| 【発明の名称】 |
使用済核燃料の前処理方法および前処理装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 義明
【氏名】鷲谷 忠博
【氏名】小泉 務
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| 【要約】 |
【課題】高速炉または高速増殖炉での使用済燃料棒をせん断して硝酸溶解槽または溶融塩電解槽で溶解処理する使用済燃料の前処理において、使用済燃料の溶解時間の短縮化やせん断時に発生するせん断金属粉の溶解槽や配管内での堆積問題の解消を図り、さらには、装置自体をコンパクト化でき、設置スペースの縮小も可能な使用済燃料の前処理方法および前処理装置を提供する。
【解決手段】使用済核燃料棒を被覆管ごと粒状または粉状に粉砕し、粉砕物から被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済核燃料粉砕物を分離した後、分離した使用済核燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽に移送して処理する。前処理装置は、使用済核燃料棒1を被覆管ごと縦方向に挿入する挿入部Aと、挿入された使用済核燃料を被覆管ごと下端から順次粉砕する粉砕部Bと、所定寸法に粉砕された粉砕物のみを通過させるフィルター部Cと、フィルター部を通過した粉砕物中の被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済核燃料粉砕物のみを硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送する磁気分離部Dとからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高速炉または高速増殖炉における使用済核燃料棒を被覆管ごと粒状または粉状に粉砕する工程、粉砕物から被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済核燃料粉砕物を分離する工程、分離された使用済核燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽に移送して処理する工程からなることを特徴とする使用済核燃料の前処理方法。 【請求項2】 前記使用済核燃料粉砕物の分離工程の後に、磁気的に捕集されている状態の被覆管粉砕物に圧縮空気を吹き付けあるいは軽い衝撃を与えることによって、被覆管粉砕物に付着している使用済核燃料粉砕物を払い落として回収する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の使用済核燃料の前処理方法。 【請求項3】 高速炉または高速増殖炉における使用済核燃料棒を被覆管ごと粒状または粉状に粉砕する工程、粉砕された粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽に移送して使用済核燃料粉砕物を硝酸溶解処理または溶融塩電解処理する工程、処理液から被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去する工程からなることを特徴とする使用済核燃料の前処理方法。 【請求項4】 高速炉または高速増殖炉における使用済核燃料棒を被覆管ごと縦方向に挿入する挿入部と、挿入された使用済核燃料を被覆管ごと下端から順次粉砕する粉砕部と、所定寸法に粉砕された粉砕物のみを通過させるフィルター部と、前記フィルター部を通過した粉砕物中の被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済核燃料粉砕物のみを硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送する磁気分離部とからなることを特徴とする使用済核燃料の前処理装置。 【請求項5】 前記粉砕部は、外周に複数のせん断刃を取り付けた回転ロータを有する構造としたことを特徴とする請求項4に記載の使用済核燃料の前処理装置。 【請求項6】 前記粉砕部は、外周に複数のハンマーを揺動可能に取り付けた回転ロータを有する構造としたことを特徴とする請求項4に記載の使用済核燃料の前処理装置。 