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【発明の名称】 デジタルデータの加算回路
【発明者】 【氏名】フーガー ポール

【氏名】ネタルバル フィリップ

【要約】 【課題】加算結果の飽和回路の省電力化を図る。

【解決手段】デジタルデータの加算回路であって、予め定められたデータビット幅nを有するデータ入力18,19に入力されるデジタル入力データ値を加算し、加算出力データ値を形成して出力21に出力するためのデジタル加算器20と、加算出力データ値を上側データしきい値Smaxおよび下側データしきい値Sminによって定められたデータ値域内で制限し、データ入力23に入力するための飽和回路24とを具備し、 加算出力データ値のn−m個の最下位ビットLSBが飽和回路24のデータ入力23に直接入力され、加算出力データ値のm個の最上位ビットMSBがクロックステート制御されたラッチレジスタ27を経て飽和回路24のデータ入力23に入力されるように切り替わることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタルデータの加算回路であって、デジタル加算器(20)のデータ入力(18,19)に入力されるデジタル入力データ値を加算し、加算出力データ値を形成して前記デジタル加算器(20)の出力(21)に出力するためのデジタル加算器(20)であって、前記データ入力(18,19)が予め定められたデータビット幅nを有するデジタル加算器(20)と、前記加算出力データ値を上側データしきい値(Smax)および下側データしきい値(Smin)によって定められたデータ値域内で制限し、飽和回路(24)のデータ入力(23)に入力するための飽和回路(24)とを具備し、クロック信号(CLK)が与えられたときに前記加算出力データ値のn−m個の最下位ビット(LSB)が前記飽和回路(24)のデータ入力(23)に直接入力され、反転されたクロック信号((CLK)’)が与えられたときに前記加算出力データ値のm個の最上位ビット(MSB)がクロックステート制御されたラッチレジスタ(27)を経て前記飽和回路(24)のデータ入力(23)に入力されるように切り替わることを特徴とする加算回路。
【請求項2】 前記加算回路は、前記デジタル入力データ値をバッファ記憶するための入力レジスタ(6,7)をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の加算回路。
【請求項3】 前記加算回路は、前記飽和回路(24)により制限された前記加算出力データ値をバッファ記憶するための出力レジスタ(43)をさらに具備することを特徴とする請求項1または2記載の加算回路。
【請求項4】 前記加算回路は、前記デジタル入力データ値をバッファ記憶するための入力レジスタ(6,7)および前記飽和回路(24)により制限された前記加算出力データ値をバッファ記憶するための出力レジスタ(43)をさらに具備し、前記入力レジスタ(6,7)および前記出力レジスタ(43)は、クロック信号(CLK)を適用するためにクロック信号ラインに接続されていることを特徴とする請求項1記載の加算回路。
【請求項5】 前記クロックステート制御されたラッチレジスタ(27)は、インバータ回路(31)を経て前記クロック信号ラインに接続された制御入力(28)を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加算回路。
【請求項6】 前記2つのデータしきい値(Smin,Smax)は設定できることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加算回路。
【請求項7】 前記飽和回路(24)は、前記上側しきい値(Smax)と前記加算出力データ値とを比較する第1のコンパレータ(48)および前記下側しきい値(Smin)と前記加算出力データ値とを比較する第2のコンパレータ(61)を具備することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加算回路。
【発明の詳細な説明】【0001】本発明は、加算回路によって算出された出力データの値域を制限するための飽和回路におけるデジタルデータの省電力加算回路に関する。
【0002】ドイツ国特許40 10 735 C 2号公報には、デジタルワードシリアル乗算回路が開示されている。これにより、2ビットパラレルの2値の信号値が演算される。この信号値は、それぞれ最上位および最下位を含む重要度の順に昇順されたビットを有している。
