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【発明の名称】 磁気記録媒体
【発明者】 【氏名】川合 一成

【氏名】山崎 嘉一

【氏名】宮原 鉄洲

【要約】 【課題】磁気記録層の結着樹脂に塩素系樹脂を使用せず、このため焼結時にダイオキシンを発生しない通帳等もしくは、該通帳等を作成するための貼合用非塩素系磁気記て録媒体であって、かつ磁気記録層の磁性粉の分散が従来と同等以上に良好な非塩素系磁気記録媒体を得る。

【解決手段】磁気記録層が、結着樹脂として、親水系の極性基を有するラジカル重合性単量体成分で、好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含有する非塩素系共重合体を、好ましくは全結着樹脂の20〜70重量%含有する貼合用非塩素系磁気記録媒体を用いて通帳等を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 非磁性支持体の一方の面に磁気記録層を有し、非磁性支持体を挟んで磁気記録層と反対側に接着層を有する貼合用磁気記録媒体において、該磁気記録層が結着樹脂として親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分を分子鎖中に含む非塩素系共重合体を含有することを特徴とする貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項2】 磁気記録層の全結着樹脂に対する前記非塩素系共重合体の含有率が20〜70質量%である請求項1記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項3】 非塩素系共重合体分子鎖中に含まれる、親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分の含有率が全単量体中の1〜30質量%である請求項1または2記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項4】 親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含有する請求項1、2、または3記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項5】 磁気記録層が、全結着樹脂に対して30〜80質量%の非塩素系ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項6】 磁気記録層上に磁性層の色相を完全に隠蔽する非磁性層が積層された請求項1、2、3、4、5記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
【請求項7】 請求項1、2、3、4、5、6記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体を非磁性基体上に貼合することにより作製された磁気記録媒体。
【請求項8】 非磁性基体が冊子状であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
【請求項9】磁気記録媒体が通帳用であることを特徴とする請求項7、8記載の磁気記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非塩素系の磁気記録層を有する貼合用磁気記録媒体関し、特に銀行通帳、郵便貯金通帳等に用いられる通帳用磁気記録媒体の製造用に用いられる貼合用非塩素系磁気記録媒体に関するものである。また、該貼合用磁気記録媒体の1つえある磁気ラベルの貼り付け工程を経て製造される非塩素系磁気記録媒体、特には通帳用の非塩素系磁気記録媒体に関するものである。
【0002】なお、本発明の貼合用磁気記録媒体とは、貼合用基体たる非磁性支持体上に少なくとも磁気記録層を含む積層体を形成し、支持体を挟んで反対側に粘着剤層等の接着層を形成した媒体であり、貼合用基体ごと他の基体に貼り付けて、磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体の製造に用いられる媒体の総称であり、原反、シート、テープ等種々の形状のものが存在する。また、その中には磁気ラベル積層体や磁気ラベルテープ等も含まれる。
【0003】また、本発明の通帳用磁気記録媒体とは、広くは磁気ストライプ付きの通帳として用いられている媒体及び、該媒体を作製するのに使用される貼合用磁気記録媒体等の媒体を含むものであるが、特に狭義には通帳用として使用され、冊子状の非磁性支持体に、ストライプ状等の磁気記録層を含む積層体を形成した磁気ストライプ付きの媒体であり、文字データの入力の他、磁気データの入出力をも可能とした媒体のことである。
【0004】
【従来の技術】貼合用磁気記録媒体からは、非磁性基体への貼り付け工程を経て種々の磁気記録媒体が作製される。銀行通帳、郵便貯金用通帳に使用される使用明細記録用通帳もそれらのうちの1つであるが、一般に紙製の小冊子状の形態を成し、冊子の前表紙または後表紙の片面もしくは両面の一部または全面に磁気記録層が形成されている。
