| 【発明の名称】 |
磁気抵抗素子増幅回路およびこれを用いたディスク装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】梅山 竹彦
【氏名】堀内 剛
|
| 【要約】 |
【課題】読取開始時における増幅動作の安定時間を短縮し、高速読取動作を行うこと。
【解決手段】バイアス電流が供給される磁気抵抗素子MR1の両端からそれぞれ出力された信号を増幅するNPNトランジスタQ1,Q2を有する磁気抵抗素子増幅回路1において、NPNトランジスタQ1,Q2による信号の増幅動作をスイッチングするスイッチSW1と、スイッチSW1のオン、オフに対応してそれぞれオフ、オンするスイッチSW2と、スイッチSW1のオン時にNPNトランジスタQ1,Q2に流入するベース電流を、スイッチSW2がオン時に引き抜くベース電流引抜回路2と、NPNトランジスタQ1,Q2のベース電流値を補正するベース電流補正回路とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バイアス電流が供給される磁気抵抗素子の両端からそれぞれ出力された信号を増幅する第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する磁気抵抗素子増幅回路において、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチと、前記第1のスイッチのオン、オフに対応してそれぞれオフ、オンする第2のスイッチと、前記第1のスイッチのオン時に前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタに流入するベース電流を、前記第2のスイッチがオン時に引き抜くベース電流引抜手段と、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのベース電流値を補正するベース電流補正手段と、を備えたことを特徴とする磁気抵抗素子増幅回路。 【請求項2】 前記ベース電流補正手段は、電流源を有し、前記電流源は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正することを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗素子増幅回路。 【請求項3】 前記ベース電流引抜手段は、前記第1のトランジスタのベースに接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのベースに接続された第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに対してカレントミラーを形成する第5のトランジスタと、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗素子増幅回路。 【請求項4】 バイアス電流が供給される磁気抵抗素子の両端からそれぞれ出力された信号を増幅する第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する磁気抵抗素子増幅回路を用いて少なくとも磁気記録媒体に記憶された情報を読み取るディスク装置において、前記磁気抵抗素子増幅回路は、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチと、前記第1のスイッチのオン、オフに対応してそれぞれオフ、オンする第2のスイッチと、前記第1のスイッチのオン時に前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタに流入するベース電流を、前記第2のスイッチがオン時に引き抜くベース電流引抜手段と、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのベース電流値を補正するベース電流補正手段と、を備えたことを特徴とするディスク装置。 【請求項5】 前記ベース電流補正手段は、電流源を有し、前記電流源は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正することを特徴とする請求項4に記載のディスク装置。 【請求項6】 前記ベース電流引抜手段は、前記第1のトランジスタのベースに接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのベースに接続された第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに対してカレントミラーを形成する第5のトランジスタと、を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載のディスク装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、バイアス電流の供給によって磁気抵抗素子の両端に発生した信号を増幅して、記憶媒体上の情報を読み出す磁気抵抗素子増幅回路およびこれを用いたディスク装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、ハードディスクドライブ装置やフロッピー(登録商標)ディスクドライブ装置などに用いられる磁気記憶媒体のヘッド用素子として、磁気抵抗(magnetoresistive)素子が広く用いられるようになっている。