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【発明の名称】 不使用時の電力削減可能なバッテリ駆動型電子機器
【発明者】 【氏名】鈴 木 啓 治

【氏名】堀 越 秀 人

【要約】 【課題】不使用時の電力を削減可能なバッテリ駆動型電子機器を提供する。

【解決手段】電子機器は、外部ACアダプタからのDC電圧又は内蔵するバッテリからのDC電圧の少なくとも一方によって動作させることができる。電子機器は動作していないとくでも電圧が入力されるとわずかの電力を消費する。電子機器は外部からの給電が必要か否かを判別する手段と、前記電子機器が外部からの給電を必要としない間はACアダプタからの入力ラインを切り離す手段とを具備する。これによって、電子機器が外部からの給電を必要としないときにACアダプタから入力ラインを通じて消費される電力を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ACアダプタからのDC電圧又はバッテリからのDC電圧の少なくとも一方によって駆動可能な電子機器であって、前記電子機器が外部からの給電が必要か否かを判別する手段と、前記電子機器が外部からの給電を必要としない間はACアダプタからの入力ラインを切り離す手段と、を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】ACアダプタからのDC電圧又はバッテリからのDC電圧の少なくとも一方によって駆動可能な電子機器であって、ACアダプタからのDC電圧を受け入れるための入力ラインと、電源の投入及び遮断を指示するためのパワー・スイッチと、ACアダプタからのDC電圧及びバッテリからのDC電圧を消費するシステム負荷と、前記バッテリの充電動作を制御する充電制御回路と、電源の投入状態及びバッテリの充電状態をモニタして、電源遮断時で且つバッテリ非充電時には前記入力ラインを外部から切り離す手段と、を具備することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商用AC電圧をDC電圧に変換するためのACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器に係り、特に、不使用時の電力を削減可能なバッテリ駆動型電子機器に関する。更に詳しくは、本発明は、装着中の電子機器内の電源状態を検知することにより未使用時の消費電力を削減することが可能なバッテリ駆動型電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今の技術革新に伴い、デスクトップ型、タワー型、ノートブック型など各種パーソナル・コンピュータが開発され市販されている。このうち、ノートブック・コンピュータは、モバイル環境、すなわち屋外や移動先での携帯的・可搬的な使用を考慮して小型且つ軽量に設計・製作されたものである。ノートブックPCの代表例は、日本アイ・ビー・エム(株)が市販する"IBM ThinkPad 770"シリーズである("IBM ThinkPad 770"は米IBM社の商標)。
【0003】殆ど全てのノートブックPCは、内蔵バッテリで駆動可能な「バッテリ駆動」タイプである。これは、屋外や出張先など、商用AC電源が利用できないモバイル環境での装置駆動を考慮したためである。内蔵バッテリは、一般に、Li−Ion(リチウム・イオン),NiCd(ニッカド),NiMH(ニッケル水素)のような充電式バッテリ・セルを複数個収納した「バッテリ・パック」の形態で利用される。
【0004】しかしながら、商用AC電源が無尽蔵であるところ、バッテリ・パックは容量が有限で持続時間が短い(コンピュータ処理時間にして精々2〜3時間程度)上に、充電時間が長い(一般には、持続時間相当の充電時間を要する)。また、見かけ上のバッテリ持続時間を延長するために、ユーザがスペア・バッテリを携行するということも考えられるが、重量やサイズが嵩むため、携帯性を損なう結果となる。このため、バッテリ駆動型と雖も、商用AC電源が利用可能なオフィス環境下では、ノートブックPC本体に外付けACアダプタを装着して、商用AC電源を用いて駆動するのが一般的となっている。ここで、ACアダプタとは、AC電圧をDC電圧に変換するための装置であり、整流平滑化する回路やDC電圧をレベル変換する変圧トランスなどを含んでいる(周知)。ACアダプタの一端からはACコンセント(通常は室内の壁面に埋設されている)に挿入するためのケーブルが伸び、他端からはノートブックPC本体壁面のDCインレットに装着するためのケーブルが伸びている。ACアダプタが出力する電力は、上述のように装置駆動に用いられる他、余剰電力やパワー・オフ時の供給電力は内蔵バッテリの充電に用いられる。
【0005】最近のノートブックPCは、デスクトップPCに置き換わる装置、すなわち「デスクトップ・リプレイスメント」の色彩が濃い。これは、半導体製造技術の向上などにより、ノートブックPCの処理能力がデスクトップPCに匹敵するようになってきたことや、LCD(液晶表示ディスプレイ)パネルの大画面化や装備ドライブ・ユニット数の増大により、作業環境の点でもデスクトップPCとは遜色がなくなってきたことにも依拠する。また、ノートブックPCは、容積やフットプリントが小さいため、オフィスの省スペースの効果もある。
