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【発明の名称】 複合型磁気ヘッド及びその製造方法
【発明者】 【氏名】稲熊 輝往

【氏名】大沼 一紀

【氏名】片倉 亨

【要約】 【課題】磁気記録媒体に対して明瞭な記録パターンを形成し、隣接するトラックに対する悪影響をなくすとともに、記録密度を向上させる。

【解決手段】磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部22と、磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部23とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッド20であって、磁気抵抗効果素子部29、30,31は、その両端部に段差部を有し、この上に形成される上層ギャップ層28の上面が平坦化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、上記磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドであって、少なくとも、基板上に形成された下層シールド層となる第1の軟磁性膜と、上記第1の軟磁性膜上に形成された下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜と、上記第1の非磁性非導電性膜上に形成された磁気抵抗効果素子部と、上記磁気抵抗効果素子部上に形成された上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜と、上記第2の非磁性非導電性膜上に形成された上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜と、上記第2の軟磁性膜上に形成された磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜と、上記第3の非磁性非導電性膜上に形成された上層コア層となる第3の軟磁性膜とを備え、上記磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有し、この上に形成される上記第2の非磁性非導電性膜の上面が平坦化されていることを特徴とする複合型磁気ヘッド。
【請求項2】 上記磁気抵抗効果素子部は、磁気抵抗効果素子となる磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜と、この一対の永久磁石膜上に設けられた上記磁気抵抗効果素子にセンス電流を供給するための一対の導電膜とを有し、上記段差部は、上記磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記一対の永久磁石膜及び導電膜との膜厚が異なることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項3】 上記記録ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅が、上記再生ヘッド部の上記磁気記録媒体のトラック幅よりも大となることを特徴とする請求項1記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項4】 回転ドラムに搭載され、ヘリカルスキャン方式によってテープ状の磁気記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする請求項1記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項5】 磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、上記磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドであって、少なくとも、基板上に形成された下層シールド層となる第1の軟磁性膜と、上記第1の軟磁性膜上に形成された下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜と、上記第1の非磁性非導電性膜上に形成された磁気抵抗効果素子部と、上記磁気抵抗効果素子部上に形成された上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜と、上記第2の非磁性非導電性膜上に形成された上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜と、上記第2の軟磁性膜上に形成された磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜と、上記第3の非磁性非導電性膜上に形成された上層コア層となる第3の軟磁性膜とを備え、上記磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有し、この上に上記第2の非磁性非導電性膜を介して形成される上記第2の軟磁性膜の上面が平坦化されていることを特徴とする複合型磁気ヘッド。
【請求項6】 上記磁気抵抗効果素子部は、磁気抵抗効果素子となる磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜と、この一対の永久磁石膜上に設けられた上記磁気抵抗効果素子にセンス電流を供給するための一対の導電膜とを有し、上記段差部は、上記磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記一対の永久磁石膜及び導電膜との膜厚が異なることにより形成されていることを特徴とする請求項5記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項7】 上記記録ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅が、上記再生ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅よりも大となることを特徴とする請求項5記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項8】 回転ドラムに搭載され、ヘリカルスキャン方式によってテープ状の磁気記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行うことを特徴とする請求項5記載の複合型磁気ヘッド。
【請求項9】 磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、上記磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも、基板上に下層シールド層となる第1の軟磁性膜を形成する第1の工程と、上記第1の軟磁性膜上に下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜を形成する第2の工程と、上記第1の非磁性非導電性膜上に磁気抵抗効果素子部を形成する第3の工程と、上記磁気抵抗効果素子部上に上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜を形成する第4の工程と、上記第2の非磁性非導電性膜上に上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜を形成する第5の工程と、上記第2の軟磁性膜上に磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜を形成する第6の工程と、上記第3の非磁性非導電性膜上に上層コア層となる第3の軟磁性膜を形成する第7の工程とを有し、上記第3の工程において形成される上記磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有しており、上記第4の工程において、上記第2の非磁性非導電性膜を成膜した後に、上記磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて当該第2の非磁性非導電性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の非磁性非導電性膜の上面を平坦化することを特徴とする複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項10】 上記第3の工程において形成される上記磁気抵抗効果素子部は、磁気抵抗効果素子となる磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜と、この一対の永久磁石膜上に設けられた上記磁気抵抗効果素子にセンス電流を供給するための一対の導電膜とを有し、上記段差部は、上記磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記一対の永久磁石膜及び導電膜との膜厚が異なることにより形成されていることを特徴とする請求項9記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項11】 上記第4の工程において、上記第2の非磁性非導電性膜の上面を平坦化する際に、上記第2の非磁性非導電性膜上に下層側が上層側よりも内方に食い込んだアンダーカット形状のレジストパターンを形成する工程と、上記レジストパターンをマスクとして、上記第2の非磁性非導電性膜に対してエッチングを施すことにより、上記磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて当該第2の非磁性非導電性膜の上面に生じた段差を除去する工程と、上記レジストパターンを上記第2の非磁性非導電性膜上から除去する工程と、上記第2の非磁性非導電性膜の上面に対して化学的研磨を施す工程とを有することを特徴とする請求項9記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項12】 上記記録ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅を、上記再生ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅よりも大とすることを特徴とする請求項9記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項13】 磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、上記磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも、基板上に下層シールド層となる第1の軟磁性膜を形成する第1の工程と、上記第1の軟磁性膜上に下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜を形成する第2の工程と、上記第1の非磁性非導電性膜上に磁気抵抗効果素子部を形成する第3の工程と、上記磁気抵抗効果素子部上に上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜を形成する第4の工程と、上記第2の非磁性非導電性膜上に上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜を形成する第5の工程と、上記第2の軟磁性膜上に磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜を形成する第6の工程と、上記第3の非磁性非導電性膜上に上層コア層となる第3の軟磁性膜を形成する第7の工程とを有し、上記第3の工程において形成される上記磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有しており、上記第5の工程において、上記第2の軟磁性膜を成膜した後に、上記磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて上記第2の非磁性非導電性膜を介して当該第2の軟磁性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の軟磁性膜の上面を平坦化することを特徴とする複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項14】 