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【発明の名称】 磁気ヘッド装置及び該磁気ヘッド装置を備えた磁気ディスク装置
【発明者】 【氏名】白石 一雅

【氏名】和田 健

【氏名】川合 満好

【氏名】本田 隆

【氏名】太田 憲和

【氏名】松本 孝雄

【氏名】広瀬 篤

【要約】 【課題】組立てが簡単でありかつICチップの放熱をより促進できる新規な構造の磁気ヘッド装置及びこの磁気ヘッド装置を備えた磁気ディスク装置を提供する。

【解決手段】少なくとも1つの薄膜磁気ヘッド素子を有する磁気ヘッドスライダと、磁気ヘッドスライダを一方の面上に実装したサスペンションと、薄膜磁気ヘッド素子用の回路を搭載したICチップと、サスペンションを固着支持する支持アームとを備えた磁気ヘッド装置であって、ICチップが、サスペンションの一方の面上に実装されておりかつ支持アームに熱的に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも1つの薄膜磁気ヘッド素子を有する磁気ヘッドスライダと、該磁気ヘッドスライダを一方の面上に実装したサスペンションと、前記薄膜磁気ヘッド素子用の回路を搭載したICチップと、前記サスペンションを固着支持する支持アームとを備えた磁気ヘッド装置であって、前記ICチップが、前記サスペンションの前記一方の面上に実装されておりかつ前記支持アームに熱的に結合されていることを特徴とする磁気ヘッド装置。
【請求項2】 前記ICチップが前記サスペンションの前記支持アームへの固着部近傍に実装されており、前記支持アームが前記サスペンションの前記ICチップを実装した部分において該サスペンションの他方の面に接触していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項3】 前記ICチップが前記サスペンションの前記支持アームへの固着部近傍に実装されており、前記支持アームと前記ICチップとが熱伝導度の高い部材を介して直接的に熱的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項4】 前記熱伝導度の高い部材が前記ICチップの実装面とは反対側の面に接触していることを特徴とする請求項3に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項5】 前記サスペンションが熱伝導度の高い材料を含有する金属材料からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項6】 前記サスペンションが金属部材に熱伝導度の高い材料層を積層した構造を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項7】 前記ICチップが前記サスペンションの前記支持アームへの固着部近傍に実装されており、前記支持アームと前記ICチップとが前記サスペンションのばね部材に設けられた貫通口を通って熱的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項8】 前記支持アームと前記ICチップとが前記サスペンションの樹脂層のみを介して熱的に結合されていることを特徴とする請求項7に記載の磁気ヘッド装置。
【請求項9】 請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気ヘッド装置を備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば磁気ディスク装置等に用いられる、薄膜磁気ヘッド素子用のICチップを搭載した磁気ヘッド装置及びこの磁気ヘッド装置を備えた磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置では、サスペンションの先端部に取り付けられた磁気ヘッドスライダを、回転する磁気ディスクの表面から浮上させ、その状態で、この磁気ヘッドスライダに搭載された薄膜磁気ヘッド素子により磁気ディスクへの記録及び/又は磁気ディスクからの再生が行われる。
