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【発明の名称】 接触型磁気ヘッドの製造方法
【発明者】 【氏名】保浦 健二

【要約】 【課題】リリース層を溶解除去する際に、接合用パッド及びこれに繋がる電気回路が腐食するおそれのない接触型磁気ヘッドの製造方法を提供すること。

【解決手段】基板12上に、リリース層14及び第1絶縁層72を積層する。次に、第1絶縁層72の表面を貫通孔74aを有するマスク74で覆い、貫通孔74a直下に積層された第1絶縁層72が僅かに残る状態となるまで、第1絶縁層72を等方性エッチングする。次に、等方性エッチングが行われた第1絶縁層72に対してさらに異方性エッチングを行い、リリース層14に達する凹部76を形成する。この後、少なくとも凹部76の表面に第2絶縁層78を積層し、その上に接合用パッド60を積層する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板の表面にリリース層を積層するリリース層積層工程と、前記リリース層が積層された前記基板の表面に第1絶縁層を積層する第1絶縁層積層工程と、エッチングにより、その底面と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部を前記第1絶縁層に形成する第1エッチング工程と、前記凹部の先端が少なくとも前記リリース層に達するまで、前記凹部に対して異方性エッチングを行う第2エッチング工程と、少なくとも前記凹部の表面に第2絶縁層を積層する第2絶縁層積層工程と、前記第2絶縁層が積層された前記凹部の上に接合用パッドを積層するパッド積層工程とを備えていることを特徴とする接触型磁気ヘッドの製造方法。
【請求項2】前記第1エッチング工程は、貫通孔を有するマスクを用いて前記第1絶縁層の表面を覆うマスク工程と、前記貫通孔直下に積層された前記第1絶縁層が僅かに残る状態となるまで、前記第1絶縁層を等方性エッチングする等方性エッチング工程とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の接触型磁気ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接触型磁気ヘッドの製造方法に関し、更に詳しくは、コンピュータ、デジタルカメラ、デジタルAV等に用いられるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体の高密度記録・再生に好適な接触型磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フロッピーディスク、磁気テープ、ハードディスク等、磁気記録媒体への高密度記録・再生を達成するには、磁気ヘッドから発生する漏れ磁束が書き込まれる磁気記録媒体の領域を微小化し、この微小領域から正確に磁気記録情報を読み出す必要がある。そのためには、磁気記録媒体と磁気ヘッドとをできる限り接近させることが望ましい。このような観点から開発された磁気記録・再生装置としては、磁極を備えた接触パッドを磁気記録媒体に直接接触させながら磁気記録情報の記録・再生を行う接触型磁気ヘッドが知られている。
【0003】例えば、特開平8−203190号公報には、磁気ヘッドスライダ(ヘッドチップ)にダイヤモンドからなる1個の接触パッドを設け、接触パッドの先端を、中心線平均粗さRmaxが0.5nm程度となるように球面研磨した接触型磁気ヘッドが開示されている。
【0004】また、特願平9−225724号には、薄膜状のヘッドチップに、磁極(ポールチップ)を有する接触パッド(磁極パッド)と、この磁極パッドの接触走行を安定化させるための2個の接触パッド(補助パッド)を設けた接触型磁気ヘッドが本件出願人により提案されている。
【0005】図5(c)に、接触パッドを備えた薄膜状の接触型磁気ヘッドの基本構造の一例を示す。図5(c)において、接触型磁気ヘッド50は、ヘッドチップ50aの一方の面にポールチップ58を備えた接触パッド59が設けられ、他方の面に接合用パッド60が設けられている。また、ヘッドチップ50aは、磁気回路51と、電気回路61と、これらを保護すると同時にヘッドチップ50aの主要構造材となる絶縁層68a〜68gからなる。
