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【発明の名称】 内圧防爆構造の大型表示器
【発明者】 【氏名】定野 恵

【氏名】浅野 認

【要約】 【課題】可燃性ガスなどが常時充満して爆発の危険性が存在するような雰囲気でも安全に使用することができる内圧防爆構造の大型表示器の提供を課題とする。

【解決手段】超音波発信子と超音波受信子とがそれぞれ隅角部に配設されるとともに反射アレイが周縁部に突設されたタッチパネルと、情報を表示する表示器と、タッチパネルと表示器が装着されるケース内に保護気体を供給する保護気体供給装置とを備え、前記タッチパネルの反射アレイの内側に、超音波が通過可能なパッキンを配設した内圧防爆構造の大型表示器である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波発信子と超音波受信子とがそれぞれ隅角部に配設されるとともに反射アレイが周縁部に突設されたタッチパネルと、情報を表示する表示器と、タッチパネルと表示器が装着されるケース内に保護気体を供給する保護気体供給装置とを備え、前記タッチパネルの反射アレイの内側に、超音波が通過可能なパッキンを配設したことを特徴とする内圧防爆構造の大型表示器。
【請求項2】 前記パッキンを発泡ポリプロピレンで構成したことを特徴とする請求項1に記載の内圧防爆構造の大型表示器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内圧防爆構造の大型表示器に関するものであり、更に詳しくは、400cm2以上の表示面積を有し、可燃性ガスなどが常時充満して爆発の危険性が存在するような雰囲気でも安全に操作・使用可能な大型表示器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表示体上に配置された固定基板と、この固定基板と離間して対向する可動基板と、固定基板と可動基板との対向面に配設された透明電極とで構成されていて、指などの押圧でデータの入力位置を検出する、従来から多用されている抵抗膜方式の非防爆型タッチパネルは既に公知である。また、特開昭61−239322号公報、特開平8−305481号公報には、上記した透明電極で形成された抵抗膜方式のタッチパネルとは異なる超音波表面弾性波を利用したタッチ入力装置について提案されている。
【0003】そこで、この超音波表面弾性波を利用したタッチ入力装置の原理について、図4を基に簡単に説明すると、(20)はタッチパネルであり、このタッチパネル(20)の右下隅にはX軸超音波発信子(21)、右上隅にはX軸超音波受信子(22)が、同様に左上隅にはY軸超音波発信子(23)、右上隅にはY軸超音波受信子(24)がそれぞれ配設されている。(25)(26)はタッチパネル(20)の上・下端の所定位置に、所定の形状で平行に、それぞれ相対して多数突設されたX軸反射アレイであり、同様に、(27)(28)はタッチパネル(20)の左・右端の所定位置に、所定の形状で平行に、それぞれ相対して多数突設されたY軸反射アレイである。
【0004】今、X軸超音波発信子(21)から超音波を発信すると、超音波はX軸超音波発信子(21)に近い方から順次X軸反射アレイ(25)に反射して、その進行方向と直交する方向に発信されていく。なお、図面では5本の矢印でその超音波を示しているが、実際はタッチパネル(20)の全面にわたって伝播していく。そして、反射された超音波はX軸反射アレイ(25)に対向するX軸反射アレイ(26)に再度順次反射して、X軸超音波発信子(21)に近い方から順次X軸超音波受信子(22)に受信されていく。
【0005】なお、図示していないが、上記と同様に、Y軸超音波発信子(23)から発信された超音波は、Y軸反射アレイ(27)に反射し、更にそれと対向するY軸反射アレイ(28)に反射して、Y軸超音波受信子(24)に集約して受信される。したがって、タッチパネル(20)上の「ある箇所」を指でタッチすると、その「ある箇所」を通過する超音波表面弾性波はその指によって吸収され、X・Y軸超音波受信子(22)(24)に弱まった状態で受信される。その弱まった信号の戻った時間を検出することにより、X・Y軸上の「ある箇所」を特定することができ、位置検出データとして認識することができるものである。
【0006】一方、石油化学や各種化学産業など、可燃性の液体やガスを取り扱う場所においても、コンピューターによるプロセス制御、各種機器の運転操作はもちろん、生産条件の設定・生産管理と在庫管理などを現場の表示装置で操作・管理していくという動きがある。しかも、近年の情報技術の進展によってパソコンなどがかなり普及してきたので、上記したようなニーズが一段と高まってきている。本出願人は、このような問題に対応するために、可燃性ガスなどが常時充満しているような環境でも安全に操作・使用可能な防爆型タッチパネルについて、特開平6−295637号で既に提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したように、従来から使用されている抵抗膜方式の透明タッチパネルは、その構造上、可燃性ガスなどが常時充満して爆発の危険性が存在するような環境下では、故障や異常が発生したときに、周辺のガスに引火・爆発する危険性があるため、使用することができない。