【0006】ノートブックPCをオフィス等で固定的に使用するときには、上述したように、必然的に商用AC電源を用いる。このような使用形態においては、他のOA機器や家電機器と同様、ACアダプタは未使用時(例えば夜間や休日)にもACコンセントに差し込んだままにして置かれることが多い。ところが、機器本体がパワー・オフ状態や機器本体から抜き取った状態であっても、ACコンセントに差し込まれたままのACアダプタは通電状態にあるため、その間の電力浪費が問題となる。ACアダプタはDC電圧を変圧するための変圧トランスを含んでいるが(上述)、出力電圧を定常化するために、変圧トランスの1次コイル側においてFETスイッチなどのアナログ・スイッチを用いてスイッチング制御がなされている。PC本体側がパワー・オフの間も、あるいはACアダプタがPC本体から取り外されていても、ACアダプタがコンセントに差し込まれAC電源を受け取っているときは常にこのスイッチング制御は作動する。つまり、ACアダプタの電力浪費は、主としてこのスイッチング動作に起因している。また、損失された電力の大部分は熱エネルギに変換されるため、ACアダプタの放熱対策も併せて必要となる。
【0007】ここで、未使用のACアダプタが浪費する電力を試算してみることにする。例えば代表的なノートブックPC"IBM ThinkPad"シリーズで利用される電流共振型のACアダプタでは、PC本体がパワー・オフ中であってもスイッチング・ロスにより2〜4Wの電力を消費する。また、フライバック型のACアダプタでも0.5〜1W程度の電力を消費する。一般には、電流共振型のACアダプタの方が電圧変換効率の点で優れているため、未使用時の電力損失が大きいにも拘らずフライバック型から電流共振型に置き換わる傾向にある。さらに、PC本体内でも、DC電圧(例えば16V)がACアダプタによって常に印加されるため、パワー・オフ時でも約0.5Wの電力を消耗する。1台のPCによる電力損失は約3Wと微量であるが、相当台数のPCを導入した企業のビル内では、単にACアダプタを差し込んだままにしておくだけでも知らず知らずのうちに相当の電気代を食い潰すことになる。
【0008】例えば平日夜間の未使用時間を12H、未使用週末の未使用時間を60Hと仮定すると、年間の通算未使用時間は1,280H/Year(=12H/day×200Days/Year+60H/Week×4Weeks/Month×12Months/Year)に上る。したがって、ACアダプタを装着したままのノートブックPCが100万台あったとすると、これに伴う年間電力損失は15,840,000KWh/Year(=1,000K units×1,280H/Year×3W)となり、その電気代は239,184K円(=0.0151K¥/KWh/Year×15,840,000KWh/Year)にも上る。
【0009】商用AC電源はほぼ無尽蔵であり、PC本体への駆動電力の供給という観点からはACアダプタの利用は全く問題ない。しかしながら、社会生態学的な立場、すなわち地球規模での資源有効利用や環境保護という観点からは、未使用時におけるこのようなACアダプタの電力損失は看過し難い。
【0010】未使用時のACアダプタの電力損失をなくすためには、使用終了の都度ACアダプタをコンセント及びノートブックPC本体から取り外すことが好ましい。しかしながら、ケーブル類の逐次的な着脱操作は煩わしく、ユーザビリティを損なうことになる。また、頻繁にACアダプタを抜き取っていては、コンセントやACアダプタのプラグが劣化してしまう。また、ノートブックPCはパワー・オフ時の供給電力を用いて内蔵バッテリの充電を行う関係からも、ユーザはACアダプタを差し込んだままにせざるを得ない。
【0011】また、ACアダプタの出力が不要な状態(すなわち本体がパワー・オフで且つ充電していない期間)をノートブックPC本体側から通知して、ACアダプタ側はこの通知を受けて変圧トランスの1次コイル側を切るという手法も考えられよう。例えばIBMテクニカル・ディスクロージャ・ブレティン番号JA8−97−0299には、ノートブックPC本体側がACアダプタに対して自己の電源状態を伝達するための信号線を新たに追加することによって、ACアダプタの駆動を停止させる手法を具現した発明が開示されている。しかしながら、信号線の追加は、PC本体とACアダプタとを結合させるDCインレットのコネクタ互換性を失う結果となる。すなわち、JA8−97−0299に従うノートブックPCはJA8−97−0299に従うACアダプタしか受容できない。また、JA8−97−0299に従うACアダプタも、専らJA8−97−0299に従うノートブックPCでしか利用することはできない。
【0012】なお、特開平6−292363号公報、特開平4−165957号公報、特開平7−153582号公報、特開平8−179858号公報の各々には、機器未使用時におけるACアダプタによる電力損失を回避するための技術が開示されている。しかしながら、特開平6−292363号公報では、ACアダプタ内の1次側スイッチをオンするのに機器本体内の電池を電源として利用しているので、本体内に電池がない場合や、電池が枯渇している場合には、ACアダプタの動作を停止することができない。
【0013】また、特開平4−165957号公報に開示された発明は、ACアダプタ側で負荷電流の有無を検出してACアダプタをオン/オフ制御するものである。したがって、バッテリがない状態で電子機器をパワー・オン操作を行っても、給電を開始すべき、という状態の変化(イベント)がACアダプタ側からは見えない。すなわちACアダプタを再びオンにできないという矛盾を生じてしまう。
【0014】また、特開平7−153582号公報では、照明装置用のACアダプタについての節電技術が開示されているが、ACアダプタはそもそも照明装置と一体型であり、本体とはケーブル接続されるタイプのACアダプタについての節電技術を何ら教示していない。
【0015】また、特開平8−179858号公報では、ACアダプタ自体に電源スイッチを設け、この電源スイッチを手動で操作することによってACコンセントから抜くことなくACアダプタをオン/オフ操作することを可能にしているが、ACアダプタを自動的にオフにすることはできない。例えば、パワー・オフ時の機器本体が充電を完了したことに応答して自動的にACアダプタをオフにする、ということはできない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、商用AC電圧をDC電圧に変換するためのACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することにある。
