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【発明の名称】 通信制御負荷変動シミュレータ
【発明者】 【氏名】長沢 利明

【要約】 【課題】運用系と待機系をバス接続した冗長構成を採用している通信制御装置の予備系を用いて負荷変動時の通信制御装置の最大性能が測定できる通信制御負荷変動シミュレータを提供する。

【解決手段】待機系制御部120には、擬似的に最大負荷及び過負荷を発生し、運用系制御部110に対して外部入出力装置と同じ通信経路であるバス101を用いてその擬似負荷を与え最大処理性能を計測することのできるシミュレート機能が搭載されている。待機系制御部120は、入出力端末150から入力される負荷の初期値、変動幅、周期のパラメータを用いて運用系制御部110に対し実稼働時相当の負荷及び想定される最大負荷を超える負荷を与え、システムの最大性能を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運用系と待機系をバス接続して構成される通信制御装置において、前記待機系の制御部に、前記運用系の制御部に対して外部入出力装置と同じ通信経路である前記バスを用いて擬似負荷を与え最大処理性能を計測することのできるシミュレート機能が搭載されている、ことを特徴とする通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項2】 前記シミュレート機能は、前記運用系の制御部のCPU負荷と擬似負荷制御結果の応答遅延時間とを測定することで、最大性能に対する性能マージンを測定可能とすることを特徴とする請求項1記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項3】 前記シミュレート機能は、実稼動時に接続されるネットワーク機器と同等の処理負荷を発生させ、最大処理性能を計測することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項4】 前記シミュレート機能は、前記待機系の制御部に接続される入力端末から入力される負荷変動パラメータに基づいて前記運用系の制御部に対して与える負荷を変更することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項5】 前記入力装置からは、移動通信の呼制御のシミュレートを行うために、定常負荷パラメータとして、発着呼の発生間隔と呼の平均保留時間とが入力され、さらに変動パラメータとして、変動周期と周期内に変動する発着呼の発生頻度の幅とが入力されることを特徴とする請求項4記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項6】 前記入力装置からは、最大収容回線(チャネル)数を超える制御処理負荷として、短く設定された呼の平均保留時間が入力されることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【請求項7】 前記シミュレート機能が測定した結果を収集し表示する表示装置を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の通信制御負荷変動シミュレータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動通信分野で用いられる通信制御装置の負荷変動時の処理性能を計測する通信制御負荷変動シミュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】移動通信分野で用いられる通信制御装置は、呼処理の他、セルを跨って通信の継続性を保証するハンドオーバ、移動局装置の現在位置をネットワークに記憶する位置登録、異なる地域を跨って、または異なるネットワークを跨ってサービスを継続するローミングなどの制御を行う。
【0003】したがって、通信制御装置の処理性能は、移動体通信システムを構築する上で重要な要素であり、通信制御装置全体の最大処理性能を測定することが必要とされている。なお、通信制御装置は、高信頼性が要求されることから、運用系と予備系をバス接続する冗長構成を採るのが通例である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通信制御装置を構成するバス、CPU、メモリ部などの性能を個別に計測することは可能であるが、実稼動時においてはそれらが複雑に絡み合っているので、個別の測定データを用いて実稼動時における通信制御装置全体の最大処理性能を測定することが困難である。また、実稼動時における外部装置や対向装置からの擬似データ入力では、最大負荷を超える過負荷状態を作り出すことが困難である。
【0005】一方、擬似的に最大負荷及び過負荷を発生し、通信制御装置の負荷変動時における性能測定が行える通信制御負荷変動シミュレータを作ることが考えられる。しかし、独立にシミュレートできる装置を作るには、大規模な負荷発生用のハードウェアや装置の開発、OS、初期化ソフトウェア、バス入出力制御ドライバなどの開発を行う必要があり、実現困難である。
【0006】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、運用系と待機系をバス接続した冗長構成を採用している通信制御装置の予備系を用いて負荷変動時の通信制御装置の最大処理性能が測定できる通信制御負荷変動シミュレータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、運用系と待機系をバス接続して構成される通信制御装置において、前記待機系の制御部に、前記運用系の制御部に対して外部入出力装置と同じ通信経路である前記バスを用いて擬似負荷を与え最大処理性能を計測することのできるシミュレート機能が搭載されている、という構成を採る。
