| 【発明の名称】 |
光ピックアップ及び光情報記録再生装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】笠澄 研一
【氏名】北岡 康夫
【氏名】水内 公典
【氏名】山本 和久
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| 【要約】 |
【課題】超解像スポットによる微少マーク記録が可能で、かつ再生時にサイドローブの増加による信号劣化を生じない、光ピックアップおよび光情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】ラジアル方向に位相段差を生じ得る3つの領域3a〜3cを有する可変位相フィルタ3を用い、記録時には、中央の領域3bと両側の領域3a,3cとの間にπの位相段差を与えることによって、光ディスク5の記録層上に超解像スポットを形成する。再生時には、可変位相フィルタ3の領域3a〜3cの位相段差量を0とすることにより、サイドローブの発生が少ない通常の回折限界の光スポットを形成する。可変位相フィルタ3は、ホモジニアス配向液晶素子により構成することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を情報担体上に集光する集光光学系と、記録時の前記情報担体上の光スポットサイズを、再生時の光スポットサイズよりも、主として情報トラックに垂直な方向に縮小するスポットサイズ調整手段とを有することを特徴とする光ピックアップ。 【請求項2】 前記スポットサイズ調整手段が、前記コヒーレント光源と前記集光光学系との間に設置され、位相変移量が可変な可変位相フィルタを含み、前記可変位相フィルタは、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも3つの領域に分割されている、請求項1記載の光ピックアップ。 【請求項3】 前記可変位相フィルタが3つの領域に分割され、中央の領域の幅が、当該可変位相フィルタを通過する光ビーム幅の10%〜20%の範囲にある、請求項2記載の光ピックアップ。 【請求項4】 前記可変位相フィルタが、前記コヒーレント光源からの光の偏光方向に平行に配向されたホモジニアス配向液晶素子を用いて構成される、請求項2または3記載の光ピックアップ。 【請求項5】 前記スポットサイズ調整手段が、前記コヒーレント光源と前記集光光学系との間に設置され、複屈折量が可変な可変波長板と、前記可変波長板と前記集光光学系との間に設置された検光子とを含み、前記可変波長板は、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも3つの領域に分割されている、請求項1記載の光ピックアップ。 【請求項6】 前記可変波長板が、前記コヒーレント光源からの光の偏光方向に平行に配向されたホモジニアス配向液晶素子を用いて構成される、請求項5記載の光ピックアップ。 【請求項7】 前記スポットサイズ調整手段が、前記コヒーレント光源と前記集光光学系との間に設置された位相変移量が可変な可変波長板と、前記可変波長板と前記集光光学系との間に設置され、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも4つの領域に分割され、前記コヒーレント光源からの光の第1の偏光成分にのみ任意量の位相変移を与える可変偏光性位相フィルタとを含み、前記情報担体からの反射光を、前記第1の偏光成分と他の第2の偏光成分に分離する偏光分離手段と、前記情報担体からの反射光の第1の偏光成分を検出する第1の光検出器と、前記情報担体からの反射光の第2の偏光成分を検出する第2の光検出器とをさらに備えた、請求項1記載の光ピックアップ。 【請求項8】 前記可変波長板が、前記コヒーレント光源からの光の偏光方向に対して略45度の方向に配向されたホモジニアス配向液晶素子を用いて構成される、請求項7記載の光ピックアップ。 【請求項9】 前記可変偏光性位相フィルタが、前記コヒーレント光源からの光の偏光方向に平行に配向されたホモジニアス配向液晶素子を用いて構成される、請求項7記載の光ピックアップ。 【請求項10】 請求項2〜4のいずれかに記載の光ピックアップを有し、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変位相フィルタの前記領域間に位相段差を生じさせ、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変位相フィルタの前記領域間に位相段差を生じさせないことを特徴とする光情報記録再生装置。 