| 【発明の名称】 |
流体運動解析装置、流体運動解析方法及び記録媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】平野 芳邦
【氏名】村上 由紀夫
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| 【要約】 |
【課題】特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合であっても、流体運動の解析を安定かつ簡易に行うことができる流体運動解析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】流体運動解析装置1に非定常移流拡散方程式に含まれる移流項を積分して計算する積分データ計算部151を設ける。また、非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項を示す非移流項を有限差分法を用いて計算する非移流項データ計算部16を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析装置において、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算部と、上記積分データ計算部で計算した積分データを記憶する積分データ記憶部と、上記積分データ記憶部に記憶されている積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算部とを備えることを特徴とする流体運動解析装置。 【請求項2】 上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする請求項1に記載の流体運動解析装置。 【請求項3】 上記流体運動解析装置は、さらに上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算部と、上記非移流項データ計算部で計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶部とを備え、上記離散化データ計算部は、上記積分データと上記非移流項データ記憶部に記憶されている非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする請求項2に記載の流体運動解析装置。 【請求項4】 流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析方法において、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算ステップと、上記積分データ計算ステップで計算した積分データを記憶する積分データ記憶ステップと、上記積分データ記憶ステップにより記憶した積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算ステップとを備えることを特徴とする流体運動解析方法。 【請求項5】 上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする請求項4に記載の流体運動解析方法。 【請求項6】 上記流体運動解析方法は、さらに上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算ステップと、上記非移流項データ計算ステップで計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶ステップとを備え、上記離散化データ計算ステップは、上記積分データと上記非移流項データ記憶ステップにより記憶した非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする請求項5に記載の流体運動解析方法。 【請求項7】 流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析装置となるコンピュータに、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算処理と、上記積分データ計算処理で計算した積分データを記憶する積分データ記憶処理と、上記積分データ記憶処理により記憶した積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算処理とを実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項8】 上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項9】 上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、さらに上記流体運動解析装置となるコンピュータに、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算処理と、上記非移流項データ計算処理で計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶処理とを実行させるためのプログラムを記憶し、上記離散化データ計算処理は、上記積分データと上記非移流項データ記憶処理により記憶した非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析装置に関し、特に特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合、解析を安定かつ簡易に行うことができる流体運動解析装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、表示セルと呼ばれる放電管を多数マトリクス状に並べ、個々の表示セルの明るさを制御して画像を表示するプラズマディスプレイパネルを用いた表示装置がある。 