トップ :: G 物理学 :: G11 情報記憶




【発明の名称】 光ピックアップ用スライダ製造方法及び光ピックアップ用スライダ並びに光ピックアップ装置
【発明者】 【氏名】柳田 裕昭

【氏名】広田 慎一郎

【要約】 【課題】光ピックアップ用スライダの精度を再現性良く高めるとともに、その量産性を大幅に向上させる。

【解決手段】光学的記録媒体の記録面上を相対的にトレース移動させられるスライダ部21と、このスライダ部21に搭載されて上記記録面に情報の記録および/または再生用の光をスポット収束する光学系とを有する光ピックアップ用スライダ2において、上記スライダ部21の少なくとも一部と上記光学系の少なくとも一部22とをモールドプレス成形によって一体的に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光情報記録媒体の記録面に情報の記録および/または再生用の光をスポット収束させる光学系が搭載されて光情報記録媒体の記録面上を相対的にトレース移動する光ピックアップ用スライダを製造する光ピックアップ用スライダの製造方法において、前記スライダの少なくとも一部と前記光学系の少なくとも一部とをモールドプレス成形によって一体に形成することを特徴とする光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項2】 前記光学系が、情報の記録および/または再生のために入射される光を集光する第1のレンズと、この第1のレンズと同一光軸上に配置されて第1のレンズが集光した光を受光し、かつ記録媒体の記録面に焦点を合わせる第2のレンズとを有し、前記第1のレンズ及び第2のレンズのいずれか一方又は双方を前記スライダの少なくとも一部とモールドプレス成形によって一体に形成することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項3】 前記スライダの少なくとも一部とこのスライダと一体的に形成されるレンズとがガラス材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項4】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記式(1)で定義される光透過損失係数Lkが、波長200nm〜375nmの光に対して2.0cmー1以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
Lk=(1/d)log(Io/Ii)…(1)
ただし、dは材料の厚さ[cm]、Ioは入射光強度、Iiは出射光強度。
【請求項5】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、波長200〜375nmの光に対し、下記式(2)の条件を満足する屈折率nを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
n≧1.44+8.23/(λ−124)…(2)
ただし、nは屈折率、λは波長[nm]。
【請求項6】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、リン酸塩系またはフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項7】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、Ce、Pt、Cr、Cu、Fe、Niから選ばれた少なくとも1種のイオンを100ppm以下含有するガラスからなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項8】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
5+:0.5〜30[cat%](カチオン表示、以下同様)
Al3+:8〜40Mg2+:0〜20Ca2+:0〜35Sr2+:0〜50Ba2+:0〜65Na+および/またはLi+:0〜5原子価が2〜4価の金属であるY、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)から選択された少なくとも1種のイオン:0〜10%、かつアニオン比[F]/([F]+[O])が0.05〜0.99。
【請求項9】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
Al(PO33:0〜35[wt%]
Ba(PO32:0〜25Mg(PO32:0〜15Ca(PO32:0〜15Sr(PO32:0〜15ただし、P25換算の五酸化リン総量:1〜25AlF3:10〜25BaF2:10〜35MgF2: 0〜15CaF2: 0〜30SrF2: 0〜35Na2Oおよび/またはNaF:0〜5Li2Oおよび/またはLiF:0〜5Y、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)から選択された少なくとも1種の酸化物および/またはこれらのフッ化物:0〜7.5。
【請求項10】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
5+:65〜85[cat%](カチオン表示、以下同様)
Al3+:2〜10Mg2+:0〜30Ca2+:0〜30Sr2+:0〜30Ba2+:0〜40Zn2+:0〜8Na+および/またはK+:0〜8但し、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+の合量:18〜40、原子価が2〜4価の金属であるY、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)のイオンから選択された少なくとも1種:0〜8%。