【請求項11】 請求項5または6記載の光ピックアップを有し、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変波長板の前記領域間に位相段差を生じさせ、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変波長板の前記領域間に位相段差を生じさせないことを特徴とする光情報記録再生装置。 【請求項12】 請求項7〜9のいずれかに記載の光ピックアップを有する光情報記録再生装置であって、前記可変偏光性位相フィルタが4つの領域に分割され、前記4つの領域を、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向の順に第1、第2、第3、および第4の領域とすると、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変偏光性位相フィルタの第1および第4の領域と、第2および第3の領域とに互いに異なる位相変移量を与え、かつ前記可変波長板には位相変移量を与えず、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変偏光性位相フィルタの第1および第2の領域と、第3および第4の領域とに互いにπだけ異なる位相変移量を与え、かつ前記可変波長板に位相変移量を与えて2分の1波長板とすることを特徴とする光情報記録再生装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はコヒーレント光源を応用した、光情報処理装置、光情報記録再生装置に関し、特に隣接トラックからのクロストーク成分を除去するクロストーク除去機能や、回折限界以下のサイズの超解像集光スポットを得る高密度光ディスク記録再生装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ディジタルバーサタイルディスク(以下DVDと略す)の実用化によって光ディスクの記憶容量が大幅に拡大され、高画質、長時間の動画情報を記録できるようになったが、ハイビジョンに代表される高精細動画放送も実用化の兆しが見られ、さらに大容量の記憶装置の研究開発が盛んになされている。また、コンパクトディスク(以下CDと略す)やDVDなどの光ディスクは計算機の外部記憶装置としても広く利用されているが、計算機の性能は急速に高性能化しているため、情報処理、情報通信の分野においても光ディスクの高密度化が強く望まれている。特に計算機の高性能化と平行してディジタルビデオカメラ、ディジタルスチルカメラが普及し始め、大容量の音響映像データを取り扱う機会が増えることによって、高速アクセス可能な大容量記録再生光ディスクが従来に増して重要な地位を占めるに至った。 【0003】光ディスクの容量を拡大するには、光ディスクにより小さなマークを記録し、或いはより小さなピットから情報再生することになるが、マークサイズ、あるいはピットサイズは情報を読み出す光ピックアップの光源波長と集光レンズの開口数とで決まる光スポットサイズによって限定される。螺旋状に配列されたトラック上の線方向のピットサイズを限界以下に小さくした際には十分な信号振幅が得られず、またトラックの間隔を限界以下に小さくした際には、記録時に隣接するトラックのマークを消去する隣接消去や、再生時に隣接トラックからの信号が混信するクロストークの問題が生じて正確な信号記録再生が阻害される。 【0004】このような光スポットサイズの限界を超えて高密度化を実現する技術として、超解像技術が提案されている。例えば、図13(a)に示す従来の光ピックアップでは、輪帯状の位相フィルタ3’(図13(c)参照)を用いて、回折限界以下のサイズの光スポット30’を得る。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この光スポット30’では、メインローブのスポット幅は通常の光スポットより小さくなるが、図13(b)に示すように、メインローブの外側のサイドローブが大きくなる。従って、図13(a)に示すような従来の光ピックアップを再生に用いると、メインローブが照射するピットの前後のピットや、メインローブが照射するトラックに隣接するトラックをサイドローブが照射し、その反射光がメインローブの反射光に混入して光検出器7’で検出される。このため、ノイズ信号が大きくなり、信号品質が低下するという問題があった。 