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【発明の名称】 薄膜磁気記録媒体の製造方法
【発明者】 【氏名】石橋 信一

【氏名】岩間 敏範

【氏名】寺嶋 鋭二

【氏名】窪田 正雄

【氏名】小林 勇治

【要約】 【課題】保護層成膜後の表面パーティクル除去を容易にかつ保護層を傷つけることなく行い、磁気ヘッド浮上が安定し、記録再生時の信号欠落によるエラーの少ない薄膜磁気記録媒体の製造方法の提供。

【解決手段】非磁性基体上にドライプロセスにより少なくとも磁気記録層および保護層を順次形成する成膜工程と、該保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程とを具え、成膜工程と潤滑層形成工程との間に、保護層の表面にプラズマエッチング処理を施すプラズマエッチング工程を具え、成膜工程からプラズマエッチング工程までを真空中で連続して行うこと薄膜磁気記録媒体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 非磁性基体上にドライプロセスにより少なくとも磁気記録層および保護層を順次形成する成膜工程と、前記保護層上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程とを具える薄膜磁気記録媒体の製造方法であって、前記成膜工程と前記潤滑層形成工程との間に、前記保護層の表面にプラズマエッチング処理を施すプラズマエッチング工程を具え、前記成膜工程から前記プラズマエッチング工程までを真空中で連続して行うことを特徴とする薄膜磁気記録媒体の製造方法。
【請求項2】 前記成膜工程は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、および真空蒸着法よりなる群から選択された方法で行われることを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気記録媒体の製造方法。
【請求項3】 前記プラズマエッチング工程は、プロセスガスとして不活性ガスと、窒素、酸素、塩素、およびフッ素よりなる群から選択されたガスとの混合ガスを使用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気記録媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気記録媒体の製造方法、特に記録再生時における信号欠落エラーを生じない薄膜磁気記録媒体を容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜磁気記録媒体(ハードディスク)は、基板の上にCr合金下地層、CoCr合金非磁性中間層、Co合金磁気記録層、カーボンを主成分とした保護層(以下、カーボンを主成分とした保護層を「カーボン保護層」という)および潤滑層を順次積層した積層構造をしている(特開2000−200409号公報参照)。なお、中間層は設けられないものもある。
【0003】このような構造をした磁気記録媒体の従来の製造方法を図1を参照しながら、説明する。図1は、従来の磁気記録媒体の製造工程を表すフロー図であり、基板を図中の矢印の方向に運搬することによって磁気記録媒体が製造される。
【0004】まず、用意された基板1を、大気から真空状態の薄膜成膜装置201の基板搬入装着室(Load室)202に挿入する。次いで、基板真空加熱室203にて基板1を加熱し、下地層成膜室204にて下地層を、中間層成膜室205にて中間層を、磁気記録層成膜室206にて磁気記録層をそれぞれ成膜する。次いで、必要に応じて基板冷却室207にて基板を冷却し、保護層成膜室208にてカーボン保護層を成膜する。その後、真空状態の薄膜成膜装置201から大気へ、基板取り出し室209より、基板を取り出す。以上の操作は、内部が真空状態である薄膜成膜装置201内で行われ、ここでの基板の保持および運搬は1系統で、基板搬入装着室202において基板搬送系に装着された後は、基板取り出し室209まで各室へ順次搬送されることによって、保護層までを形成することができる。
【0005】薄膜成膜装置201より取り出した基板を、そのカーボン保護層表面のテープ研磨(以下、テープポリッシュとする)工程210、および純水または溶剤洗浄工程211により保護層成膜までに付着したカーボンを主成分とした粒子(以後、総称してパーティクルと表記する)や微小突起などを除去した後、潤滑剤をスピンコーター法またはディップ法により塗布する潤滑剤塗布工程212、および大気中で紫外線または加熱法によって潤滑剤を保護膜表面に定着させる潤滑層定着工程213を経て、最後に媒体表面をテープまたはヘッドを用いてバニッシュによる表面処理工程214を行う。
