トップ :: G 物理学 :: G06 計算;計数




【発明の名称】 ボンドグラフ解析システム
【発明者】 【氏名】山本 耕治

【要約】 【課題】本発明は、機械,流体,電気等の物理的現象をボンドグラフで表現して解析する際に、解析者は一旦紙にボンドグラフ作成し、当該ボンドグラフを見ながら解析に必要な情報を解析用入力ファイルに構築させるようにしているために、作業ロスや入力作成ミスを生じさせており、このような欠点を可及的に阻止するボンドグラフ解析システムを提供することを目的とする。

【解決手段】本発明のボンドグラフ解析システムは、ボンドグラフを作成するボンドグラフ作成手段10と、各素子が持つ接続因果関係を確認する接続因果関係確認手段20と、解析条件と接続因果関係を満足するボンドグラフを基に解析計算式を作成し計算して計算結果を出力する解析手段30で構成し、ボンドグラフ作成から解析,解析結果の出力まで一連の処理を可能にしたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】機械,流体,電気等の物理的現象をボンドグラフで表現して解析するボンドグラフ解析システムであって、前記物理的現象の各素子を提供する素子提供部と、素子提供部から必要とする素子を配置する素子配置部と、素子配置部で配置した素子間にボンドを配置するボンド配置部と、素子間のエネルギーの流れ方向やストロークの設定を行う素子間ボンド接続部とからなるボンドグラフ作成手段、各素子が持つ接続因果関係を予め記憶した接続因果関係記憶部と、各素子が持つ接続因果関係を接続因果関係記憶部からのデータに基づいて確認する接続因果関係確認部とからなる接続因果関係確認手段、入力設定した解析条件と接続因果関係を満足するボンドグラフを基に解析用入力ファイルを作成する解析用入力ファイル作成部と、当該解析用入力ファイルから解析計算式を作成するとともに解析計算式を基に計算する解析処理部と、解析処理部の計算結果を出力する解析出力部とからなる解析手段で構成したことを特徴とするボンドグラフ解析システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械,流体,電気等の物理的現象をボンドグラフで表現して解析するボンドグラフ解析システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来ボンドグラフ法を用いた解析は、図13のような解析システムAを利用して行われていた。すなわち、解析者は、ボンドグラフ作成部1で図14のような物理モデルを用紙などに素子,ボンド,ストローク,接点などによって図15のボンドグラフを表現させ、このボンドグラフを基に図16に図示するような解析用入力ファイルを作成し解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力する。入力されたファイルを解析処理部3で連立常微分方程式にしてルンゲクッタ法などを用いて数値計算を実行する。そして数値計算された解析結果を解析出力部4で数値データ、表、グラフ等で表示し、解析者は解析出力部4で表示した数値データ、表、グラフ等により解析結果を知ることができる。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】ところで、上記解析においては、解析したい物理モデルを解析者が用紙にボンドグラフで表現し、用紙に記載したボンドグラフを見ながら解析に必要な解析用入力ファイルを作成し解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力するようにしている。この解析用入力ファイルは、図16に図示するように解析に必要なボンド番号や素子記号などの必要情報を解析者自身が決め、ボンドグラフが持つ解析に必要な情報を解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力する必要がある。(図16のボンド構造表現部分)そして各素子の特性式を一々手書きのボンドグラフと照らし合わせながら作成し解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力する必要がある。(図16の各素子の特性式を作成する部分)このように解析者が一旦紙にボンドグラフを作成し、当該ボンドグラフを見ながら、解析に必要な情報を解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力したり、特性式を作成して解析用入力ファイル作成部2で解析システムAに入力しなければならず、作業ロスが大きく入力や作成ミスが発生することがあった。本発明は、このような課題に対応したボンドグラフ解析システムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明のボンドグラフ解析システムは、機械,流体,電気等の物理的現象をボンドグラフで表現して解析するボンドグラフ解析システムであって、前記物理的現象の各素子を提供する素子提供部と、素子提供部から必要とする素子を配置する素子配置部と、素子配置部で配置した素子間にボンドを配置するボンド配置部と、素子間のエネルギーの流れ方向やストロークの設定を行う素子間ボンド接続部とからなるボンドグラフ作成手段、各素子が持つ接続因果関係を予め記憶した接続因果関係記憶部と、各素子が持つ接続因果関係を接続因果関係記憶部からのデータに基づいて確認する接続因果関係確認部とからなる接続因果関係確認手段、入力設定した解析条件と接続因果関係を満足するボンドグラフを基に解析入力ファイルを作成する解析入力ファイル作成部と、当該解析入力ファイル作成部から解析計算式を作成するとともに解析計算式を基に計算する解析処理部と、解析処理部の計算結果を出力する解析出力部とからなる解析手段で構成したことを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明に係るボンドグラフ解析システムについて、図1〜図12に基づいて説明する。なお、本発明に係るボンドグラフ解析システムの実施形態を説明するにあたって、図14で図示した物理モデルを例に以下に説明する。