【0003】近年の磁気ディスク装置の大容量化及び高密度記録化に伴い、記録周波数の高周波数化が進んでおり、これを実現する手段の一つとして提案されているのが、磁気ヘッド素子用の駆動回路の一部をICチップ化し、これをサスペンション上に搭載するようにした構造(チップオンサスペンション構造)である。この構造をとることにより、駆動回路から磁気ヘッド素子までの配線距離が短くなるので、ヘッド駆動信号に付加される不要なノイズを低減することが可能となり、その結果、高周波領域における記録特性が向上する。また、磁気抵抗効果(MR)型読出しヘッド素子から出力される微弱信号を、このMR型ヘッド素子により近いところで増幅することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなICチップは、その実装構造上、寸法を非常に小さくする必要があるが、寸法が小さくなると表面積がその分小さくなり、放熱が不十分となる。また、スペースの小さいサスペンション上に実装しなければならないため、及び500MHz近い高周波領域ではパッケージ化された際に端子となるリードフレームの容量がノイズとなって電気的特性に悪影響をあたえるため、ICチップはベアチップ化する必要がある。このため、ICチップの発熱はさらに大きくなる。その上、ICチップには、記録時にかなり大きな電流が流れることから発熱が非常に大きくなるので、不十分な放熱性は大きな問題となる。
【0005】また、サスペンションのばね部材は、通常、ステンレス鋼による板ばねが用いられるが、このステンレス鋼は、金属材料としては熱伝導度が低いため、チップオンサスペンション構造をとった場合に、放熱による冷却をさほど期待できない。
【0006】このように、チップオンサスペンション構造の従来の磁気ヘッド装置は、(1)ICチップが非常に薄く小さいため、その発熱に対する効果的な放熱対策が難しい、(2)ICチップが磁気媒体と対向する側のサスペンション上に実装されるため、ICチップ自体に直接的に放熱構造を取り付けることが難しい、(3)サスペンションのばね部材として用いられるステンレス鋼は、熱伝導度が低いため、通常のチップオンサスペンション構造では十分な放熱が行えないという問題点を有している。
【0007】ICチップをサスペンション上ではなく、サスペンションを支持する支持アーム(スイングアーム)上に直接搭載する技術は、公知である(例えば、実開昭56−9576号公報、特開昭62−197909号公報、特開平3−187295号公報)。しかしながら、支持アーム上に直接搭載する構造は、各支持アームにサスペンションとICチップとをそれぞれ別個に実装する必要があることから、組立て工数が増大し、組立て工程が煩雑になるのみならず組立て時間が長くなるという問題点を有している。しかも、ICチップがより小さくなってきていること、支持アームが立体的構造を有していることから、各支持アームにICチップを直接実装することは大きな困難を伴う。
【0008】なお、支持アーム上にICチップを搭載するこれら公知技術は、パッケージ化されたICチップを搭載する技術であることに注意すべきである。パッケージ化されたICチップは、リードフレームから放熱を行うことができるため、発熱は大きな問題とはならない。本発明にかかるICチップのように、スペースの小さい個所へIC実装を行うこと、及び高周波対応のためにICチップがベアチップ化された場合に、特に発熱の問題が発生するのである。
【0009】従って本発明は、従来技術の上述した問題点を解消するものであり、その目的は、組立てが簡単でありかつベアチップ化された場合にもICチップの放熱をより促進できる新規な構造の磁気ヘッド装置及びこの磁気ヘッド装置を備えた磁気ディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なくとも1つの薄膜磁気ヘッド素子を有する磁気ヘッドスライダと、磁気ヘッドスライダを一方の面上に実装したサスペンションと、薄膜磁気ヘッド素子用の回路を搭載したICチップと、サスペンションを固着支持する支持アームとを備えた磁気ヘッド装置であって、ICチップが、サスペンションの一方の面上に実装されておりかつ支持アームに熱的に結合されている磁気ヘッド装置及びこの磁気ヘッド装置を備えた磁気ディスク装置が提供される。
【0011】薄膜磁気ヘッド素子用の回路を搭載したICチップを支持アームに直接搭載するのではなく、サスペンション上に実装すると共に支持アームに熱的に結合するように構成している。このように構成することにより、ICチップをあらかじめサスペンション上に搭載しておき、即ち、リード導体を有するサスペンション上に磁気ヘッドスライダ及びICチップをあらかじめ組み付けてヘッドジンバルアセンブリ(HGA)を形成しておき、このHGAを支持アームに取り付ければよいため、組立てが非常に簡単となり、組立て工数の低減及び組立て時間の短縮化が図れ、しかも支持アームに熱伝導させこの支持アームをヒートシンクとして利用することにより放熱が大幅に促進される。
【0012】ICチップがサスペンションの支持アームへの固着部近傍に実装されており、支持アームがサスペンションのICチップを実装した部分においてサスペンションの他方の面に接触していることが好ましい。
