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【発明の名称】 座標入力装置
【発明者】 【氏名】関口 英紀

【氏名】浜 壮一

【氏名】藤井 彰

【要約】 【課題】コンパクトで高精度の座標入力装置を提供する。

【解決手段】2つの超音波受信器が受信する超音波の包絡線やゼロクロス点を利用して超音波伝播時間を検出するとある程度の誤差は発生するが,2つの超音波受信器の受信超音波の位相差は,誤差が非常に少ない。そこで,この2つの超音波受信器の受信超音波の位相差を座標検出に利用する。即ち,2つの受信超音波の位相差は,超音波発信器と2つの受信器とのそれぞれの距離L1,L2の差M(=L2−L1)に対応する時間である。そこで,包絡線などを利用して求めた第1の距離L1と,受信波の位相差から求めた距離の差Mとから,三角測量法により入力デバイスの入力座標を演算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波発信器を有し,前記入力面内の所望の位置に移動可能な入力デバイスと,前記入力面に対して所定の箇所に取り付けられ,前記入力デバイスの超音波発信器からの超音波を受信する少なくとも第1及び第2の超音波受信器を有する固定ユニットと,前記第1の超音波受信器が受信した超音波から前記超音波発信器と当該第1の超音波受信器との間の第1の超音波伝播時間を生成し,前記第1及び第2の超音波受信器が受信した超音波の位相差を生成する受信部とを有し,前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】請求項1において,前記受信部は,前記受信超音波の包絡線が所定の閾値を越えるタイミングにより,前記第1の超音波伝播時間を生成することを特徴とする座標入力装置。
【請求項3】請求項1または2において,前記受信部は,前記第1及び第2の超音波受信器の受信超音波のゼロクロス点のタイミング差により前記位相差を求めることを特徴とする座標入力装置。
【請求項4】請求項1において,前記入力デバイスが前記第1及び第2の超音波受信器から所定の基準距離未満の場合は,前記第1及び第2の超音波受信器の受信超音波のゼロクロス点のタイミングにより求められる第1及び第2の距離にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められ,前記所定の基準距離以上の場合は,前記前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする座標入力装置。
【請求項5】入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波発信器(または受信器)と赤外線発信器と入力ボタンとが設けられた本体と,当該本体の底部に設けられ,本体が水平面上に置かれた状態でオペレータに触れられたときの圧力を検出する感圧スイッチとを有し,前記感圧スイッチの圧力検出に応答して,前記赤外線発信器が所定時間毎に同期信号を送出し,当該同期信号に同期して前記超音波発信器(または受信器)が超音波を発信(または受信)して,超音波の伝搬時間に従う距離から前記本体の位置が検出され,前記感圧スイッチが前記圧力を検出した時の当該本体の位置の移動に従って,前記コンピュータのカーソル位置が更新されることを特徴とする座標入力装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,超音波を利用して入力デバイスの位置を検出して座標入力を行う座標入力装置に関し,特に,複数の超音波受信器を有する固定ユニットをコンパクト化し且つ位置検出の精度を高くすることができる座標入力装置に関する。本発明の座標入力装置は,手書き文字などの軌跡を入力すしたり入力面の座標を入力したりするペン型或いはマウス型などを含む。
【0002】
【従来の技術】コンピュータに入力デバイスの軌跡や座標を入力するための装置として,超音波を利用した座標入力装置が提案されている。超音波を利用した座標入力装置は,例えば入力デバイスに設けられた超音波発信器からの超音波を,入力面に対して所定の位置に離間して設けられた複数の超音波受信器で受信し,それぞれの超音波伝播時間と超音波速度との積から入力デバイスと超音波受信器との距離L1,L2を求め,三角測量法により入力デバイスの座標を求める。入力面が三次元座標空間内の任意の位置に設けられる場合は,少なくとも3個の超音波受信器を設けることで,入力デバイスの位置を検出することができる。かかる座標入力装置は,超音波を利用するので,入力面として特別の構造を有するタブレットを使用する必要がなく,入力面を選ばず利便性が高い。
【0003】入力デバイスと超音波受信器との距離を高精度に求めるためには,超音波の波長をできるだけ短くすることが望ましい。しかし,超音波の波長が短いと,空気中の伝播に伴う超音波の減衰率が大きくなり,広範囲の入力面からの座標入力が困難になる。また,超音波の減衰は検出される距離の精度低下を招く。したがって,現在普及している座標入力装置の超音波波長は,ある程度の長い波長,例えば40KHz程度の周波数で,8mm程度の波長を有する。この程度であれば,減衰がそれほど大きくなく,実用に耐えられる領域を入力面として利用できる。
【0004】上記伝播時間は,赤外線などを利用した同期タイミングから超音波の受信タイミングまでの時間により求められ,それに音速を乗算して入力デバイスと受信器との距離L1,L2が求められる。
【0005】図1に示される通り,超音波発信器が,そのメンブレンを駆動パルスにより振動させて超音波を発信すると,超音波はその振幅が徐々に増大する波形になる。したがって,超音波の受信タイミングを検出するために,受信側で超音波の包絡線が一定の閾値rt1,rt2を越えるタイミングが一般的に利用される。即ち,赤外線などの同期信号から各受信超音波の包絡線が閾値rt1,rt2を越えるまでの時間T1,T2が,伝播時間として検出される。しかし,包絡線は傾きが小さく徐々に増大する波形であるので,一定の閾値を越えるタイミングは,ノイズにより前後にずれることがあり,ある程度の誤差が含まれる。
