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【発明の名称】 入力装置及びプロジェクタ
【発明者】 【氏名】飯塚 俊美

【氏名】野田頭 英文

【要約】 【課題】比較的簡単な構成で、外乱光の影響を抑制することができる入力装置、プロジェクタを提供すること。

【解決手段】所定の周期で点滅する光源5を有する指示具4と、光源5からの光を受光し、光源5が指し示す点又は軌跡を検出して、当該点又は軌跡の座標情報を作成する検出器1と、を備え、検出器1は、光源5の点灯時の受光量と消灯時の受光量とに基づいて、光源5からの光と外乱光とを区別する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の周期で点滅する光源を有する指示具と、前記光源からの光を受光し、該光源が指し示す点又は軌跡を検出して、当該点又は軌跡の座標情報を作成する検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記光源の点灯時の受光量と消灯時の受光量とに基づいて、前記光源からの光と外乱光とを区別することを特徴とする入力装置。
【請求項2】 前記光源は、赤外光を発散することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】 前記検出手段が、可視光を遮断し、赤外光を透過する材料から形成された受光窓を有することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】 前記指示具が、前記光源を前記周期で点滅させるための駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、所定の処理の実行を指示するための制御信号を発生する制御信号発生手段と、前記制御信号を前記駆動信号に重畳する手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】 前記座標情報を、外部コンピュータに送出する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】 映像を投影する映像投影手段と、所定の周期で点滅する光源を有する指示具の前記光源からの光を受光し、該光源が指し示す点又は軌跡を検出して、当該点又は軌跡の座標情報を作成する検出手段と、を備えたプロジェクタであって、前記検出手段は、前記光源の点灯時の受光量と消灯時の受光量とに基づいて、前記光源からの光と外乱光とを区別することを特徴とするプロジェクタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の指示具が描く点、軌跡を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の座標入力装置としては、CCDエリアセンサやリニアセンサを用いて画面上の光スポットを撮像し、重心座標あるいはパターンマッチングを用いるなどの画像処理を行って、座標値を演算して出力するものや、PSDと呼ばれる位置検出素子(スポットの位置に対応した出力電圧が得られるアナログデバイス)を用いるものなどが知られている。
【0003】例えば、特公平7−76902号公報には、可視光の平行ビームによる光スポットをビデオカメラで撮像して座標を検出し、同時に赤外拡散光で制御信号を送受する装置について開示されている。また、特開平6−274266号公報には、リニアCCDセンサと特殊な光学マスクを用いて座標検出を行う装置が開示されている。
【0004】特許第2503182号には、PSDを用いた装置について、その構成と出力座標の補正方法が開示されている。USP5235363号には、プロジェクターの投射レンズによって投射された投射像の上に重ねて投射されるスポット光の位置を、前記の投射レンズを通して検出する装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、投射型ディスプレイの明るさが改善され、明るく照明された環境においても十分使用できるようになってきており、需要が拡大されつつある。そして、座標入力装置は、そのようなディスプレイと組み合わした環境においても使用できるように、外乱光に強いことがますます必要になってきている。また、近年、無線通信手段として、赤外線を利用する機器が増加しており、赤外、可視光ともに外乱光は、増加傾向にあるため、外乱光に強いことは、装置の重要な特性の一つである。