【0003】図1に、PDP(Plasma Display Panel)の表示セル101の外観を示し、図2に表示セル101の断面図を示す。図1に示すように、表示セル101は円柱状の形状をしており、内部には表示セル101に電圧を印加すると荷電粒子を生成する弱電離気体が含まれている。 【0004】図2において、表示セル101には、電極であるアノード102、カソード103を備えており、内部には弱電離気体が含まれている。 【0005】荷電粒子は、アノード102、カソード103間に電圧を印加すると、電圧印加によって生じた電界内を移動する。この荷電粒子の移動を、図2に示すZ方向の速度成分vZ、円筒の半径方向を示すr方向の速度成分vrを持つ流体として取り扱うことができる場合、表示セル101内のサンプル点V0における荷電粒子の密度nの時間変化量(時間微分)は、例えば電気学会技術報告第688号(1998年)P27、P28に記載されているように、数式(1)の非定常移流拡散方程式によって記述される。すなわち、サンプル点V0における荷電粒子の密度nの時間変化量(時間微分)は、数式1の右辺の三つの項で表される。 【0006】 【数1】
ここで、速度ベクトルvは、z方向にvzとr方向にvrを成分とする速度ベクトルを示している。また、流体成分である荷電粒子の拡散定数をDとしてある。 【0007】数式(1)の右辺第一項は、アノード102、カソード103間に印加された電圧によって荷電粒子が移動する移流項を示している。第一項のn・(速度ベクトルv)は、流束(フラックス)を示しており、移流項は、流束の空間微分で表されることを示している。 【0008】数式(1)の右辺第二項は、荷電粒子の拡散を示す拡散項を示している。表示セル101内において、荷電粒子の密度は一様ではなく場所によって異なっている。このように、場所によって荷電粒子の密度が異なる場合、表示セル101内全体で一様な密度になるように荷電粒子が移動する。すなわち、荷電粒子の密度の高い領域から荷電粒子の密度の低い領域へ荷電粒子が移動する。この現象を示したものが拡散項である。 【0009】数式(1)の右辺第三項は、荷電粒子の生成・消滅を示す項である。 【0010】次に、数式(1)は、微分方程式であり時間について連続であるが、数式(1)をコンピュータによって解析する場合、時間について離散化する必要がある。例えば、名取亮編「数値計算法」(1998年)オーム社発行p117、p118に記載されている常微分方程式の解法と同様に時刻を表す変数tを離散化してt1、t2、t3・・・ti−1、tiとし、ti−1とtiとの時間間隔をΔtとする。 【0011】すると、時刻tiにおける流体成分である荷電粒子の密度n(ti)は、数式(1)をti−1とtiと間で積分した数式(2)によって近似することができる。なお、荷電粒子の密度niは、時刻tの関数であるとともに場所の関数でもあるが、数式(2)には明示的に場所の変数は示していない。 【0012】 【数2】
数式(2)の近似においては、時刻ti−1と時刻tiの間における(∂n/∂t)は、ti−1における値で一定であるとした。 【0013】なお、ti−1における(∂n/∂t)は、数式(1)を離散化して演算する。具体的に、図3に示すようにサンプル点V0における(∂n/∂t)を演算する場合、隣接するサンプル点V1〜V8における荷電粒子(流体成分)の密度を用いて演算する。 【0014】ここで、荷電粒子の密度nの時間発展を長時間に渡って解析する場合、数式(1)を評価する回数が多くなる。このため、数式(1)の離散化には、簡単で高速な有限差分法が使用される。しかし、特に流体成分(荷電粒子)の速度の大きさが大きい場合、コンピュータの演算精度による誤差や微分を差分に置き換えたことによる誤差などによって、解が時間的・空間的に振動して演算の続行が困難になる状態(解析不安定性)を示す。特に、数式(1)に示した非定常移流拡散方程式に含まれる移流項が解析不安定性を示す。 【0015】従来、上述した解析不安定性を回避する方法として、移流項の離散化を次式の数式(3)の1次精度風上差分法によって行うことが提案されている。 【0016】 【数3】
ここで、nj、vzj、vrjは、それぞれ図3中のサンプル点Vj(jは、整数)における流体成分(荷電粒子)の密度、速度のz方向成分、速度のr方向成分を表している。また、δpとδmは、それぞれ、図3における線分V8V0とV0V4の長さを表している。 【0017】また、上述した風上差分法には、打ち切り誤差を少なくするように改良された、例えば数式(4)に示す3次精度風上差分法がある。 【0018】 【数4】
ここで、nj、vzj、vrjは、それぞれ図3中のサンプル点Vj(jは整数)における流体成分(荷電粒子)の密度、速度のz方向成分、速度のr方向成分を表している。また、Δは、δpとδmとを等しいとしたものである。 【0019】さらに、解析不安定性に対処する方法としては、上述した風上差分法の他に数式(1)を所定の領域で積分した数式(5)を使用する有限体積法がある。この有限体積法は、流体成分(荷電粒子)の密度をサンプル点の近傍の平均値として取り扱うため、安定性は向上する。 【0020】 【数5】
