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【発明の名称】 指数変換の方法および装置
【発明者】 【氏名】新田 昌三

【要約】 【課題】リニアリティ(対数で)の高い指数変換特性を備えた指数変換方法を提供する。

【解決手段】第1の値を表す複数のビットから成る第1の二進ワードの複数のビットを、上位ビット・グループBGUと下位ビット・グループBGLとに分割する。次に、上位ビット・グループBGUを指数関数の指数情報(S)として使用し、かつ下位ビット・グループBGLを指数関数の仮数情報({1+(M/2L)})として使用することにより、第1二進ワードを、第1の値を変数とする指数関数値を近似的に表す第2の二進ワードに変換する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1の値を表す複数のビットから成る第1のワードを、該第1の値を変数とする指数関数値を近似的に表す第2のワードに変換する指数変換方法であって、イ)前記第1ワードの前記複数のビットを、上位ビット・グループと下位ビット・グループとに分割する分割ステップと、ロ)前記上位ビット・グループを前記指数関数の指数情報として、前記下位ビット・グループを前記指数関数の仮数情報として発生する変換情報発生ステップと、を含むこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項2】請求項1記載の指数変換方法であって、さらに、前記指数情報と前記仮数情報を使用して、前記第1ワードを前記第2ワードに変換する変換ステップと、を含むこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の方法において、前記第1と第2のワードは、二進ワードであること、を特徴とする指数変換方法。
【請求項4】請求項3記載の方法において、前記変換情報発生ステップは、イ)前記複数のビットとは独立の所定の値をもつ基準ビットを定めるステップと、ロ)前記基準ビットの下位ビットとして前記下位ビット・グループを付加して仮数ワードを形成するステップと、を含み、前記変換ステップは、イ)前記仮数ワードを前記指数情報にしたがってシフトすることにより、前記指数関数値を構成する前記第2ワードを形成するステップ、を含むこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、該方法を、ビデオ信号またはオーディオ信号のゲインを制御するために使用すること、を特徴とする指数変換方法。
【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、該方法を自動的に行うこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項7】請求項6記載の方法であって、該方法を、デジタルPGAを使用して自動的に行うこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項8】請求項6記載の方法であって、該方法を、コンピュータを使用して自動的に行うこと、を特徴とする指数変換方法。
【請求項9】入力デジタル信号に対し、ゲインコードに応答してゲインを乗算する乗算方法であって、イ)指数関数的に増大するゲインを指定するためのゲインコードを受けるステップと、ロ)請求項1から8のいずれかに記載の指数変換方法により、前記第1ワードとしての前記ゲインコードから前記ゲインを表す情報を発生するステップと、ハ)前記入力デジタル信号に前記ゲインを表す情報をデジタル的に乗算するステップと、から成る乗算方法。
【請求項10】請求項9記載の乗算方法において、前記ゲインを表す情報は、前記指数情報と前記仮数情報とであること、を特徴とする乗算方法。
【請求項11】第1の値を表す複数のビットから成る第1の二進ワードを、該第1の値を変数とする指数関数値を近似的に表す第2の二進ワードに変換する指数変換装置であって、イ)前記第1二進ワードの前記複数のビットを受け、上位ビット・グループと下位ビット・グループとに分割する分割手段と、ロ)前記分割手段からの前記上位ビット・グループを前記指数関数の指数情報として、前記分割手段からの前記下位ビット・グループを前記指数関数の仮数情報を発生する変換情報発生手段と、を含むこと、を特徴とする指数変換装置。