【0006】磁気回路51は、磁気記録媒体(図示せず)に対してほぼ平行に形成された磁性薄膜からなるトップヨーク52及びボトムヨーク54、54と、これらを繋ぐ2つのリターンスタッド56、56と、ボトムヨーク54、54先端に設けられたポールチップ58からなる。また、ポールチップ58の先端には、磁気ギャップ58aが設けられ、ポールチップ58の周囲には、硬質材料からなる接触パッド59が設けられている。
【0007】また、電気回路61は、Auからなる接合用パッド60と、コイル62と、接合用パッド60−コイル62間を繋ぐアップリード64からなる。コイル62は、左右のリターンスタッド56、56の周囲にそれぞれ三層ずつ渦巻状に形成されたスパイラルコイル62a…がインターコネクト66、66…により1本に繋がれた多層スパイラル構造になっている。
【0008】なお、接合用パッド60は、書き込みの際に外部からコイル62に電流を流したり、あるいは、読み出しの際にコイル62に流れる誘導電流を取り出すためのものであり、アップリード64を介してコイル62に繋がれている。従って、1個のヘッドチップ50aに対して2個の接合用パッド60が設けられているが、図5(c)においては、その内の1個のみが示され、他の1個は、図示が省略されている。
【0009】このような立体構造を備えた接触型磁気ヘッド50は、以下のような手順により製造されるのが一般的である。すなわち、まず、図5(a)に示すように、基板12の上に、基板12からヘッドチップ50aを分離するためのリリース層14、及び複数のヘッドチップ50aを含む素子層16を積層して素子板10を作製する。素子層16は、リリース層14の上に、絶縁層68a、接合用パッド60、トップヨーク52、コイル62等を順次積層し、最後に、磁気回路51の先端部であるポールチップ58、及びポールチップ58を保護するための接触パッド59を形成することにより作製される。この時、素子板10上には、数千〜数万個のヘッドチップ50aが繋がった状態で形成される。
【0010】なお、接合用パッド60は、電気回路の一部であると同時に、接触型磁気ヘッド50を支持するために、ビームと接合される。そのため、接合用パッド60の先端は、接合用パッド60とビームとの接合を容易化するために、ヘッドチップ50aの表面からやや突出するように形成される。
【0011】また、リリース層14は、ヘッドチップ50aを成膜した後、エッチング液で溶解除去し、ヘッドチップ50aと基板12とを分離するために形成される。リリース層14には、通常、安価で成膜の容易な銅が用いられるので、エッチング液には、硝酸を用いるのが一般的である。基板12上にヘッドチップ50aが成膜された状態において、接合用パッド60の先端が絶縁層68aで覆われているのは、接合用パッド60をエッチング液から保護するためである。
【0012】次に、全構造物が形成された後、図5(b)に示すように、レーザを用いて素子層16に溝18を入れて各ヘッドチップ50aを切り離す。続いて、リリース層14をエッチングすることによりヘッドチップ50aを基板12から分離させ、さらに、絶縁層68aの内、接合用パッド60先端を覆っている部分を除去すると、図5(c)に示すような接触型磁気ヘッド50が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】接合用パッド60とビームとを接合し、ビームによって接触型磁気ヘッドを支持するためには、接合用パッド60には、ある程度の厚さが必要である。従って、接合用パッド60の形成には、通常、成膜速度の速いメッキ法が用いられる。この場合、絶縁層68aの上に直接メッキするのは困難であるので、絶縁層68aの上に図示しない金属薄膜(メッキシード)を形成し、これを一方の電極として、メッキを行うのが一般的である。
【0014】一方、接合用パッド60の先端は、上述したように、リリース層14を溶解除去するためのエッチング液に対する耐性を有する絶縁層68aで覆われている。従って、本来であれば、リリース層14をエッチングする際に、接合用パッド60及びこれに繋がる電気回路61は、エッチングされないはずであった。
【0015】しかしながら、上述の方法により製造された接触型磁気ヘッド50の中には、リリース層14を溶解除去する際に、エッチング液が絶縁層68a内を浸透し、メッキシードが腐食する場合があった。また、リリース層14のエッチング時間が長くなると、メッキシードの腐食によって、エッチング液がさらにヘッドチップ50a内部まで浸透し、電気回路61を腐食させる場合があった。