【0005】このような磁気記録層は、非磁性支持体上を挟んで少なくとも一方の面に磁気記録層、他方の面に接着層を設けた積層体たる、貼合用磁気記録媒体のなかで、原反、シート、テープ等種々の形状を持つ該貼合用磁気記録媒体を、例えば所定の規格の幅、長さに裁断して作られる磁気ラベル積層体を用い、加圧、加熱下における貼り付け工程によって、ストライプ状等の磁気記録領域を通帳基体上に形成した作製される。
【0006】このような通帳用磁気記録媒体は近年、磁気記録媒体の高記録密度化やS/N比、C/N比の改良要求に伴って磁性粉がより微細化、高抗磁力化してきているため、磁性粉を塗料中に均一に分散させ平滑で充填度の高い磁気記録層を得ることがより必要になっている。このため、微細化した磁性粉を均一に分散させる、結着樹脂の分散能力が非常に重要な要因となった。
【0007】一方、通帳用磁気記録媒体は一般的に磁性粉の分散性の高さとコストの面から塩化ビニル系共重合体が用いられてきた。しかしながら塩化ビニル系共重合体は埋め立て処分の際に有毒な塩素水素ガスを発生すること、また焼却処分しようとした場合、低温燃焼時に有害なダイオキシンを発生することで忌避する傾向が強まっている。
【0008】通帳用基体はほとんどのの場合基体が紙であり、焼却処理が容易でかつ普通であるが、それでも基体の磁気ストライプ部や印刷インキに塩化ビニル系共重合体を使用していると焼却時にダイオキシンが発生する可能性がある。現に焼却時の塩素量とダイオキシン発生量とは比例関係にはないとの報告もあり、塩素を少量含有しただけでも焼却時に問題量のダイオキシンを発生する可能性も指摘されている。このため通帳用磁気記録媒体の完全脱塩化ビニル化が望まれていた。
【0009】 しかし現在までのところ、磁気記録層を完全に非塩ビ化して、塩ビ系樹脂と同等の磁性粉の分散性を実現し、通帳用磁気記録媒体を脱塩ビ化した例は存在しない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁気記録層の結着樹脂に塩素系樹脂を使用することなく、磁性粉の分散が従来と同等かあるいはそれ以上の磁気記録層を有する、貼合用非塩素系磁気記録媒体、及びこれを用いて作製される通帳用非塩素系磁気記録媒体を提供する事を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち通帳用非磁性基体上に貼合用磁気記録媒体の貼り付け工程によって形成された磁気記録層を有する磁気記録媒体において、磁気記録層の結着樹脂として親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体を分子鎖中に含む非塩素系共重合体(以下、単に「極性基を有する共重合体」という)、あるいは「極性基を有する共重合体」と塩素成分を含有しない非塩素系のウレタン樹脂を用いることによって、磁性粉の分散性と力学的性質に優れ、かつ廃棄燃焼時に有毒のダイオキシン発生要因となる塩素成分を含有しない通帳用非塩素系磁気記録媒体が得られることを見出した。なお、以下「非塩素系」は「塩素成分を含有しない」ことを意味するものとする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】以下、本発明の実施例の一つである磁気ストライプ付き通帳の概略図を図1示す、さらに図2には通帳用磁気ストライプ形成用の貼合用磁気記録媒体である磁気ラベル積層体(隠蔽用非磁性層付き)の断面図を、図3には該磁気ラベル積層体を用いて形成された、磁気ストライプ付き通帳(隠蔽用非磁性層付き)の磁気ストライプ部分の断面図を示す。以下これらの図を参照し、各構成部分について詳細に説明する。
【0014】通帳の基体Aは、例えば布クロスを基布とし、表面平滑性の良好な樹脂塗装で、塗布加工した磁気通帳用クロス紙等が使用される。
【0015】この基体Aを冊子の表紙として、前表紙と後表紙の片方もしくは両方の一部または全面に、磁気記録層を含む積層体である磁気ストライプBが形成される。
【0016】次に本発明の、磁気ストライプ付き通帳の磁気ストライプ部分の各構成材料、もしくは、該通帳の貼合工程を経た製造に用いられる貼合用磁気記録媒体の各構成材料について詳細に説明する。
【0017】通帳の基体7は一般的に前述の磁気通帳用クロス紙の使用が指定されているが、表面は磁気ストライプの貼り付けに適合し、かつ、表面平滑性の良好な樹脂塗装で、塗布加工した磁気通帳用クロス紙等が使用され、特に磁気ストライプ貼り付け面(クロス紙)の表面粗さは、中心線平均表面粗さで20μm以下が望ましい(但し、磁気ストライプの貼り付け強度の点からは15μm以下がより望ましい)。
【0018】一方、貼り付け工程(貼合工程)による磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体の製造に用いられる、磁気ラベル積層体の構成は、図2のように磁気ラベル用基体1の一方の面に磁気記録層2を形成し、その上に保護層4(着色層が無い場合)を形成する。さらに磁気ラベル用基体1の他方の面には接着層(粘着剤層)5が設けられる。粘着剤層上には通常、磁気ラベル用基体たる離型紙6等が貼り合わせられる。