【0008】この構成によれば、高信頼性が要求される通信制御装置では、運用系と待機系をバス接続した冗長構成が採用される点に着目し、運用系と同等のハードウェア性能、I/O通信処理能力を持つ待機系に最大負荷及び過負荷を擬似的に発生させることにより、外部入出力装置の性能に影響されずに運用系制御部の最大処理性能を計測することができる。
【0009】したがって、大規模な負荷発生用のハードウェアや装置の開発、OS、初期化ソフトウェア、バス入出力制御ドライバなどの開発を行う必要性をなくすことができ、簡易かつ小規模な開発で実現できる通信制御負荷変動シミュレータを提供することができる。
【0010】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記シミュレート機能は、前記運用系の制御部のCPU負荷と擬似負荷制御結果の応答遅延時間とを測定することで、最大処理性能に対する性能マージンを測定可能とする構成を採る。
【0011】この構成によれば、同一のバスに複数の被制御部や入出力部を備える場合に、ボトルネックとなることが想定されるバス性能をCPU負荷とともに測定することができる。
【0012】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記シミュレート機能は、実稼動時に接続されるネットワーク機器と同等の処理負荷を発生させ、最大処理性能を計測する構成を採る。
【0013】この構成によれば、実稼働時と同等の状態で最大処理性能が計測できる。
【0014】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記シミュレート機能は、前記待機系の制御部に接続される入力端末から入力される負荷変動パラメータに基づいて前記運用系の制御部に対して与える負荷を変更する構成を採る。
【0015】この構成によれば、待機系の制御部が本来的に具備する入力端末を利用できるので、当該入力端末の有効利用が図れる。
【0016】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記入力装置からは、移動通信の呼制御のシミュレートを行うために、定常負荷パラメータとして、発着呼の発生間隔と呼の平均保留時間とが入力され、さらに変動パラメータとして、変動周期と周期内に変動する発着呼の発生頻度の幅とが入力される構成を採る。
【0017】この構成によれば、仕様上の最大負荷近傍での処理性能が計測できる。
【0018】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記入力装置からは、最大収容回線(チャネル)数を超える制御処理負荷として、短く設定された呼の平均保留時間が入力される構成を採る。
【0019】この構成によれば、過負荷を与えることができるので、仕様上の最大負荷を超える過負荷処理性能が計測できる。
【0020】また、本発明の通信制御負荷変動シミュレータは、前記シミュレート機能が測定した結果を収集し表示する表示装置を有する構成を採る。
【0021】この構成によれば、当該通信制御負荷変動シミュレータの利便性を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、運用系と待機系をバス接続した冗長構成の通信制御装置において、運用系と同等のハードウェア性能、I/O通信処理能力を持つ待機系に最大負荷及び過負荷を擬似的に発生させることにより、大規模な負荷発生用のハードウェアや装置の開発、OS、初期化ソフトウェア、バス入出力制御ドライバなどの開発を行うことなく、簡易かつ小規模な開発を行うだけで当該通信制御装置の最大処理性能の測定が行えるシミュレータを実現することである。
【0023】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の一実施の形態に係る運用系と待機系をバス接続して構成される通信制御装置における通信制御負荷変動シミュレータの全体構成を示すブロック図である。
【0025】図1において、通信制御装置100は、バス101に、運用系制御部110と待機系制御部120と1以上の被制御部130と外部I/O部140とを接続して構成されている。
【0026】運用系制御部110は、運用系制御部CPU111と運用系制御部メモリ112を備えている。
【0027】待機系制御部120は、待機系制御部CPU121と待機系制御部メモリ122を備えている。また、待機系制御部120のLAN等の入出力部には、入出力端末150が接続されている。この入出力端末150は、専らデバッグを目的とするものであり、例えばPC(いわゆるパソコン)が用いられる。
【0028】被制御部130は、運用系制御部110によって制御される。外部I/O部140には、外部装置が接続されるようになっている。
【0029】このような構成を有する通信制御装置100は、実稼動時において次のように動作する。運用系制御部110は、外部I/O部140に接続される図示しない外部装置、対向装置との間で、制御情報の入出力を行う。外部からの制御コマンドは、バス101を介して運用系制御部メモリ112に取り込まれる。
【0030】運用系制御部CPU111は、運用系制御部メモリ112から外部からの制御コマンドを取り出して演算処理を行い、その演算結果を運用系制御部メモリ112に記憶させる。また、運用系制御部CPU111は、応答コマンドもしくは処理結果コマンドをバス101を介して外部装置、対向装置に返す。
【0031】一方、運用系制御部CPU111は、被制御部130に対して必要な制御コマンドをバス101を通じて発行し、その結果応答を同じくバス101を通じて受信する。
【0032】本実施の形態に係る通信制御負荷変動シミュレータは、このような通信制御装置100において、待機系制御部120が、運用系制御部110と同等のハードウェア性能、I/O通信処理能力を持つことに着目し、待機系制御部120に擬似負荷発生及び最大処理性能測定のシミュレートソフトを搭載し、入出力端末150を負荷条件を決めるパラメータの入力装置及び測定結果の表示装置として用いるように構成されている。
