| 【発明の名称】 |
光ヘッド装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】野村 琢治
【氏名】村田 浩一
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| 【要約】 |
【課題】光源からの出射光に対し、波面形状を変化させる位相補正素子に電圧を供給ための制御回路の数を少なくして、波面形状の変化を連続的に行える位相補正素子を備えた光ヘッド装置を得る。
【解決手段】一対の基板間に異方性光学媒質を挟持し、一対の基板の表面には異方性光学媒質への電圧印加用の電極をそれぞれ形成し、少なくとも一方の電極には2つ以上の給電部をそれぞれ異なる位置に形成して、導電性薄膜からなる薄膜抵抗を介して給電部の2つ以上が導電接続された位相補正素子を作製し、この位相補正素子4を光ヘッド装置のコリメートレンズ3と4分の1波長板5との間に設置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面を変化させる位相補正素子と、波面を変化させるための電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手段とを備えた光ヘッド装置であって、位相補正素子は一対の基板に挟持された異方性光学媒質を備えており、一対の基板の対向するそれぞれの表面には異方性光学媒質への電圧印加用の電極が形成されており、少なくとも一方の電極には複数の給電部がそれぞれ異なる位置に形成されており、導電性薄膜からなる薄膜抵抗を介して複数の給電部の2つ以上が導電接続されていることを特徴とする光ヘッド装置。 【請求項2】前記給電部が形成されている電極が分割されて複数の分割電極とされ、それぞれの分割電極には1つ以上の給電部が配置されており、前記給電部のうち2つ以上が前記薄膜抵抗を介して導電接続されている請求項1に記載の光ヘッド装置。 【請求項3】前記薄膜抵抗の全ては、抵抗値が100Ωから1000kΩまでの範囲にある請求項1または2に記載の光ヘッド装置。 【請求項4】前記電極を形成する電極材料のシート抵抗の全ては、前記給電部を形成する給電部材料のシート抵抗の1000倍以上である請求項1、2または3に記載の光ヘッド装置。 【請求項5】前記電極材料は、ガリウムが添加された酸化亜鉛膜、またはガリウムとシリコンとが添加された酸化亜鉛膜からなる請求項4に記載の光ヘッド装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクなどの光記録媒体の記録・再生を行う光ヘッド装置に関する。 【0002】 【従来の技術】光ディスクであるDVDは、同じく光ディスクであるCDに比べディジタル情報が高密度で記録されており、DVDを再生するための光ヘッド装置は、光源の波長をCDの780nmよりも短い650nmまたは635nmとしたり、対物レンズの開口数(NA)をCDの0.45よりも大きい0.6にして光ディスク面上に集光するスポット径を小さくしている。 【0003】さらに、次世代の光記録においては光源の波長を400nm程度、NAを0.6以上とすることで、より大きな記録密度を得ることが提案されている。しかし、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因で、光ディスク面が光軸に対して直角より傾くチルトの許容量や光ディスクの厚さムラの許容量が小さくなる。 【0004】これら許容量が小さくなる理由は、光ディスクのチルトの場合にはコマ収差が発生し、光ディスクの厚さムラの場合には球面収差が発生するために、光ヘッド装置の集光特性が劣化して信号の読み取りが困難になることによる。高密度記録において、光ディスクのチルトや厚さムラに対する光ヘッド装置の許容量を拡げるためにいくつかの方式が提案されている。 【0005】一つの方式として、通常光ディスクの接線方向と半径方向との2軸方向に移動する対物レンズのアクチュエータに、検出されたチルト角に応じて対物レンズを傾けるように傾斜用の軸を追加する方式がある。しかし、この追加方式では球面収差は補正できない、アクチュエータの構造が複雑になる、などの問題がある。 【0006】別の方式として、対物レンズと光源との間に備えた位相補正素子により波面収差を補正する方式がある。この補正方式では、アクチュエータに大幅な改造を施すことなく光ヘッド装置に素子を組み入れるだけで光ディスクのチルトの許容量や厚さムラの許容量を拡げることができる。 【0007】例えば、位相補正素子を用いて光ディスクのチルトを補正する上記の補正方式に特開平10−20263がある。これは、位相補正素子を構成している液晶などの複屈折性材料を挟持している一対の基板のそれぞれに、電極が分割されて形成された分割電極に電圧を印加して、複屈折性材料の実質的な屈折率を光ディスクのチルト角に応じて変化させ、この屈折率の変化により発生した透過光の位相(波面)変化により、光ディスクのチルトで発生したコマ収差を補正する方式である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】従来の位相補正素子では光源からの出射光の波面を変化させて波面収差を補正するために、位相補正素子に備えられた電極を複数個に分割して各々異なる制御信号である電圧を印加する必要がある。