【0006】本発明になる光ピックアップは、上述のような超解像光ピックアップで問題となったサイドローブによる信号劣化を解決するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明の光ピックアップは、コヒーレント光源と、前記コヒーレント光源からの光を情報担体上に集光する集光光学系と、記録時の前記情報担体上の光スポットサイズを、再生時の光スポットサイズよりも、主として情報トラックに垂直な方向に縮小するスポットサイズ調整手段とを有することを特徴とする。 【0008】これにより、記録時には、超解像スポットによって微小マーク記録を行う一方で、再生時には、サイドローブの少ない通常スポットを用いることができ、サイドローブによる再生信号劣化を生じない光ピックアップを提供することが可能となる。 【0009】前記光ピックアップの第1の構成は、前記コヒーレント光源と前記集光光学系との間に設置された位相変移量が可変な可変位相フィルタを有することを特徴とする。この可変位相フィルタは、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも3つの領域に分割されていることが好ましい。 【0010】前記光ピックアップの第2の構成は、前記コヒーレント光源と前記集光光学系との間に設置され、複屈折量が可変な可変波長板と、前記可変波長板と前記集光光学系との間に設置された検光子とを有することを特徴とする。この可変波長板は、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも3つの領域に分割されていることが好ましい。 【0011】前記光ピックアップの第3の構成は、コヒーレント光源と集光光学系との間に設置された位相変移量が可変な可変波長板と、前記コヒーレント光源からの光の第1の偏光成分にのみ任意量の位相変移を与える可変偏光性位相フィルタと、前記情報担体からの反射光を前記第1の偏光成分と他の第2の偏光成分に分離する偏光分離手段と、情報担体からの反射光の第1の偏光成分を検出する第1の光検出器と、前記情報担体からの反射光の第2の偏光成分を検出する第2の光検出器とを有することを特徴とする。可変偏光性位相フィルタは、前記情報担体上の情報トラックに垂直な方向に位相段差を生じ得る少なくとも4つの領域に分割されていることが好ましい。 【0012】また、上記の課題を解決するために、本発明にかかる第1の光情報記録再生装置は、前記第1の構成にかかる光ピックアップを有し、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変位相フィルタの前記領域間に位相段差を生じさせ、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変位相フィルタの前記領域間に位相段差を生じさせないことを特徴とする。 【0013】また、本発明にかかる第2の光情報記録再生装置は、前記第2の構成にかかる光ピックアップを有し、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変波長板の前記領域間に位相段差を生じさせ、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変波長板の前記領域間に位相段差を生じさせないことを特徴とする。 【0014】また、本発明にかかる第3の光情報記録再生装置は、前記第3の構成にかかる光ピックアップを有する光情報記録再生装置であって、前記可変偏光性位相フィルタが4つの領域に分割され、前記4つの領域を、前記情報担体の情報トラックに垂直な方向の順に第1、第2、第3、および第4の領域とすると、前記情報担体へ情報を記録する場合には、前記可変偏光性位相フィルタの第1および第4の領域と、第2および第3の領域とに互いに異なる位相変移量を与え、かつ前記可変波長板には位相変移量を与えず、前記情報担体から情報を再生する場合には、前記可変偏光性位相フィルタの第1および第2の領域と、第3および第4の領域とに互いにπだけ異なる位相変移量を与え、かつ前記可変波長板に位相変移量を与えて2分の1波長板とすることを特徴とする。 【0015】 【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の一実施形態について、図面を参照し、以下に説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる光情報記録再生装置が備える光ピックアップの概略構成を示す説明図である。図1(b)は、この光ピックアップによって光ディスク上に形成される光スポットの光強度分布を、記録時および再生時のそれぞれについて示すグラフである。