【0019】また、審美性、意匠性の向上の観点から、磁気記録層2と保護層4の間に磁気記録層の色相を隠蔽する着色層3や模様層を設けても良い。
【0020】通常、このような磁気ラベル積層体等の貼合用磁気記録媒体の積層構造はフィルム状の磁気ラベル用基体の原反に重層して各構成層の塗工を行って形成する。
【0021】しかる後にこの原反をシート状に裁断し、さらに場合によっては、原反もしくはシートから磁気ラベル積層体をスリットまたは打ち抜き等の方法により所望の大きさに裁断して使用する。また原反もしくは上記シートより貼合用磁気記録媒体のテープ状のスリットを行い、磁気ラベル用テープとして用いることもできる。通帳用基体に貼り付ける際は、前記の通帳用基体7にこの前記の磁気記録層2を含む磁気ラベル積層体を、接着層5を介して重ね合わせ、圧力及び熱を加えて通帳用基体上に接着させ磁気ストライプBを形成する以下磁気記録層の形成方法について述べる。
【0022】貼り付け工程による磁気ストライプ付き通帳等の磁気記録媒体の製造に用いられる貼合用磁気記録媒体については、これに使用される磁気塗料用バインダー樹脂としては、非塩ビ系であれば一般塗料用樹脂ならこれらを広く使用することが可能である。
【0023】本発明では磁気記録層用結着剤樹脂として、分子鎖中に親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分を含む非塩素系共重合体(「極性基を有する共重合体」)を用いる。非塩素系共重合体の含有率は、磁気記録層の全結着樹脂に対して20〜70質量%であることが好ましいが、さらに好ましい範囲としては40〜60質量%である。
【0024】親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体の例としては、水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、リン酸基含有単量体等が挙げられる。具体的には、水酸基含有単量体の例では、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコールなどが挙げられる。なお、(メタ)アリルはアリルとメタリル総称である。
【0025】カルボキシル基含有単量体の例では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物及びこれら二塩基酸の半エステルなどが挙げられる。
【0026】スルホン酸基含有単量体の例では、【0027】
【化1】

【0028】(ただしMは水素原子またはアルカリ金属、Rはアルキル基を示す。)等が挙げられる。
【0029】リン酸基含有単量体の例ではモノ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシッドホスフェート、モノ[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシッドホスフェート、モノ[(メタ)アクリロイルオキシブチル]アシッドホスフェート、モノ[(メタ)アクリロイルオキシエトキシノエチル]アシッドホスフェート、モノ[(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレングリコール]アシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルブチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレングリコールブチルアシッドホスフェート、ビニルアシッドホスフェート及びそれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0030】この親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体は1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよいが、その量が少ないと分散性が低下し、多すぎる場合には塗料粘度が高くなるため、良好な塗膜が得られにくい。したがって、共重合時の上記親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体配合比率は、全単量体の1〜30質量%とするが、好ましくは1〜10質量%である。また上記ラジカル重合性単量体がヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含むとき本発明の効果がより顕著である。
