陥位置に補修工具を位置決めし、補修を実施する。図12においては、補修工具としてドリル60を搭載し、亀裂状欠陥の欠陥先端に対してドリル60により穴を空けることで、欠陥先端部の応力を開放し、それ以上の欠陥進展を防ぐことができる。なお本発明においては、ドリル60以外の各種加工工具を適用することができるのは勿論である。 【0061】 【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれば、原子炉定期点検等の際に、通常の手段では検査時間がかかりすぎて全体に亘る検査を実施することが困難となっていた上部格子板の検査に対し、その格子セルにセンサブロックを通過させるのみでこの格子を構成する格子材面の検査を迅速に実施できるうえ、隣接する格子セルへの移動も簡便かつ速やかに実施することができ、それにより上部格子材全体に対して短い工期で高精度の検査を実施することが可能となり、原子炉の安全性向上に寄与することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成12年9月14日(2000.9.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078765 【弁理士】 【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−90490(P2002−90490A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−280571(P2000−280571) |
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