| 【発明の名称】 |
軽水冷却型原子炉の制御棒駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】川原 博人
【氏名】石田 紀久
【氏名】今吉 祥
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| 【要約】 |
【課題】ボールナット式制御棒駆動装置を軽水炉でも長寿命で使用する。
【解決手段】上部にボールねじ溝を備えた制御棒駆動軸、及び同制御棒駆動軸の前記ボールねじ溝に螺合するボールナットを有し、該ボールナットは円周方向に分割された分割型ボールナットとして構成されている制御棒駆動装置において、分割型ボールナットを構成する分割ナットブロック31の各は、ボール溝43が削成されたボールねじ溝部を下部に備えたナットボデー33と、ナットボデー33のボールねじ溝部を取り囲むボール保持器35と、ボール溝43に装填される多数のボール37を有し、ボール保持器35は、ナットボデー33の背面に隣接し、ボール37を案内するボール案内溝55を一面に有するボールリターンカバー47を備え、ボールリターンカバー47は、グラファイトを主成分とする材料からほぼ平板状に形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部にボールねじ溝を備えた制御棒駆動軸、及び同制御棒駆動軸の前記ボールねじ溝に螺合するボールナットを有し、該ボールナットは円周方向に分割された分割型ボールナットとして構成されている制御棒駆動装置において、前記分割型ボールナットを構成する分割ナットブロックは、ボールねじ溝が削成されたボールねじ溝部を下部に備えたナットボデーと、該ナットボデーの前記ボールねじ溝部を取り囲むボール保持器と、前記ボールねじ溝に装填される多数のボールを有し、該ボール保持器は、前記ナットボデーの背面に隣接し、前記ボールを案内するボール案内溝を一面に有するボールリターンカバーを備え、該ボールリターンカバーは、グラファイトを主成分とする材料からほぼ平板状に形成されていることを特徴とする軽水冷却型原子炉の制御棒駆動装置。 【請求項2】 前記ボール案内溝は、ボール径に係合する袋状溝を形成するように加工されていることを特徴とする請求項1記載の軽水冷却型原子炉の制御棒駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉の制御棒駆動装置に関し、特に軽水冷却型原子炉の制御棒駆動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】通常、原子炉の制御には、中性子吸収材を含む制御棒が使用される。制御棒の型式乃至構造には種々のものがあるが、基本的には制御棒を軸方向に動かして、原子炉の炉心内に挿入したり或いは引き抜いたりする。このような制御棒を駆動する所謂制御棒駆動装置としても、種々のものが提案され、使用されている。例えば、電磁駆動式の磁気ジャッキ構造のもの、水圧駆動式のシリンダーピストン構造のもの、或いは電気モータ駆動式のボールナット構造のものがあり、それぞれの特性がある。ボールナット構造のものは、基本的にはボルトとナットの噛み合い機構を利用したもので、軸方向の移動を規制したナットを回転させると、ボルトが軸方向に動く原理を利用したものである。そして、ナットとしてボールナットを利用することによりねじのかみ合い部分が滑りから転動になることにより、抵抗が少なく滑らかに制御棒を駆動できる特長がある。 【0003】ボールナット構造の制御棒駆動装置の一例に特公平5−21435号公報記載のものがある。この制御棒駆動装置は、元々は液体金属ナトリウム冷却型高速増殖炉での使用を意図したものであるが、これに制限されるものではない。以下にその主要部の構造を図7及び図8を参照して説明する。図7において、制御棒駆動軸1は図示しない制御棒に連結しており、外周面にボールが転動する溝即ちボールねじ溝が螺旋状に形成されている。そして、3個の分割ナットブロック3からなる分割ボールナット5によって制御棒駆動軸1が螺合状態で囲まれている。制御棒乃至は制御棒駆動軸1は、例えばスクラム時などに自由落下などにより迅速炉心挿入を行う必要があり、各分割ナットブロック3が半径方向外向きに変位することにより螺合状態が解かれてこれが実現される。 【0004】図8に分割ナットブロック3が分解状態で示されている。そして、弧状断面の円筒ブロック7が、ねじ山に対応するボール溝を備え、ここに複数のボール9を受け入れている。ボール9はSUS440C又はセラミックなどの硬質耐摩耗性材料から形成され、内側はカバー11で覆われている。一方、円筒ブロック7の外側には、ボール溝に連絡してボールリターンカバー13が設けられ、ボール溝とボールリターンカバー13とは協働してボール9の循環路を形成している。ボールリターンカバー13はSUS304で製作され、循環路には、グリースなどの適当な潤滑剤が塗布或いは添加され、ボール9が少ない転動抵抗で循環できるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】然るに、前述のようなボールナット構造の制御棒駆動装置を軽水冷却型原子炉所謂軽水炉で使用すると次のような問題を生じ、十分な耐久性、信頼性が得られない。即ち、前述の高速増殖炉では、冷却材として液体金属ナトリウムが使用され温度は高いのであるが、その設置空間は温度の低いアルゴンガスなどの不活性ガス空間である。そして、前述のようにこのような不活性ガス空間において、十分な潤滑性能を発揮できる材料と潤滑材が有り、長期間円滑に作動しうる。