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【発明の名称】 位置決め装置及び位置決め方法
【発明者】 【氏名】喜多 俊樹

【要約】 【課題】磁気ヘッド等の物体を位置決めするための廉価で安定度の高い位置決め装置を提供する。

【解決手段】本発明位置決め装置(90)は、定盤(91)が備える固定面と、位置決めされる物体(946)を搭載し、前記固定面に吸着するための手段を備えた第1の移動台(945)と、駆動装置(950,922C)を備え、第1の移動台と連結自在な第2の移動台(944)と、前記第1、第2の移動台の前記連結を制御する連結手段とを備える。前記駆動装置により前記第1、第2の移動台を連結して前記第1の移動台を前記固定面上の所定の位置に昇降搬送し、該所定の位置において前記第1、第2の移動台の連結を解除するとともに前記吸着する手段により前記第1の移動台を前記固定面に吸着固定して前記物体の位置決めをおこなう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】物体の位置をきめるための装置であって、固定面と、前記物体を搭載し、前記固定面に吸着するための手段を備えた第1の移動台と、駆動装置を備え、第1の移動台と連結自在な第2の移動台と、前記第1、第2の移動台の前記連結を制御する連結手段とを備え、前記駆動装置により前記第1、第2の移動台を連結して前記第1の移動台を前記固定面上の所定の位置に搬送し、該所定の位置において前記第1、第2の移動台の連結を解除するとともに前記吸着する手段により前記第1の移動台を前記固定面に吸着固定して前記物体の位置決めをおこなうようにした位置決め装置。
【請求項2】前記連結手段は前記第1の移動台に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】前記連結手段は前記第2の移動台に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項4】前記吸着するための手段が気体給排装置に連通する気体給排口を備えた真空吸着板である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項5】前記駆動装置が前記第1の移動台を直進走行させるための該第1の移動台と係合するボールスクリューと該ボールスクリューを回転させるためのモータとを備える請求項1〜請求項4のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項6】前記駆動装置が前記第1の移動台を前記固定面に対して傾斜させるための該第1の移動台を前記固定面に対して傾斜自在に保持する回転軸と該回転軸の回りで第1の移動台の傾斜を制御するアクチュエータューを備える請求項1〜請求項4のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項7】前記駆動装置が前記固定面に沿って前記第1の移動台を回転移動させるための該第1の移動台に固定され前記固定面に垂直な垂直回転軸と該垂直回転軸を回転させるためのモータとを備える請求項1〜請求項4のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項8】前記駆動装置が前記固定面に垂直な方向に沿って前記第1の移動台を移動させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項9】前記駆動装置がカムを備えたロータリーアクチュエータであって、前記第1の移動台が前記カムに係合するカムフォロワを有するリニアスライダを備えた請求項8に記載の位置決め装置。
【請求項10】前記固定面が水平面であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の位置決め装置。
【請求項11】前記固定面が花崗岩の端面であり、前記真空吸着板がアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜請求項10に記載の位置決め装置。
【請求項12】前記物体が磁気ヘッドと該磁気ヘッドの精密位置決め装置とを含むことを特徴とする請求項1〜請求項11に記載の位置決め装置。