【0033】通信制御装置100の最大処理性能を測定するためには、外部装置からの制御コマンド発生頼度を仕様上の最大負荷から算出し、それと同等の制御コマンドを運用系制御部110に入力する必要がある。
【0034】待機系制御部120に搭載したシミュレートソフトは、外部I/O部140の代わりに、制御コマンドの送受信経路であるバス101を介して擬似の制御コマンドを運用系制御部110に入力させ、実稼動に近い負荷を発生させ得るようなっている。
【0035】待機系制御部120は、通常、運用系制御部110と同等の性能を持つハードウェアであり、実稼働時には運用系制御部110と同等の運用ソフトウェア処理が不要である。擬似負荷を発生させるために制御コマンドを発行し、その応答を処理するだけであれば、充分に運用系制御部110の処理性能よりも高速に動作させることができる。
【0036】これにより、外部I/O部140がプログラマブルなハードウェアでない場合やソフトウェア処理を行わせた場合に、運用系制御部110に対して充分な性能を確保できないということが生じないようにすることができる。
【0037】また、待機系制御部120は、運用系制御部110と同一のハードウェア、OS、入出力ドライバ、プロトコルソフトウェアを実装することが可能である。そのため、シミュレータ機能として大規模な負荷発生用のハードウェアや装置の開発、OS、初期化ソフトウェア、バス入出力制御ドライバなどの開発を行う必要がなく、小規模な開発で済ませることができる。
【0038】最大処理性能測定の対象は、運用系制御部CPU111のCPU使用率だけではなく、運用系制御部メモリ112のアクセス性能、バス101の入出力性能及びソフトウェア処理性能が含まれるが、これらは実稼動時において複雑に絡んでおり、これらの個別の測定結果を用いて実稼動時における通信制御装置100全体の最大処理性能を測定することは困難である。
【0039】また、通信制御装置100の最大処理性能の測定には、運用系制御部CPU111の負荷率が最大処理性能の指標とされることが多いが、同一のバス101に複数の被制御部130や外部I/O部140を備える場合には、CPU負荷よりもバス性能がボトルネックとなることが想定される。
【0040】そこで、最大処理性能の測定では、処理性能を総合的に測定するために、制御コマンドの発行から応答コマンドの受信までの処理時間を測定対象としている。これには処理応答遅延時間の計測も含まれている。これにより、運用系制御部CPU111のCPU使用率を含めて通信制御装置100全体の最大処理性能を測定することができる。
【0041】具体的には、仕様上の最大負荷時に単位時間当たりに終了しなければならない処理コマンド数と比較する。例えば、1秒間に100の同一コマンドを処理する必要がある場合、1コマンドあたり処理時間が10msecを超えなければ処理可能と判断する。
【0042】シミュレータの動作条件としては、例として、移動通信の呼制御のシミュレートを行う場合、発着呼コマンドの発生間隔と呼の平均保留時間とを入力し、さらに変動パラメータとして、変動周期と周期内に変動する発着呼の発生頻度の幅とを指定する。これにより、仕様上の最大呼処理性能を測定することができる。
【0043】これらのパラメータの入力装置としては、待機系制御部120がデバッグ用に具備するLAN等の入出力部に入出力端末(PC等)150を接続しこれを用いる。入出力端末150は、負荷条件を決めるパラメータの入力機能以外に、測定結果を待機系制御部120から収集し、表示する機能も持っている。これにより、シミュレータとしての利便性を持たせることができる。
【0044】このように、負荷の変動パラメータを指定するので、実稼動時には最大負荷は定常的に発生するものではなく、ある時間のみ継続し、あるいは、ある時間の幅で変動しながら変化するという事実を考慮できる。これにより、一定時間以上継続した場合は処理不可能な負荷であっても、実稼動時の場合は、処理可能な最大負荷を呼処理のモデルに応じて高い精度で測定することが可能となる。
【0045】さらに、最大負荷に対する装置マージンの測定及び最大処理性能を超えた場合の装置の挙動を検証するために、呼処理における呼の平均保留時間を変更することが可能となっている。
【0046】運用系制御部110の処理は、一度通信が確立され呼が保留されている間、呼状態の変化により、切断あるいは移動通信におけるハンドオーバ、位置登録、ローミング制御等が発生しない限り制御処理が発生しない、すなわち負荷にはならない。したがって、仕様で規定される呼の平均保留時間そのものを短くすることで、全回線あるいはチャネルを使い切る、すなわちリソース不足を発生させることがなく、過負荷をシミュレートすることが可能となる。
【0047】これにより、通信制御装置100が通話路系の最大収容回線あるいはチャネル数分のリソースを考慮して設計されているため、単位時間当たりの呼処理数自体を増やしてもリソース不足から動作させられないことが生ずるのを回避できる。
【0048】このように、本実施の形態によれば、予備系を用いるので、簡単な構成で、より実稼動時に近い状態で運用系制御部の負荷変動時における処理性能測定が可能となる。また、予備系を用いるので、小規模の開発で済み、短時間に開発することができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、運用系と待機系をバス接続を介して構成される通信制御装置の予備系に、擬似的に最大負荷及び過負荷を発生し、通信制御装置の最大処理性能が測定できるシミュレート機能を搭載したので、簡易かつ小規模な開発で実現できる通信制御負荷変動シミュレータを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年10月26日(2000.10.26)
【代理人】 【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
【公開番号】 特開2002−132593(P2002−132593A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−327556(P2000−327556)