【0006】このようにして、磁気記録媒体7を得ることができる。従来の製造方法では、磁気記録媒体の製造において、真空中の薄膜形成工程、ならびに大気中の洗浄工程および潤滑層形成工程からなる複雑な工程を必要としていた。
【0007】ここで、保護層を形成した後に、表面のパーティクルを除去せずにその上に潤滑層を形成すると、実際にヘッドが媒体上に数十nmの高さを保持しながら飛行して記録再生を行うときに、パーティクルなどの突起に衝突してクラッシュし故障するという重大な問題が発生する。
【0008】そこで、従来は上述したようにカーボン保護層を形成した後、基板を大気中に取り出し、テープポリッシュによるパーティクル除去、さらに純水や溶媒によるウェット洗浄を施して、表面のパーティクル除去を十分に行った後に潤滑層を形成していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のようにテープポリッシュによるパーティクル除去工程を具える方法では、テープポリッシュのときにカーボン保護層表面上に付着したパーティクルおよび微小突起をテープが接触研磨するために、このパーティクルを巻き込んで表面を研磨することによる傷が発生してしまった。その結果、記録再生時における信号欠落によるエラーの原因となっていた。
【0010】また、カーボン保護層表面の大気中での洗浄工程において、潤滑剤塗布までの大気放置時間の経過と共に、カーボン保護層が大気に暴露されることによる酸化、窒化、水分吸着などが生じる。その結果、カーボン保護層表面の品質が変化し、潤滑層との密着性が変化することにより、品質の安定性が損なわれるという問題が生じていた。
【0011】そこで、本発明では保護層成膜後の表面パーティクル除去を容易に、かつ保護層を傷つけることなく行い、記録再生時の信号欠落によるエラーの少ない媒体を効率良く製造する方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するための本発明による薄膜磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基体上にドライプロセスにより少なくとも磁気記録層および保護層を順次形成する成膜工程と、前記保護層の上に潤滑層を形成する潤滑層形成工程とを具え、前述の成膜工程と前述の潤滑層形成工程との間に、前述の保護層の表面にプラズマエッチング処理を施すプラズマエッチング工程を具え、前述の成膜工程から前述のプラズマエッチング工程までを真空中で連続して行う。
【0013】ここで、前述の成膜工程は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、および真空蒸着法よりなる群から選択された方法で行われることが好ましい。
【0014】また、前述のプラズマエッチング工程は、プロセスガスとして不活性ガスと、窒素、酸素、塩素、およびフッ素よりなる群から選択されたガスとの混合ガスを使用することができる。
【0015】さらに、上述の本発明の製造方法によって製造された薄膜磁気記録媒体を具えた磁気ディスク装置は、エラーが少なく非常に高い信頼性を有する。
【0016】なお、本明細書中での真空中とは、圧力が4×10-6Torr以下であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明について図2および図3を用いてより詳細に説明する。図2は、本発明の製造方法によって製造される一例の薄膜磁気記録媒体の断面略図であり、図3は、本発明の薄膜磁気記録媒体の製造工程を表すフロー図である。
【0018】図2に示す薄膜磁気記録媒体7は、アルミ合金基板1a上にNiPメッキ層1bを設けた基板1の上に、順にクロム合金下地層2、コバルト−クロム合金中間層3、コバルト−クロム−白金合金磁気記録層4、カーボン保護層5、および潤滑層6を順に積層した構造をしている。
【0019】このような薄膜磁気記録媒体7を製造するために、本発明では図3に示す工程を具える。先ず、基板1は真空状態の薄膜成膜装置101の基板搬入装着室102に挿入され、基板搬送系に装着される。ここで用いる基板1は、NiPメッキ層を設けたアルミ合金基板、ガラス基板、セラミック基板、Ti合金基板、またはプラスチック基板など従来用いられていたものが用いられ、特に限定はしない。
【0020】次いで、基板1は基板真空加熱室103にて加熱され、下地層成膜室104にて下地層2を、中間層成膜室105にて中間層3を、そして磁気記録層成膜室106にて磁気記録層4をそれぞれ成膜する。下地層2は、中間層3、さらには磁気記録層4のエピタキシャル成長促進のために設けられ、中間層3は、磁気記録層4のエピタキシャル成長促進のために設けられる。