【0017】本発明の更なる目的は、不使用時の電力を削減可能な優れたACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することにある。
【0018】本発明の更なる目的は、装着中の電子機器内の電源状態を検知することにより不使用時の消費電力を削減可能なACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、ACアダプタからのDC電圧又はバッテリからのDC電圧の少なくとも一方によって駆動可能な電子機器であって、前記電子機器が外部からの給電が必要か否かを判別する手段と、前記電子機器が外部からの給電を必要としない間はACアダプタからの入力ラインを切り離す手段とを具備することを特徴とする電子機器である。
【0020】また、本発明の第2の側面は、ACアダプタからのDC電圧又はバッテリからのDC電圧の少なくとも一方によって駆動可能な電子機器であって、ACアダプタからのDC電圧を受け入れるための入力ラインと、電源の投入及び遮断を指示するためのパワー・スイッチと、ACアダプタからのDC電圧及びバッテリからのDC電圧を消費するシステム負荷と、前記バッテリの充電動作を制御する充電制御回路と、電源の投入状態及びバッテリの充電状態をモニタして、電源遮断時で且つバッテリ非充電時には前記入力ラインを外部から切り離す手段とを具備することを特徴とする電子機器である。
【0021】
【作用】本発明に係るACアダプタは、商用電源としての外部AC電圧から電子機器に供給するDC電源電圧を発生する第1の変換回路の他、外部AC電圧から別のDC電圧を発生する第2の変換回路を備え、各DC電圧は何れも出力ラインに送出される。第1の変換回路の出力DC電圧は第1の電圧レベルに設定され、また、第2の変換回路の出力DC電圧は第2の電圧レベルに設定されており、第2の電圧レベルの方が第1の電圧レベルよりも高電位となっている。第1の変換回路は電子機器の主電源となり、また、第2の変換回路は小容量の補助電源となる。
【0022】第1の変換回路は、その負荷となる電気系統のシステム動作に必要な電源電圧を生成するためのものであり、一般には出力電位を一定に保つために、その1次側においてスイッチング制御が常時行われている(周知)。このスイッチング動作のために電力を消費している。本発明では、第1の変換回路の1次側には、さらに、外部AC電源からの電流の流入を遮断するためのスイッチが設けられている。
【0023】第2の変換回路は、その負荷となる電気系統のシステムが非動作で且つ充電していないとき、電源のオン/オフ制御に関わるごく一部の回路に電源電圧を供給するものであり、その出力電圧すなわち電源供給能力はごく僅かで足りる(例えば10mA程度)。このため、単純なトランス結合と電流回路によって第2の変換回路を実装することができる。また、第2の変圧回路は、第1の変換回路の場合のような、スイッチング動作による電力消費は伴わない。また、扱われる電流量が第1の変換回路のそれに比し極端に少ないので、仮に第2の変換回路にスイッチング方式の変換構造を採用したとしても、その1次側におけるスイッチング制御による電力消費ははるかに少ないであろう。
【0024】ACアダプタの出力ラインは常時基準電圧と比較される。この基準電圧は、第1の電圧レベルよりは高いが第2の電圧レベルよりも低い値に設定されている。ACアダプタを装着した電子機器側が電源を投入している間(電源遮断中のバッテリ充電時を含む)には、電子機器内のシステム負荷により電荷が引き込まれるため、ACアダプタの出力ライン上の電圧は基準電圧を下回る。この比較結果に応答して、第1の変換回路の1次側のスイッチはオンされ、ACアダプタは駆動状態となる。すなわち、第1の変換回路によるDC電源電圧の供給が可能となる。
【0025】他方、ACアダプタを装着した電子機器側が電源遮断時で且つバッテリ非充電時には、ACアダプタの出力ラインは、電子機器内のシステム負荷から切り離された状態(すなわち、オープン状態)となり、第2の変換回路からの電流供給が可能となるため、ACアダプタの出力ライン上の電圧は基準電圧を上回る。この比較結果に応答して、第1の変換回路の1次側のスイッチはオフされ、第1の変換回路の作動を停止することができる。したがって、第1の変換回路におけるスイッチング動作に伴う電力浪費がなくなるので、ACアダプタを商用電源のコンセント及び電子機器に装着したままであっても消費電力を好適に削減することができる。
【0026】また、ACアダプタは、自身の出力ラインの電圧レベルに基づいて電子機器側における電源需要の状況(すなわちパワー・オンか、あるいはバッテリ充電中か)を判断している。言い換えれば、節電動作のためにケーブルの信号線数を増やす必要がないので、ACアダプタのコネクタ互換性を維持することができる。
【0027】本発明に係る電子機器は、電子機器が外部からの給電を必要としない間はACアダプタからの入力を切り離すようになっている。ACアダプタ側から見れば、出力側がオープン(若しくはハイ・インピーダンス)状態となるので、出力ラインの電圧レベルは確実に基準電圧を越え、第1の変換回路の作動を停止させることができる。すなわち、ACアダプタ内における電力削減動作が担保される。
【0028】要するに本発明に係るACアダプタを電子機器に適用すれば、ACアダプタをDCインレットやACコンセントから抜き取らなくても、電子機器のパワー・オフ時におけるACアダプタによる電力浪費を抑えることができるのである。
【0029】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳解する。
【0031】A.ハードウェア構成図1には、本発明を実現するのに適したACアダプタ10を模式的に示している。以下、各部について説明する。