上記第3の工程において形成される上記磁気抵抗効果素子部は、磁気抵抗効果素子となる磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜と、この一対の永久磁石膜上に設けられた上記磁気抵抗効果素子にセンス電流を供給するための一対の導電膜とを有し、上記段差部は、上記磁気抵抗効果膜と、この磁気抵抗効果膜の両端部に設けられた上記一対の永久磁石膜及び導電膜との膜厚が異なることにより形成されていることを特徴とする請求項13記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項15】 上記第5の工程において、上記第2の軟磁性膜の上面を平坦化する際に、上記第2の軟磁性膜の上面に対して機械研磨を施すことにより、上記磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて上記第2の非磁性非導電性膜を介して当該第2の軟磁性膜の上面に生じた段差を除去する工程と、上記第2の軟磁性膜の上面に対して化学的研磨を施す工程とを有することを特徴とする請求項13記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項16】 上記記録ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅を、上記再生ヘッド部の上記磁気記録媒体に対するトラック幅よりも大とすることを特徴とする請求項13記載の複合型磁気ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に対する信号の再生を行う再生専用ヘッドと、磁気記録媒体に対する信号の記録を行う記録専用ヘッドとが組み合わされてなる複合型磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高記録密度化に対応した磁気ヘッドとして、いわゆる薄膜形成技術によって基板上に各構成要素が積層されてなる、いわゆる薄膜磁気ヘッドが注目されている。この薄膜磁気ヘッドでは、磁気コアやコイル等の各構成要素がメッキ法やスパッタ法等の薄膜形成技術により形成されるために、狭トラック化や狭ギャップ化等の微細寸法化が容易であり、高分解能での記録再生が可能であるといった利点を有している。このため、薄膜磁気ヘッドは、ハードディスクドライブやテープストリーマー等の高密度記録再生装置に利用されている。
【0003】例えば、ハードディスクドライブでは、再生専用ヘッドとして磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドという。)と、記録専用ヘッドとして電磁誘導を利用したインダクティブ型磁気ヘッドとが組み合わされてなる、いわゆるマージ型の薄膜磁気ヘッド(以下、マージ型ヘッドという。)が実用化されている。
【0004】ここで、マージ型ヘッドの一構成例を図66に示す。なお、図66は、このマージ型ヘッドを媒体摺動面側から見た概略端面図である。
【0005】このマージ型ヘッドは、基板100上に、下層シールド層101と上層シールド層102との間に、それぞれ下層ギャップ層103と上層ギャップ層104とを介してMR素子105が挟持されてなる再生ヘッド部と、この再生ヘッド部上に、下層コア層102と上層コア層106とが磁気ギャップ層107を介して対向配置されてなる記録ヘッド部とが積層されてなり、この記録ヘッド部上には、保護層108が形成されている。
【0006】なお、上層シールド層102と下層コア層102とは同一部材であり、再生ヘッド部においては、下層シールド層101と共に一対の磁気シールドを構成しており、記録ヘッド部においては、上層コア層106と共に一対の磁気コアを構成している。
【0007】また、再生ヘッド部には、MR素子105の両端部に、このMR素子105にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜109a,109bと、この一対の永久磁石膜109a,109b上に、MR素子105にセンス電流を供給するための一対の導電膜110a,110bとが設けられており、この間の幅が再生トラック幅S1となる。
【0008】一方、記録ヘッド部には、下層コア層102と上層コア層106との間に、図示しない磁界発生のための薄膜コイルが設けられており、また、上層コア層106が下層コア層102と対向配置されることにより磁気ギャップが形成され、この上層コア層106の幅が記録トラック幅S2となる。
【0009】以上のように構成されるマージ型ヘッドでは、薄膜形成技術によって基板100上に、再生ヘッド部及び記録ヘッド部の各構成要素が積層されてなることから、磁気記録媒体に対する高分解能での記録再生が可能となり、磁気記録媒体のさらなる高密度化に対応することが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したマージ型ヘッドは、例えば回転ドラムに搭載され、ヘリカルスキャン方式により磁気テープに対する信号の記録再生を行う磁気テープ装置にも利用されている。
【0011】この場合、マージ型ヘッドは、回転ドラムの外周面に、磁気テープの走行方向と略直交する方向に対してアジマス角に応じて斜めとなるように配置される。そして、このマージ型ヘッドは、磁気テープと高速で摺動しながら、記録ヘッド部が磁気テープに対して信号を記録する一方、再生ヘッド部が磁気テープに記録された信号を再生することとなる。
【0012】ところで、上述したマージ型ヘッドでは、MR素子105の両端部に設けられた一対の永久磁石膜109a,109b及び導電膜110a,110bが段差部を形成しており、このような段差部上に、記録ヘッド部を構成する下層コア層102、磁気ギャップ層107及び上層コア層106が順次積層されている。
【0013】このため、従来のマージ型ヘッドでは、図67に示すように、最終的に記録ヘッド部の磁気ギャップに段差が生じてしまい、その結果、磁気テープに記録される記録パターンS2’にも、その両端部に段差が生じることとなる。なお、図67では、図66に示すマージ型ヘッドと同等な部位については同じ符号を付すものとする。
【0014】すなわち、通常、MR素子105の両端部は、特別な処理を施さない限り平坦とはならず、このMR素子105の両端部に段差部が形成されてしまう。特に、マージ型ヘッドにおいて、記録ヘッド部の磁気テープに対する記録トラック幅S2を再生ヘッド部の磁気テープに対する再生トラック幅S1よりも大きくした場合には、再生ヘッド部の直上に互いのトラック中心が一致するように記録ヘッド部が配置されるために、このMR素子105の両端部から記録ヘッド部の磁気ギャップがはみ出すことになる。このため、従来のマージ型ヘッドでは、記録ヘッド部の磁気ギャップに段差が生じてしまい、その結果、磁気テープに記録される記録パターンS2’にも、その両端部に段差が生じることとなる。
【0015】このように、記録ヘッド部の磁気ギャップに生じた段差は、そのまま磁気テープに記録される記録パターンS2’に反映されてしまい、この記録パターンS2’の両端部が折れ曲がった状態となる。
【0016】一方、マージ型ヘッドでは、このような両端部が折れ曲がった記録パターンS2’を略直線状の再生ギャップを有する再生ヘッド部で走査しても、読み取ることは不可能である。また、このマージ型ヘッドでは、記録ヘッド部の磁気ギャップに段差が生じてしまうと、磁気テープに対して無駄な領域を形成してしまい、記録密度を向上させることが非常に困難となってしまう。
【0017】また、このような磁気ギャップに生じた段差は、隣接する正常な記録パターンを狂わせてしまう。さらに、磁気テープに対する線記録密度を大きくした場合には、図68に示すようなトラック幅方向の両端部において、図68中囲み部分Eで示す前後の記録パターンS2’が干渉してしまい、これら記録パターンS2’に乱れが生じてしまうといった問題があった。
【0018】マージ型ヘッドでは、同一フォーマットで下位互換を許容したシステムにおいて、記録ヘッド部の記録トラック幅S2が再生ヘッド部の再生トラック幅S1よりも大きくなる場合も十分考えられることから、上述した記録ヘッド部の磁気ギャップに段差を生じさせないような設計が望まれている。
【0019】そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、再生ヘッド部上に配置される記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状とすることを可能とし、磁気記録媒体に対して明瞭な記録パターンを形成し、隣接するトラックに対する悪影響をなくすとともに、記録密度を向上させることを可能とした複合型磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発明に係る複合型磁気ヘッドは、磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドであって、少なくとも、基板上に形成された下層シールド層となる第1の軟磁性膜と、第1の軟磁性膜上に形成された下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜と、第1の非磁性非導電性膜上に形成された磁気抵抗効果素子部と、磁気抵抗効果素子部上に形成された上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜と、第2の非磁性非導電性膜上に形成された上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜と、第2の軟磁性膜上に形成された磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜と、第3の非磁性非導電性膜上に形成された上層コア層となる第3の軟磁性膜とを備える。そして、磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有し、この上に形成される第2の非磁性非導電性膜の上面が平坦化されていることを特徴とする。
【0021】この複合型磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果素子部が、その両端部に段差部を有しており、この上に形成される第2の非磁性非導電性膜の上面が平坦化されていることから、この上面が平坦化された第2の非磁性非導電性膜上に形成される記録ヘッド部を構成する第2の軟磁性膜、第3の非磁性非導電性膜及び第3の軟磁性膜も平坦化されることとなる。これにより、この複合型磁気ヘッドでは、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にすることができる。
【0022】また、この目的を達成する本発明に係る複合型磁気ヘッドは、磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドであって、少なくとも、基板上に形成された下層シールド層となる第1の軟磁性膜と、第1の軟磁性膜上に形成された下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜と、第1の非磁性非導電性膜上に形成された磁気抵抗効果素子部と、磁気抵抗効果素子部上に形成された上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜と、第2の非磁性非導電性膜上に形成された上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜と、第2の軟磁性膜上に形成された磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜と、第3の非磁性非導電性膜上に形成された上層コア層となる第3の軟磁性膜とを備える。そして、磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有し、この上に第2の非磁性非導電性膜を介して形成される第2の軟磁性膜の上面が平坦化されていることを特徴とする。
