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【発明の名称】 座標入力装置
【発明者】 【氏名】友松 義継

【氏名】金野 由之

【要約】 【課題】ペンやイレーサ等の筆記具の属性を識別しつつ、位置座標読み取り用としてはAM成分を含まない交番磁界を発生させて、座標読み取りボードにおける筆記具の位置の検出精度を向上する。

【解決手段】XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、該センスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、該座標読み取りボードに押し当てることにより所定の周波数の交番磁界を発生させる発振コイルを備えている筆記具とを備えた座標入力装置において、前記筆記具は、CR発振回路69bと、LC発振回路69aと、パワーオン検出回路69cとから構成され、前記パワーオン検出回路69cは、パワーオンを検出した直後の所定の期間だけCR発振回路69bによる発振を有効化する様に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、該センスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、該座標読み取りボードに押し当てることにより所定の周波数の交番磁界を発生させる発振コイルを備えている筆記具とを備えた座標入力装置において、前記筆記具は、前記座標読み取りボードに押し当ててから所定の期間だけ当該筆記具の属性を示す筆記具識別信号を送出し、その後は筆記具識別信号のない信号を送出する様に構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】 請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、前記座標読み取りボードに押し当てた直後の所定の期間だけ当該筆記具の属性を示すFSK変調信号を送出し、その後はFSK変調のない信号を送出する様に構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【請求項3】 請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、矩形波発生回路と、正弦波発生回路と、電源のオンオフ回路とから構成され、前記電源のオンオフ検出回路は、パワーオンを検出してから所定の期間だけ矩形波発生回路による発振を有効化する様に構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【請求項4】 請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、CR発振回路と、LC発振回路と、パワーオン検出回路とから構成され、前記パワーオン検出回路は、パワーオンを検出した直後の所定の期間だけCR発振回路による発振を有効化する様に構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【請求項5】 請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、LC発振回路と、CPUとから構成され、前記CPUは、パワーオン直後の所定の期間だけFSK変調をかけた信号を送出するための変調周波数制御を行う様に構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【請求項6】 XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、該センスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、該座標読み取りボードに押し当てることにより所定の周波数の交番磁界を発生させるコイルを備えている筆記具とを備えた座標入力装置において、前記座標読み取りボードは、前記筆記具によって押し当てられてから所定の期間だけFSKの復調を行うことを特徴とする座標入力装置。
【請求項7】 請求項6記載の座標入力装置において、前記所定の期間は、前記筆記具の属性判定が可能となる少なくともFSK変調周波数の1.5周期であるように構成されていることを特徴とする座標入力装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、座標入力装置に係り、詳しくは、XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、このセンスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、この座標読み取りボードに押し当てることにより交番磁界を発生させる筆記具(ペン、イレーサ等)とを備えた座標入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子黒板などに利用される電磁誘導方式の座標入力装置では、例えば、位置指示器であるペンを備え、このペン内に、その位置を指示するための特定の発信周波数で交番磁界を発生する電磁コイルを内蔵したものがある。