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【発明の名称】 原子炉のダミー遮蔽プラグ
【発明者】 【氏名】片岡 一

【要約】 【課題】高速炉等の原子炉の遮蔽プラグの一部に穿設された予備孔に抜き差し自在に挿入されるダミー遮蔽プラグにおいて、パッキンシール部のオーリング交換が可能な構造とし、もって再使用可能な原子炉のダミー遮蔽プラグを提供する。

【解決手段】予備孔(12)内壁と接するダミー遮蔽プラグ上部構造体(22)を上下に二分割し、その上方の第1の構造体(22a)と下方の第2の構造体(22b)とを結合・離脱可能に一体化させるとともに、予備孔内壁と接する第1の構造体外周に第1のパッキンシール部(28)を形成し、第2の構造体と結合する第1の構造体の結合面に第2のパッキンシール部(33)を形成してなる。予備孔から脱荷した放射化ダミー遮蔽プラグの第1の構造体を第2の構造体から分離し、2つのパッキンシール部を交換した後、再度第1の構造体と第2の構造体を結合することにより再使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉遮蔽プラグの一部に設けた予備孔に抜き挿し自在に挿入されるダミー遮蔽プラグであって、予備孔内壁と接するダミー遮蔽プラグ上部構造体を上下に二分割し、その上方の第1の構造体と下方の第2の構造体とを結合・離脱可能に一体化させるとともに、予備孔内壁と接する第1の構造体外周に第1のパッキンシール部を形成し、第2の構造体と結合する第1の構造体の結合面に第2のパッキンシール部を形成したことを特徴とする原子炉のダミー遮蔽プラグ。
【請求項2】 第1の構造体と第2の構造体の結合面が水平面とされていることを特徴とする請求項1記載のダミー遮蔽プラグ。
【請求項3】 第1の構造体と第2の構造体の結合面がテーパー面とされていることを特徴とする請求項1記載のダミー遮蔽プラグ。
【請求項4】 第1の構造体と第2の構造体の結合面が垂直円筒面とされていることを特徴とする請求項1記載のダミー遮蔽プラグ。
【請求項5】 第1の構造体と第2の構造体とが締め付けボルトにより一体化されていることを特徴とする請求項1〜4項のいずれか1項記載のダミー遮蔽プラグ。
【請求項6】 第1の構造体底部または第2の構造体頂部は、第1の構造体と第2の構造体との結合時に両者の間に空間が形成されるような形状とされていることを特徴とする請求項1〜5項のいずれか1項記載のダミー遮蔽プラグ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速炉等の原子炉の容器頂部開口の蓋となる遮蔽プラグの一部に穿設された予備孔に抜き挿し自在に挿入されるダミー遮蔽プラグの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】我が国の高速実験炉「常陽」の原子炉縦断の概略図を示す図3を参照して従来のダミー遮蔽プラグを説明する。「常陽」における原子炉部は、燃料集合体等でなる炉心1を冷却材である液体ナトリウム2で満たし、冷却材入口ノズル3と冷却材出口ノズル4を有する原子炉容器5と、原子炉容器の蓋である遮蔽プラグ6で構成される。
【0003】ここで、遮蔽プラグ6は、それぞれ個別の機能を持った複数の機器、部材が組み合わさって概念的に蓋を形成するものであり、大回転プラグ7、小回転プラグ8、炉心上部機構9、制御棒駆動機構10等で構成される。当然、遮蔽プラグ6には原子炉の蓋という概念から、原子炉容器5のバウンダリ確保、放射線遮蔽、熱遮蔽の機能が要求されている。
【0004】ところで、原子炉の出力を調整するための制御棒11を駆動する制御棒駆動機構10は、炉心上部機構9内に複数基配置され、さらに、炉心上部機構9内には常設の制御棒駆動機構10の設置孔の他にも、予備の設置孔が複数設けられている。これらの予備孔は、原子炉内での照射試験を行うために照射試験装置用の装荷孔等として利用されるものであるが、そのような利用がないときには、遮蔽プラグの一部を形成するため、遮蔽プラグに要求される上記した機能を満足するダミー遮蔽プラグ20が予備孔に挿入(装荷)されている。