【0032】本実施例のACアダプタ10は、商用ACコンセントから入力した100VのAC入力電圧を16VのDC電源電圧に変換して、DCアウトレット13経由で電子機器50に供給するようになっている。ACアダプタ10は、AC−DC変換機能を実現するために、AC電圧を整流・平滑化するための整流ブリッジ11と、所定のDC電圧(この例では16V)に変換するための変圧トランス12を含んでいる。変圧トランス12の出力は、電子機器50の主電源となる。
【0033】変圧トランス12の1次側は整流ブリッジ11に接続され、2次側はDCアウトレット13経由で電子機器50に接続されている。また、変圧トランス12の1次側にはアナログ・スイッチ14が挿入されている。アナログ・スイッチ14は、そのオン・オフ操作により変圧トランス12への電流の供給を調整するために設けられている。アナログ・スイッチ14の動作は、図示しない制御回路によってフィードバック制御されており、この結果、2次側におけるDC出力には定電圧出力(Constant Voltage:CV)又は定電流出力(Constant Current:CC)などの所定の出力特性が与えられる。この1次側に設けられたアナログ・スイッチ14は、ACアダプタ10の駆動中は出力制御のため常時オン・オフ制御が繰り返され、スイッチング・ロスにより電力の消費を招来していることは[従来の技術]の項で既に述べた通りである。アナログ・スイッチ14には、例えばFETスイッチが用いられる。
【0034】なお、ACアダプタ10のAC/DC変換機構は、電流共振型、フライバック型のいずれであってもよい。
【0035】本実施例のACアダプタ10は、上述したAC−DC変換機能の他に、さらに、変圧トランス12の1次側への電流供給を遮断するためのスイッチ20と、このスイッチ20のオン・オフ操作を制御するための制御ブロック30とで構成される。スイッチ20がオフ状態の間には、変圧トランス12の1次側コイルには電流が流入しないため、FETスイッチ14によるスイッチング・ロスはなくなり、以て電力損失を抑制することができる点を充分理解されたい。
【0036】制御ブロック30は、図示の通り、制御用変圧トランス31と、比較器32と、1次−2次アイソレータ33とを含んでいる。制御用変圧トランス31の1次側は、商用ACコンセントから供給されるAC100Vを分岐入力している。制御用変圧トランス31の出力は小容量で、補助的な電源に過ぎない。変圧トランス31の2次側では、一対のダイオード35及びキャパシタ36によって出力が整流・平滑化され、この結果、DC20Vの信号が発生されることとなる。20Vという電圧レベル自体は本発明の具現に必須ではないが、ACアダプタ10の出力電圧16Vよりも充分高い値であることが重要である。
【0037】制御用変圧トランス31の出力は、抵抗37経由で、ACアダプタ10の16V出力端子に接続される他、比較器32の一端子にも入力されている。抵抗37は、電子機器50側がパワー・オン時又はバッテリ55の充電時に、制御用変圧トランス31の出力電流がACアダプタ10の出力端子から許容量を越えて流出したときに出力端子の電圧を低下させるために設けられたものであり、その抵抗値は例えば1kΩに設定される。抵抗37の存在により、制御用変圧トランス31の出力は専ら後述のスイッチ20の動作制御にのみ使用され、電力損失が回避される。
【0038】比較器33は、ACアダプタ10の出力電圧を基準電圧と比較するためのものである。この基準値には、ACアダプタ10の通常動作時における出力電圧16Vよりは高いが、制御用変圧トランス31の出力電圧20Vよりも低い値に設定される。この例では、18Vの基準電圧が与えられている。
【0039】ACアダプタ10の出力端子が電子機器50機器50内のシステム負荷に接続されている間は、該システム負荷により電荷が引き込まれる結果として、該出力端子には変圧トランス12の出力である16Vの電圧レベルが現れる。他方、ACアダプタ10の出力端子がシステム負荷から切り離されている、すなわちオープン状態のときには、該出力端子には制御用変圧トランス31の出力である20Vの電圧レベルが現れる。したがって、比較器32は、一方の入力端子が他方の入力である基準電圧18Vよりも高いかどうかによって、ACアダプタ10の出力電圧が電子機器50の駆動に利用されているかどうか(あるいは電子機器50に接続されているかどうか)を判別することができる。
【0040】比較器32の出力は、スイッチ20のオン・オフ制御に利用される。但し、2次側の信号と1次側の信号を電気的に分離させるために、比較器32の出力は、1次−2次アイソレータ33経由でスイッチ20に伝達される。1次−2次アイソレータ33としては、例えばフォト・カプラ(周知)を用いればよい。
【0041】比較器32は、一方の入力端子が18Vよりも低いとき、すなわちACアダプタ10の出力が電子機器50によって消費されているときには、スイッチ20をオンにする信号を出力する。この結果、変圧トランス12には商用ACコンセントからの入力電流が供給されるので、ACアダプタ10は電源電圧を生成することができる。他方、一方の入力端子が18Vよりも高いとき、すなわちACアダプタ10の出力が電子機器50によって消費されていないときには、比較器32はスイッチ20をオフにする信号を出力する。この結果、変圧トランス12には商用ACコンセントからの入力電流が供給されないので、必然的にACアダプタ10は駆動停止状態に陥る。当然、FETスイッチ14によるスイッチング・ロスは抑制される。なお、スイッチ20には例えばFETスイッチが使用される。
【0042】また、図2には、本実施例に係るACアダプタ10を取り付け可能な電子機器50のハードウェア構成を、主に給電系統を着目して示している。電子機器50は、バッテリ駆動型であり、その一例はノートブックPCである。以下、図2を参照しながら各部にいて説明する。
