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【発明の名称】 断熱容器の設計システム及び断熱容器の設計プログラムを記録した記録媒体
【発明者】 【氏名】田中 幹彦

【要約】 【課題】ユーザニーズに応じた断熱容器の温度保持性能データを提供し、容器の製造に係る開発期間を大幅に短縮する。

【解決手段】断熱容器の設計システムのサーバ5は、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを入力する入力操作部17と、入力操作部17により入力されたデータに対応する内容物の温度保持性能に関するデータを出力する制御部7、表示部19とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを入力する入力手段と、該入力手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを出力する制御手段と、を備えることを特徴とする断熱容器の設計システム。
【請求項2】 前記制御手段は、前記入力手段により入力されたデータに基づいて、温度保持性能を演算することを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項3】 前記断熱容器の性能に関するデータには、断熱容器の種類、寸法及び温度が含まれることを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項4】 前記内容物の熱容量に関するデータには、内容物の種類及び重量が含まれることを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項5】 前記熱媒体の性能に関するデータには、熱媒体の種類及び重量が含まれることを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項6】 前記内容物の温度保持性能に関するデータは、所定時間経過後の内容物の温度であることを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項7】 前記内容物の温度保持性能に関するデータは、所定時間経過後の内容物の鮮度であることを特徴とする請求項1記載の断熱容器の設計システム。
【請求項8】 断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを受信する受信手段と、該受信手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを送信する送信手段と、を備えることを特徴とする断熱容器の設計システム。
【請求項9】 コンピュータを、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを入力する入力手段と、該入力手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを出力する制御手段と、を備える断熱容器の設計システムとして機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】 コンピュータを、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを受信する受信手段と、該受信手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを送信する送信手段と、を備える断熱容器の設計システムとして機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は断熱容器の設計システムに関し、特に、ユーザニーズに応じた断熱容器の温度保持性能に関するデータを提供し、容器製造に係る開発期間を大幅に短縮することができる断熱容器の設計システム、断熱容器の設計プログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品等の物流においては、内容物を輸送する過程で十分な鮮度が確保されることが求められる。断熱容器の設計は、容器の断熱性能の他、内容物、輸送条件により容器内部の状態が大きく変動するために試作品による実用化レベルでの評価が欠かせず、多くの作業工数と費用が発生する。このため、断熱容器は、短時間での製品化が非常に困難な商品である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の断熱容器は、過去の製作経験に基づいて設計されている。この結果、安全性を過剰に含めた設計となり、保冷容器の資源、エネルギー面での無駄が多い。本発明の目的は、ユーザニーズに応じた断熱容器の温度保持性能を提供することができ、容器製造に係る開発期間を大幅に短縮することができる断熱容器の設計システム、及び断熱容器の設計プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の断熱容器の設計システムは、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを入力する入力手段と、該入力手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを出力する制御手段と、を備えるものである。
【0005】また、前記制御手段は、前記入力手段により入力されたデータに基づいて、温度保持性能を演算することで、入力条件に応じたシミュレーション結果をユーザに提供することができる。また、前記断熱容器の性能に関するデータには、断熱容器の種類、寸法及び温度が含まれることで、断熱容器に関するより詳細な入力条件に応じたシミュレーション結果をユーザに提供することができる。
【0006】また、前記内容物の熱容量に関するデータには、内容物の種類及び重量が含まれることで、内容物に関するより詳細な入力条件に応じたシミュレーション結果をユーザに提供することができる。また、前記熱媒体の性能に関するデータには、熱媒体の種類及び重量が含まれることで、保冷材又は保温材に関するより詳細な入力条件に応じたシミュレーション結果をユーザに提供することができる。