VΩは、図3に示す領域Ωの体積を表し、SΩは、領域Ωの境界部の面積を表している。なお、VΩは、中心軸(z軸)のまわりを一回転させた体積(2πRgdSΩ;Rgは、領域Ωの重心)に等しい。 【0021】ここで、数式(5)に示した有限体積法における生成項(Gを含む項)の一例として、例えば図3に示した領域Ωlu(中心軸(z軸)のまわりを一回転させた体積(2πRgdSΩlu;Rgは、領域Ωluの重心)を有する。)における生成項は、数式(6)によって表される。したがって、その体積積分は、数式(7)のようになる。 【0022】 【数6】
【0023】 【数7】
r0は、サンプル点V0のr方向の座標を表しておりz0は、z方向の座標を表している。また、λmは、図3における線分V0V2の長さを表している。なお、Gjは、サンプル点Vj(jは整数)における生成項を示している。 【0024】 【発明が解決しようとする課題】しかし、流体成分(荷電粒子)の速度の空間変動が大きい場合、言い換えれば荷電粒子の速度の空間微分が激しく変化する場合、上述した風上差分法では充分な安定性が確保することができず、流体運動の解析が困難になるという問題点があった。 【0025】一方、有限体積法を使用する場合、上記したように生成項の体積積分は、数式(7)のようになり、演算に必要なサンプル点の数は有限差分法より多くなるという問題点があった。つまり、流体成分が多種存在する場合について、各流体成分の特徴を把握するためにサンプル点数を多く設定するため計算量が非常に大きくなるという問題点があった。 【0026】本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合であっても、流体運動の解析を安定して解析することができるとともに計算量を低減することができる流体運動解析装置を提供することにある。 【0027】 【課題を解決するための手段】上記目的を達するため、本発明に係る流体運動解析装置は、流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析装置において、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算部と、上記積分データ計算部で計算した積分データを記憶する積分データ記憶部と、上記積分データ記憶部に記憶されている積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算部とを備えることを特徴とする。 【0028】このように構成することにより、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合、解析を安定に行うことができる。また、非定常移流拡散方程式に含まれるすべての項について積分する訳ではないので、解析を行う際の計算量を低減することができる。 【0029】また、上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする。 【0030】流体成分の速度の空間変動が大きい場合に解析不安定性を示す移流項を積分することにより、流体運動の解析を安定して行うことができる。 【0031】また、上記流体運動解析装置は、さらに上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算部と、上記非移流項データ計算部で計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶部とを備え、上記離散化データ計算部は、上記積分データと上記非移流項データ記憶部に記憶されている非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする。 【0032】このように移流項以外の非移流項の計算には、有限差分法を用いて行うため、非移流項の計算量は低減され、簡易に流体運動の解析を行うことができる。 【0033】また、本発明に係る流体運動解析方法は、流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析方法において、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算ステップと、上記積分データ計算ステップで計算した積分データを記憶する積分データ記憶ステップと、上記積分データ記憶ステップにより記憶した積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算ステップとを備えることを特徴とする。 【0034】このように構成することにより、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合、解析を安定に行うことができる。また、非定常移流拡散方程式に含まれるすべての項について積分する訳ではないので、解析を行う際の計算量の低減を図ることができる。 【0035】また、上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする。 【0036】流体成分の速度の空間変動が大きい場合に解析不安定性を示す移流項を積分することにより、流体運動の解析を安定して行うことができる。 