【0016】本発明が解決しようとする課題は、リリース層を溶解除去する際に、接合用パッド及びこれに繋がる電気回路が腐食するおそれのない接触型磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明に係る接触型磁気ヘッドの製造方法は、基板の表面にリリース層を積層するリリース層積層工程と、前記リリース層が積層された前記基板の表面に第1絶縁層を積層する第1絶縁層積層工程と、エッチングにより、その底面と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部を前記第1絶縁層に形成する第1エッチング工程と、前記凹部の先端が少なくとも前記リリース層に達するまで、前記凹部に対して異方性エッチングを行う第2エッチング工程と、少なくとも前記凹部の表面に第2絶縁層を積層する第2絶縁層積層工程と、前記第2絶縁層が積層された前記凹部の上に接合用パッドを積層するパッド積層工程とを備えていることを要旨とするものである。
【0018】第1エッチング工程において、その底面と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部を第1絶縁層に形成し、この凹部に対してさらに異方性エッチングを行うと、凹部は、その先端がリリース層に達した時に、その先端に角部が無く、しかも、その周囲がなだらかに傾斜した形状となる。この凹部の上に第2絶縁層を形成すると、第2絶縁層は、その膜厚がほぼ均等となり、リリース層をエッチングするためのエッチング液に対する耐性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2に、本発明の一実施の形態に係る製造方法の工程図を示す。本発明において、接触型磁気ヘッドは、以下のような手順により製造される。すなわち、図1(a)に示すように、まず、基板12上にリリース層14を積層し(リリース層積層工程)、次いで、リリース層14の上に中間層70を積層し、さらにその上に第1絶縁層72を積層する(第1絶縁層積層工程)。
【0020】ここで、基板12は、その上に積層される接触型磁気ヘッドを支持するためのものであり、その材質は、特に限定されるものではない。一般には、Al、Al−TiC等のセラミックス基板が用いられる。
【0021】リリース層14は、基板12上に全構造物を積層した後、ヘッドチップを基板12から分離するためのものである。そのため、リリース層14には、一般に、安価で、エッチング液による除去が容易な金属材料(例えば、銅、クロム、ニッケルなど。)が用いられる。リリース層14の厚さは、成膜速度、エッチング液による溶解速度等を考慮して、任意に定めることができる。通常は、数μm〜数十μmである。
【0022】第1絶縁層72は、接触型磁気ヘッドの内部に形成される磁気回路及び電気回路を保護すると同時に、接触型磁気ヘッドの最表面を構成する主構造材となるものであり、高い絶縁性を有する材料からなる。一般的には、アルミナ、シリカ等のセラミックス材料が用いられる。その厚さは、製造しようとする接触型磁気ヘッドの構造によって異なるが、通常は、数μm程度である。
【0023】中間層70は、リリース層14と第1絶縁層72の密着性を改善するために積層されるものである。従って、リリース層14と第1絶縁層72の間に良好な密着性が得られる場合には、中間層70は、必ずしも必要ではない。また、中間層70の材質及び厚さは、リリース層14及び第1絶縁層72の材質に応じて、良好な密着性が得られるような材質及び厚さとする。例えば、リリース層14及び第1絶縁層72として、それぞれ銅及びアルミナを用いる場合、両者を直接積層すると良好な密着性が得られないので、中間層70として、両者の間に厚さ150nm程度のCr層を積層すると良い。
【0024】なお、リリース層14、中間層70及び第1絶縁層72の成膜方法については、特に限定されるものではなく、その材質、成膜速度等を考慮して、最適なものを選択するとよい。また、リリース層14、中間層70又は第1絶縁層72の成膜方法によっては、第1絶縁層72の表面に凹凸が発生する場合がある。このような場合には、第1絶縁層72を積層した後、第1絶縁層72の表面を研磨することが好ましい。