【0023】この複合型磁気ヘッドでは、磁気抵抗効果素子部が、その両端部に段差部を有しており、この上に第2の非磁性非導電性膜を介して形成される第2の軟磁性膜の上面が平坦化されていることから、この上面が平坦化された第2の軟磁性膜上に形成される記録ヘッド部を構成する第3の非磁性非導電性膜及び第3の軟磁性膜も平坦化されることとなる。これにより、この複合型磁気ヘッドでは、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にすることができる。
【0024】また、この目的を達成する本発明に係る複合型磁気ヘッドの製造方法は、磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも、基板上に下層シールド層となる第1の軟磁性膜を形成する第1の工程と、第1の軟磁性膜上に下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜を形成する第2の工程と、第1の非磁性非導電性膜上に磁気抵抗効果素子部を形成する第3の工程と、磁気抵抗効果素子部上に上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜を形成する第4の工程と、第2の非磁性非導電性膜上に上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜を形成する第5の工程と、第2の軟磁性膜上に磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜を形成する第6の工程と、第3の非磁性非導電性膜上に上層コア層となる第3の軟磁性膜を形成する第7の工程とを有する。そして、第3の工程において形成される磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有しており、第4の工程において、第2の非磁性非導電性膜を成膜した後に、磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて当該第2の非磁性非導電性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の非磁性非導電性膜の上面を平坦化することを特徴とする。
【0025】この複合型磁気ヘッドの製造方法では、第3の工程において形成される磁気抵抗効果素子部が、その両端部に段差部を有しており、第4の工程において、第2の非磁性非導電性膜を成膜した後に、磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて当該第2の非磁性非導電性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の非磁性非導電性膜の上面を平坦化することから、この上面が平坦化された第2の非磁性非導電性膜上に形成される記録ヘッド部を構成する第2の軟磁性膜、第3の非磁性非導電性膜及び第3の軟磁性膜を平坦化することができる。これにより、本手法では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にした複合型磁気ヘッドを容易に作製することができる。
【0026】また、この目的を達成する本発明に係る複合型磁気ヘッドの製造方法は、磁気記録媒体に記録された信号を再生する磁気抵抗効果型の再生ヘッド部と、磁気記録媒体に対して信号を記録するインダクティブ型の記録ヘッド部とが組み合わされてなる複合型磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも、基板上に下層シールド層となる第1の軟磁性膜を形成する第1の工程と、第1の軟磁性膜上に下層ギャップ層となる第1の非磁性非導電性膜を形成する第2の工程と、第1の非磁性非導電性膜上に磁気抵抗効果素子部を形成する第3の工程と、磁気抵抗効果素子部上に上層ギャップ層となる第2の非磁性非導電性膜を形成する第4の工程と、第2の非磁性非導電性膜上に上層シールド層及び下層コア層となる第2の軟磁性膜を形成する第5の工程と、第2の軟磁性膜上に磁気ギャップ層となる第3の非磁性非導電性膜を形成する第6の工程と、第3の非磁性非導電性膜上に上層コア層となる第3の軟磁性膜を形成する第7の工程とを有する。そして、第3の工程において形成される磁気抵抗効果素子部は、その両端部に段差部を有しており、第5の工程において、第2の軟磁性膜を成膜した後に、磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて第2の非磁性非導電性膜を介して当該第2の軟磁性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の軟磁性膜の上面を平坦化することを特徴とする。
【0027】この複合型磁気ヘッドの製造方法では、第3の工程において形成される磁気抵抗効果素子部が、その両端部に段差部を有しており、第5の工程において、第2の軟磁性膜を成膜した後に、磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて第2の非磁性非導電性膜を介して当該第2の軟磁性膜の上面に生じた段差を除去し、当該第2の軟磁性膜の上面を平坦化することから、この平坦化された第2の軟磁性膜上に形成される記録ヘッド部を構成する第3の非磁性非導電性膜及び第3の軟磁性膜を平坦化することができる。これにより、本手法では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にした複合型磁気ヘッドを容易に作製することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率が実際と同じであるとは限らない。
【0030】本発明の実施の形態として図1に示す磁気テープ装置1は、いわゆるヘリカルスキャン方式により磁気テープ2に対する信号の記録再生を行う磁気ヘッド装置3を備え、磁気テープ2を供給リール4と巻取リール5との間で図1中矢印A方向に走行させながら、この磁気ヘッド装置3の回転ドラム6が図1中矢印B方向に回転駆動され、この回転ドラム6に搭載された一対の磁気ヘッド7,8が磁気テープ2と摺動しながら、信号の記録又は再生を行うようになされている。
【0031】また、磁気テープ装置1は、これら供給リール4と巻取リール5との間に、磁気テープ2の引き回しを行うロール9a〜9gを備え、このうち、ロール9cとロール9dとの間に位置して、磁気テープ2が回転ドラム6と摺動され、ロール9fに掛け合わされた磁気テープ2がキャップスタン10に挟み込まれながら、このキャップスタン10を回転駆動するキャップスタンモータ10aにより送り出されるようになされている。
【0032】磁気ヘッド装置3は、図2に示すように、回転ドラム6を図2中矢印B方向に回転駆動させる駆動用モータ11を備えている。また、この回転ドラム6の外周面6aには、一対の磁気ヘッド7,8が取り付けられている。そして、これら一対の磁気ヘッド7,8は、互いに180゜の位相差を以て対向配置されている。また、一対の磁気ヘッド7,8は、磁気ギャップが磁気テープ2の走行方向と略直交する方向に対してアジマス角に応じて斜めとなるように配置されている。
【0033】また、磁気ヘッド装置3は、回転ドラム6の外周面6aと連続した外周面12aを形成する固定ドラム12を備えており、磁気テープ2が、この固定ドラム12のリードガイド部12bに沿って、図2中矢印A方向に斜めに走行しながら、固定ドラム12の外周面12a及び回転ドラム6の外周面6aと例えば略180゜に亘って摺動するようになされている。
【0034】以上のように構成される磁気テープ装置1では、記録時に、磁気テープ2に対して、一方の磁気ヘッド7が、記録信号に応じた磁界を印加しながら所定のトラック幅で記録トラックを形成し、他方の磁気ヘッド8が、この記録トラックに隣接した位置に、記録信号に応じた磁界を印加しながら所定のトラック幅で記録トラックを形成する。そして、これら磁気ヘッド7,8が磁気テープ2に対して繰り返し記録トラックを形成することによって、この磁気テープ2に対して連続的に信号を記録することになる。
【0035】一方、磁気テープ装置1では、再生時に、磁気テープ2に対して、一方の磁気ヘッド7が、記録トラックから信号磁界を検出し、他方の磁気ヘッド8が、この記録ヘッドに隣接した記録トラックから信号磁界を検出する。そして、これら磁気ヘッド7,8が記録トラックから繰り返し信号磁界を検出することによって、この磁気テープ2に記録された信号を連続的に再生することになる。
【0036】ところで、この磁気ヘッド装置3において、一対の磁気ヘッド7,8は、図3及び図4に示すように、本発明を適用した複合型磁気ヘッドであり、磁気テープ2から信号を再生する再生ヘッド部と、磁気テープ2に対して信号を記録する記録ヘッド部とが組み合わされてなる、いわゆるマージ型の薄膜磁気ヘッド(以下、マージ型ヘッドという。)20である。なお、図3は、このマージ型ヘッド20の一部を透視して示す概略斜視図であり、図4は、このマージ型ヘッド20を媒体摺動面側から見た概略端面図である。
【0037】このマージ型ヘッド20では、例えばメッキ法や、スパッタ法等の薄膜形成技術により、基板上に再生ヘッド部及び記録ヘッド部の各構成要素が積層されてなることから、狭トラック化や狭ギャップ化等の微細寸法化が容易であり、高分解能での記録再生が可能であるといった利点を有している。
【0038】具体的に、このマージ型ヘッド20は、第1の基板21上に、再生ヘッド部として磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下、MRヘッドという。)22と、このMRヘッド22上に、記録ヘッド部として電磁誘導を利用したインダクティブ型磁気ヘッド(以下、インダクティブヘッドという。)23とが積層されてなる。また、これらMRヘッド22及びインダクティブヘッド23が順次積層された第1の基板21に、第2の基板24が貼り合わされた構造を有している。
【0039】また、このマージ型ヘッド20は、その磁気テープ2と摺動する媒体摺動面20aの平面形状が略長方形状とされており、この媒体摺動面20aが、図3中矢印Aに示す磁気テープ2の走行方向に沿って略円弧状の曲面とされている。また、マージ型ヘッド20においては、MRヘッド22及びインダクティブヘッド23を構成する各構成要素が媒体摺動面20aから外方に臨んで略同一端面を構成している。
【0040】MRヘッド22は、下層シールド層25及び上層シールド層26の間に、下層ギャップ層27及び上層ギャップ層28を介して磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という。)29が挟み込まれてなる、いわゆるシールド型MRヘッドである。
【0041】このMRヘッド22において、下層シールド層25及び上層シールド層26は、MR素子29を磁気的にシールドするのに十分な幅を有し、この下層シールド層25及び上層シールド層26を介してMR素子29を挟み込むことにより、磁気テープ2からの信号磁界のうち、再生対象外の磁界がMR素子29に引き込まれないように機能する。すなわち、MRヘッド22においては、MR素子29に対して再生対象外の信号磁界が下層シールド層25及び上層シールド層26に導かれ、再生対象の信号磁界だけがMR素子29へと導かれる。これにより、MRヘッド22では、MR素子29の周波数特性及び読み取り分解能の向上が図られている。
【0042】下層ギャップ層27及び上層ギャップ層28は、それぞれ下層シールド層25及び上層シールド層26とMR素子29との間を磁気的に隔離しており、この下層シールド層25及び上層シールド層26とMR素子29との間隔が、いわゆるギャップ長とされている。
【0043】MR素子29は、外部磁界の変化に応じて電気抵抗が変化する、いわゆる磁気抵抗効果を利用したものであり、このMR素子29に対してセンス電流を流しながら、このセンス電流の電圧変化を検出することにより、磁気テープ2に記録された信号を読み取るようになされている。
【0044】また、このMR素子29の長手方向の両端部には、MR素子29の動作の安定化を図るために、MR素子29にバイアス磁界を印加するための一対の永久磁石膜30a,30bが設けられており、これら一対の永久磁石膜30a,30bに挟み込まれた部分の幅が、このMRヘッド22の再生トラック幅Tw1となる。
【0045】そして、このMR素子29上には、MR素子29にセンス電流を供給するための一対の導体部31a,31bが、その一端部側をそれぞれ一対の永久磁石膜30a,30bに接続されるかたちで設けられ、この一対の導体部31a,31bの他端部側には、外部回路と接続される外部接続用端子32a,32bが設けられている。なお、この一対の永久磁石膜30a,30bの上部には、MR素子29の抵抗値を低くするための図示しない低抵抗化膜が設けられている。
