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【発明の名称】 デジタルデータ符号化方法
【発明者】 【氏名】山本 英尚

【要約】 【課題】高域部分が、時間的に不連続であるような曲でも、聴覚に優れた人に違和感を与えないデジタルデータ符号化方法を提供する。

【解決手段】楽音、音声等のデジタルデータを、複数の周波数帯域に分割した後、スペクトル信号に変換し、各周波数帯域毎にビット割り当てを行って符号化する。聴覚心理特性を反映して、各周波数帯域のパワー又はエネルギーの大きさから各周波数帯域のマスキング閾値対雑音比MNRiを求め(S5)、マスキング閾値対雑音比MNRiの大小に基づいてビット割り当てを行って符号化する(S6、S10、S11)。各周波数帯域のスケールファクタが一定値j以上であるかを判断し(S7)、一定値j以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、マスキング閾値対雑音比MNRiの大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数=2ビットを割り当てる(S8、S9)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】楽音、音声等のデジタルデータを周波数軸上に変換し、複数の周波数帯域に分割した後、スペクトル信号に変換し、さらに、変換されたスペクトル信号を各周波数帯域毎にビット割り当てを行って符号化するに際して、聴覚心理特性を反映して、上記各周波数帯域のパワー又はエネルギーの大きさから各周波数帯域のマスキング閾値対雑音比を求め、そのマスキング閾値対雑音比の大小に基づいてビット割り当てを行って符号化するデジタルデータ符号化方法において、各周波数帯域のスケールファクタが一定値以上であるかを判断し、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、上記マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てることを特徴とするデジタルデータ符号化方法。
【請求項2】一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域について、マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てるに際して、特定帯域は変更可能となっていることを特徴とする請求項1記載のデジタルデータ符号化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミニディスク等の記録媒体に楽音や音声等のデジタルデータを記録するに際して、楽音や音声等に適応して各周波数帯域のスペクトルに対するビット割り当てを行い、データ量を圧縮することができるデジタルデータ符号化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】楽音や音声等のデジタルデータを高能率で圧縮符号化する方法として、例えば、ミニディスク(MD)で用いられているATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding) が挙げられる。
【0003】このATRACでは、デジタルデータは、複数の周波数帯域に分割された後、可変長の単位時間でブロック化されてMDCT(Modified Discrete Cosine Transform)処理が施されることによってスペクトル信号に変換され、さらに、聴覚心理特性を利用して割り当てられたビット数によって各スペクトル信号がそれぞれ符号化される。
【0004】ここで、圧縮符号化に適用することができる聴覚心理特性には、等ラウドネス特性やマスキング効果が挙げられる。等ラウドネス特性は、同じ音圧レベルの音であっても、人間が感じ取る音の大きさが周波数によって変化することを表すものである。したがって、等ラウドネス特性は、人間が感じ取ることができる音の大きさである最小可聴限が、周波数によって変化することを表している。
【0005】一方、マスキング効果には、同時マスキングと経時マスキングとがある。同時マスキングは、複数の周波数成分の音が同時に発生しているときに、或る音が別の音を聴き取り難くさせる現象であり、経時マスキングは、大きな音の時間軸方向の前後では、マスキングを受ける現象である。ただし、最小可聴限やマスキング閾値は、一般的な聴覚特性を備える人の聴覚特性がモデルとされている。したがって、聴取者の聴覚や好みの違いによって違和感を覚える場合がある。