そのため、所望の波面形状を得るには多数の電極、配線および外部信号源(電源)が必要であり、素子構成の複雑化や多数の外部信号源(電源)使用による装置の繁雑化などの問題が生ずる。これに対し、電極、配線および外部信号源(電源)の数を、できるかぎり低減させたい要望があった。 【0009】1つの電極に着目すると波面の変化量は同じであるため、連続的に変化させることは困難である。特に、球面収差の周辺部分などの波面収差の変化量が大きい領域を連続的に変化させることが望まれていた。さらに、分割された電極間の領域には外部信号を印加できないため、光散乱などによる光の透過率低下の原因になる場合もある。したがって、できるかぎり分割電極数を減らして、電極間の領域数を減らすことが望まれていた。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光源と、光源からの出射光を光記録媒体上に集光させるための対物レンズと、光源と対物レンズとの間に設けられた出射光の波面を変化させる位相補正素子と、波面を変化させるための電圧を位相補正素子へ出力する制御電圧発生手段とを備えた光ヘッド装置であって、位相補正素子は一対の基板に挟持された異方性光学媒質を備えており、一対の基板の対向するそれぞれの表面には異方性光学媒質への電圧印加用の電極が形成されており、少なくとも一方の電極には複数の給電部がそれぞれ異なる位置に形成され、導電性薄膜からなる薄膜抵抗を介して複数の給電部の2つ以上が導電接続されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。 【0011】また、前記給電部が形成されている電極が分割されて複数の分割電極とされ、それぞれの分割電極には1つ以上の給電部が配置されており、前記給電部のうち2つ以上が前記薄膜抵抗を介して導電接続されている上記の光ヘッド装置を提供する。 【0012】 【発明の実施の形態】図1に本発明の光ヘッド装置の原理構成の一例を示す。図1に示した光ヘッド装置はCDまたはDVDなどの光ディスク8に記録された情報を再生するためのものであり、光源である例えば半導体レーザ1から出射した光は例えばホログラムタイプの偏光ビームスプリッタ2を透過した後、コリメートレンズ3により平行光となり、位相補正素子4を透過後、立ち上げミラー11で90°方向に反射され、4分の1波長板5を透過し、アクチュエータ7に設置された対物レンズ6により光ディスク8上に集光される。位相補正素子4を構成している一対の基板はともに透明である。基板がともに透明でなく、一方のみが透明であってもよく、これについては後に述べる。 【0013】集光された光は光ディスク8により反射され、対物レンズ6、4分の1波長板5、立ち上げミラー11、位相補正素子4、コリメートレンズ3を順次先程とは逆に透過した後、偏光ビームスプリッタ2により回折され光検出器9に入射する。前述の半導体レーザ1からの出射光が光ディスク8により反射される際、光ディスクの面上に記録された情報により反射光は振幅変調され、光検出器9により光強度信号として記録情報を読み取ることができる。 【0014】偏光ビームスプリッタ2は例えば偏光性のホログラムを備えており、異方性方向(屈折率に差がある方向)に偏光成分を有する光を強く回折して光検出器9に導く。光検出器9より得られる光ディスクの例えば再生信号の強度が最適となるように、位相補正素子4に向けて制御電圧発生手段である位相補正素子制御回路10により電圧が出力される。位相補正素子制御回路10より出力される電圧は、光ディスクのチルト量や対物レンズのシフト量に応じた電圧であり、位相補正素子4の電極に印加する実質的に変化する電圧となる。 【0015】また立ち上げミラー11は、半導体レーザ1より出射した光をほぼ90゜方向に反射させ光ディスクに入射させるものであり、光ヘッド装置の厚さ(光ディスク8の面に垂直な方向)を薄くするには使用することが好ましい光学部品である。通常は、ガラス表面にアルミニウムなどの高反射膜を蒸着したものが使用される。図1では、立ち上げミラー11を使用し、半導体レーザ1より出射した光の光路を変更したが、立ち上げミラー11を使用せずはじめから半導体レーザ1からの出射光の方向を光ディスク8の面に垂直となるようにしてもよい。 【0016】異方性光学媒質には、ニオブ酸リチウムなどの光学結晶や液晶などが使用できる。異方性光学媒質として液晶を用いることは、例えば6V程度の低い電圧によって実質的な屈折率が容易にかつ電圧の大きさに応じて連続的に制御できて好ましい。さらに、ニオブ酸リチウムなどの光学結晶などと比べて量産性が高く好ましい。したがって以下では、異方性光学媒質として液晶の材料を使用する場合について説明する。 【0017】使用する液晶材料は、ディスプレイ用途などに用いられるネマティック液晶がよく、カイラル剤の添加によりツイストさせてもよい。