| 【発明の名称】 |
磁気ディスクの検査方法および検査装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田畑 敏
【氏名】正田 光広
【氏名】永野 貴範
【氏名】柏瀬 英一
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| 【要約】 |
【課題】極低浮上環境下で生じる磁気ヘッドと磁気ディスクの接触によるトラック位置ずれ及び磁気ヘッド浮上変動を引起こす磁気ディスクを精度良く検出することを可能とする磁気ディスク検査方法を提供すること。
【解決手段】磁気ディスク上に磁気ヘッドを滑らせ又は浮上させた状態で記録・再生動作を行うことで磁気ディスクの評価を行う磁気ディスクの検査装置において、磁気ディスクの所定のトラック位置における再生信号レベル及びビット単位の再生信号レベルの偏差を磁気ヘッドの浮上量を変えながら測定し、磁気ヘッドの異なる浮上量に対する再生信号レベルの変化量を測定した値から、磁気ヘッドと磁気ディスクの接触によるトラック位置ずれ及び磁気ヘッド浮上変動を引起こす磁気ディスクを精度良く検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気ディスクを回転させ、前記磁気ディスク上に磁気ヘッドを滑らせ又は浮上させた状態で記録・再生動作を行うことで前記磁気ディスクの評価を行う磁気ディスクの検査方法であって、前記磁気ディスクの所定のトラック位置における再生信号レベルを前記磁気ヘッドの安定浮上量とニアコンタクト浮上量との少なくとも2点で、前記磁気ヘッドの浮上量に対する前記磁気ヘッドから読み出される再生信号レベルの変化量を検出することを特徴とする磁気ディスクの検査方法。 【請求項2】 磁気ディスクを回転させ、前記磁気ディスク上に磁気ヘッドを滑らせ又は浮上させた状態で記録・再生動作を行うことで前記磁気ディスクの評価を行う磁気ディスクの検査方法であって、ビット単位の再生信号レベルにおける偏差の変化量を検出することを特徴とする磁気ディスクの検査方法。 【請求項3】 検査対象の磁気ディスクを回転させるスピンドルと、前記磁気ディスクに対する記録・再生動作を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドの前記磁気ディスクに対する浮上量を制御する浮上量制御手段と、前記磁気ヘッドから得られる再生信号レベルを検出する検出手段と、異なる前記浮上量の各々において前記磁気ヘッドから得られる複数の前記再生信号レベルの変化、および任意の前記浮上量におけるビット単位の再生信号レベルにおける偏差の変化量、の少なくとも一方に基づいて前記磁気ディスクを評価する評価手段と、を含むことを特徴とする検査装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスクの検査技術に関するものであり、特に高記録磁気記録に適した極低浮上対応の磁気記録ディスクを検査する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】磁気ディスク装置は、磁気ディスク表面を浮上する磁気ヘッドで磁気的な変化により、データの記録・再生を行う装置である。磁気ヘッドは磁気ディスクに対して相対的に移動し、記録媒体上の任意の位置に磁気情報を記録し、記録された磁気情報を必要により再生する機能を有する。近年、磁気ディスク装置での高記録密度化により、磁気記録媒体上に記録された情報を高感度で再生する磁気抵抗効果型ヘッド(以下MRヘッド)が主流になっており、この再生原理は、磁気記録媒体からの磁界変化が磁気抵抗値を変化させ、この抵抗変化をMR素子に一定の電流を流すことにより直流電圧信号へ変換して、データを再生するものである。 【0003】また、最近、磁気ヘッド再生部の感度を更に向上させるため、複数の磁性層を非磁性層と介して積層したタイプの磁性層で生じる非常に大きな磁気抵抗変化(巨大磁気抵抗効果またはスピンバルブ効果)を利用した磁気ヘッドが新たな主流に成りつつある。