【請求項13】固定面の所定の位置で、該固定面から所定の高さに物体を保持するための方法であって、前記固定面に吸着するための手段を備えた第1の移動台を用意するステップと、前記第1の移動台に前記物体を搭載するステップと、駆動装置を備え、第1の移動台と連結自在な第2の移動台を用意するステップと、前記第1、第2の移動台の前記連結手段を用意するステップと、前記駆動装置により前記第1、第2の移動台を連結して前記第1の移動台を前記固定面上の所定の位置に搬送するステップと、該所定の位置において前記第1、第2の移動台の連結を解除するとともに前記吸着する手段により前記第1の移動台を前記固定面に吸着固定するステップとからなる位置決め方法。
【請求項14】前記連結手段は前記第1の移動台に固定されていることを特徴とする請求項13に記載の位置決め方法。
【請求項15】前記連結手段は前記第2の移動台に固定されていることを特徴とする請求項13に記載の位置決め方法。
【請求項16】前記吸着するための手段が気体給排装置に連通する気体給排口を備えた真空吸着板である請求項13〜請求項15のいずれかに記載の位置決め方法。
【請求項17】前記吸着固定するステップにおいて、前記吸着が前記第1、第2の移動台の連結を解除する前に開始することを特徴とする請求項13〜請求項16のいずれかに記載の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物体の位置決め装置に関するもので、特に計測装置に用いて好適な位置決め精度が高くかつ低コストである三次元位置決め装置と位置決め方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】計測機器において、被測定回路と電気信号の授受を行なうための探針や、記録媒体への情報書き込みあるいは読み取りを行なうためのヘッド等を位置決めする機会は多い。さらに、近年、回路や記録媒体の小形化、高密度化によりより高い位置決め精度がもとめられている。以下において、本明細書では、本発明の理解を容易にするため、磁気記録媒体、特にハードディスクへ情報を読み書きする磁気ヘッドの検査装置を例にとって説明を行なう。説明される装置や方法は本発明の好適な利用分野に属するが、本発明の利用分野を限定するものではない。
【0003】磁気ヘッドの位置決め装置は磁気ヘッドの実地での読み書き動作を模擬するもので、概略位置決めを行なう移動台と精密位置決めを行なう精密位置決めステージを備える。磁気ヘッドを搭載しピエゾ素子等で該磁気ヘッドを駆動し位置決めする精密位置決めステージは移動台上に固定され移動台と一体化されて運動する。概略位置決めの精度は精密位置決めの精度より劣るものの、その安定度は精密位置決めの精度を保証する高さでなければならない。代表的な位置決め装置において、精密位置決めステージの位置決め範囲は10μm程度で数nmから数十nmの分解能を有し、移動台は100mmから150mmの移動範囲を有する。本願明細書では、別記しないときは、磁気ヘッドと精密位置決めステージおよび関連回路等を含めて単に「ヘッド」と総称する。ヘッドの概略位置決めを正確におこなうためには、例えば、水平方向の位置決めと垂直方向の位置決めとを行なう必要がある。そのため、基準水平面を与える定盤や該定盤に等価な機構を設け、ヘッドは該基準水平面上の所定位置で該基準水平面より所定の高さに位置決めされる。
【0004】第1の従来技術による位置決め装置10を図1にしめす。位置決め装置10において、定盤11上に平行に取り付けられた一対のリニアガイド12A,Bはその上に載置された移動台13を該リニアガイド12A,Bに沿って案内する。移動台13にはヘッド16が固定される。リニアガイド12A,Bの一方の端にはサーボモータ15が固定されており、該サーボモータ15の軸はボールスクリュー14を介して移動台13に取り付けられたナット17を螺合駆動し移動台13を走行させる。サーボモータ15の軸の回転によりボールスクリュー14が回転して、移動台13がリニアガイド12A,Bに沿って前進あるいは後退する。移動台13をサーボモータ15側に後退させてヘッド15の取り替えや調整等を行なったのち、移動台13をサーボモータ15側から離れる方向に前進させ、所定の位置に停止させ、ヘッドの試験等をおこなう。ヘッド15の定盤面からの高さが所定の高さとなるようにリニアガイド12A,Bと移動台13の高さが選ばれる。