【0006】そこで,図2に示される通り,上記誤差をなくす方法として,受信超音波が基準値rt3を超えた後のゼロクロス点のタイミングを利用することが提案されている。超音波のゼロクロス点であれば,振幅の傾きが包絡線より急峻であるので,上記誤差を解消することができる。しかしながら,ゼロクロス点を利用する場合でも,図中の受信波1が基準値tr3を越えるタイミングと受信波1bが基準値tr3を越えるタイミングのずれによって,ゼロクロス点のタイミングに超音波の波長λ(例えば上記例では8mm)のずれが発生する。
【0007】従来,かかる波長のずれの問題を解決する手段として,連続してタイミングを監視し,大きく変化する場合に前回のタイミングに置き換えるなどが提案されている。例えば,特開平10−149251号公報。しかしながら,かかる方法は,複数の受信超音波を連続して監視する必要があり,また単発的に座標入力する場合には利用できない。
【0008】以上の通り,入力デバイスの超音波発信器と固定ユニットの超音波受信器との間の距離L1,L2を高精度に求めることには,一定の限界が存在する。したがって,従来提案されている座標入力装置は,複数の超音波受信器間の距離をある程度長くして,三角測量法の精度を高く保って,トータルの座標検出精度を上げている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,黒板のように比較的大型の入力面の場合は,超音波受信器の距離をある程度大きくとっても支障はないが,コンピュータの脇に確保できる比較的小面積の入力面や机上面では,そのような離間距離を大きくとった超音波受信器を利用することはできない。また,ノート型パソコンや携帯情報端末を利用するモバイル環境では,超音波受信器間の距離を狭くすることが望まれる。
【0010】しかし,超音波受信器間の距離を小さくすると,三角測量法の座標検出精度が低くなり,超音波発信器を有する入力デバイスと超音波受信器間の距離の測定精度の低下と相まって,トータルの座標検出精度が上がらず,小型座標入力装置の実用化の障害になっている。
【0011】そこで,本発明の目的は,超音波受信器間の距離をできるだけ小さくコンパクト化され,且つ座標検出精度を高くした座標入力装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために,本発明の一つの側面は,2つの超音波受信器が受信する超音波の包絡線やゼロクロス点を利用して超音波伝播時間を検出するとある程度の誤差は発生するが,2つの超音波受信器の受信超音波の位相差は,誤差が非常に少ない。そこで,この2つの超音波受信器の受信超音波の位相差を座標検出に利用する。即ち,2つの受信超音波の位相差は,超音波発信器と2つの受信器とのそれぞれの距離L1,L2の差M(=L2−L1)に対応する時間である。そこで,包絡線などを利用して求めた第1の距離L1と,受信波の位相差から求めた距離の差Mとから,三角測量法により入力デバイスの入力座標を演算する。
【0013】超音波受信器間の距離がある程度広い場合は,距離L1や距離差Mはある程度の分解能で求められれば良いが,超音波受信器間の距離が狭くなると,距離L1の分解能はそれほど高める必要がないが,距離差Mの分解能を高める必要がある。即ち,受信器間距離が狭くなると,2つの入力点までの距離差の変化も少なくなり,その分高い分解能が求められる。したがって,高精度が期待できる受信波の位相差により距離差Mを求めることで,上記の必要条件を満足することができる。
【0014】本発明の好ましい実施例では,受信超音波の包絡線を利用して第1の距離L1を求め,受信波のゼロクロス点の位相差を利用して距離の差M=L2−L1を求め,これらの値から三角測量法により入力座標を求める。
【0015】本発明の好ましい実施例では,受信波のゼロクロス点の位相差を利用する場合,受信器の距離が大きくなると,位相差から求められる距離差(位相差×音速)と実際の距離差に波長の整数倍の誤差が発生する。その場合は,入力面の領域を誤差が発生しない程度の狭い領域に限定するか,包絡線から求める2つの距離L1,L2にしたがって,位相差から求められる距離差Mに波長の整数倍の補正を行う。
【0016】本発明の別の側面は,入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波発信器を有し,前記入力面内の所望の位置に移動可能な入力デバイスと,前記入力面に対して所定の箇所に取り付けられ,前記入力デバイスの超音波発信器からの超音波を受信する少なくとも第1及び第2の超音波受信器を有する固定ユニットと,前記第1の超音波受信器が受信した超音波から前記超音波発信器と当該第1の超音波受信器との間の第1の超音波伝播時間を生成し,前記第1及び第2の超音波受信器が受信した超音波の位相差を生成する受信部とを有し,前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする。
【0017】本発明の更に別の側面は,超音波を利用した座標入力装置として機械式マウスと同様の操作性を実現する超音波マウスである。本発明の超音波マウスは,本体の底部に,本体が水平面上に置かれた状態でオペレータが触れている時の圧力を検出する感圧スイッチを有する。感圧スイッチが圧力を検出している間のみ,同期用赤外線と超音波発信器とを所定時間毎に駆動する。かかる構成にすることで,マウスが空中にあるときの座標入力が防止され,またオペレータが操作していない時の赤外線や超音波発信器の駆動が禁止され,消費電力を抑えることができるとともに,マウスが水平面上で移動された時の相対距離をコンピュータの画面内のカーソルに反映させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら,かかる実施の形態例が,本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】図3は,本実施の形態における三角測量の原理図である。図中,入力面上の二次元座標x−yに対して,入力デバイスが位置する座標Tと,距離pだけ離間した2つの超音波受信器R1,R2の位置が示される。入力デバイスから第1の受信器R1までの距離がL1,第2の受信器までの距離がL2とすると,距離L2はL1+M(Mは距離差)になる。したがって,超音波の伝播時間と位相差から距離L1と距離差M=L2−L1が求められれば,図3の三角測量法の原理にしたがって入力座標Tが求められる。