【0046】なお、ここでは、特徴をわかりやすく図示するために、図3及び図4において、MR素子29を拡大して図示しているが、実際には、MR素子29は、第1の基板21及び第2の基板24と比べると非常に微細である。第1の基板21の磁気テープ2が走行する方向の長さは、例えば0.8mm程度とされ、MR素子29の磁気テープ2が走行する方向の長さは、例えば5μm程度とされる。したがって、このマージ型ヘッド20において、媒体摺動面20aとなるのは、ほとんど第1の基板21及び第2の基板24の上部端面だけである。
【0047】一方、インダクティブヘッド23は、下層コア層26と上層コア層33とが磁気ギャップ層34を介して積層された構造を有している。なお、下層コア層26と上層シールド層26とは同一部材であり、再生ヘッド部においては、下層シールド層25と共に一対の磁気シールドを構成しており、記録ヘッド部においては、上層コア層33と共に一対の磁気コアを構成している。
【0048】また、媒体摺動面20aにおいて、下層コア層26と上層コア層33とが所定の間隔で対向配置されることにより、磁気ギャップが形成されている。さらに、上層コア層33は、その媒体摺動面20a側が所定の幅に成形されてなり、この幅がインダクティブヘッド23の記録トラック幅Tw2となる。
【0049】このインダクティブヘッド23には、下層コア層26と上層コア層33との間に位置して、バックギャップを中心に巻回された図示しない薄膜コイルが設けられている。そして、この薄膜コイルの内周側の端部及び外周側の端部には、この薄膜コイルに磁界発生のための電流を供給する一対の引き出し導線35a,35bが設けられており、これら引き出し導線35a,35bの端部側には、外部回路と接続される外部接続用端子36a,36bが設けられている。
【0050】また、上層コア層33上には、第1の基板21からMRヘッド22の外部接続用端子32a,32b及びインダクティブヘッド23の外部接続用端子36a,36bが外部に臨む部分を除いて、保護層37が形成されており、導体部31a,31bや薄膜コイル、引き出し導線35a,35b等の保護が図られている。
【0051】以上のように構成されるマージ型ヘッド20は、上述した磁気ヘッド7,8として、回転ドラム6の外周面6aに磁気ギャップが磁気テープ2の走行方向と略直交する方向に対してアジマス角θに応じて斜めとなるように配置される。そして、このマージ型ヘッド20は、磁気テープ2に対して斜めに摺動しながら、記録ヘッド部であるインダクティブヘッド23が磁気テープ2に対して信号を記録する一方、再生ヘッド部であるMRヘッド22が磁気テープ2に記録された信号を再生することとなる。
【0052】具体的に、インダクティブヘッド23を用いて磁気テープ2に対する信号の記録を行う際には、記録する信号に応じた電流が薄膜コイルに供給される。このとき、インダクティブヘッド23には、薄膜コイル37発生する磁界により、磁気コアに磁束が流れると共に、磁気ギャップから漏れ磁界が発生する。そして、この漏れ磁界を磁気テープ2に対して印加していくことにより、磁気テープ2に対して記録する信号に応じた記録トラックを形成することになる。
【0053】一方、MRヘッド22を用いて磁気テープ2に対する信号の再生を行う際には、MR素子29に対して所定の電圧を印加する。このとき、MR素子29に流れるセンス電流のコンダクタンスが、磁気テープ2の記録トラックに記録された信号磁界に応じて変化する。このため、MRヘッド22では、MR素子29に流れるセンス電流の電圧値が変化することとなり、このMR素子29の電圧値の変化を検出することによって、この記録トラックに記録された信号を検出することになる。
【0054】ところで、このようなマージ型ヘッド20では、MR素子29と、このMR素子29の両端部に設けられた一対の永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜と、これらに接続されるかたちで設けられた一対の導体部31a,31bとが磁気抵抗効果素子部を構成している。
【0055】そして、この磁気抵抗素子部の両端部には、MR素子29となる後述するMR素子用薄膜と、このMR素子29の両端部に設けられた一対の永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜、並びにこれらに接続されるかたちで設けられた一対の導体部31a,31bとの膜厚が異なることに起因する段差部が形成されており、このような段差部上に、記録ヘッド部を構成する下層コア層26、磁気ギャップ層34及び上層コア層35が順次積層されている。
【0056】このため、従来のマージ型ヘッドでは、最終的に記録ヘッド部の磁気ギャップに磁気抵抗素子部の段差部に応じた段差が生じてしまい、その結果、磁気テープに記録される記録パターンにも、その両端部に段差が生じてしまうといった問題があった。
【0057】そこで、このマージ型ヘッド20では、このような段差部上に形成される上層ギャップ層28の上面28aが平坦化されていることを特徴としている。すなわち、このマージ型ヘッド20では、上層ギャップ層28の上面28aが平坦化されることにより、この上に形成される記録ヘッド部を構成する下層コア層26、磁気ギャップ層34及び上層コア層35も平坦化されることとなる。
【0058】これにより、このマージ型ヘッド20では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にすることができ、磁気テープ2に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することができる。
【0059】したがって、このマージ型ヘッド20では、隣接するトラックに対する悪影響を抑制することが可能となり、記録情報の信頼性を向上させると共に、記録密度を向上させることが可能となる。また、記録ヘッド部の記録トラック幅Tw2が再生ヘッド部の再生トラック幅Tw1よりも大きくなる場合に有効なことから、同一フォーマットで下位互換を許容したシステムへの対応が可能となる。
【0060】ここで、図5に示すように、上層コア層106に形成される段差部の大きさdと、磁気テープに記録される記録パターンS2’からの出力との関係を測定した結果を図6に示す。
【0061】なお、ここでは、段差部の大きさdが異なる各記録ヘッド部を用いて、磁気テープに対して記録パターンS2’を記録した後に、記録ヘッド部の記録トラック幅S2と略等しい再生トラック幅を有する再生ヘッド部(MR素子111)により、磁気テープから信号を再生したときの出力の大きさを測定した。但し、ここでは、記録波長を0.3μmとして測定を行ったために、用いるシステムによっては測定結果が若干異なる場合がある。また、図5では、図67に示すマージ型ヘッドと同等な部位については同じ符号を付すものとする。
【0062】図6に示す測定結果から、上層コア層106に形成される段差部の大きさdが大きくなるに従って、磁気テープから再生される信号の出力、すなわち磁気テープに記録された記録パターンS2’からの出力も低下していくことがわかる。また、この段差部の大きさdが50nm以下となる場合には、略々段差部が形成されていない状態と同等の出力を得ることができる。それに対して、この段差部の大きさdが100nm以上となると、磁気テープに記録された記録パターンS2’のうち、段差が生じた部分は読み取られずに、段差が生じていない直線部分、すなわち記録トラック幅S2よりも小さい元のMR素子105の再生トラック幅S1分の出力しか得ることができない。
【0063】このような出力低下曲線は、アジマスロスの計算式sinX/Xに似ている。また、用いるシステムの周波数にもよるが、例えば本発明を適用したテープストリーマーにおいて、記録波長を0.3μm以上とすることは少なく、仮に記録波長を0.3μm以上としても制限は緩くなる傾向にある。
【0064】以上のことから、上述した上層コア層106に形成される段差部の大きさdの許容範囲としては、50nm以下とすることが望ましい。
【0065】次に、上述したマージ型ヘッド20の製造方法について詳細に説明する。
【0066】なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすく図示するために、図3及び図4と同様に、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各部材の寸法の比率が実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明では、マージ型ヘッド20を構成する各部材並びにその材料、大きさ及び膜厚等について具体的な例を挙げるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。例えば、以下の説明では、ハードディスクドライブ等で実用化されているものと同様な構造を有する、いわゆるシールド型のSAL(Soft Adjacent Layer)バイアス方式のMR素子を用いた例を挙げるが、バイアス方法は、この例に限定されるものではない。また、より大きな出力が得られる、スピンバルブ膜等の巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant MagnetroResistivity)を利用したMR素子等を用いてもよい。
【0067】このマージ型ヘッド20を製造する際は、先ず、図7及び図8に示すように、例えば4インチ程度の円盤状の基板40を用意し、この基板40の表面に対して鏡面研磨加工を施す。この基板40は、最終的にマージ型ヘッド20の第1の基板21となるものであり、その材料には、高硬度の軟磁性材料を用いる。具体的には、例えばAl23−TiC(アルチック)、α−Fe23(α−ヘマタイト)、Ni−Znフェライト等が好適である。なお、図8は、図7中に示す線分X1−X1’による概略断面図である。
【0068】次に、図9及び図10に示すように、基板40上に、下層シールド層25となる第1の軟磁性膜41をリフトオフ法により形成する。なお、図10は、図9中に示す線分X2−X2’による概略断面図である。
【0069】具体的には、先ず、図11に示すように、基板40の主面上に、下層シールド層25に対応した開口部42aを有する第1のレジストパターン42を形成する。このとき、第1のレジストパターン42は、開口部42aにおいて、下層端部が上層端部よりも後退した逆テーパー型となることが好ましい。
【0070】この第1のレジストパターン42の開口部42aを逆テーパー型とする場合には、逆テーパー用のレジスト材料、例えば、ZPN−1100(日本ゼオン社製)や、AZ5214E(クライアント社製)等を用いて、通常のレジスト膜と同様にプリベークし、露光を行った後、110℃の温度で加熱して反転ベーキングを行い、過大露光(反転露光)を行う。また、逆テーパー型の第1のレジストパターン42を形成する際は、上述した逆テーパー用レジスト材料毎に推奨されている手法を用いてもよい。
【0071】また、この第1の軟磁性膜41を形成する際は、図11に示すような逆テーパー型の第1のレジストパターン42の代わりに、図12に示すような2層構造を有する第2のレジストパターン43を基板40上に形成してもよい。
【0072】この第2のレジストパターン43は、第1のレジスト膜43aと第2のレジスト膜43bとが順次積層されてなり、下層シールド層25に対応した開口部43cを有するとともに、この開口部43cにおいて、第1のレジスト膜43aがこの上に形成された第2のレジスト膜43bよりも後退した形状を有している。
【0073】この2層構造を有する第2のレジストパターン43を形成する場合には、第1のレジスト膜43aとして、例えば、通常、反射防止膜の材料として用いられるARC(Brewer Science社製)を使用し、この第1のレジスト膜43aを基板40上の全面に亘って形成する。一方、第2のレジスト膜43bとして、例えば、通常、レジスト材料として用いられるAZ6108(クライアント社製)を使用し、この第2のレジスト膜43bを第1のレジスト膜43a上に、上述した下層シールド層25に対応した開口部43cを有するように形成する。そして、通常のレジスト膜と同様にプリベークし、露光を行った後に、現像を通常よりも長時間に亘って行う。これにより、第2のレジストパターン43は、第2のレジスト膜43bの開口部43cから露出する第1のレジスト膜43aが除去されるとともに、この開口部43cにおいて、第1のレジスト膜43aがこの上に形成された第2のレジスト膜43bよりも後退した形状となる。
