| 【発明の名称】 |
磁気記録媒体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 孝典
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| 【要約】 |
【課題】実使用時においてフロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録媒体に発生する熱変形に基づく歪みの問題を解決して、記録再生がより正確に且つ安定に行なえるようにした、磁気記録媒体の製造方法を提供すること。
【解決手段】実使用に先立って、塗布型フロッピーディスク3に、実使用時の熱収縮を抑制する熱処理条件、たとえば80℃以上、90℃以下で24時間以上、熱処理を施す、磁気記録媒体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 実使用時の磁気記録媒体の熱収縮を抑制するような温度条件下で前記磁気記録媒体に熱処理を施すことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。 【請求項2】 前記磁気記録媒体の熱処理温度を80℃以上、90℃以下とする、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。 【請求項3】 前記磁気記録媒体の熱処理時間を24時間以上とする、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。 【請求項4】 ディスク状に加工した後に前記熱処理を行ない、フロッピーディスクを作製する、請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばフロッピーディスクに代表される磁気記録媒体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】フロッピーディスクを始めとする磁気記録媒体(メディア)は、最近では、塗布方法(たとえば重層塗布など)によって製造されることが多くなってきた。図11は、フロッピーディスク3の代表的な積層構造を示し、この構造体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のベースフィルム(非磁性支持体)22と、その両面に順次塗布、形成された非磁性層(下層)21及び磁性層(上層)20とから構成されている(なお、図面は便宜上、片面側の層構造のみを示す)。 【0003】ところで、近年のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略称する)の普及ぶりは目を見張るものがあるが、この傾向と、ファイル及びアーカイブの容量増加とによって、フロッピーディスクも、小型化、高容量化などの改良が行われてきている。 【0004】そして、パソコンの普及とともに、デジタルスチルカメラや、MP3又はATRAC(登録商標)3の圧縮方法による音楽データの再生機なども、普及するようになった。 【0005】そのデジタルスチルカメラについては、ひところ(数年前)画素数がせいぜい35万程度であったものが、今日では350万画素前後と高画質になってきており、このため1ピクチャーに対する容量も格段に増加している。 【0006】前述した改良型フロッピーディスクは、特に小型化という特徴の故に今後、このデジタルスチルカメラの分野においても、メディアとして使用される可能性が高い。 【0007】また、前記MP3方式に基づくデータの再生機の場合でも、今日でこそメモリースティック等の高価な半導体メモリが用いられているが、その代替メディアとして、将来的に価格の低下が見込まれている塗布型フロッピーディスクが、やがて有力な選択肢の一つになるに違いないと思われる。 【0008】以上から明らかなように、パソコンを取巻く環境で取扱うデータも数年前に比べると、容量が格段に増加している。その結果、昨今では、かつて主流を占めていた容量の小さなフロッピーディスク(たとえば1.44MB)ではもはや現実に合わないケースが多発しており、それに代わってMO(光磁気ディスク)やCD−R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)、それにCD−RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)などのメディアが用いられるようになった。 