【0013】ICチップがサスペンションの支持アームへの固着部近傍に実装されており、支持アームとICチップとが熱伝導度の高い部材を介して直接的に熱的に結合されていることも好ましい。この場合、熱伝導度の高い部材がICチップの実装面とは反対側の面に接触していることがより好ましい。
【0014】サスペンションが熱伝導度の高い材料を含有する金属材料からなるか、又はサスペンションが金属部材に熱伝導度の高い材料層を積層した構造を有することも好ましい。
【0015】ICチップがサスペンションの支持アームへの固着部近傍に実装されており、支持アームとICチップとがサスペンションのばね部材に設けられた貫通口を通って熱的に結合されていることも好ましい。この場合、支持アームとICチップとがサスペンションの樹脂層のみを介して熱的に結合されていることがより好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の磁気ヘッド装置の一実施形態におけるHGAの磁気媒体対向面側を表す底面図であり、図2はこの実施形態におけるHGA及び支持アームの一部を示す斜視図であり、図3は図2のA−A線断面図である。
【0017】図1及び図2に示すように、HGAは、サスペンション10の先端部に少なくとも1つの薄膜磁気ヘッド素子を備えた磁気ヘッドスライダ11を固着すると共に、そのサスペンション10の取り付け部の側方にヘッド駆動及び読出し信号増幅用ICチップ12を装着して構成される。スライダ11及びICチップ12は、磁気ディスク媒体の表面に対向するように、サスペンション10の磁気ディスク媒体と対向する側の面上に取り付けられている。
【0018】図1に示すように、サスペンション10は、スライダ11を一方の端部に設けられた舌部で担持しかつICチップ12を他方の端部で支持する弾性を有するフレクシャ13と、フレクシャ13を支持固着しておりこれも弾性を有するロードビーム14と、ロードビーム14の基部に設けられたベースプレート15とから主として構成されている。
【0019】ロードビーム14は、スライダ11を磁気ディスク方向に押さえつけるための弾性を持っている。一方、フレクシャ13は、ロードビーム14との間に設けられたディンプルを中心とする軟らかい舌部を持ち、この舌部でスライダ11を柔軟に支えるような弾性を持っている。本実施形態のように、フレクシャ13とロードビーム14とが独立した部品である3ピース構造のサスペンションでは、フレクシャ13の剛性はロードビーム14の剛性より低くなっている。
【0020】ICチップ12内には、ヘッドアンプである駆動回路及び読出し信号増幅回路がIC化されて搭載されている。ICチップ12の大きさとしては、単なる例であるが、1.4mm×1.0mm×0.13mmである。このように、ICチップ12は非常に小型で薄い形状を有している。
【0021】フレクシャ13は、本実施形態では、厚さ約25μmのステンレス鋼板(例えばSUS304TA)によって構成されており、ロードビーム14の幅より小さい一様な幅を有する形状に形成されている。
【0022】フレクシャ13上には、さらに、フレクシブルプリント基板(Flexible Print Circuit、FPC)のごとく金属薄板上にプリント基板を作成するのと同じ公知のパターニング方法で薄膜パターンが形成されている。この薄膜パターンは、入出力信号線としての複数のリード導体16を構成しており、これらリード導体16の一端はフレクシャ13の先端に設けられた磁気ヘッドスライダ11の端子電極に接続されており、他端はICチップ12の接続パッド17に接続されている。
【0023】ロードビーム14は、先端に向けて幅が狭くなる形状の約60〜65μm厚の弾性を有するステンレス鋼板で構成されており、フレクシャ13をその全長に渡って支持している。ただし、フレクシャ13とロードビーム14との固着は、複数の溶接点によるピンポイント固着によってなされている。
【0024】ベースプレート15は、ロードビーム14より肉厚のステンレス鋼で構成されており、ロードビーム14の基部に溶接によって固着されている。このベースプレート15の取り付け部17を支持アーム18に機械的なかしめにより固着することによって、HGAの支持アーム18への取り付けが行われる。
【0025】支持アーム18は、スイングアーム又は可動アーム等とも呼称され、図示しない例えばボイスコイルモータ(VCM)等のアクチュエータによって回動軸を中心として揺動駆動され、これによって磁気ディスクに対する磁気ヘッドの位置決めを行うように構成されている。この支持アーム18は、熱伝導度の高い材料、例えばAlやCu(Alは熱伝導度が高い上に軽量であることから支持アーム18の構成材料として最も好ましい)で構成されている。
