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【発明の名称】 有機エレクトロルミネッセンス装置
【発明者】 【氏名】中 村 和 夫

【要約】 【課題】外光の明るさに応じて画面の明るさを自動調整可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。

【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス装置は、画素アレイ部1と、走査信号供給回路2と、映像信号供給回路3と、信号線駆動アンプ4と、外光センサ5と、A/D変換器6と、ゲイン/陰極電圧制御部8と、ゲイン制御電圧発生回路9と、陰極制御電圧発生回路10と、陰極駆動アンプ11とを備えている。外光の明るさに応じて、有機EL発光部7の陰極電圧と信号線駆動アンプ4のゲインを自動調整するため、外光の明るさが変化しても、画面を常に最適な輝度に設定できる。また、人間が手動で輝度調整を行わなくて済むため、調整の手間が省けるとともに、調整用のボタンやソフトウェアが不要になり、コストダウンが図れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】信号電圧を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力電圧に応じた電圧と陰極電圧との電位差に応じた発光を行う有機EL発光部と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、外光の明るさを検知する外光強度検知手段と、前記検知された外光の明るさに応じて、前記有機EL発光部の陰極電圧を制御する陰極電圧制御手段と、前記検知された外光の明るさに応じて、前記増幅器のゲイン調整を行うゲイン調整手段と、を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】前記陰極電圧制御手段は、外光が明るいほど、前記陰極電圧を高くすることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】前記陰極電圧制御手段は、前記陰極電圧を、前記外光強度検知手段で検知された外光の明るさを所定の基準輝度で割った値の対数値に前記陰極の所定の基準電圧を乗じた値に比例させることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】前記ゲイン調整手段は、外光が明るいほど、前記増幅器のゲインを大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】前記ゲイン調整手段は、前記増幅器のゲインを、前記外光強度検知手段で検知された外光の明るさを所定の基準輝度で割った値の対数値に所定の基準ゲイン値を乗じた値に比例させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】外光の明るさと前記有機EL発光部の陰極電圧との対応関係を格納した第1のテーブルと、外光の明るさと前記増幅器のゲインとの対応関係を格納した第2のテーブルと、を備え、前記陰極電圧制御手段は、前記第1のテーブルに基づいて前記有機EL発光部の陰極電圧を制御し、前記ゲイン調整手段は、前記第2のテーブルに基づいて前記増幅器のゲイン調整を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】前記陰極電圧制御手段および前記ゲイン調整手段は、一水平走査期間終了後の帰線期間と一垂直走査期間終了後の帰線期間との少なくとも一方に、それぞれ前記陰極への印加電圧の調整および前記増幅器のゲイン調整を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画面の明るさを調整できる有機EL(electroluminescence)装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機蛍光物質に電界をかけると発光する現象を利用した有機EL装置の研究開発が盛んに行われている。有機EL装置は、発光に必要な電圧が10V以下と低いため、液晶表示装置よりも消費電力を低減できる。また、自発光型なので、バックライトが必要なく、軽量化および薄型化が可能である。さらに、応答時間が数μ秒と短いため残像が少なく、また視野角も170度以上と広いという特徴がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提案されている有機EL装置は、外光をある基準の明るさに想定して、その明るさに合うように、有機EL発光部の陰極電圧と信号線駆動用の駆動アンプのゲインを設定していた。このため、戸外のように明るいところでは画面が暗く表示され、屋内や夜間のように暗いところでは画面が明るすぎるという問題があった。