この磁気抵抗素子を用いたヘッドは、従来の薄膜素子を用いたヘッドに比較して再生出力が大きいため、磁気記憶媒体上の面記録密度を大幅に向上することができるからである。なお、磁気抵抗素子は、外部磁界を加えると抵抗が変化する磁気抵抗効果を示す素子を意味し、たとえばGMR(giant magnetoresistive)素子やTMR(tunneling magnetoresistive)素子を含む。 【0003】図4は、従来の磁気抵抗素子増幅回路の構成を示す回路図である。図4において、磁気抵抗素子MR1にかかる磁気変化による磁気抵抗変化によって、磁気抵抗素子MR1の端子間電圧は変化する。NPNトランジスタQ1,Q2は、磁気抵抗素子MR1のそれぞれは、磁気抵抗素子MR1の両端からベース電流を引き出し、磁気抵抗素子MR1の端子間電圧を増幅し、端子T1,T2からそれぞれ増幅出力する。ここで、磁気抵抗素子MR1の両端に流れる電流は、NPNトランジスタQ1,Q2のベース電流によって誤差が生じる。そこで、ベース電流補正回路101によって、NPNトランジスタQ1,Q2のベース電流分を補正するようにしている。ベース電流補正回路101は、電流源I3,NPNトランジスタQ3,Q6,Q7,およびPNPトランジスタQ4,Q5を有する。 【0004】一方、NPNトランジスタQ1,Q2を含む増幅器は、スイッチSW1によってオン状態とオフ状態とを呈する。オン状態は、磁気抵抗素子MR1によって図示しない記録媒体上の情報を読み込む状態であり、オフ状態は、図示しない書込ヘッドによって図示しない記録媒体上に情報を読み込む状態あるいは読込/書込を行わない停止状態である。この場合、スイッチSW1には、NPNトランジスタQ1,Q2のエミッタ側に接続された電流源I1,I2が接続されるとともに、ベース電流補正回路101の電流源I3が接続される。このため、スイッチSW1がオン状態のときは、磁気抵抗素子MR1がオン状態すなわち動作状態となり、スイッチSW1がオフ状態のときは、磁気抵抗素子MR1がオフ状態すなわち非動作状態となる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、スイッチSW1をオン状態からオフ状態に移行した場合、磁気抵抗素子MR1に流れている電流の中間電位を設定するループの電位、すなわち抵抗R1,R2間の電位を変動させてしまう。この結果、再びスイッチSW1をオフ状態からオン状態に移行した場合、コンデンサC1,C2を再充電する必要があり、抵抗R1,R2間の中間電位を安定させる時間がかかり、読取り動作の再開を高速に行うことができないという問題点があった。 【0006】この発明は上記に鑑みてなされたもので、読取開始時における増幅動作の安定時間を短縮し、高速読取動作を行うことができる磁気抵抗素子増幅回路およびこれを用いたディスク装置を得ることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明にかかる磁気抵抗素子増幅回路は、バイアス電流が供給される磁気抵抗素子の両端からそれぞれ出力された信号を増幅する第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する磁気抵抗素子増幅回路において、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチと、前記第1のスイッチのオン、オフに対応してそれぞれオフ、オンする第2のスイッチと、前記第1のスイッチのオン時に前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタに流入するベース電流を、前記第2のスイッチがオン時に引き抜くベース電流引抜手段と、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのベース電流値を補正するベース電流補正手段とを備えたことを特徴とする。 【0008】この発明によれば、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチがオンのとき、第2のスイッチはオフとなって、前記信号の増幅動作のみを行い、前記第1のスイッチがオフのとき、第2のスイッチはオンとなって、前記信号の増幅動作は行われず、ベース電流引抜回路が、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが増幅動作している場合におけるベース電流分を引き抜き、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくし、前記信号の増幅動作を再開する場合に増幅動作の安定時間を短くするようにしている。 【0009】つぎの発明にかかる磁気抵抗素子増幅回路は、上記の発明において、前記ベース電流補正手段は、電流源を有し、前記電流源は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正することを特徴とする。 【0010】この発明によれば、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのベース電流は常に流れ、ベース電流補正手段の電流源が、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正するようにしているので、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくすことができる。 