【0021】ここで、成膜される下地層2はクロム合金などが挙げられ、具体的にはCr−Mo20およびCr−W20などがある。中間層3としてはCo−Cr合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−Pt−Ta合金、およびCo−Cr−Pt−B合金が挙げられ、具体的にはCo−Cr37、Co−Cr17−Ta5などがある。磁気記録層4としてはCo−Cr−Pt合金、Co−Cr−Pt−B合金、Co−Cr−Pt−B−Ta合金、およびCo−Cr−Pt−Nb合金などが挙げられ、具体的にはCo−Cr20−Pt10−B4などがある。いずれも、従来用いられていたものが用いられ、特に限定はしない。
【0022】次いで、基板冷却室107にて基板を冷却する。
【0023】引き続き、保護層成膜室108において磁気記録層4の上に保護層5を形成する。保護層5としてはカーボンを主成分とした薄膜が用いられ、具体的には、ダイヤモンド状およびグラファイト状のカーボンの混合物、またはカーボンにNを8at%以下混合した混合物を薄膜として用いることができる、下地層2、中間層3、磁気記録層4、および保護層5を形成する方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、および真空蒸着法などを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0024】保護層5を成膜した後、引き続き真空状態である薄膜成膜装置101のドライプラズマエッチング室109にて、保護層の表面をドライプラズマエッチング処理する。このドライプラズマエッチング処理によって、保護層の表面に付着したパーティクルおよび微小突起を除去する。ドライプラズマエッチング処理に用いられるプロセスガスとしては、ネオンおよびアルゴンのような不活性ガスと、窒素、酸素、塩素、またはフッ素などのガスとの混合ガスを用いることができる。また、このときのエッチング条件の好ましい具体例は、10%の酸素を含むアルゴンの混合ガスをプロセスガスとして用い、ガス圧1.0Pa、RF投入電力50W、RF周波数27.12MHz、および処理時間2.5secである。
【0025】プラズマエッチング処理のエッチング量は、プロセスガスの組成(酸素含有率)、投入電力、およびエッチング時間などによって制御できる。好ましくは、エッチング時間を前工程の保護層までの成膜時間以下に設定することによって、各層の成膜時間により決定される量産性を低下させることなくエッチング処理を実施することが可能である。
【0026】このドライプラズマエッチング処理は、保護層を成膜した直後であるため、基板表面の温度が室温よりも数十℃から数百℃高く、活性が高いために、保護層表面に付着したパーティクルおよび微小突起は、プラズマに曝されることにより極短い処理時間にて化合、蒸発、昇華などがおこり除去されることが可能となる。よって従来のテープポリッシュや洗浄などのクリーニング工程を全て省略することが可能となる。
【0027】次いで、ドライプラズマエッチング処理をされた基板を、真空状態の薄膜成膜装置101の基板取り出し室110より大気に取り出す。薄膜成膜装置101から取り出した基板を、その保護層表面に潤滑剤を塗布する工程111、および塗布した潤滑剤を加熱処理またはUV処理などによって、具体例としては温度110℃における60分間にわたる加熱処理、または波長253nmもしくは185nmにおいて20秒間にわたるUV処理によって、保護層表面に定着させる工程112を経て、薄膜磁気記録媒体7を得る。ここで、潤滑剤の塗布方法はスピンコーター法、およびディップ法など従来の方法を用いることができ、特に限定しない。潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤パーフルオロポリエーテル(PFPE)を各種溶剤に分散させたものなどを用いることができる。
【0028】このようにして本発明では薄膜磁気記録媒体を製造することができる。
【0029】従来の大気中に基板を取り出してから実施するテープポリッシュを行う薄膜磁気記録媒体の製造方法では、潤滑層形成後に、薄膜磁気記録媒体表面をテープまたはヘッドによるバニッシュを行う必要があった。しかし、本発明では、テープポリッシュによるパーティクル除去を行わないため、信号欠落エラーの原因となるテープポリッシュの痕跡による不良傷を根絶することが可能となる。よって、潤滑層形成後の媒体表面へのテープまたはヘッドによるバニッシュ工程も省略することが可能となる。