【請求項12】請求項11記載の指数変換装置であって、さらに、前記指数情報と前記仮数情報を受けそしてこれらを使用して、前記第1二進ワードを前記第2二進ワードに変換する変換手段と、を含むこと、を特徴とする指数変換装置。
【請求項13】請求項11または12のいずれかに記載の装置において、前記変換情報発生手段は、イ)前記上位ビット・グループを受けて、この上位ビット・グループの値を演算することによって指数値を得る指数値演算手段と、ロ)前記下位ビット・グループを受けて、所定の値を有する基準ビットの小数点以下に前記下位ビット・グループを追加して仮数ワードを形成する仮数形成手段と、を含み、前記変換手段は、前記指数値と前記仮数ワードとから前記指数関数の値である前記第2二進ワードを形成すること、を特徴とする指数変換装置。
【請求項14】請求項13記載の装置において、前記変換手段は、イ)前記仮数ワードを受けるシフトレジスタ手段と、ロ)前記指数値を受け、前記シフトレジスタ手段内での前記仮数ワードのシフト動作を制御する制御ロジック手段と、を含むこと、を特徴とする指数変換装置。
【請求項15】請求項11から14のいずれかに記載の装置であって、前記装置をデジタルPGAで構成したこと、を特徴とする指数変換装置。
【請求項16】請求項11から14のいずれかに記載の装置であって、前記装置をコンピュータで構成したこと、を特徴とする指数変換装置。
【請求項17】入力デジタル信号に対しゲインを乗算する乗算装置であって、イ)指数関数的に増大するゲインを指定するためのゲインコードを受ける入力端子と、ロ)前記第1二進ワードとしての前記ゲインコードから前記ゲインを表す情報を発生する請求項11から16のいずれかに記載の指数変換装置であって、前記ゲインコードは前記第1二進ワードとする、前記の指数変換装置と、ハ)前記入力デジタル信号に前記ゲインを表す情報をデジタル的に乗算する乗算手段と、から成る乗算装置。
【請求項18】請求項17記載の乗算装置において、前記ゲインを表す情報は、前記指数情報と前記仮数情報とであること、を特徴とする乗算装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル的あるいはデジタル演算によって指数(逆対数)変換を行う方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、CCDイメージセンサのアナログ・フロントエンド信号処理においては、アナログのPGA(programmable gain amplifier)が用いられ、このアナログPGAによって、CCDイメージセンサからの出力信号に対し、人間の視覚の明るさに対する特性に従い、指数(逆対数)変換処理を行っている。詳細には、この指数変換処理は、アナログの指数(逆対数)増幅器又は指数(逆対数)減衰器を用い、そして画面の平均の明るさに応じて輝度信号のゲインを可変させるようにしている。すなわち、指数増幅器は、指数関数のゲインカーブ、言い換えれば対数でリニアなゲインカーブをもつように設計している。
【0003】また、コンピュータ等における計算においては、このような指数変換のためのゲインカーブ特性は、ルックアップ・テーブルを用いてデジタル的に得たり、あるいはテーラー展開により数学的に厳密に得るという方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アナログ回路で構成された上記の指数増幅器は、ゲインカーブ特性の良いものを設計するのが容易ではなく、またそのゲインカーブが素子の値、特性等により定まるため、それら素子の製造上のバラツキに対する依存性が高い、という問題がある。また、製造上の素子のバラツキに対するこの高い依存性のため、ゲインカーブが、直線(対数で)から大きくずれることがあり、これによりPGAの歩留まりが低下するという問題がある。
【0005】また、テーラー展開を使用する数学的厳密計算は、近似計算で十分な用途に対してはコストの上昇、変換速度の低下を招く等の問題がある。さらに、ルックアップ・テーブルを使用する方法では、ROMのようなメモリを必要とするため、A/DコンバータのようなICチップ上にROMを実現する場合、技術上およびコスト上の問題が生じる。すなわち、技術上の問題としては、ROMへの書込作業が必要であり、また書き込んだら、ROMの書き直しができないことである。また、コスト上の問題としては、メモリを作成するスペースがチップ上に必要となり結果、チップ面積が大きくなり、このことは、ひいてはICチップ全体の歩留まりの低下並びにコスト上昇を招くことになる。