【0005】ダミー遮蔽プラグ20は図2に示すとおり、外観上は全体として細長い円筒形状をしており、炉心上部機構9内に設置される制御棒駆動機構10の予備孔12に挿入される。ダミー遮蔽プラグ20は、円筒状の案内管21と、この案内管21上部に溶接接続により固着された上部構造体22とから構成されている。
【0006】図2に図示した例では、上部構造体22を中実の円柱形状の遮蔽部材として放射線遮蔽や熱遮蔽の機能を持たせるようにしているが、中空のパイプ形状としたものもある。案内管21内部は、上部構造体22から支持ロッド23により吊り下げられた下部遮蔽体24と、熱電対25を内装したパイプ26が配設されている。下部遮蔽体24は、放射線遮蔽や熱遮蔽の機能を有するものである。熱電対25は、図示しない炉心の燃料集合体出口冷却材の温度を計測するためのものであり、上部構造体22内部に穿設された貫通孔27を通って上部構造体22上方へ延びており、パイプ26上端と上部構造体の貫通孔27下端とを気密接続することにより、気密な熱電対の通線路が形成されている。熱電対を内装したパイプ26を、上部構造体貫通孔27内に貫通挿入させ、パイプ26外周と貫通孔27内周との間の間隙を溶接することによって、気密な熱電対の通線路を形成したものもある。
【0007】ダミー遮蔽プラグ20の上部構造体22の上部外周には、二重オーリング(O−リング)で構成されるパッキンシール部28が設けられており、ダミー遮蔽プラグ20を予備孔12に挿入した時のシール部の健全性をチェックするためのチェック孔29も設けられている。このチェック孔29から適宜ガス圧をかけ、二重オーリング間でのガス圧の漏れ具合をモニターすることにより、シール部28の健全性をチェックできるようにされている。
【0008】さらに、ダミー遮蔽プラグ20の上方には、作業性向上のための上部管30や熱電対の補償導線31が接続されるが、これらはダミー遮蔽プラグ20の本来の機能とは直接関連するものではない。
【0009】上述したごとき構造のダミー遮蔽プラグ20は、遮蔽プラグ6の一部として下記のような機能を果たすことができる。
1)原子炉容器5のバウンダリは、制御棒駆動機構10の予備孔12にダミー遮蔽プラグ20を挿入した後の予備孔とダミー遮蔽プラグとの間隙に対してはパッキンシール部28により、また、上部構造体22に穿設した熱電対用貫通孔27に対してはパイプ26を気密に接続することにより、それぞれ確保される。
【0010】2)放射線遮蔽機能に関しては、主として下部遮蔽体24で確保されるが、図2の例のように上部構造体22を中実円筒形状の遮蔽部材で構成した場合には、下部遮蔽体24と上部構造体22の両方で放射線遮蔽機能をもたらすことができる。さらに、案内管21内部で熱電対内装パイプ26を屈曲配管することで放射線のストリーミングを緩和することができる。
【0011】3)熱遮蔽機能は、原子炉容器5のナトリウム液面より上方に上部構造体22と下部遮蔽体24を位置せしめることにより、輻射熱および対流熱を遮ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のダミー遮蔽プラグは、次のような課題を有している。すなわち、ダミー遮蔽プラグ20を装荷している予備孔12を利用した原子炉内での照射試験計画が具体化すると、ダミー遮蔽プラグ20が引抜かれ(脱荷)、代わって照射試験装置が装荷されることになる。予備孔12から脱荷したダミー遮蔽プラグ20は、上部は放射化量が低いものの、全体としての放射化量は極めて高く、かつ、原子炉容器バウンダリ構成部はそれ自体放射化している活性の高いナトリウム冷却材2が付着しているため、放射線遮蔽機能を有する大型の専用キャスクで取扱われることになる。脱荷したダミー遮蔽プラグ20は、付着ナトリウム冷却材を洗浄装置で除去した後、最終処分されるまでサイト内の水プールに沈めて保管される。