【0043】電子機器50は、その本体壁面に設けられたDCインレット51経由で、ACアダプタのDC16V電源電圧を入力する。電源ライン40は、一対のFETスイッチFET1及びFET2を経由して、DC/DCコンバータ53に入力されている。一対のFETスイッチFET1及びFET2は、各寄生ダイオードのカソード端子同士を向き合わせる形で接続されており、これらFETスイッチを共にオフにすることによって電源ライン40上を双方向に電流通過不能にすることができる。なお、本実施例では、FET1及びFET2は、いずれもNch型とする。
【0044】また、DC/DCコンバータ53には、機器50本体に内蔵されたバッテリ55の出力端子電圧も並列的に入力される。バッテリ55は、一般には、リチウム・イオンやニッケル水素(NiMH)などの充電式バッテリ・セルを複数個有したパッケージの形態を採っている。充電器54の入力端子は電源ライン40に接続され、また、その出力端子はバッテリ55の端子に接続されている。充電器54は、例えば機器50のパワー・オフ時などにACアダプタ10の余剰電力を利用して、バッテリ55の充電電流を生成するための回路である。充電の開始や停止は、電源コントローラ70(後述)によって制御される。
【0045】DC/DCコンバータ53は、ACアダプタ10から供給されたDC電圧16Vを、システム内部の駆動に適した電圧レベル(本実施例ではDC5V)に変換して安定化出力するための回路であり、その出力電圧はシステム負荷60の各部に供給される。ここで言うシステム負荷60には、CPU61、メイン・メモリ62、ビデオ・コントローラ63を含む各種周辺コントローラ・チップ、出力装置としてのディスプレイ64、外部記憶装置としてのハード・ディスク・ドライブ(HDD)65、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ(FDD)66、CD−ROMドライブ67等が含まれる。なお、DC/DCコンバータ53は、ACアダプタ10からの入力電圧VCCにより駆動する。
【0046】CPU61は、オペレーティング・システム(OS)の制御下で機器50内の動作を統括するためのメイン・コントローラであり、メイン・メモリ62を作業エリアとして使用する。また、必要なプログラム・コードやデータは、適宜、外部記憶装置としてのハード・ディスク・ドライブ(HDD)65…からメイン・メモリ62にロードされる。周辺機器類の駆動制御は各周辺コントローラに委ねられている。例えば、ディスプレイ64上での描画処理はビデオ・コントローラ63が行い、モデムやプリンタとの入出力はI/Oコントローラ(図示しない)が担っている。なお、ノートブックPCのディスプレイ64としては、一般に、薄形軽量で低消費電力である液晶表示ディスプレイ(LCD)が用いられる。
【0047】この外、電子機器50は、自身への電力供給及び遮断動作を実現するために、電源コントローラ70と、パワー・オン論理回路80を備えている。
【0048】電源コントローラ70は、電子機器50内の給電系統を制御するための専用コントローラである。電源コントローラ70は、例えば、(1)機器50本体の動作や消費電力をモニタしたり、(2)バッテリ55の残存容量を常時モニタして、充電器54による充電動作の開始や停止を制御する、などの機能を提供する。電源コントローラ70は、バッテリ55の端子電圧、電流の流入/流出量、バッテリ・セルの周囲温度等の計測用の入力端子を含んでおり(図示しない)、バッテリ55の充電状態を把握することができる。また、本実施例の電源コントローラ70は、充電時にはチャージ・オン(CHGON)信号をアサートして、充電器54を駆動させるとともに、充電終了時にはこの信号をネゲートするようになっている。例えば日立製作所(株)製の1チップ・マイクロプロセッサ"H8"は、このような電源コントローラ50としての動作をプログラム可能である。
【0049】また、パワー・オン論理回路80は、機器50本体の壁面に設けられたパワー・スイッチ59に対するユーザ操作に応答して、機器50本体の電源投入/遮断動作を実行せしめるようになっている。パワー・オン論理回路80は、機器50のパワー・オンの間はパワー・オン(PWRON)信号をアサートし、パワー・オフの間はこれをネゲートする。なお、電源コントローラ70は、DC/DCコンバータの出力電圧VCC5により駆動し、また、パワー・オン論理回路80は、ACアダプタ10からの入力電圧VCCにより駆動する。
【0050】本実施例の電子機器50は、さらに、ACアダプタ10からの給電の必要がないときには、電源ライン40をDCインレット51から切り離すことによって、ACアダプタ10を装着したままの状態でもシステム負荷60が無駄な電力を浪費するのを回避するようになっている。ここで、ACアダプタ10からの給電の必要のないときとは、具体的には、電子機器50自体がパワー・オフの状態で且つバッテリ55の充電終了時のことを言う。また、電源ライン40のDCインレット51からの切り離しは、上述したように、1対のFETスイッチFET1及びFET2を共にオフ状態にすることで実現される。1対のFETスイッチFET1及びFET2のオン/オフ操作を実現するために、図2中の破線で囲まれた制御回路90が実装されている。この制御回路90内の各素子は、ACアダプタ10からの入力電圧VCCにより駆動する。図3には、制御回路90の動作特性を表したタイミング・チャートを示している。以下、図3を参照しながら、制御回路90の機能について説明する。