【請求項11】 前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
25:40〜85[wt%]
Al23:2〜10MgO:0〜20CaO:0〜25SrO:0〜40BaO:0〜60ZnO:0〜8Na2Oおよび/またはK2O:0〜6ただし、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOの合量:8〜60、Y、La、希土類元素から選択された少なくとも1種の酸化物:0〜20。
【請求項12】 前記モールドプレスのプレス温度が500〜700℃であることを特徴とする請求項1ないし11に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法。
【請求項13】 請求項1ないし12に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法によって製造されたことを特徴とする光ピックアップ用スライダ。
【請求項14】 請求項1ないし13に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法によって製造された光ピックアップ用スライダを有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光ピックアップ用スライダの製造方法及び光ピックアップ用スライダ並び光ピックアップ装置に関し、たとえばCD、MO、MD、DVDなどの光情報記録媒体を使用する情報記録再生装置等に利用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】光ピックアップは、CD、MO、MD、DVDなどの光情報記録媒体に対して情報の記録または再生(記録/再生)を行うために使用される。この光ピックアップの主要部は記録面上を相対的にトレース移動させられるスライダにレンズを搭載させたスライダ部品を用いて構成される。そのスライダ部品は、互いに別個に製作されたスライダ部とレンズを所定の位置決め条件下で組合わせて構成される。
【0003】スライダ部は情報記録面上を微小浮上状態でトレースするように構成されている。このスライダ部に搭載されたレンズは、光情報記録媒体の記録面に記録/再生用の光をスポット収束させる光学系を形成する。
【0004】上記光情報記録媒体において情報の記録密度を高めるためには、上記レンズの開口数(NA)を大きくするか、あるいは記録/再生用光を短波長化する必要がある。レンズの分解能は開口数に依存し、開口数を大きくすれば、それだけ分解能を高めることができる。分解能を高めれば、記録面での光スポット径を小さく絞り込んで単位面積当たりの情報記録密度を高めることができる。
【0005】大きな開口数が得られるレンズとしては、ソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens:SIL)が知られている。このSILは、上記光情報記録媒体に対する情報の記録/再生用光を収束・照射するために使用されている(文献:「近接場ナノフォトニクスハンドブック」,p.154−159,平成9年9月5日(株)オプトロニクス社 発行)。
【0006】上記SILに原理的に期待できる分解能向上因子は、屈折率n(SILが半球形状の場合)あるいはその2乗n2(SILが超半球形状の場合)に比例する。通常、光ピックアップでは、記録/再生用光を記録面にスポット収束させる光学系として、レーザ等のビーム光源から適当な導光光学系を介して入射される光を集光する第1のレンズ(対物レンズまたはコリメートレンズ)と、この第1のレンズと同一光軸上に配置されて第1のレンズが集光した光を受光し、かつ記録媒体の記録面に焦点を合わせる第2のレンズを使用するが、上記SILは第2のレンズとして使用される。
【0007】上記ビーム光源としては、波長780nm付近の近赤外線半導体レーザ光、あるいは波長650nm付近の赤色半導体レーザなどが従来から使用されている。また、最近では、波長が400nm台の青色半導体レーザも使用されるようになってきた。
【0008】上記光を記録面にスポット収束させるレンズの材料としては、BK7等のホウケイ酸系光学ガラスが従来から知られている。これらのガラス材料は、上述した光源から出射されるビーム光(波長400〜780nm)をスポット収束するためのレンズの材料として使用することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した技術には次のような問題のあることが本発明者により明らかとされた。すなわち、従来の光ピックアップ用スライダ部品は、上述したように、スライダ部とレンズの2種類の部品から組立てられるが、各部品はそれぞれに単体部品として個別に製作されていた。しかし、光情報記録媒体における情報の記録密度を高めるためには、記録面に投射される記録/再生用光のスポット径を極力小さくする必要がある。このため、記録/再生用光を記録面にスポット収束させるレンズは、その焦点位置が記録面に正確に来るように、高精度に位置決めされた状態でスライダ部に搭載されていなければならない。
【0010】ここで、そのレンズが光軸上を少しでも前後にずれたり、あるいは光軸に対して少しでも傾きを持ったりすると、そのレンズによって記録面上に投射される光スポット径が拡大したり歪んだりして、記録または再生を正常に行うことができなくなってしまう。したがって、スライダ部へのレンズ搭載は、上記ずれや傾きが極力小さくなるように行わなければならない。
【0011】このように、光ピックアップ用スライダ部品の製造には非常に微妙かつきわどい要素が多く、このことが光ピックアップの生産性向上と記録の高密度化をそれぞれ妨げていた。