【0006】図1は、本発明のボンドグラフ解析システムを備えたCADシステムの構成を示すブロック図である。実際の実装にあたっては、これらの構成要素を専用のデバイスで構成してもよく、また、コンピュータのソフトウエアとして実装しても良い。
【0007】図1において、10は、ボンドグラフ作成手段であって、物理現象の各素子を提供する素子提供部11と、素子提供部11から必要とする素子を配置する素子配置部12と、素子配置部12で配置した素子間にボンドを配置するボンド配置部13と、素子間のエネルギーの流れ方向や確定ストローク(ボンドグラフ法のルール上、すでに素子により必然的にストローク位置が定められたボンドにつくストロークを確定ストロークとし、逆に素子により必然的にストローク位置が定められない素子は未確定ストロークとしボンド関係が定まらないとストロークがつけられない)の設定を行う素子間ボンド接続部14とから構成されている。
【0008】15は、解析者(利用者)インターフェースであって、CADシステムなどの場合にはキーボードやマウスなどからの操作指令手段からの信号を取込む手段である。したがって、キーボードやマウスなどからの操作指令によって素子提供部11から必要とする素子を素子配置部12に配置するとともに、素子配置部12で配置した素子間にボンドを配置するボンド配置部13に指令する。
【0009】20は、接続因果関係確認手段であって、各素子が持つ接続因果関係を予め記憶した接続因果関係記憶部21と、各素子が持つ接続因果関係を接続因果関係記憶部からのデータに基づいて確認する接続因果関係確認部22とで構成されている。
【0010】例えば、ボンドグラフ作成手段10で作成されたボンドグラフが図2aあるいは図3aであったとする。このボンドグラフを接続因果関係確認手段20で接続因果関係を確認すると図2bあるいは図3bに図示するようなボンドグラフに修正される。
【0011】すなわち、「SF素子,I素子はSF,Iと書かれている側に、ST素子,C素子はSE,Cと書かれている反対側に1つのストロークがつく。0接点は0のまわりに1つだけストロークがつき、1接点は1のまわりに1つだけストロークがつかない。」とするボンドグラフのルールを接続因果関係記憶部21で記憶しており、接続因果関係確認部22で接続因果関係を確認すると、図2aあるいは図3aに図示するように確定ストロークはC素子とI素子の付いたボンドであり、後のボンドは未確定ストロークであったものが、図2bおよび図3bに図示するように全てのボンドにストロークが付いて整合性がとれ接続因果関係を満足するボンドグラフが得られる。
【0012】30は、解析手段であって、解析用入力ファイル作成部31と、解析処理部32と、解析出力部33で構成している。解析用入力ファイル作成部31は、ボンドグラフ表現部31aと、素子の特性式作成部31bと、計算条件設定部31cと、初期値設定部31dと、出力項設定部31eで構成されている。解析処理部32は、解析計算式作成部32aと、解析計算部32bで構成している。
【0013】ボンドグラフ表現部31aでは、接続因果関係が確認された図7に図示するボンドグラフを基に各素子とボンドのつながりとパワーの流れ方向をボンドの番号と符号で記号化し解析用入力ファイルに構築されたボンドグラフの表現を確認し、接続因果関係が確認されたボンドグラフと相違していれば修正する。
【0014】素子の特性式作成部31bでは、図8に図示するように各素子ごとに特性式の入力画面から特性式を解析用入力ファイルに入力する。この時に初期値も入力しておく。
【0015】計算条件設定部31cでは、図9に図示する入力画面により、開始時間,終了時間,刻み時間,出力点数などの計算条件を設定する。
【0016】初期値設定部31dでは、各素子ごとに特性式を入力する際に既に初期値を入力しているが、図10に図示する入力画面により各パラメータごと(各素子ごと)に初期値を再確認し修正が必要であれば修正する。この画面では、初めて解析用入力ファイルを構築する場合は、先の特性式の入力で既に入力しているので、単に確認のみで必要のない処理になるが、繰返し初期値を変えて計算する場合各素子を選択して各素子の特性式の初期値を変更することは大変であるので、初期値設定部31bによりここでもシステムの初期値を入力できるようにしてある。
【0017】出力項設定部31eでは、計算結果を出力させるにあたって解析者の必要に応じて図11に図示する画面から出力情報を選択して設定する。
【0018】解析計算式作成部32aでは、作成し構築された解析用入力ファイルから連立常微分方程式を作成し、解析計算部32bで連立常微分方程式の数値計算を実行する。解析出力部33では、解析計算部32bの計算結果ならびに出力項設定部31eで解析者が選択した出力情報を基に解析結果を図12に図示するような画面をCAD画面上に表示する。
【0019】このような本発明のボンドグラフ解析システムを備えたCADシステムを例に解析手順を追って以下に説明する。
