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【発明の名称】 重水素氷の連続生成・装填方法
【発明者】 【氏名】平塚 一

【氏名】市毛 尚志

【氏名】木津 要

【要約】 【課題】重水素ガスを冷媒ガス(液体ヘリウム)を用いて冷却し、固体の重水素(水素同位体)を作り、そこから、指定の大きさの重水素氷(ペレット)を連続的に生成するとともに、連続的に射出するために、その加速部位に重水素氷を生成し、装填するための重水素氷の遠心加速方式の連続生成及び装填方法及び装置。

【解決手段】液化器、冷却器、固体燃料供給管、切断装置等の固体重水素入口側と重水素氷の出口側を真空的に断熱し、冷却器内に固化(固体)した重水素を生成し、それを押し出すことにより、連続的に透明度のある重水素氷を四角棒状態で生成し、四角棒状の重水素氷を角形のカッターにより切断し、立方体の重水素氷を連続して形成する、遠心加速式の連続生成・装填方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液化器、冷却器、固体燃料供給管、切断装置等の固体重水素入口側と重水素氷の出口側を真空的に断熱し、冷却器内に固化(固体)した重水素を生成し、それを押し出すことにより、連続的に透明度のある重水素氷を四角棒状態で生成することを特徴とする重水素氷の連続生成・装填方法。
【請求項2】 四角棒状の重水素氷を角形のカッターにより切断し、立方体の重水素氷を連続して形成することを特徴とする重水素氷の連続生成・装填方法。
【請求項3】 立方体の重水素氷が削磨時に発するガス(昇華ガス)による運動の乱れを防止するため、そのガスを排気して安定な装填が行えることを特徴とする重水素氷の連続生成・装填方法。
【請求項4】 装填された立方体の重水素氷を高速回転している加速のためのロータ(アウターロータ)に一定周期で移動させ、一定方向に加速できることを特徴とする重水素氷の連続生成・装填方法。
【請求項5】 液化器、冷却器、固体燃料供給管、切断装置、ガイド管、ストップシリンダー、インナーロータ及びアウターロータから構成される遠心式重水素氷の連続生成・装填装置において、a) 回転モータの回転軸に、前記切断装置で切断された重水素氷をガイド管から受入れるためのスロープ(斜行部)及び前記重水素氷をアウターロータに供給するための開口部を有するインナーロータと、インナーロータからの重水素氷を受入れるための通過溝を有するアウターロータとを固定し、そしてb) インナーロータとアウターロータとの間に、インナーロータからの重水素氷をアウターロータに取出すための開口部を備えたストップシリンダーを設置したことを特徴とする装置。
【請求項6】 前記ガイド管及びストップシリンダーに昇華ガスを排出するための排気孔を設けたことを特徴とする、請求項5記載の装置。
【請求項7】 アウターロータの重水素氷の通過溝の上部には昇華ガス排出用の開口屋根が設けられている、請求項5又は請求項6記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遠心加速方式のペレット入射装置において、重水素ガスを冷媒ガス(液体ヘリウム)を用いて冷却し、固体の重水素(水素同位体)を作り、そこから、指定の大きさの重水素氷(ペレット)を連続的に生成するとともに、連続的に射出するために、その加速部位に重水素氷を生成し、装填するための重水素氷の連続生成及び装填方法に関するものである。特に、核融合装置への燃料供給設備における遠心加速方式ペレット入射装置に適用する重水素氷の連続生成・装填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ペレット入射装置における重水素氷の生成・装填は、ペレット入射装置の加速方式(高圧のガスの開放による方法;空気銃方式、加速ロータによる方法;遠心方式)により、その生成方法や装填方法が異なるとともに、使用設備側の用途により選択されていた。特に、空気銃方式は単発で、遠心方式は連発的に用いられる。
【0003】(1)空気銃方式の場合空気銃方式ペレット入射装置の概要を図1に示す。空気銃方式は、真空断熱されている生成・装填部を冷媒ガス(液体ヘリウム)により低温に冷却し、そこへ燃料ガス(重水素ガス)を供給して固体の重水素を作り、重水素氷を生成する。その後、重水素氷を加速位置に装填し、加速ガスの瞬時作動により、単発的に射出管を介してゲート弁が開されている重水素氷の使用設備側に一定速度で射出するものである。