一方、受信側から交番磁界を発生させて、位置指示器には電源を有さないセンスコイルを備えて、その位置を指示するものもある。しかし、ペン側に電源と交番磁界を発生する電磁コイルを設けることにより、強い信号を出力して、ノイズに強く読み取り精度の高い電子黒板とすることができる。さらに、かかる電子黒板では、発生させる交番磁界の周波数を特定周波数で変調することにより、ペンの色や太さなどの属性を受信側に伝えることも可能である。
【0003】この交番磁界を発生させるための発振回路600として、例えば、図24に示す回路が用いられている。この発振回路600は、主に、LC発振回路690cと、FSK回路690dと、CR発振回路690eとにより構成されている。ここで、CR発振回路690eは、ペンの色や太さなどを区別するために、その属性毎に異なる変調周波数を発生させる回路である。また、LC発振回路690cは、CR発振回路690eから発振された信号を搬送する搬送波S100(図26及び図27参照)を発振するための回路である。また、FSK回路690dは、LC発振回路690cの発信周波数をCR発振回路690eの変調周波数によってFSK(Frekquency Shift Keying)変調するための回路である。
【0004】具体的に、発振回路600は、CR発振回路690eからロウ信号が出力される間は、FSK回路690dのN−MOS電界効果トランジスタFET100がオフされるので、図25(a)に示す回路となり、周波数fc100(=1/[2π{L1・C1・C2/(C1+C2)}1/2 ])で発振する。一方、CR発振回路690eからハイ信号が出力される間は、FSK回路690dは、図25(b)に示すように、FSK回路690dのコンデンサC300がコンデンサC200と並列接続された回路となり、周波数fc200(=1/[2π{L1・C1・(C2+C3)/(C1+C2+C3)}1/2 ])で発振する。このように搬送波の周波数を変調することにより、交番磁界の周波数を変調させて、ペンの色や太さなどの属性を受信側に伝えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図26に示すように、発振回路600から出力される搬送波S100の振幅は、FSK回路690dの電界効果トランジスタFET100がオンしている場合とオフしている場合とでは異なるという問題点がある。電界効果トランジスタFET100がオンしている場合の振幅VH100と、オフしている場合の振幅VL100とは、VH100がVL100よりも大きいという関係を有するので、CR発振回路690eの発信周期T100毎に、搬送波S100の振幅は変化して、AM成分が発生する。図27に示す様にかかる搬送波S100にAM成分が含まれていると、受信側の読み取り精度が低下して、電子黒板におけるペンの検出位置を誤ってしまうおそれがある。
【0006】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ペンやイレーサ等の筆記具の属性を識別しつつ、位置座標読み取り用としてはAM成分を含まない交番磁界を発生させて、座標読み取りボードにおける筆記具の位置の検出精度を向上することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためになされた請求項1記載の座標入力装置は、XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、該センスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、該座標読み取りボードに押し当てることにより所定の周波数の交番磁界を発生させる発振コイルを備えている筆記具とを備えた座標入力装置において、前記筆記具は、前記座標読み取りボードに押し当ててから所定の期間だけ当該筆記具の属性を示す筆記具識別信号を送出し、その後は筆記具識別信号のない信号を送出する様に構成されていることを特徴とする。
【0008】この請求項1記載の座標入力装置によれば、筆記具を座標読み取りボードに押し当ててから所定の期間だけ当該筆記具の属性を示す筆記具識別信号を送出し、その後は筆記具識別信号のない信号を送出する。座標読み取りボード側では、筆記具識別信号を送出している間に、筆記具の属性を識別する。この間は、筆記具から送出される信号にはAM成分が存在する。しかし、その後、筆記具識別信号のない信号を送出する様になった後は、AM成分のない信号に基づいて、正確に筆記具の位置座標を読み取ることができる様になる。