【0026】なお、フレクシャ13とロードビーム14とを別個に設けず、ベースプレートとフレクシャ−ロードビームとの2ピース構造のサスペンションとしてもよい。
【0027】前述したように、サスペンション10の先端部において、フレクシャ13の舌部上には、磁気ヘッド素子を備えたスライダ11が実装されている。図1に示すように、必要数の入出力信号線を構成するリード導体16は、スライダ11の両側を通り、フレクシャ13の先端に延びており、この先端から折り返されて、スライダ11に設けられた入出力電極に接続されている。この接続部は、樹脂による絶縁性材料層により覆われている。
【0028】サスペンション10のベースプレート15の側方には、スライダ11が取り付けられる面と同一の面上(磁気ディスク媒体と対向する側の面上)にICチップ12が実装されている。
【0029】図3に示すように、このICチップ12は、ベアチップであり、ベースプレート15の側方におけるロードビーム14上のフレクシャ13上にポリイミド等の絶縁性材料層19を介して形成されている導体パターンに設けられた接続パッド20に例えば金ボール21によってフリップチップ実装されている。ICチップ12の底面と薄膜パターンとの間隙には、放熱特性の向上、機械的強度の向上及びICチップ12の被覆のためのアンダーフィル層22が充填されている。
【0030】図2及び図3から明らかのように、ICチップ12の実装されている位置におけるサスペンション10(より具体的にはロードビーム14)の反対側の面には、熱伝導度の高い材料で構成された支持アーム18が接合しており、これによってICチップ12と支持アーム18とが熱的に結合される。即ち、ICチップ12の熱をサスペンション10の裏側に接した熱伝導度の高い支持アーム18に積極的に伝導させ、この支持アーム18をヒートシンクとして利用することによって効果的に放熱させるように構成されている。
【0031】前述したように、ICチップ12は、非常に小型で薄く構成されているにもかかわらず、数十mAの書込み電流を流すために多大な熱を発生させる。この熱は、ICチップ12自体に影響を及ぼすこともさることながら、MR型ヘッド素子に影響を及ぼしたりサスペンション10のばね部材であるフレクシャ13やロードビーム14を構成するステンレス鋼を局所的に加熱するという問題を引き起こす。磁気ディスクの回転による空冷効果でICチップ12を多少は冷却できるが、ICチップ12と磁気ディスク表面とのクリアランスが非常に小さいため磁気ディスク表面との接触を完全に抑止する意味もあって空冷効果をより高める対策をサスペンションのICチップ側に施すことは難しい。
【0032】一般に、ICチップの発熱温度とICチップ実装位置におけるサスペンションの反対側の面の温度は、図4及び図5のごとき関係がある。ただし、図4は磁気ディスクが回転していない場合の時間に対するICチップ温度及びサスペンション裏面温度特性を示しており、図5は磁気ディスクが回転している場合の書込み電流に対するICチップ上昇温度及びサスペンション裏面上昇温度特性を示している。
【0033】これらの図から、サスペンションのICチップ実装位置における裏面の温度は、ICチップ自体の温度とほぼ同じ値まで上昇していることが分かる。ICチップの熱は、金又ははんだによる端子部を介してサスペンションに伝導し、熱伝導度の低いサスペンション内では熱伝導ががほとんど起こらず分布していない。このため、サスペンション自体において放熱はほとんど行われない。
【0034】そこで、本実施形態では、ICチップ12が発生する熱をこのICチップ12の実装位置におけるサスペンションの反対側の面に接触するような形状に作成された支持アーム18に効率的に伝導させることにより、放熱を行っているのである。
【0035】従って本実施形態によれば、ICチップの熱を磁気ディスクとの間のスペースを阻害せずに発散できICチップの温度を低減化させることができる。このように、ICチップの十分な冷却効果が得られるので、MR型ヘッド素子への熱による影響を防止することができる。また、ICチップがサスペンションを局所的に加熱することを防止できサスペンションの保護を図ることができる。
【0036】しかも、本実施形態では、ICチップ12をあらかじめサスペンション10上に搭載してHGAを組み立てておき、このHGAを支持アーム18に取り付けるように構成しているので、複数のHGAをそれぞれの支持アームに装着してなるヘッドスタックアセンブリ(HSA)の組立てが非常に簡単となり、組立て工数の低減及び組立て時間の短縮化が図れ、かつ前述のように支持アームを介して効果的に放熱を行うことができる。