【0007】また、前記内容物の温度保持性能に関するデータは、所定時間経過後の内容物の温度であることで、ユーザは表示された温度分布図が示す色又は諧調に基づいて内容物の温度変化を知ることができる。また、前記内容物の温度保持性能に関するデータは、所定時間経過後の内容物の鮮度であることで、ユーザは計算結果に基づいて内容物の鮮度を知ることができる。
【0008】他の観点において、本発明の断熱容器の設計システムは、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを受信する受信手段と、該受信手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを送信する送信手段と、を備えるものである。
【0009】他の観点において本発明は、コンピュータを、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを入力する入力手段と、該入力手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを出力する制御手段と、を備える断熱容器の設計システムとして機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0010】他の観点において本発明は、コンピュータを、断熱容器の性能、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能に関するデータを受信する受信手段と、該受信手段により入力されたデータに対応する前記内容物の温度保持性能に関するデータを送信する送信手段と、を備える断熱容器の設計システムとして機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0011】本発明は、ユーザから予め要求される内容物の必要保持温度及び時間等が入力された場合、コンピュータシミュレーション又は過去の温度保持性能データを利用して、たとえば発泡プラスチックやダンボール素材からなる箱形状容器を設計提案するものである。これにより、必要に応じて試作に必要な素材や試作品を提供することにも事業発展することができ、断熱容器を必要とするユーザに代わり開発支援することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面と対応して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態による断熱容器の設計システムの構成を説明するブロック図である。本システムは、クライアント端末1、インターネット3及びサーバ5により実現される。
【0013】図1において、クライアント端末1、サーバ5の各々とインターネット3との間には、インターネットサービスプロバイダ(図示せず)が配置されている。このインターネットサービスプロバイダとクライアント端末1及びサーバ5の各々とは、ISDN回線等により接続されている。クライアント端末1は、TCP/IP等のインターネット用の通信プロトコルを用いて、サーバ5と相互に通信可能なように接続される。
【0014】クライアント端末1は、断熱容器の設計支援を求めるユーザによって操作される。本実施の形態では、食品会社の物流、包装分野の技術開発者等により操作され、断熱容器の性能(種類、寸法及び温度)、該断熱容器の周囲の外気温度、該断熱容器に収納する内容物の熱容量に関するデータ(種類及び重量)及び初期温度、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体(保冷材又は保温材)の性能(種類、重量及び温度)が入力される。
【0015】サーバ5は、インターネット3を介してホームページ等を窓口としてクライアント端末1に断熱容器の温度保持性能に関するデータを提供する。ここで、温度保持性能データを定義する。クライアント端末1に提供される温度保持性能データとは、主に温度シミュレーション、鮮度シミュレーションにより得られるデータである。
【0016】具体的には、解析条件入力画面(図15参照)のボタン“解析実行”をクリックして表示される温度分布(図19参照)、及び食材鮮度パラメータ計算条件画面(図12参照)のボタン“計算”をクリックして表示される鮮度Fである。一方、サーバ5には、上記温度保持性能データと、シミュレーション画面(図6〜図11、図13及び図15参照)でユーザが条件入力したデータ及び各種ボタンをクリックして表示されるデータとが、解析モデル(図15参照)毎に格納される。ここで、サーバ5の詳細構成を説明する。
【0017】サーバ5は、制御部7、送信/受信部9、RAM11、ROM13、温度保持性能データベース(性能DB)15、パラメータデータベース(パラメータDB)16、入力操作部17、表示部19、CD−ROMドライブ21から構成される。制御部7はCPUであり、サーバ5全体の動作を制御する。特に、送信/受信部9の通信制御、RAM11、ROM13、性能DB15及びパラメータDB16等からのデータ読出し/書き込み処理、後述する温度及び鮮度シミュレーションにおける温度保持性能データの演算処理等である。
【0018】送信/受信部9は、制御部7の指示に基づいて、クライアント端末1との間でデータの送信及び受信処理を行う。特に、送信/受信部9は、外気温度及び時間、断熱容器の種類、寸法及び温度、内容物の種類、重量及び温度、並びに熱媒体(保冷材又は保温材)の種類、重量及び温度をクライアント端末1から受信し、また、制御部7で演算された温度保持性能データをクライアント端末1に送信する。
【0019】RAM11は、サーバ5の処理に必要なデータを一時的に格納する。特に、RAM11は、クライアント端末1にて表示されるユーザインタフェースとなる画面データ等を格納する。ROM13は、本発明の処理プログラム等を固定的に格納する。性能DB15は、光磁気ディスクライブラリ等の大容量の記憶装置であり、断熱容器の過去のシミュレーション事例の温度保持性能データを解析モデル毎に格納する。