【0020】即ち,次の式x2+y2 = L12(x−p)2 + y2 = (L1+M)2をx,yについて解けば,x = (p2−2 L1M−M2)/2 py = (L12−x21/2と,入力座標T(x,y)を求めることができる。
【0021】図4は,距離差Mの軌跡を示す図である。入力点Tと2つの受信器R1,R2との距離の差Mの軌跡は,受信器R1,R2の位置と距離差Mから一義的に決まる双曲線50である。従って,2つの距離L1,L2の一方が決まれば,入力点Tの位置が決定する。この場合,要求される距離L1,L2の分解能は,受信器R1,R2間の距離pに依存しないが,距離差Mの分解能は,受信器間の距離pが小さくなるとより小さくする必要があることが理解される。
【0022】即ち,受信器間距離pが狭い時に,実際に高精度に求める必要があるのは,距離差M=L1−L2である。例えば,x=p/2 mm, y=300mmの位置で0.1mmの分解能で入力デバイスの位置を求める場合,受信器間距離p=200mmでは,距離L1は0.1mm分解能,距離差Mは0.063mm分解能で求めれば良い。一方,受信器間距離p=15mmの場合には,距離L1は0.1mm分解能のままでよいが,距離差Mを0.005mmで求めなければならない。
【0023】そこで本実施の形態では,高精度が不要な距離L1はゼロクロス利用時のような波長誤差が発生しない超音波の包絡線波形で求め,高精度が必要な距離差Mは受信波そのものの位相差から求める。
【0024】図5は,2つの受信波から伝播時間と位相差を求める方法を示す図である。赤外線などを利用した同期信号から,第1の受信器R1の受信波SA1の包絡線が閾値rt1を越えるタイミングまでの時間T1が,超音波発信器を有する入力デバイスから第1の受信器までの超音波伝播時間として検出される。包絡線を利用することにより,図2で説明した波長分の誤差の発生を避けることができる。即ち,伝播時間T1にはある程度の誤差は含まれるが,ゼロクロス点を利用した場合に伴う波長分λ(例えば8mm)という大きな誤差の発生は避けられる。
【0025】一方,第1の受信波SA1の包絡線が閾値rt1を越えた後のゼロクロス点Z1と,その直後の第2の受信波SA2のゼロクロス点Z2とのタイミング差T3が,2つの受信波の位相差として検出される。尚,ここでゼロクロス点とは,受信波の位相0°の点とする。もちろん,位相180°の点をゼロクロス点とすることも可能である。いずれかに統一すれば良い。
【0026】図5の例では,第2の受信波SA2の包絡線が閾値rt2を越えるタイミングで伝播時間T2を求めると,位相差T3を利用したT1+T3とは,図示される通りずれを生じる。しかし,立ち上がりが急峻な受信波のゼロクロス点同士の比較により求められる位相差T3は,包絡線により求める場合に比較して,精度が高くなる。
【0027】位相差を利用して距離差Mを求める場合,次の問題を考慮する必要がある。図5に示される第2の受信波SA2が進む場合は,第1の受信波SA1のゼロクロス点Z1に対応する第2の受信波SA2のゼロクロス点が,Z2,Z3,Z4...のいずれかになる。従って,ゼロクロス点Z1の直後のゼロクロス点Z2による位相差T3により求められる距離差mと実際の距離差Mとの間には,M=m+nλ(−λ/2<m<λ/2)の関係が成り立つ。つまり,位相差から求められる距離差mと実際の距離差Mとの間には,波長λの整数倍のあいまいさ(誤差)が存在する。
【0028】図4に示される通り,距離差Mは,最大でも2つの受信器R1,R2の距離pである。従って,2つの受信器の距離pが半波長λ/2以内であれば,上記の波長λの整数倍の誤差はなくなる。2つの受信器の距離pが大きくなるにしたがい,距離差M(−p<M<p)は,上記の波長λの整数倍の誤差を有することになる。距離pが大きいほど,取りうる整数nの数が増えることが理解される。
【0029】そこで,本実施の形態では,包絡線から求めた高精度不要な距離L1,L2を利用して求めた距離差L1−L2=Mにしたがって,正しいゼロクロス点の大体の位置を求めることで,上記のあいまいさをなくすようにする。
【0030】図6は,上記の位相差から求められる距離差mの曖昧さの発生を説明する図である。図6(a)の受信器間距離p≦λ/2の場合は,入力点Taがいかなる位置であっても,距離差M≦±λ/2 となるので,n=0の場合しか存在せず,あいまいさは発生しない。尚,図中では,受信器R1とR2に対する片方の180°領域のみしか考えないものとする。
【0031】図6(b)の受信器間距離λ/2 < p ≦ λの場合には, M≦±λとなるので, n=0以外にn=±1 の場合が発生する。例えば,p=λの時,図6(b)に示すように, 直線−λ/2からλ/2にはさまれた±30°の範囲はn=0の場合であり,λ/2よりも左側がn=1 の場合,−λ/2よりも右側がn=−1の場合である。従って,位相差T3から求めた距離差mでは,Taの位置かTbの位置かの場合があり,どちらが正しいのか区別が付かない。しかし,位置TaとTbは大きく離れているため,誤差の大きい距離L1とL2から求めた距離差にもとづいてTaかTbの区別を付けることが可能である。図6(c),(d)は,更に距離pが大きい場合の例であり,距離pが大きくなるにしたがい,取りうる点が多くなる。
【0032】図6中に実線で示されるケースn=0,±1,±2, … を分ける線について説明する。図4に示すように,受信器R1,R2が距離p離れている時,両受信器からの距離L1とL2との差がMの軌跡は,4 (x−p/2)2 /M2 + 4 y2 /(M − p)2 = 1の双曲線になる。この双曲線はR1とR2の中点を通りy軸と成す角θがθ = 90 − arctan{(p/M)2 − 1}1/2の直線に漸近する。そこで,この式に距離p,Mを代入すれば,倍数nを分ける線が求まる。
【0033】例えば,p=λ/2, λ, 3λ/2, 2λ, 5λ/2, 3λの場合には,以下の表の角度の線で分けられる。
【0034】
【表1】