【請求項7】 前記磁気分離部は、回転ドラムの内部の片側に、回転ドラムとともに回転せずかつ回転ドラムの略半周分に相当する固定磁石を配設してなる磁気分離手段を有し、固定磁石配設側の前記回転ドラム下方に使用済核燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送するための移送管を設け、固定磁石を配設していない側の前記回転ドラム下方に被覆管粉砕物を排出するための排出管を設けた構造としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用済核燃料の前処理装置。 【請求項8】 固定磁石配設側の前記回転ドラムに向けて圧縮空気を吹き付けるための圧縮空気吹き付け管を配設し、あるいは前記回転ドラムに軽い衝撃を与えるノッカを配設し、回転ドラム表面に磁気的に捕集されている被覆管粉砕物に付着している使用済核燃料粉砕物を払い落として回収するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の使用済核燃料の前処理装置。 【請求項9】 前記磁気分離部は、配管途中に、配管直径を横切るように配管外部から抜き差し可能に複数の棒状磁石を配設し、前記配管下流に使用済核燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送するための移送管を連接し、前記配管から分岐させて被覆管粉砕物を排出するための切替バルブ付排出管を設けた構造としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用済核燃料の前処理装置。 【請求項10】 前記棒状磁石に向けて圧縮空気を吹き付けるための圧縮空気吹き付け管を配設し、あるいは前記棒状磁石に軽い衝撃を与えるノッカを配設し、棒状磁石表面に磁気的に捕集されている被覆管粉砕物に付着している使用済核燃料粉砕物を払い落として回収するようにしたことを特徴とする請求項9に記載の使用済核燃料の前処理装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高速炉または高速増殖炉における使用済核燃料からウラン・プルトニウム等を回収する再処理工場において、使用済核燃料に再処理を施す際に、使用済核燃料を細かくせん断して硝酸溶液または溶融塩に溶解する前処理方法およびこの方法を実施するための前処理装置の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】高速炉または高速増殖炉で用いる核燃料(以下、単に「燃料」と称す)は、燃料物質をペレット形状に成形し、これをオーステナイト系ステンレス鋼製の被覆管(直径約6mmの円筒管)に充填して燃料棒とし、燃料棒同士の間隔を適切に設けるためのスペースワイヤを被覆管外周に巻いた後に複数の燃料棒をひとまとめにした燃料集合体として原子炉に装荷され、炉内で燃焼される。 【0003】燃焼し終えた使用済燃料からは、新たな燃料棒を製作するために再処理により燃え残りのウランとプルトニウムが抽出される。この再処理において、使用済燃料棒をせん断し硝酸溶液または溶融塩に溶解する工程を前処理と呼ぶ。 【0004】硝酸に溶解する従来の湿式前処理においては、使用済燃料棒は、せん断機によって3cm程度の長さにせん断(チョップ)され、せん断機の下部に設けた傾斜配管を経由して溶解槽にて硝酸溶解(リーチ)される。せん断された使用済燃料棒をハルと呼ぶが、ハル内に含まれる使用済燃料は、溶解槽内でハルのせん断切り口面から硝酸に溶解し、不溶解性の核分裂生成物(不溶解残渣)をスラリーの形で含んだ硝酸溶解液となる。また、ハルおよびスペースワイヤ等のせん断金属片は、硝酸に溶解せずに溶解槽内に残存するので、これらはそれぞれ別個に溶解槽より取り出される。硝酸溶解液は、後工程にて不溶解残渣を分離除去した後にウランとプルトニウムに分離される。また、ハル及びスペースワイヤ等のせん断金属片は、固体廃棄物としてハル缶に回収される。 【0005】溶融塩に溶解する従来の乾式前処理においては、使用済燃料棒は、被覆管を切り開き、管中の使用済燃料のみを取り出して粉砕した後、溶融塩電解槽に供給される。また、使用済燃料を被覆管ごと高温下にて酸化させ、熱膨張等によって燃料を自然粉砕する前処理法も提案されている。こうして粉砕された使用済燃料は、電解槽内で溶融塩に溶解し、不溶解性の核分裂生成物(不溶解残渣)をスラリーの形で含んだ溶融塩溶解液となる。また、被覆管は固体廃棄物としてハル缶に回収される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来の湿式前処理方法では、使用済燃料を燃料集合体ごとに3cm程度の長さにせん断する方式のため、せん断機内に燃料集合体を横置きにする必要があり、せん断機の設置スペースが大きくなる結果につながっていた。 