【0020】パラメータDB16は、光磁気ディスクライブラリ等の大容量の記憶装置であり、後述する温度伝導率等、シミュレーションに必要なパラメータを記憶する。入力操作部17は、後述する性能DB15、パラメータDB16の記憶内容の更新に応じてその都度操作される。
【0021】表示部19はLCD等であり、制御部7で演算された温度保持性能データ(計算結果、グラフ)等のコードデータをその都度表示データに変換して表示処理を行う。CD−ROMドライブ21は、制御部7の指示に基づいてCD−ROM23に格納されているプログラム等をRAM11等に書き込む。
【0022】図2は、本実施の形態による断熱容器の設計システムの動作を説明するフローチャートである。ここでは、(1)クライアント端末1における表示画面及び該画面への入力操作(図3〜図18)、(2)サーバ5の制御部7での温度保持性能の演算(温度・鮮度シミュレーション)を中心に説明する。
【0023】はじめに、ステップS101では、クライアント端末1は、インターネット3を介してホームページ等の情報提供の窓口と通信回線を確立し、次いでステップS102で、初期画面(図3参照)が表示される。ステップS103では、この初期画面のボタン“開始”をクリックすることで、容器数入力画面(図4参照)が表示される。本実施の形態における輸送例として、被保冷食品としてケーキ(約300g)をダンボール(小箱)に包装し、パン(約300g)をダンボール(小箱)に包装し、これら2つの容器を1つのダンボール(物流容器)に収容して輸送する場合を説明する。そこで、容器数“3”を入力する。
【0024】ステップS103での容器数“3”の入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS104で、容器構成指定画面(図5参照)が表示される。この画面は、先に入力した容器数“3”の構成を指定する画面であり、図5では、容器を3段重ね(3重容器)に構成するか、2段重ね(2重容器)に構成するかを指定する。ここで、“容器1⊃容器2”は、容器2が容器1に収容されることを意味している。上述したことから、容器2、容器3が、ケーキとパンとを各々包装して容器1に収容される構成とするため、ここでは容器2と容器3とが同格であることを意味する記号“=”を入力する。
【0025】ステップS104での記号“=”の入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS105で、シミュレーション画面(外気条件入力画面、図6参照)に移る。シミュレーション画面は、外気条件、容器条件、食材条件、冷媒条件、解析条件の5種類の条件入力画面からなる。図6は、外気条件を設定する画面であり、食品の輸送過程で想定される外気温度と該温度の元での輸送時間とが設定される。本実施の形態では、全体として9時間の輸送時間での温度設定に関して、外気温度25℃での輸送が3時間、外気温度30℃での輸送が3時間、外気温度35℃での輸送が3時間に設定される。
【0026】なお、サーバ5のパラメータDB16には、パラメータ「空気の温度伝導率」、「動粘性係数v」、「重力加速度g」、「体積膨張率β」、「空気の熱伝導率λ」、「プラントル数Pr」が予め格納されている。制御部7は、上記外気に関する条件入力に応答して該当するパラメータ値をパラメータDB16から読み出し、この画面に表示する。
【0027】また、ここで表示されている「空気の温度伝導率」は、後述する温度シミュレーションの“非定常二次元熱伝達式”で用いられ、「空気の温度伝導率」を除くパラメータ値は、自然対流を考慮する場合に、後述する温度シミュレーションの“自然対流熱伝達式”で用いられる(図15参照)。
【0028】ステップS105での外気条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS106で、容器1の条件入力画面(図7参照)が表示される。この容器条件入力画面は、図5での容器構成指定にリンクしており、容器No.“容器1”が表示されている。
【0029】ここで、上述した輸送例に合わせて入力を行う。具体的には、分類への入力にはボタン“検索”をクリックし、“発泡容器”でボタン“登録”をクリックして入力する。同様に、容器名への入力にはボタン“検索”をクリックし、“物流容器”でボタン“登録”をクリックして入力する。
【0030】また、容器特性として横(X軸)には“35(cm)”、縦(Z軸)には“30(cm)”及び厚さには“2.5(cm)”を入力する。さらに、食材数“2”、冷媒数“1”、容器1内の初期温度“15(℃)”、内気温度“15(℃)”を入力する。容器の種類(発泡容器、ダンボール容器等)、寸法(外寸、内寸、厚み)は任意に設定できる。
【0031】図7に示す容器1の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると容器2の条件入力画面(図8参照)が表示される。この容器条件入力画面は、図5での指定内容にリンクしており、容器No.“容器2”が表示されている。ここでの入力内容は、具体的には、分類への入力にはボタン“検索”をクリックし、“ダンボール”でボタン“登録”をクリックして入力する。同様に、容器名への入力にはボタン“検索”をクリックし、“小箱1”でボタン“登録”をクリックして入力する。また、図7での入力内容に加えて、容器1における容器2の位置として、所定の位置からのX座標“5(cm)”、Z座標“2.5(cm)”を入力する。
【0032】図8に示す容器2の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると容器3の条件入力画面(図9参照)が表示される。この容器条件入力画面は、図5での指定内容にリンクしており、容器No.“容器3”が表示されている。ここでの入力内容は、具体的には、分類への入力にはボタン“検索”をクリックし、“ダンボール”でボタン“登録”をクリックして入力する。同様に、容器名への入力にはボタン“検索”をクリックし、“小箱2”でボタン“登録”をクリックして入力する。また、図8での入力内容と同様に、容器1における容器3の位置として、容器2と共通の所定の位置からのX座標“20(cm)”、Z座標“2.5(cm)”を入力する。