【0012】記録/再生用光のスポット径を小さくする手段としては、その光を収束するのに使用する光学系(レンズ)の開口数(NA)を大きくする方法と、記録/再生用光を短波長化する方法とがある。ある光学系で絞り込める最小の光スポット径は、大まかには、使用する光の波長に比例し、またレンズの開口数に反比例することが知られている。
【0013】このことから、光情報記録再生システムにおいて高い記録密度を実現するためには、レンズの高開口数化と記録/再生用光の短波長化が必要である。とくに、従来よりも有意に高い記憶密度を得るためには、少なくとも波長375nm以下の紫外光を記録/再生用に使う必要がある。
【0014】光情報の記録/再生用光源としては、前述したように、最近は、400nm台の発振波長をもつ半導体レーザ等が使用されるようになってきた。さらに短波長光を発振するレーザ光源としては、波長309,248nmのエキシマレーザ等がある。これ以外にも、Nd:YAG,Nd:YVO4,Nd:YLF等の固体レーザの高調波を用いて、波長265nm付近の光を作り出すことが可能である。また、Yb:YAG,Yb:YVO4,Yb:YLF等の固体レーザの高調波を用いて、波長255〜260nmの光を作り出すことが可能である。
【0015】上述した短波長の光を上記記録/再生用に利用できるようにするためには、その短波長光とくに紫外光を効率良く透過し、かつ高い屈折率を持つ光学材料からなるとともに、高い開口数を持つレンズが必要となる。
【0016】ここで、上記レンズの材料として用いられていた従来の光学ガラスは概して紫外光透過率が低く、仮に、このガラスを材料とするレンズを使って紫外光による光記録/再生を行わせようとすると、非常に大きな光源パワーが必要になって、光源部が大型化し、消費電力が増えてしまう、といった問題が生じる。
【0017】たとえば、代表的な光学ガラスであるBK7はホウケイ酸塩系ガラスであるが、このガラスは、10mm厚のとき、波長300nmの光に対する透過率が5%程度しかなく、これよりも短波長の光ではさらに低くなる。この場合、その反射損失は8%程度あるので、この反射分による損失を除いた光透過損失係数Lk(注1)が2.9cmー1ある。
【0018】すなわち、波長300nmの光は損失が非常に大きく、実用的に使用することができない。さらに、本発明者が知得したところによると、波長375以下の光は、従来の光ピックアップ用光学系では実質的に使用できないことが判明した。つまり、このガラスをレンズ材料にして構成された光記録/再生光学系は、波長375nm以下の短波長光による光記録/再生には、実用レベルで使用することができない。
注1:材料の厚さ[cm]をd、入射光強度をIo、出射光強度をIiとして、Lk=(1/d)log(Io/Ii)の式により定義される。
【0019】また、ホウ酸やケイ酸をガラス網目形成成分とする多成分ガラスでは、それらの成分に由来する紫外吸収が紫外線の上限(波長380nm付近)にまで及んでいる。したがって、このガラスをレンズ材料にして構成された光記録/再生光学系も、波長375nm以下の短波長光による光記録/再生には、実用レベルで使用することができない。
【0020】紫外光のような短波長光を良好に透過する材料としては、石英ガラスがある。しかし、石英ガラスは屈折率が低く、この石英ガラスで作ったレンズの開口数を大きくするためには、レンズの曲率半径を小さくしなければならない。つまり、光を小さなスポットに集光するためには、焦点距離の小さなレンズが必要である。レンズの焦点距離を小さくするには、レンズの曲率半径を小さくする必要があるが、このことは、次のような不利をもたらす。
【0021】すなわち、光記録/再生光学系では、光を高精度にスポット収束させるために、非球面レンズを使うことが多い。しかし、その非球面を研磨加工で精度良く出すことは非常に難しく、生産性も悪い。そこで、一般に使用されている光記録/再生光学系のレンズは、量産性の高いモールドプレス成形によって形成されている。この場合、レンズの開口数を大きくするためにレンズの曲率半径を小さくしようとすると、そのモールドプレス成形によって形成される面にダレやソリが生じやすくなるという不都合が生じる。さらに、そのプレスに用いる金型も、型面の曲率半径が小さいと、その型面そのものの加工が困難になるという不都合が生じる。
【0022】また、光記録/再生光学系のレンズとして使用されているSILは、高い開口数を得るのに適した高分解能レンズとされているが、このSILに期待できる分解能向上因子は、屈折率n(SILが半球形状の場合)あるいはその2乗n2(SILが超半球形状の場合)に比例する。したがって、SILであっても、その構成材料が屈折率の低い石英ガラスの場合は、高開口化の効果を十分に得ることができない。
【0023】上述したように、光記録/再生光学系のレンズは、低コスト化および量産性向上の要請から、モールドプレス成形によって形成されることが望まれる。このモールドプレス成形では、ガラスゴブあるいはガラスブロックを切断研磨したプリフォーム材を加熱軟化させ、これを高精度の面を持つ型で加圧成形する技術が開発されている。この技術の利点は、成形後の研削・研磨工程を省略できる点にある。
【0024】しかし、上述した利点も、成形に使用する型が繰り返し使用できなければ活かされることはない。成形型の耐用性を確保あるいは向上させるには、主に酸化により生じる型の表面劣化を極力抑える必要があり、このためにはモールドプレス成形時の温度をできるだけ低く設定する必要がある。このような制約要因により、モールドプレスの上限温度は650〜700℃が現状である。一方、石英ガラスは軟化温度が1000℃以上であるので、モールドプレスによって成型することは不可能である。つまり、石英ガラスを材料にして構成された光記録/再生光学系は、記録密度を有意に高めるための必要条件の一つである短波長光(375nm以下)での光透過性能は満足することができるが、それ以外の必要条件を欠いていた。
【0025】このように、従来の光ピックアップ用スライダ部品は、その材質的な構成面においても、部品の生産性向上と情報記録の高密度化に限度があった。