【0013】一方、予備孔12を利用した照射試験が終了した後は、再び予備孔12にダミー遮蔽プラグ20を装荷する必要があるが、この時、先に脱荷したダミー遮蔽プラグを再使用することはできない。なぜならば、パッキンシール部28のオーリングの健全性が保証できないからである。オーリングを交換するためには、作業員が古いオーリングを切断するなどして取り外した後、ダミー遮蔽プラグの下端から新品のオーリングをたくし上げて所定のオーリング溝に嵌め込む必要がある。この際、古いオーリングのあるダミー遮蔽プラグ上部は放射化量が低いため、作業員が上部のオーリングにアクセスしてこれを除去することは可能であるが、ダミー遮蔽プラグ下部は作業員がアクセスできないほどに放射化量が極めて高いため、オーリングの交換作業を行うことは不可能となる。
【0014】そのため、従来のダミー遮蔽プラグは、その装荷の必要が生じる都度、新品のダミー遮蔽プラグを製作しなければならないことによる経済的負担をもたらすだけでなく、大型の放射性廃棄物を増加させるという問題点を有していた。
【0015】そこで本発明は、パッキンシール部のオーリング交換が可能な構造とし、もって再使用可能な原子炉のダミー遮蔽プラグを提供することを目的としてなされたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のダミー遮蔽プラグが従来のものと最も異なる点は、上部構造体を分割構造とした点にある。かような分割構造としたことによって、パッキンシール部のオーリングの交換が可能になり、予備孔から脱荷したダミー遮蔽プラグの再使用が可能となる。
【0017】すなわち本発明の原子炉のダミー遮蔽プラグは、予備孔内壁と接するダミー遮蔽プラグ上部構造体を上下に二分割し、その上方の第1の構造体と下方の第2の構造体とを結合・離脱可能に一体化させるとともに、予備孔内壁と接する第1の構造体外周に第1のパッキンシール部を形成し、第2の構造体と結合する第1の構造体の結合面に第2のパッキンシール部を形成したことを特徴とするものである。
【0018】上記のごとき本発明によれば、予備孔より脱荷された放射化したダミー遮蔽プラグを遮蔽ピットに据え付け、上部構造体を上下二つに分離し、分離した上方の第1の構造体に取り付けられているパッキンシール部のオーリングのごときシール部材を新たなシール部材に交換する。このシール部材の交換は、放射化量が低く作業員がアクセス可能なダミー遮蔽プラグ上部の第1の構造体のみを取り扱えばよく、これによって、許容できる被曝量管理のもとで簡単かつ容易にシール部材の交換作業を行うことができる。シール部材を交換した後の第1の構造体は、下方の第2の構造体と再度結合させて一体化することにより、ダミー遮蔽プラグとして再使用することができる。
【0019】第1の構造体と第2の構造体とを、締め付けボルトにより一体化する構造とすることにより、両者の結合・離脱を簡便かつ確実に行うことができる。
【0020】また、第1の構造体底部または第2の構造体頂部は、第1の構造体と第2の構造体との結合時に両者の間に空間が形成されるような形状とすることにより、この空間を熱電対のコネクタ収納部等として利用することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明によるダミー遮蔽プラグの実施例を図1に示す。図1は、図2に示した従来のダミー遮蔽プラグ20の上部構造体22の頂部近傍のみを図示するものであり、図2における上部構造体22を、上方の第1の構造体22aと下方の第2の構造体22bとに分割した以外は、基本的に図2の従来構造と同じである。
【0022】図1に図示したように、第1の構造体22aと第2の構造体22bは、複数の締め付けボルト32(図1にはそのうちの1本のみが図示されている)により結合・離脱を容易に行うことができる。
【0023】図示の実施例においては、第1の構造体22aと第2の構造体22bとの結合面はテーパー面とされており、第2の構造体22bの頂部に形成された凹部に、第1の構造体22aの底部に形成された小径部分がテーパー面で嵌合する構造となっている。
【0024】第1の構造体22a外周には、予備孔12内壁と接する部分に、二重オーリングからなる第1のパッキンシール部28およびこのシール部の健全性をチェックするチェック孔29が形成されており、かようなパッキンシール部とチェック穴は図2に示した従来のダミー遮蔽プラグのものと同様である。本発明においては、第1の構造体22aと第2の構造体22bとの結合面に、二重オーリングからなる第2のパッキンシール部33およびこのシール部の健全性をチェックするチェック孔34がさらに形成されている。第2のパッキンシール部33とチェック孔34を設けることにより、分割構造とした部位に原子炉容器バウンダリを確保させることができる。