また、使用する基板の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが使用できるが、耐久性などの点からガラスの基板が好ましい。したがって、以下では基板の材料としてガラスを使用する場合について説明する。 【0018】つぎに本発明において使用する位相補正素子の構成を図2を用いて説明する。ガラス基板21a、21bが、例えばエポキシ系樹脂を主成分とするシール材22により接着され液晶セルを形成している。シール材22には例えばガラス製のスペーサと例えば樹脂の表面に金などを被膜した導電性スペーサが含まれている。ガラス基板21aの内側表面には、内側表面から電極24a、シリカなどを主成分とする絶縁膜25、配向膜26がこの順に、またガラス基板21bの内側表面には、内側表面から電極24b、シリカなどを主成分とする絶縁膜25、配向膜26がこの順に被膜されている。液晶セルの外側表面には反射防止膜が被膜されていてもよい。 【0019】電極24aは電極引出部27で接続線によって位相補正素子制御回路と接続できるようパターン配線されている。また電極24bは上述の金などを被膜した導電性スペーサによりガラス基板21a上に形成された電極24aと導電接続しており、したがって、電極24bは電極引出部27で接続線によって位相補正素子制御回路と接続できる。図2には、電極24bと電極24aとがシール材22と接している様子が示されていないが、紙面と平行なシール材とは接しており両電極は導電性スペーサを通じて導電接続されている。液晶セル内部には液晶23が充填されており、図2に示した液晶分子28は、一方向に配向されたホモジニアス配向の状態にある。 【0020】本発明における位相補正素子では、これら電極24a、電極24bの少なくとも一方の電極の面内の異なる位置に、異なる電圧を供給するための複数(2つ以上)の給電部を形成している。すなわち、一方の電極の場合は2つ以上の給電部を、両方の電極の場合はそれぞれに2つ以上の給電部(合計4つ以上)を形成する。 【0021】配向膜の材料としては、液晶分子28のプレチルト角が2〜10゜となれば好ましく、ポリイミド膜を図2の紙面に平行で左右方向にラビングしたものや、シリカ膜を斜め蒸着したものなどがよい。また、液晶の常光屈折率と異常光屈折率との差を大きくして液晶セルの間隔を小さくした方が応答性を高くでき好ましい。しかし、液晶セルの間隔が小さくなるほど液晶セルの製作が困難になるため、液晶の常光屈折率と異常光屈折率の差は0.1〜0.2、液晶セルの間隔は2〜5μm程度とすることが好ましい。 【0022】図1に示した光ヘッド装置の場合、一対の基板の両方ともが透明であり、光は位相補正素子4を透過するため、電極24a、24bの材質は透過率が高い方が望ましく、ITO膜、酸化亜鉛膜などの透明導電膜を使用すればよい。この場合は、位相補正素子4を透過型素子として使用している。 【0023】しかし、一対の基板の片方のみを透明な基板とする場合、電極24a、24bのいずれか一方をアルミニウム、クロムなどの反射率の高い材質を用いて作製し、位相補正素子4を反射型素子として使用できる。このとき、図1の立ち上げミラー11の代わりにこの位置に位相補正素子4を設置できる。最初に光が入射する側の電極(例えば電極24a)を高透過率の透明電極にして、他方の電極(例えば電極24b)を高反射率の電極にすれば、位相補正素子4に入射した光は、透明の電極24a、液晶を透過して電極24bで反射された後、再度、液晶、透明の電極24aを透過して光ディスク8に向かう。 【0024】上述のように位相補正素子4として反射型素子を使用すれば、すなわち位相補正素子を構成する一対の基板のうち一方が透明な基板であれば、図1の立ち上げミラー11を位相補正素子4で置き換えることができるため部品点数が減り、また光ヘッド装置の厚さを薄くできて好ましい。この場合、位相補正素子4に入射する光はほぼ45゜の角度で液晶23を2度通過するため、透過型の場合と異なる液晶セル間隔(液晶セルの中の液晶層の厚さ)を設定しておけばよい。 【0025】以上、位相補正素子を用いて波面を変化させる機能に必要な構成を述べたが、波長板や偏光ホログラムを位相補正素子4に積層することにより、波長板5や偏光ビームスプリッタ2の機能を位相補正素子4が併せ持つようにできる。この場合、光ヘッド装置を構成する光学部品の数が減ることで組立、調整が簡易となり、生産性が向上して好ましい。 【0026】位相補正素子4に、回折格子や光源の波長により光束径を変化させるためのダイクロイック開口制限層などを積層したり、ガラス基板21a、21bの外側表面上にダイクロイック開口制限層を直接形成したりすることもでき、この場合も個々の部品を新たに追加することに比べて生産性が向上して好ましい。波長板を積層する場合は、光ディスク側のガラス基板に直接貼り合せるか、または貼り合わせたガラス基板をさらに積層すればよい。 【0027】つぎに、本発明における位相補正素子を構成する基板上の電極に形成される、電圧供給のための給電部を導電接続する薄膜抵抗について説明する。本発明における位相補正素子は、例えば同一基板上の電極に形成された上記の給電部の2つ以上は、導電性薄膜により形成された薄膜抵抗により基板面上で導電接続されている。