【0037】図6は本発明の磁気ヘッド装置の他の実施形態におけるHGA及び支持アームの一部を示す斜視図であり、図7は図6のA−A線断面図である。
【0038】これらの図から明らかのように、本実施形態では、ICチップ12の実装位置において、サスペンション10のばね部材であるフレクシャ63及びロードビーム64に貫通口63a及び64aがそれぞれ形成されており、支持アーム68の一部68aがICチップ12が実装されている接続パッド20部分のポリイミド等の絶縁性材料層19に直接的に接合しており、これによってICチップ12と支持アーム68とが熱的に結合されている。即ち、ICチップ12の実装位置における熱伝導度の低いステンレス鋼によるばね部材を取り除くことによって、このICチップ12の熱を熱伝導度の高い支持アーム68により積極的に伝導させ、この支持アーム68をヒートシンクとして利用することによってより効果的に放熱を行っている。
【0039】本実施形態におけるその他の構成、使用材料及び作用効果等は、図1〜図3の実施形態の場合と全く同様である。従って、図6及び図7において、図2及び図3と同じ構成要素には、同じ参照番号を用いている。
【0040】図8は本発明の磁気ヘッド装置のさらに他の実施形態におけるHGA及び支持アームの一部を示す斜視図であり、図9は図8のB−B線断面図である。
【0041】これらの図から明らかのように、本実施形態では、ICチップ12と支持アーム88とが熱伝導度の高い部材93を介して直接的に熱的に結合されている。即ち、支持アーム88の一部88aに接合された熱伝導度の高い、例えばAl又はCuによる板部材93が、ICチップ12の実装面とは反対側の面12aに接合されており、これによってICチップ12と支持アーム88とが直接的に熱的に結合されている。ICチップ12をベースプレート15を介して支持アームに熱的に結合させた方が構成が簡単であるが、ベースプレート15はステンレス鋼からなるため熱伝導度があまり高くないため、本実施形態のように部材93を設けてICチップ12と支持アーム88とを直接的に熱的結合させ、熱伝導度をより高めているのである。
【0042】部材93としては、Al又はCuの他に、熱伝導度の高い金属材料又は樹脂材料を用いてもよい。また、部材93の形状及びこの部材93をICチップ12のどの部分に接触させるかについては、種々の変更態様が適用可能である。
【0043】本実施形態におけるその他の構成、使用材料及び作用効果等は、図1〜図3の実施形態の場合と全く同様である。従って、図8及び図9において、図2及び図3と同じ構成要素には、同じ参照番号を用いている。
【0044】図10は本発明の磁気ヘッド装置のまたさらに他の実施形態におけるHGAの磁気媒体対向面側を表す底面図であり、図11はこの実施形態におけるHGAの一部を示す斜視図であり、図12は図11のC−C線断面図である。
【0045】図10及び図11に示すように、HGAは、サスペンション100の先端部に少なくとも1つの薄膜磁気ヘッド素子を備えた磁気ヘッドスライダ101を固着すると共に、そのサスペンション100の取り付け部の側方にヘッド駆動及び読出し信号増幅用ICチップ102を装着して構成される。スライダ101及びICチップ102は、磁気ディスク媒体の表面に対向するように、サスペンション100の磁気ディスク媒体と対向する側の面上に取り付けられている。
【0046】図10に示すように、サスペンション100は、スライダ101を一方の端部に設けられた舌部で担持しかつICチップ102をその途中で支持する弾性を有するフレクシャ103と、フレクシャ103を支持固着しておりこれも弾性を有するロードビーム104と、ロードビーム104の基部に設けられたベースプレート105とから主として構成されている。
【0047】ロードビーム104は、スライダ101を磁気ディスク方向に押さえつけるための弾性を持っている。一方、フレクシャ103は、ロードビーム104との間に設けられたディンプルを中心とする軟らかい舌部を持ち、この舌部でスライダ101を柔軟に支えるような弾性を持っている。本実施形態のように、フレクシャ103とロードビーム104とが独立した部品である3ピース構造のサスペンションでは、フレクシャ103の剛性はロードビーム104の剛性より低くなっている。
【0048】ICチップ102内には、ヘッドアンプである駆動回路及び読出し信号増幅回路がIC化されて搭載されている。ICチップ102の大きさとしては、単なる例であるが、1.4mm×1.0mm×0.13mmである。このように、ICチップ102は非常に小型で薄い形状を有している。