【0003】図1は飽和回路におけるデジタルデータの加算回路を示す図である。加算回路は、2つのデジタルデータ値A,Bをデジタル加算する。データ値A,Bは、どちらもクロックが投入された入力レジスタに記入される。また、データ値A,Bは、予め定められたビット幅nを有する。入力レジスタA,Bは、入力データA,Bを加算するためのバッファ記憶装置として機能する。また、入力レジスタA,Bは、n本のデータラインを経てデジタル加算器ADDのデータ入力に接続されている。デジタル加算器ADDは、n個の全加算器を元にしており、nビット幅の加算出力を有し、加算によって形成された加算出力データ値を飽和回路SATに伝送する。飽和回路SATは、加算出力データ値を上下のデジタルしきい値Smin,Smaxにより定められるデータ値域内に制限する。これにより、デジタル出力信号を短縮することができる。飽和回路SATによって制限された加算出力データ値は、クロックが投入された出力レジスタにバッファ記憶され、以降のデータ処理過程へ伝送される。2つの入力レジスタA,Bおよび出力レジスタは、共通のクロックラインを経てクロック信号CLKによって同期されている。
【0004】図2は図1に示されるような従来の加算回路における信号の時系列図である。
【0005】従来の加算回路は、クロック周期TCLKが予め定められたクロック信号CLKをクロック信号回路から受け取る。時刻t0において信号が立ち上がると入力データレジスタA,Bにおいてデータ変化が生じる。すなわち、加算器ADDにおいて加算が行われる。信号伝送時間経過後、時刻t2より加算器ADDの出力に加算出力データ値が生じる。同時に、「グリッチング(glitching)」が加算器ADDに発生する。すなわち、最終の加算出力データ値が確定するまで出力データ値が上下する。グリッチングは短期間の破壊パルスである。飽和回路SATは、破壊パルスによる影響をうけた加算器ADDからのデジタル出力信号を受け取り、時刻t3から時刻t5の間に不安定なデータを出力レジスタに伝送する。制限された加算出力データ値は、上下のしきい値およびデジタル加算器の加算出力値をとる間の時間ΔTにおいて前後に変動する(「トグリング(toggling)」)。上下のしきい値を取り替えることによって、飽和回路SATにより伝送されるデータは、とても多くの切替命令を受け取る。その結果、飽和回路SATにおいて非常に大きい電力損失となる。
【0006】それゆえ、本発明の目的は、飽和回路内の切替命令よる電力損失を最小限にすることができる飽和回路におけるデジタルデータの加算回路を提供することである。
【0007】この目的は、請求項1に記載された特徴を有するデジタルデータの加算回路の発明によって達成される。
【0008】本発明は、デジタルデータの加算回路であって、デジタル加算器のデータ入力に入力され、形成された加算出力データ値をデジタル加算器の出力に出力するデジタル入力データ値であって、予め定められたデータビット幅nを有する入力データ値を加算するためのデジタル加算器と、【0009】加算出力データ値を上下のしきい値によって定められたデータ値域内で制限し、飽和回路のデータ入力に入力するするための飽和回路とを具備し、【0010】加算出力データ値のn−m個の最下位ビット(LSB)が飽和回路のデータ入力に直接入力され、加算出力データ値のm個の最上位ビット(MSB)がクロックステート制御されたラッチレジスタを経て飽和回路のデータ入力に入力されるように切り替わるものである。
【0011】加算回路は、デジタル入力データ値をバッファ記憶するための入力レジスタを具備することが好ましい。
【0012】加算回路は、飽和回路により制限された加算出力データ値をバッファ記憶するための出力レジスタをさらに具備することが好ましい。
【0013】加算回路は、前記デジタル入力データ値をバッファ記憶するための入力レジスタおよび前記飽和回路により制限された前記加算出力データ値をバッファ記憶するための出力レジスタをさらに具備し、入力レジスタおよび出力レジスタは、クロック信号CLKを適用するためにクロック信号ラインに接続されていることが好ましい。
【0014】クロックステート制御されたラッチレジスタは、インバータ回路を経てクロック信号ラインに接続された制御入力を具備することが好ましい。
【0015】上下のデータしきい値は設定できるのが好ましい。
【0016】飽和回路は、上側しきい値と加算出力データ値とを比較する第1のコンパレータおよび下側しきい値と加算出力データ値とを比較する第2のコンパレータを具備することが特に好ましい。
【0017】本発明に係るデジタルデータの加算回路の好ましい実施形態について、本発明の特徴部分を説明するべく添付した図面を参照しつつ、以下に説明する。