【0005】第2の従来技術による位置決め装置20を図2にしめす。位置決め装置20において、定盤21上に平行に取り付けられた一対の軸受け22A,Bに固定されたチルト回転軸23にチルト台24が回転自在に取り付けられている。チルト台24はチルト回転軸23とは反対側の端にヘッド26を固定載置する台座25を搭載し、図示しないエアーシリンダー等のアクチュエーターを用いて図示の矢印Tの方向でチルト動作(傾斜動作)を行い、ヘッド26の位置決めを行なう。アクチュエータによりヘッド26が定盤21から離れた位置に位置決めされ、ヘッドの取り替えや調整等を行なったのち、次いで再度アクチュエータによりチルト台24が定盤21の近くに下降して位置決めされ、ヘッド26や媒体の試験等をおこなう。上記の例は、チルト回転軸23が定盤21の上面と平行であったが、垂直である構成も可能である。その場合は、チルト台24はチルト回転軸23で螺合駆動され、ヘッドは定盤21の上面と平行に上下に移動する。
【0006】第3の従来技術による位置決め装置30を図3にしめす。位置決め装置30において、定盤31上に平行に取り付けられた一対の案内32A,Bに沿って移動台34が移動する。案内32Bにはリニアモータ36の固定子が取り付けられ、移動台34はリニアモータ36の走行子として機能する。また移動台の移動方向に沿って、案内32Aにはリニアスケール37が取り付けられ、移動台34の位置を与える。
【0007】また、上記を改良した国際特許出願WO99/66498号公報(23.19.1999)に開示の技術では、図3において移動台34は空気ベアリングによりその周囲から浮上して移動して走行する。移動台34は停止時には逆に定盤31上に堅固に真空吸着し安定に位置決めされる。移動台34は真空吸着口で予備真空吸着が行なわれており、走行時に空気噴出口を経て導入される圧縮空気により浮上する。高速設定で高安定であり、移動後50ms以内に±10nmの安定度に達するといわれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記第1、第2の従来技術による位置決め装置は比較的安価である。しかし、移動テーブの静止位置の精度、安定度、移動台の姿勢の精度、安定度は不十分である。駆動時及び静止時のいずれにおいても、移動台はボールスクリューや回転軸により保持されているため、ボールスクリューのバックラッシュ、剛性、また回転軸の剛性、サーボモータやアクチュエータの保持力の限界により台の位置決め精度と安定度は低い。静止時の収束速度という面をみると、剛性が低い分、振動振幅が大きくなり速度が比較的遅くなる。また、移動台の吸着面と固定面(定盤の上面)を常に平行に保っておく事が困難なため、静止時の移動台位置を安定に固定するために有効な真空吸着は採用できない。
【0009】上記第3の従来技術による位置決め装置では、移動台の静止時には駆動機構との接続が絶たれ、真空吸着により安定した位置保持が得られる。しかし、特に安定した浮上をさせるための圧縮空気噴出口および浮上面は非常に高い加工精度が要求される。そのため、移動台の加工費用が高くなる。また、移動台の浮上量が位置決め精度に大きく影響するため、精密な浮上量の調整が必要となる。従って装置の価格が高くなる。
【0010】従って、上記第1、第2の従来技術による位置決め装置などの低コスト性と、上記第3の従来技術による位置決め装置などの高い安定性を併せ持ち、高安定度で安価な位置決め装置を提供することが強く望まれる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の位置決め装置では、安価な構成要素と構成方法により、第1、第2の移動台の連結を解除して互いに離隔させ、第2の移動台を経由する機械的振動や力を排除し、第1の移動台が位置決めされて静止状態にあるときの位置安定度を向上させている。
【0012】本発明の第一発明である物体の位置をきめるための装置は、固定面と、前記物体を搭載し、前記固定面に吸着するための手段を備えた第1の移動台と、駆動装置を備え、第1の移動台と連結自在な第2の移動台と、前記第1、第2の移動台の前記連結を制御する連結手段とを備えている。そして、前記駆動装置により前記第1、第2の移動台を連結して前記第1の移動台を前記固定面上の所定の位置に搬送し、該所定の位置において前記第1、第2の移動台の連結を解除するとともに前記吸着する手段により前記第1の移動台を前記固定面に吸着固定して前記物体の位置決めをおこなうようにしている。このように構成した位置決め装置では、簡単な連結手段により安価な駆動装置と第2の移動台が第1の移動台から連結解除されている。したがって、物体への機械的ノイズの伝搬が最小になり、位置決め安定度を高く保ちつつ、安価な駆動装置と安価な第2の移動台が利用できる。したがって、位置決め装置の価格が低下する。