【0006】しかしながら、前記特公平7−76902号公報、前記特開平6−274266号公報に記載された発明からもわかるように、従来のCCDセンサを用いるものは、光学フィルタでしか外乱光を抑制することができない。
【0007】これに対して、特許出願第2503182号のように、PSDを用いる装置では、光強度を周波数変調し、この変調波を同期検波することにより、外乱光の影響を抑制できるため、光学フィルタと併用することによって、外乱光に対しては強い特性を持っている。しかし、大画面ディスプレイは、明るさの改善と同時に高解像度化も進められている。このため、座標入力装置の分解能も向上させる必要があるが、外乱光に強いPSDを用いた装置ではこの点において問題がある。
【0008】すなわち、センサ出力電圧のダイナミックレンジが入力範囲にそのまま対応しているため、例えば全体を1000の座標に分解する場合には少なくとも60dB以上のS/N比が必要になり、さらに前記特許第2503182号で述べられているように、直線性誤差のデジタル補正が必須であるため、高精度なアナログ回路と多ビットのAD変換器と演算回路とが必要になる。
【0009】さらに、センサ出力信号のS/N比は光量と光スポットのシャープさに依存するため、前述した外乱光の抑圧だけでは不十分であり、明るく高精度な光学系も必要になる。このようなことから、装置自体が非常に高価で、大型なものになってしまう。
【0010】さらに、CCDセンサを用い、分解能を高める手法として、前記特公平7−76902号公報では、ビデオカメラを複数台同時使用することが開示されているが、これは装置が大型化し、高価になる。また、一台で画素数の多いビデオカメラの場合には、複数のカメラを用いるよりもさらに大型化し、高価となる。また、画像処理によって、画素数よりも高い分解能を達成するには、膨大な画像データの高速処理が必要となり、リアルタイム動作をさせるには非常に大型で、高価なものとなってしまう。
【0011】また、前記特開平6−274266号公報では、特殊な光学マスクと信号処理とによって高分解能が得られるようにしており、外乱光が小さく良好なS/N比が確保できれば高分解能化が可能である。しかし、実際には、リニアセンサでは結像が線状であり、点像となるエリアセンサに比べて面内で外乱光との分離ができないため、外乱光の影響を受けやすく、外乱光の少ない特殊な環境でしか実用にならないという問題がある。
【0012】USP5235363では、プロジェクターの投射レンズを用いてTTLでスポット光の位置を検出しているが、投射レンズのうしろに配置されたビームスプリッターがあるためレンズのバックフォーカスが伸びてレンズの大型化を招く。
【0013】特に3板式のプロジェクターにあるようなダイクロプリズムを用いた色合成系がレンズのうしろにある場合には上記のビームスプリッターを配置するスペースはほとんど無いことが問題である。また、強力な反射光がレンズ内で散乱し、座標位置検出能力が低下する。
【0014】そこで、本発明の目的は、比較的簡単な構成で、外乱光の影響を抑制し得る入力装置及びプロジェクタを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、所定の周期で点滅する光源を有する指示具と、前記光源からの光を受光し、該光源が指し示す点又は軌跡を検出して、当該点又は軌跡の座標情報を作成する検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記光源の点灯時の受光量と消灯時の受光量とに基づいて、前記光源からの光と外乱光とを区別することを特徴とする入力装置が提供される。
【0016】また、本発明によれば、所定の周期で点滅する光源を有する指示具の前記光源からの光を受光し、該光源が指し示す点又は軌跡を検出して、当該点又は軌跡の座標情報を作成する検出手段と、を備えたプロジェクタであって、前記検出手段は、前記光源の点灯時の受光量と消灯時の受光量とに基づいて、前記光源からの光と外乱光とを区別することを特徴とするプロジェクタが提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】図1は、本発明の一実施形態に係るプロジェクタ8を用いたシステムの概略図である。
