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【発明の名称】 貯蔵キャスク起伏装置
【発明者】 【氏名】岡田 京

【要約】 【課題】横倒し状態のキャスク本体からの放射線の漏洩を抑止し得る貯蔵キャスク起伏装置を提供する。

【解決手段】キャスク本体2を支持し得られ且つ起伏可能なスキッド16と、キャスク本体2の底面からキャニスタ1が収納される空間に連なる底部空間5の見通しを遮る状態と遮らない状態に位置し得るようにスキッド16に設けた遮蔽扉14と、キャスク本体2内に挿通されてキャニスタ1を押し引き可能なロッド35を有し且つ遮蔽扉14を覆うようにスキッド16に装着可能な出し入れ機構15とを備え、遮蔽扉14を底部空間5の見通しを遮る状態に位置させ、あるいは、遮蔽扉14を底部空間5の見通しを遮らない状態に位置させる際には、出し入れ機構15をスキッド16に装着して、キャスク本体2の外部への放射線の漏洩を抑止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャニスタ収納用のキャスク本体の底部と側部を支持し得られ且つ起伏可能なスキッドと、キャスク本体軸線方向にみて当該キャスク本体の底面からキャニスタ収納用の空間に連なる底部空間の見通しを遮る状態と遮らない状態に位置し得るようにスキッドに設けた遮蔽扉と、キャスク本体の底部空間に挿通されてキャニスタを押し引き可能なロッドを有し且つ前記の遮蔽扉を覆うようにスキッドに装着可能な出し入れ機構とを備えてなることを特徴とする貯蔵キャスク起伏装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は貯蔵キャスク起伏装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、原子力発電所などで発生する使用済み燃料を、その崩壊熱が除去されるまでの間、図10に示すような貯蔵キャスクを用いて乾式保管(風冷保管)することが検討されている。
【0003】この貯蔵キャスクは、使用済み燃料を封入したキャニスタ1が上方から内部へ挿入され得る鉄筋コンクリート構造のキャスク本体2と、該キャスク本体2の上端開口部に嵌入され得る蓋体3とを備えている。
【0004】キャスク本体2には、底面からキャニスタ1が挿入される収納空間4へ貫通する底部空間5と、外周面下部から底部空間5の下部へ連通する複数の吸気流路6と、収納空間4の上部近傍から外周面上部近傍へ貫通する複数の排気流路7とが形成されている。
【0005】このうち、排気流路7は、放射線がキャスク本体2の内方から排気流路7を経て直線的に外方へ放出されることを防止するために、流路形状が屈曲した構造になっている。
【0006】キャスク本体2の内周面には、炭素鋼あるいはステンレス鋼よりなるライナ8が、キャニスタ1を周方向に取り囲み且つ該キャニスタ1の外周面との間に空隙が形成されるように設けられている。
【0007】キャスク本体2の内底面には、複数の載置台9が、底部空間5を中心として放射状に且つキャニスタ1の底面に当接し得るように設けられており、収納空間4に挿入したキャニスタ1の底面とキャスク本体2の内底面との間に空隙が形成されるようになっている。
【0008】キャスク本体2の上部には、炭素鋼あるいはステンレス鋼よりなる環状の支持座10が、収納空間4に同軸に且つキャスク本体2に内接するように一体的に設けられている。
【0009】蓋体3は、炭素鋼あるいはステンレス鋼よりなり且つ支持座10の上面にボルト締結されるフランジ部11と、該フランジ部11の下面に一体的に設けられ且つ支持座10に嵌入され得る鉄筋コンクリート構造のプラグ部12とで構成されている。
【0010】図10に示す貯蔵キャスクによって使用済み燃料を保管する際には、保管施設内に定置したキャスク本体2の収納空間4に、使用済み燃料が外気に触れないように封入されているキャニスタ1を挿入し、また、蓋体3のプラグ部12を支持座10に嵌入したうえ、該支持座10にフランジ部11をボルト締結して、キャニスタ1内の使用済み燃料から放出される放射線を、キャスク本体2と蓋体3とで遮蔽する。
【0011】次いで、キャニスタ1に封入されている使用済み燃料の崩壊熱で収納空間4内の空気が温められると、収納空間4から排気流路7を経てキャスク本体2の外部へ流出する空気流Aと、キャスク本体2の外部から吸気流路6、底部空間5を経て収納空間4へ流入する空気流Bとが生じ、収納空間4を連続的に流通する空気によって、キャニスタ1内の使用済み燃料が冷却される。