これは、非磁性層を介した複数の磁性層の相対的な磁化方向が、媒体からの漏れ磁界により変化し、磁気抵抗が大きく変化することを利用するものである。 【0004】磁気ディスクに対する高記録密度化に必要な要素として、(1)磁気ヘッド素子と磁気記録媒体の記録膜との距離(スペーシング)の短縮に伴う表面粗さの平坦化、(2)磁気ヘッド再生部の感度向上に対応した磁気記録媒体の低ノイズ化などが挙げられる。スペーシングは、現在15nm以下のものが市場に出ているが、更に短縮するためには、磁気ヘッドと磁気ディスクの接触を回避するか、接触しても磁気ヘッドと磁気ディスクの耐摺動性を高め、磁気ヘッドのトラック位置決め浮上変動を抑制する必要がある。 【0005】従来、磁気ディスクドライブに組立てる磁気ディスクは、組立て前に、磁気ディスク単体で、グライドテスト及びサーティファイテストと呼ばれている単板検査を行う。グライドテストは、ディスク表面に存在する異常突起(許容範囲外の突起部の存在)を検出、選別する試験方法で、グライドテスト専用のヘッドスライダー部に、ピエゾ素子からなる衝撃センサを設けて、磁気ディスク表面を一定浮上量でシークし、突起物に衝突した時の信号を検知し、異常突起ディスクを検出する。サーティファイテストは、グライドテストを合格したディスクにおいて、所定の記録動作に対して、規定の再生信号レベルが得られるか否かと再生した信号レベルに対して変化の大きい箇所を磁気的な欠陥として検出、選別してきた。即ち、欠陥検査装置(一般にサーティファイヤー)を用いて、まず1トラックに規定周波数で記録を行い、その位置を動かすこと無くトラック平均再生信号レベルを測定し、その値に対する規定のスライスレベルから外れる信号をパルス信号化することによって欠陥と判定させ、次のトラックへ磁気ヘッドを移動させ同様に記録・再生・欠陥検査の順で、磁気ディスク表面の磁気的欠陥検査を行うものである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】磁気ディスク装置は、上述した従来技術により磁気ヘッド素子と磁気記録媒体の記録膜とのスペーシングを短縮し、また磁気記録媒体の低ノイズ化及び磁気ヘッドの再生感度向上により高記録密度化を図り、磁気ディスク装置として障害となる異常突起物及び磁気的欠陥を含んだ磁気ディスクを検出し、選別した磁気ディスクを使用してきた。 【0007】ところが、最近更なる高記録密度化を達成するためにスペーシングが急激に短縮しており、記録再生時にも磁気ヘッドとディスクが接触を避けられない環境になりつつある。実際に磁気ヘッドが磁気ディスクに接触すると、その反動によりヘッド浮上量が変動する現象と、磁気ヘッド位置がディスク半径方向に変動するオフトラック現象が生じ、トラック上に記録された再生信号の大きさが不規則に変動してしまう。本現象が生じると、各トラックに磁気ヘッド位置決めを行うために記録されているサーボ信号を読取る際に、再生信号が変動し、磁気ヘッド位置決め精度を低下又は不能にさせたり、データ情報を読取る際、同様の現象により、読込み不能の状態に陥る可能性がある。 【0008】そこで、低浮上環境においても磁気ヘッドに対する摩擦力が低く、浮上位置決め精度の低下を及ぼさない磁気ディスクを検査、選別する手法が望まれる。 【0009】本発明の目的は、高記録密度化を実現する磁気ヘッドと磁気ディスクが極低浮上において、磁気ヘッドと磁気ディスクの接触によるヘッドの浮上変動及びオフトラック等の現象が発生し易い磁気ディスクを精度良く検査、選別する手法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、磁気ディスクを回転させ、磁気ディスク上に磁気ヘッドを滑らせ、又は浮上させた状態での記録・再生動作の検査において、その所定のトラック位置における平均再生信号レベル又はビット単位の再生信号レベルのばらつきを示す標準偏差σを検出することによって、あるいは、磁気ヘッドが磁気ディスクと大きく接触しない10nm以上の浮上量(以下、安定浮上量)と単発的又は連続的に接触している可能性の高い5nm以下の浮上量(以下ニアコンタクト浮上量)の少なくとも2点で、磁気ヘッドの浮上量に対する磁気ヘッドから読み出される再生信号レベルの変化量を検出することによって、ニアコンタクト対応の磁気ディスクの検査、選別を行うものである。 