【0006】そこで、本願出願人は、先に、特開平7−202823号公報において、大きいパワーを持つ周波数帯域の近傍の、パワーが大きいにもかかわらず同時マスキングされ、ビットを割り当てられない周波数帯域に少なくとも最低量子化ビット数を割り当てることによって聴覚に優れた人にも違和感を与えない方法を提案している。
【0007】また、本願出願人は、特開平10−207489号公報において、最小可聴限特性、マスキング特性をそれぞれ変更可能にすることによって、聴取者の聴覚に一致した音質を選択することができる方法を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のデジタルデータ符号化方法だけでは、聴取者の聴覚に一致した音質を得ることに充分に対応できていない。
【0009】すなわち、図5に示すように、最小可聴限カーブが急激に立ち上がり始める高域部分では、最小可聴限によってマスキングされる。したがって、マスキングされた高域部分が時間的に不連続であるような曲では、図6に示すように、配分されるビットも時間的に不連続となっている。すなわち、同図は、MDCT処理が施された後において、各周波数毎にビットが配分されている所を時間軸に沿って表したものであり、縦軸に時間の推移をSG(Sound Group)番号として表すとともに、横軸にMDCT係数番号を表している。1SGは、11.6msecに相当する。また、MDCT係数は、0〜22kHzの周波数を512個に分割して示したものである。したがって、MDCT係数番号512が、22.05kHzを示し、MDCT係数番号300〜350付近が周波数13kHz〜15kHzに相当する。そして、同図においては、上記MDCT係数番号300〜350付近にビット配分のバラツキが存在することが分かる。
【0010】このように、最小可聴限によりマスクされた部分にはビットが配分されないため、スペクトルデータがなくなってしまい、音質に問題が生じる。その結果、聴覚に優れた人には違和感として感じられるという問題点を有している。
【0011】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、高域部分が、時間的に不連続であるような曲でも、聴覚に優れた人に違和感を与えないデジタルデータ符号化方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のデジタルデータ符号化方法は、上記課題を解決するために、楽音、音声等のデジタルデータを周波数軸上に変換し、複数の周波数帯域に分割した後、スペクトル信号に変換し、さらに、変換されたスペクトル信号を各周波数帯域毎にビット割り当てを行って符号化するに際して、聴覚心理特性を反映して、上記各周波数帯域のパワー又はエネルギーの大きさから各周波数帯域のマスキング閾値対雑音比を求め、そのマスキング閾値対雑音比の大小に基づいてビット割り当てを行って符号化するデジタルデータ符号化方法において、各周波数帯域のスケールファクタが一定値以上であるかを判断し、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、上記マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てることを特徴としている。
【0013】上記発明によれば、楽音、音声等のデジタルデータを符号化するときには、デジタルデータを周波数軸上に変換し、複数の周波数帯域に分割した後、スペクトル信号に変換し、さらに、変換されたスペクトル信号を各周波数帯域毎にビット割り当てを行って符号化するに際して、聴覚心理特性を反映して、上記各周波数帯域のパワー又はエネルギーの大きさから各周波数帯域のマスキング閾値対雑音比を求め、そのマスキング閾値対雑音比の大小に基づいてビット割り当てを行って符号化する。
【0014】このとき、本発明では、各周波数帯域のスケールファクタが一定値以上であるかを判断し、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、上記マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てる。
【0015】このため、違和感として知覚され易い高域への強制配分をすることによって、聴覚に優れた人が感じる違和感を解消することができる。また、聞こえない超高域への強制配分を可能な限り避けることにより、聴取者に応じた対応ができる。
【0016】したがって、高域部分が、時間的に不連続であるような曲でも、聴覚に優れた人に違和感を与えないデジタルデータ符号化方法を提供することができる。