【0009】しかし、これらが今後、幾世代にもわたって通用する将来性のあるメディアになり得るかは、その大きなサイズ等から判断して、その可能性は意外に低いと思われる。 【0010】すなわち、これから未来に向けて通用するフロッピーディスク等の磁気記録媒体は、ますます高容量化と小型化とが求められ、それに対応するドライブも、同様の性能が求められるからである。 【0011】たとえば、上述した小型の塗布型フロッピーディスクなどは、軽くて持ち運びの便利なノートパソコンのバックアップ用として普及が期待されているし、またとくにこれを適用する好ましいドライブとして、小型のPCMCIAカード方式(アイオメガ社製)のものが市販されており、更に前記MO等のメディアの容量を超える小型のドライブも、既に研究開発の段階にある。 【0012】ところで、使用中のパソコンの問題点として、バッテリ放電や半導体等からの熱の蓄積による、内部温度の上昇を挙げることができる。とくに、ノートパソコンの内部は想像以上に熱くなっていると考えられ、80℃近辺にまで達している可能性がある。 【0013】このような高温環境下では、高分子材料をベースにするフロッピーディスクに熱収縮や熱膨張に基づく熱変形が起こり易い。とくに熱収縮は非可逆的現象であり、一度、フロッピーディスクが熱収縮すると、元の形状に殆ど戻らない、という性質がある。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】この熱収縮が、ディスク全体に方向性を伴わずに、しかも微少な程度に発生するのであれば、記録再生時のトラッキングにさしたる悪影響を及ぼさないが、熱収縮がある一定方向に発生すると、それがフロッピーディスクに無視できない歪みとなって現れ、情報の記録、再生時にサーボが追随できなくなって、トラッキングエラーを起こし易い。 【0015】すなわち、ノートパソコンの熱くなった内部にフロッピーディスクを長時間滞留させたり、外部に取出すサイクルを何度も繰り返すうちに、フロッピーディスクに生じた熱収縮に基づく歪みが情報の記録、再生時のサーボエラーの要因となり、正確な情報の読み込み、書き込みを行うことが不可能になることがある。 【0016】一方、前述したフロッピーディスクの熱変形は、以下に説明するように、とくに前記PCMCIAカード方式のドライブにおいて、その(磁気)ヘッドの取付け部を損傷しかねないという、別の問題もはらんでいる。 【0017】図13は、PCMCIAカード方式のドライブ50を示し、このドライブ50には、図14に示すように接触型ヘッドスライダー(後述する)が内蔵されている。両図は丁度、差込み口51から挿入されたフロッピーディスク3が、2つのヘッドスライダー1、1間に(詳しくは接触パッド14、14間に)挟持された状態を示している。 【0018】前記接触型ヘッドスライダーは、高記録密度(たとえば200MB以上)の要望に答えるため、本出願人が先に提案したもので(特願平11−251815号)、高容量化、小型化されたフロッピーディスクを主たる使用対象にするものである。以下、ヘッドの取付け部の損傷に係わる問題の説明に入る前に、前記接触型ヘッドスライダーの構造を、図面を参照しつつ説明する。 【0019】先願発明のフレキシブル磁気ディスク用(接触型)ヘッドスライダーは、磁気ヘッドを埋設した接触パッドがフレキシブル磁気ディスクとの対向面に設けられており、この接触パッドが、通常、相対速度1.3m/s〜25.0m/sでフレキシブル磁気ディスクに接触した状態で、磁気ヘッドのフレキシブル磁気ディスクに対する信号の記録又は再生を行うようにしたものである。先願発明によれば、従来のハードディスク用ヘッドスライダーのようなテーパフラットや負圧機構を有する浮上機構を持たず、接触パッドをフレキシブル磁気ディスクの表面に接触させた状態で磁気ヘッドによる記録/再生を低速から高速まで広い範囲にわたって安定に長期間行うことができ、フレキシブル磁気ディスクの高密度化及び転送レートの高速化を実現しながら、低消費電力化も図ることができる。 【0020】図15は、先願発明の一実施形態のヘッドスライダー1を先端に取着したHGA(ヘッドスライダーサスペンション)2を示すものである。このHGA2は、フレキシブル磁気ディスク3(図16参照)の径方向に延長した長い矩形板状のベースプレート4と、このベースプレート4の先端部下面に重ね合わせて貼着されたサスペンションビーム5とから成り、磁気ヘッドスライダー1はサスペンションビーム5の先端部に支持される。