【0035】上記表に示されるとおり,受信器間距離p=λ/2の時には,M=±λ/2の線は±90°となり,図6(a)に示すようにn=0で全範囲(±90°)になる。p=λの時には,M=±λ/2の線は±30°,M=±λの線は±90°となり,図6(b)に示すとおりである。p= 3λ/2の時には,nを分ける線は±19.5°,±41.8°,±90°となり,図6(c)に示されるように,Ta(n=0), Tb(n=1),Tc(n=−1)のあいまいさになる。
【0036】以上のように,受信器間距離pが大きくなるほど,分割する領域が多くなるため,それらを区別する概略距離L1,L2から得られる距離差L2−L1の精度が必要となるが,距離pが大きくなるほど包絡線から求める位置の精度が上がっていくので,それほど問題にはならない。
【0037】上記の通り,受信器間距離pをλ/2以下に制限すると,波長λの整数倍のあいまいさは発生しない。従って,2つの受信器の位置をそのように制限することで,上記曖昧さを避けることができる。或いは,受信器間距離pがλ/2以上離れていても,使用する入力面の範囲が,上記式のθの範囲内,θ<90 −arctan{(p/M)2 − 1}1/2であれば,波長λの整数倍のあいまいさは発生しない。例えば, p=λの場合でも,入力面の使用範囲を−30°<θ<30°に限定できれば,n=0に限定されるので,あいまいさが発生しない。
【0038】図7は,第1の実施の形態例における座標入力装置を示す図である。コンピュータ51にディスプレイ52が接続され,超音波発信器を有するペン型の入力デバイス4と,超音波受信器が設けられた受信ユニット54とからなる座標入力装置が,コンピュータ51に接続される。受信ユニット54が,紙などの入力面53の左上の位置に固定され,入力デバイス4の座標が検出され,入力目53上で描画した図がコンピュータに与えられ,表示される。
【0039】図8,図9は,座標入力装置の別の使用例である。図8では,パソコンディスプレイ画面55の左上隅に受信ユニット54が取り付けられている。この場合,受信ユニット54の座標系とディスプレイ画面55の座標系の関係を予め設定しておけば,入力ペン4による座標入力が可能になり,画面55上で入力ペン4によって文字や図形を描くと,それが画面55内に表示される。このようにすることで,CRTや液晶画面に特殊なシートを張る従来方式よりも簡便に座標入力が可能となる。また,必要に応じて受信ユニット54を画面55に固定したり紙に固定するようにしても良い。
【0040】図9では,受信ユニット56を入力ペン4のキャップ状にしたものであり,受信ユニット56内のマイクロコントローラのメモリに,入力ペンの筆跡が蓄積可能になっている。このようにすることで,キャップ付きの入力ペン4を携帯し,必要に応じて入力ペンからキャップ56を外して,キャップ56を入力紙53に固定後,入力ペン4で筆記し,その時の筆跡をキャップ内に保存し,オフィスに戻ってから,パソコンに筆跡を転送すれば良い。この時のデータ転送を同期用赤外線LEDで行うことができるようにすることが好ましい。
【0041】図10は,ペン型の入力デバイスの構成図である。図10(A)に示されるとおり,ペン型入力デバイス4には,ポリフッ化ビニリデン製の円筒状の圧電フィルムからなる超音波発信器17が設けられ,例えば40kHzの超音波パルスが送出される。円筒状にすることで,入力ペン4が回転しても超音波を同じように発信できる。また,受信ユニットとの同期をとるために赤外線を発生する赤外線LED18がペンの頭に設けられている。ペン先には,ボールペン芯16が設けられ,通常のボールペンのように紙などの入力面に筆記できるとともに,筆記するとボールペン芯16が上に押されて接触検知スイッチ19がオンになる。
【0042】図10(B)に示されるとおり,駆動回路20は,タイマ23と超音波駆動回路25とLED駆動回路24を有し,接触検知スイッチ19によりボールペン先が紙へ接触していることが検知されたら,タイマ23が一定周期でトリガ信号S23を生成し,駆動回路25,24が赤外線LED18及び超音波発信器17に赤外線パルスと超音波パルスとをそれぞれ発生させる。この周期はペンの動きを安定的に検出できれば良いので,例えば100Hz程度に設定されている。
【0043】図11は,受信ユニットの構成図である。受信ユニット54には, 2個の超音波受信器R1,R2が近接して,例えば15mm離れて設けられ,それら受信器は,入力ペン4からの超音波パルスを検出する。また,受信ユニットには,同期パルスである赤外線を検出する赤外線受光素子PDが設けられている。受信ユニット54の底部には,クリップ状の紙はさみ57が設けられ,受信ユニットが入力面の紙などに固定される。更に,受信ユニット54には,受信した赤外線,超音波を検出し伝播時間や位相差を検出する受信部58が内蔵されている。受信ユニット54は,2個の受信器を近接して設けているので,全体的にコンパクトに構成される。
【0044】図12は,座標入力制御部の構成図である。受信ユニット54に内蔵される受信部58が,超音波の伝播時間T1,T2と位相差T3を検出し,コンピュータ内の座標入力制御部60に供給する。座標入力制御部60内の入力座標演算部62は,伝播時間T1から入力ペンから第1の受信器R1までの距離L1と,位相差T3から距離L1と第2の受信器R2までの距離L2との距離差Mとを求め,更に,三角測量法により入力座標値を求める。求められた座標値は,表示制御部63に与えられ,表示部52への表示に反映される。
【0045】座標入力制御部60は,更に入力面設定部61を有する。入力面設定部61は,例えば,受信ユニット54が入力面に固定された時点で,受信ユニットの受信器の二次元座標と入力面の二次元座標との変換式を設定し,更に受信器間距離pや入力面の領域などの初期値も設定する。設定された初期データは,メモリ64に記憶される。
【0046】上記の座標入力制御部60は,例えば,座標入力装置のドライバとしてコンピュータ内にインストールされるプログラムである。或いは,座標入力制御部60が,受信ユニット内に内蔵されてもよい。
【0047】図13は,受信ユニット内の受信部のブロック図である。図5に示した超音波受信波を参照して,受信部の動作を説明する。入力ペン4は,接触検知スイッチ19が,ボールペン芯が押しつけられたことを検出すると,一定周期で赤外線パルスと超音波パルスを送出する。受信ユニット側では,赤外線の同期パルスを赤外線受光素子PDが検出すると,検出信号S65に応答して,タイマ70a,70bが動作開始する。