【0011】つぎの発明にかかる磁気抵抗素子増幅回路は、上記の発明において、前記ベース電流引抜手段は、前記第1のトランジスタのベースに接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのベースに接続された第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに対してカレントミラーを形成する第5のトランジスタとを備えたことを特徴とする。 【0012】この発明によれば、第3のトランジスタが前記第1のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜き、第4のトランジスタが前記第2のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜くが、この際、第3のトランジスタおよび第4のトランジスタは、第5のトランジスタとカレントミラーを形成し、増幅動作時と同じベース電流を引き抜くようにしている。 【0013】つぎの発明にかかるディスク装置は、バイアス電流が供給される磁気抵抗素子の両端からそれぞれ出力された信号を増幅する第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する磁気抵抗素子増幅回路を用いて少なくとも磁気記録媒体に記憶された情報を読み取るディスク装置において、前記磁気抵抗素子増幅回路は、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチと、前記第1のスイッチのオン、オフに対応してそれぞれオフ、オンする第2のスイッチと、前記第1のスイッチのオン時に前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタに流入するベース電流を、前記第2のスイッチがオン時に引き抜くベース電流引抜手段と、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタのベース電流値を補正するベース電流補正手段とを備えたことを特徴とする。 【0014】この発明によれば、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチがオンのとき、第2のスイッチはオフとなって、前記信号の増幅動作のみを行い、前記第1のスイッチがオフのとき、第2のスイッチはオンとなって、前記信号の増幅動作は行われず、ベース電流引抜回路が、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが増幅動作している場合におけるベース電流分を引き抜き、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくし、前記信号の増幅動作を再開する場合に増幅動作の安定時間を短くするようにしている。 【0015】つぎの発明にかかるディスク装置は、上記の発明において、前記ベース電流補正手段は、電流源を有し、前記電流源は、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正することを特徴とする。 【0016】この発明によれば、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのベース電流は常に流れ、ベース電流補正手段の電流源が、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正するようにしているので、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくすようにしている。 【0017】つぎの発明にかかるディスク装置は、上記の発明において、前記ベース電流引抜手段は、前記第1のトランジスタのベースに接続された第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタのベースに接続された第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタおよび前記第4のトランジスタに対してカレントミラーを形成する第5のトランジスタとを備えたことを特徴とする。 【0018】この発明によれば、第3のトランジスタが前記第1のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜き、第4のトランジスタが前記第2のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜くが、この際、第3のトランジスタおよび第4のトランジスタは、第5のトランジスタとカレントミラーを形成し、増幅動作時と同じベース電流を引き抜くようにしている。 【0019】 【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して、この発明にかかる磁気抵抗素子増幅回路およびこれを用いたディスク装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。 