なお、この光強度分布は、光ディスクの情報トラックに対して垂直な方向における分布である。 【0016】前述のように、超解像光ピックアップは、集光スポットに現れるサイドローブによって信号劣化が生じるという問題をもつが、光ディスクに情報を記録する際には加熱を伴うのでサイドローブによる影響が少なく、より小さなマークを記録する高密度光記録に有用である。この利点を生かして、本光ピックアップは、記録時には超解像スポットによって微小マーク記録を行い、再生時にはサイドローブの少ない通常スポットを用いる。また、超解像記録においては、前後方向にスポットサイズを縮小しても、サイドローブが前後方向に発生することで微小スポットの効果が失われてしまうため、その効果が望めない。そこで本実施形態の光ピックアップでは、情報トラックに垂直な方向にのみスポットサイズを縮小する構成をとっている。 【0017】以下、図1(a)を参照して、本実施形態の光ピックアップの構成について説明する。本光ピックアップは、光源としての半導体レーザ1、コリメートレンズ2、可変位相フィルタ3、対物レンズ4、偏光ビームスプリッタ6、および光検出器7を備えている。 【0018】半導体レーザ1は、図1(a)の紙面に平行な方向の偏光を出射する。出射光は、コリメートレンズ2を通過した後、可変位相フィルタ3を通過する。可変位相フィルタ3は、図1(c)に示すように、3つの領域3a,3b,3cに分割されており、これらの領域の長手方向が光ディスク5上における光ビームの走査方向に平行になるように、コリメートレンズ2と偏光ビームスプリッタ6との間に配置されている。 【0019】可変位相フィルタ3は、光ディスク5への情報記録時には、中央の領域3bを通過する光と両側の領域3a,3cを通過する光との間に、πの位相差を与える。位相差を生じた光ビームは、図1(b)の左側のグラフに示すような光強度分布を示し、図2(a)に示すように、光ディスク5上に、情報トラックに垂直な方向にスポット幅の縮小された超解像スポット10aを形成する。このときの可変位相フィルタ3の中央領域3bの幅と、光ディスク5の情報記録層上に形成されるスポット幅、サイドローブ高さ、およびメインローブピーク高さのそれぞれとの関係を、図3に示す。 【0020】図3から分かるように、中央領域3bの幅を広くするに従って、超解像効果が大きくなりスポット幅が減少するのに対して、サイドローブ高さが増加、メインローブピーク高さが減少する。サイドローブ高さがメインローブ高さの20%以上になると、サイドローブによるマークの消去が生じることと、メインローブピーク高さが減少すると相対的に光源の発光パワーを増加させる必要が生じることから、中央領域3bの幅は、光ビーム幅の10〜20%程度が最適となる。 【0021】また、本光ピックアップは、光ディスク5から信号再生を行う際には、可変位相フィルタ3の領域3a,3b,3cの位相差を0にする。これにより、再生時には、光ディスク5に照射される光ビームの光強度分布は、図1(b)の右側のグラフに示すようになり、図2(b)に示すように、光ディスク5上に、サイドローブの発生が少ない通常の回折限界の光スポット10が形成される。 【0022】本光ピックアップで用いる可変位相フィルタ3は、例えば液晶素子を用いて容易に作製することができる。液晶素子を用いた可変位相フィルタ3の構成およびその動作の一例を、図4(a)〜図4(c)に示す。 【0023】可変位相フィルタ3として用いられる液晶素子は、ネマティック液晶が2枚の対向するガラス基板60,61の間に封入された構成である。図4(a)〜図4(c)では、この液晶素子の動作の説明のため、液晶分子66を模式的に表しており、楕円の長軸方向が液晶分子66の光学軸方向である。ガラス基板60、61上には、透明な制御電極62,63,64と対向電極65とがそれぞれ設けられ、これらの制御電極に印加される電圧によって、液晶分子66に任意の電界を印加することができる。制御電極62が形成されている領域が可変位相フィルタ3の中央領域3bに相当し、制御電極63,64が形成されている領域が領域3a,3cに相当する。制御電極62、63、64、対向電極65上にそれぞれ形成された配向膜(図示せず)に互いに平行に配向処理が行われることにより、この液晶素子は、いわゆるホモジニアス配向と呼ばれる構成となっている。なお、この配向処理は、図1(c)に破線矢印で示すように、領域3a,3b,3cの長手方向に垂直な方向になされている。 【0024】図4(a)は、対向電極65と制御電極62、63、64との間に電圧が印加されないときの様子を表す。このとき、液晶分子66は、その光学軸を配向方向に一致させる向きに整列している。