【0004】空気銃方式ペレット入射装置の重水素氷の生成・装填方法としては、その場で重水素氷を生成・装填する方法、キャリアで重水素氷を生成・装填する方法、及び打ち抜いて重水素氷を生成・装填する方法が知られている。以下に、空気銃方式ペレット入射装置の重水素の生成・装填する方法における例を示す。
【0005】図2は、その場で重水素氷を生成・装填する方法の例を示す。図に例示するように冷却器等は真空断熱された状態で、まず、冷媒ガスを流して冷却器の温度を下げる。そこに、バルブを開いて燃料ガス(重水素ガス)である重水素を低圧力で供給する。すると、燃料ガスが流れる。さらに、重水素の三重点温度以下まで冷却器を低温にすると、重水素が固化した状態でバルブを閉める。次に、ヒータに電圧を印加し、冷却器周りの不要な固体重水素を解かして重水素氷のみを生成したところで、電磁弁を開放して高圧の加速ガスを瞬時に供給する。すると、重水素氷が射出管を介して射出される。
【0006】図3にキャリアで重水素氷を生成・装填する方法の例を示す。図に例示するように冷却器等は真空断熱された状態で、熱交換器に冷媒ガスを供給し、その熱伝導によりバレルハウジングを冷却する。そこで、バレルハウジング内のキャリア部にバルブを開いて燃料ガス(重水素ガス)を供給する。キャリアを中心としたバレルハウジングを三重点以下まで冷却してキャリア内に固体重水素を作り、バルブを閉じる。次いで、バレルハウジングに組み込まれているヒータに電圧を印加し、キャリア周りの不要な固体重水素を解かして、キャリアに連結されている駆動部の動作により生成位置から射出位置に移動させて重水素氷を生成する。そこに、高速電磁弁等の開放により高圧の加速ガスを瞬時に供給すると、重水素氷として射出管を介して射出される。
【0007】図4に重水素氷を打ち抜いて生成・装填する方法の例を示す。図に例示するように液化器、上側及び下側冷却器等は真空断熱された状態で、液化器、上側及び下側冷却器に冷媒ガスを供給して冷却する。そこに、バルブを開して液化器に燃料ガス(重水素ガス)を供給して液体重水素を作る。それを、上側冷却器に供給し、下側及び上側冷却器を三重点以下まで冷却して上側冷却器内に固体重水素を作り、バルブを閉じる。次いで、ヒータ加熱により固体重水素が通過しやすいようにノズル部を暖めたところで、ピストンにより押し出す。その後、ペレットカッターを動作させ、打抜パイプをハウジング側に作動させて重水素氷を生成、装填する。そこに、電磁弁等を開放させて、高圧の加速ガスにより重水素氷を押し出し、射出管を介して射出される。
【0008】これらの空気銃方式における重水素の生成・装填方法は、電磁弁にコンデンサー電源を用いること、重水素氷の高速繰り返し生成及び装填が行えないこと、高圧力の加速ガスにより重水素氷を加速するために使用設備側にそのガスが流入してしまうこと、及びそのガスを排気するための排気設備を具備しなければならないこと等の問題があった。
【0009】(2)遠心方式の場合遠心方式のペレット入射装置の概要を図5に示す。遠心方式は、真空断熱されている1つの真空槽に液化器、冷却器等の生成機器を、一方の真空槽に切断装置、ガイド管、インナーロータ、ストップシリンター及び加速ロータ等の加速機器を固体燃料供給管で接続するように配置し、生成機器を冷媒ガスにより冷却し、燃料ガス(重水素ガス)を液化器に供給して液体重水素を作る。それを、液化器に供給し、冷却器温度を三重点以下まで冷却して固体重水素を作る。次いで、ヒータ加熱により固体重水素を押し出しやすくしてピストンを作動させ、円柱状の固体重水素として固体燃料供給管を介して切断装置に供給する。固体重水素は、切断装置を作動させることにより切断され、円柱状の重水素氷に生成される。その重水素氷は、ガイド管を落下してインナーロータに入り、ストップシリンダーの開口部より、加速ロータに装填され、遠心力により重水素氷が加速されて使用設備側に射出するものである。