【0009】また、請求項2の座標入力装置は、請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、前記座標読み取りボードに押し当てた直後の所定の期間だけ当該筆記具の属性を示すFSK変調信号を送出し、その後はFSK変調のない信号を送出する様に構成されていることを特徴とする。
【0010】この請求項2の座標入力装置によれば、筆記具は、座標読み取りボードに押し当てた直後の所定の期間だけ当該筆記具の属性を示すFSK変調信号を送出し、その後はFSK変調のない信号を送出する。従って、筆記具を座標読み取りボードに押し当てた直後の短い期間だけ送出されるFSK変調信号に基づいて、当該筆記具の属性を識別し、その後は、FSK変調のない信号に基づいてAM成分の影響を受けることなく正確に筆記具の位置座標を読み取ることができる様になる。
【0011】また、請求項3の座標入力装置は、請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、矩形波発生回路と、正弦波発生回路と、電源のオンオフ回路とから構成され、前記電源のオンオフ検出回路は、パワーオンを検出してから所定の期間だけ矩形波発生回路による発振を有効化する様に構成されていることを特徴とする。
【0012】この請求項3の座標入力装置によれば、筆記具が座標読み取りボードに押し当てられて電源オンが検出されてから所定の期間だけ矩形波発生回路による発振を有効化し、その後は矩形波発生回路による発振を無効化する。この結果、筆記具を座標読み取りボードに押し当てた直後の矩形波発生回路による発振が有効化されている間に筆記具の属性を識別し、矩形波発生回路による発振が無効化された後は、AM成分のない正弦波に基づいて、精度よく筆記具の位置座標を読み取ることができる様になる。
【0013】また、請求項4の座標入力装置は、請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、CR発振回路と、LC発振回路と、パワーオン検出回路とから構成され、前記パワーオン検出回路は、パワーオンを検出した直後の所定の期間だけCR発振回路による発振を有効化する様に構成されていることを特徴とする。
【0014】この請求項4の座標入力装置によれば、パワーオン検出回路がパワーオンを検出した直後の所定の期間だけCR発振回路による発振を有効化することにより、変調のかかった信号に基づいて筆記具の属性を識別し、その後はCR発振回路による発振を無効化し、LC発振回路による発振だけを有効なものとするので、AM成分のない信号に基づいて、精度良く筆記具の位置座標を読み取ることができる様になる。
【0015】また、請求項5の座標入力装置は、請求項1記載の座標入力装置において、前記筆記具は、LC発振回路と、CPUとから構成され、前記CPUは、パワーオン直後の所定の期間だけFSK変調をかけた信号を送出させる様に変調周波数制御を行う様に構成されていることを特徴とする。
【0016】この請求項5の座標入力装置によれば、CPUは、パワーオン直後の所定の期間だけFSK変調をかけた信号を送出させる様に変調周波数制御を行い、その後はFSK変調のかかっていないLC発振回路からの発振信号のみを送出する状態とする。この結果、パワーオン直後のFSK変調のかかった信号に基づいて筆記具の属性を識別することができ、その後はFSK変調のない信号に基づいて精度良く筆記具の位置座標を識別することができる様になる。
【0017】また、請求項6の座標入力装置は、XY方向に複数のセンスコイルが敷設され、該センスコイルが交番磁界と磁気結合することにより座標を読み取る座標読み取りボードと、該座標読み取りボードに押し当てることにより所定の周波数の交番磁界を発生させるコイルを備えている筆記具とを備えた座標入力装置において、前記座標読み取りボードは、前記筆記具によって押し当てられてから所定の期間だけFSKの復調を行うことを特徴とする。
【0018】この請求項6の座標入力装置によれば、座標読み取りボードによるFSK復調は、筆記具によって押し当てられてから所定の期間だけしか行わないので、処理の負荷が軽減されるという効果がある。
【0019】また、請求項7の座標入力装置は、請求項6記載の座標入力装置において、前記所定の期間は、前記筆記具の属性判定が可能となる少なくともFSK変調周波数の1.5周期であるように構成されていることを特徴とする。
【0020】この請求項7の座標入力装置によれば、筆記具の属性判定が可能となる少なくともFSK変調周波数の1.5周期を属性判定に用いることで、確実に筆記具の属性を判定することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の座標入力装置を、好ましい実施の形態である電子黒板1により説明する。この説明で、電子黒板1とは、筆記具であるペン60により座標読み取りボードである筆記パネル10の筆記面21a上に手書き文字や図形などを描くと、ペン60の筆記面21a上の位置を、筆記パネル10の内部に敷設した複数のセンスコイル23により磁気結合して、その座標を読み取るものをいう。