【0025】次に、エッチングにより、その底面と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部を第1絶縁層72に形成する(第1エッチング工程)。具体的には、図1(b)に示すように、貫通孔74aを有するマスク74を用いて第1絶縁層72の表面を覆い(マスク工程)、次いで、図1(c)に示すように、マスク74で覆われた第1絶縁層72に対して等方性エッチングを行えばよい(第1エッチング工程)。これにより、所定の形状を有する凹部76aが第1絶縁層72に形成される。
【0026】なお、マスク74の材質は、後述する第1エッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。通常は、フォトレジスト膜が用いられる。
【0027】また、等方性エッチングは、マスク74の貫通孔74a直下に積層された第1絶縁層72が僅かに残る状態となるまで行い、リリース層14(中間層70が積層されている場合には、中間層70)が完全に露出する前にエッチングを止める必要がある。
【0028】この場合、第1絶縁層72の残り厚さが厚すぎると、後述する第2エッチング工程において第1絶縁層72を除去する際に長時間を要するので好ましくない。一方、第1絶縁層72の残り厚さが薄すぎると、エッチング条件の僅かな変動によって、リリース層14又は中間層72が露出するおそれがあるので好ましくない。最適な残り厚さは、第1絶縁層72の成膜時の厚さ、材質等によって異なる。例えば、第1絶縁層72が厚さ5μm程度のアルミナである場合、残り厚さは、1μm程度が好適である。
【0029】また、等方性エッチングとしては、具体的には、エッチング液を用いたウエットエッチング法、放電によって発生するラジカルと化学反応を起こさせるプラズマエッチング法等があるが、第1エッチング工程においては、いずれの方法を用いても良く、第1絶縁層72の材質、コスト等に応じて最適な方法を選択すればよい。但し、プラズマエッチング法は、エッチング速度が遅く、高コストであるので、第1エッチング工程においては、ウエットエッチング法を用いるのが好ましい。この場合、使用するエッチング液は、第1絶縁層72の材質によって最適なものを選択すればよい。例えば、第1絶縁層72がアルミナである場合、エッチング液には、リン酸を用いるのが好ましい。
【0030】次に、マスク74を取り除いた後、等方性エッチングが行われた第1絶縁層72に対してさらに異方性エッチングを行う(第2エッチング工程)。ここで、異方性エッチングとしては、具体的には、イオンビームエッチング、リアクティブイオンエッチング等があるが、第2エッチング工程においては、いずれの方法を用いても良く、第1絶縁層72及びリリース層14の材質、コスト等に応じて最適な方法を選択すればよい。例えば、第1絶縁層72及びリリース層14が、それぞれ、アルミナ及び銅である場合、イオンビームエッチング法が好適である。
【0031】マスク74を取り除いた状態で異方性エッチングを行うと、初めに第1絶縁層72がエッチングされる。さらにエッチングが進行すると、等方性エッチングにより膜厚が薄くなった凹部76aの底面部分が完全に除去され、リリース層14(又は中間層70)が露出する。異方性エッチングによるエッチング速度は、一般に、絶縁層72よりリリース層14の方が速いので、これ以後は、リリース層14が優先的にエッチングされ、所定時間経過後には、図1(d)に示すように、リリース層14に所定の深さの凹部76が形成される。このような方法によって得られた凹部76は、その先端には角部が無く、しかも、側壁部分がなだらかに傾斜した形状となる。
【0032】次に、リリース層14に達する凹部76を形成した後、図1(e)に示すように、凹部76の表面に第2絶縁層78を形成する(第2絶縁層形成工程)。この場合、第2絶縁層78は、少なくとも凹部76の表面に形成されていればよいが、図1(e)に示すように、第1絶縁層72及び凹部76の全面に渡って形成しても良い。また、第2絶縁層78及び第1絶縁層72には、通常、同一材料が用いられるが、異種材料を用いても良い。なお、第1絶縁層72及び第2絶縁層78は、図5に示す絶縁層68aに相当するものである。
【0033】次に、図2(a)に示すように、第2絶縁層78の上に、メッキシード80を形成する。メッキシード80の材質、厚さ、形成方法等は、接合用パッドの材質、メッキ条件等に応じて、最適なものを選択する。例えば、接合用パッドの材質としてAuを用いる場合、メッキシード80は、スパッタリング法を用いて形成された、厚さ約100nmのNiFe薄膜が好適である。