【0010】遠心方式における詳細は、生成機器と加速機器を別槽に配置し、液化器、冷却器を冷却して液化器に重水素ガスを供給して液体重水素を作る。その液体重水素を冷却器に供給し、重水素の三重点温度以下までさらに冷却して固体重水素を作る。その後、ヒータにより加熱して押し出しやすい状態にしたところでピストンを動作させ、冷却器の出口内にある丸型形成器により丸棒状の固体重水素に形成されながら押し出す。
【0011】図6に遠心方式における加速機器の配置を示す。押し出された固体重水素は、固体燃料供給管を介して真空雰囲気の異なる別槽にある切断装置に導かれる。切断装置が作動すると内部の丸刃カッターが作動し、円柱状の重水素氷を生成し、その重水素氷をガイド管、インナーロータ及びストップシリンダーを通過して加速ロータに装填し、遠心方式にて加速、射出ができる重水素氷を生成・装填する方法が知られている。
【0012】遠心方式における重水素の生成・装填方法は、押し出しやすくするために冷却器を加熱し、装填装置に固体重水素を押し出す時の昇華ガスと、切断装置が作動して固体重水素を切断する時に発生する削磨等による昇華ガスが固体燃料供給管のはめ込み部と、切断装置の出口部及び切断装置自身から真空槽に放出されて真空断熱に影響する。そのため、切断装置や固体燃料供給管の温度上昇や真空断熱が破壊され、重水素氷及び固体重水素が早く昇華してしまう欠点や、生成された重水素氷の大きさが一定の大きさにならない欠点及び固体で供給したいところが昇華によるガス状供給となる欠点があった。併せて、押し出し力や切断力によって、切断装置にはめ込んだ固体燃料供給管が外れたり、ガイド管がずれていまう欠点があった。
【0013】この現象は、例え、切断装置及び固体燃料供給管を強制的に冷媒ガスにより冷却しても真空断熱の境界真空度が破られると同様な現象が生じる。また、切断装置の丸刃カッターにて、丸棒状の固体重水素を切断して円柱状の重水素氷を生成しているつもりが、実際、俵形状に切断され、装填の位置及びタイミングが不安定になるとともに、加速途中の接触面が一定しないことから、加速途中での飛び出しや射出方向が一定しないなどの欠点があった。さらに、ストップシリンダーはフッ素樹脂製で製作されているため、精密な同心円上の製作が容易でなく、高回転のインナーロータや加速ロータと接触すると損傷や破損を生じて、重水素氷を粉砕、消滅させる不具合があった。これは、フッ素樹脂の真空中での性能、特性及び製作精度等に起因している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】空気銃方式に用いられる重水素の生成・装填方法では、単発の生成が可能であるが、連発(連続)の生成は不可能である。併せて、装填時間の間隔が大きいため、高速繰り返し装填ができなかった(複数装置の並列運転を行うことを除く)。また、加速ガスの排気には大がかりなシステムが必要であった。さらに、連続的に重水素氷の射出を行う遠心加速方式ペレット入射装置には単発の生成を行う空気銃方式に用いられる重水素の生成・装填方法を適用することは不向きであった。
【0015】遠心方式に用いられる重水素の生成・装填方法では、連続的の生成・装填は可能ではあるが、生成機器の接合部からの漏洩ガス及び固体重水素や重水素氷の昇華ガスにより、真空断熱が破壊され、生成機器の温度の安定性に欠ける。また、重水素氷の形状が加速中において不安定であることが問題であった。さらに、回転により加速機器相互の接触によって、損傷や破損を生じ、重水素氷を粉砕、消滅、昇華させる不具合があった。
【0016】本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであり、従来の空気銃方式や遠心方式ペレット入射装置における重水素氷の生成・装填方法の欠点を改善するとともに、生成機器や加速機器の構成も一新して遠心加速方式ペレット入射装置に適用できる重水素氷の生成・装填方法を提供するものである。