なお、ヘッドスライダー1を取着したHGA2は上下に対向するように2つ配設され、2つのヘッドスライダー1、1はフレキシブル磁気ディスク3をその両面から挟持するようになっている。 【0021】ベースプレート4の基端部には左右両側部がくびれた狭隘部が形成されており、この狭隘部により基端側部分が図示しないリニアモータのキャリッジに保持され、また、先端部の左右側部のうち一方の側部には、これと一体に形成された片持ち腕部7が側方へ突出している。 【0022】そして、リニアモータ(図示せず)が前後方向に移動して、片持ち腕部7がリフターにより相対的に持ち上げられると、ベースプレート4は上記狭隘部が主に曲がろうとして、片側縁が持ち上げられるにもかかわらず捻れることなくほぼ水平のまま先端側が上方へ押し上げられるようになっている。 【0023】なお、図示する「D1方向」がリニアモータの前後移動方向であり、磁気ヘッドによる記録又は再生のためのシーク方向である。リニアモータはフレキシブル磁気ディスク3の径方向と平行に移動するようになっており、リニアモータの駆動によりベースプレート4がフレキシブル磁気ディスク3の径の延長方向に移動するようになっている。また、図示する「D2方向」はフレキシブル磁気ディスク3の走行方向(回転方向)を示すもので、このD2方向は逆向きであっても良い。 【0024】サスペンションビーム5は、ベースプレート4の先端部分下面にピボットスプリングを介して貼着される被貼着部8と、先端に行くに従い幅狭になるサスペンション部9と、サスペンション部9の先端部でヘッドスライダー1を支持するスライダー支持部10とから成る。サスペンション部9にはいくつかの孔11が形成されており、これにより適度な弾性が付与されるようになっている。サスペンション部9の先端部には、先端が開口するコ字状のリンク部12が形成され、このリンク部12の先端間にほぼ矩形のスライダー支持部10が形成されている。 【0025】サスペンションビーム5は、たとえばSUS/接着剤/SUS等の3層からなるバネ定数200mgf/mm程度の非常に柔らかいラミネート材で構成され、その先端部のリンク部12は、たとえばロール剛性0.2μN・m/degree、ピッチ剛性0.04μN・m/degreeという柔軟性が確保されている。また、詳細は省略するが、サスペンションビーム5は、ヘッドスライダー1の背面に機械的に接続されるとともに、接触パッド14(磁極パッド)の中心に位置する磁気ヘッド13から伸びたリード端子に電気的に接続され、信号線としての機能も果たしている。 【0026】ヘッドスライダー1は、平面から見て縦長な台形を成し、その先端の部分に上記接触パッド14が、また、その反対側の角部に接触パッド15、15がそれぞれ支持されている。ヘッドスライダー1は、たとえば薄膜プロセスによるスパッタ・アルミナボディ等で形成されており、厚みが50μm以下と極薄のため、ハードディスクで使用されている厚み300μm程度のピコスライダーと比較して剛性が8桁ほど柔らかく、かつ自重も500μg以下と軽量である。その結果、フレキシブル磁気ディスク3の表面に滑らかに追従することが可能である。しかも、極めて軽量であるから、外部から印加される加速度に対して発生する力が非常に弱く、そのため、ポータブルユースにおいて重要なファクタとなる耐衝撃性に優れている。 【0027】接触パッド14、15、15はダイヤモンドライクカーボン(DLC)で形成されており、そのうち磁極パッドである接触パッド14には記録/再生を行う磁気ギャップを有する前記磁気ヘッド13が埋め込まれており、摺動面で磁気コアの周囲がDLCなどで囲まれている。図16は、記録/再生を行う際の、接触パッド14とフレキシブル磁気ディスク3との位置関係を示すものである。 【0028】接触パッド14、15、15は、耐磨耗性の点からビッカース硬度で700以上が必要であり、1000以上が望ましく、このような硬度を示すものであれば、材質はDLCに限るものではない。接触パッド14、15、15のフレキシブル磁気ディスク3と接触する側の角部における角度α(図16参照)は、フレキシブル磁気ディスク3に対する削れ性を抑えるために90度以上の鈍角であることが必要であり、115度以上であることが好ましい。なお、この実施形態では、接触パッド14の摺動面は楕円に、接触パッド15、15の摺動面は真円にそれぞれ形成したが、これらに限らず、たとえば長方形、正方形、三角形のいずれの形であってもよい。