【0007】また、溶解槽においてハルのせん断切り口面のみが硝酸に接触することになり、せん断両端面から使用済燃料が徐々に溶解していくため、すべての使用済燃料が硝酸に溶解するまでには数時間の時間を要していた。これは、溶解槽の大型化につながり、機器製作コストを高騰させる原因となっていた。 【0008】さらに、せん断時に発生する粒状あるいは粉状のせん断金属粉(数十μm〜数mm)は、不溶解残渣と同様にスラリーとして溶解液に同伴して後工程に移送されるが、不溶解残渣(数μm)に比較して大きな粒径のため、途中の機器や配管内において堆積しやすいばかりでなく、溶解槽内部にも堆積しやすい。かようなせん断金属粉の堆積物は溶解槽からの除去が困難であり、溶解槽自体や溶解槽以降の機器構造や運転方法を複雑にする結果となり、運転コストや保守コストを高騰させる原因となっていた。 【0009】一方、従来の乾式前処理方法では、せん断せずに被覆管を1本ずつ切り開き、内部の使用済燃料のみを取り出す操作を行うため、単位時間当たりに処理できる量が少なく、前処理工程の肥大化につながっていた。 【0010】また、使用済燃料を被覆管ごと高温下にて酸化させ、熱膨張等によって燃料を自然粉砕する前処理法は、現在研究開発段階に至っているが、せん断金属粉は発生しないものの、前処理装置の大型化、操作の複雑化につながっているのが現状である。 【0011】そのため本発明の目的は、上述した従来の使用済燃料の前処理方法のもつ問題点を改善し、溶解槽の溶解時間の短縮化やせん断時に発生するせん断金属粉の堆積問題の解消を図り、これによって溶解槽自体や溶解槽以降の機器構造や運転方法を簡略化して、機器製作コスト、運転コスト、保守コストを大幅に低減することができる新規かつ改良された使用済燃料の前処理方法および前処理装置を提供することである。 【0012】さらに本発明の目的は、装置自体をコンパクト化でき、機器製作コストの削減および設置スペースの縮小も可能な使用済燃料の前処理装置を提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明の使用済燃料の前処理方法は、高速炉または高速増殖炉における使用済燃料棒を被覆管ごと粒状または粉状に粉砕する工程、粉砕物から被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済燃料粉砕物を分離する工程、分離された使用済燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽に移送して処理する工程からなることを特徴とするものである。 【0014】かような前処理方法によれば、オーステナイト系ステンレス鋼製の被覆管は粉砕工程におけるせん断応力によりマルテンサイト系ステンレス鋼に変態するため強磁性を帯びる。このため、粉砕物から被覆管粉砕物を磁気的に効率よく捕集除去することが可能となり、使用済燃料粉砕物を容易に分離することができる。その結果、溶解槽または溶融塩電解槽へ被覆管粉砕物の移送量が大幅に低減し、溶解槽または溶融塩電解槽での被覆管粉砕物の堆積を防止することができる。また、使用済燃料粉砕物は、従来のせん断処理によるせん断物と比べて細かい粒状または粉状とされるため、硝酸や溶融塩に対する溶解時間を短縮することが可能となる。 【0015】さらに本発明の使用済燃料の前処理装置は、高速炉または高速増殖炉における使用済燃料棒を被覆管ごと縦方向に挿入する挿入部と、挿入された使用済燃料を被覆管ごと下端から順次粉砕する粉砕部と、所定寸法に粉砕された粉砕物のみを通過させるフィルター部と、前記フィルター部を通過した粉砕物中の被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済燃料粉砕物のみを硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送する磁気分離部とからなることを特徴とするものである。 【0016】前記した粉砕部は、外周に複数のせん断刃を取り付けた回転ロータを有する構造、あるいは、外周に複数のハンマーを揺動可能に取り付けた回転ロータを有する構造とすることができる。 