【0026】本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、光ピックアップ用スライダ部品の精度を再現性良く高められるようにし、これにより、光ピックアップの生産性向上と光情報記録の高密度化を可能にすることにある。
【0027】第2の目的は、従来は使用が困難であった領域の紫外光を利用を可能にするとともに、SILの分解能性能を有効に引き出すことを可能にし、これにより、光ピックアップの生産性向上と光情報記録の高密度化を可能にすることにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決する手段として、第1の手段は、光情報記録媒体の記録面に情報の記録および/または再生用の光をスポット収束させる光学系が搭載されて光情報記録媒体の記録面上を相対的にトレース移動する光ピックアップ用スライダを製造する光ピックアップ用スライダの製造方法において、前記スライダの少なくとも一部と前記光学系の少なくとも一部とをモールドプレス成形によって一体に形成することを特徴とする光ピックアップ用スライダの製造方法である。
【0029】第2の手段は、前記光学系が、情報の記録および/または再生のために入射される光を集光する第1のレンズと、この第1のレンズと同一光軸上に配置されて第1のレンズが集光した光を受光し、かつ記録媒体の記録面に焦点を合わせる第2のレンズとを有し、前記第1のレンズ及び第2のレンズのいずれか一方又は双方を前記スライダの少なくとも一部とモールドプレス成形によって一体に形成することを特徴とする第1の手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
【0030】第3の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこのスライダと一体的に形成されるレンズとがガラス材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ用スライダの製造方法である。
【0031】第4の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記式(1)で定義される光透過損失係数Lkが、波長200nm〜375nmの光に対して2.0cmー1以下であることを特徴とする第1ないし第3の手段いずれかにかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
Lk=(1/d)log(Io/Ii)…(1)
ただし、dは材料の厚さ[cm]、Ioは入射光強度、Iiは出射光強度。
【0032】第5の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、波長200〜375nmの光に対し、下記式(2)の条件を満足する屈折率nを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光ピックアップ用スライダの製造方法である。
n≧1.44+8.23/(λ−124)…(2)
ただし、nは屈折率、λは波長[nm]。
【0033】第6の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、リン酸塩系またはフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする第1ないし第5のいずれかの手段にかかる記載の光ピックアップ用スライダの製造方法である。
【0034】第7の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、Ce、Pt、Cr、Cu、Fe、Niから選ばれた少なくとも1種のイオンを100ppm以下含有するガラスからなることを特徴とする第1ないし第6のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
【0035】第8の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする第1ないし第7のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
5+:0.5〜30[cat%](カチオン表示、以下同様)
Al3+:8〜40Mg2+:0〜20Ca2+:0〜35Sr2+:0〜50Ba2+:0〜65Na+および/またはLi+:0〜5原子価が2〜4価の金属であるY、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)から選択された少なくとも1種のイオン:0〜10%、かつアニオン比[F]/([F]+[O])が0.05〜0.99。
【0036】第9の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するフツリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする第1ないし第7のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
Al(PO33:0〜35[wt%]
Ba(PO32:0〜25Mg(PO32:0〜15Ca(PO32:0〜15Sr(PO32:0〜15ただし、P25換算の五酸化リン総量:1〜25AlF3:10〜25BaF2:10〜35MgF2: 0〜15CaF2: 0〜30SrF2: 0〜35Na2Oおよび/またはNaF:0〜5Li2Oおよび/またはLiF:0〜5Y、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)から選択された少なくとも1種の酸化物および/またはこれらのフッ化物:0〜7.5。