【0019】プロジェクタ8は、外部のコンピューター9からの画像信号が入力される画像信号処理部81と、これによって制御されるライトバルブである液晶パネル82、及びランプ83、レフレクター84、コンデンサーレンズ85からなる照明光学系と、液晶パネル82の像をスクリーン10上に投影する投影レンズ86を備える。
【0020】映像が投射される画面であるスクリーン10に投影レンズ86から投射する光路内で指示具4の先端の発光部5から拡散光が検出器1に向かって発せられる。
【0021】検出器1は、座標検出センサ部2とこれの制御及び座標演算などを行なうコントローラ部3と、制御信号検出センサ部6とその信号処理部7を備え、発光部5からの光を受光し、指示具4が操作されることにより、発光部5が指し示す点、又は、軌跡を検出したり、指示具4の各ボタンの状態に対応する制御信号を検出して、その座標情報や制御情報を作成し、これをコントローラー3によってコンピュータ9に通信するようにしている。
【0022】これにより、表示画面上に文字や線画を記入したり、ボタン操作やアイコンの選択決定などの入力操作が指示具4によって自由に行なえるものである。
【0023】図2は、検出器1及び指示具4の内部構造を示すブロック図であり、これらが座標の入力装置を構成する。図2を用いて、指示具4の構成、検出器1の構成及び各部の動作について順を追ってさらに詳細に説明する。
(指示具4の説明)指示具4は、拡散光源である発光素子41を内蔵する発光部5とその発光を駆動制御する発光制御手段42及びスイッチ43とボタン44A,44Bから構成されている。発光素子41としては赤外LED等を用いることができる。本実施形態では、赤外光を発光する素子を想定している。
【0024】発光制御手段42は、スイッチ43及びボタン44A,44Bの状態により、発光素子41のON/OFFを行う駆動信号を発生し、発光素子41を所定の周期で点滅させると共に、後述するような変調方法によって制御信号を重畳した発光制御を行なう。
【0025】図3は指示具4の外観図である。操作者が、指示具4を握ってスイッチ43をONにすることによって発光部5が発光する。発光部5からの拡散光を検出器1によって受光し、後述の処理により座標信号が出力されはじめる。制御信号がOFFの場合、画面上ではカーソルの動きや表示画面のボタンのハイライト切換えなどによる操作者への指示位置の明示のみが行なわれる。
【0026】ボタン44A,44Bを押すと、それぞれに割り付けられた制御信号が駆動信号に重畳され、例えば、文字や線画の入力を開始したり、スクリーン10に投影された映像上のボタンを選択決定するなどの画面制御が実行できる。このような構成により、操作者は片手で画面上の任意の位置をすばやく正確に文字や図形を描いたりボタンやメニューを選択したりして軽快に操作することができる。
【0027】なお、指示具4として、近接用遠隔用の2種類の指示具を用いたり、2つの指示具を同時に2人以上で操作したり、あるいは色や太さ等表現するものの属性の異なる複数の指示具を用いることもでき、このような場合のために、発光制御手段42は、指示具固有のID番号を制御信号と共に送信するようにされている。
【0028】送信されたID番号に対応して、描かれる線の太さや色などの属性を外部接続機器側のソフトウェアなどで決定することができ、これにより画面上のボタンやメニューなどで設定変更することができる。この操作は、指示具4に別途操作ボタン等を設けて変更指示信号を送信するようにしてもよく、これらの設定については指示具4内部あるいは検出器1内に状態を保持するようにしてID番号ではなく属性情報を外部接続機器へ送信するように構成することもできる。
【0029】この場合には指示具4または検出器1に設定データの保持機能を付与すれば足り、一つの指示具を2台以上の装置で使用する場合に属性を一度に切換えたり、複数の外部接続装置の画面を表示させる場合に設定が共通化できるなど便利な使い方が可能となる。なお、このような追加の操作ボタンは他の機能、例えば表示装置の点滅や信号源の切換え、録画装置などの操作などを行なえるようにもできることはいうまでもない。