【0017】また、本発明のデジタルデータ符号化方法は、上記課題を解決するために、上記記載のデジタルデータ符号化方法において、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域について、マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てるに際して、特定帯域は変更可能となっていることを特徴としている。
【0018】このため、特定帯域を変更することができるので、聴取者の聴覚に応じて、マスキング領域における最低量子化ビット数を割り当てる高域領域を自在に設定することができる。
【0019】したがって、上記の作用に加えて、操作性の高いデジタルデータ符号化方法を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】本実施の形態のデジタルデータ符号化方法が適用されるミニディスク(MD)録音再生装置1では、図2に示すように、情報の記録時においては、コンパクトディスク再生装置や衛星放送受信装置等のデジタル音声信号源から入力端子2に例えば光信号にてデジタルデータがシリアル入力される。
【0022】上記光信号は、光電素子3にて電気信号に変換された後、デジタルPLL回路4に入力される。デジタルPLL回路4は、デジタルデータからクロックの抽出を行うとともに、サンプリング周波数及び量子化ビット数に対応したマルチビットデータを再現する。
【0023】このマルチビットデータは、例えば、コンパクトディスク(CD)では44.1kHz、デジタルオーディオテープレコーダでは48kHz、又は衛星放送(Aモード)では32kHz等の各種のサンプリング周波数から、周波数変換回路5にてミニディスクの規格に対応した44.1kHzのマルチビットデータにサンプリングレートが変換された後、音声圧縮回路6に入力される。
【0024】上記音声圧縮回路6は、後述するように、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding) 方式によって入力データの圧縮符号化を行い、その符号化された音声データは、ショックプルーフメモリコントローラ7を介してエンコーダデコーダ信号処理回路8に入力される。ここで、上記ショックプルーフメモリコントローラ7に関連してショックプルーフメモリ9が設けられており、このショックプルーフメモリ9は、音声圧縮回路6から出力される音声データの転送速度とエンコーダデコーダ信号処理回路8に入力される音声データの転送速度との差を吸収するとともに、後述する再生時における振動等の外乱による再生信号の中断を補間し、音声データを保護するために設けられている。
【0025】上記エンコーダデコーダ信号処理回路8は、エンコーダ及びデコーダとしての機能を備えており、エンコーダ機能としては、音声データをシリアルの磁界変調信号にエンコードしてヘッド駆動回路11に与える。
【0026】ヘッド駆動回路11は、記録ヘッド12を光磁気ディスク13上の所定の記録位置に移動させるとともに、磁界変調信号に対応した磁界を発生させる。このとき、光磁気ディスク13の所定の記録位置には、光ピックアップ21からレーザ光が照射されており、これによって、磁界に対応した磁化パターンが光磁気ディスク13上に形成されて行き、情報が記録される。
【0027】一方、情報の再生時においては、光磁気ディスク13からは、磁化パターンに対応したシリアル信号が光ピックアップ21によって読み取られ、その信号は高周波(RF:Radio Frequency)アンプ22にて増幅された後、エンコーダデコーダ信号処理回路8に入力されて音声データにデコードされる。デコードされた音声データは、ショックプルーフメモリコントローラ7及びショックプルーフメモリ9によって外乱による影響が除去された後、音声伸長回路23に入力される。
【0028】音声伸長回路23は、ATRAC方式による圧縮符号化の逆変換処理を行い、フルビットのデジタル音声信号に復調を行う。復調されたデジタル音声信号は、デジタル/アナログ(D/A)変換回路24によってアナログ音声信号に変換された後、出力端子25から出力される。
【0029】ここで、上記高周波(RF)アンプ22にて増幅されたシリアル信号は、また、サーボ回路31に入力されており、このサーボ回路31は、再生されたシリアル信号に応答して、ドライバ回路32を介してスピンモータ33の回転速度をフィードバック制御し、これによって、所望とする線速度での光磁気ディスク13の回転が可能となる。
【0030】また、送りモータ34の回転速度をフィードバック制御することによって、光ピックアップ21における光磁気ディスク13の半径方向に対する変移、すなわちトラッキングを制御することができる一方、光ピックアップ21のフォーカシングをフィードバック制御する。