【0037】第10の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする第1ないし第7のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
5+:65〜85[cat%](カチオン表示、以下同様)
Al3+:2〜10Mg2+:0〜30Ca2+:0〜30Sr2+:0〜30Ba2+:0〜40Zn2+:0〜8Na+および/またはK+:0〜8但し、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+の合量:18〜40、原子価が2〜4価の金属であるY、La、希土類元素(Pmを除く原子番号57〜71の元素)のイオンから選択された少なくとも1種:0〜8%。
【0038】第11の手段は、前記スライダの少なくとも一部とこれと一体のレンズ部を形成するガラス材料は、下記の組成を有するリン酸塩系ガラスからなることを特徴とする第1ないし第7のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。
25:40〜85[wt%]
Al23:2〜10MgO:0〜20CaO:0〜25SrO:0〜40BaO:0〜60ZnO:0〜8Na2Oおよび/またはK2O:0〜6ただし、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOの合量:8〜60、Y、La、希土類元素から選択された少なくとも1種の酸化物:0〜20。
【0039】第12の手段は、前記モールドプレスのプレス温度が500〜700℃であることを特徴とする第1ないし第11のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法である。第13の手段は、【0040】第1ないし第12のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法によって製造されたことを特徴とする光ピックアップ用スライダである。
【0041】第14の手段は、第1ないし第13のいずれかの手段にかかる光ピックアップ用スライダの製造方法によって製造された光ピックアップ用スライダを有することを特徴とする光ピックアップ装置である。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、前述した解決手段の代表的な実施形態について、図を参照しながら、さらに具体的に説明する。
【0043】本発明による光ピックアップ用スライダの主要部は、スライダ部とレンズからなる。レンズは、光情報記録媒体に対する記録および/または再生(記録/再生)時に、その記録媒体の記録面に対向するような状態でスライダ部に搭載される。
【0044】ここで、本発明では、そのレンズとスライダ部がモールドプレス成形によって最初から一体的に同時形成される。この場合、スライダ部とレンズのすべてを同一成形材料で構成するのが成形効率を高める上で有利であるが、部分的に材料を異ならせるようにしてもよい。すなわち、スライダ部とレンズのすべてを同一材料で一体的にモールド成形する、スライダ部の一部とレンズを同一材料で一体的にモールド成形する、どちらの場合にも本発明の主要な効果の一つである生産性の向上と光情報記録の高密度化を達成することができる。
【0045】図1は、本発明による光ピックアップ用スライダの製造方法を示す。同図において、(A)は上型1aと下型1bからなるモールドプレス成形型1内に板状にプリフォームされた成形材料20を装填した状態、(B)は上型1aと下型1bを閉じてモールドプレス成形を行った状態をそれぞれ示す。(C)はその成形型1a,1bによってモールドプレス成形されたレンズ付スライダ部21すなわち光ピックアップ用スライダ2の断面図および平面図を示す。
【0046】同図に示すように、スライダ部21の少なくとも一部とレンズ(SIL)22は、モールドプレス成形によって一体的に同時形成される。これにより、スライダ部21とレンズ22が最初から一体化された光ピックアップ用スライダ2を簡単かつ効率良く量産することができる。このようにして製造された光ピックアップ用スライダ部2は、それぞれに別部品として作製されたスライダとレンズから組立てられた従来のもの比べて、スライダ部21とレンズ22間の位置決め精度(とくに光学的位置決め精度)を再現性良く高めることができる。これにより、光スポット径を小さく絞って光情報記録密度を高めることができる。
【0047】また、上記モールドプレス成形において、2以上の光ピックアップ用スライダ2をアレイ状に配置した成形体を形成するようにすれば、1回の成形加圧工程で2個以上のスライダ2を同時に作成することができる。これにより、生産性をさらに大幅に向上させることができる。図2は、上記アレイ状の成形体から分割した光ピックアップ用スライダ2の断面形状を示す。
【0048】スライダ部21には、図3に示すように、このスライダ部21と一体的に形成されたレンズ(SIL)22とは別に、このレンズ22に光を導く対物レンズ23が搭載される場合が多い。この場合、その対物レンズ23の位置決めも高精度が要求されるが、モールドプレス成形ではスライダ部21の形状を非常に高精度に成形できるので、この成形精度を利用すれば、レンズ高さ、平行度等を簡単に高精度化することができる。また、たとえばスライダの適当な位置に位置合わせ用基準となるマークあるいはガイド等の位置合わせ部24を、スライダ部21と同時に成形するようにしておけば、その位置合わせ部24を利用して光軸合わせ等を容易に行うことが可能になる。
【0049】上述したように、本発明の手段では、レンズを搭載するスライダ部21の少なくとも一部とレンズ22を一体的にモールドプレス成形で形成することにより、その成形段階にて、スライダ部21の少なくとも一部とレンズ22間を高精度に位置決めさせることができる。これにより、面倒かつ複雑な位置決め作業を行うことなく、高精度のスライダを簡単かつ再現性良く組立てることができる。