【0048】同時に,送出された超音波SA1,SA2が超音波受信器R1,R2で受信されると,入力アンプ66a,66bによりそれぞれ増幅され,包絡線検出回路67a,67bによりそれぞれの受信波の包絡線が生成される。図5に示される通り,超音波受信波SA1の包絡線が閾値rt1を越えたタイミングで,コンピュータ68aが超音波の受信を検出し,タイマ70aを停止する。この結果,タイマ70aは,入力ペン4から受信器R1までの空中超音波伝搬時間T1を測定することができる。同様に,受信器R2までの伝搬時間T2もタイマ79bにより測定される。
【0049】さらに,受信波SA1と受信波SA2との時間差T3は,零クロスコンパレータ69a,69bがそれぞれのゼロクロス点Z1,Z2を検出することで検出される。即ち,コンパレータ68aが第1の受信波SA1の包絡線が閾値を越えたことを検出すると,それに応答して,ゼロクロスコンパレータ69aがその次のゼロクロス点Z1のタイミングを検出する。このタイミングにより,タイマ70cが計測を開始する。次に,ゼロクロスコンパレータ69aのゼロクロス点Z1の検出に応答して,第2のゼロクロスコンパレータ69bがその直後における第2の受信波SA2のゼロクロス点Z2を検出し,タイマ70cの計測を停止する。その結果,タイマ70cは,図5に示された位相差T3を計測することができる。尚,タイマ70cは,超音波が到達するまでは動作しないようにコンパレータ68aの出力でマスクされている。
【0050】以上の様にして検出された時間T1,T2,T3にしたがって,座標入力制御装置60内の入力座標演算部62は,入力ペンの座標(x,y)を演算する。
【0051】図14は,座標入力制御装置内の入力座標演算部の動作フローチャート図である。先ず,入力座標演算部62は,伝播時間T1とT2と位相差T3を取り込み(S11),伝播時間T1とT2に音速V(20℃で約364m/s2)を乗じて,入力ペン4と受信器R1,R2との概略距離L1,L2を求める(S12)。次に,概略距離L1とL2の差から概略距離差M0(=L2−L1)を求める(S13)。その後,高精度な位相差T3から距離差m1(=T3×V)を求め,概略距離差M0と比較して波長分の誤差nλを補正し,正確な距離差Mを求める(S14)。そして,概略距離L1と高精度の距離差Mに基づき,前述の三角測量法の式を解いて,入力ペンの座標(x0,y0)を求める(S15)。
【0052】この入力座標(x0,y0)には,その位置に応じて誤差が含まれる場合がある。その理由は,第1に,超音波は距離が離れると減衰するため,伝播距離が長いと検出される包絡線全体の振幅が減少する。そのため,一定の閾値で受信タイミングを検出すると,入力ペンから受信器までの距離が離れる程,包絡線が閾値を越える位置が後ろにずれて,検出される受信タイミングが遅れてしまい,実際の距離よりも遠い距離L1,L2が検出される。その結果,演算して求めた入力座標(x0,y0)は,実際よりも遠くなる。
【0053】第2に,超音波受信器に指向性があるため,入力ペンがその指向性が最も大きい正面から離れるに従って,受信波の振幅が減少する。従って,同様に,入力ペンの位置が受信器に対して横にずれる程より,演算された入力座標(x0,y0)は,実際よりも遠くになる。
【0054】これらの誤差は,座標入力装置が決まればほぼ常に一定であるので,予め誤差を測定しておき検出された入力座標を補正することができる。図15は,誤差の測定結果を示す図である。図15(A)は距離に依存した誤差を異なる角度毎に示し,図15(B)は角度に依存した誤差を異なる距離毎に示す。図15(A)に示される通り,誤差は,距離50mm以上で発生し,距離が増加する従ってほぼ比例関係で増大している。これらの測定結果から,誤差eは角度θに関して3次の多項式,距離L1に関して直線で近似していることが分かる。従って,誤差の近似式は,次のとおりになる。
【0055】e =( a3θ3 + a2θ2 + a1θ +a0)(L1−L0) + ( b3θ3 + b2θ2 + b1θ +b0)ただし,L0 = 50mm,【0056】
【表2】

【0057】である。
【0058】そこで,フローチャートの工程S16に示されるように,この誤差eから距離L1を補正して正しい座標(x1,y1)を計算し直すことが好ましい。補正方法は上記のように誤差の式にしたがって演算することに限定されず,適当な誤差補正のテーブルを予め作成しておき,図12のメモリ64内に記録しておき,そのテーブルを参照して補正をおこなってもよい。
【0059】さらに,図7において,受信ユニット54が入力面である紙53に対して曲がって固定されると,受信ユニット54で検出された座標(x1,y1)は,入力紙面53での座標(X,Y)に対して回転してしまう。そこで,受信ユニット54を入力紙53に固定した時に,この回転角量αを初期値として校正し,座標演算時に座標変換する必要がある。かかる初期値の設定は,図12の入力面設定部61により行われる。
【0060】図16は,かかる座標変換を示す図である。受信ユニット54の二次元座標x−yに対して,一定の距離ずれて一定の角度αだけずれた入力面の二次元座標X−Yが示されている。上記の初期値の校正は,入力ペン4により,紙面上の基準にしたい位置Aとそこから水平な位置B(同じX座標の位置)を指定する。受信ユニット54と入力面設定部61側で2つの位置A,Bの受信ユニットでの座標 (xa,ya), (xb,yb) が求められと,回転角度αはα = arctan( (yb−ya)/(xb−xa) )で求まる。
【0061】従って,受信ユニット54により求められた座標(x1,y1)は,次の変換式により入力紙面53上の座標(X,Y)に変換される(図14中S17)。
【0062】
X=(x1−xa)×cosα+(y1−ya)×sinαY=−(x1−xa)×sinα+(y1−ya)×cosα以上の処理により,入力紙面上の入力ペンの座標(X,Y)が求められ,表示制御部63を経て表示部52に表示される。
【0063】上記の実施の形態例では,入力ペン4に赤外線LEDを設けているが,受信ユニット54に赤外線発光素子LEDを設け,入力ペン4に赤外線受光素子PDを設け,入力ペンが赤外線を受信したら超音波を発信するようにすることもできる。