また、磁気ヘッド13としては、このような薄肉のヘッドスライダー1に内蔵するため、巻線を同スライダー1の面に平行とするわゆるプレーナ型薄膜インダクティブヘッドを採用しているが、それに限定されるものではない。 【0029】ピボットスプリング16は、長手方向のほぼ半分の長さをした基部17と、この基部17の先端縁の左右側端部からそれぞれさらに先端に向かいかつ互いに近づくように延出されたリンク片18、18と、これらのリンク片18、18の先端間に架設された押圧片19とで一体に形成されている。 【0030】リンク片18、18はその基部17との間で折り曲げられて先端に行くに従い下方へ偏倚され、また、押圧片19はそのリンク片18、18との間で折り曲げられて先端に行くに従い下方へ偏倚されている。押圧片19の先端側縁の中央部には三角形状の押圧部19aが形成されており、この押圧部19aの尖端部がサスペンションビーム5のスライダー支持部10に対応した位置に形成されている。そして、ピボットスプリング16の基部17はベースプレート4の先端とサスペンションビーム5の基端部とに挟持され、これにより、サスペンションビーム5のスライダー支持部10はピボットスプリング16の押圧部19aに押圧されて下方に可撓され、フレキシブル磁気ディスク3に適度なロード荷重がかかるようになっている。ピボットスプリング16はたとえばバネ定数250mgf/mm程度の極薄のステンレス材で形成され、200mgfという低いロード荷重がヘッドスライダー1の重心位置に加えられるようになっている。このため、フレキシブル磁気ディスク3にランアウト変動が起こっても、荷重変動幅が100〜800mgfと狭く、各接触パッド14、15、15に均等な接触圧力が与えられる。その結果、ヘッドスライダーはフレキシブル磁気ディスク3の定常及び非定常なランアウト変動にきわめて良く追従でき、安定した記録/再生を実現することが可能である。 【0031】このように先願発明の接触型磁気ヘッドスライダーは、高記録密度の達成のため、たとえば3000rpm以上と高速回転する磁気ディスクに相対的に高速で摺動するもので、耐久性の観点からロード荷重が極めて小さくなるよう設計されており、磁気ディスクの表面形状に柔軟に追従することができる。 【0032】ここで、先に述べたヘッドの取付け部の損傷に係わる問題に戻る。PCMCIAカード方式のドライブ50にフロッピーディスク3を差込み口51から挿入するとき(図13、図14参照)、ヘッドスライダー1、1間のクリアランス(隙間)lが非常に狭いため(数百μ)、フロッピーディスク3が熱変形していると、図示の破線に示すようにフロッピーディスク3の外縁部が、ピボットスプリング16のヘッドスライダー押圧部19aに突き当たって、これを損傷する恐れがある。 【0033】この現象はフロッピーディスク3のカールによって一層、拍車がかけられる。 【0034】すなわち、フロッピーディスクの製造工程において、塗布前及び塗布後のメディア原反は巻取りロールに巻き取られるため、メディア原反を打抜いて得られるフロッピーディスク3は、図12に示す如く、塗布方向に沿ってカールするのが普通である。このカールはカレンダー処理やアニール処理によってある程度防止することができるが、若干は残存せざるを得ない。 【0035】かかる状態でフロッピーディスク3を実使用し、これに前記熱変形が生じると、カールの度合が大きくなり、フロッピーディスク3が面ブレ(水平方向からのブレ)や面垂れ(重力により下方へ垂れてくる現象)等を起こし易く、ヘッドローディングの際、板バネからなるヘッドスライダー押圧部19aを損傷する恐れが大きい。 【0036】したがって、フロッピーディスク等に発生する熱変形をどう抑制するかは、これから未来に向けて磁気記録媒体による情報の記録、再生をより正確に安定に行う上でどうしても解決しておかねばならない課題なのに、現在のところ、具体的な解決策は知られてもいないし、採られてもいない。 【0037】ただ、前記熱変形の問題の解決策として、パソコンに冷却ファンを取付け、内部に蓄積した熱を外部へ放散させる方法が考えられる。 【0038】しかし、この、いわば機械的方法は、ディスクトップ型のように寸法に比較的余裕があるパソコンに対しては有効と考えられるが、軽くて薄いノートパソコンとなると、実施が殆ど不可能に近く、とても現実的ではない。 