【0018】図3は本発明に係るデジタルデータの加算回路のブロック図である。図3により明らかなように、本発明に係る加算回路1は、デジタル入力値を適用するための第1のデータ入力2および第2のデータ入力3を具備している。入力データ値は、バッファ記憶のためのn個の並行データライン4,5を経てそれぞれnビット幅で入力レジスタ6,7に書き込まれる。入力レジスタ6,7は、それぞれクロック信号入力8,9を具備する。2つの入力レジスタ6,7のクロック信号入力8,9は、クロックライン10,11,12を経て加算回路1にあるクロック信号の分岐ノード13に接続されている。クロック信号の分岐ノード13は、内部クロックライン14を経て加算回路1のクロック信号入力15に接続される。入力レジスタ6,7のデータ出力は、n個の並行データライン16,17を経てデジタル加算器20のデータ入力18,19に接続されている。デジタル加算器20は、全加算器の構成を有することが好ましい。デジタル加算器20は、デジタルデータ入力18,19にある2つのデジタル入力データ値を加算し、データ出力21から加算出力データ値を伝送する。
【0019】形成された加算出力データ値のn−m個の最下位ビット(LSB)は、n−m個の並列データビットライン22を経て直接的に下流の飽和回路24のデータ入力23に適用される。
【0020】形成された加算出力データ値のm個の最上位ビット(MSB)は、m個の並列データビットライン25を経てクロックステート制御されるラッチレジスタ27のデータ入力26に適用される。クロックステート制御されるラッチレジスタ27は、制御入力28を具備する。この制御入力28は、制御ライン29を経てインバータ回路31の出力30に接続されている。インバータ回路31は、入力32を具備し、この入力32は、信号ライン33を経てクロック信号の分岐ノード13に接続されている。インバータ回路31は、入力32にあるクロック信号CLKを反転させ、制御信号ENとしてクロックステート制御されるラッチレジスタ27の制御入力28に伝送される。クロックステート制御されるラッチレジスタ27は、データ出力34を有し、このデータ出力34は、m個のデータビットライン35を経て下流の飽和回路24のデータ入力23に接続されている。飽和回路24は、データ入力23にある加算出力データ値を上側データしきい値Smaxおよび下側データしきい値Sminによって定められたデータ値域内に制限する。上下のデータしきい値Smax,Sminは、設定ライン36,37を経て加算回路1の設定接続部38,39により設定され得ることがより好ましい。飽和回路24は、データ出力40を具備し、このデータ出力40は、n個の並列データビットラインライン41を経て加算回路1のデータ出力レジスタ43のデータ入力42に接続されている。データ出力レジスタ43はクロック信号入力44を具備し、このクロック信号入力44は、クロック信号ライン45を経てクロック信号の分岐ノード13に接続されている。データ出力レジスタ43は、飽和回路24により制限された加算出力データ値をバッファ記憶し、n個の並列接続されたデータビットライン46を経て加算回路1のデータ出力47に接続されている。
【0021】図4は本発明に係る加算回路に含まれる飽和回路のブロック図である。飽和回路24は、設定ライン36にある上側データしきい値Smaxとデータ入力23にある加算出力データ値とを比較する第1のコンパレータ48を具備している。この目的のために、第1のコンパレータ48は、第1の信号入力49および第2の信号入力50を具備する。つまり、ライン51を経て加算器20により出力された加算出力データ値を受け取るため、およびライン52を経て上側データしきい値Smaxを受け取るためである。第1のコンパレータ48は、制御ライン53を経て第1のマルチプレクサ54を制御する。この第1のマルチプレクサ54は、データライン56から第1のデータ入力55を経て上側データしきい値Smaxを受け取り、データライン58から第2のデータ入力57を経て加算出力データ値ADDoutを受け取る。
【0022】第1のマルチプレクサ54の出力値はデータライン59を経て飽和回路24における第2のコンパレータの第1の信号入力60に適用される。第2のコンパレータ61は、第2の信号入力62を具備し、この第2の信号入力は、ライン63を経て設定ライン37から設定可能な下側データしきい値Sminを受け取る。第2のコンパレータ61は制御ライン64を経て第2のマルチプレクサ65を制御する。この第2のマルチプレクサ65は、データライン67から第1のデータ入力66を経て下側データしきい値Sminを受け取る。また、第2のマルチプレクサ65は、第2のデータ入力68を具備し、データライン69を経て第1のマルチプレクサ54から伝送されたデータ値が第2のデータ入力68に適用される。第2のマルチプレクサ65の出力側は、ライン70を経て飽和回路24の出力40に接続されている。
【0023】第1のコンパレータ48が、加算器20から出力された加算出力データ値ADDoutが設定された上側データしきい値Smaxより大きいことを検出した場合、第1のコンパレータ48は、制御ライン53を介して第1のマルチプレクサ54を制御し、第1のマルチプレクサ54において第1のデータ入力55が出力側のデータライン59に接続するように切り替える。反対に、第1のコンパレータ48が、加算出力データ値ADDoutが上側データしきい値Smaxより小さいことを検出した場合、第1のコンパレータ48は、制御ライン53を介して第1のマルチプレクサ54を制御し、第1のマルチプレクサ54において第2のデータ入力57が出力側のデータライン59に接続するように切り替える。したがって、現実の加算出力データ値をもとに処理される。