(検出器1の説明)検出器1には、集光レンズ61によって高感度に光景検出をおこなう制御信号検出センサ60とシリンダーレンズ90X,90Yによって光の到来方向を検出する二つのリニアセンサ20X,20Yが設けられており、指示具4の発光部5からの拡散光を可視光カットフィルター100を透過させて外乱光を排除した後、それぞれが受光する。
【0030】集光レンズ61、制御信号検出センサ60、シリンダーレンズ90X,90Y、リニアセンサ20X,20Yは、例えば、図4に示すように配置され、制御信号検出センサ60には集光レンズ61が装着されており、画面上の全範囲から高感度で所定波長の光量を検知するようになっている。その出力は周波数検波手段71によって検波され、発光制御手頃42によって重畳された制御信号などのデータをふくむデジタル信号が復調されるよう構成されている。
【0031】一方、二つのリニアセンサ20X,20Yは、シリンダーレンズ90X,90Yによって指示具4の発光部5の拡散光を集光し、各センサの感光部21X,21Yに線状に結像される。図4に示すように二つのセンサを正確に直角に配置し、X座標検出用のリニアセンサ20Xの感光部21Xが投影レンズ86の光軸の上に配置することで、リニアセンサ20X,20YそれぞれがX座標、Y座標を反映した画素にピークを持つ出力が得られるようになっている。
【0032】これらのセンサはセンサ制御手段31によって制御されており、その出力信号はセンサ制御手段31に設けられたAD変換手段31Aでデジタル信号として座標演算手段32に送られ、センサ上における出力座標値が計算される。
【0033】シリンダーレンズ90X,90Yは、例えば、図5に示すようにプラスチック成形で一体的に構成することで、X軸,Y軸を正確に設定することができる。
【0034】また、集光レンズ61をリニアセンサ20X,20Y及びシリンダーレンズ90X,90Yに対して同一の方向で、略同一面、かつ同一直線上に配置することにより、プロジェクタ8のスペース効率をよくすることができる。
(制御信号復調動作)図6のタイミングチャートは、制御信号検出センサ60の出力信号から制御信号を復元する動作を表わす信号波形の図である。前述のように指示具4のスイッチ43がONになると発光が開始され、比較的長い連続するパルス列であるリーダー部とこれに続くコード(メーカーIDなど)からなるヘッダー信号が最初に出力され、このあとに制御信号などの送信データ列があらかじめ定義された順序と形式で続く。
【0035】各データビットは“0”に対して“1”は2倍の間隔をもつように変調する形で形成されている。周波数検波手段71はこの波形のなかでもっとも高い第1の周波数のパルス周期に同調されており、可視光カットフィルター100と併用することで、外乱光の影響を受けることなく波形CMDのように変調信号を復調し、制御信号検出手段72によってデジタルデータとして解釈され制御信号が復元される。
【0036】この構成は赤外線リモートコントローラ等で実用されている技術と同様のものであり、信頼性の高い無線通信方式である。また、この第1の変調周波数は一般に使用されている赤外線リモートコントローラより高い帯域、例えば60KHzを用いれば、同時に使用しても誤動作することはない。周波数検波手段71の検波出力信号CMDは、制御信号検出手段72によってデジタルデータとして解釈され、前述の制御信号が復元されて通信制御手段33に送られる。
【0037】次にセンサの位相同期について述べる。波形CMDに含まれる第2の周波数であるコード変調の周期はセンサ制御手段31によって検出されセンサ制御に用いられる。
【0038】すなわち、ヘッダー部のタイミングでリセットされその後のCMD信号の立ち下がりに位相同期された信号LCKを生成することにより発光の有無に同期した一定周波数の信号をセンサ制御手段31が持つことになる。また、信号CMDからは光入力の有無を表わす信号LONとこのLONによって起動されるセンサリセット信号RCDが生成される。この信号RCLがHの間に二つのセンサはリセットされ、LCKの立ち上がりに同期したRCLの立ち下がりのタイミングで後述する同期積分動作が開始される。
【0039】一方、制御信号検出手段72がヘッダーを検出し、他の機器やノイズではなく指示具4からの入力が開始されたことを確認すると、これがセンサ制御手段31に伝達され、センサ動作有効を示す信号CONがHにセットされ、座標演算手段32の動作が開始される。