【0011】まず、平均再生信号レベルを検出する方法は、オフトラックエラー及びヘッド浮上変動が生じると、記録されたトラックから磁気ヘッドが外れる又は浮上変動することによって、再生する出力信号が小さくなることから、本現象を引き起し易い表面形状を持った磁気ディスクを検出、判定することを可能とする。浮上量を変えて測定することによって、絶対値評価ではなく、変化量から求めることから、ヘッドのMR素子感度及び磁気ディスクの磁性膜厚、保護膜厚等のばらつきに影響される度合が小さく、精度良く検査が可能となる。 【0012】一方、本発明の他の方法は、磁気ヘッドのオフトラック量が時間に対しランダムに動くことから、ビット単位の再生出力信号振幅のばらつき、つまり標準偏差を測定する方法である。この方法においても、前出の第一の方法と同様に、安定浮上量とニアコンタクト浮上量の2点で測定すれば、MR素子の感度のばらつき等による影響を小さく抑えることができる。さらに、本方法においては、標準偏差の絶対値に閾値を設定することもできるので、ニアコンタクト浮上量での値のみをもって判定することも可能である。 【0013】磁気ヘッド浮上量は、磁気ディスクの回転数を変えること、または磁気ヘッドの磁気ディスクに対する角度を変えること及び測定環境の雰囲気の圧力を調整すること等によって変化させることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。 【0015】図1は、本発明の一実施の形態である磁気ディスクの検査方法を実施する検査装置の構成の一例を示す概念図である。図1に例示されるように、本実施の形態の検査装置は、検査対象の磁気ディスク1を支持して回転させるスピンドル2、駆動装置3からなる回転駆動系と、回転する磁気ディスク1の表面上に記録、再生を行う磁気ヘッド4および当該磁気ヘッド4の磁気ディスク1の径方向における位置決め動作を行うアクチュエータ4a等で構成されるヘッド部と、磁気ヘッド4で再生した信号を増幅し、ディジタルデータに変換する信号処理部5で構成されている。信号処理部5は、磁気ヘッド4で検出した信号を増幅するプリアンプ6、バッファアンプ7と増幅されたアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換回路8、磁気ヘッド4で検出し、ディジタル化された信号が記録されるメモリ9、等で構成されている。 【0016】また、特に図示しないが、磁気ヘッド4には、任意の試験信号を磁気ディスク1に書き込むためのライト回路部も接続されている。 【0017】上述の各部の動作は、試験制御部10にて制御される。すなわち、試験制御部10は、マイクロプロセッサ10aと、このマイクロプロセッサ10aの配下で駆動装置3の回転制御を行うスピンドルコントローラ10bおよびスピンドルドライバ10cと、検査に関する各種項目の入力、検査結果の出力等のユーザインタフェースや、検査結果の自動判定処理を実行することが可能なソフトウェアを備えたパーソナルコンピュータ10d等で構成されている。 【0018】すなわち、本実施の形態では、磁気ディスク1に対する磁気ヘッド4の浮上高さの制御を、一例として、磁気ディスク1の回転数を変化させることによって行うが、この浮上高さ(磁気ディスク1の回転数)の値の指定を、パーソナルコンピュータ10dを介して入力し、この値を、マイクロプロセッサ10a、スピンドルコントローラ10bおよびスピンドルドライバ10cを介して駆動装置3に伝達することで、スピンドル2に支持された磁気ディスク1の回転数を変化させ、磁気ヘッド4の浮上高さの制御を実現する。 【0019】また、磁気ヘッド4の位置決め制御を行うアクチュエータ4aの動作も、マイクロプロセッサ10aにて制御され、磁気ディスク1の径方向の任意の位置に磁気ヘッド4を位置決めする動作が行われる。 