【0033】なお、サーバ5のパラメータDB16には、容器の種類に対応してパラメータ「容器温度伝導率」、「熱伝導率」、「内壁表面の境膜係数」及び「外壁表面の境膜係数」が予め格納されている。新しいものはその都度追加されていく。制御部7は、上記容器1、2、3に関する条件入力に応答して該当するパラメータ値をパラメータDB16から読み出し、図7、図8、図9の画面に表示する。
【0034】また、図7、図8、図9で各々表示されている「容器温度伝導率」は、後述する温度シミュレーションの“非定常二次元熱伝達式”で用いられ、「熱伝導率」、「内壁表面の境膜係数」、「外壁表面の境膜係数」及び「(容器1、2、3の)厚さ」は、後述する温度シミュレーションの“非定常二次元熱伝達式”の前提となる“冷媒の融解時間及び融解速度式”で用いられる。
【0035】以上により、容器1〜容器3の条件入力が完了し、図9に示す容器3の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS107で、食材1の条件入力画面(図10参照)が表示される。この容器条件入力画面は、図5での容器構成指定及び図8での容器2の条件入力内容にリンクしており、容器名“小箱1”が表示されている。
【0036】上述した輸送例及び入力操作に従い、ボタン“検索”及び“登録”をクリックして食材No.“食材1”、分類“加工品”、食材名“ケーキ”を入力し、該ケーキの内容(ここでは重量)“300g”、及び初期温度“5(℃)”を入力する。つぎに、ケーキの形状として、ここでは“直方型”をクリックし、横a“5(cm)”、高さb“5(cm)”を入力する。つぎに、容器2における設置位置として、所定位置からの距離として横(X軸)“2.5(cm)”、高さ(Z軸)“0.5(cm)”を入力する。
【0037】図10に示す食材1の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると食材2の条件入力画面(図11参照)が表示される。この容器条件入力画面は、図5での容器構成指定及び図9での容器3の条件入力内容に連動し、容器名“小箱2”が表示されている。上述した輸送例及び入力操作に従い、ボタン“検索”及び“登録”をクリックして食材No.“食材2”、分類“加工品”、食材名“パン”を入力し、該パンの内容(ここでは重量)“300g”、及び初期温度“5(℃)”を入力する。
【0038】図10の入力内容と同様に、パンの形状として、ここでは“楕円型”をクリックし、短半径a“2.5(cm)”、長半径b“3(cm)”を入力する。つぎに、容器3における設置位置として、所定位置からの距離として横(X軸)“2(cm)”、高さ(Z軸)“0.5(cm)”を入力する。
【0039】なお、サーバ5のパラメータDB16には、図10、図11に示すパラメータ「(食材)温度伝導率」が食品の種類に対応して予め格納されている。新しいものはその都度追加されていく。制御部7は、上記食材1、2に関する条件入力に応答して該当するパラメータ値をパラメータDB16から読み出し、図10、図11の画面に表示する。また、図10、図11で各々表示されている「(食材)温度伝導率」は、後述する温度シミュレーションの“非定常二次元熱伝達式”で用いられる。
【0040】ここで、鮮度シミュレーションのためのパラメータの決定方法について説明する。図10又は図11で、「鮮度予測値」のボタン“計算”をクリックすると食材鮮度パラメータ計算条件画面(図12参照)が各々表示される。この画面は、食材鮮度パラメータA、Eを計算する画面である。「鮮度劣化に特有な定数A」及び「活性化エネルギーE」は食品に固有な値であり、温度と保存日数から求められる。
【0041】図12では、特定の食材の温度2点での実測データが入力されている。温度“30(℃)”で保存する場合、初期の鮮度を“100”とすると保存日数“1(日)”経過後の鮮度は“40”に低下し、温度“5(℃)”で保存する場合、初期の鮮度を“100”とすると保存日数“7(日)”経過後の鮮度は“40”に低下したことを示すデータが入力されている。そこで、ボタン“計算”をクリックすると、上記食材の入力条件に基づいて「鮮度に特有な定数A」及び「活性化エネルギーE」が各々計算され、図10(又は図11)及び図12に表示される。
【0042】また、ここで表示される「鮮度に特有な定数A」及び「活性化エネルギーE」は、後述する鮮度シミュレーションの“鮮度予測式”で用いられる。以上により、食材1〜食材2の条件入力が完了し、図11に示す食材2の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS108で、冷媒条件入力画面(図13参照)が表示される。本実施の形態では、熱媒体として保冷材(氷、ドライアイス等の蓄冷材)を用いる場合を説明する。この冷媒条件入力画面は、図5での容器構成指定及び図7での容器1の条件入力内容(冷媒数“1”)にリンクしており、容器名“物流容器”が表示されている。
【0043】上述した輸送例及び入力操作に従い、ボタン“検索”及び“登録”をクリックして冷媒No.“冷媒1”、分類“蓄冷材”、冷媒名“ケーキ用”を入力し、該蓄冷材の内容(ここでは重量)“1.4kg”、及び初期温度“−15(℃)”を入力する。冷媒の融解温度は、任意に指定できる(蓄冷タイプ0℃以下〜蓄熱タイプ0℃以上)。
【0044】また、蓄冷材の形状として、ここでは“直方型”をクリックし、高さa“2(cm)”、横b“25(cm)”を入力する。つぎに、容器3における設置位置として、所定位置からの横(X軸)“2(cm)”、高さ(Z軸)“0.5(cm)”を入力する。