【0022】図1は、電子黒板1の主要構成を示す外観斜視図である。図1に示す様に、電子黒板1には、筆記パネル10と、筆記面21aに筆記を行うためのペン60と、筆記された軌跡及びその軌跡を示すデータを消去するためのイレーサ40とが備えられている。筆記パネル10には、枠状のフレーム11が設けられている。そして、このフレーム11に、筆記パネル本体20が組み込まれている。フレーム11の前面下端には、その下端に沿って板状の台12が組み込まれている。台12の上面には、ペン60を差して収容するための複数の凹部12aが形成されている。そして、この凹部12aの右側には、イレーサ40などを置くための平面部12bが形成されている。
【0023】フレーム11の前面右側には、操作部30が設けられている。この操作部30には、操作音や警告音等の音を再生するスピーカ31と、筆記面21aに筆記された内容を示すデータ(以下、「筆記データ」という。)を記憶したページ数を7セグメントのLEDによって表示するページ表示LED32と、押す毎に1ページずつ戻るページ戻りボタン33と、押す毎に1ページずつ送るページ送りボタン34と、押す毎に記憶されている筆記データを1ページずつ消去する消去ボタン35と、記憶されている筆記データをプリンタ200(図2参照)へ出力するために押すプリンタ出力ボタン36と、記憶されている筆記データをパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)100(図2参照)へ出力するために押すPC出力ボタン37と、ペン60の電池切れを報知する電池切れ報知用LED39と、この電子黒板1を起動するために押す電源ボタン38とが設けられている。
【0024】フレーム11の前面下部には、この電子黒板1の電源となる単2乾電池14aを4本収容するバッテリーケース14が設けられている。そして、このバッテリーケース14の前面には、蓋14bが開閉可能に取り付けられている。バッテリーケース14の右側には、スピーカ31のボリューム調節つまみ13cが設けられ、さらにその右側にはコネクタ13b,13aが設けられている。図2は、電子黒板1にPC100とプリンタ200とを接続した状態を示す図である。この図2に示すように、コネクタ13bには、プリンタ200と接続された接続ケーブル204のプラグ202が接続され、コネクタ13aには、PC100と接続された接続ケーブル104のプラグ102が接続される。かかる接続により、電子黒板1の筆記面21aに筆記された内容を示す筆記データをPC100へ出力して、PC100のモニタ103に表示したり、あるいは、筆記データをプリンタ200へ出力して、印刷用紙203に印刷することができる。
【0025】また、図1に示すようにフレーム11の裏面上端の両端部には、この電子黒板1を壁に掛けるための金具15,15が取り付けられている。ここで、本実施の形態の筆記面21aの高さH1は900mmであり、幅W1は600mmである。また、フレーム11及び台12は、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂により軽量に形成されており、電子黒板1の総重量は10kg以下である。
【0026】次に、筆記パネル本体20の構造について図3を参照して説明する。図3は、筆記パネル本体20の各構成部材を示す説明図である。筆記パネル本体20は、筆記面21aを構成する筆記シート21と、板状のパネル22と、センスコイル23が敷設された枠形状の取り付けパネル24と、板状のバックパネル25とを順に積層した構造を有している。この実施の形態では、筆記シート21は、張り合わされたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにより厚さ0.1mmに形成されており、パネル22は、アクリル樹脂、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)等により厚さ3.0mmに形成されている。また、取り付けパネル24は、発泡スチロール等の発泡樹脂製材料により厚さ40mmに形成されており、バックパネル25は、アルミニウム等の導電性材料により厚さ1.0mmに形成されている。なお、筆記パネル本体20の各端部を挟持するフレーム11(図1参照)の全体の厚さは50mmである。
【0027】次に、図4を参照して、センスコイル23の構成について説明する。図4(a)は、図3に示すセンスコイル23の構成を一部省略して示した説明図であり、図4(b)は、図4(a)に示すセンスコイル23の幅及び重ねピッチを示す説明図である。なお、以下の説明では、センスコイル23のうちX軸方向に配列されたセンスコイルをXコイルと称し、Y軸方向に配設されたセンスコイルをYコイルと称している。また、図4(a)では、各センスコイル23の重なり方を見易くするために、各センスコイル23の重なり部分に僅かな隙間を設けて図示しているが、実際にはこの隙間はない。