薄膜抵抗を設けることにより得られる効果を、球面収差を補正する場合を例に以下詳しく説明する。 【0028】図3は対物レンズのNAが0.65、光源の波長が0.4μmの光学系において、光ディスクの厚さが設計値の0.6mmより0.03mm厚くなった場合に発生する波面収差(球面収差)を示す図である。光ディスクが設計値より厚い場合は有効瞳の中心部および周辺部に比べて、その両部に挟まれた中間部の位相が進んだ状態となり、厚さが薄い場合は位相が遅れた状態となる。 【0029】本発明における位相補正素子との比較を容易とするために、ここで従来の位相補正素子について説明する。図4は上記のような球面収差を補正するために用いられる位相補正素子の電極パターンの従来例であり、薄膜抵抗を有しない構成である。図4中の斜線部は高抵抗の透明導電膜で形成された透明電極30であり、給電部31を中心に同心円状に給電部32、33、34が形成され、図中の直線状の太線で示した配線により給電部31〜34は外部信号源に接続され、給電部31、34は信号1を、給電部32は信号3を、給電部33は信号2を供給され、各々の給電部に電圧を印加できる。 【0030】したがって、従来例では3つ以上の信号を発生できる外部信号源(図4では3つ)が必要である。図5は従来例の位相補正素子の電極パターンの等価回路図である。図5の点35、36、37、38は図4に示した給電部31、32、33、34に相当する。また抵抗R1は透明電極30に起因する給電部31、32間の抵抗であり、同様にR2、R3は給電部32と33、給電部33と34の間の抵抗である。ここで、給電部の抵抗および給電部と外部信号源との配線の抵抗は、透明電極30に起因する抵抗R1、R2、R3に比べ充分小さいので等価回路では無視する。 【0031】透明電極30および給電部の材質については後程詳しく述べる。図3の球面収差を補正するために、給電部に電圧V1、V2、V3を印加して透明電極30の面内で電圧降下を発生させ連続的な電位分布を発現させる。図6は球面収差量と電位の大きさの関係について中心点を通る切断面で比較した図であり、電圧V1、V2、V3を適切に設定することで電位分布形状を収差分布形状に一致させることができる。 【0032】位相補正素子内部の液晶分子は、電圧の印加により配向方向が場所により連続的に変化する。したがって、上記のように連続的に変化する電圧分布では配向方向が場所により連続的に変化するため液晶複屈折の実質的な屈折率差δnが連続的に変化する。入射光の波面はδnの大きさに応じて位相シフトするため、印加電圧の大きさに応じて位相シフト量を変化できる。したがって、発生した収差量に応じた電圧を印加することで波面収差を相殺し補正できる。 【0033】以上が従来の位相補正素子であるが、つぎに本発明における位相補正素子について述べる。図7は本発明における位相補正素子の電極パターンを示す図であり、薄膜抵抗45を設置した場合である。透明電極40、給電部41、42、43、44および信号1、2は図4の従来例と同じであり、給電部42が薄膜抵抗45を使用して給電部41、44と導電接続され信号1を印加できる点が異なる。図8は、図5と同様に点46、47、48、49は給電部41、42、43、44に相当し抵抗R1、R2、R3は給電部41と42、42と43、43と44の間の透明電極40による抵抗をそれぞれ表わしている。RSは薄膜抵抗45の抵抗を示しており、点47が所望の電圧になるように、信号1より供給される電圧V1を分圧する。したがって、従来例では点47の電圧(図5の点36に相当)は別の信号源より発生した信号3により得られているが、本発明における位相補正素子の場合信号3は不要であるため、従来より少ない信号源で動作させることができる。点47における電圧V3はオームの法則を用いて計算した式(1)より得られる。 【0034】 【数1】
【0035】したがって、透明電極の抵抗R1、R2および駆動電圧V1、V2が得られていればRSを適切に設定することで、従来、外部信号源から供給されていた電圧と等しい電圧を印加できる。 【0036】薄膜抵抗の抵抗RSは、薄膜抵抗を構成している導電性薄膜のシート抵抗ρL、薄膜抵抗の幅W、長さLを用いてRS=ρL×L/Wと書くことができる。例えばRS=10kΩにするには、ρL=300Ω/□、L=1mm、W=30μmにすればよい。薄膜抵抗の線幅Wは狭すぎると形状誤差による抵抗バラツキが大きくなるため10μm以上にするのがよい。長さLが長くなり基板上に設置が困難になった場合には、途中折り曲げてもよい。 【0037】上記の構成では信号1による電圧V1を分圧して点47の電圧を設定したが、同様な原理により信号2による電圧V2を分圧してもよい。この場合、薄膜抵抗は図7で信号2側の配線に接続され、図8の等価回路では抵抗R2と並列になるよう点47と48との間に設置される。 【0038】つぎに電極、給電部、薄膜抵抗の抵抗値、および材質について述べる。給電部を形成する給電部材料のシート抵抗ρSと電極を形成する電極材料のシート抵抗ρTの比ρT/ρSを1000以上にすることが好ましい。ρT/ρSが小さい場合、電極にも比較的大きな電流が流れ、電極と接している給電部内で電圧降下が生じて、所望の電圧分布を得ることが困難となることがある。