【0013】また、連結手段を前記第1の移動台に固定して、連結手段が吸着装置の吸着に使われる動力を共用することができる。即ち物体の制御、消費動力を共用し装置を簡素化できる。あるいは、連結手段を前記第2の移動台に固定して、連結手段が第1の移動台の吸着固定後の第1の移動台に影響しないようにして、連結手段の制御方法を自由に選べるようにもできる。
【0014】更に吸着するための手段が気体給排装置に連通する気体給排口を備えた真空吸着板であるようにすれば、廉価な且汎用の空気を使用する装置は安価で保守性も良く運転コストも下がる。
【0015】前記駆動装置として第1の移動台を直進走行させるための該第1の移動台と係合するボールスクリューと該ボールスクリューを回転させるためのモータとを備える構造を選択すれば汎用の廉価な装置で、直線的に物体を試験位置と退避位置に前後移動させるに好適である。同様に駆動装置として第1の移動台を前記固定面に対して傾斜させるための該第1の移動台を前記固定面に対して傾斜自在に保持する回転軸と該回転軸の回りで第1の移動台の傾斜を制御するアクチュエータューを備えた構造を採用することもできる。廉価な装置で、略一定の床面積で物体を試験位置と退避位置に移動させるに好適である。また、連結手段が簡単でもある。さらに、別様であるが、駆動装置が前記固定面に沿って前記第1の移動台を回転移動させるための該第1の移動台に固定され前記固定面に垂直な垂直回転軸と該垂直回転軸を回転させるためのモータとを備える構造を採用することもできる。汎用の廉価な装置で、物体を試験位置と退避位置に左右移動させるに好適である。また、駆動装置が前記固定面に垂直な方向に沿って前記第1の移動台を移動させるようにすることも容易である。この場合、駆動装置がカムを備えたロータリーアクチュエータであって、前記第1の移動台が前記カムに係合するカムフォロワを有するリニアスライダを備える構成が好適である。
【0016】本発明の第二発明である、固定面の所定の位置で、該固定面から所定の高さに物体を保持するための方法は、前記固定面に吸着するための手段を備えた第1の移動台を用意するステップと、前記第1の移動台に前記物体を搭載するステップと、駆動装置を備え、第1の移動台と連結自在な第2の移動台を用意するステップと、前記第1、第2の移動台の前記連結手段を用意するステップと、前記駆動装置により前記第1、第2の移動台を連結して前記第1の移動台を前記固定面上の所定の位置に搬送するステップと、該所定の位置において前記第1、第2の移動台の連結を解除するとともに前記吸着する手段により前記第1の移動台を前記固定面に吸着固定するステップとを備える。また、好もしくは前記吸着固定するステップにおいて、前記吸着が前記第1、第2の移動台の連結を解除する前に開始することで、より確度の高い位置決めができる。本発明の第二発明の実施によっても本発明の第一発明の実施で選られると同様の効果が得られることは明瞭である。
【0017】本発明のその他の構成・効果が以下の記述から理解できるであろう。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明を説明するための第1の実施例である位置決め装置40の斜視図を図4に、平面図を図5に、図5におけるA-A断面図を図6に示す。位置決め装置40はハードディスクに読み書きする磁気ヘッドを検査する検査装置に組み込まれる、ヘッド46のロード・アンロード機構として好適である。ヘッド46のロード・アンロード時に第1の移動台45は第2の移動台であるチルト台44が傾斜角度を変化させて、ヘッド46を図示しない記録媒体の上に移動させる。定盤41上は水平面をなす端面を備えるので、該端面の一部は水平な固定面として機能し、第1、第2の移動台の連結解除において、重力と同一方向、同じ向きに該両移動台を移動させる。このようにして重力を有効に利用して容易に位置決め精度を向上し、重力の位置決め安定度に対する悪影響を避けることができる。所望により固定面の向きを重力の向き(下方)に対して同一、垂直や斜めに採ることも可能である。
【0019】位置決め装置40の動作は、チルト台44については図2に関連して説明した第2の従来技術による位置決め装置20の場合と同様であり、説明を省略する。位置決め装置40において、グラナイト(花崗岩)からなる定盤41上に固定された一対の軸受け42A,Bに固定されたチルト回転軸43にチルト台44(本実施例ではアルミニウム)が回転自在に取り付けられている。チルト台44はチルト回転軸43とは反対側の端にヘッド46を固定載置する台座45を搭載する。台座45は図7に示すように好もしくは複数の位置決めポスト45Pを備え、該ポスト45Pは対応するチルト台44の位置決め穴44Hに挿抜自在に係合している。位置決め静止後は台座45がチルト台44から実質的に離隔するようにされる。また、図8に示すように、台座45はばね45Sにより定盤42に安定に係止されるようにしても良い。
