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【発明の名称】 磁気ヘッド用支持アーム及び磁気ディスク装置
【発明者】 【氏名】重永 博昭

【氏名】米川 直

【氏名】竹中 卓史

【要約】 【課題】磁気ディスク表面に塗布された有効な潤滑剤の稼動経過に伴う減少を補償することにより、磁気ヘッド、磁気ディスクの損傷を起こさない、信頼性の高い磁気ディスク装置を提供する。

【解決手段】磁気ディスク装置の稼動時間を積算し、補給が必要と判断された場合に密閉容器1の外側から潤滑剤供給装置6を用いて潤滑剤を補給する。該潤滑剤供給装置は、磁気ヘッド3aを支持する支持アーム(リフトタブを含む)3bの一部に潤滑剤を一時的に貯留させ、主に磁気ヘッドが磁気ディスク上にロードされた時に、支持アームに付着した潤滑剤が蒸発や流動などの現象により磁気ディスク2の表面上に徐々に移動し、飛散した潤滑剤を補給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁気的な信号の読み書きをおこなう磁気ヘッドを搭載したスライダを支持する磁気ヘッド用支持アームにおいて、該支持アームは潤滑剤を貯留することができる手段を有することを特徴とする磁気ヘッド用支持アーム。
【請求項2】前記支持アームの一部に潤滑剤を貯留することができる溝または含浸材のいずれか、あるいは、両方を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド用支持アーム。
【請求項3】情報を記録する磁気ディスクと、該磁気ディスクに対し情報を記録し再生する磁気ヘッドと、該磁気ディスクと該磁気ヘッドを支持し駆動する部品を収納し開閉可能な手段を有する貫通孔を備えた密閉容器と、潤滑剤供給装置から前記貫通孔を通して供給された潤滑剤を前記磁気ヘッド用支持アームの一部に貯留する手段を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【請求項4】前記貫通孔から供給された潤滑剤は、前記密封装置内のランプ部での貯留を経て前記アームの一部に貯留することを特徴とする請求項3に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】前記ランプ部に潤滑剤を貯留させる溝あるいは含浸材のいずれか、あるいは、両方を設けたことを特徴とする請求項3乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】前記貫通孔を通して潤滑剤を供給する前記潤滑剤供給装置は前記磁気ディスク装置に対し着脱可能であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】前記磁気ディスク装置の稼動時間を積算し、設定した稼働時間に到達した時点で前記貫通孔を通して潤滑剤の補給を行うことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクに対して記録再生を行なう磁気ディスク装置に関し、特に磁気ディスクの潤滑剤層の修復技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気ディスク装置では多くの場合、主に2つの理由から磁気ディスクの表面に潤滑剤が塗布されている。
【0003】第1の理由は、一般的にコンタクトスタートストップ(以下、CSSと略す)と呼ばれる起動停止方式の磁気ディスク装置における起動停止時の磁気ヘッド(以下、ヘッドと略す)と磁気ディスク(以下、ディスクと略す)の接触摺動による摩耗を抑制するためである。第2の理由は、装置の稼動中にディスク表面上を浮上しているヘッドが、突起や塵埃、その他の様々な要因によって浮上間隔を確保できなくなり、間歇的な接触を起こすのを抑制するためである。
【0004】しかしながら、長期間にわたる装置の使用では、潤滑剤はディスク自身の高速回転による遠心力や空気摩擦、ヘッドが通過することによる圧力の急激な変動などの影響を受けて、潤滑剤の膜厚は徐々に減少して次第にその効果を減少していく。そこで磁気ディスク装置外部から潤滑剤を補給する方法として特開平8−45260号公報では、補給が必要と判断された場合に、密閉容器の外部から潤滑剤供給装置を用いて潤滑剤を噴霧状に供給し、ディスク表面上の潤滑剤を補給する技術を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−45260号公報で開示された方法でも潤滑剤の減少分を補給できるが、この方法では潤滑剤噴霧時の噴霧量が過多になり易く、また、磁気ディスク表面だけでなく密閉容器内の他の部品全般に多量に噴霧してしまうという問題があった。
【0006】本発明は、磁気ディスク装置に対する適量の潤滑剤補給を可能にし、磁気ディスク装置の長期信頼性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の磁気ディスク装置ではヘッドおよびディスクを収容する密閉容器に開閉手段を有する貫通孔を備える。一方、前記貫通孔に係合すると同時に開閉手段を開くことのできる潤滑剤供給口と、該貫通孔から潤滑剤を供給できる潤滑剤供給装置と、ヘッドを支持する支持アーム(リフトタブを含む)の一部に潤滑剤を貯留することができる供給手段とによって磁気ディスクに対し潤滑剤を補給する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を実施例に基づき、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施例について磁気ディスク装置の一部を開いて示す図である。情報の記録再生を行う磁気ヘッドを搭載したスライダ3aが支持アーム(リフトタブを含む)3bによって位置決め用のアクチュエータ4に取り付けられている。アクチュエータ4は、ピボットベアリング4aによって密閉容器1の一部を構成するベース1bに軸受け固定されている。