然るに、軽水炉においては、原子炉の冷却材として軽水が使用され、その使用条件は臨界点以上である。従って、制御棒駆動装置が曝露される使用条件は、例えば250℃以上の水中又は水蒸気となるから、適切な潤滑油もなく、適切な潤滑が得られないので、極めて短い寿命しか得られない。従って、本発明の課題は、軽水炉の高放射線雰囲気下且つ高温高圧の軽水又は蒸気の雰囲気下で使用しても寿命の長い軽水冷却型原子炉の制御棒駆動装置を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、本発明によれば、上部にボールねじ溝を備えた制御棒駆動軸、及び同制御棒駆動軸の前記ボールねじ溝に螺合するボールナットを有し、該ボールナットは円周方向に分割された分割型ボールナットとして構成されている制御棒駆動装置において、前記分割型ボールナットを構成する分割ナットブロックは、ボールねじ溝が削成されたボールねじ溝部を下部に備えたナットボデーと、該ナットボデーの前記ボールねじ溝部を取り囲むボール保持器と、前記ボールねじ溝に装填される多数のボールを有して構成され、更に該ボール保持器は、前記ナットボデーの背面に隣接し、前記ボールを案内するボール案内溝を一面に有し、グラファイトを主成分とする材料からほぼ平板状に形成されているボールリターンカバーを備えて構成される。そのボール案内溝は、グラファイトの分離粒子がボールの表面に付着し易いように袋状に削成されるのが好適である。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。尚全図に亘り、同一部分には同一の符号を付している。先ず図1にを参照するに、制御棒駆動装置20は図示しない加圧水型原子炉の原子炉容器の内部に取り付けられるようになっている。即ち、上部の支持フランジ26が図示しない原子炉容器上蓋下面のアダプタに連結されるようになっており、ケーブル貫通部27のみが原子炉容器上蓋を貫通する。そして下部には原子炉炉心にある制御棒乃至制御棒組立体に分離自在に連結される制御棒駆動軸1を内部に有している。総べての駆動要素が高温雰囲気に曝露される。そして制御棒駆動軸1は後述するボールナットに螺合する螺旋状ボールねじ溝部1aを有している。 【0008】圧力ケーシング21の内部には、制御棒駆動軸1の螺旋状ボールねじ溝部1aに選択的に螺合する分割型ボールナット30が設けられ、上部に設けられたモータ23のロータ部に連絡している。モータ23のステータ部は、圧力ケーシング21の外側にあり、コイルハウジングに囲まれている。制御棒駆動軸1に分割型ボールナット30を噛み合わせた状態でモータ23に給電し、ロータ部を回転させれば、これに連結された分割型ボールナット30が回転し、ボールナッ機構により制御棒駆動軸1が軸方向に即ち上下方向に直線運動を行う。詳細は省略するが、特公平5−21435号公報記載のものと同様に、分割型ボールナット30はモータ部からリンク機構を介して垂下支持されており、ケーシング21の上部にある電磁石25の作用により、ボールナット30は制御棒駆動軸1に選択的に係合、乃至螺合する。電源喪失事故などを考慮したフェイルセーフ設計思想により、電磁石25への給電が断たれると、ボールナット30と制御棒駆動軸1との係合は解消される。換言すれば、原子炉緊急停止時は電磁石25の電源を切ることにより分割型ボールナット30を開き、制御棒駆動軸1を解放し、制御棒を自由落下などにより図示しない原子炉炉心へ急速挿入させる。 【0009】次に図2乃至図4を参照して、分割型ボールナット30の構造を説明する。先ず図2を参照するに、ボールナット30は3個の分割ナットブロック31から構成されるが、これらは相互に分離された状態で示されている。これらの分割ナットブロック31は、一つの円筒形ナットを軸直角面において120度の円弧角で切断、分離した形になっているから、これらを仮想中心軸に向かって移動すれば、互いの円周方向端部が接触し合って1個の分割型ボールナット30を形成することは当業者に容易に理解されるであろう。なお、分割ナットブロック31を3個用いるのは例示であって、この数に限定されるものでなく、制御棒駆動装置20の大きさに応じて4とか5などの適当な数を選択しても良い。そして、分割ナットブロック31は、主として、ナットボデー33、ボール保持器35及び多数のボール37から構成される。 【0010】次に図3及び図4を参照して分割ナットブロック31の詳細構造を説明する。ナットボデー33は弧状平断面を有する棒状部材であり、上端部に図示しないモータ部との連結用ピン穴39を備え、このためナットボデー33はピン穴39に挿入されるピン(図示しない)を中心にして枢動可能である。一方ナットボデー33の下端部には、二股部が形成され、図示しない解放ラッチリンクとの連結用ピン穴41が穿設されている。そして、二股部の直上部に、3条のボール溝43が軸方向に若干のピッチを持って削成されている。ボール溝43は、ナットボデー33の内周面と外周面とに連続的に形成され、このボール溝43に多数のボール37が装填される。ボール37は後述のボール保持器35によって保持され、脱落が防止される。 【0011】次に、ボール保持器35の構造を説明する。ボール保持器35は、ナットボデー33のボール溝部を上方から受け入れる本体ケース45と、ナットボデー33のボール溝部の背面側、即ち半径方向外側面に接触して設けられ、ナットボデー33と協働してボール37の循環路を画成するボールリターンカバー47、本体ケース45内に挿入されたボールリターンカバー47を背面側から固定するカバー49及びこれを締め付けて固定する複数のボルト51から構成される。