したがって、給電部材料に比べ電極材料のシート抵抗が高いほど、隣接する給電部間で電位を連続的に変化させやすく、所望の電位分布を得ることができる。ρT/ρSを1000以上にすることがこの条件を満たすための目安である。 【0039】しかし、ρTが大きすぎると給電部の導電性がなくなり電位分布は発生しない。したがってρSをできるだけ小さくする方が望ましく、ρSは0.1〜10Ω/□程度、ρTは100〜100kΩ/□程度がよい。以上の条件を満足し適切にρSとρTを設定すると、一方の電極のみに2つ以上の給電部を形成しこれら2つ以上の給電部にそれぞれ異なる電圧を供給した場合、給電部S1、S2、S3・・・それぞれの給電部内では等電位となるが、電極面内の電位分布は給電部間で発生する電圧降下により連続的に変化する。この連続的に変化する状況は、2つ(2面)の電極に2つ以上の給電部を形成して異なる電圧を供給しても同じである。 【0040】給電部材料としては、銅、金、アルミニウム、クロムなどの金属材料が導電性・耐久性の点から好ましいが、比抵抗が室温で10-8〜10-7Ω・m程度あれば金属以外の材料でもよい。例えばITO膜などの透明導電膜を用いることもでき、金属材料を使用する場合に比べ遮光部がなくなるため光の透過率が高くなり好ましい。しかし透明導電膜は金属膜に比べ比抵抗が大きいため、シート抵抗を小さくするためには膜厚を厚くする必要がある。 【0041】給電部に外部の位相補正素子制御回路より電圧を印加するための電極引き出し部27上の配線材料はITO膜のような透明導電膜でもよく、クロムやニッケルのような金属膜でもよい。特にニッケルなどハンダで接続可能な金属の場合、外部の信号線を容易にハンダで接続でき好ましい。 【0042】一方、電極材料としては透明でありかつ給電部材料に比べシート抵抗が高い必要がある。透明導電膜であるITO膜などがよく、ITO膜はシート抵抗が高いほどよく100Ω/□以上が好ましい。さらに、1kΩ/□以上にした方がρSを1Ω/□程度にできるため、給電部の膜厚を薄くできるなど作製が容易になりより好ましい。 【0043】ρTを大きくするために酸化亜鉛膜やガリウムを含む酸化亜鉛膜(GZO膜)、またはガリウムとシリコンを含む酸化亜鉛膜(GZS膜)を用いることはITO膜に比べ容易に高抵抗膜を得られるため好ましい。特に、GZO膜やGZS膜は高比抵抗でありながらエッチング性も良好であり、光の透過率、耐久性に優れている点で本発明の光ヘッド装置において好適な材料である。 【0044】酸化亜鉛膜へガリウムを添加する場合、膜の透過率が変化するためその添加量を1〜10質量%にすることが好ましい。また、ガリウムとシリコンをともに添加する場合においても、膜の透過率が変化するためその合計した添加量を1〜20質量%にすることが好ましい。 【0045】一方、薄膜抵抗の材料としては式(1)に示すV3の値が所定値となるように、R1、R2、R3を決める必要がある。光ヘッド装置に用いる場合、薄膜抵抗の抵抗値を100Ω〜1000kΩにすることは、電極および薄膜抵抗の作製が容易となり望ましく、ITOやGZO、GZSなどを使用できる。薄膜抵抗の材料を電極材料と同じにし電極形成時に同時に形成することは、材料の抵抗値がロットによりバラついても、その影響は式(1)に示すように分母・分子で相殺されるため、V3には影響を与えず好ましい。 【0046】つぎに、給電部の形状や大きさに関して説明する。給電部の形状や大きさは、上述のように状況に応じて変化させることが好ましい。すなわち位相補正素子により発生する波面の変化は、給電部の形状や大きさなどに依存し、補正したい波面収差の種類や発生させたい波面形状に応じて変化させればよい。ここで、波面収差としてはコマ収差、球面収差、非点収差などがある。 【0047】コマ収差は、上述のように光ディスクのチルトにより発生する収差であり、位相補正素子上の入射光束の中心を通って素子面に平行で、かつ光ディスクの回転方向に平行な直線の回りに180°回転したとき重なる形状を有している。したがって、給電部は、上述の平行な直線に対して対称となるように配置されるのがよい。 【0048】具体的には、例えば連続する1枚の電極の中央部には通常長方形状または直線状の給電部を設け、周辺部には電極の周辺部での形状(円弧など)の給電部を設ける。そして、それらの給電部が上述の直線に対して対称となるよう給電部を配置する。このように給電部を配置することは、最も効果的にコマ収差を補正できるので好ましい。 【0049】球面収差を補正する場合は、球面収差が光軸を中心とする同心円形状であるため、給電部は、同心円状に形成された2つ以上の円環体を有していることが好ましい。さらに、位相補正素子を通過する光源からの出射光の光束半径を1とすると、1つの円環体の半径は0.65から0.85までの値を有し、かつ上記とは異なる1つの円環体の半径は0.2から0.4までの値を有することが好ましい。ここで、円環体はドーナツ状であって半径には幅があるので、円環体の半径とは内半径と外半径の平均値を意味する。 