【0031】上記親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体と共重合させる単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0032】また、必要に応じて上記アクリル系単量体以外のラジカル重合性単量体を共重合させることができる。このような単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン;さらにメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類などが挙げられる。これらの単量体は本発明の効果を損なわない限り、単量体全量の20質量%以下で配合することができ、最適配合量は、得られる共重合体のガラス転移温度及び強度、ヤング率、多層コーティング時の層間接着性等の物性を考慮して選定する。本発明の目的が、非塩素系転写用積層体の提供にあることから、当然ながら使用するすべての原料が塩素成分を含有しないことが必須の条件となる。
【0033】以上に説明した各単量体の組合せから構成される「極性基を有する共重合体」は、分子量が低すぎると磁性塗膜がもろくなるなど物理的強度が低下し、最終形態である磁気カードの耐久性を低下させることになる。逆に分子量が高すぎると、磁性塗料の粘度が増大し、塗布時の作業性が悪くなり取り扱いが困難にる。このため、その平均分子量は5000〜100000であることが好ましく、より好ましくは10000〜60000の範囲である。
【0034】磁気記録層の結着樹脂には、「極性基を有する共重合体」と分子構造中に塩素成分を含まない他の樹脂を併用することができる。併用し得る樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、アルキッド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等をあげることができる。本発明では特に非塩素系ポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂は、磁気記録層の表面硬度や接着強度などの力学的性質について良好な特性を示し、「極性基を有する共重合体」と併用したときに、磁性粉の分散性と力学的性質が共に優れた磁気記録層が得られる。非塩素系ポリウレタン樹脂の含有量は磁気記録層の全結着樹脂に対して30〜80質量%が好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。
【0035】磁気記録層用塗料の調製にあたって、「極性基を有する共重合体」の配合比率は、上記ポリウレタン樹脂の配合比率によっても変わるが、好ましい範囲は全結着樹脂の20〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
【0036】本発明に使用される磁性粉には、γ−Fe23、Co被着γ−Fe23、Fe34、Co被着Fe34、CrO2、Baフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライト等の従来公知の磁性粉が使用できる【0037】本発明の磁気塗料に使用する溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤等を挙げることができ、これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0038】磁気記録層用塗布液は、例えば上記磁性粉末、バインダー樹脂、有機溶剤、及び必要に応じてその他の成分を混練分散機により混練分散することにより得ることができる。
【0039】磁気記録層用塗布液を作製するための混練分散にあたっては、各種の混練分散機を使用することができる。この混練分散機としては、例えば二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、ヘンシェルミキサー、コボルミル、トロンミル、サンドミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、オープンニーダー、連続ニーダー、加圧ニーダー等が挙げられる。
【0040】この磁気記録層の塗布方式としては、特に制限はなく、公知の塗布方式を使用して良く、単層または複数層構成の磁気記録媒体の製造に使用される方法に準じて製造することができ、例えばグラビア方式、リバース方式、エアドクターコーター方式、ブレードコーター方式、エアナイフコーター方式、スクイズコーター方式、含浸コーター方式、トランスファロールコーター方式、キスコーター方式、キャストコーター方式、スプレイコーター方式、ダイ方式等を使用できる。
【0041】配向方法は、公知の方式、例えば反発対向永久磁石、ソレノイド型電磁石等を用いることが出来る。磁場強度としては1000〜6000Gの範囲が好ましい。
【0042】次に本発明に用いられる貼合用磁気記録媒体の一つである磁気ラベル積層体等の積層体について、磁気記録層以外で使用される種々の構成材料について詳細に説明をする。
【0043】磁気ラベル積層体等の貼合用磁気記録媒体に用いる事ができる貼合用基体1としては公知のものがいずれも使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラスチック等を挙げることができる。中でも抗張力や耐熱性を兼ね備えたポリエチレンテレフタレート等が好ましい。