【0037】また、上記流体運動解析方法は、さらに上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算ステップと、上記非移流項データ計算ステップで計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶ステップとを備え、上記離散化データ計算ステップは、上記積分データと上記非移流項データ記憶ステップにより記憶した非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする。 【0038】このように移流項以外の非移流項の計算には、有限差分法を用いて行うため、非移流項の計算量は低減され、簡易に流体運動の解析を行うことができる。 【0039】また、本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、流体成分の密度の時間変化を記述する非定常移流拡散方程式に基づいて流体運動を解析する流体運動解析装置となるコンピュータに、上記非定常移流拡散方程式に含まれる一部の項であって、解析を困難とする解析不安定性を示す解析不安定性項を積分したものに基づいて積分データを計算する積分データ計算処理と、上記積分データ計算処理で計算した積分データを記憶する積分データ記憶処理と、上記積分データ記憶処理により記憶した積分データに基づいて、上記流体成分の密度の時間変化を離散化した離散化データを計算する離散化データ計算処理とを実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。 【0040】このように構成することにより、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合、解析を安定に行うことができる。また、非定常移流拡散方程式に含まれるすべての項について積分する訳ではないので、解析を行う際の計算量を低減することができる。 【0041】また、上記解析不安定性項は、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項であることを特徴とする。 【0042】流体成分の速度の空間変動が大きい場合に解析不安定性を示す移流項を積分することにより、流体運動の解析を安定して行うことができる。 【0043】また、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、さらに上記流体運動解析装置となるコンピュータに、上記非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の項である非移流項に有限差分法を使用して非移流項データを計算する非移流項データ計算処理と、上記非移流項データ計算処理で計算した非移流項データを記憶する非移流項データ記憶処理とを実行させるためのプログラムを記憶し、上記離散化データ計算処理は、上記積分データと上記非移流項データ記憶処理により記憶した非移流項データに基づいて、上記離散化データを計算することを特徴とする。 【0044】このように移流項以外の非移流項の計算には、有限差分法を用いて行うため、非移流項の計算量は低減され、簡易に流体運動の解析を行うことができる。 【0045】 【発明の実施の形態】次に、本発明に係る流体運動解析装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず、実施の形態における流体運動解析装置において使用される解析方法の原理について簡単に説明する。 【0046】流体成分(荷電粒子)の速度の空間変動が大きい場合や速度が大きい場合、数式(1)に示す非定常移流拡散方程式に含まれる移流項が解析不安定性を示すことを考慮して、移流項を安定して解析するため、有限体積法と同様に積分形にして演算する。また、非定常移流拡散方程式に含まれる移流項以外の拡散項、生成項、消滅項等は、演算量を削減するために有限差分法を使用する。 【0047】すなわち、実施の形態における流体運動解析装置は、非定常移流拡散方程式に基づいて流体成分の時間発展を解析するにあたって、数式(8)に示すように移流項に対応する部分と数式(9)に示すように、移流項以外の項(非移流項という。)に分割して演算するものである。 【0048】具体的には、移流項の演算は、有限体積法を使用し、非移流項の演算には、有限差分法を使用する。 【0049】 【数8】
【0050】 【数9】
ただし、数式(8)、数式(9)におけるn*は、演算上の補助変数であり、物理的意味はない。すなわち、数式(8)と数式(9)とを加えた場合、左辺のn*は、打ち消され、離散化された密度の時間変化(n(ti)−n(ti−1))/Δtとなる。 【0051】ここで、有限差分法は、サンプル点での値を使用して演算するのに対し、有限体積法は、サンプル点を含む所定の領域内の平均値を使用する。したがって、厳密には、対象とする流体成分の密度nの意味が一般には一致しないが、(a)所定の領域の体積がほぼ0となる程微小であり、(b)所定の領域内において密度nが一定のいずれか一方の条件を満たしていれば、数式(10)が成立する。 【0052】 【数10】
すなわち、∇・(nv)を積分内に入れることができる。したがって、流体成分の密度nがほぼ一定とみなせる程度に領域Ωの大きさを取れば、数式(8)は、数式(11)に示す体積積分と面積積分の変換式であるガウスの定理を使用して数式(12)のようになる。 【0053】 【数11】
ここで、fは、ベクトル量である。 【0054】 【数12】