【0049】フレクシャ103は、本実施形態では、厚さ約25μmのステンレス鋼板(例えばSUS304TA)によって構成されており、ロードビーム104の幅より小さい一様な幅を有する形状に形成されている。
【0050】フレクシャ103上には、さらに、フレクシブルプリント基板(Flexible Print Circuit、FPC)のごとく金属薄板上にプリント基板を作成するのと同じ公知のパターニング方法で薄膜パターンが形成されている。この薄膜パターンは、入出力信号線としての複数のリード導体106を構成しており、これらリード導体106の一端はフレクシャ103の先端に設けられた磁気ヘッドスライダ101の端子電極に接続されており、他端はICチップ102を介して外部回路と接続するための外部接続パッド114に接続されている。
【0051】ロードビーム104は、先端に向けて幅が狭くなる形状の約60〜65μm厚の弾性を有するステンレス鋼板で構成されており、フレクシャ103をその全長に渡って支持している。ただし、フレクシャ103とロードビーム104との固着は、複数の溶接点によるピンポイント固着によってなされている。
【0052】ベースプレート105は、ロードビーム104より肉厚のステンレス鋼で構成されており、ロードビーム104の基部に溶接によって固着されている。このベースプレート105の取り付け部107を図示しない支持アームに機械的なかしめにより固着することによって、HGAの支持アームへの取り付けが行われる。
【0053】支持アームは、スイングアーム又は可動アーム等とも呼称され、図示しない例えばボイスコイルモータ(VCM)等のアクチュエータによって回動軸を中心として揺動駆動され、これによって磁気ディスクに対する磁気ヘッドの位置決めを行うように構成されている。この支持アームは、熱伝導度の高い材料、例えばAlやCu(Alは熱伝導度が高い上に軽量であることから支持アームの構成材料として最も好ましい)で構成されている。
【0054】なお、フレクシャ103とロードビーム104とを別個に設けず、ベースプレートとフレクシャ−ロードビームとの2ピース構造のサスペンションとしてもよい。
【0055】前述したように、サスペンション100の先端部において、フレクシャ103の舌部上には、磁気ヘッド素子を備えたスライダ101が実装されている。図10に示すように、必要数の入出力信号線を構成するリード導体106は、スライダ101の両側を通り、フレクシャ103の先端に延びており、この先端から折り返されて、スライダ101に設けられた入出力電極に接続されている。この接続部は、樹脂による絶縁性材料層により覆われている。
【0056】サスペンション100の長さ方向の中間部には、スライダ101が取り付けられる面と同一の面上(磁気ディスク媒体と対向する側の面上)にICチップ102が実装されている。
【0057】図12に示すように、このICチップ102は、ベアチップであり、ロードビーム104上のフレクシャ103上にポリイミド等の絶縁性材料層109を介して形成されている導体パターンに設けられた接続パッド110に例えば金ボール111によってフリップチップ実装されている。ICチップ102の底面と薄膜パターンとの間隙には、放熱特性の向上、機械的強度の向上及びICチップ102の被覆のためのアンダーフィル層112が充填されている。
【0058】本実施形態においては、サスペンション100のフレクシャ103、ロードビーム104及びベースプレート105が、例えばAl又はCu等の熱伝導度の高い材料を含有するステンレス鋼で構成されている。ベースプレート105が支持アームに固着されるので、これによってICチップ102と支持アームとが高熱伝導度のサスペンション100を介して熱的に結合されこととなる。即ち、ICチップ102の熱をサスペンション100に伝導させ、さらに支持アームに伝導させこの支持アームをヒートシンクとして利用することによって効果的に放熱させるように構成されている。
【0059】前述したように、ICチップ102は、非常に小型で薄く構成されているにもかかわらず、数十mAの書込み電流を流すために多大な熱を発生させる。この熱は、ICチップ102自体に影響を及ぼすこともさることながら、MR型ヘッド素子に影響を及ぼしたりサスペンション100のばね部材であるフレクシャ103やロードビーム104を構成するステンレス鋼を局所的に加熱するという問題を引き起こす。磁気ディスクの回転による空冷効果でICチップ102を多少は冷却できるが、ICチップ102と磁気ディスク表面とのクリアランスが非常に小さいため磁気ディスク表面との接触を完全に抑止する意味もあって空冷効果をより高める対策をサスペンションのICチップ側に施すことは難しい。