【0006】したがって、本発明の目的は、リニアリティ(対数で)の高い指数変換特性を備えた指数変換方法および装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、低コストで実現できる指数変換の方法および装置を提供することである。
【0007】さらに、本発明の別の目的は、上記の指数変換法を用いたゲイン乗算の方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を実現するため、本発明による、第1の値を表す複数のビットから成る第1のワードを、該第1の値を変数とする指数関数値を近似的に表す第2のワードに変換する指数変換方法は、イ)前記第1ワードの前記複数のビットを、上位ビット・グループと下位ビット・グループとに分割する分割ステップと、ロ)前記上位ビット・グループを前記指数関数の指数情報として、前記下位ビット・グループを前記指数関数の仮数情報として発生する変換情報発生ステップと、を含むこと、を特徴とする。さらに、本発明の指数変換方法は、前記指数情報と前記仮数情報を使用して、前記第1ワードを前記第2ワードに変換する変換ステップを含むことができる。
【0009】本発明によれば、前記第1と第2のワードは、二進ワードとすることができる。この場合、前記変換情報発生ステップは、イ)前記複数のビットとは独立の所定の値をもつ基準ビットを定めるステップと、ロ)前記基準ビットの下位ビットとして前記下位ビット・グループを付加して仮数ワードを形成するステップと、を含み、前記変換ステップは、イ)前記仮数ワードを前記指数情報にしたがってシフトすることにより、前記指数関数値を構成する前記第2ワードを形成するステップ、を含むことができる。
【0010】本発明による指数変換方法は、ビデオ信号またはオーディオ信号のゲインを制御するために使用することができる。また、本発明による指数変換方法は、自動的に行うようにすることができる。この場合、指数変換方法は、デジタルPGAあるいはコンピュータを使用して自動的に行うようにすることができる。
【0011】また、本発明による、入力デジタル信号に対し、ゲインコードに応答してゲインを乗算する乗算方法は、イ)指数関数的に増大するゲインを指定するためのゲインコードを受けるステップと、ロ)上記の指数変換方法により、前記第1ワードとしての前記ゲインコードから前記ゲインを表す情報を発生するステップと、ハ)前記入力デジタル信号に前記ゲインを表す情報をデジタル的に乗算するステップと、から成る。さらに、本発明の乗算方法は、前記ゲインを表す情報を、前記指数情報と前記仮数情報とで構成することができる。
【0012】また、本発明による、第1の値を表す複数のビットから成る第1の二進ワードを、該第1の値を変数とする指数関数値を近似的に表す第2の二進ワードに変換する指数変換装置は、イ)前記第1二進ワードの前記複数のビットを受け、上位ビット・グループと下位ビット・グループとに分割する分割手段と、ロ)前記分割手段からの前記上位ビット・グループを前記指数関数の指数情報として、前記分割手段からの前記下位ビット・グループを前記指数関数の仮数情報を発生する発生手段と、を含むこと、を特徴とする。さらに、本発明の指数変換装置は、前記指数情報と前記仮数情報を受けそしてこれらを使用して、前記第1二進ワードを前記第2二進ワードに変換する変換手段を含むことができる。
【0013】本発明によれば、前記発生手段は、イ)前記上位ビット・グループを受けて、この上位ビット・グループの値を演算することによって指数値を得る指数値演算手段と、ロ)前記下位ビット・グループを受けて、所定の値を有する基準ビットの小数点以下に前記下位ビット・グループを追加して仮数ワードを形成する仮数形成手段と、を含み、前記変換手段は、イ)前記指数値と前記仮数ワードとから前記指数関数の値である前記第2二進ワードを形成するようにできる。
【0014】本発明によれば、前記第1と第2のワードは、二進ワードとすることができる。この場合、前記変換手段は、イ)前記仮数ワードを受けるシフトレジスタ手段と、ロ)前記指数値を受け、前記シフトレジスタ手段内での前記仮数ワードのシフト動作を制御する制御ロジック手段と、を含むようにできる。