【0050】通常、半径0.65の円と半径0.85の円によって囲まれる領域(領域A)に球面収差の最大値が存在するため、給電部である1つの円環体が、光軸と中心を合わせて領域Aに形成されることが好ましい。さらに、半径が0.2と半径が0.4で囲まれる領域(領域C)に、精度を極めて高く球面収差を補正するため上記とは異なる1つの円環体状の給電部を光軸と中心を合わせて設けることが好ましい。 【0051】半径0.65の円と半径0.85の円のかわりに、半径0.7の円と0.8の円とすることは、領域Aよりも領域は狭いが球面収差の最大値が存在する確率が高い領域に円環体が追加でき、さらに他の円環体が追加でき球面収差の微調整ができて好ましい。 【0052】電極が連続する1枚の電極の場合、光軸を含み半径が0.2より小さい光軸近傍領域(領域B)にさらに、円環体状の給電部を光軸と中心を合わせて設けることにより、さらに球面収差の微調整ができてより好ましい。電極が分割電極であって、領域Bが他の領域(領域A、領域Cなど)と分離されている場合でも、上述のように精度を極めて高くして球面収差を補正できるので充分である。 【0053】非点収差の場合には、連続する1枚の電極に設ける、電極の中心部の1点を通る複数個の放射線状給電部が好ましく個数を増やすほど所望の電位分布が得られる。さらに、コマ収差と球面収差の両方を含む波面収差などを補正することもでき、この場合は上記の直線状の給電部と同心円状の給電部とを組み合わせるなどすればよい。 【0054】上述したように、一対の連続する電極のそれぞれに異なる形状の給電部を設けて、一方の電極がコマ収差を補正し、他方の電極が球面収差を補正するようにもできる。同様に、一対の電極の一方を給電部を有する連続する1枚の電極にして、他方を複数個に分割した分割電極とすることにより、連続した収差分布と階段状の収差分布の両方を発生させることもできる。波面収差であるコマ収差、球面収差、非点収差などはシステムとしての光ヘッド装置が発生させるものであり、したがって光ヘッド装置内に本発明における位相補正素子を組み込むことにより波面収差を有効に補正できる。 【0055】本発明における位相補正素子は透過する光の波面形状を変化させる機能を有しているため、波面収差を補正するだけでなく光の焦点位置を変えるなど他の目的においても同様な原理により使用できる。例えば、単に光学倍率を変化させて透過する光の焦点位置を変化させる目的に使用したり、また透過する波面を傾けて出射させることで光の進行方向を変える目的にも使用できる。 【0056】波面収差を補正する場合においても、上記のコマ収差、球面収差、非点収差などのより高次の波面収差も補正できる。これらの場合においても、所望する波面の変化に応じて給電部の形状や数、位置、または電極の分割方法などを適宜設定すればよい。 【0057】本発明における位相補正素子の、給電部が設けられた電極が分割されて複数の分割電極とされ、それぞれの分割電極には1つ以上の給電部が配置されており、給電部のうち2つ以上が薄膜抵抗により導電接続されていることが好ましい。導電接続される2つ以上の給電部が、同一の分割電極上の給電部であれば連続的な電圧分布が発生できて好ましく、異なる分割電極上の給電部であれば非連続的な電圧分布が必要な場合に使用できて好ましい。 【0058】いずれの場合においても、薄膜抵抗を使用して2つ以上の給電部を導電接続することにより、従来と比べより少ない外部信号源で光ヘッド装置を動作できる。また、薄膜抵抗の接続先の一方が給電部であり、他方が給電部を有しない分割電極である構成の場合においても同様の効果が得られる。 【0059】 【実施例】「例1」本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚さムラにより生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えている。対物レンズは光ディスクの厚さが設計値からずれると球面収差を発生し信号の読み取り精度が低下する。この球面収差を補正する位相補正素子を図1の光ヘッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改良されている。 【0060】本例の位相補正素子の素子構造は図2に示したものと同じである。以下に本例の位相補正素子により球面収差を補正する原理を説明する。本例の光ヘッド装置における対物レンズのNAは0.65、光源の波長は0.4μmであった。光ディスクの厚さが、設計値の0.6mmよりも0.03mmだけ厚い場合に発生する波面収差(球面収差)は上記のように図3に示される。本例における位相補正素子の電極パターンは図7に示すものであり、等価回路は図8に示したものである。 【0061】図7中の斜線部はGZO膜で形成された透明電極40であり、太線部分(環状体)はクロム薄膜をエッチング技術により形成した給電部41、42、43、44である。給電部は、同一の基板面上に形成された同じクロム薄膜による配線によって、外部の信号源である信号1、2に接続されている。給電部42は同一の基板面上に形成された薄膜抵抗45により信号1に接続されている。 【0062】給電部41〜44の幅は100μm、給電部42、43、44の直径はそれぞれ0.5、1.5、2.2mmであり、給電部41は直径50μmの円形であった。