【0004】本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外光の明るさに応じて画面の明るさを自動調整可能な有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明は、信号電圧を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力電圧に応じた電圧と陰極電圧との電位差に応じた発光を行う有機EL発光部と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、外光の明るさを検知する外光強度検知手段と、前記検知された外光の明るさに応じて、前記有機EL発光部の陰極電圧を制御する陰極電圧制御手段と、前記検知された外光の明るさに応じて、前記増幅器のゲイン調整を行うゲイン調整手段と、を備える。
【0006】本発明では、外光の明るさに応じて、有機EL発光部の陰極電圧を制御するとともに、増幅器のゲイン調整を行うため、外光の明るさが変化しても、画面を常に最適な明るさに設定できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0008】図1は本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。図1の装置は、信号線および走査線が列設された画素アレイ部1と、走査線を駆動する走査信号供給回路2と、映像信号を供給する映像信号供給回路3と、映像信号供給回路3の出力を増幅した電圧を各信号線に供給する信号線駆動アンプ4と、外光の明るさを検知する外光センサ(外光強度検知手段)5と、外光センサ5の検知出力をデジタル信号に変換するA/D変換器6と、A/D変換器6の出力に基づいて信号線駆動アンプ4のゲイン調整信号と画素アレイ部11内の有機EL発光部7の陰極電圧制御信号とを出力するゲイン/陰極電圧制御部(陰極電圧制御手段、ゲイン調整手段)8と、ゲイン調整信号に基づいて信号線駆動アンプ4のゲイン調整用の電圧を発生するゲイン制御電圧発生回路9と、陰極電圧制御信号に基づいて有機EL発光部7の陰極制御電圧を発生する陰極制御電圧発生回路10と、陰極制御電圧を増幅して有機EL発光部7の陰極に印加する陰極駆動アンプ11とを備えている。
【0009】画素アレイ部1内の信号線と走査線の交点付近にはスイッチングTFT12が形成され、このスイッチングTFT12のドレイン端子は信号線に接続され、ゲート端子は走査線に接続され、ソース端子は駆動TFT13のゲート端子に接続されている。この駆動TFT13のソース端子は有機EL発光部7の陽極に接続されている。
【0010】有機EL発光部7は、陽極と陰極との電位差VELに応じて自発光する。発光のメカニズムを簡単に説明すると、陽極と陰極との間に電圧を印加すると、陽極からの正孔と陰極からの電子が有機EL発光層にそれぞれ注入され、有機EL発光層内で正孔電子対である励起子が形成される。そして、この励起子の影響で有機EL発光部7が発光する。
【0011】次に、図1の有機エレクトロルミネッセンス装置の動作を説明する。外光センサ5で検知された外光の明るさは、A/D変換器6でデジタル信号に変換されてゲイン/陰極電圧制御部8に入力される。ゲイン/陰極電圧制御部8は、外光の明るさに応じて、信号線駆動アンプ4のゲイン調整信号を出力するとともに、陰極制御電圧を出力する。
【0012】ゲイン/陰極電圧制御部8は、外光の明るさと有機EL発光部7の陰極電圧との対応関係を記憶する第1のテーブル21と、外光の明るさと信号線駆動アンプ4のゲインとの対応関係を記憶する第2のテーブル22とを有する。ゲイン/陰極電圧制御部8は、外光センサ5で検知された明るさに対応する陰極電圧を第1のテーブル21から検索し、同明るさに対応するゲインを第2のテーブル22から検索する。
【0013】第1のテーブル21には、(1)式に基づいて計算した値が格納されている。
【0014】
ゲイン=基準ゲイン×log(外光の明るさ/基準輝度)×定数 …(1)
また、第2のテーブル22には、(2)式に基づいて計算した値が格納されている。
【0015】
陰極電圧=基準陰極電圧×log(外光の明るさ/基準輝度)×定数 …(2)