【0028】図4(a)に示す様に、X軸方向には、ペン60及びイレーサ40の(X,Y)座標のX座標を検出するためのXコイルがm本(X1〜Xm)配設されており、また、Y軸方向には、Xコイルと直交して、Y座標を検出するためのYコイルがn本(Y1〜Yn)配設されている。Xコイルの各端子23aは、後述するXコイル切替え回路50aに接続されており、Yコイルの各端子23bは、後述するYコイル切替え回路50bに接続されている(図7参照)。Xコイル及びYコイルは、それぞれ略矩形状に形成されており、矩形部分の長辺の長さは、それぞれP2Y,P2Xとされている。
【0029】図4(b)に示す様に、Xコイルの矩形部分の短辺の長さは、幅P1に形成され、隣接するXコイルは、幅P1の1/2ピッチでそれぞれ重ねられている。同様に、Yコイルの矩形部分の短辺の長さもそれぞれ幅P1に形成されており、隣接するYコイルは、幅P1の1/2ピッチでそれぞれ重ねられている。この実施の形態では、P1=50mm、P2X=680mm、P2Y=980mmである。また、m=22、n=34である。さらに、Xコイル及びYコイルは、共に表面に絶縁皮膜層(例えば、エナメル層)を有する直径0.345mmの銅線により形成されている。
【0030】次に、図5及び図6を参照して、筆記面21a上のペン60の位置座標の検出方式について説明する。図5(a)は、Xコイル(X1〜X3)の一部を示す説明図であり、図5(b)は、図5(a)に示すXコイル(X1〜X3)に発生する電圧と幅方向の距離との関係を示すグラフであり、図5(c)は、図5(a)に示すXコイル(X1〜X3)の相互に隣接するセンスコイル間の電圧差を示すグラフである。また、図6(a)は、位置座標テーブルをグラフ化して示す説明図であり、図6(b)は、位置座標テーブルの説明図であり、図6(c)は、各Xコイルから検出した検出値の記憶状態を示す説明図である。なお、図5(a)では、Xコイル(X1〜X3)の重なり方を見易くするために、その重なり部分に僅かな隙間を設けて図示している。
【0031】コイル幅P1は50mmであるから、P1・1/4=12.5mmである。図5(c)において、電圧差(ex1−ex2)の特性を示す部分(実線で描いた部分)を8bitのデジタルデータに変換すると、図6(a)に示すグラフが得られる。このグラフをテーブル形式に変換したものが、図6(b)に示す位置座標テーブル58aである。この位置座標テーブル58aは、ROM58(図7参照)に記憶されており、ペン60の位置座標の演算に用いられる。
【0032】よって、例えば、ペン60が点Q2に存在する場合、電圧差(ex1−ex2)を検出し、その検出結果に基づいて位置座標テーブル58aを参照することにより、中心C1から点Q2までの距離△X1がわかるので、点Q2のX座標を求めることができるのである。なお、位置座標の算出の際に基準となるXコイルは、図6(c)に示す電圧値記憶エリア59aを用いて、次のように決定される。即ち、すべてのXコイル(X1〜Xm)をスキャンして、そのスキャンした電圧値e1〜emを電圧値記憶エリア59aに一旦記憶する。そして、記憶された電圧値e1〜emの中から最大の電圧値を示すXコイルを、位置座標の基準となるXコイルとするのである。上述した事例では、かかる処理によって、X1のXコイルが位置座標の基準とされている。
【0033】図7を参照して、電子黒板1の主な電気的構成を、基本的な座標読み取り処理と合わせて説明する。図7は、電子黒板1の電気的構成を示したブロック図である。なお、本実施の形態における読み取り処理の詳細は、フローチャートと共に後述する。ここでは、本実施の形態の電子黒板1が実行する座標検出処理の概念だけを説明する。
【0034】制御部2に設けられたCPU56は、Xコイル(X1〜Xm)を順に選択するコイル選択信号を入出力回路(I/O)53を介してXコイル切替え回路50aに出力することにより、Xコイル(X1〜Xm)のスキャンを行う。ペン60から発生した交番磁界と、いずれかのXコイルとの磁気結合によって発生した信号は、増幅器50cによって増幅され、その増幅信号は、バンドパスフィルタ(BPF)50dによって不要な帯域が濾波され、振幅検波回路51によって振幅検波される。その振幅検波された信号は、A/D変換回路52によって振幅、つまり電圧値に対応したデジタル信号に変換され、入出力回路(I/O)53を介してCPU56に入力される。