【0015】さらに、本発明によれば、指数変換装置は、デジタルPGAで構成したり、コンピュータで構成したりすることができる。また、本発明による、入力デジタル信号に対しゲインを乗算する乗算装置は、イ)指数関数的に増大するゲインを指定するためのゲインコードを受ける入力端子と、ロ)前記第1二進ワードとしての前記ゲインコードから前記ゲインを表す情報を発生する上記の指数変換装置であって、前記ゲインコードは前記第1二進ワードとする、前記の指数変換装置と、ハ)前記入力デジタル信号に前記ゲインを表す情報をデジタル的に乗算する乗算手段と、から成る。さらに、本発明の乗算装置は、前記ゲインを表す情報を、前記指数情報と前記仮数情報とで構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による指数変換法の原理を示す図である。本発明のこの指数変換法では、Xビットの二進ワードが表す二進数を、以下の式【0017】
【数1】
G=G0・2S・{1+(M/2L)} (1)
にしたがって指数変換することにより指数変換値Gを発生する。ここで、2:この指数変換に使用する指数関数の底(本例では、2進数であるため、2である)
U:所定の上位ビット数L:下位ビット数(=X−U)
S:指数関数の指数であって、ビット数Uの上位ビット・グループが表す十進値M:ビット数Lの下位ビット・グループが表す十進値G0:初期値を定める指数変換値の任意の係数(図示例では、1としている)。
以下に詳細に説明するように、本発明の指数変換法では、二進ワードのXビットの上位Uビットを指数関数の指数値、すなわち指数Sの値として、そして下位Lビットを、仮数情報として、具体的には仮数の小数部分、すなわちMとして使用することにより、所与の二進ワードを近似的に指数関数値に変換する。
【0018】次に、図1を参照して、本発明の指数変換法について、その1例を用いて具体的に説明する。尚、図示例では、例示の二進ワードは、“1011101001”であり、この場合は、X=10、U=3、L=7である。簡単のため、本例では、G0=1とする。先ず初めに、図1の(1)における点線で示すように、Xビットすなわち10ビットのこの二進ワードを、上位3ビットの上位ビット・グループBGUすなわち“101”と、下位7ビットの下位ビット・グループBGLすなわち“1101001”とに分割する。また、概念的に示したように、上位ビット・グループBGUの十進数の値Sを算出する。この場合、二進の上位ビット・グループ“101”の十進値S=5である。
【0019】次に、図1の(2)に示すように、下位ビット・グループBGLを、上位ビット・グループBGUから分離して、これの最下位ビットの右に小数点を置く。これにより、式1のMが形成される。この操作は、後述のように、例えばレジスタ中の適切なビット位置への取り込みにより行うことができる。
【0020】次に、図1の(3)に示すように、下位ビット・グループBGLの小数点を、下位ビット・グループBGLに対し相対的に、下位ビット数Lだけ左側にシフトさせる。本例では、L=7ビットだけシフトさせる。この操作は、例えば、下位ビット・グループBGLの右シフトにより行うことができる。これにより、下位ビット・グループBGLの最上位ビットの左に小数点が移るため、下位ビット・グループBGLは、小数となる。これは、式1の(M/2L)に相当し、仮数の小数部分をとなる。尚、小数点の7ビットの左シフトが2Lでの除算に相当している。さらに、この小数に対し、整数の“1”である基準ビットを付加する。この基準ビット“1”は、隠しビットとも呼ぶことができる。この付加により、式1の{1+(M/2L)が形成されて、仮数ワードが完成する。
【0021】次に、図1の(4)に示すように、今形成した仮数ワードの小数点を、この仮数ワードに対し相対的に、Sビットだけ右側にシフトさせる。本例の場合、5ビットだけ右シフトする。これは、式1の2Sの乗算に相当する。この操作は、例えばシフトレジスタにおける左シフトにより実現することができる。このようにして、指数変換が終了し、この指数変換後の二進ワード“111010.01”が得られる。尚、この二進ワードは、小数を含んでいるが、この小数は、必要に応じて省略することもできる。
【0022】以上の簡単な操作により、線形である二進ワードを変数とする指数関数値の二進ワードに近似変換することができる。上述の変換処理は、比較的簡単な二進演算処理により実現できるため、精密な計算が必要とされず、しかも比較的高速の演算が望まれるような用途においては有利である。