【0017】さらに前記した磁気分離部は、回転ドラムの内部の片側に、回転ドラムとともに回転せずかつ回転ドラムの略半周分に相当する固定磁石を配設してなる磁気分離手段を有し、固定磁石配設側の前記回転ドラム下方に使用済燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送するための移送管を設け、固定磁石を配設していない側の前記回転ドラム下方に被覆管粉砕物を排出するための排出管を設けた構造、あるいは、配管途中に、配管直径を横切るように配管外部から抜き差し可能に複数の棒状磁石を配設し、前記配管下流に使用済燃料粉砕物を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送するための移送管を連接し、前記配管から分岐させて被覆管粉砕物を排出するための切替バルブ付排出管を設けた構造とすることができる。 【0018】かような前処理装置によれば、粉砕部と磁気分離部とを一連のプロセスとして一つの装置内にまとめて配設することができるため、装置全体としてコンパクト化が可能となる。さらに、使用済燃料棒を縦方向に挿入するようにしたため、従来の横に挿入するせん断装置に比べて装置の設置スペースを大幅に低減することができる。 【0019】なお、本明細書における「被覆管粉砕物」という用語は、被覆管のみでなく、スペースワイヤ等の燃料棒に付属する他の金属粉砕物も包含する用語として用いている。 【0020】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の前処理装置の実施例を示す説明図であり、挿入部A、粉砕部B、フィルター部Cおよび磁気分離部Dをこの順で縦型に配列して構成されている。挿入部Aは、使用済燃料棒1を縦方向に挿入して粉砕部B方向へ押し込む装置である。粉砕部Bは、外周に複数のせん断刃2を取り付けた回転ロータ3を有する構造であり、挿入された使用済燃料棒1を被覆管ごとその下端から順次粉砕する装置である。 【0021】フィルター部Cは、粉砕部Bで所定寸法以下に粉砕された粉砕物のみを通過させるメッシュをもつフィルター4から構成されている。また、所定寸法以下に粉砕されなかった金属片5を排出するための排出管6がフィルター4真上の粉砕部B側壁に設けてある。 【0022】磁気分離部Dは、内部に固定磁石7を配した回転ドラム8からなり、回転ドラム8は矢印で示す方向に回転している。この固定磁石7は回転ドラム8とともに回転せず、回転ドラム8の略半周に相当する部分の内部片側に配設されている。固定磁石7を配設してある側の回転ドラム下方には、使用済燃料粉砕物9を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽(いずれも図示せず)へ移送するための移送管10が設けられている。また、固定磁石7を配設していない側の回転ドラム下方には、被覆管粉砕物11を排出するための排出管12が設けられている。さらに、固定磁石7配設側の回転ドラム8に向けて圧縮空気13を吹き付けるための圧縮空気吹き付け管14が、回転ドラム8の斜め下方に配設されている。なお、固定磁石7は永久磁石であってもよく、あるいは電磁石であってもよい。 【0023】上記のごとき構成の本発明の前処理装置の動作を述べるとともに、併せて本発明の前処理方法を説明する。図1の挿入部Aに縦方向に押し込まれた使用済燃料棒1は、その挿入下端が粉砕部B内で回転している回転ロータ3方向に押し付けられ、回転ロータ3外周の複数のせん断刃2によって、燃料棒1の被覆管はその内部の使用済燃料ペレットと共に、直径約3mm以下の粒状または粉状に粉砕される。本発明においては、従来のせん断により得られる直径約3cm程度のせん断物に比較して細かく粉砕する点が1つの特徴となっている。 【0024】回転ロータ3により所定寸法以下に粉砕されなかった金属片5は、フィルター部Cに設置したフィルター4により除去されて、排出管6から排出除去され固体廃棄物として処理される。 【0025】フィルター4を通過した粉砕物は、磁気分離部Dの回転ドラム8上へ落下する。粉砕物中のオーステナイト系ステンレス鋼製の被覆管粉砕物は粉砕部におけるせん断応力により強磁性のマルテンサイト系ステンレス鋼に変態しているため、回転ドラム8内部の固定磁石7により回転ドラム8外周面に磁気的に捕集され、回転ドラム8の回転とともに回動する。一方、回転ドラム8上に落下した非磁性の使用済燃料粉砕物は、回転ドラム8外周面に磁気的に捕集されることなく、回転ドラムの回転方向側(図1の図面では右側)の下方に開口している使用済燃料粉砕物移送管10へ落下し、硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送されて処理される。 