【0051】(a)ACアダプタの挿入まず、電子機器50のパワー・オフ中に、機器50のDCインレット51にACアダプタ10を装着したとする。電源ライン40には、ACアダプタ10の出力電圧が加わる。ここで言うACアダプタ10の出力電圧とは、出力用の変圧トランス12で生成されたDC16Vと把握されたい。ACアダプタ10からの電力供給の開始に応答して、制御回路90内のフリップ・フロップF/Fのリセット端子Rには、抵抗R1とキャパシタC1の相互作用で生成されるパルス波が入力されるとともに、F/Fのセット端子Sには、抵抗R2とキャパシタC2の相互作用で生成されるパルス波が入力される。本実施例では、リセット端子R側のパルス波の立上りが遅くなるように抵抗値やキャパシティなどのパラメータが設定されている。このため、フリップ・フロップF/Fのリセット動作が優先して実行され、F/FのQ出力がロー・レベルに保持される。ロー・レベルのQ出力がNch型FETスイッチFET3のゲートに入力される結果、FET3はオフされて、一対のFET1及びFET2の各ゲートをグランドから切り離してハイ・レベルとなるため、FET1及びFET2をオン状態にすることができる。すなわち、電源ライン40は接続状態となる。これら一対のFETスイッチのオンされたことに応答して、DC/DCコンバータ53は駆動して、DC5Vの電源電圧VCC5の出力を開始する。
【0052】(b)充電開始電源コントローラ70は、充電の開始時期を計測している。充電開始時期は、例えばバッテリ55の残存容量や端子電圧、又はバッテリ・セルの周囲温度等を常時モニタして、残存容量や端子電圧が所定値を下回ったことにより、検知される(周知)。そして、ACアダプタ10の装着中に充電の開始時期を知ると、電源コントローラ70は、自身の出力端子CHGONをアサートする。CHGONは充電器54に入力されて、充電器54の駆動を開始させる。また、CHGON信号は、トランジスタTR2によって反転され、ロー・レベルのCHGOFF信号としてNANDゲートの一方の端子に入力される。この時点では、電子機器50はパワー・オフ状態であり、パワー・オン論理回路80は、自身の出力端子PWRONをネゲートし続けている。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ハイ・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力されている。したがって、機器50のパワー・オフ中における充電の開始とともに、NANDゲートの出力はロー・レベルからハイ・レベルに転じる。但し、このNAND出力は、フリップ・フロップF/FへのS入力に影響しないので、引き続き、FET1及びFET2のオン状態が保たれる。すなわち、ACアダプタ10からの充電用電力の供給が確保される訳である。
【0053】(c)充電終了電源コントローラ70は、充電の終了時期を計測している。充電時期は、例えばバッテリ55の残存容量や端子電圧、又はバッテリ・セルの周囲温度等を常時モニタして、蓄積容量や端子電圧が所定値を上回ったり、周囲温度が所定値を越えたことにより検知される(周知)。そして、ACアダプタ10の装着中に充電の終了時期を知ると、電源コントローラ70は、自身の出力端子CHGONをネゲートする。CHGONは充電器54に入力されて、充電器54の駆動を停止させる。また、CHGON信号は、トランジスタTR2によって反転され、ハイ・レベルのCHGOFF信号としてNANDゲートの一方の端子に入力される。この時点では、電子機器50はパワー・オフ状態であり、パワー・オン論理回路80は、自身の出力端子PWRONをネゲートし続けている。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ハイ・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力されている。したがって、機器50のパワー・オフ中における充電の終了とともに、NANDゲートの出力はハイ・レベルからロー・レベルに転じる。このNAND出力の立ち下がりによって、抵抗R2とキャパシタC2の相互作用でパルス波が生成され、フリップ・フロップF/Fのセット端子Sに入力される。この結果、フリップ・フロップF/Fの内部状態が遷移し、その出力Qはハイ・レベルに転じる。このため、FET3のゲートに高電位が加わってオン状態に転じて、FET1及びFET2のゲートはグランド・レベルに降下するので、FET1及びFET2はオフ状態に切り換わる。すなわち、電源ライン40がDCインレット51から遮断される訳である。
【0054】(d)パワー・オンパワー・オン動作は、例えば、電子機器50の筐体壁面に設けられたパワー・オン・スイッチ81を操作することによって開始される。パワー・オン論理回路80は、このパワー・オン・スイッチ81の操作に応答して、所定の電源投入シーケンスを実行するとともに、自身の出力端子PWRONをアサートする。このPWRON信号は、キャパシタC3経由でトランジスタTR3のベースに入力され、TR3のコレクタにパルス波を生成する。このパルス波がフリップ・フロップF/Fのリセット端子Rに入力されて、F/Fはその出力Qをロー・レベルに転じる。そして、ロー・レベルのQ出力がNch型FETスイッチFET3のゲートに入力される結果、FET3は、一対のFET1及びFET2の各ゲートをグランドから切り離してハイ・レベルとするため、FET1及びFET2をオン状態になる。すなわち、電源ライン40は接続状態となる。これら一対のFETスイッチのオンに応答して、DC/DCコンバータ53は駆動して、DC5Vの電源電圧VCC5の出力を開始する。