【0039】本発明は上記事情を改善するためになされたもので、その目的は、上述したような機械的手段を介さずに、フロッピーディスク等の実使用時に生じる熱変形の問題を実質的に解決した、磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。 【0040】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、実使用時の磁気記録媒体の熱収縮を抑制する温度条件下で、この磁気記録媒体に熱処理を施すことを特徴とする。 【0041】ただし、ここに言う「実使用時の磁気記録媒体の熱収縮を抑制する温度条件」とは、実使用時に生じる熱収縮が小さくなるように、予め磁気記録媒体に十分な熱エネルギーを付与して対応する構造変化がもたらされるのに必要な熱処理(アニール)条件のことを言う。 【0042】このアニール条件は、磁気記録媒体のベースを構成する高分子材料の種類等によって変化するので、一律に絶対量で特定することは困難であるが、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)の場合は、後述するように熱処理温度を80℃以上、90℃以下(更には85℃以下)、処理時間を24時間以上(更には36時間以上又は48時間以上)とするのが一般的に言って好ましい。 【0043】本発明者の検討によると、このように実使用に先立ってフロッピーディスク等の磁気記録媒体に実使用時の熱収縮を抑制する(即ち、特に実使用時と同等又はその近傍の)温度条件下で熱処理を施しておくと(言い換えるなら、実使用に先立って、磁気記録媒体に適度の熱収縮を生じさせておくと)、実使用中に生じる磁気記録媒体の熱収縮による歪みを小さく抑えることができ、トラッキングエラーの発生やヘッド取付け部の損傷を防止することが可能である。 【0044】それに対し、予め磁気記録媒体に実使用時の温度条件から相当程度かけ離れた条件下で熱処理を施した場合は、実使用時に磁気記録媒体の熱収縮による歪が大きくなり、本発明の効果を奏することはできない。 【0045】従って、本発明によれば、トラッキングエラーの発生やヘッド取付け部の損傷を効果的に防止することができるので、磁気記録媒体とヘッドの併用による情報の記録再生、とくに既述した小型で高容量のフロッピーディスクとPCMCIAカード方式のドライブとの併用による情報の記録再生を、より正確に且つ安定に行うことができる。 【0046】例えば図13及び図14で説明すると、上記したようにフロッピーディスク3の熱変形を著しく小さく抑えることができるので、ヘッドローディングの際、フロッピーディスク3を図14に実線に示す如く、クリアランスの非常に狭いヘッドスライダー1、1間に的確にセットすることができる。つまり、フロッピーディスク3はピボットスプリング16のヘッドスライダー押圧部19aに突き当たることがないので、これを破損するようなことはない。 【0047】 【発明の実施の形態】以下、実施の形態に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。 【0048】本発明において、磁気記録媒体のベースがPET等の高分子材料で構成されている場合、実使用に先立って磁気記録媒体に施す熱処理の温度範囲としては、80℃以上、90℃以下とすることが好ましい。 【0049】そして、その熱処理時間は、24時間以上とするのが好ましい。 【0050】かかる熱処理条件を構成要件として内包する本発明の製造方法は、高分子材料を用いる磁気記録媒体全般に適用可能であるが、既述した熱変形の問題は、とくに塗布型フロッピーディスクに発生し易いので、製造の主たる対象としてこのメディアを選択することが好ましい。すなわち、塗布法等によってこのメディア原反を製造し、これをさらに加工(打抜き工程等)することによってディスクを得、このディスクに対し、前記熱処理を実使用の前に施すのである。 【0051】以下、例を挙げて、本発明を詳細に説明する。 【0052】例1(イ)ディスクの製作:厚み75μmのPETフィルム(非磁性支持体)の両面に重層塗布法を用いて、厚みが約1.0μmの下層(非磁性層)と厚みが約0.2μmの上層(磁性層)を形成してメディア原反を製造した。次に、このメディア原反を円形状に打抜き加工して、外径44mmのディスクを得た。 【0053】次に、このディスクを60℃の恒温槽内に48時間保持して、ディスクに含まれているバインダー成分を硬化させた。 