【0044】また、磁気ラベル積層体等の貼合用磁気記録媒体の貼合用基体1の厚みには特に制限はないが、通常10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
【0045】次に着色層3に関しては、磁気記録層2の色を隠蔽するために、また、通帳自体の装飾性を向上させる為に塗布されることもある。また、更に通帳自体の装飾性を向上させる為に模様層を塗布することもある。
【0046】隠蔽性の重要な着色層3に関しては単層とは限らず、多層となる場合もある。着色層に用いる顔料は、無機顔料としては、アルミナ、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛、硫酸バリウムなど、有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、インダンスレン系顔料など多々あるが特に限定されるものではない。
【0047】これら着色層3を形成するには、顔料をバインダー樹脂中に単独もしくは2種以上混合し、公知の方法で分散させて、着色用塗布液を作成し、公知の方法で塗布する。
【0048】着色層3は、例えば顔料、樹脂バインダー及び樹脂バインダーを溶解する溶剤を含有する印刷インキを、前述のカード基体上に塗布、印刷することにより形成できる。
【0049】樹脂バインダー、溶剤としては磁気記録層の箇所で述べた前述の非塩素系樹脂を用いることができる。
【0050】着色層3の形成にはグラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の公知の印刷方法を用いることが出来る。
【0051】最初に本発明の磁気記録層を上記基体上に前述の方法により形成し、次に着色層3は、磁気記録層2の磁気色を隠蔽するために、また、通帳自体の装飾性を向上させる為に塗布される。
【0052】模様層、着色層の膜厚は、薄すぎると磁気記録層の磁気色を隠蔽することができず、厚すぎるとスペーシングロスのために再生出力が低下する。このため、通常0.5〜20μmの範囲で用いられる。
【0053】更に磁気記録層の磁気色をより効果的に隠蔽する方法として、磁気記録層2と着色層3の間に金属蒸着膜を設けることができ、アルミニウム、錫、金、銀、白金、等の金属蒸着層を使用することが出来る。この方法を用いれば着色用塗料の塗布による塗膜形成に比べて、より薄い膜厚で磁気色の隠蔽が可能となり、出力、分解能などの特性の劣化を防ぐことが可能である。
【0054】金属蒸着膜として用いられる膜厚の範囲は、通常、0.05〜0.1μmである。
【0055】更に以上の磁気ラベル用基体上に磁気記録層2、着色層3を順に設けた上に、形成された各層の最表層として表面保護の機能をも有する層である保護層4を設けることもできる。
【0056】保護層4を構成する物質としては、耐久性に富みかつ通帳基体8に接着する際に熱及び圧力を受けるため耐熱性を有する材料が好ましく、例えば、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート及びその共重合体、メラミン樹脂等及びこれらの樹脂の混合物を挙げることができる。
【0057】更に、保護層4中には、必要に応じて、皮膜改質剤として大豆レシチン、フタル酸系可塑剤、マイクロシリカ、あるいはワックス等を添加することもできる。
【0058】保護層4は、例えば上記構成物質を溶剤に溶解・分散してなる塗料を公知の方法で前述の磁気記録層2、もしくは着色層の上に塗布することにより形成される。
【0059】一方、貼合用磁気記録媒体である磁気ラベル積層体等の貼合用磁気記録媒体を通帳に接着する際は、磁気ラベル積層体上磁気記録層と反対側に設けた接着層である粘着剤層5を通帳用基体の所定の箇所にまず常温で圧着させ、次いで、120℃程度の温度で加熱すると共に加圧し接着をより強固にしている。従って、磁気ラベル用基体の磁気記録層と反対面に設けられる粘着剤層5は、常温圧着時及び加熱加圧後いずれにおいても接着力に優れている感圧性粘着剤が望ましい。粘着剤層に隣接して通常は離型紙6が貼り合わせられる。
【0060】貼合用磁気記録媒体である磁気ラベル積層体用の粘着剤層5に使用する感圧粘着性を示す樹脂としては、例えば、アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸と酢酸ビニルの共重合体、あるいは、更にビニルアルコール、無水マレイン酸あるいはアクリル酸などを加えた共重合体等の塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0061】更に上記樹脂組成物に架橋剤を添加する事により、常温圧着時の接着力及び加熱後の接着力をコントロールする事が出来る。この架橋剤は従来から粘着剤に用いられていたものを使用でき、具体的にはイソシアネート系架橋剤、アミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤を挙げることができる。