【0050】また、上記レンズ付スライダ部21(スライダ部21の少なくとも一部とレンズ22)と、このスライダ部21以外の部品とを組み合わせる場合、両部品にそれぞれ適切な位置合わせ部を設けておくことにより、その位置あわせ部にて両部品を精密に位置合わせすることが可能になる。これにより、たとえば上記レンズ付スライダ部21にさらに別のレンズ(たとえば対物レンズ23)を搭載させる場合、従来は複雑で困難であった精密な搭載工程を簡単に行うことができるようになる。
【0051】次に、上述した光ピックアップ用スライダ2の構成材料に関する好適な実施形態を示す。上述したスライダ2(レンズ付スライダ部21)は、波長200〜375nmの光に対して透過損失係数Lkが1.5cmー1以下の材料で構成される。この透過損失係数Lkは、次式(1)で定義される。
Lk=(1/d)log(Io/Ii)…(1)
ただし、dは材料の厚さ[cm]、Ioは入射光強度、Iiは出射光強度。
【0052】上記光透過損失係数Lkが1.5cmー11以下の場合、上記光学系全体での総レンズ厚さ、すなわち、材料を通過する光の光路長が5mm程度になっても、50%以上の内部透過率が得られる。これならば、光パワーの有効な利用が可能であり、搭載する光源の小型化がはかれる。
【0053】さらに、光透過損失係数Lkを0.8cmー1以下とするならば、総レンズ厚さを5mmと仮定した場合の内部透過率を67%にまで高めることができる。したがって、上記スライダ2の材料は、波長200〜375nmに対する光の光透過損失係数Lkが0.8cmー1以下であることが、より好ましい。
【0054】また、上記スライダ2の少なくともスライダ部21と一体のレンズ22部分、および/またはそのレンズ22部と組み合わせられる対物レンズ23は、波長200〜375nmの光に対して、次式(2)の条件を満足する屈折率nを有する材料で構成されることが好ましい。
n≧1.44+8.23/(λ−124)…(2)
(nは材料の屈折率、λはレンズ材料に入射する光の波長[nm])
【0055】さらには、n>1.44+8.23/(λ−124)であること、すなわち石英よりも大きな屈折率を有する材料であることが、より好ましい。
【0056】上記スライダ2の材料として光学ガラスを使用する場合、リン酸塩ガラスあるいはフツリン酸塩ガラスが利用可能である。この場合、利用に適しているのは、屈折率が有意に高いグループであって、少なくとも上記式(2)の条件を満たし、さらには、石英ガラスの屈折率を超えるものが、開口数などの性能要素を有意に高める上で望ましい。
【0057】この場合、光学ガラスに多く利用されるケイ酸塩、ホウケイ酸塩等のガラス系は、リン酸塩ガラスあるいはフツリン酸塩ガラスに比較して、ガラス系に特有の紫外吸収端が長波長側に存在するので、そのままでは利用が困難である。
【0058】また、リン酸ガラス、フツリン酸ガラスは、その組成が前記解決手段にて特定されている範囲を外れると、ガラスの結晶化に対する安定性が十分でなく、あるいは得られたガラスの化学的耐久性が十分でなく、均一なガラスを得にくい、あるいは長期間の実用的使用に適さない、という問題が生じる。
【0059】フツリン酸ガラスの場合、PおよびOはガラス網目構造骨格を形成する成分である。Alも類似の効果があるものと考えられる。これらの成分が過多であると、軟化温度が高すぎなどの問題が生じ、過少であるとガラス形成能が低く結晶が発生しやすい、耐久性が劣化する、などの問題が生じる。アルカリおよびアルカリ土類金属は、この系のガラスのガラス形成能や溶解性を向上させる成分である。アルカリ土類のうちSrやBaはガラスの屈折率を大きくするのに有用な成分である。これらの成分が過多あるいは過少であると、ガラス形成能が劣化する。Y、Laおよび希土類元素は屈折率を大きくするのに特に有用な成分であるが、これらの成分が過多であるとガラス形成能が劣化する。フッ素はこの系のガラスの紫外光透過性能を良好なものにしている要因の一つである。これは同じカチオンからなる酸化物とフッ化物を比較した場合、フッ化物のほうが紫外線透過性に優れるという事実からも推定される。ただし、酸素とフッ素の含有量比はガラス形成能に大きく影響し、適正な範囲外ではガラス形成能が劣化する。
【0060】リン酸塩ガラスの場合、Pはガラス網目構造骨格を形成する成分である。AlもP−O骨格を構造的に補助する効果があるものと考えられる。アルカリ土類金属は、この系のガラスのガラス形成能や溶解性を向上させる成分である。アルカリ土類のうちSrやBaはガラスの屈折率を大きくするのに有用な成分である。これらの成分が過多あるいは過少であるとガラス形成能が劣化する。Y、Laおよび希土類元素は屈折率を大きくするのに特に有用な成分であるが、これらの成分が過多であるとガラス形成能が劣化する。紫外透過性を決める重要な因子として、微量不純物による吸収がある。紫外吸収を生じるイオンとしては、Ce、Pt、Cr、Cu、Fe、Niの各イオンがある。これらのイオンはppmのオーダーであってもガラス中に存在すると、紫外域に吸収をもたらす。特にFeはその吸収強度が大きい上に、原料粉体の取扱い中などに雰囲気から混入しやすいため、その排除を最も留意しなければならない不純物である。
【0061】そこで、本発明ではスライダ2のガラス材料に含まれるイオンを特定する。すなわち、Ce、Pt、Cr、Cu、Fe、Niの各イオンの含量を100ppm以下とすることを特徴とする。さらに、これらのイオンの合量が100ppm以下であることがより好ましい。特にFeイオンは1ppm以下であることが好適である。紫外域のFeイオンによる吸収はFe3+イオンによるものであり、Fe2+はこの領域に吸収をわずかにしか持たないので、ガラスを溶融作製する際、還元状態で行うことが紫外透過性を高める手段として有効である。この還元手法としては、ガラス融液に窒素・炭酸ガス等の中性あるいは還元性のガスを接触させる、バッチにカーボン粉・デンプンあるいは臭化物・ヨウ化化物のような還元材を導入する、などがある。