以上の電極および給電部のパターンは以下のように形成した。まず、ガラス基板上にスパッタ法にてクロム膜を堆積させた後、エッチング技術により不用部分を取り除き給電部および配線を形成した。つぎに、ITO膜をスパッタ法により堆積した後、エッチング技術により薄膜抵抗45を形成した。その後、スパッタ法によりGZO膜を堆積しエッチング技術により透明電極40を形成した。 【0063】各部のシート抵抗値として、給電部が1Ω/□、電極が100kΩ/□、薄膜抵抗が300Ω/□であった。図8の抵抗R1、R2、R3に相当する給電部間の電極抵抗値はそれぞれ50、28、20kΩであった。薄膜抵抗の抵抗値および形状は次のようにして決めた。給電部41、44の電位が信号1によりV1=2V、給電部43の電位が信号2によりV2=3Vとした場合、図8の点47に相当する給電部42の電位を約2.15Vにするために、式(1)よりRS=5.48kΩとすればよい。したがって、シート抵抗ρLは300Ω/□であるので薄膜抵抗の線幅Wを30μmとすると、長さLはRS=ρL×L/Wより約0.55mmになる。本例では幅30μm、長さ0.55mmの線を3回折り曲げた形状の抵抗値5.48kΩの薄膜抵抗(線状抵抗)を形成した。 【0064】0.03mmの光ディスクの厚さムラにより発生する球面収差を位相補正素子により補正するために、給電部41、44に2.3V、給電部43に2.0Vの電圧を供給した。その結果、薄膜抵抗により給電部42には約2.05Vの電圧が供給された。ここで、図7に示した給電部を有する電極に対向する電極は、給電部を1つ有する一枚の透明電極で構成されており、常に0Vの電位になる。 【0065】図9に位相補正素子により発生した位相変化をnm単位で示した。円の中心部と外周部の位相変化を0nmとした場合、中間部領域の位相変化は−100nm程度になる。ここで、複数個ある実線の円は等高線であって、−100nmの中間部領域の内側では1本の等高線が20nmを表し、外側では約30nmを表す。透明電極40(図7)には、給電部の電圧に応じて電圧分布が発生する。上述したように、図7の透明電極40内の電圧分布により液晶の実質的な屈折率分布が生じる結果、位相補正素子は図9に示す同心円状の位相変化を発生できる。 【0066】一方、光ディスク厚さが0.03mmだけ薄い場合には、図7とは正負が逆転した球面収差を補正するために、給電部41、44に2.0V、給電部43に2.3Vを供給すれば位相補正素子によって発生する位相変化が図9の正負を逆転した形になるため球面収差を相殺できる。以上のように所望の電圧が得られるよう薄膜抵抗45を設け、給電部41、43、44に適切な電圧を供給することにより図7の球面収差を補正できる。 【0067】「例2」本例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚さムラにより生ずる球面収差と光ディスクのチルトにより発生するコマ収差の両者を補正する位相補正素子を備えている。この位相補正素子を図1の光ヘッド装置の位相補正素子4として組み込んだ。ただし、位相補正素子制御回路10は本例の位相補正素子用に改良されている。本例の位相補正素子の素子構造は図2に示したものと同じで、以下に述べる電極パターンおよび材料が異なる。 【0068】図2の電極24aは図10に示すように分割電極51、52、55と分割電極55に形成した給電部53、54、および薄膜抵抗56、57により構成されている。図10では薄膜抵抗56、57は模式的に表わされており、実際の形状は所望の抵抗値が得られるよう線状などにする。 【0069】分割電極51、52、55の材質はGZS膜であり、給電部53、54、および薄膜抵抗56、57の材質はITO膜であった。GZS膜、ITO膜のシート抵抗はそれぞれ1000、10kΩ/□であった。電極24aはまず、ガラス基板上にITO膜をスパッタ法により成膜しフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用い給電部53、54、および薄膜抵抗56、57を形成した。給電部53、54の幅は50μmとした。つぎにGZS膜をスパッタ法により成膜しフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて分割電極51、52、55を形成した。分割電極の分割間隔は5μmとした。図10の信号1および2は、それぞれ分割電極51と給電部54、および給電部53に印加される信号であり、位相補正素子制御回路10により発生する。 【0070】一方、電極24bには図11に示すように分割電極61〜65が形成されておりコマ収差を補正できる。図11の分割電極は、ガラス基板にスパッタ法によりITO膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターンを形成した。図10の太線は分割電極間ギャップを示しており、この部分はエッチングによりITO膜が取り除かれているため電圧印加されない。分割電極間ギャップの幅は5μmであった。 