【0045】なお、サーバ5のパラメータDB16には、図13に示すパラメータ「(冷媒の)温度伝導率」及び「融解潜熱」が予め格納されている。新しいのものはその都度追加されていく。制御部7は、上記冷媒に関する条件入力に応答して該当するパラメータ値をパラメータDB16から読み出し、この画面に表示する。
【0046】また、ここで表示されている「(食材)温度伝導率」は、後述する温度シミュレーションの“非定常二次元熱伝達式”で用いられる。
【0047】以上により、容器1〜容器3、食材1〜食材2及び冷媒1の条件入力が完了する。ここで、図7〜図11、図13及び後述する図15におけるボタン“配置図表示”をクリックすると条件入力レベルでの配置図が表示される。たとえば、図13での冷媒1の条件入力を経てボタン“配置図表示”をクリックすると図14のような配置図が表示される。容器2,3、食材1,2、及び冷媒1の容器内の配置は、任意に設定できる。また、2重容器、3重容器において、食材、冷媒及び容器の配置を任意に設定でき、図14の配置図を表示することで全体の配置を容易に把握することができる。
【0048】図13での蓄冷材の条件入力後、ボタン“OK”をクリックすると、次いでステップS109で、解析条件入力画面(図15参照)が表示される。この画面には、外気条件、容器条件、食材条件、及び冷媒条件の内容に基づいてシミュレーションを行うための条件を入力する。
【0049】ここで、解析名には“解析モデル1”、解析の時間ステップ幅nには“180(sec)”、及び温度経過を観測する時間である計算実時間には“9(H)”を入力する。また、自然対流項として、ここでは“考慮しない”をクリックする。ちなみに、“考慮する”をクリックしてボタン“補正定数”をクリックすると、自然対流補正入力画面(図16参照)が表示される。
【0050】この自然対流補正定数は、各容器(発泡容器、段ボール容器等)、各食材、各冷媒とも0.42にしているが、実測値に合わせて補正する場合、0.38〜0.46の範囲で補正定数を各々変更しその数値で解析を行う(プラントル数Pr=0.7〜10)。上述のように、この各補正定数と図6で表示されている各パラメータを用いて、自然対流を考慮した温度シミュレーションが実行される。なお、サーバ5のパラメータDB16には、各容器、各食材、各冷媒に対応して各補正定数が予め格納されている。新しいものは補正の都度追加されていく。
【0051】また、図15において、ボタン“メッシュ分割指定”をクリックすると、メッシュ分割指定画面(図17参照)が表示される。ここでは、解析モデル配置図に対して、X座標、Z座標に関してスクロールバーをクリックすることによりメッシュ分割する。
【0052】このメッシュ分割による各領域は、後述する温度シミュレーションの実行単位となるものである。図17に示す例では、食材1、2の高さ及び幅、容器2、3の高さ及び幅等に合わせて、メッシュ分割されている。メッシュ分割を不等間隔にすることにより、計算時間を早くすることができる。高い精度が要求される食材の領域は、細かいメッシュ分割を行うことが望ましい。
【0053】また、図15において、ボタン“融解表示”をクリックすると、融解情報画面(冷媒−融解計算一覧、図18参照)が表示される。ここでは、温度シミュレーション(“非定常二次元熱伝達式”、更には“自然対流熱伝達式”)を実行するに際して、図13での入力条件(重量、融解潜熱)に基づいて、冷媒が融解する時間を計算により予測する。
【0054】ステップS109での解析条件入力後、図17又は図18におけるボタン“解析実行”をクリックすると、次いでステップS110で、ステップS101〜109での条件に基づいて、温度・鮮度シミュレーション(温度保持性能の解析)が実行される。このシミュレーションによりクライアント端末1には温度分布図(図19参照)が表示される。ここでは、解析モデル配置図での温度変化がカラーマップ表示される。ステップS110でのシミュレーションは、(1)温度シミュレーションと、(2)鮮度シミュレーションとに分けられる。これらについて以下に説明する。
【0055】はじめに、温度シミュレーションについて説明する。温度シミュレーション式は、任意の外気温度に対して、任意の経過時間における、容器内の温度(内容物、空気、等)を算出する計算式であり、(温度予測式)=(非定常二次元熱伝導式)+(自然対流熱伝達式)で表される。以下、各式について説明する。
【0056】■非定常二次元熱伝導式(基礎式)δT/δt=κ・(δ2T/δx2+δ2T/δz2
ここで、Tは絶対温度、tは時間、κは温度伝導率、x,zは座標を示す。
【0057】上記基礎式を数値計算するために差分化する。基礎式の時間の項に前進差分、空間の項に中心差分すると、基礎式は以下の様に差分化される。
【0058】Tijn+1=Δt・κ{(Ti+1jn−2Tijn+Ti-1jn)/(Δx)2+(Tij+1n−2Tijn+Tij-1n)/(Δz)2}+Tijnここで、nは時間ステップ幅、i,jは、座標z,x方向の計算点を示す。境界条件として、異物質が接している境界上では調和平均の温度伝導率を用いる。
【0059】κ-1=(1/N)・Σκ-1ここで、Nは境界で接している物質の数、κmは各物質の温度伝導率を示す。
【0060】上述のように、この熱伝導式に基づくシミュレーションは、図17でメッシュ分割された領域毎に実行される。このため、ここでの温度伝導率κは、図6〜図11及び図13で表示されている温度伝導率のうち、シミュレーション実行対象となる領域に含まれるものの温度伝導率が用いられる。
【0061】たとえば、図17に示す食材“ケーキ(直方型にて図示)”が含まれるメッシュ領域に対するシミュレーションでは、ケーキの「温度伝導率」(図10参照)が用いられ、ケーキと空気の境界上では、上記境界条件に基いて調和平均の温度伝導率が用いられる。
【0062】■自然対流熱伝達式この熱伝達式に関しても、自然対流を考慮する場合には、メッシュ領域毎に実行される。物体表面から流体への対流伝熱量は流れ方向をX軸、表面に垂直な方向をY軸にとると、フーリエの法則により以下の式で与えられる。
【0063】
【数1】