【0020】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1である磁気抵抗素子増幅回路の構成を示す回路図である。図1において、この磁気抵抗素子増幅回路1の構成は、図4に示した従来の磁気抵抗素子増幅回路に、ベース電流引抜回路2をさらに設け、電流源I3の下流側を電源Veeに接続している。すなわち、電流源I3は、スイッチSW1の下流側に接続される。その他の構成は、図4に示した従来の磁気抵抗素子増幅回路と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。 【0021】ベース電流引抜回路2において、NPNトランジスタQ10,Q11のコレクタは、それぞれNPNトランジスタQ1,Q2のベースに接続され、それぞれNPNトランジスタQ12とカレントミラー接続される。また、NPNトランジスタQ12には、NPNトランジスタQ10,Q11のコレクタが、NPNトランジスタQ1,Q2のベース電流と同じ大きさの電流を流すように、PNPトランジスタQ13のコレクタからスイッチSW2を介して電流が供給される。 【0022】ベース電流引抜回路2を除いた回路は、磁気抵抗素子MR1に流れるバイアス電流を設定する機能をもつ回路である。抵抗R6の一端は、電圧源VCCに接続され、他端は電流源I4を介して接地される。電流源I4と抵抗R6との接続点は、トランスコンダクタンスアンプAmp1の正入力端子に接続され、トランスコンダクタンスアンプAmp1の出力端は、NMOSトランジスタQ8のゲートとコンデンサC1の一端に接続される。コンデンサC1の他端は、接地される。NMOSトランジスタQ8のドレインは、抵抗R3を介して電圧源VCCに接続されるとともに、トランスコンダクタンスアンプAmp1の負入力端子に接続される。 【0023】NMOSトランジスタQ8のソースは、抵抗R4を介して、磁気抵抗素子MR1の一端に接続される。磁気抵抗素子MR1の他端は、抵抗R5を介し、PMOSトランジスタQ9のソースに接続される。磁気抵抗素子MR1と抵抗R4との接続点は、直列接続された抵抗R1,R2を介して、磁気抵抗素子MR1の他端に接続される。すなわち、抵抗R1,R2と磁気抵抗素子MR1とは並列接続される。 【0024】抵抗R1,R2は、等しい大きさの抵抗値をもち、抵抗R1,R2の接続点は、トランスコンダクタンスアンプAmp2の負入力端子に接続される。トランスコンダクタンスアンプAmp2の出力端は、PMOSトランジスタQ9のゲートとコンデンサC2の他端とに接続される。コンデンサC2の他端は、接地される。 【0025】ここで、磁気抵抗素子MR1に対するバイアス電流の設定について説明する。このバイアス電流の設定は、まず電流源I4によって行われる。抵抗R6の両端には、(R6×I4)の電圧が発生し、トランスコンダクタンスアンプAmp1は、抵抗R6の両端電圧と、抵抗R3の両端電圧とが等しくなるように帰還をかける。この結果、抵抗R3に流れる電流IMRは、次式に示す値に設定される。すなわち、IMR=R6×I4/R3に設定される。磁気抵抗素子MR1の抵抗値に比べ、抵抗R1,R2の値は大きく設定されるので、抵抗R3に流れる電流IMRは、磁気抵抗素子MR1に流れる電流とほぼ同じ値となる。ここで、抵抗R1,R2の抵抗値は等しく、かつ抵抗値R1,R2との中点がトランスコンダクタンスアンプAmp2の負入力端子に接続され、トランスコンダクタンスアンプAmp2の正入力端子が接地されていることから、トランスコンダクタンスアンプAmp2は、抵抗R1,R2の中点電位が接地電圧と同じ値となるように帰還をかける。この結果、磁気抵抗素子MR1の中点電位は、接地電圧レベルに設定される。 【0026】このようにして磁気抵抗素子MR1に対するバイアス電流が設定された状態における磁気抵抗素子増幅回路1の動作について、図1および図2に示すスイッチSW1,SW2のタイミングチャートを参照して説明する。切替制御回路Cは、スイッチSW1がオン状態、すなわち読込状態とするとき、スイッチSW2をオフ状態に設定する。 【0027】スイッチSW1がオン状態のとき、NPNトランジスタQ1,Q2すなわち増幅器は、磁気抵抗素子MR1の両端電圧の信号を増幅する。この場合、上述したように、磁気抵抗素子MR1の両端電圧は、抵抗R1,R2の中点電位からの電圧となる。なお、このスイッチSW1がオン状態のとき、NPNトランジスタQ1,Q2は、ベース電流を消費することになる。また、このスイッチSW1がオン状態のとき、電流源I3には、電流源I1,I2の電流値のR3/R6倍の電流が流れ、この電流は、NPNトランジスタQ3,Q6,Q7およびPNPトランジスタQ4,Q5を介して抵抗R6に流される。この抵抗R6に流れる電流によって、NPNトランジスタQ1のベース電流は、NMOSトランジスタQ8のドレインから抵抗R4を介して供給される。また、NPNトランジスタQ2のベース電流は、NMOSトランジスタQ8のドレインから、抵抗R4および磁気抵抗素子MR1を介して供給される。 【0028】一方、スイッチSW1をオフ状態にし、NPNトランジスタQ1,Q2すなわち増幅器を動作させない場合、スイッチSW2は、オン状態になる。この場合、NPNトランジスタQ1,Q2は、ベース電流を消費しない。ベース電流引抜回路2におけるNPNトランジスタQ10〜Q12によって、NPNトランジスタQ10,Q11のそれぞれには、電流源I1,I2の電流値の((R3/R6)/hfe倍の電流が流れるように設定されている。