【0062】また、粘着剤層5に用いることの出来る感圧粘着剤層用塗料は、感圧粘着性を示す樹脂を、溶剤に対する樹脂の質量%で3〜20%で溶剤に溶解させ、混合攪拌して調整する。粘着剤層5の塗布には磁気記録層2で述べた公知公用の塗布方式を使用できる。
【0063】粘着剤層の厚さの範囲としては、通常5〜100μmが用いられる。
【0064】貼合用磁気記録媒体としては、通常、貼合用基体の磁気記録層と反対側の面にあらかじめ粘着剤層等による接着層を形成するが、この接着層を形成せず、通帳等の基体の側に別途塗布等によって接着層を形成しておき、接着層のない磁気ラベル積層体等の貼合用磁気記録媒体を用いて貼り合わせることもできる。
【0065】このように形成された磁気ラベル積層体を用いて、貼り付け工程を経て、磁気ストライプ付き通帳を作成するには、貼合用磁気記録媒体の原反またはシートを一度、所定の幅に裁断し作成した磁気ラベルテープを作成して、これをカットしてラベルとして用いるか、または、該原反もしくはシートから、直接、磁気ストライプに使用する部分を島状に打ち抜いてラベルとして用いるかする方法が使用される。
【0066】その後に、前述の通り、磁気ラベル用積層体に設けた粘着剤層5を通帳用基体7の所定の箇所にまず常温で圧着させ、次いで、100〜120℃程度の温度で加熱すると共に加圧し磁気ラベル用積層体と通帳用基体7との接着をより強固にさせる。
【0067】これら手法を用いることによって複雑な模様を持つ、意匠性に優れた通帳磁気ストライプ用の磁気記録媒体を作製することができる。
【0068】
【発明の実施の形態】本発明は、次の発明を包含する。
1.非磁性支持体の一方の面に磁気記録層を有し、非磁性支持体を挟んで磁気記録層と反対側に接着剤層を有する貼合用磁気記録媒体において、該磁気記録層が結着樹脂として親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分を分子鎖中に含む非塩素系共重合体を含有することを特徴とする貼合用非塩素系磁気記録媒体。
2.磁気記録層の全結着樹脂に対する前記非塩素系共重合体の含有率が20〜70質量%である前記1記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
3.非塩素系共重合体分子鎖中に含まれる、親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分の含有率が全単量体中の1〜30質量%である前記1または2記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
4.親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体としてヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを含有する前記1、2、または3記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
5.磁気記録層が、全結着樹脂に対して30〜80質量%の非塩素系ポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする前記1、2、3、または4記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
6.磁気記録層上に磁性層の色相を完全に隠蔽する非磁性層が積層された前記1、2、3、4、5記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体。
7.前記1、2、3、4、5、6記載の貼合用非塩素系磁気記録媒体を非磁性基体上に貼合することにより作製された磁気記録媒体。
8.非磁性基体が冊子状であることを特徴とする前記7記載の磁気記録媒体。
9.磁気記録媒体が通帳用であることを特徴とする前記7、8記載の磁気記録媒体。
【0069】
【実施例】以下に本発明の内、通帳磁気ストライプ用磁気ラベル積層体について実施例及び比較例を用いて、さらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない、尚、以下「部」は質量部を表すものとする。
【0070】(実施例)磁気ラベル用基体である支持体フィルムとして、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、このフィルムの片面上に下記a、b、cの各組成物を用い、着色層を4μm、保護層を乾燥後膜厚2μm、となるように順次形成した。その後に、フィルムの上記構成層を塗布形成した反対の面上に下記dの組成物を用い、粘着剤層を30μmとなるように形成した。そして、この磁気ラベル用積層体を所定幅に裁断して磁気ラベル用テープを作製した。
【0071】
(a:磁気記録層用組成物)
Co含有γ−Fe23酸化鉄 27部 (戸田工業社製、『CTX−970』)
アクリル系共重合体樹脂 3部 (日信化学社製、『S−8』