【0023】次に、図2−図4を参照して、本発明の指数変換処理をグラフを使って説明する。図2は、入力コードすなわち入力二進ワードと、これを入力とする式1の2Sと{1+(M/2L)の値を示すグラフである。尚、左の縦軸には2Sの値を、そして右の縦軸には{1+(M/2L)}の値を示している。このグラフも、同じくX=10、U=3、L=7の場合について示している。したがって、入力コードの十進値が128(二進の“0010000000”に相当),256(“0100000000”に相当),384(“0110000000”に相当)、512(“1000000000”に相当)…のとき、Sが1,2,3,4…となるため、2Sの値は、ステップ状にではあるが指数関数的に1,2,4,8…と上昇する。一方、仮数部分の値は、下位ビット・グループの十進値の最小値と最大値が0と127であるため、M/2Lは、0(=0/128)から0.99219(=127/128)との間で変化し、したがって、仮数の値は、1.0と1.99219との間で、のこぎり波状に周期的に変化する。指数変換値は、これら双方の値を乗算して得られる。
【0024】図3には、図2に示した2Sと{1+(M/2L)の双方の乗算により得られた指数変換値のグラフを示している。図から分かるように、入力コードが0,128,256,384,512…における指数関数カーブ上の離散的な値を、直線補間した部分線形近似の指数関数カーブとなっている。
【0025】図4は、図3のカーブを、縦軸を対数スケールで示している。図示のように、指数関数の離散値間では多少湾曲が残るが、対数でほぼリニアなカーブとなっていることが分かる。
【0026】尚、入力コードすなわち入力二進ワードの上位ビット・グループのビット数Uを増減させるようにビット分割を行う場合、例えばビット数Uを増やすようにビット分割を行うと、離散値の間隔すなわちセグメント内のポイント数が減少する一方で、指数変換値の可変できる値のスパンが増大する。但し、ビット分割を変更しても、部分線形近似カーブの理想的な指数関数カーブに対する誤差は変化しない。
【0027】上記の例の説明においては、二進法で指数変換を行うこと、すなわち底を2とすることを前提に説明したが、本発明のこの指数変換方法は、三進数その他のN進法の数値表現形式においても実現でき、このことは、当業者には明かである。また、初期値G0は1としたが、その他の適当な任意の値とすることができる。その場合、上記の乗算処理に変更を加えることにより、あるいは別個の乗算処理を追加することによって行うことができる。
【0028】次に、図5を参照して、本発明の上述の指数変換方法を実施する1実施形態による指数(逆対数)変換装置について説明する。図5にブロック図で示したこの指数変換装置Aは、図示のように、Xビットの二進ワードから成る入力コードCINを受けて、この入力コードを指数変換して出力コードCOUTを発生するため、大きく分けて、ビット分割部1と、変換情報発生部3と、変換部4とから構成している。ビット分割部1は、入力コードCINを受けるためのXビットのレジスタ10から成っている。このレジスタ10は、上位のUビットから成る上位ビット・グループCUを出力する上位レジスタ段100と、残りの下位のLビットから成る下位ビット・グループCLを出力する下位レジスタ段102と、を有している。これら2つのレジスタ段により、図1(1)に示したように、入力コードCINを2つのビット・グループに分割する。
【0029】次の変換情報発生部3は、図示のように、指数値演算部30と、仮数形成部32とから成っている。詳しくは、指数値演算部30は、アップ/ダウン・カウンタ300から成り、これは、レジスタ10の上位レジスタ段100からの上位ビット・グループCUを受けるロード端子を有し、また、このカウンタは、変換部4からの制御信号を受ける入力端子と、そしてカウント出力を発生する出力端子とを有している。これにより、カウンタ300は、以下に詳細に説明するように、この上位ビット・グループの十進値であるSを形成するように動作する。変換部4からの上記の制御信号には、アップ/ダウン・カウントのカウント方向の指定、カウント動作の開始および停止に関するものが含まれる。
【0030】一方、仮数形成部32は、(L+1)ビットのレジスタ段から成るレジスタ320から成り、これは、1ビットのMSBレジスタ段3200と、そして残りのLビットの下位レジスタ段3202とを有している。下位レジスタ段3202は、レジスタ10の下位レジスタ段102からの出力CLを受ける一方、MSBレジスタ段3200は、常に二進“1”にセットされている。これら2つのレジスタ段3200と3202とは、図1(3)に示したように、合わさって、指数変換における仮数を形成し、出力にこの仮数ワードCLXを発生する。尚、小数点は、MSB段3200と下位レジスタ段3202の最上位との間にあると考える。