【0017】本発明においては、液化器、冷却器、切断装置及び固体燃料供給管からなる生成機器が、固体重水素の押し出し時や重水素氷の切断時に発生する昇華ガスによる影響を受けないようにするとともに、立方体形状の重水素氷が生成でき、ガイド管、インナーロータ、ストップシリダー及びアウターロータからなる加速機器に入って、回転により加速機器相互の接触がなく、安定に加速されるとともに重水素氷が一定方向に射出できるような重水素氷の生成・装填方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の重水素氷の連続生成・装填方法は、遠心加速方式ペレット入射装置に適用可能なように、液化器、冷却器、切断装置及び固体燃料供給管からなる生成機器を冷媒ガスや熱アンカにより冷却できるようにし、ガイド管、インナーロータ、ストップシリダー及びアウターロータからなる加速機器を各々の真空槽に配置して真空断熱している。併せて、各機器は、真空シールを施して固体重水素の押し出し時や重水素氷の切断時に発生する昇華ガスを生成機器側に影響しないようにしている。その昇華ガスは加速機器側に排気される。切断による昇華ガスや装填途中の昇華ガスは、ガイド管、インナーロータ及びストップシリンダーに設けた排気口により加速槽側に排気される。さらに、アウターロータでの加速においては、重水素氷が途中飛び出しを起こさぬように屋根を設けるとともに、重水素氷の面接触により生じる昇華ガスを屋根の隙間から排気できるようにしている。
【0019】また、加速途中の接触面を安定な一定面にするために固体燃料供給管の内形状を正四角型にして冷却器と密着し、冷却器で作られた固体重水素を押し出すことにより、角棒状の固体重水素が作られるようにしている。さらに、角棒状の固体重水素の外形と同寸法の平行2枚刃カッターを有した切断装置に導き、その動作により固体重水素を切断して、立方体(キュービック)の重水素氷を生成できるようにしている。固体重水素が切断装置に供給され、それが作動している間は、連続的に定周期で重水素氷が生成される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の重水素の連続生成・装填方法は、前記のように、1つの真空槽内(生成槽)に真空シール構造の平行2枚刃カッターを有した切断装置を含め、液化器、冷却器及び固体燃料供給管等の生成機器を配置し、もう1つ真空槽(加速槽)にガイド管、インナーロータ、ストップシリンダー及びアウターロータ等の加速機器を配置し、双方の槽を真空的に絶縁された構造とした。
【0021】図7に本発明による遠心加速方式ペレット入射装置の原理を示す。生成機器は冷媒ガスで冷却されている。まず、液化器に燃料ガスである重水素ガスを供給して液化し、それを冷却器に送り、三重点温度以下に冷却して固体重水素を作る。固体重水素の押し出しを滑らかにするためにヒータにて冷却器の一部を暖め、ピストンの押圧力にて固体燃料供給管へ押し出す。固体燃料供給管の内部は四角形状をしており、押し出されることにより固体重水素は、四角棒状の連続した固体重水素に成形される。四角棒状の固体重水素は、緩やかに曲がった固体燃料供給管をとおり、切断装置に入る。その時の昇華ガスは、固体燃料供給管の反対側にある排出管により、加速機器がある真空槽に排気され、生成機器の温度が安定し、真空断熱に影響のないようにしている。切断装置に入った固体重水素は、固体重水素の外形と同寸法の平行2枚刃カッターを有した切断装置の作動により切断されて、立方体の重水素氷を生成する。重水素氷は、ある速度でガイド管をとおり、インナーロータの中心に落下する。切断時に発生する重水素の昇華ガスは、ガイド管に設けた多孔の排気口(穴)により排気され、重水素氷に運動力を与えず、安定して落下するようにしている。
【0022】インナーロータに入った重水素氷は、インナーロータ内の斜行部を滑り、ストップシリンダーの内面に接触する。滑り落ちるときの昇華ガスはインナーロータの出口部にある檻状の排気口で排気し、重水素氷が一定してストップシツンダーに接触するようにしている。ストップシリンダーは固定されているが、インナーロータとアウターロータは同時に、同一方向に回転している。ストップシリンダー内面に沿ってインナーロータと一緒に回転した重水素氷は、ストップシリンダーの開口部に達するとアウターロータに移動、装填される。ストップシリンダーの内面に沿って回転し、削磨によって生じる重水素氷の昇華ガスは、ストップシリンダーの周方向に設けた四角穴の排気口により排気され、重水素氷が安定してアウターロータに移動できるようにしている。
【0023】アウターロータに装填された重水素氷は、アウターロータの回転による運動力(遠心力)により加速され、回転数に比例した一定の速度で射出される。加速途中の重水素氷の飛び出しは、アウターロータの溝の上部には屋根を設けることにより防止している。また、その加速時に生じる昇華ガスは、アウターロータ溝の屋根の隙間から排気されるため安定に加速が行える。