【0030】以上のように、本発明の薄膜磁気記録媒体の製造方法を用いることにより、複雑な大気中の洗浄工程を経ることなく全て真空中での工程において媒体方面のパーティクルおよび微小突起を媒体に傷を付けずにクリーニングすることができ、磁気ヘッドの浮上を安定化させ、またエラーを大幅に向上させた薄膜磁気記録媒体を容易にかつ安価な方法で大量生産することができる。
【0031】さらに、本発明の製造方法によって用いられた磁気記録媒体を具えた磁気ディスク装置は、エラーが少なく非常に高い信頼性を有する。
【0032】
【実施例】以下に、本発明を具体的に説明する。
【0033】[実施例1]基板1として直径95mmのNiPメッキ層1bを設けたアルミ合金基板1aを用意する。これを真空状態の薄膜成膜装置101に挿入する。そして、投入電力250WのDC放電にてArガス圧力0.7Paの条件下で4秒間にわたってDCスパッタ法を用いて、膜厚6nmのクロム合金下地層2を形成した。次いで投入電力120WのDC放電にてArガス圧力0.7Paの条件下で4秒間にわってDCスパッタ法を用いて、膜厚3nmのコバルト−クロム合金中間層3を形成した。そして、投入電力700WのDC放電にてArガス圧力0.7Paの条件下で5.5秒間にわたってDCスパッタ法を用いて、コバルト−クロム−白金合金磁気記録層4を形成した。
【0034】引き続き磁気記録層4を形成した基板を冷却し、投入電力1250WのDC放電にてArガス圧力0.7Paの条件下で5.5秒間にわたってDCスパッタ法を用いて、カーボン保護層5を形成した。
【0035】次いで、アルゴンと10%の酸素の混合ガスをプロセスガスを用いて、プラズマエッチング処理を施して、カーボン保護層5に付着したパーティクルおよび微小突起を除去した。エッチング条件は、直径95mm基板1枚について、片面当たり、RF投入電力50W、RF電源の周波数27.12MHz、および処理時間2.5秒であった。
【0036】そして、真空装置よりプラズマエッチング処理を行った薄膜磁気記録媒体を取り出し、PFPE潤滑剤をフッ素系潤滑剤に分散させた潤滑剤溶液を用いてディップ法にて塗布し、110℃にて60分間にわたって加熱して潤滑剤を定着させて潤滑層6を形成した。
【0037】このようにして、薄膜磁気記録媒体7を製造した。
【0038】エッチング処理を施した後、かつ潤滑層を設ける前に保護層表面のパーティクルの数をパーティクルカウンターを用いて計測した。このパーティクルカウンターは、基板表面を真空吸引により集めたパーティクルをその直径の違いにより分類し、その個数を計測する装置である。計測結果を図4に示す。
【0039】図4は、本実施例および後述する例において、潤滑層を設ける前の各媒体のカーボン保護膜上のパーティクルの測定結果である。
【0040】図4中、縦軸にはパーティクルのサイズを直径0.1、0.3、0.5μmにて3種類に分類したときのカウント数を示す。横軸Bが、本実施例における薄膜磁気記録媒体の結果を表している。
【0041】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体について、12μmピッチにてR/Wヘッドにより薄膜磁気記録媒体の半径20.60mm〜46.63mmの範囲を測定して信号欠落エラーを調べた。測定条件は、線速度18.2mm/s、信号周波数61.6MHz、信号欠落(ミッシングパルス)スライスレベル65%であった。薄膜磁気記録媒体400枚(800面)について調べた結果は、1面あたりの平均信号欠落エラー数は、3.8個であった。
【0042】[比較例1]カーボン保護層を形成した後、表面処理を行わずに大気中に基板を出し、潤滑剤層を形成したあとにヘッドバニッシュを行ったことを除いて、実施例1と同様にして薄膜磁気記録媒体を製造した。
【0043】カーボン保護層を形成した後、かつ潤滑層を設ける前のパーティクルの数を実施例1と同様にして計測した。結果を図4の横軸Aとして示す。
【0044】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体のエラーを実施例1と同様にして測定した。結果は平均信号欠落エラー数は、一面当たり9.2個であった。
【0045】[比較例2]カーボン保護層を形成した後、大気中に基板を出し、テープポリッシュ加工を施してから潤滑層を設け、潤滑剤層形成後にヘッドバニッシュを行ったことを除いて、実施例1と同様にして薄膜磁気記録媒体を製造した。テープポリッシュは表面粗さ8000番、幅38mmのテープを基板の両面から数10g重を押しつけて、基板回転数1000rpmにて6秒間にわたって行った。
【0046】テープポリッシュ加工を行った後、かつ潤滑層を設ける前のパーティクルの数を実施例1と同様にして計測した。結果を図4の横軸Cとして示す。