【0020】磁気ディスク1は、厚さ0.635mm、2.5インチ型の表面を化学強化したアルミノシリケートガラスディスク基板を用い、この基板を洗浄した後、枚葉式スパッタリング装置を用いて、厚さ40nmのNiCrZr合金から成る第一の下地層を形成した。その後、ランプヒーターにより基板を加熱し、厚さ30nmのCrTi合金から成る第二の下地層を形成し、その上に厚さ20nmのCoCrPtから成る磁性層を形成し、その上に厚さ8nmの保護層を形成した。その後、基板をスパッタリング装置からとり外し、保護層上にパーフルオロアルキルポリエテールを主成分とする潤滑剤を塗布して厚さ2nmの潤滑層を形成した。この媒体の磁性層の厚さtと記録時における磁気記録媒体に対する磁気ヘッドの相対的な走行方向に磁界を印加して測定した残留磁束密度Brとの積Br×tは5.0T・nm(50ガウス・ミクロン)であり、保磁力は260kA/mmであった。 【0021】本実施例では、表1のように、基板の表面形状を変化させて、媒体表面の算術平均粗さ(Ra)と最大高さ(Ry)が、サンプル1(Ra=0.52nm、Ry=4.8nm)とサンプル2(Ra=0.82nm、Ry=8.19nm)の2サンプルのディスクを用意した。ここで、算術平均粗さ(Ra)と最大高さ(Ry)とは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)記載の粗さ表現である。 【0022】 【表1】
上記表面形状の測定には、ディジタルインスツルメンツ社製の走査型プローブ顕微鏡(SPN)ナノスコープIII を用いた。測定範囲は、80μm×80μm、スキャンライン数は、2,048本、及びスキャン速度は1本/秒である。また曲率半径20nm以下のノンドープシリコン探針付きカンチレバーを用いて、タッピングモードによって表面粗さ曲線を測定した。ここで、タッピングモードとはピエゾ加振器を用いて、カンチレバーを共振周波数近傍(約50〜500kHz)で加振させ、表面上を断続的に軽く触れながら走査する方法である。高さの絶対値はVLSIスタンダード社製のVLSIパターン(Model Number:STS2−180,Serial Number3091−01−105)を用いて較正した。また、高さ分解能は0.02nmで測定した。磁気ヘッド4は、ピコサイズ(長手方向1.2mm×1.0mm)のスライダーを用い、シールドギャップ長Gsを0.18μmとしたスピンバルブ型の再生素子(コア幅0.7μm)と、ギャップ長が0.25μmの電磁誘導型書込み素子(コア幅1.0μm)からなる。磁気ヘッド浮上量は、磁気ディスク1を、スピンドル2、駆動装置3からなる回転駆動系より回転数を変えることによって1〜15nmとした。 【0023】また本検査装置構成における記録再生条件は、磁気ディスク1の半径位置R=25mmに、磁気ヘッド4の書き込み電流値40mA、再生時のMRセンス電流値5mA、孤立再生波(LF)の記録密度を20kFCI(Flux Change per Inch)、連続波(HF)となる記録密度を230kFCIと設定した。また磁気ディスク1の回転数は、磁気ヘッド浮上量が1〜15nmになるように1,000〜6,000回転/分とした。 【0024】《実施例1》本発明を適用して、特に磁気ディスク製造工程時に、磁気ヘッドの低浮上化に伴うニアコンタクトの状態において、磁気ヘッドと磁気ディスクが接触することによって磁気ヘッドが振動するような現象(以下、スティックスリップ)によるオフトラックエラー及び磁気ヘッド浮上変動を引起す表面形状を有した磁気ディスクを精密に検出する場合について、図2のフローチャートを参照して説明する。 【0025】まず、磁気ディスク1を所定の位置、回転数で回転させ、磁気ヘッド4が磁気ディスク1の回転運動に伴って発生する空気動圧により、浮上する。この場合、磁気ディスク1の回転数と磁気ヘッド4の浮上量の関係は、回転数が低下すると、浮上量も低下する。