液晶分子66がこのように整列している場合には、ネマティック液晶は光学異方性を持つ。 【0025】このため、液晶素子の中央部すなわち可変位相フィルタ3の中央領域3bに入射する光、両端部すなわち領域3a,3cに入射する光とも、図4(a)の紙面に平行な偏光成分は液晶素子中を異常光として伝搬し、紙面に垂直な偏光成分は液晶素子中を常光として伝搬する。このため、可変位相フィルタ3の各領域に入射する光は、両偏波とも位相段差を感じることなく伝搬する。 【0026】これに対し、図4(b)は、液晶素子の中央部の制御電極62にのみ電圧が印加された場合の液晶素子の様子を示す。このとき、制御電極62と対向電極65との間に液晶素子の厚さ方向に電界が形成され、この電界方向に沿うように液晶分子66が配向される。このとき、紙面に平行な偏光成分は、液晶素子の中央部すなわち可変位相フィルタ3の中央領域3bでは常光として伝搬し、両端部すなわち領域3a,3cでは異常光として伝搬する。このため、各領域で光の感じる屈折率が異なり、中央部と両端部で位相段差が与えられることになる。 【0027】位相段差量φは、液晶層の厚さd、液晶の常光に対する屈折率no、異常光に対する屈折率neを用いて、φ=d(ne−no) で表される。 【0028】以上のように、図1(a)の光ピックアップに用いられる可変位相フィルタ3では、液晶分子の配向方向に平行な偏光が入射され、入射した光に対して、電極分割パターンに応じた位相分布が与えられる。また、紙面に垂直な偏光成分は全領域で常光として伝搬するため位相段差は生じないことから、印加電圧の大きさに関わらず、位相変移が与えられることなく平面波として伝搬する。 【0029】以上は、電極間に十分に大きな電圧が印加されている場合の説明であるが、印加電圧が比較的小さい場合の液晶素子の様子を示したのが、図4(c)である。この場合、制御電極62が形成された部分すなわち可変位相フィルタ3の中央領域3bにおいて、電極近傍の液晶分子66は、印加電界よりも配向処理の影響を強く受け、電極表面に平行に近い角度をなす。この一方、液晶層の中間部分の液晶分子は、配向処理よりも印加電界の影響をより強く受けて電界方向に配向しようとする。その結果、図4(c)のように、液晶分子66は、電極表面に対して斜めの角度をなすことになる。 【0030】液晶分子66は、印加電圧が大きい時には電極表面に対してより垂直に近い角度に傾斜し、印加電圧が小さいときには電極表面に平行に近い角度を取る。このとき、液晶素子の中央部(中央領域3b)に入射する紙面に平行な偏光成分はneとnoの中間の値の屈折率を感じ、中央領域3bと左右の領域3a,3bとの間の位相段差量φは、φ=α×d(ne−no) となる。ただし、αは印加電圧によって決まる0以上1以下の定数である。すなわち、印加電圧の大きさを調整することにより、位相段差量φを所望の値に設定することが可能である。 【0031】上記の液晶素子を試作し、印加電圧と位相段差との関係を測定した。液晶層厚dが10μmの素子に波長650nmの赤色レーザ光を入射した時の位相段差量φは、中央制御電極62への印加電圧に対して連続に単調増加し、印加電圧6.2Vにおいて2π(1波長)の位相段差を与えることができた。このように、図4(a)〜図4(c)の構成の液晶素子を用い印加電圧を制御することによって、特定の偏光成分にのみ任意の位相段差を与えられることが実証された。 【0032】なお、中央制御電極62への印加電圧のON/OFFは、光情報記録再生装置の動作が記録/再生のいずれであるかに応じて制御される。記録時と再生時とでは、半導体レーザ1の出力パワーが、記録時の方が再生時よりも大きい。従って、中央制御電極62への印加電圧のON/OFF制御を半導体レーザ1の出力パワー制御と連動させ、半導体レーザ1の出力パワーが所定値以上の場合には中央制御電極62へ電圧を印加し、所定値以下の場合には電圧を印加しないように、装置を構成することもできる。 【0033】(実施の形態2)本発明の他の実施形態について、図面を参照し、以下に説明する。なお、前述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。図5(a)は、本実施形態の光情報記録再生装置が備える光ピックアップの概略構成を示す説明図である。図5(b)は、この光ピックアップによって光ディスク上に形成される光スポットの光強度分布を、記録時および再生時のそれぞれについて示すグラフである。なお、この光強度分布は、光ディスクの情報トラックに対して垂直な方向における分布である。 