【0047】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体のエラーを実施例1と同様にして測定した。結果は平均信号欠落エラー数は、一面当たり4.6個であった。
【0048】[比較例3]カーボン保護層を形成した後、大気中に基板を出し、テープポリッシュ加工、および純水洗浄を行ってから潤滑層を設け、潤滑層を形成した後にヘッドバニッシュを行ったことを除いて、実施例1と同様にして薄膜磁気記録媒体を製造した。
【0049】純水洗浄を行った後、かつ潤滑層を設ける前のパーティクルの数を実施例1と同様にして計測した。結果を図4の横軸Dとして示す。
【0050】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体のエラーを実施例1と同様にして測定した。結果は平均信号欠落エラー数は、一面当たり4.2個であった。
【0051】図4からも明らかなように、実施例1の真空中にてプラズマエッチング処理を行うと、従来の大気中にてテープポリッシュ加工を施した比較例2、およびテープポリッシュ加工と純水洗浄を行った比較例3と比較しても、同等以上に基板表面に付着したパーティクルが除去されている。
【0052】また、実施例1より得られた薄膜磁気記録媒体はエラーが発生しない、または比較例1から3より得られた薄膜磁気記録媒体よりも格段に減少されたエラーしか発生しない。これは、実施例1ではテープポリッシュ加工を行っていないため、媒体表面にポリッシュ痕跡による傷が残らないためと考えられる。よって、本発明では潤滑層を形成した後にバニッシュ工程を行う必要もない。
【0053】さらに、本発明のようにエラーを発生しない薄膜磁気記録媒体を装着した磁気ディスク装置は、エラーが非常に少なく信頼性が高いものが得られた。
【0054】[実施例2]真空プラズマエッチング処理工程におけるプロセスガスをAr、O2、N2を6:1:3の割合で混合した混合ガスを用いて処理を行ったことを除いて、実施例1と同様にして薄膜磁気記録媒体を製造した。
【0055】プラズマエッチング処理を施した後、かつ潤滑層を設ける前に保護層表面のパーティクルの数を、実施例1と同様にして計測した。結果を図4の横軸Eとして示す。
【0056】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体のエラーを実施例1と同様にして測定したところ、平均信号欠落エラー数が一面当たり4.0個であるという結果が得られた。
【0057】よってエッチング処理でのプロセスガスを変えても実施例1同様に、良好な結果が得られることがわかる。
【0058】[実施例3]プラズマエッチング処理工程として、基板に対向する電極をカーボン電極にして、このカーボン電極に直流電圧−300Vを印加することにより、ArおよびO2の9:1割合の混合ガスによる直流放電を行い、基板側に+100Vのバイアス電圧を印加することにより、基板表面を酸素イオンによりエッチングを3秒間行うことを除いて実施例1と同様にして薄膜磁気記録媒体を製造した。
【0059】エッチング処理を施した後、かつ潤滑層を設ける前に保護層表面のパーティクルの数を、実施例1と同様にして計測した。結果を図4の横軸Fとして示す。
【0060】また、得られた潤滑層付き薄膜磁気記録媒体のエラーを実施例1と同様にして測定したところ、平均信号欠落エラー数は一面当たり3.9個であるという結果が得られた。
【0061】よって、エッチング処理を直流エッチングにしても、実施例1と同様に良好な結果が得られることが分かる。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法を用いて薄膜磁気記録媒体を製造する、つまり保護層を形成した後、連続して真空中で基板表面をプラズマエッチング処理することによって、従来のような大気中でのテープポリッシュ工程、および純水もしくは有機溶剤による洗浄工程、さらにはバニッシュ工程を全く使用せずにパーティクルおよび微小突起を除去することが可能になる。そして、不良原因となるパーティクルおよび微小突起を除去した媒体を安定して製造することができる。しかも、大気中でのテープポリッシュ工程および洗浄工程が原因となる媒体表面の傷による信号欠落エラーやヘッドクラッシュを除去し、さらに、媒体表面の傷による潤滑層の定着のばらつきもないので、ヘッドの浮上ばらつきもないという高品質の高密度媒体を、より容易な工程で安価に再現性よく安定に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56526(P2002−56526A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−243261(P2000−243261)