【0008】また、一般的に、合成樹脂製フィルムを使用する抵抗膜方式の防爆型タッチパネルは、その面積が400cm2程度ならば、接地しておけば静電気は発生しにくいが、それ以上の広い表示面積となると、接地しておいても静電気が発生する確率が非常に高くなると言われているので、防爆エリアで安全に使用できる抵抗膜方式のタッチパネルの表示面積は400cm2が限度であって、表示面積をそれ以上にすることは非常に危険とされていた。
【0009】また、従来からの超音波表面弾性波を利用したタッチ入力装置は、いずれも通常の非防爆エリアで使用されているものであって、防爆エリアで使用可能な超音波表面弾性波を利用したタッチ入力装置は存在していない。上記した特開昭61−239322号公報、特開平8−305481号公報に記載されている超音波表面弾性波を利用したタッチ入力装置は、超音波表面弾性波を如何に効果的に発信するか、あるいは入力装置の耐久性や加工性の問題を解決するためのものであって、防爆エリア対策については何等触れておらず、これらはいずれも爆発の危険性が存在するような環境下では使用することができない。
【0010】一方、本出願人が提案している特開平6−295637号公報に記載の防爆型操作表示装置は、入力式光学的表示手段と、タッチ操作部材と、安全保持器を、開口窓が耐圧性の透光板で封止された耐圧防爆型のケース内に配設して構成したことを特徴とするものであって、表示装置の表示面は構造上、10.4インチ程度が限度なので、各種の情報、例えば画像情報の入・出力量に限界がある。
【0011】そこで、本発明は、上記した従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、可燃性ガスなどが常時充満して爆発の危険性が存在するような雰囲気でも安全に使用することができ、かつパソコンと接続することによって膨大な情報の入・出力が可能となる内圧防爆構造の大型表示器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明になる内圧防爆構造の大型表示器は、超音波発信子と超音波受信子とがそれぞれ隅角部に配設されるとともに反射アレイが周縁部に突設されたタッチパネルと、情報を表示する表示器と、タッチパネルと表示器が装着されるケース内に保護気体を供給する保護気体供給装置とを備え、前記タッチパネルの反射アレイの内側に、超音波が通過可能なパッキンを配設したことを特徴としている。そして、更に、請求項2に記載の本発明になる内圧防爆構造の大型表示器は、前記パッキンを発泡ポリプロピレンで構成したことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は本発明になる内圧防爆構造の大型表示器の側面図であり、図2はその要部拡大図である。(1)は開口部(2)を有する直方体のケースであり、このケース(1)は、後記するように、ケース(1)内に注入された保護気体の圧力に耐え得るように製作されており、本実施例では肉厚2〜4mm程度の金属で加工されている。(3)はケース(1)の開口部(2)に対向するように固定装着される液晶の表示器である。
【0014】(4)は表示器(3)の外面に対向し、開口部(2)を封止するように配設する、例えば強化ガラスなどよりなるタッチパネルであり、本実施例では、運転上の外圧・衝撃及びケース(1)内の圧力に耐え得るように、肉厚12mm程度の強化ガラス板を採用している。また、表示器(3)に出力されたパソコンからの各種データに応答してタッチパネル(4)上をタッチしやすいように、かつ、その応答した結果の各種情報がパソコンに入力されやすいようにするため、本実施例におけるタッチパネル(4)の表示面は例えば15インチの大型画面になっている。
【0015】タッチパネル(4)の隅角部には、図4で説明したものと同等の超音波発(受)信子(10)が配設されており、更にそのタッチパネル(4)の周縁部における所定位置には、図4で説明したものと同様に、所定の形状をした反射アレイ(11)(図3参照)が平行に、それぞれ相対して多数突設されている。(5)はタッチパネル(4)をケース(1)の開口部(2)の周囲に固設するパネル保持部材であり、上記した反射アレイ(11)の内側には略ロ字状の内圧保持パッキン(6)が配設されている。(7)はその内圧保持パッキン(6)をタッチパネル(4)の外面周縁端部近傍に固設するパネル押さえであり、(8)はパネル押さえ(7)をケース(1)の外壁に取り付ける取付金具である。そして、(9)はパネル押さえ(7)と取付金具(8)の接合面に配設された、同じく略ロ字状の内圧保持パッキンである。
【0016】図3は本発明になる内圧防爆構造の大型表示器の一部拡大正面図であって、超音波発(受)信子(この場合はX軸超音波発信子)(10)と反射アレイ(この場合はX軸反射アレイ)(11)及びタッチパネル(4)上に装着された内圧保持パッキン(6)の位置関係が示されている。すなわち、X軸超音波発信子(10)から発信された超音波は、直進した後、多数のX軸反射アレイ(11)に反射して、それと直交方向に直進した後、このX軸反射アレイ(11)に対向するX軸反射アレイ(図示しない)に再度反射してX軸超音波受信子(図示しない)に受信される。ここで、内圧保持パッキン(6)は、ケース(1)内の内圧を保持し、周囲のガスがケース(1)の内部に浸透せず、かつ超音波が通過するような材質であれば、特に限定されるものではなく、本実施例では密度が0.14g/cm3で発泡倍率が30倍の発泡ポリプロピレンを採用している。