【0034】本実施形態の光ピックアップは、図5(a)に示すように、可変位相フィルタ3の代わりに可変波長板15と検光子16との組合せを用いた点で、実施の形態1の光ピックアップと異なる構成であるが、図1(a)の光ピックアップと同様の効果を得ることができる。 【0035】可変波長板15は、実施の形態1の可変位相フィルタ3と同様、図5(c)に示すように、3つの領域15a,15b,15cに分割されている。可変波長板15は、また、可変位相フィルタ3と同様に、分割された各領域に対応する制御電極を有するホモジニアス配向の液晶素子で構成することができるが、図5(c)に示したように、液晶の配向方向が入射光ビームの偏光方向に対して45度をなす点において、可変位相フィルタ3と異なる。 【0036】前述のごとくホモジニアス配向液晶素子は、その配向方向に平行な偏光成分の位相変移を変化させつつ、配向方向に垂直な偏光成分には位相変移を与えないという作用を持ち、位相変移量が可変な波長板として機能する。 【0037】半導体レーザ1からは、紙面に平行な方向の偏光が出射される。信号再生時には可変波長板15での位相変移が0になるよう、可変波長板15としての液晶素子の中央部制御電極への印加電圧を調整する。また、検光子16は、半導体レーザ1の出射光と同じく、紙面に平行な成分の偏光を透過するよう光学軸が設定されている。これにより、信号再生時には、半導体レーザ1からの光は、可変波長板15および検光子16で変調を受けることなく平面波として通過し、光ディスク5上に、図5(b)の右側のグラフに示すような光強度分布を持つ通常の光スポットを得る。これにより、光ディスク5には、図2(b)に示すように、真円状の光スポット10が形成される。 【0038】一方、情報記録時には、可変波長板15の中央領域15bにのみπの位相変移を与えるべく、可変波長板15としての液晶素子の中央部制御電極への印加電圧を調整する。このとき、可変波長板15の中央領域15bが2分の1波長板として機能するので、中央領域15bを通過した光は、偏光方向が90度回転し、検光子16を通過することができない。これにより、検光子16を通過した光ビームは、中央部分を遮光したような強度分布となり、実施の形態1と同様に超解像効果を得ることができる。この結果、光ディスク5に照射される光ビームは、図5(b)の左側のグラフに示すような光強度分布を示し、光ディスク5には、図2(a)に示すように、再生時の光スポット10と比較して、情報トラックに垂直な方向のサイズが縮小された光スポット10aが形成される。 【0039】(実施の形態3)本発明のさらに他の実施形態について、図面を参照し、以下に説明する。なお、本実施形態においても、前述した各実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。 【0040】実施の形態1,2では、記録時のマーク幅を低減する光ピックアップについて述べたが、一定以上にトラック密度を向上させた場合には、記録時に隣接トラックの記録情報が消去されてしまうという問題に加えて、再生時のクロストークも問題となる。 【0041】例えば再生専用デジタルバーサタイルディスク(DVD−ROM)では、波長650nmのレーザ光を、開口数0.6の対物レンズで集光しており、ディスク上の集光スポット径は半値全幅で0.6μm程度となっている。また、トラック間隔が0.74μmに設定されている。 【0042】ここで、ディスクに形成されたピットサイズおよびトラック間隔を半径方向に1.3倍高密度化することにより、トラック間隔を0.57μmまで狭くした光ディスクから、上記の条件の集光光学系を用いて信号再生したとすると、再生信号中のクロストーク成分によって、正常な信号再生が行えないまでに信号劣化が生じる。 【0043】上記のデジタルバーサタイルディスクに限らず、一般に光ディスクの記録情報を集光スポットで読み出す場合には、トラック間隔が集光スポット径と同等レベルになるまで高密度化されると、クロストークの影響が顕著に表れる。 【0044】本実施形態にかかる光ディスクシステム(光情報記録再生装置)は、上記のクロストークの問題を解決するため、記録時には超解像スポットを用い、再生時にはクロストークキャンセラを機能させて、さらに高密度化された光ディスクに対応できる構成である。クロストークキャンセラは、再生対象となるトラック上をトレースする光スポットに加え、隣接するトラックの信号を別個の光スポットを用いて検出し、電気的に差動演算することで、信号中に含まれる隣接トラックからのクロストーク成分を除去する技術である。 【0045】クロストークキャンセラの例は、例えば特開平7−320295号公報などに詳しい。