ここで、【0064】
【数2】

は熱流束、λは流体の熱伝導率である。自然対流がある場合は、熱伝導と同時に次式で与えられる熱伝達がある。
【0065】
【数3】

ここで、Tw,Tは壁と遠方流体の温度、hは熱伝達率(W/(m2K))を示す。温度がゆっくり変化する自然対流の温度場では、以下のエネルギー方程式が成り立つ。
【0066】
【数4】

ここで、κは温度伝導率(m2/s)を示す。
【0067】いま、鉛直平板自然対流境界層熱伝達において、実験によりy=0でu=0,y=δでdu/dy=0の速度境界条件のもとで速度分布形【数5】

及び、y=0でT=Tw,y=δtでT=T,dT/dy=0の温度境界条件の下で温度分布形【0068】
【数6】

を仮定できるものとすると、鉛直平板の層流自然対流熱伝達についてのEdeの式が導かれる。
【0069】
【数7】

ここで、【0070】
【数8】

は局所ヌッセルト数、【0071】
【数9】

はプラントル数、【0072】
【数10】

はグラスホフ数を示す。また、Pr=0.7〜10に対して、【0073】
【数11】

と近似できる。したがって、【0074】
【数12】

となる。ここで、平均熱伝達率は【0075】
【数13】

である。ここで、λは空気の熱伝導率、Prはプラントル数、gは重力加速度、βは体積膨張率、vは動粘性係数(図6参照)、xは密閉された空間の下からの位置までの距離を示す。この平均熱伝達率hは、対応するメッシュ領域における非定常二次元熱伝達式の結果に加算される。
【0076】■冷媒の融解時間及び融解速度式図15のボタン“融解表示”の操作で説明したように、ここでの計算は、温度シミュレーションの前段として、冷媒が融解する時間を計算により予測する。予測される融解時間は、温度シミュレーションに反映される。具体的には、予測される融解時間後に冷媒温度が変化し始めるように、非定常二次元熱伝達式での冷媒温度に反映される。
【0077】保冷容器への侵入熱量Qは
ここで、A,ΔT,Hはそれぞれ伝熱面積、内外温度差、経過時間を示し、kは次式で表される熱貫流率を示す。
【0078】
【数14】

ここで、λbox,dは保冷容器の熱伝導率及び厚さであり、α1,α2はそれぞれ壁面の外側及び内側の境膜係数である(図7〜9参照)。
【0079】氷、ドライアイス等の畜冷材が保冷容器に存在する間はこの侵入熱量Qが全てこれら畜冷材に吸収されるという条件の下で、氷、ドライアイス等の畜冷材が融解し終わるまでの融解時間を以下のように算出する。氷、ドライアイス等の畜冷材の全体がその周りから単位時間当たりに吸収する熱量が単位時間当たりの侵入熱量より多ければ周りの空気は冷やされる。すなわち、蓄冷材の熱伝達係数をhiで表すと、
つまり、【0080】
【数15】

のとき容器内部の温度Tinは上式の両辺が等しくなるまで、すなわち平衡になるまで下がろうとする。ここで、蓄冷材の周りの熱伝達係数hiは次式で表される。
【0081】
【数16】

結局、熱平衡になったときの容器内部の温度Tinは【0082】
【数17】

を満足する。いま、平衡状態を保ちつつ氷、ドライアイス等の畜冷材が融解する場合を考える。氷、ドライアイス等の畜冷材が完全に融解するまでの間に吸収する総熱量は、それらが氷点下から融解温度まで上昇するのに要する熱量と、潜熱としてもつ熱量の合計熱量に等しくなるまでの時間である。
【0083】2次元解析として、初期温度T0、周囲長さλ1、断面積Si、体積Viの氷を考え、その潜熱をL、密度をρとし、伝熱面積Aiを通過する熱流量をQiとすると、
(δは奥行き単位長さ)となり、氷等物体の融解時間tは【0084】
【数18】

となる。ここで、融解温度以下のときでもqi=hi(T-273)と近似した。同じ雰囲気に熱流束qが同じで大きさの異なる【0085】
【数19】

【0086】
【数20】

で定義される氷iの融解速度vxiは【0087】
【数21】

により氷jの融解速度vxjに等しく、融解時間は【0088】
【数22】

によりtj>tiである。
【0089】さらに、初期温度がそれぞれTi0,Tj0の氷i,jの元体積をVi,Vjとし、氷iが全て融ける時間をti,その間に氷jが融ける体積をVjtiとすると
となる。氷i,jについてそれぞれの熱収支を考えると
【0090】
【数23】

(5),(6)より【0091】
【数24】

を得る。一方、氷i,jへの熱流束qi,qjが異なる場合を考える。
【0092】

(8)より(7)と同様に【0093】
【数25】

を得る。(9)(10)より【数26】

以上の考察では、氷i,jの初期温度Ti0,Tj0が融解温度以下の時でも熱流束は融解温度のときと同じと仮定している。外部からの侵入熱量が全て氷等の融解に使われるとする仮定の下では氷の周辺温度は変化しない。従って、氷が融解温度にあるときは、熱流束qi=hi(T-Ti)は一定である。
【0094】因みに、周辺温度10℃、氷の初期温度−13℃、氷の高さ10cm、熱伝導率λ=0.02305W/(mK)、動粘性係数ν=1.22×10-5m2/sのとき、熱伝達係数hは、【0095】
【数27】