そして、本体ケース45の正面側には、ボール溝43に対応した位置にスロット53が形成され、ボール溝43に沿って動くボール37の一部がスロット53から突出し、前述の制御棒駆動軸1の螺旋状ボールねじ溝部1aに螺合するようになっている。3個の分割ナットブロック31のボール溝43乃至これに対応したスロット53は、連続した螺旋状ボール通路の円周方向に分割された部分路を形成しており、通常のボールナットを形成するようになっている。 【0012】更に、図3に明確に示されるようにボールリターンカバー47は、内側に3条のボール案内溝55を有する略平板状のブロック体として形成され、主成分がグラファイトの材料を用いて製作されている。ボールリターンカバー47は、このような比較的脆性の材料から形成されているが、その形状から十分な強度を有する。ボールリターンカバー47を除く分割ナットブロック31の構成部品及び前述の制御棒駆動軸1は、高温雰囲気で強度、耐食性及び耐放射線照射に優れた材料である、SUS316、ステライト、インコネル等を用いて形成するのが好適である。 【0013】このような材料の組合せで使用すると、制御棒駆動軸1を駆動するに際し螺合するボール37がボール溝43及びボール案内溝55によって形成された循環路を循環するに際し、ボールリターンカバー47のグラファイトと接触し、ボール37の表面に微かなグラファイトを転着させるので、グラファイトの固体潤滑作用によりボール37は常に円滑に転動し、長期にわたる制御棒駆動軸1の円滑駆動が可能となる。この様にボールリターンカバー47にグラファイト材を組込んだ分割型ボールナット30を有する原子炉制御棒駆動装置20は、放射線照射下での高温水中及び高温蒸気中で、優れた耐用性と性能を示す。 【0014】次に図5を参照して別の実施形態を説明する。この制御棒駆動装置60は、原子炉上蓋上に突出した管台61に取り付けられるもので、駆動ねじ軸63、分割型ボールナット30、分割型ボールナット30を作動させるアーマチュア65、及び分割型ボールナット30を回転させるモーターローター67を有し、これらは圧力ハウジング69の内側、即ち原子炉一次系の高温高圧水中に設置される。更に制御棒駆動装置60のアーマチュア65を作動させる電磁石コイル71、モーターローター67を回転させるモーターステータ73は、圧力ハウジング69の外側の空気雰囲気にある。この実施形態の制御棒駆動装置60においても、分割型ボールナットは、250℃〜350℃の高温水中に設置されるので、前述の実施形態の場合と同様の分割型ボールナット30が組込まれている。従って、同様な作用効果が得られる。 【0015】前述のような実施形態による耐摩耗性の向上、改良を実証すべく次のような実験を行った。実験は、最も厳しいと考えられる高温の軽水中で試験する転がり摩耗試験として行い、その結果が図6に示されている。図において、Aの組はSUS304の保持器、サーメット製のボール及びステライト製転動面の組合わせで、負荷約2KN、回転数180rpmの条件で320℃の純水中で試験したものである。この組合せでは、回転中を通してトルク変動が生じ、トルク変動幅が大きくなった20万回転で試験を中止し、各パーツの摩耗度合を計測し表示している。同様にBの組は、グラファイト製保持器、サーメット製のボール及びステライト製転動面の組合わせであり、Aの場合と同じ条件で試験したもので、このケースでは試験予定の400万回転の間中、トルク変動は小さく安定した回転を示し、試験後計測した各部材の摩耗度合も図6のグラフに示す通り十分小さいものであった。以上からも分かるように、制御棒駆動装置の分割型ボールナットにおいて、ボールの循環路を形成する部材に、グラファイトを使用すると、高温水中でもボールにグラファイト転着させたものは、そうでないものに比べ10倍以上の耐転がり摩耗性を発揮し、寿命が延びることが実証された。 【0016】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、原子炉制御棒駆動装置は、分割型ボールナットのボール循環路にグラファイトを組込んでいるため、制御棒の駆動運転中ボール表面にグラファイトが転着し、ボールとボールの滑り、ボールとボール保持器間の滑りに潤滑作用が生じ、構成部材の摩耗量が大幅に抑制し、耐久性及び寿命性能を大幅に向上することができる。又、本発明によれば、ボールの循環路を形成するボールリターンカバーのボール案内溝を袋状に形成するので、グラファイトのボールへの転着が確実に行われ、前述の性能向上をより確実にすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社 【識別番号】000004097 【氏名又は名称】日本原子力研究所 【識別番号】390031152 【氏名又は名称】ニユークリア・デベロップメント株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月5日(2000.7.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100057874 【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−22876(P2002−22876A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月23日(2002.1.23) |
| 【出願番号】 |
特願2000−203713(P2000−203713) |
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