【0020】チルト台44の駆動は図8を参照して理解される。図4,5において省略されていたチルト台44の駆動装置と関連部品が図8に示されている。チルト台44は該チルト台44と定盤41に係止された垂直引っ張りばね44SSにより垂直方向で、定盤41側へ牽引される。後尾のカム44Cもそれに応じて軸43の回りで上方へ回転する。一方、カム44Cに係合するカムフォロワ44CFは該カムフォロワ44CFと定盤41に係止された押しばね44SEで図の左方に付勢される。定盤41に固定されたエアーシリンダー44A等のアクチュエータを用いて図示の矢印Tの方向でチルト台44のチルト動作を行い、搭載されたヘッド46の位置決めを行なう。カムフォロワ44CFがエアーシリンダー44Aに供給された圧縮空気に応じて右に移動すると、カム44Cは定盤41側に下降しする。その結果、チルト台44は台座45が定盤41から離れて上昇するように傾斜角度を増大させる。圧縮空気の供給を止めると、押しばね44SEによりカムフォロワ44CFは左側に押し返され、カム44Cは定盤41から離れて上昇する。その結果、チルト台44は台座45が定盤41に近づくように下降し傾斜する。台座45が固定面に到着した後、チルト台44はさらに回転をし台座45との連結がすべて解除される。エアーシリンダー44Aは気体の供排を行なうチューブ44AIからの圧縮空気により動作する。
【0021】アクチュエータによりチルト台44が定盤41の上面に対する傾斜角を増大させるとヘッド46が定盤41から離れた位置に位置決めされ、ヘッド46取り替えや調整等を行なえる。この状態では、図6の(B)に示すように、チルト台44は台座45と連結して、台座45を持ち上げ定盤41から離隔させている。次いでカムフォロワ44CFがエアーシリンダー44Aへの圧縮空気供給停止動作に応じて押しばね44SSの作用で左方に移動しチルト台44の傾斜角を減少させ台座45が定盤41の上面に接触する。台座45の外周壁が定盤41の上面に接触した後、チルト台44はさらに回転をし台座45との連結はすべて解除され両者の接触は完全になくなる(図6の(A))。
【0022】台座45の定盤41に対向する面には、好適には空気である気体を柔軟な給排官45AIを介して吸入、排出する比較的広角開口45Aを有する。該広角開口45Aを介して空気を台座45の内部に吸引すると、開口45Aの連続した外周壁は定盤41の上面に密着して、終には真空吸引状態に至る。この状態で、台座45は定盤41に安定に位置決めされる。ヘッド46の精密位置決めの精度を保証するため、好ましくは台座45の1次の固有振動数が1kHz以上となるように設計される。の広角開口45Aから伸びる細目の管45Bは図7に図示する柔軟な給排官45AIを経由して外部の空気給排装置に接続される。給排官45AIは好ましくは充分に柔軟で、チルト台44と台座45の運動を実質的に阻害しない。以下の実施例においても気体の給排に関して等価な部品間で同様の関係を有する。
【0023】真空吸引状態を脱するため給排官を経由して外部の空気給排装置から空気を広角開口45Aに導入すれば、台座45は定盤41との吸着を止める。チルト台44の傾斜角を上方に増大させるとチルト台44は台座45と再び連結し、ついでヘッド46が定盤41から離れた位置に移動する。給排官を通過する空気は吸着しないときは停止していても良く、好ましくはわずかに吹き出す程度で供給通過するのがよい。連結解除と真空吸引のタイミングを調整して吸着位置の精度と位置安定度を高くするため、好もしくは、ヘッド46が水平な位置すなわち定盤に平行ない位置にきたときに真空吸引開始してから、チルト台44は台座45の連結を解除する。なお、国際特許出願WO99/66498号公報、前記米国特許4,778,143号明細書あるいは特開昭61-4638号公報には上記真空吸引に関する技術の開示がなされており上記真空吸引技術の理解の参考となろう。
【0024】真空吸着とはことなる他の固定方法も可能です。電磁石による磁気吸引(図14,15に関連して後述)や機械式(エアークランプのようなもの)も可能で。機械式の場合は、これは必ず力を与えるものと、固定されるものの間で接触が必要です。上の第一移動台のように大きく移動して、任意の場所で固定する場合は採用が難しい虞がある。