【0024】
【実施例】本発明の重水素の連続生成・装填方法の実施関連図を図7〜図18に示す。図7は、遠心加速方式ペレット入射装置の原理(遠心方式ペレット入射装置と構成機器が類似するので、本考案では遠心加速方式としている。)である。真空槽1(生成槽)に液化器、冷却器、切断装置及び固体燃料供給管の生成機器を収納し、真空槽2(加速槽)にガイド管、インナーロータ、ストップシリンダー及び加速ロータ等の装填機器を収納し、各々の真空槽を真空的に絶縁した構造としている。遠心加速方式ペレット入射装置は、液体ヘリウム(4.2K)を冷媒ガスに用いて、燃料ガスを液化器で液化、冷却器で固化し、固化した燃料を押し出して切断装置に送り、それを切断してアウターロータに燃料の氷を装填し、加速、射出するしくみになっている。
【0025】図8に遠心加速方式ペレット入射装置の概要を示す。全体配置としては、燃料ガスや重水素氷が昇華した場合のガスが真空槽1に漏洩し、真空槽1の真空度を劣化させないように、機器の取り合い部は真空シール構造として、重水素氷生成機器の温度変化がなようにしている。さらに、切断装置の本体部は、強制的に冷媒ガスを供給して、固体重水素及び重水素氷の状態を維持できるような温度に保てる構造にしている。その上、冷却器から切断装置までの固体燃料供給管は、冷媒ガス配管から熱アンカを用いた熱伝導により冷却し、固体重水素の状態維持を保つ構造としている。また、不要となった場合の燃料ガスや重水素氷が昇華した場合のガスは、排出管やガイド管を介して真空槽2により排気されるようにしている。
【0026】重水素氷の生成・装填は、まず、冷媒ガスを供給して、生成機器を低温に冷却する。特に、液化器は、重水素ガスが液化する温度(〜22K程度)にする。そこに、重水素ガスを送り、液化し、冷却器に送る。冷却器では液化重水素が固化する温度(〜12K程度)まで冷却して固体重水素を作る。固体重水素は、押し出しやすくするために冷却器に取り付けられているヒータに電圧を印加して加熱し、数K昇温してピストンを駆動させて固体燃料供給管に押し出される。その時、冷却器内に真空シールして組み込んだ先端に四角形成コマを持つ固体燃料供給管で四角棒状の固体重水素を作り、それを切断装置に供給する。押し出し時に発生する昇華ガスは、切断装置にある排気管を介して排気される。切断装置に入った固体重水素は、切断装置の平行2枚刃カッターにより立方体の重水素氷として切り出され、ガイド管を介して落下し、インナーロータ内を滑降する。切り出された時の昇華ガスは、ガイド管の排気穴で、滑降時の昇華ガスはインナーロータの檻状の排気口で真空槽2に排気され、安定に装填される。インナーロータに装填された重水素氷は、ストップシリンダーに接触してインターロータの檻内に捕獲された状態で回転し、ストップシリンダーの開口部に来たときにインナーロータと同時に回転しているアウターロータに移動、装填する。ストップシリンダー内を回転接触しているときに発生する昇華ガスはストップシリンダーに設けられた排気口により排気されて安定に回転する。アウターロータに移動した重水素氷は、アウターロータの溝の内内側を遠心力(mrω2)と周速度(rω)のベクトルにより加速され、回転数に比例した速度で使用設備側に射出されるようになっている。加速時における異常な飛び出しは、アウターロータの溝上に付けた屋根により抑えられる。その加速時の昇華ガスは屋根の隙間から排気するようにしている。
【0027】図9に遠心加速方式ペレット入射装置における重水素氷の生成の詳細を示す。冷媒ガスは、より低温とする冷却器から液化器を冷却する配管と、冷媒ガスの流量を制御できるように流量調整弁を介して切断装置の本体部を冷却する配管を流れる。固体燃料供給管は、冷却器に入る冷媒ガス配管から熱アンカによる熱伝導により冷却できるようになっている。重水素氷の生成は、予め冷媒ガスにより冷却されている生成機器に、燃料ガスのバルブを開けて、液化器に重水素ガスを供給し、液体重水素を作り、それを更に冷却されている冷却器に送って固体重水素を作る。固体重水素の成熟度が良くなった時点で、冷却器にあるヒータに電圧を印加して固体重水素の表面部のみが柔らかくなり、滑りやすくなった時点でピストンを動作させ、固体燃料供給管側に押し出す。