【0040】光入力信号LSGがなくなり、一連の動作の終了時のタイミングチャートを図7に示す。LSGから検波された復調信号CMDがLを一定時間以上続けると、光入力有無を表わす信号LONがLになり、CONもLになり座標出力動作を終了する。
【0041】次に、リニアセンサ20X、20Yの同期積分動作について説明する。本実施形態では、リニアセンサ20X、20Yとして、アレイ状でありかつ同期積分動作が行なえるものを想定する。
【0042】図8は、リニアセンサ20X,20Yの内部構成図である。このセンサについては同一出願人の特開平08−233571号公報にその詳細が述べられているので、ここでは本実施形態に関連する部分のみを説明する。なお、X用Y用の二つは同じものであるので、以下の説明は一方のみについて行なう。
【0043】受光部であるセンサアレイ21はN個の画素からなり、受光量に応じた電荷が積分部22に貯められる。積分部22はゲートICGに電圧を加えることでリセット出来るので、これにより電子シャッター動作が可能である。積分部22に貯えられた電荷は電極STにパルス電圧を加えることで蓄積部23に転送される。
【0044】蓄積部23は2N個あり、光の点滅に同期した前記LCK信号のHとLに対応して別々に電荷が蓄積される。その後転送クロックを簡単にするために設けられたシフト部を介して2N段のリニアCCD部25に蓄積された電荷が転送される。このようにしてリニアCCD部にはN画素のセンサ出力の光の点滅に対応した電荷が隣接して並ぶことになる。
【0045】こうしてリニアCCD部25に並べられた電荷は順次リングCCD部26に転送される。このリングCCD26は前述のRCL信号によってCLR部27で空にされた後、リニアCCD25からの電荷を順次蓄積していく。29はこの電荷を読み出すアンプであって、非破壊で蓄積電荷量に比例した電圧を出力する。
【0046】図9はこの出力波形の一例を示す図であって、点灯時の信号のみを読み出すとBの波形、非点灯時の波形すなわち外乱光のみの信号はAの波形となり、隣接してこれらの対応する画素の電荷がリングCCD26には並んでいるので、アンプ29は実際にはこの隣接転送段の差分を非破壊増幅して出力するようになっており、その出力波形はB−Aに示すように外乱光の成分が打ち消されてノイズが抑圧され指示具4からの点滅光のみの像の信号が得られる。
【0047】この波形の最大値であるPEAK信号は、点滅の繰り返しにより順次リングCCD26に蓄積されて大きくなるので、このレベルが所定の大きさTH1に達したことを検出することで、常に一定した品位の出力波形が得られる。なお、この判定はX用、Y用二つのセンサに対して別々に行なってもよいが、ごく近接して配置している場合には、ほぼ同量の光が入射するので、出力のピークもほぼ同じである。このため、本実施形態では一方のみの出力で判定を行ない、まったく同じ制御を両方のセンサに行なうことで、回路を簡単にしている。
【0048】一方、外乱光が非常に強い場合、この差分波形のピークが十分な大きさになる前に、リングCCD26の転送電荷が飽和してしまう恐れがある。このような場合のために、このリニアセンサ20X,20Yはスキム機能を設けている。
【0049】図10はその動作を表わす図である。スキム部28は非点灯信号のレベルを監視していてn回目で信号レベルが所定の値を超えている場合(図10中の点線)、一定量の電荷をA,B各画素から抜き取るように作用する。このため、次のn+1回目にはAn+1のような波形となり、これを繰り返すことで、非常に強い外乱光があっても飽和することなく、信号電荷の蓄積が続けられる。この結果、点滅光の光量が微弱であっても多数回積分動作を継続すれば、十分な大きさの信号波形を得ることが可能になっている。
【0050】こうして得られた二つのリニアセンサ20X、20Yの信号(差分信号)は、センサ制御手段31に接続されたnビット(例えば8ビット)のAD変換手段31Aでデジタル信号として座標演算手段32に送られ座標が計算される。
【0051】座標演算はまずX,Y方向各々の出力データに対してセンサ上の座標値(X1,Y1)が求められる。X,Y同様であるのでXのみについてそのフローチャートを図11に示す。
【0052】まず、各画素の差分データDx(1)〜Dx(N)が読み込まれ(ステップS202)、バッファメモリに貯えられる。次にさらにノイズを抑圧してS/Nを改善するために、プレフィルタリングを行う(ステップS203)。これは近傍演算オペレータ(1,2,1)として良く知られているごく簡単な足し算である。