【0062】なお、本発明の目的から外れない限り、フツリン酸ガラスに、数%のK、Cs、B、Si、Clなど、200nm以上の波長域に顕著な吸収を持たない成分を添付して、ガラスの溶解性、屈折率、ガラス転移点、耐久性、加工性等を調整することは可能である。また、本発明の目的から外れない限り、リン酸ガラスに、数%のアルカリ元素、B、Si、ハロゲン元素など、200nm以上の波長域に顕著な吸収を持たない成分を添付して、ガラスの溶解性、屈折率、ガラス転移点、耐久性、加工性等を調整することは可能である。
【0063】また、石英ガラスを熱変形させるには1000℃以上の高温が必要であるが、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラスの軟化温度はそれよりもはるかに低く、適当な組成を選定すれば、700℃以下の軟化温度をもつガラスを作製することは容易である。さらに、適当な組成の調整によって耐結晶化性能、耐久性等を調整すれば、モールドプレス成形を施すことも可能である。換言すると、これらのガラス系から紫外透過特性にすぐれかつモールドプレス加工が可能な組成領域を選定し利用することが可能である。
【0064】光源波長400〜430nm、開口数0.6〜0.85のとき、12cmディスク片面記録容量は12〜25Gバイトにできることが報告されている(日経BP社刊行、日経エレクトロニクス1999年8月9日[no.747])。記録面位置で絞り込まれる光スポット径は、レンズ系の開口数に反比例し波長に比例する。たとえば、光源波長を400nmから275nmにすると、記録密度としては2倍以上の向上が期待される。さらに、レンズの開口数を高めることで一層の記録密度向上がはかれるが、これは高屈折率ガラス材料を用いることで達成可能となる。
【0065】(実施例1)前記スライダ2の成形材料(ガラス材料)として、<表1>の組成(wt%表示)のガラスを作成した。このガラスは、高純度原料を用いて調合・混合後、白金ルツボを使用して、925℃にて3時間加熱溶融し、脱泡・攪拌等により均質化した後、適当な鋳型に鋳込み成形し、徐冷工程を経て得られたものである。
【表1】

なお、この組成をカチオン%(cat%)表示にすると、<表2>のようになる。なお、アニオン比F/〔F+O〕は0.64である。
【表2】

【0066】このガラスの屈折率は、波長262nmにおいて1.535である。ガラス転移点、軟化点(Ts)は、それぞれ455℃、485℃であった。この波長域で純石英ガラスの屈折率は1.500程度であるので、レンズ材料としてこちらのガラスを用いる方が分解能の点で有利であることがわかった。また、波長262nmにおける光透過損失係数は0.5cmー1であった。これを透過損失(%)に換算すると、例えばレンズ肉厚が5mmの場合に、たかだか20%程度である。さらに、ICP発光分析によりCe、Pt、Cr、Cu、Fe、Niの各混入量は、2,25,2,3,0.5,1ppmであり、これらの合量が33.5ppmであることがわかった。
【0067】このガラス材料を用いて、図2に示すように、スライダ部21とレンズ(SIL)21が一体となった光ピックアップ用スライダ2をモールドプレス成形した。この場合、モールドプレス成形型には、超硬合金を加工しPt−Rh−Au−Ir薄膜を被覆したものを使用した。被成形ガラス素材(成形材料)は板状にプリフォームされたものを使用した。このプリフォームにはあらかじめ2平面加工を施してある。プレス成形は真空中で温度525℃にて行い、冷却後ガラスを取り出した。常圧下でプレスした場合、プレスによりレンズ中央付近にガスが閉じ込められて成形面の乱れが生じたが、真空中でプレスを行うことにより、これを防止できた。
【0068】レンズ22部は直径2mmの球面に成形した。このレンズ22の中央部1.2mmφをレンズ有効径とし、この有効径での波面収差を波長633nmの光を用いた干渉計で測定したところ、波面収差は0.02〜0.03λrmsであった。これにより、光学的に十分に良好な面が得られたことが確認された。この有効径(1.2mmφ)ならば開口数0.6まで対応可能である。
【0069】スライダ部21の下表面(記録/再生面側)の表面粗さは20nm以下であり、非常に平滑な面が研磨工程を経ることなく得られたことがわかった。この表面粗さは記録/再生に使用する波長よりも十分に小さいので、高密度光記録にも問題なく使用できる。
【0070】本実施例では1組のレンズ付スライダ部21(スライダ2)をモールドプレス成形したが、図1に示したように、1組の成形型1a,1bに複数の成形面をアレイ状に配置すれば、複数のレンズ付スライダ部21を一度にモールドプレス成形することができる。この成形品を後工程で切断することにより、個々のレンズ付スライダ部21(スライダ2)に分割することができる。
【0071】(実施例2)前記スライダの成形材料として、<表3>の組成(wt%表示)のガラスを作成した。このガラスは、高純度原料を用いて調合・混合後、石英ガラスルツボを使用して、1250℃にて3時間加熱溶融し、脱泡・攪拌等により均質化した後、適当な鋳型に鋳込み成形し、徐冷工程を経て得られたものである。
【表3】

なお、この組成をカチオン%表示にすると、<表4>のようになる。
【表4】