【0025】図9に示す本発明の第2の実施例である位置決め装置70では、前記第1の従来技術による位置決め装置10に傾斜動作をする連結手段を搭載した構成を採用している。位置決め装置70において、定盤71上に平行に取り付けられた一対のリニアガイド72A,Bはその上に載置された移動台73を該リニアガイド72A,Bに沿って従来どうりの方法で案内する。移動台73の動作は位置決め装置10における動作と同じである。リニアガイド72A,Bの一方の端にはサーボモータ75が固定されており、該サーボモータ75の軸はボールスクリュー74を介して移動台73に取り付けられたナット17を螺合駆動し移動台73を走行させる。
【0026】移動台73には、該移動台73に固定された一対の軸受け72A,Bに固定されたチルト回転軸743にアルミニウム製のチルト台744が回転自在に取り付けられている。チルト台744はチルト回転軸743とは反対側の端にヘッド746を固定載置する台座745を搭載し、前記位置決め装置10のチルト台44と同様のチルト動作をおこなう。台座745の定盤71側の端面は、移動台73に設けた貫通孔を超えて定盤71の上面に真空吸着する構成である。チルト台744は図示しない該移動台73に固定されたエアーシリンダー等のアクチュエーターを用いて図示の矢印Tの方向でチルト動作を行い、ヘッド746の位置決めを行なう。該移動台73とその上部に搭載された構造は実質的に第1の実施例の定盤41とその上部に搭載された構造に等価である。但し台座745は高さがより高くなる。
【0027】アクチュエータによりチルト台744が移動台73の上面に対する傾斜角を増大させるとチルト台744が移動台73からはなれ、チルト台744に連結した台座745に搭載されたヘッド746も定盤71から離れた位置に位置決めされる。この状態では、チルト台744は台座745と連結して、台座745を持ち上げ定盤71から離隔させている。次いで第1の実施例におけると同様に、再度アクチュエータによりチルト台744を下方に回転させ台座745が定盤71の上面に真空吸着しつつ接触固定する。台座745の外周壁が定盤71の上面に接触した後、チルト台744と台座745との連結はすべて解除され両者の接触は完全になくなる。
【0028】この構造においても、台座745を定盤71に固定する方法は真空吸着に限定されない。台座745を定盤71の上面(固定面)に対して静止させる力を加えられる要素であればよい。また、台座745と定盤71の接続を断続する機構は上記チルト機構に限定されない。
【0029】図10は本発明の第3の実施例である位置決め装置80の斜視図である。上記第2の実施例において移動台73が直線走行したが、本第3の実施例では対応する移動台83が定盤81に設けられた回転ベアリング82の回りに矢印Rの方向で回転して走行する構成である点が異なる。しかし、チルト台844、台座845が定盤81と移動台83に対する動作は、チルト台744、台座745が定盤71と移動台73とに対する動作とおなじである。
【0030】図11乃至図13を参照して本発明の第4の実施例である位置決め装置90について説明する。図11は位置決め装置90の斜視図である。図12は図11の位置決め装置90一部破断A-A断面図、図13は図11の位置決め装置のB-B断面図である。位置決め装置90はハードディスクに読み書きする磁気ヘッドを検査する検査装置に組み込まれる、ヘッド946のロード・アンロード機構として好適である。なお、図示のヘッド946は磁気ヘッドを取り付ける台(実際はPIEZOステージ)の一部であり、ヘッド946と第1の移動台945は一体のものとして移動する。第1の移動台945に連結搭載されたヘッド946のロード・アンロード時に第1の移動台945は第2の移動台である昇降台944が垂直位置を変化させて、ヘッド946に備えられた磁気ヘッド(不図示)を図示しない記録媒体の上に移動させる。定盤91上は水平面をなす端面を備えるので、第1、第2の移動台の連結解除において、重力を有効に利用して容易に位置決め精度を向上し、重力の位置決め安定度に対する悪影響を避けることができる。
【0031】位置決め装置90の動作は、昇降台944は第1の移動台945の下方で連結し、その端が、定盤91に固定された枠91Bに敷設されたリニアガイド92A,Bで規制され案内されて昇降する。また、昇降台944と枠91Bのそれぞれは、自身に植え込まれた複数のピンP1,P2を有する。昇降台944と枠91Bの対応するピンP1,P2間にはばね944Sが取りつけられて、昇降台944を上方に釣り上げている(図12も参照)。