【0054】(ロ)ディスクの熱処理:続いて、このディスクに下記の4種類の熱処理を施した。 (1)80℃の恒温槽内で2時間、アニールする。 (2)80℃の恒温槽内で8時間、アニールする。 (3)80℃の恒温槽内で24時間、アニールする。 (4)80℃の恒温槽内で48時間、アニールする。 【0055】(ハ)フロッピーディスクの製作:上記の熱処理を終えたディスクに小径FD用アルミ製センターコアを円形の接着テープで貼り付け、フロッピーディスクを得た。 【0056】(ニ)サーボ信号の記録:このフロッピーディスクに専用のサーボライターを用いてサーボ信号を記録した。 【0057】(ホ)熱サイクル:熱サイクルは、実使用中のノートパソコンと同様とする。すなわち、内部が80℃程度のノートパソコンにメディアを差し込み、2時間そのまま保持し、その後、メディアを抜き取るという、作業をシミュレートするのである。熱サイクルは下記の通り。 (1)30℃から80℃まで1時間で昇温する。 (2)続いて80℃で2時間保持する。 (3)続いて80℃から30℃まで1時間で降温する。 この熱サイクルを5回行い(すなわち、熱サイクルを行わない初期の0回と、熱サイクルをそれぞれ1回、2回、4回及び5回行なう、計5回のテストである。)、サイクル毎に次の方法で再生を行ってトラック情報を得る。 【0058】(ヘ)信号の再生データの取込み:前記熱サイクルを行ったフロッピーディスクから、スピンスタンド(協同電子株式会社製)を用いて信号の再生データを取込み、その読みとったサーボ信号を解析ソフトで図5に示すフレームナンバーとトラックナンバーを読みとる。各トラックは、図示のようにそれぞれ単位情報を記録した多数のフレームによって構成されている。このとき、再生ヘッドの位置は、フロッピーディスクの中心から20mmのところに決めておく。ただし、スピンスタンドの位置精度は1〜2μm程度あるものとする。また、フロッピーディスクのセンターコアのチャッキング精度も1〜2μm程度あるものとし、このチャッキング精度により偏心成分が起こるものとする。 【0059】(ト)解析結果及び評価:前記トラック信号を解析してチャートにまとめた結果を図1〜図4に示す。図1は80℃で24時間、図2は80℃で48時間、図3は80℃で2時間、図4は80℃で8時間、それぞれアニールした場合の結果を示す。チャートの読み方について述べると、「330」等の数字はディスク回転中に読み込むべきデータの規定のトラックナンバーを示すが、実際に得られたチャートは上述した変形により規定のトラックナンバー以外のトラックも読み込んでしまう。即ち、チャートが円であれば歪みは極めて小さいが、ひょうたんの様に大きなくぼみが出てくると一方向で歪みが大きく、トラッキングエラーが起こる可能性がある。またチャートが円であっても中心からずれている場合は、センターコアのチャッキング精度による偏心成分で、回転中心をトラッキングエラーが生じない位置にもってこれる。トラッキングナンバーがずれている場合は読み取りヘッドの位置精度を出すことにより、トラッキングエラーは起こらないものとする。以上を今回の測定結果の評価基準とする。 【0060】図3はひょうたん型に移行しており、トラッキングエラーを起こす可能性があるので、好ましくない。図4はひょうたん型ではないがやや長細い楕円となってしまっているので、好ましくない。それに対して、図1及び図2に示すチャートは比較的円形を保っていることからメディアの歪みは小さく、トラッキングエラーも起こりにくい。すなわち、図1及び図2のようにチャートが本来の中心からずれても円形に近いものであるため、ディスク装着時に回転中心をずらして円の中心に合わせることができるので、トラッキングエラーは生じ難い。したがって、本発明における好ましいアニール条件の一つは、図1及び図2の結果から、80℃で24時間以上である。80℃ではなく90℃を越える熱処理をした場合は、面ぶれ(ランアウト)が増大し、実用的ではないことが分った。 【0061】例2(チ)ディスクの製作:前記例1の(イ)項と同じである。 【0062】(リ)ディスクの熱処理:ディスクに下記の8種類の熱処理を施した。 (1)80℃の恒温槽内で2時間、アニールする。 (2)80℃の恒温槽内で8時間、アニールする。 (3)80℃の恒温槽内で24時間、アニールする。 (4)80℃の恒温槽内で48時間、アニールする。 (5)90℃の恒温槽内で2時間、アニールする。 (6)90℃の恒温槽内で8時間、アニールする。 (7)90℃の恒温槽内で24時間、アニールする。 (8)90℃の恒温槽内で48時間、アニールする。 【0063】上記の熱処理を終えたディスクに小径FD用アルミ製センタコアを円形の接着テープで貼り付け、フロッピーディスクを得た。 【0064】(ヌ)熱サイクル:前記例1の(ホ)項と同じである。 【0065】(ル)面ブレ状況の測定:前記熱サイクルを行ったフロッピーディスクのセンターコアを、スピンスタンド(前出)でチャッキングして、ディスクを回転させる。回転数は3600rpm。サイクル毎に下記の方法で面ブレ状況(平均回転高さと面ブレ量)を測定する。 【0066】センターコアの基準面の高さをレーザー変位計で測定し、その後、20mm外側にレーザー変位計を平行移動させ、そのときの面ぶれを測定する。このとき、一回転で2つの山をもつような正弦波に似た変位波形が出てくる。これは図12に示すようにメディアが極わずかであるがカールしているため、一周期で二つのピークを持つ。またメディアはカールした状態で回転しているため、レーザー変位計ではピークとボトムの値を得ることになる。ここでピークとボトムの平均値を平均回転高さと総称する。これを図示したものが図6である。このレーザー変位計によるデータ取り込みを前記8条件でアニールしたサンプルについて行う。 【0067】(オ)解析結果及び評価:前記測定結果を解析してチャートにまとめたものを図7〜図10に示す。図7は80℃でアニールしたときのメディアの平均回転高さ、図8は90℃でアニールしたときのメディアの平均高さ、図9は80℃でアニールしたときの面ブレ量(ランアウト)、図10は90℃でアニールしたときの面ブレ量、の各結果を示している。 【0068】まず、メディアの平均回転高さについては、80℃でアニールした場合で熱サイクル前の初期状態では、メディアの平均回転高さが基準面の0μmを中心にばらつきがあり、そのばらつきも±40μmの範囲にある。一方、90℃でアニールした場合のメディアの平均回転高さはどれも40μmを超えており、比較的高い位置で回転している事がわかる。また熱サイクルによる面の垂れ量としては80℃、90℃どちらも20〜30μmで抑えられている。 【0069】次に、面ぶれ量については、80℃でアニールした場合熱サイクルをかけてもあまり変わらず、50μmの範囲で抑えられている。これに対し、90℃でのアニールの場合でも、熱サイクルによる変化はないものの面ぶれ量は50μmを超えており、あまり実用的ではないことがわかる。熱処理温度は90℃以下が好ましい。ヘッドはメディアの位置に追随して動くのでメディアのぶれは小さいことが望ましい。この観点に立てば、80℃で24時間以上のアニールが好ましい。 【0070】既述したように、熱サイクルによるトラックずれは熱処理を80℃で24時間以上行わないと、大きくなることがわかっているので、本発明では80℃で24時間以上のアニールが一つの好ましい条件となる。この条件により、熱サイクル後でも良好なヘッドとメディアのインターフェースが保たれる事になる。 【0071】 【発明の作用効果】本発明の製造方法によれば、実使用に先立って、実使用時の磁気記録媒体(とくにFDメディア)の熱収縮が抑制されるような温度条件で熱処理を施すので、実使用時における磁気記録媒体の熱変形を小さく抑えることができ、その結果、トラッキングエラーやヘッド取付部の損傷を未然に防止することができ、情報の記録再生をより正確に且つ安定に行なうことが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002185 【氏名又は名称】ソニー株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月9日(2000.8.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076059 【弁理士】 【氏名又は名称】逢坂 宏
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| 【公開番号】 |
特開2002−56528(P2002−56528A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−240681(P2000−240681) |
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