【0072】このガラスの屈折率は、波長300nmにおいて1.575であった。ガラス転移点、軟化点は、それぞれ500℃、535℃であった。この波長域で純石英ガラスの屈折率は1.490程度であるので、SILレンズ材料としては、こちらのガラスを用いる方が、記録密度向上の点で有利であることがわかった。また、波長350nmにおける光透過損失係数は0.35cmー1であった。透過損失(%)換算では、例えばレンズ肉厚が5mmの場合、たかだか16%程度である。さらに、ICP発光分析によりCe、Pt、Cr、Cu、Fe、Niの各混入量は、2,0.2,2,3,0.5,1ppmであり、これらの合量が8.7ppmであることがわかった。このガラス材料を用いて、実施例1と同様に、600℃にてスライダ部21とレンズ22を一体的にモールドプレス成形した。
【0073】さらに、図3の(A)と(B)に示すように、モールドプレイ成形したスライダ部21に対物レンズ23を搭載した。スライダ部21と対物レンズ23間の位置合わせは、あらかじめモールドプレス成形時に設けておいたスライダ部21側の位置合わせ部24を利用することで容易に行うことができた。
【0074】(実施例3)実施例2と同様のガラスを作成し、これを使って、図4に示すように、スライダ部21と対物レンズ23を一体的にモールドプレス成形したが、実施例1と同様、高精度のレンズが作成された。
【0075】(実施例4〜8)実施例4〜8ではそれぞれ、前記スライダの成形材料として、<表5>に示す組成のフツリン酸ガラスを作製した。同表において、(4)は実施例4、(5)は実施例5、(6)は実施例6、(7)は実施例7、(8)は実施例8においてそれぞれ作製した組成を示す。
【0076】実施例4〜8では、高純度原料を用いて所定組成に調合・混合後、白金製ルツボを使用し、950〜1100℃にて3時間の加熱溶融を行い、脱泡・攪拌等により均質化の後、適当な鋳型に鋳込み成形し、徐冷工程を経て作製した。原料として、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸バリウム、構成元素の炭酸塩化合物、酸化物化合物、フッ化物を利用した。もちろん原料はこれらに特定はされず、最終組成物を与える物であれば任意に選定可能であり、たとえばピロリン酸塩や硝酸塩といった原料も使用可能である。
【0077】また、<表5>には、各ガラスの紫外域における透過性と屈折率の大きさの代表値として、270nmにおける損失係数と屈折率をあげた。各ガラスとも高い紫外透過特性と高い屈折率を持つことがわかった。なお、同表には参考としてd線(波長587.56nm,275nm)における屈折率も示した。
【表5】

各実施例4〜8にて作製したガラスの軟化点はいずれも600℃以下であり、650℃以下のモールドプレス成形が可能であった。
【0078】(実施例9〜13)実施例9〜13ではそれぞれ、前記スライダの成形材料として、<表6>に示す組成のリン酸ガラスを作製した。同表において、(9)は実施例9、(10)は実施例10、(11)は実施例11、(12)は実施例12、(13)は実施例13においてそれぞれ作製した組成を示す。
【0079】実施例9〜13では、高純度原料を用いて所定組成に調合・混合後、石英ガラス製ルツボを使用し、1100〜1300℃にて3時間の加熱溶融を行い、、脱泡・攪拌等により均質化の後、適当な鋳型に鋳込み成形し、徐冷工程を経て作製した。原料として、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸バリウム、構成元素の酸化物化合物・炭酸塩化合物を利用した。もちろん原料はこれらに特定はされず、最終組成物を与える物であれば任意に選定可能であり、たとえばピロリン酸塩や硝酸塩といった原料も使用可能である。
【0080】また、<表6>には、各ガラスの紫外における透過性と屈折率の大きさの代表値として、300nmにおける損失係数と屈折率をあげた。各ガラスとも高い紫外透過特性と高い屈折率を持つことがわかった。なお、同表にも参考としてd線(波長587.56nm,300nm)における屈折率を示した。
【表6】

各実施例9〜13にて作製したガラスの軟化点はいずれも650℃以下であり、700℃以下のモールドプレス成形が可能であった。
【0081】(比較例)SILをBK7を用いて作製した以外は実施例1と同様にして、図4に示したのと同形式のガラス材料を作製した。波長262nmにおけるBK7の光透過損失係数は、およそ10cmー1屈折率は1.56であった。
【0082】以上、本発明をその代表的な実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は上述した以外にも種々の態様が可能である。たとえば、対物レンズは、球面レンズ以外に、非球面レンズ、フレネルレンズ、グレーティングレンズまたはホログラムレンズ等を用いることも可能である。また、光情報記録媒体としては、記録層の相変化により情報を記録する相変化型光情報記録媒体や、あらかじめエンボスピットにより情報が書込まれた再生専用光情報記録媒体、あるいはMOやMDなどの光磁気記録媒体などでもよい。光磁気記録媒体を用いる場合は、図示を省略するが、スライダ部21に記録用の磁気コイルを搭載する。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来は複雑で高い精度が要求されたスライダへのレンズ搭載工程、たとえば研磨や位置合せなどの面倒な工程を省くことができるので、光ピックアップ用スライダの精度を再現性良く高めることができるとともに、その量産性を大幅に向上させることができる。また、従来は使用することが困難であった短波長領域の光すなわち紫外光を利用することができるとともに、SILの分解能向上効果を有効に引き出すことができる。
【出願人】 【識別番号】000113263
【氏名又は名称】ホーヤ株式会社
【出願日】 平成12年8月11日(2000.8.11)
【代理人】 【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56571(P2002−56571A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−244437(P2000−244437)