【0017】その他、図1で示す(12)は、指などでタッチパネル(4)上をタッチした際に、そのX・Y軸上の位置を検出するとともに、その情報をパソコンの入力に適した信号に変換する変換器であり、(13)は例えば非防爆エリアのパネル室に配置されているパソコンの画面を表示器(3)に表示し、あるいはタッチパネル(4)上のタッチ入力信号をパネル室のパソコンに入力するための信号電送装置である。
【0018】また、(14)は、周囲の可燃性ガスなどがケース(1)内に浸入しないように、ケース(1)内に保護気体を供給する装置であって、減圧弁、電磁弁、圧力スイッチなどから構成されている。保護気体は窒素ガスなどのような不活性ガスでなくてもよく、清浄な空気でもさしつかえない。また、本実施例でのケース(1)内の圧力は0.5kpsまで加圧されているが、ケース(1)内の圧力が急に低下した場合に備えて、その内圧を圧力スイッチで常時検出し、限度以下に内圧が低下したら電源を遮断する信号が電源保護装置(15)へ発せられるようになっている。
【0019】この電源保護装置(15)は、保護気体供給装置(14)から出力された内圧低下信号を受信したら、直ちに電源を遮断する機能を有しており、万一内圧が低下しても可燃性ガスなどがケース(1)内に浸入する前に、直ちにケース(1)内の電気エネルギーを遮断することができるようになっている。したがって、その可燃性ガスへの着火を完全に防止することができる。また、電源投入時には、可燃性ガスを排除してケース(1)内を換気した後に、電源を供給するような制御回路(図示しない)も備えられているので、より安全に使用することが可能となっている。その他、図示の(16)は端子台である。
【0020】以上のような構成になっている本発明の内圧防爆構造の大型表示器によれば、タッチパネルの隅角部に配置したX軸超音波発信子とY軸超音波発信子からそれぞれ超音波を発信し、タッチパネルの周縁部に突設したX軸反射アレイとY軸反射アレイで直交方向にその超音波を反射させて、同じくタッチパネルの隅角部に配置したX軸超音波受信子とY軸超音波受信子で受信するという超音波表面弾性波を利用した方式を採用し、更に、X軸反射アレイとY軸反射アレイよりも内方側のタッチパネル上に、超音波を通過させることができるとともに外気ガスの浸入を遮断してケースの内圧を封止することができるパッキンが固設されているので、周囲の可燃性ガスに接触するのは強化ガラス製のタッチパネルのみとなる。
【0021】したがって、静電気発生のおそれもなくなり、外気ガスがケース内に浸入することもなくなるので、防爆エリアでも表示面積が例えば15インチの大型タッチパネルを使用することが可能となる。しかも、ケース内を保護気体で加圧することによって、ケース内に外気ガスが浸入するのを防ぎ、かつ、万一ケース内の圧力が低下した場合でも、直ちに電源が遮断される電源保護装置をも備えているので、安全に使用することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明になる内圧防爆構造の大型表示器は、超音波表面弾性波を利用したタッチパネルにパッキンを配設し、表示器内を保護気体で加圧する内圧方式を採用しているので、内部の電気エネルギーによる着火が生じても外部の可燃性ガスに引火することはなく、また、静電気の発生もないので、可燃性ガスが存在するような条件下でもタッチパネルの表示面積が例えば15インチといった大型画面にすることが可能となり、高解像度の大画面を直接表示器に表示することができるとともに、15インチの高解像度表示器によって、ビデオの画像情報も鮮明に表示することができる。
【0023】その結果、中央制御室のパソコンの画面や、ビデオモニターの画面を可燃性ガスが存在するような現場においても、そのまま表示器に表示することが可能となり、更にタッチパネルのタッチ情報をそのままパソコンに入力することも可能になるので、可燃性ガスが存在する場所でも生産管理室や中央制御室と全く同様にプロセス制御の運転情報を見ることができ、情報入力も行うことができる。また、更にインターネットに接続されたパソコンに接続すれば、インターネットにも生産現場から直接アクセスすることができるようになり、生産性の向上に大いに寄与する。したがって、本発明の関連業界への貢献度は大なるものがある。
【出願人】 【識別番号】000116736
【氏名又は名称】旭エンジニアリング株式会社
【識別番号】593143511
【氏名又は名称】株式会社宮木電機製作所
【出願日】 平成12年10月4日(2000.10.4)
【代理人】 【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
【公開番号】 特開2002−108563(P2002−108563A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−304863(P2000−304863)