【0012】キャニスタ1を収納空間4に対して出し入れする際には、キャニスタ1の形状が大きいため、キャスク本体2を横倒し状態にする必要がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、キャスク本体2には、その底面から収納空間4に連通する底部空間5が形成されているため、単にキャスク本体2を横倒し状態にすると、キャニスタ1内の使用済み燃料から底部空間5を経てキャスク本体2の外部へ放射線が漏洩してしまう。
【0014】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、横倒し状態にしたキャスク本体からの放射線の漏洩を抑止し得る貯蔵キャスク起伏装置を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の貯蔵キャスク起伏装置では、キャニスタ収納用のキャスク本体の底部と側部を支持し得られ且つ起伏可能なスキッドと、キャスク本体軸線方向にみて当該キャスク本体の底面からキャニスタ収納用の空間に連なる底部空間の見通しを遮る状態と遮らない状態に位置し得るようにスキッドに設けた遮蔽扉と、キャスク本体の底部空間に挿通されてキャニスタを押し引き可能なロッドを有し且つ前記の遮蔽扉を覆うようにスキッドに装着可能な出し入れ機構とを備えている。
【0016】本発明の貯蔵キャスク起伏装置においては、遮蔽扉を底部空間の見通しを遮る状態に位置させて、キャニスタからキャスク本体の外部への放射線の漏洩を抑止する。
【0017】また、遮蔽扉を底部空間の見通しを遮らない状態に位置させる際には、出し入れ機構をスキッドに装着して、キャニスタからキャスク本体の外部への放射線の漏洩を抑止する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。
【0019】図1乃至図9は本発明の貯蔵キャスク起伏装置の実施の形態の一例を示すもので、図中、図10と同一の符号を付したものは同一物を表している。
【0020】この貯蔵キャスク起伏装置は、キャスク本体2を搭載可能なスキッド16と、該スキッド16を起伏可能に支持するスキッド吊上げ機構17と、スキッド16に付帯する遮蔽扉14と、キャスク本体2に対してキャニスタ1を押し引き可能な出し入れ機構15とを備えている。
【0021】スキッド16は、キャスク本体2の底部を支持し得る底部支持部材18と、該底部支持部材18の端部に連なって直交する方向へ延びる側部支持部材20とで構成されている。
【0022】底部支持部材18のキャスク本体2底部が当接する面には、キャスク本体2の吸気流路6開口に対応するように補助遮蔽体21が設けられている。
【0023】補助遮蔽体21は、図3に示すように、キャスク本体2の吸気通路6開口に嵌合し得る第1の部材21aと、該第1の部材21aに噛み合ってラビリンス流路を形成する第2の部材21bとによって構成されている。
【0024】また、スキッド16の側部支持部材20には、キャスク本体2を固定するために、図8及び図9などに示すように、長手方向に所定間隔を置いて配置した複数の固縛用ベルト19が設けられている。
【0025】スキッド吊上げ機構17は、所定の間隔を置いて互いに平行に敷設された走行レール22と、該走行レール22に沿って移動可能な左右2台ずつ計4台の油圧ジャッキタワー23と、左右の油圧ジャッキタワー23の頂部を走行レール22のゲージ方向に連結する上部ビーム24と、各上部ビーム24に2本ずつ吊設された4本の接続用リンク25とによって構成されている。
【0026】油圧ジャッキタワー23は、走行レール22に沿って移動可能な走行体26と、該走行体26の上部に立設され且つ略垂直方向に伸縮し得る油圧ジャッキ27とを有する。
【0027】接続用リンク25は、走行レール22に平行な方向へ屈折可能に吊設されており、当該接続用リンク25の各下端部は、前記のスキッド16の底部支持部材18と側部支持部材20のそれぞれの端部に対して、上部ビーム24に平行する方向に挿通されたピン28を介して連結し得るようになっている。
【0028】スキッド吊上げ機構17では、図7乃至図9に示すように、前後のビーム24ごとに油圧ジャッキ27を同調速度で伸縮させることにより、当該上部ビーム24を個別に昇降させながら、走行体26を走行レール22に沿って適宜に移動させることにより、当該上部ビーム24の間隔を調整して、スキッド16を起伏させる。
【0029】遮蔽扉14は、図1乃至図4に示すように、スキッド16の底部支持部材18の幅方向中央部に設けられ且つ当該スキッド16に搭載されるキャスク本体2の軸線を中心として近接離反し得る2枚の扉本体29と、該扉本体29を開閉させる扉開閉機構30とを有する。
【0030】扉本体29は、スキッド16に搭載したキャスク本体2の底部空間5を覆い得る大きさを有している。
【0031】扉開閉機構30は、各扉本体29の両側に配置され且つ扉本体29の移動方向に延びるボールねじ32と、該ボールねじ32に螺合し且つ扉本体29に固設したボールナット31と、ボールねじ32を周方向に正逆回転させる駆動ユニット33とによって構成されている。