冷却器の出口部には、固体燃料供給管が精密に取り付けられ、冷却器の内径から固体燃料供給管の四角形状になるように圧縮されながら押し出されて切断装置に導かれる。その時の昇華ガス等は、切断装置に取り付けられている排出管により真空槽2に排気され、真空槽1の真空断熱等に影響しないようにしている。切断装置に入った固体重水素は、切断装置の動作周期により連続して切断される。その時間は、冷却器内に生成された固体重水素の量と押し出し距離及び冷却器と固体燃料供給管の押し出し部の面積比に比例する。よって、液化器、冷却器、固体燃料供給管及び切断装置等を冷却、真空断熱することにより、これらの温度が安定して一定に保つことができることから、質の良い固体重水素及び重水素氷の生成が可能となる。
【0028】図10に遠心加速方式ペレット入射装置における重水素氷の装填の詳細を示す。切断装置は電磁弁の原理を利用したものであるため、連続動作をした場合に熱を発生するので本体部は、コイル側と熱絶縁して本体部のみ冷媒ガスで冷却できるようにし、発生した熱は切断装置固定具を介して発散されるようにしている。併せて、槽間仕切フランジからの熱侵入を防止するため切断装置受座により熱絶縁をしている。切断装置受座は、切断装置及び槽間仕切フランジとは真空シール構造としている。ガイド管は、切断装置受座にねじ込みにて取り付けられ、真空力などによるインナーロータ、アウターロータ一体の振動、変動も含め、インナーロータとガイド管の干渉がないような調整、及びインナーロータへの装填高さの調整ができる構造としている。また、高速で回転しているインナーロータが、万が一接触した場合、大きな事故を招く恐れがあるのでガイド管は、フッ素樹脂等の軟質材を用いている。ストップシリンダーは、精密な芯を形成し、回転しているインナーロータとアウターロータの間隙に配置されている。インナーロータとアウターロータは、ガイド管とストップシリンダーを中心に回転するが、ストップシリンダーと万が一接触した場合、大きな事故を招く恐れがあるので、薄肉構造にして、衝撃等を低減できる構造にしている。アウターロータは、高速回転による歪みが生じないように上下左右対称構造とるとともに、安定な高速回転を得るために軽量で高強度の材料(チタンアルミ合金等)を用いている。
【0029】固体重水素は、切断装置を動作させずに排出管側に押し出したとき、CCDカメラにより、その質や透明度を観察できるようにしている。重水素氷の装填は、切断装置の動作により立方体の重水素氷が生成され、ガイド管内を一定速度で落下し、インナーロータに入る。その時の重水素氷の個数や形状は、槽間仕切フランジに仕込んだレーザーセンサーにより切断装置とガイド管の接続間隙より観測できるようにしている。重水素氷生成時の昇華ガスは、ガイド管の排気穴より真空槽2に排気される。インナーロータに入った重水素氷は、インナーロータ内の斜行部を滑走し、ストップシリンダーに接触する。重水素氷の滑走時の昇華ガスは、インナーロータ出口部の檻状の排気口より真空槽2に排気される。インナーロータの先端にある重水素氷は、ストップシリンダーに接触しながらインナーロータとともに回転する。
【0030】重水素氷がストップシリンダーに接触しながら回転する時に発生する昇華ガスは、ストップシリンダーの排気口から真空槽2に排気される。回転してストップシリンダーの開口部にきた重水素氷は、ストップシリンダーから開放されてアウターロータに移動し、アウターロータの溝内を遠心力により加速され、アウターロータの端にきた時に射出される。ストップシリンダーは位置調節器により、任意の位置に同芯上を回転調節できる構造にしている。加速途中で重水素氷が飛び出さないようにアウターロータの溝上に設けた屋根で防止するとともに、加速時に発生する昇華ガスは屋根の隙間より真空槽2に排気される。切断装置からガイド管、インナーロータ、ストップシリンダー及びアウターロータに位置する重水素氷の昇華ガスを排気することにより、生成された重水素氷を安定に装填し、加速、射出することが可能となる。また、その繰り返しは、安定に連続して行うことが可能となる。