【0031】上記サーボ回路31、光ピックアップ21、高周波(RF)アンプ22、エンコーダデコーダ信号処理回路8及びドライバ回路32等は、電源ON/OFF回路35によって電力付与される。また、この電源ON/OFF回路35の電源ON/OFF動作や、後述する信号処理動作等が、システムコントロールマイコン36によって集中管理されている。また、このシステムコントロールマイコン36に関連して、曲名入力や選曲操作等を行うとともに後述する音質調整動作が可能な入力操作手段37が設けられている。
【0032】次に、上記構成のミニディスク録音再生装置1における音声圧縮回路6及び音声伸長回路23の内部構成について説明する。
【0033】音声圧縮回路6及び音声伸長回路23は、図3に示すように、ブロック長決定部41、周波数帯域分割部42、ビット配分部50、量子化部43、及びマルチプレクサ44からなる符号化部40と、デマルチプレクサ61、逆量子化部62及び周波数帯域合成部63からなる復号化部60とを備えている。上記符号化部40と復号化部60とは、伝送路70にて接続されている。このうち、符号化部40が音声圧縮回路6に相当し、復号化部60が音声伸長回路23に相当する。
【0034】また、上記のビット配分部50は、パワー計算部51とマスキング閾値計算部52とSMR(信号対マスキング閾値比)計算部53とMNR(マスキング閾値対雑音比)計算部54とビット配分計算部55と強制ビット配分部56とを有している。
【0035】上記構成を有する音声圧縮回路6におけるATRAC方式による入力データの圧縮符号化について説明する。また、ここでは、CDからMDに録音される場合について説明する。
【0036】CDでは、44.1kHz(22.7μsec)毎にサンプリングした音声データである信号電圧瞬時値を16ビットのデータとして記録している。そして、MDではこれを録音するときには1/5に圧縮する。このとき、MDでは、入力信号を512サンプル(22.7μsec×512=約11.6msec)毎に信号を扱う。この固まりを1サウンドフレームという。
【0037】図3に示すように、先ず、512サンプルのデジタル入力信号が、符号化部40の周波数帯域分割部42に入力される。周波数帯域分割部42では、例えばQMF(Quadrature Mirror Filter)という帯域分割フィルタにて例えば3つの周波数帯域、すなわち0〜5.5kHzの低域帯域、5.5〜11kHzの中域帯域及び11〜22kHzの高域帯域に分割する。
【0038】この分割された各帯域毎に所定の時間フレームにわたる音声データがビット配分部50のパワー計算部51にてMDCT(Modified Discrete Cosine Transform)処理される。具体的には、各周波数帯域毎にフーリエ解析し、全周波数軸上が512個のスペクトル信号に変換される。この512個に変換されたスペクトル信号は、前記図6に示すグラフの横軸に示すように、MDCT係数と呼ばれる。したがって、MDCT係数=512が22.05kHzとなる。
【0039】次に、上記の512個に変換されたMDCT係数が、前記図5に示すように、i個の周波数帯域のスペクトルパワーSi(i=1,2,…,I)に、さらに変換される。なお、Iは例えば52ユニットとして扱われる。また、1ユニットのサンプル数は、各ユニット毎に決められている。さらに、各ユニット毎の最大値をスケールファクタ(SF)といい、各ユニット毎に正規化される。
【0040】こうして得られた各スペクトルパワーSiに対応して、図1に示すフローチャートに基づいてビット割り当て処理が行われることになる。このフローチャートを図3を参照しながら説明する。
【0041】すなわち、先ず、MDCT処理によって得られた各周波数帯域に含まれるMDCT係数が入力されると(S1)、このMDCT係数の2乗和からスペクトルパワーSiが計算される(S2)。次に、マスキング閾値計算部52にてマスキング特性、最小可聴限特性等を考慮してマスキング閾値Miが決定される(S3)。
【0042】次いで、各周波数帯域のインデックスをiとするとき、S2にて求められたスペクトルパワーSiと、S3にて求められた各周波数帯域のマスキング閾値Miとの比である信号対マスキング閾値比SMRi=Si/Miが、SMR計算部53にて全ての周波数帯域にわたって計算される(S4)。この信号対マスキング閾値比SMRiは、対数グラフでは各周波数帯域のスペクトルパワーSiのマスキング閾値Miを超えている部分の長さに相当する。