【0055】(e)電源投入中の充電開始電源コントローラ70は、充電の開始時期を計測している。充電開始時期は、例えばバッテリ55の残存容量や端子電圧、又はバッテリ・セルの周囲温度等を常時モニタして、残存容量が端子電圧が所定値を下回ったことにより、検知される(周知)。そして、電子機器50の電源投入中に充電の開始時期を知ると、電源コントローラ70は、自身の出力端子CHGONをアサートする。CHGONは充電器54に入力されて、充電器54の駆動を開始させる。また、CHGON信号は、トランジスタTR2によって反転され、ロー・レベルのCHGOFF信号としてNANDゲートの一方の端子に入力される。電子機器50はパワー・オン状態であり、パワー・オン論理回路80は、自身の出力端子PWRONをアサートし続けている。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ロー・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力されている。したがって、機器50のパワー・オン中に充電を開始しても、NANDゲートの出力はハイ・レベルを維持するので、フリップ・フロップF/FへのS入力に影響せず、引き続きFET1及びFET2のオン状態が保たれる。すなわち、電源ライン40の接続状態が保たれ、ACアダプタ10からの充電用電力の供給が確保される訳である。
【0056】(f)電源投入中の充電終了電源コントローラ70は、充電の終了時期を計測している。充電時期は、例えばバッテリ55の残存容量や端子電圧、又はバッテリ・セルの周囲温度等を常時モニタして、蓄積容量や端子電圧が所定値を上回ったり、周囲温度が所定値を越えたことにより検知される(周知)。そして、電子機器50の電源投入中に充電の終了時期を知ると、電源コントローラ70は、自身の出力端子CHGONをネゲートする。CHGONは充電器54に入力されて、充電器54の駆動を停止させる。また、CHGON信号は、トランジスタTR2によって反転され、ハイ・レベルのCHGOFF信号としてNANDゲートの一方の端子に入力される。この時点では、電子機器50はパワー・オン状態であり、パワー・オン論理回路80は、自身の出力端子PWRONをアサートし続けている。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ロー・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力されている。したがって、機器50のパワー・オン中における充電を終了しても、NANDゲートの出力はハイ・レベルを維持するので、フリップ・フロップF/FへのS入力に影響せず、引き続きFET1及びFET2のオン状態が保たれる。すなわち、電源ライン40の接続状態が保たれ、ACアダプタ10からの充電用電力の供給が確保される訳である。
【0057】(g)パワー・オフパワー・オフ動作は、例えば、電子機器50の筐体壁面に設けられたパワー・オン・スイッチ81を操作することによって開始される。パワー・オン論理回路80は、このパワー・オフ・スイッチ81の操作に応答して、所定の電源遮断シーケンスを実行するとともに、自身の出力端子PWRONをネゲートする。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ハイ・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力される。また、この時点では、バッテリ55の充電を終了しているので、電源コントローラ70は自身の出力端子CHGONをネゲートしており、NANDゲートの一方の端子にはハイ・レベルのCHGOFF信号が入力されている。したがって、NANDゲートは、パワー・オフ動作に応答して、その出力をハイ・レベルからロー・レベルに転じる。このNAND出力の立ち下がりによって、抵抗R2とキャパシタC2の相互作用でパルス波が生成され、フリップ・フロップF/Fのセット端子Sに入力される。この結果、フリップ・フロップF/Fの内部状態が遷移し、その出力Qはハイ・レベルに転じる。このため、FET3のゲートに高電位が加わってオン状態に転じて、FET1及びFET2のゲートはグランド・レベルに降下するので、FET1及びFET2はオフ状態に切り換わる。すなわち、電源ライン40がDCインレット51から遮断される訳である。
【0058】(h)バッテリ交換電子機器50の電源遮断中は、ユーザにとってはバッテリ55を交換するための良い機会でもある。新しいバッテリ55を装着した瞬間には、その出力端子55aにはバッテリ端子電圧(PVBATT)が加わり、これに伴って、キャパシタC3経由でトランジスタTR3のベースに電圧が印加され、TR3のコレクタにパルス波を生成する。このパルス波がフリップ・フロップF/Fのリセット端子Rに入力されて、F/Fはその出力Qをロー・レベルに転じる。そして、ロー・レベルのQ出力がNch型FETスイッチFET3のゲートに入力される結果、FET3は、一対のFET1及びFET2の各ゲートをグランドから切り離してハイ・レベルとするため、FET1及びFET2をオン状態にすることができる。すなわち、電源ライン40は接続状態となる。これら一対のFETスイッチのオンに応答して、DC/DCコンバータ53は駆動を開始して、DC5Vの電源電圧VCC5の出力を開始する。バッテリ交換時には、一般に、新たに装着したバッテリ55に対して充電処理を施すべきである。本実施例によれば、バッテリ交換時には、電源ライン40の接続状態が確保されており、充電処理を可能ならしめている訳である。
【0059】(i)充電開始電源コントローラ70は、充電の開始時期を計測している。充電開始時期は、例えばバッテリ55の残存容量や端子電圧、又はバッテリ・セルの周囲温度等を常時モニタして、残存容量が端子電圧が所定値を下回ったことにより、検知される(周知)。そして、電子機器50の電源遮断中に充電の開始時期を知ると、電源コントローラ70は、自身の出力端子CHGONをアサートする。CHGONは充電器54に入力されて、充電器54の駆動を開始させる。また、CHGON信号は、トランジスタTR2によって反転され、ロー・レベルのCHGOFF信号としてNANDゲートの一方の端子に入力される。電子機器50はパワー・オフ状態であり、パワー・オン論理回路80は、自身の出力端子PWRONをネゲートし続けている。このPWRON信号は、トランジスタTR1によって反転され、ハイ・レベルのPWROFF信号がNANDゲートの他方の端子に入力されている。したがって、機器50のパワー・オフ中における充電の開始とともに、NANDゲートの出力はロー・レベルからハイ・レベルに転じる。但し、このNAND出力は、フリップ・フロップF/FへのS入力に影響しないので、引き続き、FET1及びFET2のオン状態が保たれる。すなわち、ACアダプタ10からの充電用電力の供給が確保される訳である。