【0071】以下に本例の位相補正素子により球面収差とコマ収差を補正する原理を説明する。位相補正素子制御回路の出力波形は、周波数1kHz、デューティ比1/2の矩形交流波信号であり、交流信号の位相は電極24a内および電極24b内は同位相であり、電極24aと電極24b間は逆位相(位相差180°)になる。ここで、位相補正素子制御回路のコモン電圧(例えば0V)に対する電圧として、電極24aの分割電極、給電部の電圧をVn(S)(n=1〜4)、電極24bの分割電極の電圧をVm(D)(m=1〜5)とすれば、位相は両者で180°ずれているから、ある瞬間ではVn(S)>0、Vm(D)<0であり、またある瞬間ではVn(S)<0、Vm(D)>0になる。したがって、液晶分子28を駆動する実効電圧Vnm(E)は、[Vn(S)−Vm(D)]rmsであり、Vn(S)とVm(D)の差のrms値(振幅の自乗の時間的平均の平方根)になる。 【0072】本例の場合、デューティ比が1/2で位相が180°ずれた矩形交流波であるので、単に差の絶対値|Vn(S)−Vm(D)|に一致する。印加する電圧Vn(S)、Vm(D)は補正する収差分布により異なる。 【0073】まず球面収差だけを補正する場合、コマ収差補正用である分割電極61〜65には固定電圧を印加する。本例ではVm(D)=1V(m=1〜5)とした。球面収差補正用である電極24aについては、信号1を固定電圧として分割電極51、給電部54に対してVn(S)=1V(n=1、4)とし、信号2には光ディスクの厚さムラに対応する電圧として分割電極52、給電部53にVn(S)=0.5〜1.5V(n=2、3)を印加した。よって実効電圧Vnm(E)は、分割電極51、給電部54では常に2Vrmsになり、分割電極52、給電部53では光ディスクの厚さムラに応じて1.5〜2.5Vrmsまで変化する。その結果、例1と同様にメタル電極間に発生する連続的な電位分布により、実効電圧も連続的に変化するため、電極パターンに応じた位相変化を得ることができる。 【0074】つぎにコマ収差だけを補正する場合、前述とは逆に球面収差補正用の電極24aに対しては、信号1、2とも固定電圧とし、分割電極、給電部ともVn(S)(n=1〜4)=1Vを印加した。一方、コマ収差補正用の電極24bに対しては分割電極63には固定電圧1Vを印加した。分割電極61と64、62と65に対しては、それぞれ等しい電圧を光ディスクのチルト量に応じて、0.5〜1.5Vの電圧を、(V1(D)+V2(D))/2=V3(D)の関係を満足するよう印加した。 【0075】よって実効電圧Vnm(E)は、分割電極63では常に2Vrmsになり、分割電極61、62、64、65では光ディスクのチルト量に応じて1.5〜2.5Vrmsの範囲で変化する。その結果、図11に示した電極パタ−ンの形状に等しい電位分布が発生し、位相変化を得ることができた。 【0076】つぎに球面収差とコマ収差を同時に補正する場合について述べる。この場合、分割電極63と分割電極51、給電部54には固定電圧1Vを印加し、分割電極61、62、64、65は光ディスクのチルト量に応じて0.5〜1.5Vを、メタル電極82には光ディスクの厚さムラ量に応じて0.5〜1.5Vを印加する。これにより、上述の場合と同様にコマ収差、球面収差に対応した電位分布が発生する。したがって、位相変化が生じた結果、厚さムラのある光ディスクがチルトした場合においても球面収差とコマ収差を補正できるので、良好な再生信号を得ることができた。 【0077】以上は、コマ収差補正用の電極を分割電極としたが、例1のようにコマ収差用の電極を給電部であるメタル電極にして、球面収差用の電極を同心円に分割した分割電極としてもよい。また、ラジアルコマ収差補正とタンジェンシャルコマ補正の電極パターンを対にしてそれぞれの基板上に形成してもよく、球面収差と非点収差、コマ収差と非点収差を各々補正する電極パターンを対にしてもよい。いずれの場合にも2種類の収差や波面変化を同時に補正できる。 【0078】 【発明の効果】以上のように、本発明の光ヘッド装置においては、位相補正素子を構成する一対の基板のそれぞれに形成された電極の少なくとも一方の電極に2つ以上の給電部を設けることにより、この位相補正素子により光源からの出射光に連続的な位相(波面)変化を生じさせることができるので、光ディスクのチルトや光ディスク厚さムラなどにより発生する波面収差を効率よく補正でき、ノイズの少ない良好な信号光が得られる。また、複数の給電部を薄膜抵抗を介して導電接続することにより、従来よりも少ない信号源で同等の収差補正性能を発揮できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月14日(2000.8.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−56559(P2002−56559A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−245457(P2000−245457) |
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