【0024】第2のコンパレータ61は、データライン59にある実際のデータ値と下側データしきい値Sminとを比較し、同様に、制御ライン64を介して第2のマルチプレクサ65を制御する。データライン59にある実際のデータ値が下側データしきい値Sminより小さい場合、第2のマルチプレクサ65のデータ入力66が飽和回路24のデータ出力40に接続するように切り替えられる。一方、データライン59にある実際のデータ値が下側データしきい値Sminより大きい場合、第2のマルチプレクサ65の第2のデータ入力68が飽和回路24のデータ出力40に接続するように切り替えられる。
【0025】図4に具体的に示されているように、飽和回路24は、2つのコンパレータ回路48,61および2つのマルチプレクサ54,65によって実現されている。
【0026】2つのデータしきい値Smax,Sminは、より好ましくは以下のようなものが選ばれる。
Smax=2(n-1)−1Smin=−2(n-1)【0027】上側データしきい値Smaxは、最上位ビットMSBとして1つの0および最下位ビットLSBとしてn−1個の1を含んでいる。それゆえ、Smaxは次のように表される。
Smax=2(n-1)−1【0028】下側データしきい値Sminは、最上位ビットMSBとして1つの1および最下位ビットLSBとしてn−1個の0を含んでいる。
【0029】下側データしきい値Sminは、結果的に次のように表される。
Smin=−2(n-1)【0030】図5は図3に示されるような本発明に係る加算回路において信号が立ち上がる様子を示した時系列図である。クロック信号入力15には、加算回路1に共通のクロック信号CLKがある。時刻t0において、入力データレジスタ6,7に置かれている入力データ値A,Bは、クロック信号CLKが立ち上がることによって時刻t1で示される特定の信号伝送時間の後に立ち上がり、デジタル加算器20のデータ入力18,19に向けてデータを伝送する。時刻t2になると、デジタル出力信号ADDoutがデジタル加算器20のデータ出力21に到達する。データ出力21に出力される出力データ値は、時刻t4まで変動し、その後確定する。
【0031】インバータ回路31によって反転されたクロック信号(CLK)’は、イネーブル信号ENとしてラッチ回路29の制御入力28に表れる。時刻t0から時刻t6の間では、ラッチ回路27により最上位ビットMSBでないものが飽和回路24に伝送されるように切り替えられる。時刻t2から時刻t4の間では、データビットがデジタル加算器20のデータ出力21において前後に変動する。
【0032】時刻t3から時刻t4の間では、最下位ビットLSBのグリッチングが飽和回路24のデータ出力40において生じる。最上位ビットMSB−SAToutが飽和回路24のデータ入力23において安定であるため、上側データしきい値Smaxと下側データしきい値Sminとの間で起きる前後変動(トグリング)は、発生しなくなり、その結果、ビット切替の命令が出される回数が最小限になる。このように、本発明に係る加算回路1によれば、最上位ビットMSBのためのラッチレジスタ27により、飽和回路24内の切り替えによる電力損失が最小限となる。
【0033】飽和回路24のデータ出力40において生じるトグリングまたは前後変動を最大限抑制するため、ラッチされた最上位ビットMSBの数mは以下のように選ばれることが好ましい。
m > 1【0034】mの値が増加すると飽和回路24内の切り替えによる電力損失は降下するが、ラッチレジスタ27内の切替命令のために切り替えによる電力損失は増加する。加算回路1全体で切り替えによる電力損失を最小限にするためには、以下のようにすることで達成される。
m=1+2【0035】加算されるための入力データのデータビット幅nは一般的に20データビット以上である。選択されたしきい値Smin,Smaxによって、4または5データビットの値がmとして選ばれるのが好ましい。
【出願人】 【識別番号】500390711
【氏名又は名称】インフィネオン・テクノロジーズ・アーゲー
【出願日】 平成13年8月23日(2001.8.23)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇 (外5名)
【公開番号】 特開2002−132492(P2002−132492A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2001−252692(P2001−252692)