【0064】また,上記の実施の形態例では,受信ユニット54に2個の超音波発信器を,入力ペン4に1個の超音波受信器を設けることもできる。この場合は,2個の超音波発信が同時に行われないように交互に行えば良く,先ず,第1の送信器と入力ペンとの距離L1を測定し,次に第2の送信器と入力ペンとの距離L2を測定し,位相差は1回目の送信時の位相から2回目の送信時の位相までの時間から,送信間隔差を減算すれば良い。また,タイマが特定時間でオーバーフローして剰余が算出できるようになっている場合は,送信間隔をタイマのオーバーフロー時間に設定しておけば,長時間測定や減算の必要はなく,構成は簡単になる。
【0065】図17は,受信ユニット内の受信部の変形例である。また,図18は,図17の受信部の動作を説明するタイミングチャート図である。図17の受信部には,図13の受信部と比較すると,タイマ70d,70eが追加されているだけで,それ以外の構成は,図13と同じである。
【0066】発明者らが実験したところによると,入力ペンと受信ユニットとの距離が近いと,受信される超音波の振幅と距離の関係が複雑になり,図15に示した距離に比例した補正ができない場合がある。例えば距離50mm以下では,誤差を正確に補正することが困難であるので,図15(A)ではそれ以下の誤差を示していない。
【0067】そこで,距離を検出する方法の変形例として,この例では,距離が所定の基準値Lthよりも近い時は,図18に示すように,受信した超音波SA1,SA2の包絡線が閾値rt1,rt2を越えた後の零クロスZ1,Z2の時間T4とT5から距離L1とL2を算出する。距離を基準値Lth以下に限定すると,超音波の振幅が安定的に大きいために,包絡線と閾値rt1,rt2との関係で1波長分の誤差が発生することがなくなる。従って,閾値rt1を越えた最初の零クロス位置Z1から第1の伝搬時間T4,閾値rt2を越えた最初の零クロス位置Z2から第2の伝搬時間T5を求める。
【0068】上記の時間T4を求めるために,図17の受信部58では,タイマ70dが,同期パルスである赤外線IRの受信からスタート信号により計測を開始し,コンパレータ68aが包絡線が閾値rt1を越えるまでゼロクロスコンパレータ69aのストップ信号をマスクし,タイマ70dがその後のゼロクロス点Z1の検出に応答して,計測を終了する。同様の方法で,タイマ70eは,もう一方の受信超音波SA2から,第2の伝搬時間T5を計測する。
【0069】図19は,図17,18の変形例における座標入力演算部のフローチャート図である。距離L1が基準値Lth以上の場合は,図14の場合と同様に,工程S13乃至S16により概略距離L1と高精度の距離差Mとから位置(x0,y0)を求めて,位置補正により位置(x1,y1)を求める。距離L1が基準値Lth未満の場合は,入力ペンが受信ユニットの近くに位置しているので,図18で説明した通り,時間T4,T5から位置(x1,y1)を直接求めて,位置補正は行わない。そして,いずれの方法で求めた場合でも,受信ユニットから求めた位置(x1,y1)を座標変換して,入力面の座標(X,Y)を求める。
【0070】尚,位相差T3は通常一回の受信超音波で検出するが,複数の超音波での位相差T3を求めてそれらを平均すれば,より位相差T3の精度が向上する。そのためには,例えば,図17のタイマ70cを特定クロックを計数するカウンタで構成し,ひとつの受信超音波でそのカウンタの動作を終了させないで,2のq乗個数の超音波分カウントを継続し,その後当該カウンタの下位q bitを無視すれば,2q回の平均値を簡単に算出できる。タイマ70cをカウンタで構成することにより,複数回の係数の平均値を簡単に得ることができ,高精度の位相差T3を取得することができる。
【0071】以上の通り,入力面内の二次元座標値を,2つの超音波受信器を近接させた受信ユニットであっても高精度に求めることができる。この原理を利用することで,三次元空間内の入力デバイスの位置を,コンパクトな受信ユニットを利用して検出することが可能である。
【0072】図20は,三次元マウスに適用した例を示す図である。図20の例では,超音波発振器77と赤外線LEDを有する三次元マウス75に対して,ディスプレイ52上に三次元マウス75からの超音波を受信する受信ユニット76が設置される。
【0073】図21は,三次元マウス用の受信ユニットを示す図である。受信ユニット76は,赤外線を受光するフォトダイオードPDと,近接して設けられた3個の超音波受信機R1,R2,R3とを有する。内部には,二次元の例と同様に受信部が設けられ,赤外線の同期信号から超音波受信器R1,R2,R3それぞれが超音波を受信するタイミングや,位相差が検出される。更に,受信部が検出した伝搬時間や時間差にしたがって,三次元座標を求める座標入力制御部が,受信ユニット76に内蔵,或いはコンピュータにインストールされる。
【0074】図22は,三次元マウスの場合の受信部の例を示す図である。三次元マウスを使用するためには,マウスの三次元座標を検出する必要がある。前述の概略距離L1と高精度の位相差Mとから二次元座標を求めたのと同様に,この例では,受信器R1で受信した超音波SA1の包絡線から伝搬時間T11をタイマ70aにより求め,それから概略距離L1を求める。更に,タイマ70abにより,超音波SA1,SA2間の位相差T14を求める。この位相差T14を求めるとき,波長の曖昧さは超音波SA2の伝搬時間T12から求められる概略距離を利用して除去される。更に,タイマ70bcにより,超音波SA1,SA3間の位相差T15を求める。このときの波長の曖昧さも,超音波SA3の伝搬時間T13により除去される。位相差T14,T15から,それぞれ音速を乗じて距離差M1,M2が求められる。
【0075】そして,概略距離L1,距離差M1,M2から,次の通り入力デバイスの三次元座標(x,y,z)が求められる。この場合,受信器R1,R2及びR1,R3間の距離は共にpである。
【0076】x2+y2+z2= L12(x−p)2 + y2 + z2= (L1+M1)2x2 + (y−p )2 + z2= (L1+M2)2において,x,y,zについて解けばx = (p2−2 L1 M1−M12)/2 py = (p2−2 L1 M2−M22)/2 pz = (L12−x2−y21/2となる。