近年、米国特許第3,855,625号に記載されているような負圧スライダーのような場合、浮上量調整は、今回実施する回転数を変える方法だけでなく、磁気ヘッド4の磁気ディスク1に対する角度(skew角)を変える方法や測定環境の圧力を変える方法によっても制御できる。 【0026】本実施例では、まず磁気ディスク1と磁気ヘッド4が接触しない安定浮上量として3点、つまり磁気ヘッド浮上量14nm、8nm、6nmになるような回転数に設定し、それぞれにおいて磁気ディスク上の1トラックに所定の周波数で記録、再生を行い、1トラックの平均再生信号レベル(root mean square値)を測定した。次に、磁気ディスク1と磁気ヘッド4が接触または単発的に接触するニアコンタクト状態になるような浮上量即ちニアコンタクト浮上量として5nm以下の4nm、2nm、1nmの3点又は2点になるような回転数を設定し、同様に記録再生を行い、1トラックの平均再生信号レベルを測定した。 【0027】表1に示すサンプル1、サンプル2の表面粗さが異なる磁気ディスク1を用いて、記録密度が20kFCIと230kFCIの信号を記録した時の平均再生信号レベル(y軸)とヘッド浮上量(x軸)の結果を図4と図5に示す。 【0028】サンプル2のディスクは、ヘッド浮上量14nmから1nm近傍まで、20kFCI、230kFCIでの平均再生信号レベルは共に増加したが、サンプル1のディスクはヘッド浮上量4nm以下で減少した。この時のサンプル1、サンプル2の230kFCIで記録した各浮上量での再生信号波形を図6に示す。x軸が時間、y軸が再生出力電圧を示す。これより、サンプル2では、ヘッド浮上量を下げても再生波形の出力電圧変動は、殆ど見られないが、サンプル1では、浮上量8nm以下で出力電圧変動が見られ、浮上量2nmでは、再生信号がほとんど出ていない箇所、つまり記録したトラックから完全に外れた位置で再生していると考えられる。また、意外なことに平坦性の高いサンプル1の方が変動の大きいことが分かる。 【0029】この磁気ヘッド浮上量に対する平均再生信号レベルの変化量で、磁気ヘッド4が磁気ディスク1上で位置変動したかを判定する。つまり、通常、浮上量を下げると磁気ヘッド4と磁気ディスク1の相対的な距離が縮まり、磁気ヘッド4が磁気ディスク1上に磁気的に記録された信号を受ける量が大きくなるため、平均再生信号レベルは大きくなる。しかし、浮上量を下げた時、磁気ヘッド4が磁気ディスク1上で位置変動を起こすと、記録したトラック上から外れるか、または、浮上変動を起こし、平均再生信号レベルが小さくなる。つまり、浮上量に対する平均再生信号レベルの変化量が負の場合、その浮上領域で位置変動が起こっていなく、正の場合、変動を起こしていることが分かる。 【0030】本結果の図4、図5より、サンプル1の磁気ディスク1は磁気ヘッド浮上量4nm以下で再生信号が減少したが、サンプル2の磁気ディスク1で減少していない。従って、本実施の形態の磁気ディスク1を用いる磁気ディスク装置の浮上保証範囲が、6nmから14nmであることから、安定浮上量として14nmとし、保証範囲の最下限6nmの安全を見込んでニアコンタクト浮上量としたとき、14nmでの平均再生信号レベルと、4nmでの平均再生信号レベルとの変化量を比較すると、サンプル1が正で、サンプル2が負である。即ち、サンプル2の方が安定して磁気ヘッド4が磁気ディスク1上を浮上飛行し、磁気ディスク上で磁気ヘッドが位置変動しずらい(すなわちスティックスリップが発生しにくい)磁気ディスクと判定できることが分かる。 【0031】このように、本実施例1の場合には、磁気ヘッド4の磁気ディスク1に対する浮上量を変えて各々での平均再生信号レベルを測定することによって、絶対値評価ではなく、変化量から求めることから、磁気ヘッド4のMR素子感度及び磁気ディスク1の磁性膜厚、保護膜厚等のばらつきに影響される度合が小さく、精度良く、検査対象の磁気ディスク1においてスティックスリップが発生しやすいか否か等の評価や検査が可能となる。 