【0031】次に、変換部4は、シフトレジスタ40と、制御ロジック42とから成っている。シフトレジスタ40は、レジスタ320からの仮数ワードCLXを受けるロード端子を有している。このシフトレジスタ40は、さらに、右/左(R/L)シフト指定入力を有している。一方、制御ロジック42は、アップ/ダウン・カウンタ300からのカウント出力を受ける入力端子と、そしてアップ/ダウン・カウンタ300の動作を制御するための上述の制御信号を発生する出力端子と、を有している。また、制御ロジック42は、さらに別の出力として、シフトレジスタの動作に使用するクロックCLKを発生する出力と、シフトレジスタ40の右シフト(R)、左シフト(L)を指定する動作モード出力MOとを有している。また、この動作モード出力では、シフトレジスタ40並びにアップ/ダウン・カウンタ300のデータ・ロード等の制御も行う(図示せず)。詳細には、制御ロジック42は、上位レジスタ段100からカウンタ300へロードさせる動作と、このロードされた値をカウンタ300の出力端子から受けそしてこのカウントに基づいてカウント方向を指定する動作と、カウントを開始させる動作と、カウンタ300のカウント値を目標カウント値と比較する動作と、カウントの開始からこの比較による一致までの間クロックCLKをシフトレジスタ40に出力する動作とを行う。上記の目標カウント値とは、通常はカウント0であるが、オフセットを使用する場合には、そのオフセット分だけずれた値までである。本実施形態では、このオフセットは、前述の式1の初期値G0を実現するのに使用し、これよって1未満の指数変換値を得ることができる。
【0032】次に、変換情報発生部3と変換部4の動作について、以下に具体的に説明する。先ず初めに、G0を以下の式で表す。
【0033】
【数2】
0=2H (2)
ここで、Hは、0を含む正または負の整数。H=0のとき、G0=20=1となり、オフセット=0となる。このオフセット値のときの動作を最初に説明する。この場合、上述の例におけるCU=“101”のとき、この上位3ビットがアップ/ダウン・カウンタ300にロードされると、制御ロジック42は、カウンタ300の出力からこのカウント“101”を検知し、そして次に、以下の式にしたがって、カウント方向判定値S’と、目標カウント値Tとを計算する。
【0034】
【数3】
S’=S+H (3)
T=−H (4)
ここで、S’が正のときは、ダウンカウント方向を示し、そして負のときはアップカウント方向を示す。本例の場合、S10=5,H10=0であるため、S’10=5、すなわち正であってダウンカウント方向を示す。これはまた、シフトレジスタ40の左シフトを示す。この例の場合、目標カウント値T2=“000”である。したがって、制御ロジック42は、カウンタ300にダウンカウントさせる一方で、カウンタ300から出力されるカウントが目標カウント値T2=“000”に一致するまでクロックを発生し、一致したときにクロックの出力を止める。一致するまでに発生するクロックは、シフトレジスタ40を左シフトさせる。本例の場合、カウンタ300は、“101”から“000”までダウンカウントするため、5個のクロックCLKがシフトレジスタ40に供給され、この結果、5ビットの左シフトが生じて25の乗算が行われる。これにより、図1(4)に示したような結果がシフトレジスタにおいて得られ、そしてこれが、出力コードCOUTとして発生する。
【0035】次に、オフセットが非ゼロの場合について説明する。仮に、G0=2-2、すなわち、H10=−2とし、そして上位ビット・グループは同じくCU=“101”とする。この場合、S10=5,H10=−2であるため、S’10=3、すなわち正であってダウンカウント方向を示し、またシフトレジスタ40の左シフトを示す。目標カウント値T2=“010”である。この場合、カウンタ300は、“101”から“010”までダウンカウントし、制御ロジック42から発生するクロックCLKの数は3個となり、3ビットの左シフトが生じ、23の乗算が行われる。一方、CU=“000”となった場合、S10=0,H10=−2であるため、S’10=−2、すなわち負であってアップカウント方向を示し、またシフトレジスタ40の右シフトを示す。目標カウント値T2はHの絶対値に0を加算したものであるため、T2=“010”となる。この場合、カウンタ300は、“000”から“010”までアップカウントし、そして制御ロジック42から発生するクロックCLKの数は2個となるため、2ビットの右シフトが生じ、2-2の乗算が行われる。