【0074】次に、このような第1のレジストパターン42又は第2のレジストパターン43を用いて、第1の軟磁性膜41をスパッタリング等により成膜する。この第1の軟磁性膜41の材料としては、例えばFeAlSi(センダスト)や、その他良好な軟磁性を示し、且つ摩耗腐食に優れたものであれば、特に限定されるものではない。また、第1の軟磁性膜41は、MRヘッド22の磁気シールドとして機能するために、システムで用いる全波長に対応しなければならず、通常、最長波長の2倍以上の膜厚が必要となる。ここでは、第1の軟磁性膜41として、センダストを用い、図9に示す第1の軟磁性膜41の膜厚を2.5μmとし、大きさt1×t2を100μm×80μmとした。
【0075】次に、第1のレジストパターン42又は第2のレジストパターン43を、これら第1及び第2のレジストパターン42,43上に堆積した第1の軟磁性膜41とともに除去する。これら第1及び第2のレジストパターン42,43の剥離には、アセトン又は、NMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤が用いられる。
【0076】これにより、基板40上に、図9及び図10に示すような所定の形状とされた下層シールド層25となる第1の軟磁性膜41が形成される。
【0077】このように、第1のレジストパターン42又は第2のレジストパターン43を、この上に堆積した第1の軟磁性膜41とともに除去し、これら第1の及び第2のレジストパターン42,43で覆われていない部分のみに第1の軟磁性膜41を形成する手法のことを、一般にリフトオフ法と呼ぶが、このリフトオフ法により形成される第1の軟磁性膜41の端部が明瞭に分断されるためには、図11に示すような逆テーパー型の第1のレジストパターン42や、図12に示すような2層構造を有する第2のレジストパターン43が必要となる。すなわち、このような形状のレジストパターンを用いることにより、この上に成膜される材料が、レジストパターンのエッジ部分にて分断され、この分断された部分からレジストパターンを除去する溶剤が入り込むことにより、成膜材料の明瞭なパターニングが可能となる。
【0078】また、超音波洗浄槽により基板40を揺動させながら第1のレジストパターン42又は第2のレジストパターン43の剥離を行うことで、剥離時間を短縮することができる。
【0079】次に、図13及び図14に示すように、第1の軟磁性膜41が形成された基板40の全面に亘って、例えばAl23等からなる第1の非磁性非導電性膜44を成膜した後、この基板40上に形成された第1の軟磁性膜41が露出するまで研磨する。これにより、基板40と第1の軟磁性膜41との間に第1の非磁性非導電性膜44が埋め込まれ、基板40上の第1の軟磁性膜41が形成されていない部分との段差が無くなり平坦化される。なお、図14は、図13中に示す線分X3−X3’による概略断面図である。
【0080】この第1の非磁性非導電性膜44の膜厚t3は、第1の軟磁性膜41が完全に埋まる必要があるため、第1の軟磁性膜41の膜厚以上の厚みが必要となる。ここでは、例えば5μm程度の厚みで成膜した。また、第1の非磁性非導電性膜44は、Al23の代わりにSiO2等を用いてもよく、スパッタ法や蒸着等の任意の方法により形成される。
【0081】また、第1の非磁性非導電性膜44が成膜された面に対する研磨は、ダイヤモンド砥粒で粗く削った後、CMP(Chemical & Mechanical Polishing)で表面を慣らしてもよく、初めからCMPにより研磨してもよい。但し、基板40の全面に亘って第1の軟磁性膜41の表面が露出するまで行う必要がある。
【0082】ここで、第1の軟磁性膜41に対して熱処理を施す。この第1の軟磁性膜41に対する熱処理は、第1の軟磁性膜41となる材料に応じた熱処理を施す必要ある。ここでは、第1の軟磁性膜41として、センダストを用いていることから、550℃前後の熱処理温度が必要であり、例えば1時間で550℃となるように加熱した後、同温度で1時間保持し、その後、自然冷却させた。なお、第1の軟磁性膜41として、センダスト以外の材料を用いた場合には、その材料に最適な熱処理を施すこととなる。
【0083】次に、図15及び図16に示すように、この平坦化された基板40上に、スパッタリング等により下層ギャップ層27となる第2の非磁性非導電性膜45を成膜する。なお、図16は、図15中に示す線分X4−X4’による概略断面図である。
【0084】この第2の非磁性非導電性膜45の材料としては、絶縁特性や耐摩耗性等の観点から、Al23が好適である。なお、第2の非磁性非導電性膜45の膜厚t4は、磁気テープ2に記録された信号の周波数に応じて適切な値に設定すればよい。ここでは、第2の非磁性非導電性膜45の膜厚t4を、例えば100nm程度とした。
【0085】次に、図17及び図18に示すように、第2の非磁性非導電性膜45上に、例えばSALバイアス方式のMR素子29を構成する薄膜(以下、MR素子用薄膜という。)46をスパッタリング等により成膜する。なお、図19は、図18中に示す線分X5−X5’による概略断面図である。
【0086】このMR素子用薄膜46は、例えば、下層として膜厚約5nmのTa層と、SALバイアス層として膜厚約24nmのNiFeNb層と、中間絶縁層として膜厚約5nmのTa層と、MR層として膜厚約20nmのNiFe層と、上層として膜厚約1nmのTa層とが、この順でスパッタリング等により順次積層されることにより形成される。このMR素子用薄膜46においては、NiFe層が磁気抵抗効果を有する軟磁性膜であり、MR素子29の感磁部となる。また、このMR素子用薄膜46においては、NiFeNb層がNiFe層に対してバイアス磁界を印加する、いわゆるSAL膜となる。
【0087】なお、MR素子用薄膜46を構成する各層の材料及びその膜厚は、以上の例に限定されるものではなく、MRヘッド22の使用目的等に応じて適切な材料を選択し、適切な膜厚に設定するようにすればよい。
【0088】ここで、図16に示す第2の非磁性非導電性膜45の膜厚t4は、最終的にシステムに必要なシールド間距離(いわゆる再生ギャップ)をGとしたとき、t4=G/2−(Ta層の膜厚5nm+NiFeNb層の膜厚24nm+Ta層の膜厚5nm+NiFe層の膜厚20nm/2)を算出することにより決定される。これにより、MR素子29が下層及び上層シールド層25,26の間の中心位置にて正確に配置されることとなる。
【0089】次に、図19乃至図21に示すように、MR素子29の動作の安定化を図るために、フォトリソグラフィ技術を用いて、MR素子29となる部分に一対の矩形状の永久磁石膜30a,30bをMR素子用薄膜46に埋め込む。なお、図20は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図21は、図20中に示す線分X6−X6’による概略断面図である。
【0090】この2つの永久磁石膜30a,30bは、例えば長辺方向の長さt5が約50μm、短辺方向の長さt6が約10μmとなり、2つの永久磁石膜30a,30bの間隔t7が約5μmとなるように形成される。そして、これら2つの永久磁石膜30a,30bの間隔t7が、最終的にMR素子29の再生トラック幅Tw1となる。すなわち、MRヘッド22においては、MR素子29の再生トラック幅が約5μmとなる。なお、MR素子29の再生トラック幅Tw1は、以上の例に限定されるものではなく、MRヘッド22の使用目的等に応じて適切な値に設定すればよい。
【0091】また、これら永久磁石膜30a,30bは、下層シールド層25となる第1の軟磁性膜41上に配置される必要がある。ここでは、これら永久磁石膜30a,30bの中心位置と、第1の軟磁性膜41のトラック幅方向の中心位置とが一致するとともに、第1の軟磁性膜41の上端部から縦方向に30μm程度離れた位置に配されている。なお、永久磁石膜30a,30bの配置は、最終的に下層及び上層シールド層25,26として残る部分がMR素子29のデプス方向の幅の5倍程度以上であればよく、以上の例に限定されるものではない。
【0092】また、永久磁石膜30a,30b上には、MR素子29及びこのMR素子29の抵抗値を減少させるために、より抵抗値の低い低抵抗化膜を成膜する。
【0093】これら永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜をMR素子用薄膜46に埋め込む際は、先ず、MR素子用薄膜46上に、図22及び図23に示すようなMR素子29となる部分に2つの長方形の開口部47aを有すると共に、この開口部47aにおいて、下層端部が上層端部よりも後退した逆テーパー型の第3のレジストパターン47を形成する。なお、図22は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図23は、図22中に示す線分X7−X7’による概略断面図である。
【0094】或いは、このような逆テーパー型の第3のレジストパターン47の代わりに、図24及び図25に示すような第1のレジスト膜48aと第2のレジスト膜48bとが順次積層されてなり、MR素子29となる部分に2つの長方形の開口部48cを有すると共に、この開口部48cにおいて、第1のレジスト膜48aがこの上に形成された第2のレジスト膜48bよりも後退した2層構造を有する第4のレジストパターン48を形成してもよい。なお、図24は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図25は、図24中に示す線分X8−X8’による概略断面図である。
【0095】なお、これら第3及び第4のレジストパターン47,48は、上述した逆テーパー型の第1のレジストパターン42及び2層構造を有する第2のレジストパターン43と同様に作製されることから、形成方法等については説明を省略するものとする。
【0096】次に、これら第3及び第4のレジストパターン47,48をマスクとして、エッチングを施すことにより、開口部47a,48cから露呈していたMR素子用薄膜46を除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウェット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮すると、イオンエッチングが好適である。
【0097】次に、これら第3及び第4のレジストパターン47,48が形成されたMR素子用薄膜46上に、スパッタリング等によって永久磁石膜30a,30bを成膜する。なお、永久磁石膜30a,30bの材料としては、保持力が1000[Oe]以上ある材料が好ましく、例えばCoNiPtやCoCrPt等が好適である。また、永久磁石膜30a,30bの膜厚は、MR素子用薄膜46と同程度とした。
【0098】次に、永久磁石膜30a,30b上に、スパッタリング等によって低抵抗化膜を成膜する。なお、低抵抗化膜の材料としては、例えばCr、Ta等が好適である。また、低抵抗化膜の膜厚は、約60nmとした。
【0099】次に、第3及び第4のレジストパターン47,48を、これら第3及び第4のレジストパターン47,48上に成膜された永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜とともに除去する。これにより、図20及び図21に示すような所定の形状とされた永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜が、MR素子用薄膜46に埋め込まれた状態となる。
【0100】次に、フォトリソグラフィ技術を用いて、MR素子29となる部分及びMR素子29にセンス電流を供給するための導体部31a,31bとなる部分に開口部を有するマスクを形成する。そして、エッチングを施して、開口部に露呈していたMR素子用薄膜46を除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式でもウェット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮すると、イオンエッチングが好適である。そして、マスクとなっていたフォトレジストを除去する。これにより、図26及び図27に示すようなMR素子用薄膜46のうち、最終的にMR素子29となる部分46a及び導体部31a,31bとなる部分46bが残された状態となる。なお、図26は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図27は、図26中に示す線分X9−X9’による概略断面図である。