図2はゲイン/陰極電圧制御部8の動作を説明する図である。図2(a)および図2(b)の曲線は、有機EL発光部7の特性を示しており、横軸は有機EL発光部7の両端電圧VEL、縦軸は有機EL発光部7に流れる電流IELと有機EL発光部7の発光輝度YELを示している。
【0016】ゲイン/陰極電圧制御部8は、外光が暗くなると、図2(a)に示すように、信号線駆動アンプ4のゲインを小さくするとともに、有機EL発光部7の陰極電圧を低くする。図2(a)は外光照度が300lx程度の室内での特性を示している。この場合、信号線駆動アンプ4のゲインは1.0倍、陰極電圧は1.3V程度に設定される。
【0017】一方、外光が明るくなると、図2(b)に示すように、信号線駆動アンプ4のゲインを大きくするとともに、有機EL発光部7の陰極電圧を高くする。図2(b)は外光照度が10000lx程度の晴天時屋外での特性を示している。この場合、信号線駆動アンプ4のゲインは1.6倍、陰極電圧は2.0V程度に設定される。
【0018】このように、ゲイン/陰極電圧制御部8は、外光が明るいほど、有機EL発光部7の両端に印加される電圧の変化量を大きくする。これにより、画面の輝度変化が大きくなり、外光が明るくても、画面が見やすくなる。逆に、外光が暗いほど、有機EL発光部7の両端に印加される電圧の変化量を小さくするため、画面の輝度変化が小さくなり、画面が明るすぎなくなって人間の目が疲れなくなる。
【0019】ゲイン/陰極電圧制御部8から出力されたゲイン制御信号は、ゲイン制御電圧発生回路9に入力され、ゲイン制御電圧が生成される。このゲイン制御電圧に基づいて信号線駆動アンプ4のゲインが調整される。また、ゲイン/陰極電圧制御部8から出力された陰極制御信号は、陰極制御電圧発生回路10に入力され、陰極制御電圧が生成される。この陰極制御電圧は陰極駆動アンプ11でゲイン調整されて有機EL発光部7の陰極に印加される。
【0020】図3は有機EL発光部7の陰極電圧制御と信号線駆動アンプ4のゲイン調整を行うタイミングを説明する図である。図示のように、陰極電圧制御とゲイン調整は、一画面の表示期間が終了した後の垂直ブランキング期間中に行われる。具体的には、垂直ブランキング期間中の図3の■の期間に外光センサ5による外光の明るさの取り込みとゲイン/陰極電圧制御部8での処理が行われ、その後の■の期間に信号線駆動アンプ4のゲイン調整が行われ、その後の■の期間に有機EL発光部7の陰極電圧の調整が行われる。
【0021】なお、■と■の処理順序を互いに逆にしてもよい。
【0022】図4は本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置10の外観図である。図示のように、筐体の上面に外光センサ5が設けられている。なお、外光センサ5の設置場所は特に問わない。
【0023】このように、本実施形態では、外光の明るさに応じて、有機EL発光部7の陰極電圧と信号線駆動アンプ4のゲインを自動調整するため、外光の明るさが変化しても、画面を常に最適な輝度に設定できる。また、人間が手動で輝度調整を行わなくて済むため、調整の手間が省けるとともに、調整用のボタンやソフトウェアが不要になり、コストダウンが図れる。さらに、外光の明るさと陰極電圧との対応関係を第1のテーブル21に登録し、外光の明るさとゲインとの対応関係を第2のテーブル22に登録しておくため、陰極電圧制御とゲイン調整を行うたびに演算処理を行わなくて済み、きわめて高速に陰極電圧とゲインを設定できる。したがって、外光の明るさの変化に応じて、ほぼリアルタイムに画面の輝度を変更できる。
【0024】上述した実施形態では、第1および第2のテーブル22を用いて陰極電圧の設定とゲイン調整を行う例を説明したが、これらテーブルを用いずに、上述した(1)式および(2)式に基づいて演算を行って陰極電圧の設定とゲイン調整を行ってもよい。
【0025】本発明は、単純マトリクス型の有機EL装置とアクティブマトリクス型の有機EL装置の双方に適用可能である。
【0026】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、外光の明るさに応じて、有機EL発光部の陰極電圧を制御するとともに、増幅器のゲイン調整を行うため、外光の明るさが変化しても、画面の明るさを常に最適な状態に設定できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次 (外4名)
【公開番号】 特開2002−297096(P2002−297096A)
【公開日】 平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願番号】 特願2001−98816(P2001−98816)