これは、メインスポットの左右に2つの光強度ピーク(サブスポット)を生成して、各サブスポットの位置を、メインスポットが走査する再生対象トラックの両側の隣接トラックに一致させ、再生対象トラックからの信号と同時に、隣接トラックからのクロストーク成分も検出する。特開平7−320295号広報に示されたクロストークキャンセラと超解像技術を組み合わせた、本実施形態にかかる光ディスクシステムの構成を、図6(a)に示す。 【0046】図6(a)に示すように、本光ディスクシステムは、半導体レーザ1、コリメートレンズ2、可変波長板25、可変偏光性位相フィルタ17、偏光ビームスプリッタ6a,ハーフミラー6b、対物レンズ4、集光レンズ8a,8b、光検出器7,9、および差動演算器23を有する光ピックアップを備えている。 【0047】可変偏光性位相フィルタ17は、図6(b)に示すように、4つの領域17a,17b,17c,17dに分割されており、これらの領域の長手方向が光ディスク5上における光ビームの走査方向に平行になるように、可変波長板25とコリメートレンズ2との間に配置されている。 【0048】可変偏光性位相フィルタ17は、実施の形態1の可変位相フィルタ3と同じく、液晶素子を用いて容易に構成することができる。すなわち、実施の形態1で図4(a)〜図4(c)に示した構成と同様に、ガラス基板間にネマチック液晶を封止したホモジニアス配向の液晶素子であって、4つの領域17a,17b,17c,17dにそれぞれ対応して制御電極が設けられた構成とすればよい。液晶の配向方向は、図6(b)に破線矢印で示すように、入射光ビームの偏光方向と平行とする。 【0049】可変波長板25も、同様に、液晶素子を用いて容易に構成できる。すなわち、実施の形態1で図4(a)〜図4(c)に示した可変位相フィルタ3と同様に、ガラス基板間にネマチック液晶を封止し、ホモジニアス配向の構成をとる。ただし、図9に示すように、素子全面に一様な制御電極を形成し、液晶の配向方向を、入射光ビームの偏光方向に対して45度をなす方向とする。 【0050】可変波長板25としての液晶素子に電界が印加されないときには、液晶分子は配向方向に平行に配列され、液晶分子の光学軸に平行な方向に複屈折が生じ、波長板として作用する。制御電極に電圧を印加することにより液晶素子にその基板面に垂直な電界が印加されているときには、液晶分子は、印加電界に対して平行すなわち基板面に垂直に配向される。この場合、液晶素子の光学特性は、面内で等方的になり複屈折性を失う。液晶層の厚みを適当に選ぶことにより、電界を印加しないときに2分の1波長板や4分の1波長板として機能し、電界を印加することで位相変移量を0にすることのできる可変波長板25を実現できる。 【0051】次に、このような構成をとる本実施形態の光ディスクシステムの動作について説明する。 【0052】最初に、信号再生時の動作について説明する。半導体レーザ1は、例えば、図6(a)の紙面に平行な偏光成分のみを持つ直線偏光を出射する。可変波長板25は、信号再生時には、4分の1波長板として働くように位相変移量が調整される。半導体レーザ1の出射光は、可変波長板25を通過して、図6(a)の紙面に垂直な偏光成分と平行な偏光成分が生成される。以降、紙面に垂直な偏光成分をメインビーム、紙面に平行な偏光成分をサブビームと呼ぶ。 【0053】可変偏光性位相フィルタ17は、紙面に平行な偏光成分にのみ位相変移を与え、紙面に垂直な偏光成分には位相変移を与えないという性質を持つ。従って、メインビームは、可変偏光性位相フィルタ17で位相変移を与えられず、対物レンズ4によって集光された光ディスク5上の光スポットは、図7(b)に示すように、通常の回折限界の集光スポットとなる(メインスポット10)。 【0054】メインスポット10は、図7(b)に示すように、再生対象トラック12上に位置制御されて、その反射光は、再生対象トラック12のピット(図示せず)に応じて強度変調される。このとき、光ディスクがトラック間隔を小さくして高密度化されたものである場合は、前述したように、メインスポット10は、隣接トラック13,14をも照射し、再生信号中にクロストーク成分が混入する。 【0055】可変偏光性位相フィルタ17は、信号再生時には、図8(b)に示すように、右側の2領域17c,17dと左側の2領域17a,17bとの位相がπだけ異なるような位相変移を、サブビームに与える。サブビームが対物レンズ4により光ディスク5上に集光される際には、図7(b)に示したように、メインスポット10の両側に2つの光強度ピーク(サブスポット11)が形成され、それぞれのピークが左右の隣接トラック13,14上に位置する。これらサブスポットの反射光は、隣接トラック13,14上のピットに応じて強度変調される。 