【0034】次に、メッキシード80の上に、接合用パッドに対応する開口部を有するマスク(図示せず)を形成した後、メッキシード80を一方の電極として、メッキ法により接合用パッドを形成する(パッド層積層工程)。図2(b)に、メッキシード80の上に、接合用パッド60が形成された状態を示す。なお、接合用パッド60を形成するためのマスクの材質としては、種々の材質を用いることができ、特に限定されるものではない。通常は、フォトレジスト膜が用いられる。
【0035】次に、図2(c)に示すように、接合用パッド60の上にアップリード64を形成し、さらに図示しない磁気回路及び電気回路の一部を積層した後、図2(d)に示すように、これらを絶縁層68bで覆う。
【0036】これ以後の工程は、従来の製造方法と同様である。すなわち、絶縁層68bの上にコイル、リターンスタッド等の電気回路及び磁気回路を順次積層する。次いで、ヘッドチップの境界線に沿って切り込みを入れた後、リリース層14を溶解除去してヘッドチップを分離する。さらに、接合用パッド60先端を覆っている第2絶縁層78を除去する。これにより、ヘッドチップの一方の面には接触パッドが、また、他方の面に接合用パッドが設けられた薄膜状の接触型磁気ヘッドが得られる。
【0037】次に、本発明に係る接触型磁気ヘッドの製造方法の作用について説明する。接合用パッドの先端は、絶縁層で覆われているので、ヘッドチップ内部の電気回路は、本来であれば、リリース層をエッチング液により溶解除去する際に腐食されないはずであった。しかしながら、得られた接触型磁気ヘッドの中には、電気回路が腐食しているものがあった。その原因について詳細に調べたところ、接合用パッド60を形成するための凹部の形状に原因があることがわかった。
【0038】すなわち、基板12上にリリース層14及び第1絶縁層72を積層した後、接合用パッド60を形成するための凹部をエッチングにより形成する場合、リリース層14と第1絶縁層72の材質が異なるので、エッチングは、2回に分けて行われる。一般に、第1絶縁層72のエッチングには、等方性エッチング、特に低コストであるウエットエッチングが用いられ、リリース層14のエッチングには、異方性エッチングが用いられる。
【0039】また、第1絶縁層72をウエットエッチングする場合、図3(a)に示すように、貫通孔74aを有するマスク74でその表面を被覆し、基板12毎、エッチング液に浸漬する方法が採られる。この時、貫通孔74a直下にある第1絶縁層72は、その表面に対してほぼ平行にエッチングされる。また、貫通孔74a直下にある第1絶縁層72のエッチングが進行するに伴い、エッチング液がマスク74の下側に回り込むので、マスク74の下部であって貫通孔74a近傍にある第1絶縁層72もエッチングされる。
【0040】その結果、貫通孔74a直下にある第1絶縁層72が厚さxだけエッチングされると、マスク74の下部においては、貫通孔74aの端部から半径xの円弧状の領域がエッチングされることになる。また、貫通孔74a直下に積層された厚さtの第1絶縁層72が完全に除去された時点では、マスク74の下側の円弧状領域の半径は、ほぼtに等しくなる(以下、この状態を「ジャストエッチ」という。)。ウエットエッチングをさらに続行すると、マスク74下のエッチング領域が横方向に拡大する(以下、この状態を「オーバーエッチ」という。)。
【0041】一方、リリース層14及び第1絶縁層72には、それぞれ、銅及びアルミナが通常用いられるが、異方性エッチングによるエッチング速度は、一般に、材質によって異なる。例えば、異方性エッチングとしてイオンビームエッチングを用いる場合、アルミナのエッチング速度は、銅のエッチング速度の約半分である。そのため、等方性エッチングを行った後、異方性エッチングによりリリース層14に凹部を形成する場合において、第1絶縁層72が残っていると、これを除去するのに長時間を要することになる。また、エッチング条件の不可避的な変動があるので、等方性エッチングをジャストエッチの状態で止めるのは、第1絶縁層72の溶け残りを発生させるおそれがある。