【0032】この扉開閉機構30では、ボールねじ32を周方向一方に回転させると、開扉されている扉本体29が互いに近接して、キャスク本体2の底部空間5の見通しを遮る位置へ移動し、また、ボールねじ32を周方向他方に回転させると、閉止している扉本体29が互いに離反して、キャスク本体2の底部空間5の見通しを遮らない位置へ移動するように螺設されている。
【0033】出し入れ機構15は、図1、図2、図5乃至図7に示すように、スキッド吊上げ機構17の走行レール22端部近傍に配置した支持部材34と、スキッド16により横倒し状態にされたキャスク本体2の底部空間5に対して同軸に位置するように支持部材34によって保持される油圧シリンダ36とを有する。
【0034】油圧シリンダ36には、シリンダ本体37のロッド35側端部に固着され且つスキッド16の底部支持部材18にボルト締結し得る取付用基板38と、ロッド35先端部に設けられ且つキャニスタ1の底面に予めボルト締結してある突起部材39に着脱自在に係合し得る把持部材40とが装備されている。
【0035】取付用基板38は、開扉された遮蔽扉14の開口を覆い得る大きさと形状とを有し且つロッド35が貫通する中央部分が前記の把持部材40を内包し得るように円筒状に形成されており、四隅に穿設したボルト孔に挿通した固定ボルト41によってスキッド16の底部支持部材18の外面に対して取り付られるようになっている。
【0036】貯蔵キャスク内へキャニスタ1を収納するとき、あるいは、貯蔵キャスクから外部へキャニスタ1を取り出すときには、予め扉本体29を閉止位置に設定しておき、作業対象となるキャスク本体2の底面を底部支持部材18に載置し、また、キャスク本体2を固縛用ベルト19によって側部支持部材20に固定した後、スキッド吊上げ装置17によりスキッド16を傾動させて、当該キャスク本体2を横倒し状態にする。
【0037】このとき、キャスク本体2にキャニスタ1が収納されていても、キャスク本体2の底部空間5が扉本体29によって覆われているので、キャスク本体2外部への放射線の漏洩が抑止される。
【0038】次いでスキッド16の反キャスク本体側に出し入れ機構15を配置したうえ、油圧シリンダ36に付帯する取付用基板38を、図1及び図2に示すように、固定ボルト41により底部支持部材18に締結し、油圧シリンダ36をキャスク本体2の軸線の延長線上に保持する。
【0039】更に、扉本体29を開放位置に設定し、油圧シリンダ36のロッド35を底部空間5からキャスク本体2側へ突出させる。
【0040】これにより、キャスク本体2の開口端に接続した輸送容器内に収納されているキャニスタ1の突起部材39に、ロッド35の先端部の把持部材40を係合させ、ロッド35の引き込みによってキャスク本体2内へキャニスタ1を引き入れ、あるいは、キャスク本体2内に収納されているキャニスタ1をロッド35の突出によって外部へ押し出す。
【0041】このとき、キャスク本体2の底部空間5が取付用基板38によって覆われているので、キャスク本体2外部への放射線の漏洩が抑止される。
【0042】このように、図1乃至図9に示す貯蔵キャスク起伏装置においては、スキッド16の底部支持部材18に、底部空間5の見通しを遮る位置と遮らない位置とに設定される遮蔽扉14を設け、更に、底部支持部材18に遮蔽扉14を覆うように出し入れ機構15を装着し得るようにしているので、キャニスタ1の出し入れに伴ってキャスク本体2を横倒し状態にしたときの底部空間5から外部への放射線の漏洩を効果的に抑止することができる。
【0043】なお、本発明の貯蔵キャスク起伏装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の貯蔵キャスク起伏装置によれば、キャスクを横倒し状態にするスキッドに、キャスク本体の底面からキャニスタ収納用の空間に連なる底部空間の見通しを遮る位置と遮らない位置に設定され得る遮蔽扉を設け、また、当該遮蔽扉を被い得るようにスキッドに対して出し入れ機構を装着させるので、キャニスタの出し入れに伴ってキャスク本体を横倒し状態にしたときの、キャスク本体の底部空間から外部への放射線の漏洩を効果的に抑止することができる、という優れた効果を奏し得る。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成12年7月19日(2000.7.19)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2002−40188(P2002−40188A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−218944(P2000−218944)