【0020】すなわち、図14に図示する物理モデルからボンドグラフを次のようにして作成する。まず、CADの画面上で本解析システムの入力エディタ(図4に図示する画面)で必要な素子を選択配置する。1接点、0接点以外の素子は自動的に素子記号に添え字が付き、R1,R2といったように同じ素子名が存在しないようになっている。(素子配置部12での処理)
次にエネルギー(パワー)の流れる方向を決めるために、例えば、SE1からSF1へ流れるとすると、1接点をクリック・アンド・ドローしてSF1素子までもっていくと図5のようにSF1素子と1接点は、ストロークのついたボンドでつながる。このとき、自動的にボンド番号が設定される。(ボンド配置部13,素子間ボンド接続部14での処理)
そして全ての素子をボンドでつないでボンドグラフを完成させる。(図6ボンドグラフの完成)この時に既に図16の解析用入力ファイルにボンドグラフ表現部が自動的に構築されるようになっている。(ボンドグラフ作成手段10での処理)
以上はボンドグラフ作成手段10によりボンドグラフを作成する過程について説明したものである。次に、接続因果関係確認手段20によるボンドグラフの確認過程について以下に説明する。ボンドグラフを完成させると、図1の接続因果関係記憶部21で記憶されたボンドグラフのルールに従って接続因果関係を満足するかどうかの確認が行われる例えば、完成させたボンドグラフにストロークがついていない場合、接続因果関係確認でストロークが修正され、接続因果関係が満足されるようになる。
【0021】図6においてボンドグラフが完成しているが、各素子間の接続因果関係から、システムが完成した時点でないと、ストロークがつかない部分がある。それはボンド10である。このとき図7のようにシステムの最後までストロークが付かない状態となっている。ここでストロークチェックがかかり、ボンド10のついている0接点の左右のボンド3,ボンド5のストロークおよび、0接点のボンドグラフのルールから図6のボンド10のようにストロークをつけてストロークチェックがOKとなる。なお、解析者により、ボンド10に予めストロークをつけることができるが、接続因果関係確認手段20により接続因果関係が成り立たなければ、ストロークチェックにより修正される。(接続因果関係確認手段20での処理)
次に、作成したボンドグラフを基に解析する過程の解析手段30について説明する。接続因果関係が確認された図6に図示するボンドグラフを基に各素子とボンドのつながりとパワーの流れ方向をボンドの番号と符号で記号化し解析用入力ファイルに構築されたボンドグラフの表現を確認し、接続因果関係が確認されたボンドグラフと相違していれば修正する。(ボンドグラフ表現部31aでの処理)
ボンドグラフの表現を確認ならびに修正ができれば図8に図示するように各素子ごとに特性式の入力画面から特性式を解析用入力ファイルに入力する。この時に初期値も入力しておく。(素子の特性式作成部31bでの処理)
特性式の入力が終われば、図9に図示する入力画面により、計算条件を設定する。例えば、開始時間を0sec,終了時間を5sec,刻み時間を1.0×10-5sec,出力点数1000と入力する。(計算条件の設定部31cでの処理)
次に初期値設定部31dによる初期値を入力設定する。各素子ごとに特性式を入力する際に既に初期値を入力しているが、図10に図示する入力画面により各パラメータごと(各素子ごと)に初期値を再確認し修正が必要であれば修正する。この画面では、先の特性式の作成で既に初期値を入力しているので、単に確認のみで必要のない処理になるが、繰返し初期値を変えて計算する場合各素子を選択して各素子の特性式の初期値を変更することは大変であるので、初期値設定部31dによりここででもシステムの初期値を入力できるようにしてある。(初期値設定部31dでの処理)
以上は計算前の条件を入力設定したものであるが、次に計算結果を出力させるにあたって解析者の必要に応じて図11に図示する画面から出力情報を選択して設定する。例えば外力EF8と変位DP6を出力するように選択する。(出力項の設定部31eでの処理)
以上の如くして解析用入力ファイルを完成させると、解析計算式作成部32aで連立常微分方程式を作成する。そして解析計算部32bにて連立常微分方程式の数値計算を実行し、結果を解析出力部33で図12に図示する画面により、5SEC間の外力と変位の関係を示す解析結果を表示する。解析者はこの解析結果を見て解析するのであるが、初期値を変更して再度解析したい時には、図10に図示する画面から再度該当する素子の初期値を変更して解析用入力ファイルを変更し、再度連立常微分方程式を作成し、解析計算部32bにて連立常微分方程式の数値計算を実行し、結果を再び解析出力部33で出力させて解析する。
【0022】
【発明の効果】本発明のボンドグラフ解析システムはボンドグラフ作成から解析,解析結果の出力まで一連の処理を可能とすることができ、解析者が一旦紙にボンドグラフを作成し当該ボンドグラフを見ながら解析に必要な情報を解析用入力ファイルに作成構築させる必要がなく、ボンドグラフにおける接続因果関係についも本システムで確認できるようにしてあるものだから、作業ロスを少なくし、入力や作成ミスを可及的に素子することができる。
【出願人】 【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
【出願日】 平成12年10月4日(2000.10.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−108949(P2002−108949A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−304361(P2000−304361)