なお、「hfe」は、NPNトランジスタの電流増幅率である。また、NPNトランジスタQ10〜Q12のカレントミラー回路に対する電流供給は、PNPトランジスタQ13によって取り出される。 【0029】したがって、スイッチSW1がオフ状態となり、スイッチSW2がオン状態になると、スイッチSW1がオン状態のときにNPNトランジスタQ1が消費していたベース電流分は、NMOSトランジスタQ8のドレインから、抵抗R4を介してNPNトランジスタQ10によって引き抜かれる。また、スイッチSW1がオン状態のときにNPNトランジスタQ2が消費していたベース電流分は、NMOSトランジスタQ8のドレインから、抵抗R4および磁気抵抗素子MR1を介してNPNトランジスタQ11によって引き抜かれることになる。 【0030】この結果、増幅器としてのトランジスタQ1,Q2のオン、オフの前後において、磁気抵抗素子MR1の両端に発生している直流電圧値が変動せず、トランジスタQ1,Q2のオフ状態からオン状態になる際、トランジスタQ1,Q2から端子T1,T2に出力される増幅出力が安定するまでの時間が短くなる。これによって、磁気抵抗素子MR1による読取動作を高速に行うことができる。 【0031】この実施の形態1では、電流源I3の動作をスイッチSW1のオン、オフ動作から独立させ、増幅動作をオン、オフさせるスイッチSW1がオフ状態のときに、ベース電流引抜回路2によるNPNトランジスタQ1,Q2のベース電流引き抜きを動作させるスイッチSW2をオン状態とすることによって、磁気抵抗素子MR1の両端に発生している電圧変動をなくし、スイッチSW1がオフ状態からオン状態に切り替わる際の増幅器出力の安定時間を短縮することができ、磁気抵抗素子MR1による読取動作を高速に行うことができる。 【0032】実施の形態2.つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。この実施の形態2では、上述した実施の形態1である磁気抵抗素子増幅回路1をハードディスクドライブ装置10に適用している。 【0033】図3は、この発明の実施の形態2であるハードディスクドライブ装置の構成を示すブロック図である。図3において、図1に示した磁気抵抗素子増幅回路1は、ハードディスクドライブ装置10のプリアンプ23として用いる。 【0034】ハードディスクドライブ装置10は、パーソナルコンピュータ20に接続される。ハードディスクドライブ装置10は、マイクロコンピュータ21を有し、マイクロコンピュータ21は、パーソナルコンピュータ20と制御信号S1の送受信を行う。マイクロコンピュータ21は、パーソナルコンピュータ20からの制御信号S1をもとに記憶媒体29に対するデータの書込あるいはデータの読取の制御を行う。 【0035】データの書込を行う場合、マイクロコンピュータ21は、リードチャネル22に対して制御信号S2および書込情報D1を送出し、リードチャネル22は、書込情報D1をもとに書込信号D2をプリアンプ23を介し、書込信号D3としてアーム28の図示しない書込ヘッドに送出し、記録媒体29上に書き込む。この際、マイクロコンピュータ21は、制御信号S3によってモータドライバ24を制御し、モータドライバ24は、制御信号S5によって記録媒体29を回転駆動させるスピンドルモータ25を制御する。また、マイクロコンピュータ21は、制御信号S4によってサーボIC26を制御し、サーボIC26は、アーム28を駆動するサーボモータ27の駆動制御を行う。これによって、書込信号D3は、記録媒体上の所望位置に書き込まれる。 【0036】一方、データの読込を行う場合、マイクロコンピュータ21は、リードチャネル22に対して制御信号S2を送る。さらに、マイクロコンピュータ21は、書込時と同じように、制御信号S3によってモータドライバ24を制御し、モータドライバ24は、制御信号S5によって記録媒体29を回転駆動させるスピンドルモータ25を制御する。また、マイクロコンピュータ21は、制御信号S4によってサーボIC26を制御し、サーボIC26は、アーム28を駆動するサーボモータ27の駆動制御を行う。これによって、アーム28の読込ヘッドである磁気抵抗素子MR1は、記録媒体29上の所望の読込位置に移動される。 【0037】磁気抵抗素子MR1によって読み込まれた読取信号D11は、プリアンプ23によって増幅され、増幅された読取信号D12はリードチャネル22に出力される。リードチャネル22は、制御信号S2のもとに、読取信号D12を読取情報D13としてマイクロコンピュータ21に出力し、マイクロコンピュータ21は、読み取った読取情報D13をパーソナルコンピュータ20側に転送する。 【0038】ここで、リード/ライトIC(R/WIC)によって実現されるプリアンプ23は、図1に示した磁気抵抗素子増幅回路1を有し、磁気抵抗素子MR1の両端電圧を読取信号D11(ベース電流)として取得し、この読取信号D11を増幅出力する。 【0039】プリアンプ23は、図1に示した磁気抵抗素子増幅回路1を用いて磁気抵抗素子MR1の両端電圧を増幅しているが、SW1のオフ状態からオン状態に移行する際、SW2のオンによってベース電流が引き抜かれ、磁気抵抗素子MR1の両端電圧が変動しないようにしているので、増幅出力の安定時間が短くなり、高速読取動作が可能になるとともに、書込時から読込時への移行時間が短縮され、書込/読取動作が繰り返される場合における移行時間が短縮され、効率的な書込/読取動作を行うことができる。 