【0031】以下に生成機器及び装填機器等の一例の詳細図を示す。図11に冷却器を示す。全体を均一の低温にするために無酸素銅を主材料としている。液体燃料配管や固体燃料供給管等の取り合いは、低温脆性の防止及び熱伝導を目的に銅やステンレス配管と金ロウ、又は銀ロウによるロウ付けにより接続し、フランジは、低温において真空シール性能のよい銀線やインジウム線などで接続できる構造としている。固体燃料供給管は、冷却器の指定位置まで挿入され、その位置で精度よく停止できるような刻み構造にしている。液体水素は、冷却器の上から冷却器内の液溜め部に供給され、冷却器を三重点以下に冷却することにより固化される。初期の固体重水素の生成量は、ここの容量によって決定される。作られた固体重水素は、ピストンに押されて冷却器の内部にある固体燃料供給管の入口で四角の形状に形成される。ここで、ピストン押し出し時に発生する昇華ガスは、ピストンに入ったスリットによりピストン側へも排気できる構造になっている。冷却器に供給される冷媒ガスは、冷却器の中心を安定に均一に冷却できるように冷却器廻りに加工された流路を下方から上方に流れる構造になっている。
【0032】図12に固体燃料供給管を示す。固体燃料供給管の固体重水素を四角棒に形成するための形成コマをロウ付けして冷却器に差し込める構造にしている。固体燃料供給管内は、固体重水素がスムーズに移動できるように、僅かに形成コマより大きめの角穴構造といている。管途中には、冷媒ガスの配管から熱伝導による冷却を目的にその配管と抱き合わせできるような熱アンカを配置している。切断装置へは、切断角度を直角にするため、穏やかな曲率を持たせ、NBR等の真空低温シールゴム材を用いた真空シールを行い、ビスにて固定できる構造にしている。
【0033】図13に切断装置を示す。切断装置は、カッターを駆動させるコイル部位の熱が切断部に伝わらない構造になっており、固体燃料供給管、排気管及び切断装置受座とNBR等の真空低温シールゴム材を介して取り合われる構造になっている。固体燃料供給管から導入される固体重水素は、カッターが動作しない場合は排出管側に、カッターが動作した場合は、立方体の形状に切断され重水素氷出口より落下する構造になっている。重水素氷の切断形状は、槽間仕切フランジに組み込まれたレーザーセンサーにより、ガイド管と切断装置受座の間から検出した信号により観測、確認できる。また、切断装置内部の真空は加速槽より排気され、その外部は生成槽より排気された真空断熱構造としている。
【0034】図14に切断装置受座及びガイド管を示す。切断装置受座は、槽間仕切フランジにNBR等の真空低温シールゴム材を介して固定される構造で、槽間仕切フランジからの熱が切断装置に伝わらないようにフッ素樹脂等の熱絶縁材を用いている。また、切断された重水素氷がガイド管の中心に安定に導かれるように傾斜底の構造をしている。ガイド管は、ネジ構造により切断装置受座の下方にネジ込みにて取り付けられるとともにネジにより高さ等の調節が行える構造で、先端部はインナーロータに僅かに挿入されるため薄肉構造にしている。重水素氷の切断や落下時の昇華ガスが重水素氷の軌道に影響しないようにガイド管に排気穴を設け、その排気口よりガスを排気できる構造にしている。また、ガイド管とインナーロータが、万が一、干渉したことを考慮し、ガイド管をインナーロータより非常に弱い材料であるフッ素樹脂を用いている。
【0035】図15にインナーロータを示す。インナーロータは、アウターロータのセンターピンに合わせて固定され、アウターロータと一緒に高速回転する構造にしている。重水素氷が移動するインナーロータとアウターロータの面は、移動運動に影響の無いような平らな面にしている。ガイド管を介して落下してくる重水素氷は、インナーロータの入口から斜行部を滑り落ち、ストップシリンダーに接触して停止する。その時の昇華ガスは、檻状になっている出口のガス排気口から加速槽側に排気できる構造にしている。また、重水素氷が確実にアウターロータの溝に移動するようにその中心より僅かに先進する角度に固定している。
【0036】図16にストップシリンダーを示す。ストップシリンダーは位置調節器に取り付けられ、重水素氷がアウターロータから射出される方向、つまり、加速槽から重水素氷使用設備への射出方向に合った位置に微調整できる構造にしている。その調整は、真空槽の外側(大気圧側)から行うことができるようにしている。ストップシリンダーの設定は、アウターロータとインナーロータの間隙に精度良く、微量の隙間に設定する必要があることから、まず、ベースを位置調節器に取り付け、ロックピンに合わせてストップシリンダーを取り付ける構造にしている。