【0032】《実施例2》実施例1では、1トラック上の平均再生信号レベルを用いたが、極低浮上域で磁気ヘッドが磁気ディスク上で面内及び高さ方向に変動すると、磁気ヘッドの記録トラックに対する位置ずれが時間に対し、不規則に動くことから、ビット単位の再生信号レベルのばらつき、つまり標準偏差σの値を検査判定項目にする場合を示す。本実施例のフローチャートを図3に示す。図7は、サンプル1及びサンプル2について図6に示した記録密度が230kFCIの再生信号におけるビット単位の再生信号レベルの偏差σの測定結果を示す。偏差σは、以下のように定義する。図8に例示されるように、1ビットのデータの再生信号の1波長分の最大出力値と最小出力値との差をXとし、1トラック内のそのn波長のデータをX1 、X2 、・・・Xn とした時、平均値Xave は、【0033】 【数1】
偏差σは、【0034】 【数2】
とする。今回は、データを取込むメモリ9の記憶容量の都合上、1セクタ分で計算したが、それでもほぼトラック1周分を測定した時の傾向を表している。 【0035】図7より、サンプル1の磁気ディスクは磁気ヘッド浮上量4nm以下で偏差σが急激に大きくなったが、サンプル2の磁気ディスクで殆ど変化がなかった。これより実施例1と同様に、例えば安定浮上量として14nmでの偏差と、ニアコンタクト浮上量として4nmでの偏差を比較すれば、サンプル1では不安定な浮上のために増加し、サンプル2ではほとんど変化しない(すなわちスティックスリップが発生していない)ことが分かる。 【0036】更に本実施例では、ニアコンタクト浮上量(4nm以下)を測定することのみによる良否判定が可能である。本実施例においては、例えば、浮上量4nmでσ≦0.1を合格基準とすることができる。 【0037】このように、本実施例2の場合には、ビット単位の再生出力信号振幅のばらつき、すなわち標準偏差σを測定することで、上述の実施例1の方法と同様に、安定浮上量とニアコンタクト浮上量の2点で測定すれば、磁気ヘッド4を構成するMR素子の感度のばらつき等による影響を小さく抑えて精度良く、検査対象の磁気ディスク1においてスティックスリップが発生しやすいか否か等の評価や検査が可能となる。 【0038】さらに、本実施例2の方法においては、標準偏差σの絶対値に閾値を設定することで、検査対象の磁気ディスク1においてスティックスリップが発生しやすいか否か等の評価や検査が可能なので、たとえばニアコンタクト浮上量での標準偏差σの値のみをもってスティックスリップが発生しやすいか否か等の判定が可能となり、磁気ディスク1の製造工程でのスティックスリップの検査や判定作業の簡略化を実現することが可能となる。 【0039】以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。 【0040】 【発明の効果】本発明の磁気ディスクの検査方法および検査装置によれば、極低浮上環境下で生じる磁気ヘッドと磁気ディスクの接触によるトラック位置ずれ及び磁気ヘッド浮上量変動による再生信号変動量を直接に測定でき、当該磁気ディスクが実装される磁気ディスクドライブで許容される変動量と比較することで、その変動を引起こす磁気ディスクを精度良く検出、選別することが可能になる、という効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成12年8月8日(2000.8.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080001 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 大和
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| 【公開番号】 |
特開2002−56527(P2002−56527A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−239328(P2000−239328) |
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