である。氷の初期温度が0℃の場合、熱伝達係数hはh=2.64×10^0.25=4.6946となる。すなわち、熱伝達係数hは温度差に関して【0096】
【数28】

に比例して変化する。
【0097】氷の初期温度−13℃の場合は0℃の場合より熱伝達係数は1.23倍大きくなる。氷の初期温度−5℃の場合は1.5^0.25=1.1倍になるだけである。したがって、熱流束は氷の初期温度−13℃の場合は2.829倍−5℃の場合は1.65倍大きい。また、融解速度vxを【0098】
【数29】

で定義すると【0099】
【数30】

ゆえ、【0100】
【数31】

を得る。したがって、融解速度vxは上式に融解時間を代入すれば求めることができる。以下に、実際に例をとって融解時間を計算する。
【0101】外気温度25℃のとき、容器内に高さ2cm幅47cm、初期温度-10℃の氷1.3 kgを置いたときの融解時間は次のように計算される。ただし、氷の潜熱80kcal/kg密度917kg/m3、比熱2.0kJ/kg・Kとする。
【0102】二分法により、熱平衡になったときの内部の温度は279.2K(6.2℃)となる。このとき、熱伝達率は【0103】
【数32】

2次元計算のため重量から奥行き長さを換算する。すなわち、【0104】
【数33】

したがって、融解時間は【0105】
【数34】

となる。熱伝達率は自然対流熱伝達とし、左右から熱を吸収するとして2倍した。
【0106】図20は、本実施の形態による断熱容器の設計システムのシミュレーションの精度を例示する図である。ここでは、外気温度30℃の環境で10時間輸送する場合を例に、段ボール容器内の温度の解析値と実測値、発泡プラスチック(EPS)容器内の温度の解析値と実測値とを示している。
【0107】段ボール容器に関して、輸送3時間後から解析値と実測値の温度差が少なくなり輸送終了時には解析値は実測値に実質的に一致している。また、EPS容器に関して、輸送6時間迄は、解析値は実測値と約±2℃以内の精度を保っているが、輸送6時間経過後は実測値が解析値を次第に上回り、輸送終了時には約5℃程度の温度差が生じることがわかる。この温度差を調節するために、自然対流補正定数を必要に応じて変更する(図16参照)。
【0108】以上、図19に示す容器、食材、冷媒の寸法及び配置に対応する温度分布データ(メッシュ図、初期温度分布図、温度伝導率分布図及び温度分布図)が温度保持性能データとして性能DB15に格納されると共に、クライアント端末1に表示される(図2、ステップS111)。
【0109】つぎに、鮮度シミュレーションについて説明する。鮮度シミュレーション式は、温度シミュレーション式により予測した、食材の温度変化に基いて食品の鮮度劣化を予測する計算式であり、(鮮度予測式)=(温度予測式)+(化学反応式)で表される。
【0110】鮮度を予測するにあたり、食品の保存期間と温度いわゆるTTT(Time Temperature Tolerance)に基づいて、温度シミュレーションから予測した食品の温度における鮮度予測式F(t)は、化学反応の速度を示すアレニウス則より(1)鮮度劣化速度係数K=A・EXP(−E/R/T)(2)時間tにおける定量的鮮度をF(t)で表すとF(t)=F(0)EXP(-∫Kdt)で表現できる。
【0111】ここで、微生物汚染は無視できることを仮定しており、Aは鮮度劣化に特有な係数、Eは活性化エネルギー(図12参照)、Rは気体定数、Tは絶対温度を示す。F(0)=100を生産時の値として、F(t)>80を優鮮度、60<F(t)<80を良鮮度、F(t)=40を限界鮮度とする。ここで、算出される鮮度は、温度シミュレーションでの経過時間と対応して、グラフ(図示せず)にてクライアント端末1に表示される。
【0112】以上、この発明の実施の形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもよい。たとえば、上記実施の形態では、図2のステップS106〜S108で容器1における容器2及び3、食材1及び2、冷媒1の配置条件(図8〜図11及び図13参照)をユーザが入力し、解析を実行しているが、この配置条件のみを変更して解析を繰り返し行うこともできる。この配置条件の変更の度に、温度保持性能データは別な解析モデル(図15参照)のデータとして格納される。容器1に対する容器2及び3、食材1及び2、並びに冷媒1の位置を変更してシミュレーションを行うことにより、保冷温度を維持し、容器1内の温度の均一化(最適配置)を図ることができる。
【0113】図21は、容器の最適配置を説明する図である。図21(a)は、容器内温度の均一化を図るための最適配置を示す配置図表示画面であり、図21(b)は、該最適配置に基づく温度分布図である。図21(a)に示す最適配置は、食品と、該食品の周囲を覆うように配置される保冷材と、該食品及び保冷材を収容する容器とがX軸上で等間隔で配置されている。すなわち、食品の左端から保冷材(容器)の左端までの距離と、食品の右端から保冷材(容器)の右端までの距離とが等しく配置されている。図21(b)に示す温度分布は、濃い色が温度の低さを、薄い色が温度の高さを示している。
【0114】図22は、図21に示した最適な容器配置と通常の容器配置との温度比較を示す図である。図22は、外気温度の変化に応じた、容器内の下部に配置される食材の温度変化を示している。外気温度が25℃から30℃に変化する3時間経過後から次第に最適な容器配置による容器1内の温度と、通常の容器配置による容器1内の温度との間に差が生じており、輸送終了時点で約3℃程度の温度差が生じることがわかる。