【0077】図22の受信部は,3つの超音波SA1,SA2,SA3をそれぞれ検出するための入力アンプ,半波整流回路,コンパレータ,ゼロクロスコンパレータが3セット設けられ,5つのタイマにより,それぞれの伝搬時間T11,T12,T13と,位相差T14,T15とが求められる。そして,座標入力制御部60により,上記の演算が行われ,三次元座標が演算される。
【0078】二次元座標の例で説明したとおり,入力デバイスまでの距離が小さい場合は,距離に応じた補正が困難であるので,各超音波受信波の包絡線から距離L1,L2,L3を求めて三次元座標を求めることが好ましい。入力デバイスまでの距離が大きい場合は,上記の方法で三次元座標が求められる。そして,距離,角度に応じて,補正が加えられる。
【0079】[第2の実施の形態]超音波を利用した入力デバイスについて説明した。超音波を利用した入力デバイスのうち,超音波利用マウスは,従来の機械式マウスのように机上の特別の接触面が必要がなく,また接触面に当接するボールにほこりがたまる心配もないことで優れている。しかし,超音波を利用するマウスでは,前述の通り入力面内の座標位置を利用して,コンピュータに座標入力をするので,比較的広い入力面が必要となる。また,超音波利用のマウスでは,マウスが空中にある場合も超音波を発信することができ,機械式マウスのような机上での相対距離によってコンピュータ画面内のカーソルを移動させるという操作性を得ることができない。
【0080】超音波マウスの第2の問題点として,消費電力の問題がある。超音波マウスは,コンピュータと接続することなく,赤外線を同期信号として送信し,位置検出のために超音波を送信する。従って,超音波マウス側が常に同期信号と超音波を発信するようにすると,マウス内の消費電力が増大して,内蔵される電池の電力がなくなってしまう。
【0081】そこで,第2の実施の形態例における超音波利用マウスでは,マウスが机上に置かれた状態であって,オペレータがマウスに接触中であることを検出して,その間のみ赤外線の同期信号と超音波を一定周期で送出する。
【0082】図23は,かかる超音波マウスの構成図である超音波マウス80は,本体81の上部に入力用クリックボタン82を有し,本体81の前部に,赤外線LED83と,超音波発信器84とを有し,内部に駆動回路85と電池86とを有する。また,本体81の底部には,マウスが机上などの平面に置かれた時の自重と,オペレータが接触した時の重さを検出する感圧スイッチ87が設けられる。感圧スイッチ87は,マウスが平面上に置かれ,かつオペレータが接触した時にその状態を検出し,駆動回路に検出信号を与える。
【0083】図24は,第2の実施の形態における超音波マウスの内部構成図である。クリックボタンの右ボタン82Rと左ボタン82Lからの信号が駆動回路内のLED駆動回路89に供給され,それに応答して,右,左ボタンを検出できるように変調した赤外線が赤外線LED83から送出される。また,感圧スイッチ87は,前述した状態を検出すると,タイマ88に検出信号を与える。タイマ88は,それに応答して,一定周期のトリガ信号をLED駆動回路89と超音波駆動回路90とに供給し,赤外線同期信号と超音波が受信ユニットに送出される。赤外線同期信号も,上記のボタン信号と区別可能に変調された信号である。
【0084】図25は,第2の実施の形態における受信部の構成図である。ここに示した受信部の構成は,図13に示した受信部に、復調回路91を追加し,左右のボタン入力と超音波の同期信号とを区別できるようになっている。
【0085】図26は,超音波マウスの座標検出を説明する図である。この例では,ノート型パソコン92の表示部93の上部左端に,超音波受信器R1,R2が設けられ,その中央部に赤外線受光素子PDが設けられる。入力デバイスである赤外線マウスは机上の位置P(Xm,Ym)に位置している。赤外線マウスは,超音波受信器R1,R2に対して,三次元座標(x,y,z)のz=Hの面内に常に位置している。
【0086】従って,机上の超音波マウスの座標(Xm,Ym)は,2個の超音波受信器R1,R2までの距離L1,L2が測定できれば,演算により求めることができる。本実施の形態例の超音波マウスは,感圧スイッチにより机上でオペレータにより操作されている時のみ,赤外線LEDや超音波発信器が駆動されるので,図26の受信器R1,R2により,マウスの位置を検出することができる。
【0087】図27は,第2の実施の形態におけるカーソル位置検出のフローチャート図である。本実施の形態における超音波マウスは,机上におかれオペレータにより接触された時のみ赤外線同期信号と超音波とを一定の周期で送出する。そして,マウスが机上面上を移動する移動距離に従って,コンピュータ画面ないのカーソルの移動を制御する必要がある。
【0088】そこで,図27のフローチャートでは,マウスの机上での移動距離をカーソルの現在位置に加算して新たなカーソル位置を求める演算が行われる。更に,マウスの机上での移動距離であることを検出するために,前後の検出位置がマウス内蔵のタイマの周期時間に対応して検出されたか否かの判断も行われる。
【0089】図27に示される通り,最初にマウスの初期位置(Xm,Ym)とカーソルの初期位置(Xc,Yc)とが登録される(S31)。そして,マウスの感圧スイッチが机上での操作状態を検出した時に送出される赤外線同期信号と超音波を受信して,マウスの新しい位置(Xm',Ym')とが検出される(S32)。この新たなマウスの位置は,マウスのタイマの一定周期時間に対応するものであるか否かが,前回のマウス位置入力から規定時間以内か否かによりチェックされる(S33)。もし,規定時間以内であれば,机上で操作された結果マウスの位置が変更されたと見なして,登録されたカーソル位置(Xc,Yc)をマウスの相対移動距離(Xm'−Xm,Ym'−Ym)だけ変更する(S34)。そして,移動後のマウスの位置(Xm',Ym')が新たな現在位置(Xm,Ym)に置き換えられる(S35)。マウスの新たな位置の入力が,前回の入力から規定時間以内でなければ,そのマウスの移動は,机上での操作中のものではないと見なされ,マウスの位置の更新だけが行われる(S35)。