【0101】ここで、MR素子29となる部分46aの幅、すなわちMR素子29の幅t8や導体部31a,31bとなる部分46bの長さt9及び幅t10、さらに導体部31a,31bとなる部分46bの間隔t11は、MRヘッド22が用いる環境に応じて最適な値に設定するようにすればよい。ここでは、MR素子29の幅t8を約7μmとした。このMR素子29の幅t8は、最終的に媒体摺動面20a側の端部から他端側までの長さ、すなわちデプス長に相当する。したがって、MR素子29のデプス長は、約7μmとなる。また、導体部31a,31bとなる部分46bのそれぞれの長さt9を約1.5mmとし、それぞれの幅t10を約80μmとし、それぞれの間隔t11を約40μmとした。
【0102】次に、図28及び図29に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、導体部31a,31bを形成する。なお、図28は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図29は、図28中に示す線分X10−X10’による概略断面図である。
【0103】具体的には、先ず、フォトレジストにより、導体部31a,31bとなる部分46bに開口部を有するマスクを形成する。次に、エッチングを施して、開口部に露呈している部分、すなわち導体部31a,31bとなる部分46bに残されていたMR素子用薄膜46を除去する。次に、フォトレジストのマスクをそのまま残した状態でその上に導電膜を成膜する。ここで、導電膜は、例えば膜厚10nmのTi膜、膜厚90nmのCu膜、膜厚10nmのTi膜がこの順でスパッタリング等により順次積層されることにより形成される。その後、マスクとなっていたフォトレジストを、このフォトレジスト上に成膜された導電膜とともに除去することにより、所定の形状とされた導体部31a,31bが形成される。
【0104】これにより、MR素子用薄膜46のMR素子29となる部分46aと、この両端部に設けられた一対の永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜と、これらに接続されるかたちで設けられた一対の導体部31a,31bとからなる磁気抵抗効果素子部が形成される。
【0105】次に、図30乃至図32に示すように、この磁気抵抗効果素子部上に、スパッタリング等により上層ギャップ層28となる第3の非磁性非導電性膜49を成膜する。なお、図30は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図31は、図30中に示す線分X11−X11’による概略断面図である。図32は、図30中に示す線分X12−X12’による概略断面図である。
【0106】この第3の非磁性非導電性膜49の材料としては、絶縁特性や耐摩耗性等の観点からAl23が好適である。また、この第3の非磁性非導電性膜49の膜厚t12は、磁気記録媒体に記録された信号の周波数等に応じて適切な値に設定すればよい。また、この第3の非磁性非導電性膜49の膜厚t12は、最終的にシステムに必要なシールド間距離(いわゆる再生ギャップ)をGとしたとき、t12=G/2−(NiFe層の膜厚20nm/2+Ta層の膜厚1nm)を算出することにより決定される。これにより、MR素子29が下層及び上層シールド層25,26の間の中心位置にて正確に配置されることとなる。
【0107】ここで、第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化する。
【0108】すなわち、上述した磁気抵抗効果素子部の両端部には、MR素子用薄膜46のMR素子29となる部分46aと、この両端部に設けられた一対の永久磁石膜30a,30b及び低抵抗化膜、並びにこれらに接続されるかたちで設けられた一対の導体部31a,31bとの膜厚が異なることに起因する段差部が形成されている。第3の非磁性非導電性膜49は、このような段差部を有する磁気抵抗効果素子部上に成膜されるため、この第3の非磁性非導電性膜49の上面49aに、磁気抵抗効果素子部の段差部に応じた段差が生じることとなる。そこで、このような段差が生じた第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化する。
【0109】ところで、上述した第3の非磁性非導電性膜49の厚みt12は、成膜時において、計算で求められる最終的な上層ギャップ層28の厚みに加えて、使用するエッチング手段の性能によるものの、この第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化するためのエッチング量を考慮した厚みとする必要がある。ここでは、最終的な上層ギャップ層28の厚みが100nmとなるように、20nmのエッチング量を加えて、全体として120nmとした。
【0110】但し、この第3の非磁性非導電性膜49の膜厚t12は、最終的に再生ヘッド部のギャップ長となることから、精度の悪い研磨機で仕上げることは、この上層ギャップ層28の不均一な分布を生じさせるため、避ける必要がある。
【0111】そこで、この第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化する際は、先ず、図33に示すように、MR素子29の直上に位置して、下層側が上層側よりも内方に食い込んだアンダーカット形状となる第5のレジストパターン50を形成する。この第5のレジストパターン50は、上述した逆テーパー型の第1のレジストパターン42や、2層構造を有する第2のレジストパターン43と同様に作製されるものであり、ここでは、第1のレジスト膜50aがこの上に形成された第2のレジスト膜50bよりも後退した2層構造を有する略T字型の第5のレジストパターン50を形成した。
【0112】次に、この第5のレジストパターン50をマスクとして、イオンエッチング等により、第3の非磁性非導電性膜49の上面49aに生じた段差を除去する。
【0113】ここで重要なことは、エッチング速度は言うまでもなく、イオン粒子(エッチング粒子)の入射方向に対する基板の傾き角(以下、エッチング角度という。)である。すなわち、この第5のレジストパターン50の端部では、エッチング角度によって、アンダーカット形状とされた部分が陰となり、エッチングの進行速度が遅くなる。これを利用して、ちょうど第3の非磁性非導電性膜49の段差部分がエッチングされるようなエッチング角度を選ぶ必要がある。
【0114】また、上述した永久磁石膜30a,30bの形成した際に用いたエッチング装置と同一装置を用いた場合、エッチング角度は、永久磁石膜30a,30bの形成時におけるエッチング角度と略同一となるが、異なる装置を用いた場合であっても、エッチング角度を調整することにより、第3の非磁性非導電性膜49の段差部分だけをエッチングすることができる。
【0115】次に、この第5のレジストパターン50を第3の非磁性非導電性膜49上から除去した後に、この第3の非磁性非導電性膜49の表面を、さらに化学的研磨(バフ研磨)により鏡面状態に仕上げる。これにより、図34に示すように、第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化することができる。
【0116】次に、図35及び図36に示すように、この上面49aが平坦化された第3の非磁性非導電性膜49上に、上層シールド層26及び下層コア層26となる第2の軟磁性膜51をリフトオフ法により形成する。なお、図35は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図36は、図35中に示す線分X13−X13’による概略断面図である。
【0117】具体的には、先ず、図37及び図38に示すように、第3の非磁性非導電性膜49上に、上層シールド層26に対応した開口部52aを有する第6のレジストパターン52を形成する。なお、図38は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図39は、図38中に示す線分X14−X14’による概略断面図である。
【0118】このとき、第6のレジストパターン52は、開口部52aにおいて、下層部端部が上層端部よりも後退した逆テーパー型となることが好ましい。
【0119】この第6のレジストパターン52の開口部52aを逆テーパー型とする場合には、逆テーパー用のレジスト材料、例えば、ZPN−1100(日本ゼオン社製)や、AZ5214E(クライアント社製)等を用いて、通常のレジスト膜と同様にプリベークし、露光を行った後、110℃の温度で加熱して反転ベーキングを行い、過大露光(反転露光)を行う。また、逆テーパー型の第6のレジストパターン52を形成する際は、上述した逆テーパー用レジスト材料毎に推奨されている手法を用いてもよい。
【0120】また、第2の軟磁性膜51を形成する際は、図37及び図38に示すような逆テーパー型の第6のレジストパターン52の代わりに、図39及び図40に示すような2層構造を有する第7のレジストパターン53を第3の非磁性非導電性膜49上に形成してもよい。なお、図39は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図40は、図39中に示す線分X15−X15’による概略断面図である。
【0121】この第7のレジストパターン53は、第1のレジスト膜53aと第2のレジスト膜53bとが順次積層されてなり、上層シールド層26に対応した開口部53cを有するとともに、この開口部53cにおいて、第1のレジスト膜53aがこの上に形成された第2のレジスト膜53bよりも後退した形状を有している。
【0122】この2層構造を有する第7のレジストパターン53を形成する場合には、第1のレジスト膜53aとして、例えば、通常、反射防止膜の材料として用いられるARC(Brewer Science社製)を使用し、この第1のレジスト膜53aを第3の非磁性非導電性膜49上の全面に亘って形成する。一方、第2のレジスト膜53bとして、例えば、通常、レジスト材料として用いられるAZ6108(クライアント社製)を使用し、この第2のレジスト膜53bを第1のレジスト膜53a上に、上述した上層シールド層26に対応した開口部53cを有するように形成する。そして、通常のレジスト膜と同様にプリベークし、露光を行った後に、現像を通常よりも長時間に亘って行う。これにより、第7のレジストパターン53は、第2のレジスト膜53bの開口部53cから露出する第1のレジスト膜53aが除去されるとともに、この開口部53cにおいて、第1のレジスト膜53aがこの上に形成された第2のレジスト膜53bよりも後退した形状となる。
【0123】次に、このような第6のレジストパターン52又は第7のレジストパターン53を用いて、上層シールド層26となる第2の軟磁性膜51をスパッタリング等により成膜する。第2の軟磁性膜51の材料としては、すでにMR素子29が形成されていることから、上述した第1の軟磁性膜41に対して行われた高温での熱処理を行うことができず、自ずと制限がある。このため、第2の軟磁性膜51としては、MR素子29の耐熱温度である350℃以下での熱処理を施すことにより軟磁性を示す材料、或いは熱処理を施すことなく軟磁性を示す材料を用いる必要がある。
【0124】ここでは、第2の軟磁性膜51の材料として、Co系のアモルファス材料を用いた。具体的に、Co系のアモルファス材料として、例えばCoZrNbTaを用いた場合には、Co,Zr,Nb,Taの組成比を、それぞれa,b,c,d(a、b、c、dはそれぞれ原子%)としたとき、68≦a≦90,0≦b≦10,0≦c≦20,0≦d≦10(a+b+c+d=100原子%)の範囲にて優れた軟磁気特性を得ることができ、特に、79≦a≦83、2≦b≦6、10≦c≦14、1≦d≦5(a+b+c+d=100原子%)の範囲にて優れた耐熱性耐摩耗性を得ることができる。
【0125】これにより、マージ型ヘッド20における媒体摺動面20aの偏摩耗の発生を減少させることができ、スペーシングロスを減少させ、高い再生出力を維持するとともに、ヘッドの寿命を延ばすことができる。なお、これらの組成以外の組合せとしては、Taの代わりにMo,Cr,Ti,Hf,Pd,W,V等やそれらの複合が考えられる。