【0060】そこで、本実施形態では、サスペンション100自体を高熱伝導度のステンレス鋼とすることにより、ICチップ102が発生する熱をサスペンション100を介して支持アームに効率的に伝導させることにより、放熱を行っているのである。
【0061】従って本実施形態によれば、ICチップの熱を磁気ディスクとの間のスペースを阻害せずに発散できICチップの温度を低減化させることができる。このように、ICチップの十分な冷却効果が得られるので、MR型ヘッド素子への熱による影響を防止することができる。また、ICチップがサスペンションを局所的に加熱することを防止できサスペンションの保護を図ることができる。
【0062】しかも、本実施形態では、ICチップ102をあらかじめサスペンション100上に搭載してHGAを組み立てておき、このHGAを支持アームに取り付けるように構成しているので、複数のHGAを支持アームに装着してなるヘッドスタックアセンブリ(HSA)の組立てが非常に簡単となり、組立て工数の低減及び組立て時間の短縮化が図れ、かつ前述のように支持アームを介して効果的に放熱を行うことができる。
【0063】図13は本発明の磁気ヘッド装置のさらに他の実施形態におけるHGAの一部を示す斜視図であり、図14は図13のC−C線断面図である。
【0064】これらの図から明らかのように、本実施形態では、サスペンション130のロードビーム104及びベースプレート105を構成するステンレス鋼板の上に、例えばAl又はCu等の熱伝導度の高い板部材145を積層した構造となっている。板部材145は、ステンレス鋼板に、熱伝導度の高い粘着材又は非常に薄い粘着層で貼り付けられている。ベースプレート105が支持アームに固着されるので、これによってICチップ102と支持アームとが高熱伝導度の板部材145を介して熱的に結合されることとなる。即ち、ICチップ102の熱をサスペンション130の板部材145に伝導させ、さらに支持アームに伝導させこの支持アームをヒートシンクとして利用することによって効果的に放熱させるように構成されている。
【0065】板部材145としては、Al又はCuの他に、熱伝導度の高い金属材料又は樹脂材料を用いてもよい。
【0066】本実施形態におけるその他の構成、使用材料及び作用効果等は、図10〜図12の実施形態の場合と全く同様である。従って、図13及び図14において、図11及び図12と同じ構成要素には、同じ参照番号を用いている。
【0067】なお、図1〜図3の実施形態、図6及び図7の実施形態及び/又は図8及び図9の実施形態において、サスペンション10を図10〜図12の実施形態又は図13及び図14の実施形態のように構成してもよいことは明らかである。
【0068】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0069】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば、薄膜磁気ヘッド素子用の回路を搭載したICチップを支持アームに直接搭載するのではなく、サスペンション上に実装すると共に支持アームに熱的に結合するように構成している。このように構成することにより、ICチップをあらかじめサスペンション上に搭載しておき、即ち、リード導体を有するサスペンション上に磁気ヘッドスライダ及びICチップをあらかじめ組み付けてHGAを形成しておき、このHGAを支持アームに取り付ければよいため、組立てが非常に簡単となり、組立て工数の低減及び組立て時間の短縮化が図れ、しかも支持アームに熱伝導させこの支持アームをヒートシンクとして利用することにより放熱が大幅に促進される。
【0070】その結果、ICチップの熱を磁気ディスクとの間のスペースを阻害せずに発散できICチップの温度を低減化させることができる。このように、ICチップの十分な冷却効果が得られるので、MR型ヘッド素子への熱による影響を防止することができる。また、ICチップがサスペンションを局所的に加熱することを防止できサスペンションの保護を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【出願日】 平成12年8月9日(2000.8.9)
【代理人】 【識別番号】100074930
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 恵一
【公開番号】 特開2002−56515(P2002−56515A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−241305(P2000−241305)