【0026】回転ドラム8外周面に捕集されて回転ドラム8とともに回動する被覆管粉砕物は、移送管へ落下することなく回転ドラム8最下端を通過するが、固定磁石7を配設していない側へ回転してくると、固定磁石7による磁気的捕捉から解放されて、回転ドラム8外周面から落下し、回転ドラム8下方に開口する排出管12へ導かれて除去され、固体廃棄物として処理される。 【0027】なお、回転ドラム8外周面に磁気的に捕集された被覆管粉砕物には、細粒状または細粉状の使用済燃料粉砕物が付着しており、かような付着物も使用済燃料粉砕物として回収する必要がある。付着物の回収は、回転ドラム8外周面に磁気的に捕集されている状態の被覆管粉砕物に圧縮空気吹き付け管14から圧縮空気13を吹き付けて被覆管粉砕物に付着している使用済燃料粉砕物のみを払い落とすことによって効果的に行うことができる。 【0028】なお、圧縮空気13を吹き付けずに、回転ドラム8に軽い衝撃を与えるノッカ装置(図示せず)を設置して、回転ドラム8外周面に磁気的に捕集されている状態の被覆管粉砕物に軽い衝撃を与えることによっても、被覆管粉砕物に付着した使用済燃料粉砕物を払い落とすことができる。 【0029】かくして、被覆管粉砕物のごとき金属粉はその大部分が硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送されることなく、使用済燃料粉砕物の硝酸または溶融塩への溶解処理を効率よく行うことができる。実際に行った実験では、被覆管粉砕物捕集効率約70重量%を達成でき、溶解槽への被覆管移送量を従来の1/3以下まで低減させることができる。 【0030】さらに、使用済燃料の溶媒への溶解時間は、両者の接触面積が多くなるほど短縮できることになる。例えば、本発明における使用済燃料粉砕物が直径約2mmの粒状物と考えた場合の接触面積(表面積)は、従来のせん断により得られる直径約6mm、長さ約3cmのせん断物の接触面積(表面積)の約50倍となり、従って、溶解時間は最大約1/50に短縮化可能となる。 【0031】図2は、本発明の前処理装置の別な実施例を示す説明図であり、図1の実施例とは磁気分離部Dのみが相違し、他の部分は図1の実施例と同じである。従って、図1と同じ構成部分については図1と同じ参照番号を付すことにより説明を省略する。図2の実施例における磁気分離部D′は、フィルター部Cの下から下方へ延びる配管15を若干斜めに傾斜させ、この配管15途中に、配管直径を横切るように配管外部から複数の棒状磁石16を抜き差し可能に配設してある。さらにこの配管15の棒状磁石配設部分の下流には、使用済燃料粉砕物9を硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送するための移送管10が連接されている。また、棒状磁石配設部分下流の配管15には、被覆管粉砕物11を排出するための排出管12が略垂直方向に延びるように分岐させてあり、この排出管12の分岐個所には切替バルブ17が設けられている。 【0032】かような磁気分離部D′においては、フィルター4を通過した粉砕物は配管15へ導かれ、棒状磁石16配設部分を通過する際に、粉砕物中の強磁性の被覆管粉砕物は棒状磁石16表面に磁気的に捕集され、非磁性の使用済燃料粉砕物は棒状磁石16に磁気的に捕集されることなく、移送管9へ導かれて硝酸溶解槽または溶融塩電解槽へ移送されて処理される。このとき、配管15から分岐する排出管12分岐個所に設けた切替バルブ17は分岐個所を閉として、使用済燃料粉砕物が排出管12へ落下しないようにしてある。 【0033】棒状磁石16表面に電磁的に捕集された被覆管粉砕物に付着している細粒状または細粉状の使用済燃料粉砕物は、圧縮空気13を圧縮空気吹き付け管14から被覆管粉砕物へ向けて吹き付けることによって払い落とすことができる。圧縮空気13を吹き付けずに、棒状磁石16に軽い衝撃を与えるノッカ装置(図示せず)を設置して、棒状磁石16に捕集されている状態の被覆管粉砕物に軽い衝撃を与えることによっても、被覆管粉砕物に付着した使用済燃料粉砕物を払い落とすことができることは、図1の実施例と同じである。 【0034】一方、棒状磁石16に捕集された被覆管粉砕物は、粉砕部Cでの粉砕運転を一旦停止した後、排出管12の分岐個所に設けてある切替バルブ17を開に切り替え、次いで棒状磁石16を引き抜いてそれらの表面から被覆管粉砕物を払い落とし、排出管12へ落下、排出させることができる。被覆管粉砕物を払い落とした後、棒状磁石16を再び配管15内部に挿入し、切り替えバルブ7を閉に切り替えた後、粉砕部Cでの粉砕運転を再開することにより、次回の操作を開始することができる。 