【0126】さらに、第2の軟磁性膜51は、軟磁気特性を高めるために、軟磁性膜と非磁性膜とを交互に成膜させた積層膜としてもよい。この場合、軟磁性膜の間で静磁的な結合が生じ磁壁が生じなくなる。このため、磁壁移動に伴う高周波への対応の遅れやノイズの発生等を抑制することができる。なお、ここでは、軟磁性膜の厚みを0.28μmとし、非磁性膜の厚みを5μmとして、軟磁性膜が10層となるまで交互に成膜し、全体として厚み3μm程度の積層膜とした。なお、非磁性膜には、SiO2を用いたが、このような材料に限定されるものではなく、電気的磁性的に絶縁が得られるものであればよい。なお、アモルファス磁性膜の特性を安定させるために、第2の軟磁性膜51の下地にCr等を数nm程度堆積させた方が好ましい。
【0127】次に、第6のレジストパターン52又は第7のレジストパターン53を、これら第6及び第7のレジストパターン52,53上に堆積した第2の軟磁性膜51とともに除去する。これら第6及び第7のレジストパターン52,53の剥離には、アセトン又は、NMP(N−メチルピロリドン)等の溶剤が用いられる。
【0128】これにより、第3の非磁性非導電性膜49上に、図35及び図36に示すような所定の形状とされた上層シールド層26及び下層コア層26となる第2の軟磁性膜51が形成される。
【0129】このように、第6のレジストパターン52又は第7のレジストパターン53を、この上に堆積した第2の軟磁性膜51とともに除去し、これら第6及び第7のレジストパターン52,53で覆われていない部分のみに第2の軟磁性膜51を形成する手法のことを、上述したようにリフトオフ法と呼ぶが、このリフトオフ法により形成される第2の軟磁性膜51の端部が明瞭に分断されるためには、図38に示すような逆テーパー型の第6のレジストパターン52や、図40に示すような2層構造を有する第7のレジストパターン53が必要となる。すなわち、このような形状のレジストパターンを用いることにより、この上に成膜される材料が、レジストパターンのエッジ部分にて分断され、この分断された部分からレジストパターンを除去する溶剤が入り込むことにより、成膜材料の明瞭なパターニングが可能となる。
【0130】また、超音波洗浄槽により基板40を揺動させながら第6のレジストパターン52又は第7のレジストパターン53の剥離を行うことで、剥離時間を短縮することができる。
【0131】次に、この第2の軟磁性膜51上に、フォトレジストを塗布し、硬化させることによりレジスト膜を成膜する。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて、このレジスト膜を所定の形状にパターニングした後、このレジスト膜を硬化させるために、250℃程度の熱処理を施す。これにより、図41及び図42に示すような第2の軟磁性膜51との接続部分に開口部54aを有する第8のレジストパターン54を形成する。なお、図41は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図42は、図41中に示す線分X16−X16’による概略断面図である。
【0132】この第8のレジストパターン54は、第2の軟磁性膜51が形成された面上を平坦化するためのものであり、少なくとも第2の軟磁性膜51の媒体摺動面20aとなる部分からデプス方向に5μm以上離れた位置から、この第2の軟磁性膜51を完全に覆う領域に亘って設けられており、その形状は任意である。ここでは、第2の軟磁性膜51の媒体摺動面20aとなる部分から20μm程度離れた位置から、この第2の軟磁性膜51の全面を覆うような形状とし、大きさt15×t16を100μm×120μmとした。但し、下層コア層26となる第2の軟磁性膜51との接続部分には、上述した開口部54aが形成されている。この開口部54aの大きさは任意であり、ここでは、大きさt17×t18を20μm×30μmとした。
【0133】次に、図43及び図44に示すように、スパッタリング等によりインダクティブヘッド23の磁気ギャップ層34となる第4の非磁性非導電性膜55を成膜する。なお、図43は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図44は、図43中に示す線分X17−X17’による概略断面図である。
【0134】この第4の非磁性非導電性膜55の材料としては、絶縁特性や耐摩耗性等の観点からAl23やSiO2等を好適であるが、これらに限定されるものではない。また、第4の非磁性非導電性膜55は、スパッタ法や蒸着等の任意の方法により形成される。また、この第4の非磁性非導電性膜55の膜厚t19は、磁気ギャップとして必要なギャップ長に相当し、磁気記録媒体に記録された信号の周波数等に応じて適切な値に設定すればよく、ここでは、0.3μmとした。
【0135】次に、図45及び図46に示すように、この第4の非磁性非導電性膜55上に、インダクティブヘッド23の下層側の薄膜コイル及び引き出し導線35aとなる第1の導電膜56をメッキ法により形成する。なお、図45は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図46は、図45中に示す線分X18−X18’による概略断面図である。
【0136】この第1の導電膜56を形成する際は、先ず、密着性を向上させるためのメッキ電極となる下地膜として、例えば膜厚20nmのTi膜、膜厚100nmのCu膜をこの順でスパッタリング等により成膜する。次に、この下地膜上に、レジスト材料を塗布してレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術を用いて、下層側の薄膜コイル及び引き出し導線35aに対応した開口部を有するレジストパターンを形成する。次に、このレジストパターンを用いて、例えば厚さ5μm程度のCuをメッキ法により堆積させる。次に、レジストパターンを除去した後、全面に亘ってイオンエッチングを施し、下地膜の不要な部分を除去する。これにより、図45及び図46に示すような所定の形状とされた第1の導電膜56が形成される。なお、ここでは、下層側の薄膜コイルとなる部分の巻き数を10ターンとしたが、図45及び図46においては、便宜上2ターンまでを図示する。また、この第1の導電膜56の材料や形成方法、寸法、巻き数等は任意であり、これらに限定されるものではない。
【0137】次に、図47及び図48に示すように、この第1の導電膜56上に、第2の軟磁性膜51との接続部分に開口部57aを有するとともに、第1の導電膜56の薄膜コイル側の先端部56aが露出するような第9のレジストパターン57を形成する。なお、図47は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図48は、図47中に示す線分X19−X19’による概略断面図である。
【0138】この第9のレジストパターン57は、第1の導電膜56が形成された面上を平坦化するためのものであり、上述した第8のレジストパターン54と同様な手法により形成される。また、この第9のレジストパターン57は、少なくとも第1の導電膜56の薄膜コイルとなる部分を完全に覆う領域に亘って設けられており、その形状は任意である。但し、下層コア層26となる第2の軟磁性膜51との接続部分には、上述した第8のレジストパターン54の開口部54aに対応した開口部57aが形成されている。また、第1の導電膜56の薄膜コイル側の先端部56aは、第9のレジストパターン57から露出させる必要がある。この露出部分の形状は任意であり、ここでは、大きさt20×t21を15μm×15μmとした。
【0139】次に、図49及び図50に示すように、この第9のレジストパターン57上に、インダクティブヘッド23の上層側の薄膜コイル及び引き出し導線35bとなる第2の導電膜58をメッキ法により形成する。なお、図49は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図50は、図49中に示す線分X20−X20’による概略断面図である。
【0140】この第2の導電膜58の形成方法は、上述した第1の導電膜56と同様であり説明を省略するが、このとき、第2の導電膜58の薄膜コイル側の先端部58aと、第1の導電膜56の薄膜コイル側の先端部56aとが電気的に接続されることとなる。なお、ここでは、上層側の薄膜コイルとなる部分の巻き数を10ターンとしたが、図49及び図50においては、便宜上2ターンまでを図示する。また、この第2の導電膜58の材料や形成方法、寸法、巻き数等は任意であり、これらに限定されるものではない。
【0141】次に、図51及び図52に示すように、この第2の導電膜58上に、上層コア層33との接続部分に開口部59aを有する第10のレジストパターン59を形成する。なお、図51は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図52は、図51中に示す線分X21−X21’による概略断面図である。
【0142】この第10のレジストパターン59は、第2の導電膜58が形成された面上を平坦化するためのものであり、上述した第8及び第9のレジストパターン54,57と同様な手法により形成される。また、この第10のレジストパターン59は、少なくとも第2の導電膜58の薄膜コイルとなる部分を完全に覆う領域に亘って設けられており、その形状は任意である。但し、下層コア層26となる第2の軟磁性膜51との接続部分には、上述した第8及び第9のレジストパターン54,57の開口部54a,57aに対応した開口部59aが形成されている。また、媒体摺動面20aの記録ギャップとなる部分には形成しないものとする。
【0143】次に、図53及び図54に示すように、第10のレジストパターン59上に、上層コア層33となる第3の軟磁性膜60をリフトオフ法により形成する。なお、図53は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図54は、図53中に示す線分X22−X22’による概略断面図である。
【0144】この第3の軟磁性膜60を形成する際は、先ず、フォトレジストにより、上述した下層コア層26となる第2の軟磁性膜51との接続部分、すなわち上述した第8乃至第10のレジストパターン54,57,59の開口部54a,57a,59aに対応した開口部を有するマスクを形成する。次に、イオンエッチングを施すことにより、この開口部から露呈していた第4の非磁性非導電性膜55を除去する。これにより、後述する第3の軟磁性膜60と第2の軟磁性膜51とが当接することが可能となり、下層コア層26及び上層コア層33からなる磁路が形成されることとなる。
【0145】そして、上述した第2の軟磁性膜51の形成方法と同様に、リフトオフ法により所定の形状とされた第3の軟磁性膜60を形成する。
【0146】この第3の軟磁性膜60は、媒体摺動面20aとなる先端部分60aが絞り込まれた形状(いわゆる無花果形状)を有し、この先端部分60aの幅が、最終的に記録トラック幅Tw2となる。なお、記録トラック幅Tw2は、システム等に応じて適切な値に設定すればよく、ここでは、7μm程度とした。また、この第3の軟磁性膜60において、先端部分60a及びその近傍以外の形状、大きさ、膜厚等は任意であり、ここでは、第3の軟磁性膜60の膜厚を3μm程度とした。また、この第3の軟磁性膜60の先端部分60aは、MRヘッド22のトラック中心から、トラック幅方向に所定のずらし量だけずらした形状としてもよい。
【0147】また、第3の軟磁性膜60の材料としては、すでにMR素子29が形成されていることから、上述した第1の軟磁性膜41に対して行われた高温での熱処理を行うことができず、自ずと制限がある。このため、第3の軟磁性膜60としては、MR素子29の耐熱温度である350℃以下での熱処理を施すことにより軟磁性を示す材料、或いは熱処理を施すことなく軟磁性を示す材料を用いる必要がある。ここでは、第2の軟磁性膜51と同じ材料を用いたが、より記録効率を高めるために飽和磁束密度が高い材料を用いることが好ましい。
【0148】次に、図55及び図56に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、MRヘッド22の外部接続用端子32a,32b及びインダクティブヘッド23の外部接続用端子36a,36bを、導体部31a,31b及び引き出し導線35a,35bの端部上にそれぞれ形成する。図55は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図56は、図55中に示す線分X23−X23’による概略断面図である。