【0037】例えば、アウターロータの半径が450mmの場合、射出方向からストップシリンダー開口部の位置は約218度となる。その開口部は、確実に重水素氷がアウターロータの溝に移動できる角度(50度)をもたせている。ストップシリンダー内は、ベースより切りかきを設けて、その内部を真空排気できる構造にし、ガイド管からの排気効率を高めている。インナーロータを滑ってきた重水素氷は、ストップシリンダーに接触して停止してインナーロータと共にストップシリンダーに沿って回転し、ストップシリンダーの開口部まで回転した時にアウターロータ側に開放される。回転時の重水素氷の昇華ガスは、ストップシリンダーの開口部以外の部分に設けられた排気口より排気される。この排気口は、重水素氷が高速回転による影響を受けず、滑らかに回転できるようにするとともに、その排気効率を大きくするために四角穴にし、その内側を鏡面状にしている。また、ストップシリンダーの中心軸をこていするため、ステンレス材を用いているとともに、高速回転することから重量バランスに配慮している。
【0038】図17にアウターロータを示す。アウターロータは、真空中において、高速回転することからバランスのずれにより、アウターロータ回転運動による異常や損傷を発生することが懸念される。そのため、上下、左右が対象で、真空中における高速回転による歪みが生じにくい構造としている。アウターロータの中心にはインナーロータが重水素氷の加速面が平らとなるようにビスにて固定できる構造としている。アウターロータの溝に移動した重水素氷は、溝縁に沿って先端方向に加速される。重水素氷の加速時における昇華ガスは溝上部の隙間より排気される。
【0039】例え、重水素氷が加速時の変動や昇華ガスの影響により溝から飛び出そうとすると溝の上に設けた屋根により抑えられる構造にしている。よって、一定の方向に重水素氷が射出される事になる。特に、ストップシリンダー出口部は、インナーロータからの開放や移動角度による影響と加工精度の観点から全面屋根付き構造のフタを設けた構造にしている。また、図18にアウターロータの全体を示す。
【0040】
【発明の効果】本発明の重水素の連続生成・装填方法は、前記のような生成機器である液化器、冷却器、切断装置及び固体燃料供給管を生成槽に、加速機器であるガイド管、インナーロータ、ストップシリンダー及びアウターロータを加速槽に配置している。各々の機器は真空断熱され、冷媒ガスにより低温に冷却した冷却器内に固体重水素を作り、ピストンにより荷重を加えて、それを押し出す。それにより、固体燃料供給管の形成コマ部で四角棒状態の固体重水素を成形し、透明度のある連続的な固体重水素を安定して生成できるようにした。あわせて、その四角棒状の固体重水素を平行2枚刃のカッターを有した切断装置を動作させることにより、立方体形状の重水素氷を連続して生成でき、重水素氷の供給効率が安定するとともに向上させた。
【0041】また、重水素氷の切断時、落下時、装填時、加速時に起こる削磨等により発生する昇華ガスを加速機器の各部位に設けた排気口にら排気することにより、重水素氷の運動の乱れを抑制できるようにした。それにより、ガイド管からインナーロータ、インナーロータからストップシリンダーと安定した重水素氷の装填が可能となった。さらに、重水素氷がストップシリンダーの開放部からアウターロータに一定周期で安定な移動ができ、装填数に合った射出効率が向上した。あわせて、重水素氷をストップシリンダーの初期開放位置を確定することにより、アウターロータへの安定に移動させ、それをアウターロータの溝内で一定方向に加速することにより、アウターロータの回転数に応じた速度で一定角度で射出できるように性能の向上を図ることができた。
【出願人】 【識別番号】000004097
【氏名又は名称】日本原子力研究所
【出願日】 平成12年11月9日(2000.11.9)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2002−148377(P2002−148377A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2000−342360(P2000−342360)