【0090】このように制御することで,マウスを空中で机上のもとの位置に戻すような操作をしても,コンピュータ内のカーソルの位置は変化せず,マウスを机上に降ろしてから机上で動かした場合の相対距離が,コンピュータ内のカーソル位置の変換に反映される。かかる操作性は,従来の機械式マウスと同様である。そして,マウスが机上のような水平面上に置かれた状態でオペレータにより接触されたことが感圧スイッチで検出され,その時のみ赤外線LEDや超音波発信器を駆動するので,消費電力を少なくすることができる。
【0091】更に,第2の実施の形態例における超音波マウスは,マウス側に超音波受信器を設け,2つの超音波発信器からの超音波を受信して両者の距離を求めるようにしても良い。
【0092】以上の実施例をまとめると,次の通りである。
【0093】(付記1)入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波発信器を有し,前記入力面内の所望の位置に移動可能な入力デバイスと,前記入力面に対して所定の箇所に取り付けられ,前記入力デバイスの超音波発信器からの超音波を受信する少なくとも第1及び第2の超音波受信器を有する固定ユニットと,前記第1の超音波受信器が受信した超音波から前記超音波発信器と当該第1の超音波受信器との間の第1の超音波伝播時間を生成し,前記第1及び第2の超音波受信器が受信した超音波の位相差を生成する受信部とを有し,前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする座標入力装置。
【0094】(付記2)付記1において,前記受信部は,前記受信超音波の包絡線が所定の閾値を越えるタイミングにより,前記第1の超音波伝播時間を生成することを特徴とする座標入力装置。
【0095】(付記3)付記1または2において,前記受信部は,前記第1及び第2の超音波受信器の受信超音波のゼロクロス点のタイミング差により前記位相差を求めることを特徴とする座標入力装置。
【0096】(付記4)付記1において,前記第1及び第2の超音波受信器の距離が,前記超音波の半波長以下に設定されていることを特徴とする座標入力装置。
【0097】(付記5)付記1において,前記第1及び第2の超音波受信器間の距離pの場合,前記入力面が,当該2個の超音波受信器を結ぶ直線の中点に垂直な線から角度θ(=θ<90−arctan[(2p/λ)2−1}1/2,但しλは超音波波長)の範囲内に設けられていることを特徴とする座標入力装置。
【0098】(付記6)付記1において,前記超音波発信器と第2の前記超音波受信器との間の第2の超音波伝播時間と,前記第1の超音波伝播時間との時間差にしたがって,前記位相差に前記超音波波長の整数倍の誤差が加えられることを特徴とする座標入力装置。
【0099】(付記7)付記1において,前記第1の超音波伝播時間と超音波速度から求められる第1の距離に応じて,および/または前記第1及び第2の超音波受信器を結ぶ線と前記入力デバイスとの角度に応じて,前記第1の超音波伝播時間から求められる前記第1の距離が補正されることを特徴とする座標入力装置。
【0100】(付記8)付記7において,前記補正は,前記入力デバイスが前記第1及び第2の超音波受信器から所定の基準距離以上の場合に行われることを特徴とする座標入力装置。
【0101】(付記9)付記1において,前記入力デバイスが前記第1及び第2の超音波受信器から所定の基準距離未満の場合は,前記第1及び第2の超音波受信器の受信超音波のゼロクロス点のタイミングにより求められる第1及び第2の距離にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められ,前記所定の基準距離以上の場合は,前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする座標入力装置。
【0102】(付記10)入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波受信器を有し,前記入力面内の所望の位置に移動可能な入力デバイスと,前記入力面に対して所定の箇所に取り付けられ,前記入力デバイスの超音波受信器に超音波をシーケンシャルに送信する少なくとも第1及び第2の超音波発信器を有する固定ユニットと,前記第1の超音波発信器からの送信され前記超音波受信器が受信した超音波から前記超音波受信器と当該第1の超音波発信器との間の第1の超音波伝播時間を生成し,前記第1及び第2の超音波発信器が発信した超音波の位相差を生成する受信部とを有し,前記第1の超音波伝播時間と前記位相差にしたがって,前記入力デバイスの位置が求められることを特徴とする座標入力装置。
【0103】(付記11)入力面から座標入力をコンピュータに行う座標入力装置において,超音波発信器(または受信器)と赤外線発信器と入力ボタンとが設けられた本体と,当該本体の底部に設けられ,本体が水平面上に置かれた状態でオペレータに触れられたときの圧力を検出する感圧スイッチとを有し,前記感圧スイッチの圧力検出に応答して,前記赤外線発信器が所定時間毎に同期信号を送出し,当該同期信号に同期して前記超音波発信器(または受信器)が超音波を発信(または受信)して,超音波の伝搬時間に従う距離から前記本体の位置が検出され,前記感圧スイッチが前記圧力を検出した時の当該本体の位置の移動に従って,前記コンピュータのカーソル位置が更新されることを特徴とする座標入力装置。
【0104】
【発明の効果】以上,本発明によれば,超音波で信器間距離を狭くしても正確に入力デバイスの座標を求めることができ,受信ユニットの配置に自由度が増す。また,機械式マウスとどうようの操作性を有する超音波マウスを提供することができる。
【0105】以上,本発明の保護範囲は,上記の実施の形態例に限定されるものではなく,特許請求の範囲に記載された発明とその均等物にまで及ぶものである。
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成12年10月23日(2000.10.23)
【代理人】 【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二 (外1名)
【公開番号】 特開2002−132436(P2002−132436A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−323169(P2000−323169)