【0149】具体的には、先ず、フォトレジストにより、外部接続用端子32a,32b,36a,36bとなる部分に開口部を有するマスクを形成する。次に、エッチングを施すことにより、この開口部から導体部31a,31b及び引き出し導線35a,35bを露出させる。次に、フォトレジストのマスクをそのまま残した状態で、導電膜を成膜する。ここで、導電膜は、例えば、硫酸銅溶液を用いた電解メッキにより、Cuを6μm程度の膜厚となるように形成する。この導電膜の形成方法は、他の膜に影響を与えないものであれば、電解メッキ以外の方法であってもよい。その後、マスクとなっていたフォトレジストを、このフォトレジスト上に成膜された導電膜とともに除去する。これにより、導体部31a,31b及び引き出し導線35a,35bの端部上に、それぞれMRヘッド22の外部接続用端子32a,32b及びインダクティブヘッド23の外部接続用端子36a,36bが形成される。
【0150】なお、この外部接続用端子32a,32b,36a,36bの長さは、例えば50μm程度とする。また、この外部接続用端子32a,32b,36a,36bの幅は、導体部31a,31b及び引き出し導線35a,35bの幅と同じであり、例えば80μm程度とする。
【0151】次に、図57及び図58に示すように、マージ型ヘッド20全体を外部と遮断するために、全面に対して保護層37となる保護膜61を形成する。図57は、図19中に示す囲み部分Cを拡大して示す概略平面図であり、図58は、図57中に示す線分X24−X24’による概略断面図である。
【0152】具体的には、例えば、スパッタリングによってAl23を4μm程度の膜厚となるように形成する。なお、この保護膜61の材料としては、非磁性非導電性の材料であればAl23以外も使用可能であるが、耐環境性や耐摩耗性を考慮すると、Al23が好適である。また、この保護膜61は、スパッタリング以外の方法によって形成してもよく、例えば、蒸着法等によって形成してもよい。
【0153】次に、外部接続用端子32a,32b,36a,36bが表面に露出するまで、全面に形成した保護膜61を研磨する。この研磨工程においては、例えば、粒径が約2μmのダイヤモンド砥粒によって、外部接続用端子32a,32b,36a,36bの表面が露出するまで粗研磨する。そして、シリコン砥粒によってバフ研磨を施して、表面を鏡面状態に仕上げる。これにより、最終的にマージ型ヘッド20となる多数のヘッド素子が形成された第1の基板40が得られる。
【0154】次に、図59に示すように、マージ型ヘッド20となる多数のヘッド素子62が形成された基板40を短冊状に切り分けることにより、横方向にヘッド素子62が並ぶヘッドブロック63を形成する。ここで、横方向に並ぶヘッド素子62の数は、生産性を考慮するとできる限り多い方がよい。図59においては、簡略化のために、ヘッド素子62が5個並ぶヘッドブロック63を図示しているが、実際には、これ以上のヘッド素子62が並ぶようにしても構わない。また、本実施の形態においては、ヘッドブロック63の幅t22は2mmとしている。
【0155】次に、図60に示すように、ヘッドブロック63上に、マージ型ヘッド20の第2の基板24となる、例えば厚さt23が約0.7mm程度のガード部材64を貼り付ける。このガード部材64には、多結晶フェライト等が用いられる。このガード部材64の貼り付けには、例えば樹脂系等の接着剤が用いられる。このとき、ガード部材64の高さt24をヘッドブロック63の高さよりも低くして、ヘッドブロック63に形成された外部接続用端子32a,32b,36a,36bを外部に露出させる。これにより、外部接続用端子32a,32b,36a,36bは、外部と電気的に接続することが可能となる。
【0156】次に、図61に示すように、マージ型ヘッド20の媒体摺動面20aとなる面に対して円筒研磨加工を施し、この面を円弧状に形成する。具体的には、MRヘッド22及びインダクティブヘッド23の前端が媒体摺動面20aに露呈すると共に、これらのデプス長が所定の長さとなるまで円筒研磨加工を行う。これにより、マージ型ヘッド20の媒体摺動面20aとなる面が円弧状の曲面となる。なお、この円筒研磨加工によって形成される媒体摺動面20aとなる面の曲面形状は、テープテンション等に応じて最適な形状とすればよく、特に限定されるものではない。
【0157】次に、図62に示すように、ガード部材64が接合されたヘッドブロック63を各ヘッド素子62毎に、システムで要求されるアジマス角θに応じた切断線D−D’に沿って分割する。これにより、図3に示すような個々のマージ型ヘッド20が多数得られる。
【0158】以上のように作製されたマージ型ヘッド20を使用する際は、このマージ型ヘッド20をチップベースに貼り付けるとともに、外部接続用端子32a,32b,36a,36bがチップベースに設けられた端子と電気的に接続される。そして、このマージ型ヘッド20は、ヘッドチップに取り付けられた状態で図2に示すような回転ドラム6に取り付けられ、磁気ヘッド7,8として用いられる。
【0159】以上のように、本発明を適用して作製されるマージ型ヘッド20では、上層ギャップ層28となる第3の非磁性非導電性膜49の上面49aを平坦化することにより、この上に積層形成される下層コア層26となる第2の軟磁性膜51、磁気ギャップ層34となる第4の非磁性非導電性膜55及び上層コア層33となる第3の軟磁性膜60を平坦化することができる。
【0160】これにより、本手法では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にしたマージ型ヘッド20を容易に作製することができ、磁気テープ2に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することが可能な高品質のマージ型ヘッド20を作製することができる。
【0161】また、本発明を適用して作製されるマージ型ヘッド20では、上層シールド層26となる第2の軟磁性膜51が平坦化されることにより、この上層シールド層26の磁気特性が向上すると共に、不均一な磁区の発生を抑制することができる。
【0162】このことから、本発明は、上述した再生専用ヘッドであるMRヘッド22と、記録専用ヘッドであるインダクティブヘッド23とが組み合わされてなるマージ型ヘッド20に限らず、再生専用ヘッドのみからなるシールド型MRヘッドに適用することも可能である。
【0163】次に、本発明を適用したマージ型ヘッドの他の構成例として、図63に示すマージ型ヘッド70について説明する。なお、図63は、このマージ型ヘッド70を媒体摺動面側から見た概略端面図である。また、以下の説明において、上述したマージ型ヘッド20と同等な部位については説明を省略するとともに、図面において同じ符号を付すものとする。
【0164】このマージ型ヘッド70は、上述した磁気抵抗効果素子部の段差部上に形成される上層ギャップ層28の上面28aを平坦化する代わりに、このような磁気抵抗素子部の段差部上に上層ギャップ層28を介して形成される上層シールド層(下層コア層)26の上面26aが平坦化されていることを特徴としている。すなわち、このマージ型ヘッド70では、上層シールド層(下層コア層)26の上面26aが平坦化されることにより、この上に形成される記録ヘッド部を構成する磁気ギャップ層34及び上層コア層35が平坦化されることとなる。
【0165】これにより、このマージ型ヘッド70では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にすることができ、磁気テープ2に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することができる。
【0166】したがって、このマージ型ヘッド70では、隣接するトラックに対する悪影響を抑制することが可能となり、記録情報の信頼性を向上させると共に、記録密度を向上させることが可能となる。また、記録ヘッド部の記録トラック幅Tw2が再生ヘッド部の再生トラック幅Tw1よりも大きくなる場合に有効なことから、同一フォーマットで下位互換を許容したシステムへの対応が可能となる。
【0167】次に、上層シールド層及び下層コア層26となる第2の軟磁性膜51の上面51aを平坦化する方法について説明する。なお、マージ型ヘッド70の製造方法については、この第2の軟磁性膜51の上面51aを平坦化する方法以外は、上述したマージ型ヘッド20の製造方法と同様なことから、詳細な説明を省略するものとする。
【0168】この第2の軟磁性膜51の上面51aを平坦化する際は、先ず、図64に示すような磁気抵抗効果素子部の段差部に応じて第3の非磁性非導電性膜49を介して第2の軟磁性膜51の上面51aに生じた段差を、ダイヤモンド砥粒による機械研磨を施すことにより除去する。そして、この第2の軟磁性膜51の表面を、さらに化学的研磨(バフ研磨)により鏡面状態に仕上げる。
【0169】ここで、第2の軟磁性膜51の厚みt25は、上述した上層ギャップ層28となる第3の非磁性非導電性膜49の厚みt12ほど厳密ではないため、任意の手法により第2の軟磁性膜51の上面51aに生じた段差を除去すればよい。
【0170】また、この第2の軟磁性膜51に生じた段差は、例えば100nm程度であり、数分間の機械研磨で平坦化することが可能であるが、それらの条件は研磨装置により任意である。但し、この第2の軟磁性膜51は、記録ヘッド部を構成する下層コア層26となることから、厚みが薄すぎると通過できる磁束量が飽和してしまう虞がある。したがって、この第2の軟磁性膜51の厚みt25は、最終的な下層コア層26の厚みに加えて、この第2の軟磁性膜51の上面51aを平坦化するための研磨量を考慮した厚みとする必要があり、少なくとも2μm以上の研磨量を確保する必要がある。また、この第2の軟磁性膜51に対する機械研磨後の化学的研磨についても、それらの条件は任意であるが、できるだけ第2の軟磁性膜51の表面を鏡面状態とすることが望ましい。これにより、図65に示すように、第2の軟磁性膜51のが上面を平坦化することができる。
【0171】以上のように本発明を適用して作製されるマージ型ヘッド70では、上層シールド層(下層コア層)26となる第2の軟磁性膜51の上面51aを平坦化することにより、この上に積層形成される磁気ギャップ層34となる第4の非磁性非導電性膜55及び上層コア層33となる第3の軟磁性膜60を平坦化することができる。
【0172】これにより、本手法では、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にしたマージ型ヘッド70を容易に作製することができ、磁気テープ2に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することが可能な高品質のマージ型ヘッド70を作製することができる。
【0173】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る複合型磁気ヘッドによれば、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にすることができ、磁気記録媒体に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することができる。
【0174】したがって、隣接するトラックに対する悪影響を抑制することができ、記録情報の信頼性を向上させると共に、記録密度を向上させることができる。また、記録ヘッド部の記録トラック幅が再生ヘッド部の再生トラック幅よりも大きくなる場合に有効なことから、同一フォーマットで下位互換を許容したシステムへの対応が可能となる。
【0175】また、本発明に係る複合型磁気ヘッドの製造方法によれば、記録ヘッド部の磁気ギャップを略直線状にした複合型磁気ヘッドを容易に作製することができ、磁気記録媒体に対して明瞭な記録パターン、すなわち記録トラックの全幅に亘って略直線状とされた記録パターンを形成することが可能な高品質のマージ型ヘッドを作製することができる。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成12年8月7日(2000.8.7)
【代理人】 【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【公開番号】 特開2002−56511(P2002−56511A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−239069(P2000−239069)