【0032】一方昇降台944にはカムフォロワ944CFが固定されており、枠91Bに搭載されたロータリアクチュエータ950で駆動されるカム944Cに係合している。ロータリアクチュエータ950がカム944Cを回転してカムフォロワ944CFを下方に駆動し、ばね944Sによる釣り上げ力でカムフォロワ944CFはカム944Cの回転により変化する高さに応じて昇降する。
【0033】更に図11と図13を参照すると、移動台945と定盤91のそれぞれには複数のピンP3,P4が埋め込まれており、対応するピンP3.P4間には図示のようにばね945Bが取り付けられて移動台945を定盤91側に牽引している。昇降台944と第1の移動台945との位置決めは、図7におけるとは異なり、昇降台944に固定して設けた球面944Kと第1の移動台945に固定して設けた円錐面945Eを係合させておこなう。球面944Kと円錐面945Eの対は例えば一平面を確定して安定な連結を確保できる3対が設けられる。
【0034】第1の移動台945は定盤91の固定面への真空吸着固定するための気体給排機能を有し、その機構および動作は第1の実施例で説明した台座45と定盤41に関する機構および動作と同様である。台座45に相当する第1の移動台945が柔軟な給排官45AIに想到する給排官を備え定盤41に相当する定盤91の固定面に吸着する。給排官の空気は昇降台944と第1の移動台945とが連結して移動する間は停止するか、僅かに第1の移動台から吹き出すように流れ、該連結の解除とともに、好ましくは該連結の解除より少し前に真空吸着を始める。定盤91の固定面の方向も重力の向きとの関係を種々採ることが可能であるが、この実施例では水平面としており、前述の有利な点を継承できる。
【0035】以上実施例について説明したが、本発明の範囲内でいろいろな変形実施が可能である。例えば、前述のように真空吸着の代わりに磁気吸引や反発を使うこともできる。図14,15を参照してそのような例を示す。図14において透磁率の大きいスチールや軟鉄あるいはそれらをアルミニウム等の非磁性材料で覆った定盤141上に第1の移動台145が位置決め固定される。この実施例では第1の移動台145が定盤141側に窪みを有しその中心に設けられた支柱が定盤141の固定面近傍まで延伸している。支柱は絶縁電線が券回され電磁石145Lを構成するコイルとなる。該電線の端末145LIは第1の移動台145の外部に取り出され、該端末145LIを電源(不図示)に接続する。電源より電線に流れる電流を制御することにより、定盤141と第1の移動台145間の吸引力を制御することができる。
【0036】図15では、磁性体を有する定盤151上に磁性体を有する第1の移動台155が位置決め固定される。この実施例では第1の移動台155が定盤141に固定され磁性体の枠151Bの穴を貫通して延伸する構成である。第1の移動台155は該穴の上下につばを備え該つばと枠との間にコイルを有する。これらコイルは電磁石155L1,155L2を構成する。電磁石155L1を付勢すれば下方のつばと枠151Bとが吸引接続し、電磁石155L1を付勢すれば下方のつばと枠151Bとが吸引接続する。
【0037】前記多くの実施例では定盤が花崗岩(グラナイト)である例が説明されているが。廉価であり取扱が便利なスチールを用いることもできる。また、第1、第2の移動台には軽量化のためにアルミニウムが好適に用いられるが、寸法精度や安定度を要する部位には適切な別の材料を用いるべきであることは明瞭である。
【0038】
【発明の効果】本発明の実施により得られる効果として、既にいくつかを注記したが、特に、本発明の位置決め装置では、簡単な連結手段により駆動装置と第2の移動台が第1の移動台から連結解除されている。したがって、位置決め後に駆動装置や第2の移動台からの機械的ノイズや振動の影響を排除できる。したがって、位置決め安定度を高く保ちつつ、安価な駆動装置と安価な第2の移動台が利用できる。したがって、位置決め装置の価格が低下する。
【出願人】 【識別番号】000121914
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジー株式会社
【出願日】 平成13年1月15日(2001.1.15)
【代理人】 【識別番号】100105913
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公久
【公開番号】 特開2002−214374(P2002−214374A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2001−6455(P2001−6455)