【0043】次に、MNR計算部54にて、先ず、各周波数帯域のスペクトルパワーSiをnビットで量子化したときの、そのスペクトルパワーSiと量子化雑音パワーNi(n)との信号対雑音比SNR(n)=Si/Ni(n)が求められる。この信号対雑音比SNR(n)は、統計的には信号の特性に応じた定数となるので、統計処理によって予め求めておいても良い。そして、さらに、上記の信号対雑音比SNR(n)と信号対マスキング閾値比SMRiとの比から、マスキング閾値と量子化雑音パワーとの比であるマスキング閾値対雑音比MNRi(n)=SNRi(n)/SMRiが求められる(S5)。
【0044】次いで、ビット配分計算部55にて、ビット数nを順に大きくして行き、その都度、各周波数帯域のマスキング閾値と量子化雑音パワーとの比であるマスキング閾値対雑音比MNRi(n)を計算し、そのマスキング閾値対雑音比MNRi(n)が最小となる周波数帯域から順にビットを割り当てて行き、量子化ビット数nを更新する毎に、同様にして、マスキング閾値対雑音比MNRi(n)が最小となる周波数帯域にビットの割り当てを行い、所定の割り当てビット数となるまで割り当てを行うことにより、各周波数帯域の量子化ビット数を割り当てる(S6)。
【0045】その後、高域の周波数帯域においてスケールファクタが或る一定値j以上であってかつビット配分が0ビットとなるか否かを判断し(S7)、スケールファクタが或る一定値j以上であってかつビット配分が0ビットとなるときには、強制ビット配分部56にて最低配分ビット数である例えば2ビットを強制的に配分し(S8)、最低量子化ビット数を割り当てる(S9)。このとき、前記システムコントロールマイコン36のレジスタ36aによって変数kを切り換えることによって、この強制配分域を切り替えることができ、また同様に、スケールファクタの値を判断する変数jも切り替えることができる。この変数j・kは、前記入力操作手段37を介して聴取者によって設定可能である。本実施の形態においては、上記のスケールファクタの閾値jは、例えば−84dBを採用する。
【0046】そして、上記S9において最低量子化ビット数が割り当てられた後、新しくマスキング閾値対雑音比MNRi(n)を計算し、そのマスキング閾値対雑音比MNRi(n)に基づいてビット割り当て調整を行い(S10)、全体のビット数を一定に保つ。すなわち、高域にビットを配分した分、他の部分からビットを減らし、全体のビット数を調整する。これによって、各周波数帯域の語長(WL:Word Length)が決定されて出力される(S11)。一方、上記S6において各周波数帯域の量子化ビット数を割り当てを行った後、スケールファクタが或る一定値j以上であってかつビット配分が0ビットとなるとき以外には、直接S10に移行して新しくマスキング閾値対雑音比MNRi(n)を計算し、そのマスキング閾値対雑音比MNRi(n)に基づいてビット割り当て調整を行った後、S11にて各周波数帯域の語長(WL:Word Length)が決定されて出力される。
【0047】すなわち、スペクトルパワーSiの絶対値が、マスキング閾値Miを超えた部分の長さが最も長い周波数帯域から、順次ビット割り当てが行われることになる。なお、上記のビットの配分において、CDでは1サンプルのデータは16ビットであるので、1サウンドフレーム当たり512個×16ビット=8192ビットあったが、MDでは1/5に圧縮するため1サウンドフレーム当たり1696ビットと決められている。このため、MDでは、効率の良いビット配分が行われ、余り聞こえないところはビット配分量が少なくなる。
【0048】また、図4に示すように、ビット配分計算部55におけるビット配分量は0〜16ビット(bit)の間である。ただし、1ビットは符号のために必要であるので、0ビットの次は2ビットとなる。因みに、CDでは、16ビットで表現された音が数ビットで表現されるため、その差がノイズとなる。
【0049】これにより、聴覚に優れた入が感じる違和感の解消に対応しつつも、聴取者の聴覚に一致した音質を得ることができる。また、観点を変えれば、これにより、違和感として知覚されやすい高域への強制配分を実現しつつも、聞こえない超高域への強制配分を可能な限り避けることができる。
【0050】次に、このビット配分計算部55にて求められた量子化ビット数は、量子化部43に送られる。
【0051】量子化部43ではこの情報を基に周波数帯域信号を量子化し、符号化する。そして、このようにして得られた各周波数帯域の符号とビット配分情報及びブロック長等の補助信号(上記符号を復号化部60にて復号化するのに必要な情報であって、量子化及び符号化の方式による)は、マルチプレクサ44にて多重化されて、符号化として伝送路70に送られる。