【0025】また図示の実施例においては、第1の構造体22aと第2の構造体22bとを結合したときに、両者の間に空間35が形成されるように、テーパー結合面を調整してある。かような空間は、熱電対補償導線31のコネクタ36による結合部等の収納スペースとして利用できる。
【0026】第1の構造体22aと第2の構造体22bとの結合面は、図示の例のようなテーパー面での嵌合構造に限らず、両者の端面を水平に輪切りにしたような水平面同士を突き合わせる構造としてもよく、あるいは、第1の構造体22a底部の小径円筒部分が第2の構造体22b頂部の円筒凹部に嵌合される垂直円筒面での嵌合構造(茶筒とその蓋のような構造)とすることもできる。
【0027】あるいはまた、図示の実施例の様に第1の構造体22aと第2の構造体22bの間に空間35を形成させて熱電対補償導線31をコネクタ36で結合する構造とせずに、第1の構造体22aと第2の構造体22bを結合した後に、第1の構造体22aに穿設した貫通孔37の上方から熱電対を挿入して、第2の構造体22bに穿設した貫通孔38に挿通するようにしてもよい。
【0028】なお、図示の実施例の上部構造体22は、中実の円柱形状としているが、中空のパイプ形状とした上部構造体に対しても本発明を適用することができる。パイプ形状とした場合には、二分割した第1の構造体の底部開口と第2の構造体の頂部開口にそれぞれ壁体を固着して密封構造とする必要がある。
【0029】上述したごとき構造の本発明のダミー遮蔽プラグを再使用するにあたっては、脱荷した放射化ダミー遮蔽プラグを適当な遮蔽ピットに据え付け、作業員が締め付けボルト32を緩めて、第2の構造体22bから第1の構造体22aを取り外す。取り外した第1の構造体22aに装着されている二重オーリングのごとき2つのシール部材28、33を新品のシール部材と交換した後、この第1の構造体22aを締め付けボルト32により第2の構造体22bと再び結合させて元の結合状態とする。あるいはまた、シール部材の交換作業を行わずに、予め交換用に製作しておいた新品のシール部材28、33装着済みの第1の構造体22aと交換してもよい。かくして第1の構造体22aと第2の構造体22bを再結合した後、チェック穴34により両者の間のパッキンシール部33の健全性をチェックする。健全性が確認できた組み立て済みのダミー遮蔽プラグは、専用のキャスクに収納して、脱荷時と逆の手順で予備孔に装荷する。予備孔12内に装荷した後、パッキンシール部28の健全性をチェック穴29により確認し、ダミー遮蔽プラグの装荷作業が完了する。
【0030】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ダミー遮蔽プラグの上部構造体を結合・離脱可能な二分割構造とすることにより、放射化量が低いダミー遮蔽プラグ上部のみに作業員がアクセスし、許容できる被曝量管理のもとでパッキンシール部の交換作業を行うことが可能となる。
【0031】その結果、ダミー遮蔽プラグの再使用が可能となり、ダミー遮蔽プラグの装荷が必要になる都度に新品を作成しなければならないという経済的負担が軽減されるだけでなく、大型の放射性廃棄物の削減が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000224754
【氏名又は名称】核燃料サイクル開発機構
【出願日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【代理人】 【識別番号】100067046
【弁理士】
【氏名又は名称】尾股 行雄
【公開番号】 特開2002−40184(P2002−40184A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−228795(P2000−228795)