【0060】以上の説明では、電子機器50が電力の供給を必要としない期間、より具体的には、上記フェーズ(c)及び(g)のように機器50がパワー・オフで且つ充電終了時には、一対のFETスイッチFET1及びFET2によって電源ライン40が遮断される、という点に特を理解されたい。なお、FET1及びFET2の各々のスイッチング動作は、DCインレット51に印加されたACアダプタ10の出力電圧に基づいて行われる。言い換えれば、これらのスイッチング動作のために、電子機器50内のバッテリ55の蓄積電荷を消耗しない。
【0061】ACアダプタ10、及びコンピュータ・システムとしての電子機器50を構成するためには、図1に示した以外にも多くの電気回路等が必要である。但し、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では省略している。また、図面の錯綜を回避するため、図中の各ハードウェア・ブロック間の接続も一部しか図示していない点を了承されたい。
【0062】B.ACアダプタの動作特性次いで、本実施例に係るACアダプタ10の省電力動作特性について説明することにする。従来のACアダプタは、ACコンセントに装着しているだけで電力を浪費していた(前述)。本実施例に係るACアダプタ10によれば、これを装着した電子機器50が電力を必要としない限りACアダプタ10は電力を殆ど消費しない、という点を以下の説明により充分理解されたい。以下、再び図1を参照しながら説明する。
【0063】(a)ACコンセントに装着し、電子機器には装着しないときACアダプタ10をACコンセントに装着している間は、変圧トランス12には電流が流入するため、FETスイッチ14のスイッチング動作により電力を浪費する危険がある。
【0064】ところが、ACアダプタ10を電子機器に装着していないときには、ACアダプタ10の出力端子(DCアウトレット13)は、オープン状態となる。
【0065】他方、ACアダプタ10の出力端子には、電源用の変圧トランス12の出力電圧以外に、制御用の変圧トランス31の出力電圧も印加されている。出力端子電圧がオープン状態では、より高電位の変圧トランス31の出力電圧20Vが現れる。この結果、比較器32の出力がアサートされ、1次−2次アイソレータ33を介してスイッチ20がオフされる。この結果、変圧トランス12への電流の流入がなくなり、FETスイッチ14のスイッチング動作による電力浪費が回避される。
【0066】(b)ACコンセント及び電子機器に装着したままのとき電子機器50にACアダプタ10を装着したまま放置しておくと、電子機器50がパワー・オフの状態であっても、その内部のシステム負荷によって電力が浪費される危険がある。
【0067】しかしながら、本実施例に係る電子機器50によれば、機器50がパワー・オフで且つ充電終了時には、一対のFETスイッチFET1及びFET2によって電源ライン40が遮断されるようになっている(上述)。すなわち、機器50が電力を必要としない間は、ACアダプタ10の出力端子(DCアウトレット13)は、オープン状態になる訳である。
【0068】他方、ACアダプタ10の出力端子には、電源用の変圧トランス12の出力電圧以外に、制御用の変圧トランス31の出力電圧も印加されている。出力端子電圧がオープン状態では、より高電位の変圧トランス31の出力電圧20Vが現れる。この結果、比較器32の出力がアサートされ、1次−2次アイソレータ33を介してスイッチ20がオフされる。この結果、変圧トランス12への電流の流入がなくなり、FETスイッチ14のスイッチング動作による電力浪費が回避される。
【0069】C.追補以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。例えばファクシミリ機器、移動無線端末やコードレス電話機、電子手帳、ビデオ・カメラなどの各種コードレス機器、ワードプロセッサ等のようなバッテリ駆動タイプの各種電気・電子機器、あるいはACアダプタ経由で商用AC電源で駆動する電気・電子機器に対しても、本発明を適用することができる。要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0070】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、商用AC電圧をDC電圧に変換するためのACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することができる。
【0071】また、本発明によれば、未使用時の電力を削減可能なACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することができる。
【0072】また、本発明によれば、装着中の電子機器内の電源状態を検知したことにより商用AC電源からの給電を遮断することにより未使用時の電力を削減可能な優れたACアダプタを利用可能なバッテリ駆動型電子機器を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【出願日】 平成9年12月8日(1997.12.8)
【代理人】 【識別番号】100086243
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 博 (外2名)
【公開番号】 特開2002−132398(P2002−132398A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2001−252891(P2001−252891)