【0053】次に、最大値とその前後のうち大きい方の画素を検索し、その画素番号をnx,nx+1とする(ステップS204)。ピークの画素間の正確な位置を微分オペレータの一種である(1,1,0,−1,−1)を用いて求める。この計算は微分波形のゼロクロスを求めるものであるが、簡単な式の整理によりその式はステップS205に示す、以下の非常に簡単な形になる。
【0054】
【数1】

【0055】こうして求めた画素間座標Gxと画素番号nxの和がセンサ出力座標X1である(ステップS206)。Y1についても、X1と同様にY1=Gy+nyを求めることができる。
【0056】次にユーザー校正関数を利用して校正を行い、出力座標値(X,Y)を得る。このユーザー校正は単純な一次関数による変換であり、設置状態を変更したときなどの校正値設定モードでユーザーが予め定められた画面上の3点(または、それ以上)を指示することによって、その関数の係数が3元連立方程式の解(4点以上の場合には最小二乗法などのフィッティング法を用いればよい)として定められる。
【0057】このようなユーザーによる設置校正は、座標入力装置で一般に行なわれている方法であり、詳細な説明は省略するが、プロジェクタのように、設置変更が頻繁に行なわれるものでは、この機能を具備することが望ましい。
【0058】以上のように求められた出力座標値(X,Y)と制御信号などのデータは通信制御手段33によって所定の通信方法でコンピューター9に送出され、コンピューター9からの命令によって投射表示装置8が投射する画面上のカーソルやメニュー、文字や線画の入力などの各種操作が行なえる。
【0059】次に、図12は、プロジェクタ8を正面から見た図で、受光窓である可視光カットフィルター100の内側に内蔵されているリニアセンサ20Xは感光部21Xがプロジェクタ8の投射レンズ86の光軸上に位置するように構成され、リニアセンサ20Yと感光部21Yはそれぞれリニアセンサ20Xと感光部21Xと略同一平面の近傍に配置し、さらに制御信号検出センサ60をリニアセンサ20X及び20Yと略同一平面内の近傍に配置している。
【0060】また、制御信号検出センサ60は感度を上げるために図12に示すように複数配置してもよい。可視光カットフィルターは例えば商品名クラレックス(T57006)などのシャープカットフィルターが利用できる。また指示具4の発光素子41の発光波長に合わせたバンドパスフィルターを用いてもよい。51は赤外線を用いて、プロジェクタ8をコントロールするためのリモートコントローラからの赤外線を受光する受光センサで、図1に配置を示す。前記の可視光カットフィルター100を共用して、その内側に配置される。52はセンサ制御手段である。
【0061】図13は、プロジェクタ8の他の形態を示した図であり、伸縮自在な指示具4をプロジェクタ8に設けられた着脱収納部8aに取り付けた態様を示している。8bは指示具4を固定するためのベルトである。
【0062】以上説明したように、上記実施形態によれば、指示棒により所定の周期で点滅する光スポットの点灯時と非点灯時との信号を別々に積分して差信号を求め、その差信号をnビット以上のデータ幅でデジタル化して座標演算処理を行い、センサ画素数の約2のn乗倍の分解能の座標値を出力するようにしたので、ピーク画素の位置を精度よく求め、像信号の品質が良好で画素間を分割して高分解能の座標値を得ることができるため、外乱光の影響を抑制し、高分解能で、小型、軽量、低コストな座標入力装置を実現できる。この座標入力装置をプロジェクターに内蔵し、投射レンズの横側位置に配置する事によって、パララックスが少なく、小型のプレゼンターションシステムを提供する事が出来る。
【0063】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、比較的簡単な構成で、外乱光の影響を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳 (外2名)
【公開番号】 特開2002−132448(P2002−132448A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−324234(P2000−324234)