【0036】以上に説明したように、図5のこの指数変換装置Aは、極めて簡単な回路構成で、デジタル演算を使用してデジタル的に指数変換処理を行うことができ、従来のアナログ回路で行う場合のような素子のバラツキによる影響を受けることはない。
【0037】尚、図5に示した指数変換装置は、図示のように、別々のレジスタ、カウンタ、シフトレジスタ等を使って実現する代わりに、デジタルPGAを使用して実現することもできる。同様に、図示の回路構成は、単にマイクロコンピュータを含むコンピュータのプログラムによっても実施することができる。
【0038】次に、図6を参照して、本発明の指数変換装置を利用したゲイン乗算装置Bについて説明する。このゲイン乗算装置Bは、指数変換装置Aで得た乗数を、入力される被乗数Jに乗算して乗算結果Kを発生する乗算装置5を有している。被乗数Jの例としては、CCDイメージセンサからの信号のようなビデオ信号またはオーディオ信号である。このゲイン乗算装置Bの別の入力は、ゲインコードであり、これは、上記のようなビデオ信号またはオーディオ信号に乗算すべき、指数関数的に増大するゲインを指定し、そしてこのゲインは、乗数として作用する。ゲインコードは、例えば、ビデオ信号の1フレームにおける平均の輝度に反比例した信号とすることができる。この場合、平均輝度が低くなる、すなわち画面が暗くなると、乗数として作用するゲインを指数関数的に増大させることによってビデオ信号の平均輝度を上昇させ、画面をより明るくするようにする。これは、人間の視覚、聴覚等の感覚は、指数関数的であり、対数でリニアな特性が要求されるからである。本発明の指数変換装置を使えば、リニアなゲインコードから指数関数的に増減するゲインを簡単に得ることができる。 図7は、前述の例(X=10、U=3、L=7)でのゲインコードである入力コードと、S,M等の数値例を表にして示している。また、この表には、線形スケールのゲインG(X)に加え、dB表示のゲインG(dB)と、ゲイン・ステップ(Delta)も示している。
【0039】図8は、別の実施形態の乗算装置Cを示している。この実施形態では、指数変換装置A’には、指数情報発生部と仮数情報発生部とを設けて、最終的な指数変換値であるゲインではなく、指数情報Sを表す二進ワードと仮数情報{1+(M/2L)}を表す二進ワードとを出力するようにしている。尚、指数情報発生部は、図5の制御ロジック42の出力から発生されるクロックCLKをカウントする回路で構成でき、そして、仮数情報発生部は、レジスタ320の出力をそのまま発生するもので構成できる。また、乗算装置5’は、シフト演算器50と乗算器52とで構成している。シフト演算器50は、被乗数Jに対し指数変換装置A’からの指数情報ワードをシフト操作によって乗算し、その結果である(2S・J)を出力する。この出力値に対し、次の乗算器52は、指数変換装置A’からの仮数情報ワードを乗算して、最終的な乗算結果Kを発生する。このような構成によっても、図6と同等のゲイン乗算を行うことができる。
【0040】
【発明の効果】以上に詳細に説明した本発明の指数変換法によれば、簡単なデジタル演算処理によってデジタル的な指数変換を行うことができる。これにより、線形性の良くないアナログ回路、あるいはROMのようなメモリを使わずに指数変換を実現することができる。また、近似的な指数変換を実行するため、変換を比較的高速にすることもできる。さらに、デジタル演算処理によるデジタル的な指数変換により、製品の歩留まりが向上し、コスト低減をもたらすことができる。
【出願人】 【識別番号】595138889
【氏名又は名称】日本バーブラウン株式会社
【出願日】 平成12年10月19日(2000.10.19)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外4名)
【公開番号】 特開2002−132495(P2002−132495A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−319124(P2000−319124)