【0052】なお、音声伸長回路23では、復号化部60のデマルチプレクサ61は、伝送路70からの符号列を取り込み、各周波数帯域信号の符号とビット配分情報、ブロック情報等の補助情報に分解する。そして、その補助情報を使って、各周波数帯域信号の符号を復号化し、逆量子化部62にてビット配分情報等の補助情報に基づき逆量子化して周波数帯域信号に復元する。この信号は、周波数帯域合成部63にて合成され、これにより、デジタル出力信号が得られる。
【0053】このように、本実施の形態のデジタルデータ符号化方法では、楽音、音声等のデジタルデータを符号化するときには、デジタルデータを周波数軸上に変換し、複数の周波数帯域に分割した後、スペクトル信号に変換し、さらに、変換されたスペクトル信号を各周波数帯域毎にビット割り当てを行って符号化するに際して、聴覚心理特性を反映して、上記各周波数帯域のパワー又はエネルギーの大きさから各周波数帯域のマスキング閾値対雑音比MNRi(n)を求め、そのマスキング閾値対雑音比MNRi(n)の大小に基づいてビット割り当てを行って符号化する。
【0054】このとき、本実施の形態では、各周波数帯域のスケールファクタが一定値j以上であるかを判断し、一定値j以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、上記マスキング閾値対雑音比MNRi(n)の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数=2ビットを割り当てる。
【0055】このため、違和感として知覚され易い高域への強制配分をすることによって、聴覚に優れた人が感じる違和感を解消することができる。また、聞こえない超高域への強制配分を可能な限り避けることにより、聴取者に応じた対応ができる。
【0056】したがって、高域部分が、時間的に不連続であるような曲でも、聴覚に優れた人に違和感を与えないデジタルデータ符号化方法を提供することができる。
【0057】また、本実施の形態のデジタルデータ符号化方法は、一定値以上のスケールファクタjを持つ周波数帯域について、マスキング閾値対雑音比MNRi(n)の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数=2ビットを割り当てるに際して、特定帯域は変更可能となっている。
【0058】このため、特定帯域を変更することができるので、聴取者の聴覚に応じて、マスキング領域における最低量子化ビット数を割り当てる高域領域を自在に設定することができる。
【0059】したがって、上記の作用効果に加えて、操作性の高いデジタルデータ符号化方法を提供することができる。
【0060】
【発明の効果】本発明のデジタルデータ符号化方法は、以上のように、各周波数帯域のスケールファクタが一定値以上であるかを判断し、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域を特定帯域とし、この特定帯域には、上記マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てる方法である。
【0061】それゆえ、違和感として知覚され易い高域への強制配分をすることによって、聴覚に優れた人が感じる違和感を解消することができる。また、聞こえない超高域への強制配分を可能な限り避けることにより、聴取者に応じた対応ができる。
【0062】したがって、高域部分が、時間的に不連続であるような曲でも、聴覚に優れた人に違和感を与えないデジタルデータ符号化方法を提供することができるという効果を奏する。
【0063】また、本発明のデジタルデータ符号化方法は、以上のように、上記記載のデジタルデータ符号化方法において、一定値以上のスケールファクタを持つ周波数帯域について、マスキング閾値対雑音比の大小にかかわらず少なくとも最低量子化ビット数を割り当てるに際して、特定帯域は変更可能となっている方法である。
【0064】それゆえ、特定帯域を変更することができるので、聴取者の聴覚に応じて、マスキング領域における最低量子化ビット数を割り当てる高域領域を自在に設定することができる。
【0065】したがって、上記の効果に加えて、操作性の高いデジタルデータ符号化方法を提供することができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【代理人】 【識別番号】100080034
【弁理士】
【氏名又は名称】原 謙三
【公開番号】 特開2002−91500(P2002−91500A)
【公開日】 平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願番号】 特願2000−284286(P2000−284286)