このようにして、解析不安定性を示す移流項を所定領域で積分し、安定した流体運動の解析をすることができる。 【0055】次に、実施の形態における流体運動解析装置の構成について説明する。なお、実施の形態における流体運動解析装置が、図1、図2に示したPDPに使用される軸対象の表示セル101内の荷電粒子を流体成分とする流体の運動を解析する場合について説明する。 【0056】図4は、流体運動解析装置の機能構成を示した図である。図4において、流体運動解析装置1は、初期設定部11、サンプル点データ生成部12、電界データ計算部13、パラメータ計算部14、移流項データ計算部15、非移流項データ計算部16、離散化データ計算部17、密度データ計算部18、整合性判断部19、データ記憶部20より構成されている。 【0057】初期設定部11は、流体運動を解析するための初期条件を設定できるように構成されている。例えば、初期設定部11は、表示セル101の円筒半径や長さ、アノード102、カソード103の電極の大きさや配置する座標、内部のガス組成などの条件を入力し設定できるように構成されている。 【0058】次に、サンプル点データ生成部12は、表示セル101の内部空間に図2や図3に示すように座標を設定し、座標の各点(サンプル点)の位置に対応するサンプル点データを生成するように構成されている。例えば、サンプル点V0におけるサンプル点データは、Z軸方向の座標を示すz0、r方向の座標を示すr0などより構成される。 【0059】なお、以下、計算領域における流体成分(荷電粒子など)の密度は、上述したサンプル点における密度として扱うこととし、この密度の時間変化は、数式(1)の非定常移流拡散方程式によって解析される。 【0060】電界データ計算部13は、各サンプル点において、電界を示す電界データを計算するように構成されている。弱電離気体中の荷電粒子を扱う場合、数式(1)に示した非定常移流拡散方程式中に現れる速度は、表示セル101内の圧力に依存せず、ほとんど、表示セル101内の電界によってのみ決定される。したがって、非定常移流拡散方程式中に現れる速度を示す速度データを計算するためには、まず電界を示す電界データを計算する必要がある。このため、電界データ計算部13が設けられている。電界データを計算するにあたっては、アノード102、カソード103の電極における電位を境界条件として与え、各サンプル点における電位を示す電位データと電界を示す電界データを求める。 【0061】次に、パラメータ計算部14は、上述した電界データ計算部13で計算した各サンプル点における電界データを使用して、流体成分の速度を示す速度データなどを計算できるように構成されている。すなわち、数式(1)に示した非定常移流拡散方程式において、流体成分の密度以外の変数(パラメータ)に対応するデータを計算するように構成されている。 【0062】移流項データ計算部15は、非定常移流拡散方程式中に含まれる移流項に対応した移流項データを計算するように構成されており、積分データ計算部151より構成されている。 【0063】積分データ計算部151は、解析不安性を示す移流項に積分を施したものを示す数式(12)の右辺の面積積分を実行して積分値を領域の体積で割った値を示す積分データを計算し、移流項による流体成分の密度の時間変化を計算するように構成されている。例えば、図3に示すサンプル点V0における面積積分の計算は、領域Ωの境界面積であるSΩに渡って行われる。なお、積分データ計算部151は、各サンプル点について、サンプル点V0で行ったように面積積分を実行する。 【0064】このように計算することにより、解析不安性を示す移流項を安定して計算することができる。 【0065】非移流項データ計算部16は、数式(9)で示した方程式について、有限差分法を用いて移流項以外の非移流項に対応した非移流項データを計算し、非移流項による流体成分の密度の時間変化を計算するように構成されている。非移流項データ計算部16は、すべてのサンプル点における非移流項データの計算を行う。 【0066】このように計算することにより、簡易にまた高速に計算することができる。 【0067】次に、離散化データ計算部17は、移流項データ計算部15で計算した積分データと非移流項データ計算部16で計算した非移流項データを加算することにより、離散化した流体成分の密度の時間変化を示す離散化データを計算するように構成されている。離散化データ計算部17は、すべてのサンプル点における非移流項データの計算を行う。 【0068】密度データ計算部18は、離散化データ計算部17で計算した離散化データを使用し、数式(2)に示した方程式に基づいて、流体成分の時刻ti(iは整数)おける密度を示す密度データを計算するように構成されている。また、密度データ計算部18は、すべてのサンプル点における密度データの計算を行う。 【0069】整合性判断部19は、上述した密度データ計算部18で計算した密度データに基づいて計算した電界データが上述した電界データ計算部13で計算した電界データと整合性が取れるか判断するように構成されている。 【0070】すなわち、密度データ計算部18で計算した密度データによって示される流体成分の密度分布は、電荷密度の分布として電界データ計算部13の計算に影響するため、密度データ計算部18や電界データ計算部13などの各計算部の計算結果が相互に矛盾しないように整合性を取るために、整合性判断部19が設けられている。 【0071】次に、データ記憶部20は、上述した各計算部で計算したデータを記憶するように構成されおり、例えば、積分データ計算部15で計算した積分データを記憶する積分データ記憶部201や非移流項データを記憶する非移流項データ記憶部202などを含むように構成されている。データ記憶部20は、例えばRAMなどより構成される。 