【0056】光ディスク5からの反射光は、偏光ビームスプリッタ6bでメインビームとサブビームに分離され、光検出器7,9でそれぞれ検出されて、主に再生対象トラック12上の信号を反映したメイン信号21と、主に隣接トラック13,14上の信号を反映したサブ信号22を得る。差動演算器23により適切な割合で両信号の差動信号を電気的に生成することによって、メイン信号21からクロストーク成分を除去した信号を得ることができる。 【0057】一方、光ディスク5への情報記録時には、可変波長板25は2分の1波長板として働くように位相変移量が調整される。このとき、可変波長板25を通過したレーザ光は、全て図6(a)の紙面に垂直な偏光成分となり、可変偏光性位相フィルタ17を通過する。可変偏光性位相フィルタ17は、情報記録時には、図8(a)に示すように、中央の2領域17b,17cと、両外側の2領域17a,17dとの間にπだけ異なる位相変移を与えるように調整される。これにより、実施の形態1と同様に、光ディスク5の記録層に集光されたレーザ光は、図7(a)に示すように、情報トラックに垂直な方向においてスポットサイズが縮小された超解像スポット10aを形成する。これにより、狭マーク記録が可能となる。 【0058】なお、可変偏光性位相フィルタ17は、図6(b)に示したような各領域が均一な幅を持つ構成例に限定されない。例えば、図10(a)〜図10(c)に示すような分割パターンを用いてもよい。これらの分割パターンによれば、情報トラックに垂直な方向に生じるサイドローブの高さが低くなるという効果もある。 【0059】なお、図10(c)のパターンの場合は、情報トラックの前後方向においても、スポットサイズが縮小される。この場合、再生時のスポットサイズに対して、情報トラックに垂直な方向における縮小率は10%程度まで可能であるが、正常な記録を行うためには、情報トラックの前後方向における縮小率は5%以下であることが好ましい。 【0060】なお、上記した各実施形態は、本発明を限定するものではなく、発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記では、光情報担体として光ディスクを例示したが、この光ディスクとしては、相変化型光ディスク、光磁気ディスク、色素系追記型光ディスク、その他の種々のディスクを用いることができる。 【0061】また、上記した各実施形態では、液晶素子等を利用して、記録時と再生時に出射光へ与える位相変移量を互いに異ならせる構成を例示したが、これ以外に、以下のような実施形態も考えられる。 【0062】例えば、図11(a)に示すように、コリメートレンズ2と偏光ビームスプリッタ6との間の光路中に、位相フィルタ43を機械的に挿入/除去するフィルタ移動機構51を有する光ピックアップも、本発明の一実施形態である。位相フィルタ43は、図11(b)に示すように、3つの領域43a,43b,43cに分割され、中央部の領域43bと、両側の領域43a,43cとの間に、πの位相差を与えるものであり、表面に凹凸形状を形成した透明基板等により形成される。具体的には、ガラス基板表面の一部を選択エッチング除去したり、樹脂成型などによって作製できる。位相フィルタ43を、フィルタ移動機構51により、記録時にコリメートレンズ2と偏光ビームスプリッタ6との間の光路中に挿入し、再生時には除去することにより、図1(a)の光ピックアップと同様の効果が得られる。 【0063】あるいは、図12に示すような構成の光ピックアップも、本発明の一実施形態である。この光ピックアップは、半導体レーザ1を2台備え、その一方である半導体レーザ1aの出射光の光路中に前述の位相フィルタ43を配置し、記録時には半導体レーザ1aを光源として用い、再生時には他方の半導体レーザ1bを用いる構成であり、上記と同様の効果が得られる。 【0064】 【発明の効果】本発明によって、トラック密度の高い記録再生型高密度光ディスクの記録再生が可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095555 【弁理士】 【氏名又は名称】池内 寛幸 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−56562(P2002−56562A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2001−157571(P2001−157571) |
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