【0115】図23は、図21に示した最適な容器配置に対応する通常の容器配置の温度分布を示す図である。経過時間毎の温度分布図は図22での外気温度に対応しており、図23(a)は外気25℃での環境で3時間経過した場合の温度分布、図23(b)は外気30℃での環境で3時間経過(全体で6時間経過)した場合の温度分布、図23(c)は外気35℃での環境で3時間経過(全体で9時間経過)した場合の温度分布を示している。
【0116】図23(a)で上部(冷媒が多く存在する位置)及び中央部(食材が存在する位置)が、図23(b)から図23(c)への時間変化に応じて濃い色(温度が低い)から薄い色(温度が高い)に変化していることがわかる。図24は、図21に示した最適な容器配置の温度分布を示す図である。図24(a)〜図24(c)は、図23(a)〜図23(c)に対応し、外気25℃での環境で3時間経過した場合の温度分布、外気30℃での環境で3時間経過(全体で6時間経過)した場合の温度分布、外気35℃での環境で3時間経過(全体で9時間経過)した場合の温度分布を各々示している。上部及び中央部の温度上昇のレベルが、図23のそれと比べて緩和されており、容器1内の温度の均一化が図られている。
【0117】また、上記実施の形態では、クライアント端末1のユーザにより図6〜図11の条件入力画面に必要なデータを入力しているが、本発明はこれに限定されない。いずれにしても、所定の輸送時間経過後における容器内の温度分布を知ることができればよく、断熱容器の性能(図7〜図9参照)、該断熱容器の周囲の外気温度(図6参照)、該断熱容器に収納する内容物の熱容量及び初期温度(図10及び図11参照)、並びに該内容物の温度保持のための熱媒体の性能(図13参照)が条件として入力されていればよい。
【0118】また、上記実施の形態では、サーバ5は、クライアント端末1からの条件入力に応答して温度及び鮮度シミュレーションを行い、温度保持性能データを該端末1に表示させている。他の形態として、サーバ5は、クライアント端末1からの条件入力に応答して、過去に実行された解析モデル毎の性能データを利用してユーザに提供してもよい。
【0119】この場合、サーバ5の制御部7は、クライアント端末1からの条件入力に応答して性能DB15を参照し、該DB15に格納されている温度保持性能データのうち、クライアント端末1からの条件に近い条件を有する温度保持性能データを読み出して、クライアント端末1に送信する。いずれにしても本発明は、クライアント端末1からの条件を受信し、該受信手段により受信されたデータに基づいて、温度保持性能データをクライアント端末1に送信するものであればよい。
【0120】また、上記他の実施の形態では、過去に実行された解析モデル毎の性能データを利用してユーザに提供するが、その後条件に合致した温度保持性能データの要求をクライアント端末1から受付け、申し込みがあった場合に限り上述した温度及び鮮度シミュレーションを実行してもよい。これにより、ユーザが該シミュレーションによる温度保持性能データの評価後に、実際の試作品の作成依頼を受付け、作成依頼があった場合に限り試作品を作成して提供又は販売することも可能となる。
【0121】また、上記実施の形態では、サーバ5は、インターネット3を介してクライアント端末1からの入力条件を受信し、該入力条件に応じた温度保持性能データを該端末1に送信している。更に他の形態として、サーバ5の入力操作部17からの直接の条件入力に応じて、制御部7は温度/鮮度シミュレーションを行い、温度保持性能データを表示部19に表示する構成としてもよい。又は、制御部7は、性能DB15に格納されている温度保持性能データのうち、入力操作部17からの条件に近い条件を有する温度保持性能データを読み出し、表示部19に表示する構成としてもよい。
【0122】同様にして、この場合のサーバ5の構成及び機能をクライアント端末1に設けることで、クライアント端末1は、ユーザからの条件入力に応じて、上述した温度/鮮度シミュレーションを行い、温度保持性能データを表示することができる。これにより、断熱容器の開発期間を短縮することができる。また、本発明の断熱容器の設計システムは、本断熱容器の設計システムを機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0123】本システムの動作を実行するプログラムを記録した記録媒体は、図1に示されるサーバ5のROM13又はクライアント端末1のROM(図示せず)そのものであっても良いし、また、外部記憶装置としてCD−ROMドライブ21等のプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なCD−ROM23等であっても良い。また、上記記録媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、MO/MD/DVD等、又は半導体メモリであっても良い。
【0124】
【発明の効果】本発明により、容器内の食品の温度及び鮮度シミュレーションに基づいた蓄冷材の配置(上部、下部又は側面)及び個数、重量、容器の材質及び肉厚(上部、下部又は側面)並びに形状(凸凹)解析により、対策コストを最小とする最適容器設計が可能となる。また、各種パラメータの違いによる性能比較が可能となる。さらには、容器の製造に係る開発期間を大幅に短縮することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
【出願日】 平成12年10月2日(2000.10.2)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2002−108951(P2002−108951A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−302621(P2000−302621)