【0042】従って、これを避けるためには、等方性エッチングをオーバーエッチの状態となるまで行い、リリース層14を完全に露出させる必要がある。しかしながら、オーバーエッチを行うと、等方性エッチングが終了した時点では、図3(a)に示すように、第1絶縁層72に形成された凹部の側壁部と露出したリリース層14の表面との間に、角度θ(θ>0)が発生することになる。
【0043】この状態で異方性エッチングを行うと、図3(b)に示すように、リリース層14に形成された凹部77の先端には、角部77aが形成される。また、凹部77の側壁の角度は、急峻に立ち上がる。このような凹部77に第2絶縁層78を積層すると、図3(c)に示すように、角部77aには脆弱層77bが形成され、さらに、第1絶縁層72とリリース層14の境界近傍には、薄肉部77cが形成される。その結果、リリース層14をエッチングする際に、エッチング液が脆弱層77b及び/又は薄肉部77cを透過して接合用パッドに達し、エッチング液により電気回路が腐食する場合があった。
【0044】これに対し、図4(a)に示すように、第1絶縁層72を等方性エッチングする際に、リリース層14を完全に露出させることなく、マスク74の貫通孔74a直下に積層された第1絶縁層72が僅かに残った状態となったところで、等方性エッチングを止めると、第1絶縁層に形成された凹部76aの底面と側壁部との間に角度θは発生せず、底面と側壁とがなだらかな曲線によって繋がれる。
【0045】このような形状を有する凹部76aに対して異方性エッチングを行うと、図4(b)に示すように、リリース層14に達する凹部76の先端には、角部が発生しない。また、第1絶縁層72とリリース層14の境界近傍の側壁部分は、なだらかな傾斜となる。この上に第2絶縁層78を積層すると、図4(c)に示すように、第2絶縁層78の膜厚がほぼ均等になり、脆弱層や薄肉部が生じない。その結果、リリース層14をエッチング除去する際に、エッチング液が第2絶縁層78を透過して接合用パッド60に達することがなくなり、エッチング液による電気回路の腐食が防止される。
【0046】以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0047】例えば、上記実施の形態においては、磁極パッドを備えた接触型磁気ヘッドについて本発明を適用した例について主に説明したが、本発明は、磁極パッドと補助パッドの双方を備えた接触型磁気ヘッドの製造に対しても同様に適用することができる。
【0048】また、上記実施の形態では、第1エッチング工程において、等方性エッチング、特に、低コストのウエットエッチングを用いて、底部と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部76aを第1絶縁層72に形成しているが、このような形状を有する凹部76aの形成方法は、これに限定されるものではない。例えば、第1エッチング工程におけるエッチング方法として異方性エッチングを用いる場合であっても、エッチング条件、特にビームの照射角度を最適化すれば、等方性エッチングを用いた場合とほぼ同様の形状を有する凹部76aを第1絶縁層72に形成することもできる。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る接触型磁気ヘッドの製造方法は、接合用パッドを形成するための凹部をエッチングにより形成する場合において、まず、その底面と側壁部がなだらかな曲線で繋がった凹部を第1絶縁層に形成し、次いで、この凹部に対してさらに異方性エッチングを行う方法が用いられているので、凹部の上に積層される第2絶縁層の膜厚をほぼ均等にすることができ、第2絶縁層のリリース層を溶解除去する際のエッチング液に対する耐性が向上するという効果がある。また、これによって、リリース層をエッチングする際に、接合用パッド及びこれに繋がる電気回路の腐食が防止されるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【出願日】 平成12年8月10日(2000.8.10)
【代理人】 【識別番号】100095669
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 登
【公開番号】 特開2002−56508(P2002−56508A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−243143(P2000−243143)