【0035】図1および図2の前処理装置における粉砕部Bでは、せん断刃2を外周に取り付けた回転ロータ3を用いた実施例を示したが、図3に示すように、複数のハンマー22をピン21により外周に揺動可能に取り付けた回転ロータ23を使用することもできる。 【0036】上述した本発明の前処理方法においては、被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去して使用済燃料粉砕物を分離する工程を施した後に、分離された使用済燃料粉砕物を硝酸溶解槽へ移送して溶解処理する実施態様を説明したが、粉砕工程で得られた粒状または粉状の粉砕物をそのまま硝酸溶解槽へ移送して粉砕物中の使用済燃料粉砕物のみを溶解処理した後に、溶解しなかった被覆管粉砕物を溶解処理液中から磁気的に捕集除去するようにしてもよい。本発明においては、粉砕工程で使用済燃料棒の被覆管を、従来の被覆管せん断物(ハル)よりも細かい粒状または粉状に粉砕しているため、ハルのような比較的大きい被覆管せん断物が溶解槽内に堆積するおそれが少なく、硝酸溶解液から被覆管粉砕物を磁気的に分離除去する頻度は、従来の被覆管せん断物を除去する頻度に比べて圧倒的に少なくできる。 【0037】なお、粉砕工程で得られた粒状または粉状の粉砕物をそのまま溶融塩電解槽へ移送して溶融塩による溶解、電解処理を施こした後に、被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去する実施態様は、あまり適切ではない。なぜならば、被覆管粉砕物自体が電解槽の電解能力に影響を及ぼす可能性があるためである。 【0038】 【発明の効果】以上詳述したところからわかるように本発明によれば、使用済燃料棒を被覆管ごとせん断して硝酸溶解槽または溶融塩電解槽で前処理する際に、従来のせん断物より細かい粒状または粉状に粉砕し、粉砕物中の被覆管粉砕物を磁気的に捕集除去した後、使用済燃料粉砕物のみを硝酸溶解槽または溶融塩電解槽で前処理するようにしたから、溶解槽への被覆管粉砕物移送量を従来より大幅に低減させることができる。その結果、溶解槽や配管内部に金属粉が堆積することが少なくなり、溶解槽自体や溶解槽以降の機器構造や運転方法を簡潔にすることができるため、運転コストや保守コストを低減させることが可能となる。 【0039】また、使用済燃料粉砕物を細かい粉状または粒状に粉砕したため、溶媒との接触面積が増大した結果、溶解時間を大幅に短縮化できる。これにより、溶解槽や電解槽の大きさを大幅に小型化することが可能になり、機器製作コストを大幅に低減できる。 【0040】さらに、最終的に放射性固体廃棄物として回収される被覆管粉砕物についても、従来のせん断物に比較して細かく粉砕されているため、ハル缶に充填する場合に、ハル缶1個当たりの充填量を増加させることができる。その結果、ハル缶の数を減らすことができ、放射性廃棄物を地中処分する際の処分コストを低減できるという効果をもたらす。 【0041】さらに本発明の前処理装置によれば、使用済燃料棒を縦方向に取り扱えるため、従来の横置きタイプのせん断処理装置に比べて、装置全体のコンパクト化を図ることができ、装置製作コストの削減および設置スペースの縮小も可能になる。 【0042】さらにまた、本発明の前処理装置は、その構造が比較的簡単であるため、マニピュレータやロボット等の遠隔操作機器を用いて構成部材ごとの個別保守、点検ならびに部品交換が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000224754 【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
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| 【出願日】 |
平成12年7月28日(2000.7.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067046 【弁理士】 【氏名又は名称】尾股 行雄
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| 【公開番号】 |
特開2002−40189(P2002−40189A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−228794(P2000−228794) |
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