【0009】複数のディスク2は、図示していないスペーサにより所定の間隔で積層され、クランプ2aによってスピンドル2bと一体化されるように、図示していないハブを介して固定されている。ピボットベアリング4a、スピンドル2bおよびランプ5aは、ベース1bに相対的な位置を精度良く保つように取り付けられている。
【0010】装置の稼働開始時にはアクチュエータ4の動作によりランプ5aの表面上を支持アーム3bの先端に設けられたリフトタブ5bが滑り、ヘッド3aは磁気ディスク2の表面に移動し、僅かな隙間を保って浮上する。この動作をロードと呼ぶ。逆に、装置の動作がスリープ、停止時には支持アームの先端に配置されたリフトタブ5bがランプ5aに乗り上げることにより磁気ヘッドを搭載したスライダ3aを、磁気ディスク2の表面から退避させる。この動作をアンロードと呼ぶ。
【0011】ベース1bには、開閉手段を内蔵した貫通孔1cが取り付けられており、潤滑剤供給装置6の供給口6aが係合する。潤滑剤供給装置6は、予め必要量の潤滑剤を潤滑剤容器6cに溜めておき、潤滑剤は供給口6aおよび供給口の先端6bを通ってランプ5aに設けられた潤滑剤を貯留する箇所に機械的に位置決めされ、必要な量の潤滑剤を供給する。供給された潤滑剤は、アクチュエータの動作によりヘッドが磁気ディスク表面にロードされた時に、支持アームの先端に配置されたリフトタブに貯留したのち、磁気ディスク表面へ移動する。前記潤滑剤供給装置6は前記貫通孔1c前後で着脱可能とすることもできる。
【0012】実施例において、潤滑剤としてはパーフルオロポリエーテル(PFPE)系潤滑剤を用い、溶剤としてはフッ素系溶剤を用いた。
【0013】また、潤滑剤の供給は付置したタイマー(図示せず)により磁気ディスク装置の稼働時間を積算し予め設定した時間に到達した時点に実施する。供給後は再び磁気ディスク装置の稼動時間を積算し、予め、次に設定された時間に到達した時点で、再び、供給が実施される。以後、この操作を必要に応じて繰り返すことができる。
【0014】図2は本発明の実施例について磁気ディスク装置内のランプ部およびその付近を示す概略図である。潤滑剤供給装置によって供給された潤滑剤は、ランプ5aの表面に設けられた溝部5cに貯留される。該溝部に貯留された潤滑剤はヘッドがアンロード時にリフトタブ5bに付着し、磁気ディスク表面上へヘッドが移動した時に装置の発熱や空気の流れに促され、蒸発や飛散などの現象により磁気ディスク表面に徐々に移動し、磁気ディスク表面に潤滑剤を補給する。
【0015】また、ランプの表面に潤滑剤が貯留し易いように溝を設けたり、潤滑剤が含浸しやすい材質の部分を設けたり、ランプ自身の材質を潤滑剤を含浸しやすい材質にする方法も有効である。本実施例では0.5mm厚の板状に加工したSiO2をランプ表面に接着して使用した。
【0016】図3は本発明の実施例について装置内リフトタブ部付近を示す概略図である。ランプ表面に貯留された潤滑剤は、リフトタブとの接触時にリフトタブへ一部が流動し、付着する。しかしながらリフトタブの表面が滑らかでは、潤滑剤が付着しにくい可能性がある。そこでランプ表面と接触するリフトタブの面を荒らすなどして溝を設けることは十分な潤滑剤を付着・貯留させるために有効である。図3に示した例では、リフトタブ5bに巻き込み処理部5dを設けて潤滑剤の付着を補助している。
【0017】リフトタブに潤滑剤を含浸し易い材質を取り付けたり、リフトタブ自身の材質を潤滑剤が含浸しやすい材質にする方法も有効である。リフトタブの含浸材としては、多孔質二酸化珪素(SiO2)を用いた。この場合、テトラエトキシシランを原料としたゾルゲル法により、1μm厚の膜をリフトタブ上に形成した。多の多孔質酸化物膜をリフトタブ上に設けることも有効である。
【0018】以上の実施例では、ランプおよびリフトタブへ潤滑剤を一時貯留している例を述べたが、支持アームのどの部分に貯留しても有効である。特に、支持アームのディスク対向面のうち、ディスクの有効範囲の全面をシークするヘッド部分を支持している近傍領域に潤滑剤を貯留させることがディスク全面に潤滑剤を補給する点でより有効である。
【0019】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によれば潤滑剤塗布ディスクを組み込んだ磁気ディスク装置が一定時間稼動した後に適量の潤滑剤を補給できるので、特にヘッドとディスクが間歇的もしくは連続的に接触しながら稼動する状態でも、ヘッド、ディスクの損傷を起こさない、信頼性の高い装置が提供できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年8月3日(2000.8.3)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56644(P2002−56644A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−240378(P2000−240378)