【0072】実施の形態における流体運動解析装置は、上記のように構成されており、以下に動作及び作用について説明する。 【0073】以下では、時刻t0における流体成分の密度より時刻t1における流体成分の密度を解析する動作について、図4と図5を参照しながら説明する。 【0074】まず、初期設定部11において初期設定がなされると(S101)、表示セル101の内部空間に対応する座標を設定し、座標の各点の位置を示すサンプル点データを生成する。そして生成したサンプル点データをデータ記憶部20に記憶する(S102)。 【0075】次に、電界データ計算部13において、各サンプル点における電界を示す電界データが計算され、計算された電界データは、データ記憶部20に記憶される(S103)。そして、パラメータ計算部14は、データ記憶部20に記憶された各サンプル点における電界データを用いて、流体成分の速度など非定常移流拡散方程式中の流体成分の密度以外のパラメータをサンプル点毎に計算する。そして、計算したパラメータは、データ記憶部20に記憶される(S104)。 【0076】次に、積分データ計算部151は、数式(12)で示した面積積分を実行し、積分値を領域の体積で割った値を示す積分データをサンプル点毎に計算する(積分データ計算ステップ)(S105)。そして、計算した積分データは、積分データ記憶部201に記憶される(積分データ記憶ステップ)(S106)。 【0077】次に、非移流項データ計算部16において、数式(9)に示した方程式に有限差分法を使用して、非移流項データがサンプル点毎に計算され(非移流項データ計算ステップ)(S107)、計算された非移流項データは、非移流項データ記憶部202に記憶される(非移流項データ記憶ステップ)(S108)。 【0078】そして、離散化データ計算部17は、積分データ記憶部201に記憶されている積分データと非移流項データ記憶部202に記憶されている非移流項データを加算して、離散化した流体成分の密度の時間変化を示す離散化データをサンプル点毎に計算する。そして、計算した離散化データは、データ記憶部20に記憶される(S109)。 【0079】次に、密度データ計算部18は、データ記憶部20に記憶されている離散化データと時刻t0における密度データを使用して、数式(2)より時刻t1における密度を示す密度データをサンプル点毎に計算する。そして、計算した密度データは、データ記憶部20に記憶される(S110)。 【0080】そして、整合性判断部19は、密度データ計算部18や電界データ計算部13などの各計算部による計算結果が相互に矛盾するか判断する(S111)。 【0081】矛盾する場合には、S103に戻り以下のステップを各計算部による計算結果が矛盾しなくなるまで繰り返す。 【0082】一方、矛盾しない場合は、時刻t1における密度データが決定する。 【0083】そして、さらに時刻t2以降における密度データを計算する場合は、時刻t1における密度データに基づいて、上述したステップS103以降の動作を繰り返す。 【0084】このようにして、実施の形態のおける流体運動解析装置は、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合であっても、流体運動の解析を安定に行うことができるとともに解析する際の計算量を低減することができる。したがって、計算対象とした表示セルの電気的特性などを安定かつ簡易に調べることができる。 【0085】本実施の形態のように、弱電離気体を対象とした場合、計算条件によっては大きな歪電界が生じて流体成分の速度の空間変動が大きくなる。このため、数式(1)に示した非定常移流拡散方程式の解析に不安定な計算方法を使用すると解析が困難になるが、実施の形態の流体運動解析装置によれば、移流項を積分して計算しているので、不安定性の主な要因である速度の一階微分を含まず、安定して流体運動の解析を行うことができる。 【0086】また、実施の形態の流体運動解析装置によれば、移流項以外の非移流項の計算には、有限差分法を用いて、サンプル点のデータのみを使うため、非移流項の計算量は、有限体積法に比べて1割程度に低減され、簡易に流体運動の解析を行うことができる。 【0087】 【発明の効果】本発明によれば、特定条件下、非定常移流拡散方程式内に解析を困難とする解析不安定性を示す項がある場合であっても、流体運動の解析を安定に行うことができるとともに解析する際の計算量を低減することができる効果が得られる。 【0088】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004352 【氏名又は名称】日本放送協会
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| 【出願日】 |
平成13年4月11日(2001.4.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070150 【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 忠彦
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| 【公開番号】 |
特開2002−312342(P2002−312342A) |
| 【公開日】 |
平成14年10月25日(2002.10.25) |
| 【出願番号】 |
特願2001−113159(P2001−113159) |
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