β−HEMA 1〜7%含有)
ポリウレタン樹脂 4部 (大日本インキ化学工業社製、『T−5206』)
MEK 28部 トルエン 28部 シクロヘキサノン 8部 イソシアネート化合物 2部【0072】
(b:着色層用組成物)
アルミニウム粉末 20部 セルロース誘導体樹脂 7部 (イーストマンケミカル社製、『CAB381−0.5』)
ポリウレタン樹脂 3部 (大日本インキ化学工業社製、『パンデックスTR−01』)
MEK 35部 トルエン 25部 酢酸エチル 10部【0073】
(c:保護層用組成物) アクリル樹脂 16部 (大日本インキ化学工業社製『KU−273』)
タルク顔料 8部 (松村産業社製『#5000 PJ』) イソシアネート系硬化剤 2部 (大日本インキ化学工業社製『D−750』)
MEK 37部 トルエン 37部【0074】
(d:粘着剤層用組成物)
アルキルフェノール樹脂 6部 (荒川化学工業株式会社製、『タマノル100S』)
アクリル酸エステル・アクリル酸・酢酸ビニル共重合体樹脂 (サイデン化学工業株式会社製、『サイヒ゛ノール SD-102』) 67部 トルエン 26部 イソシアネート系硬化剤 1部 (日本ポリウレタン社製『コロネートL』)
【0075】次に、通帳用基体(ダイニック株式会社製、『マグナプレン702』)に上記の磁気ラベル用テープを貼着した後、温度110℃、圧力0.1MPaの条件で2秒間加熱加圧し、磁気ストライプ付き通帳用基体を作成した。その後、7mm×14mmに磁気ストライプ部を切り取り磁気特性測定用サンプルを作成した。
【0076】(比較例1)磁気記録層用塗料組成物の配合を以下のように、それ以外は実施例と同様にして磁気ラベル用テープを作成し、その後に実施例と同様にして本発明の磁気特性測定用サンプルを作成した。
【0077】
(f:磁気記録層用組成物)
Co含有γ−Fe23酸化鉄 27部 (戸田工業社製、『CTX−970』)
塩化ビニル系樹脂 4部 (日本ゼオン社製、『MR−110』)
ポリウレタン樹脂 4部 (大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
イソシアネート系硬化剤 3部 (日本ポリウレタン社製『コロネートL』)
MEK 24部 トルエン 24部 シクロヘキサノン 11部【0078】(比較例2)磁気記録層用塗料組成物の配合を以下のように、それ以外は実施例と同様にして磁気ラベル用テープを作成し、その後に実施例と同様にして本発明の磁気特性測定用サンプルを作成した。
【0079】
(g:磁気記録層用組成物)
Co含有γ−Fe23酸化鉄 27部 (戸田工業社製、『CTX−970』)
アクリル系共重合体樹脂 4部 (三菱レイヨン社製、『BR−77』
親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体成分を分子鎖中に含まず。)
ポリウレタン樹脂 4部 (大日本インキ化学工業社製、『T−5206』
イソシアネート系硬化剤 3部 (日本ポリウレタン社製『コロネートL』)
MEK 24部 トルエン 24部 シクロヘキサノン 11部【0080】(試験項目及び結果)
1.磁気特性(磁性粉分散性)
得られた磁気特性測定用サンプルで磁気静特性を測定(交流型B−Hトレーサーを使用)し、φr/φmの値を角型比としてあらわし、磁性粉の分散性を評価する。
【0081】2.層構成中の塩素の有無SEM−EDSによる元素マッピングの結果結果を表1に示す。
【表1】

【0082】実施例に示す通り、本発明により、脱塩ビを図った磁気記録媒体は、材料起因の塩素を含有しないのはもちろんであるが、不純物起因の塩素にに関しても、SEM−EDSによる元素マッピング法では、層構成からは塩素が検出されなかった。しかしながら、このような実施例の構成の磁気記録媒体を使用しても、角型比が従来の塩ビ系磁気記録媒体とほぼ同等であることから、磁性粉の分散性が従来の塩化ビニル系共重合体と同等に良好であることがわかる。
【発明の効果】本発明の貼合用非塩素系磁気記録媒体は、その磁性層の結着樹脂として親水性の極性基を有するラジカル重合性単量体を分子鎖中に含む非塩素系共重合体、あるいは極性基を有する共重合体と塩素成分を含有しない非塩素系のウレタン樹脂を用いて形成されている。このため、該貼合用磁気記録媒体で作製された通帳用磁気記録媒体は、従来では実現されていなかった通帳用磁気ストライプの脱塩ビを可能にし、かつ磁性粉の分散性も良好な磁気記録媒体を得ることが出来るという点で格別顕著な効果を有するものである。
【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100088764
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勝利
【公開番号】 特開2002−56524(P2002−56524A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−242522(P2000−242522)