【0040】なお、上述した実施の形態2では、ハードディスクドライブ装置を例にあげて説明したが、これに限らず、磁気抵抗素子MR1を用いるフロッピーディスクドライブ装置などのディスクドライブ装置にも適用できる。 【0041】この実施の形態2によれば、実施の形態1に示した磁気抵抗素子増幅回路1をプリアンプ23として用いているので、書込から読取への移行時間が短縮し、高速読取動作および書込/読取動作の高速化を実現することができる。 【0042】 【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチがオンのとき、第2のスイッチはオフとなって、前記信号の増幅動作のみを行い、前記第1のスイッチがオフのとき、第2のスイッチはオンとなって、前記信号の増幅動作は行われず、ベース電流引抜回路が、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが増幅動作している場合におけるベース電流分を引き抜き、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくし、前記信号の増幅動作を再開する場合に増幅動作の安定時間を短くするようにしているので、高速読取動作を実現することができるという効果を奏する。 【0043】つぎの発明によれば、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのベース電流は常に流れ、ベース電流補正手段の電流源が、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正するようにし、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくすことができるので、高速読取動作を実現することができるという効果を奏する。 【0044】つぎの発明によれば、第3のトランジスタが前記第1のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜き、第4のトランジスタが前記第2のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜くが、この際、第3のトランジスタおよび第4のトランジスタは、第5のトランジスタとカレントミラーを形成し、増幅動作時と同じベース電流を引き抜くようにしているので、簡易な構成で、高速読取動作を実現することができるという効果を奏する。 【0045】つぎの発明によれば、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタによる前記信号の増幅動作をスイッチングする第1のスイッチがオンのとき、第2のスイッチはオフとなって、前記信号の増幅動作のみを行い、前記第1のスイッチがオフのとき、第2のスイッチはオンとなって、前記信号の増幅動作は行われず、ベース電流引抜回路が、前記第1のトランジスタおよび前記第2のトランジスタが増幅動作している場合におけるベース電流分を引き抜き、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくし、前記信号の増幅動作を再開する場合に増幅動作の安定時間を短くするようにしているので、高速読取動作および高速書込/読取動作を実現することができるという効果を奏する。 【0046】つぎの発明によれば、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのベース電流は常に流れ、ベース電流補正手段の電流源が、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのスイッチング動作と独立して前記ベース電流値を補正するようにしているので、磁気抵抗素子の両端の電圧変動をなくすようにしているので、高速読取動作を実現することができるという効果を奏する。 【0047】つぎの発明によれば、第3のトランジスタが前記第1のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜き、第4のトランジスタが前記第2のトランジスタのベースに接続されてベース電流を引き抜くが、この際、第3のトランジスタおよび第4のトランジスタは、第5のトランジスタとカレントミラーを形成し、増幅動作時と同じベース電流を引き抜くようにしているので、簡易な構成で、高速読取動作を実現することができるという効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年8月7日(2000.8.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089118 【弁理士】 【氏名又は名称】酒井 宏明
|
| 【公開番号】 |
特開2002−56504(P2002−56504A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月22日(2002.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2000−239019(P2000−239019) |
|