【0035】一方、CPU56は、ペン60が筆記面21aに押圧された直後に所定の短期間(例えば、ペン検出後の1ないし2スキャン時間)だけペン60から発振されるFSK変調波に基づいて、バンドパスフィルタ50dから出力された信号をリミッタ回路54によって方形波のリミッタ出力信号に変換し、その後、FSK復調回路55に出力することにより、ペン属性(ペンの太さや色の情報)を判定する。その後は、上述した様に、A/D変換回路52から入力されるデジタル信号に基づいて、以下の様に座標位置演算を実行する。即ち、CPU56は、Xコイル(X1〜Xm)をスキャンして入力されたデジタル信号によって示されるそれぞれの電圧値を、RAM59のXコイル用の電圧値記憶エリア59a(図6(c)参照)に順次記憶していく。そして、CPU56は、RAM59に記憶された各電圧値に基づいてペン60のX座標を演算する。
【0036】ペン60のX座標の演算が完了したら、各Yコイル(Y1〜Yn)のスキャンを実行し、各Yコイルから検出した電圧値をRAM59のYコイル用の電圧値記憶エリアに記憶する。そして、CPU56は、前述のS308におけるX座標の演算と同じ手法を用いて、ペン60のY座標を演算する。
【0037】そして、先に判定したペン属性は、ペン60のX座標、Y座標と対応付けて、RAM59の所定のエリアに記憶される。
【0038】また、CPU56は、操作部30に設けられた各種ボタン(図1参照)の操作により発生するスイッチング信号をI/F回路57を介して取り込み、RAM59に格納されている位置座標データを記憶するページをページ単位で戻したり、送ったり、あるいは位置座標データをページ単位で消去する等のページ処理を実行する。また、CPU56は、操作部30に設けられた各種ボタンが押された際に発生するスイッチング信号に基づいて音声回路31aを動作させて、スピーカ(SP)31から「ピー」、「ピッ」等の操作音を発声させる。
【0039】次に、図8を参照して、ペン60の構成を説明する。図8は、ペン60の内部構造を示した側断面図である。図8に示す様に、ペン60には円筒形状の胴体部61aと、この胴体部61aの後端に着脱可能に取り付けられた蓋61cとが設けられている。胴体部61aの内部には、コイルL1と、矢印F2で示す方向に取り出し可能なインクカートリッジ63と、このインクカートリッジ63に挿入されたペン先62と、回路基板69と、この回路基板69に電流を供給する電源である電池70とが設けられている。このコイルL1は、内径が15mm程度であり、直径15mm程度で200回巻きされた長さの銅線により環状に形成されている。また、コイルL1は、筆記面21a(図1参照)と当接するペン先62の先端から20mm程度離して配置されている。
【0040】次に、図9を参照して、ペン60の回路基板69の構成を説明する。回路基板69は、大きく分けて、LC発振回路69aと、CR発振回路69bと、パワーオン検出回路69cとにより構成されている。LC発振回路69aは、コイルLと、このコイルLの両端に位置する様に配設されて他端を接地されているコンデンサC1,C2と、コイルLの両端に接続されるIC1と、同じくコイルLの両端に接続される抵抗R4とを備えている。CR発振回路69bは、直列に接続されるIC2,IC3と、このIC2とIC3の中間に一端を接続される可変抵抗器R1と、この可変抵抗器R1と直列に接続される抵抗器R2と、一端をIC3の出力端に接続されると共に他端を抵抗器R2に接続されているコンデンサC4と、一端をIC2の入力端に接続されると共に他端を抵抗器R2に接続されている抵抗器R5とを備えている。このCR発振回路69bは、ペン60の色や太さなどのペン属性を区別するために、その属性毎に異なる変調周波数を発振させる回路である。また、パワーオン検出回路69cは、IC4と、このIC4の出力端に一方の入力端を接続されると共に前述のCR発振回路69bのIC3の出力端にもう一方の入力端を接続されるIC5と、IC4の入力端に一端を接続されると共に他端を接地されているコンデンサC6と、同じくIC4の入力端に入力端を接続されるダイオードDと、このダイオードDの出力端及びIC4の入力端に両端を接続される抵抗器R6とを備えている。そして、ダイオードDの出力端は、電池70と回路基板69とをオンオフするスイッチSWに接続されている。また、IC5の出力端には電界効果トランジスタFET1のゲート端子が接続され、この電界効果トランジスタFET1のドレイン端子にはコンデンサC3の一端が接続されている。なお、このコンデンサC3の他端はコンデンサC1の一端と接続されており、FET1がオンの場合にC1,C3が並列接続の状態になる様に構成されている。
【0041】回路基板69が図9に示す通りの構成となっている結果、ペンダウンによってパワーオンすると、C6がR6を通して徐々に充電されるため、この間はIC5の出力がハイとなっており、回路基板69は、CR発振回路69bの発振周期に応じてFSK変調がかかった信号を送出する。そして、回路基板69は、一定期間(C6とR6とで決まる)経過すると、IC5の出力がロウとなるため、FET1が常時オフ状態となり、FSK変調がかからずAM成分のない信号を送出する様になる。ここで、FSK変調がかかった信号を送出する期間は、ペンの属性判定ができることが重要であり、CR発振回路によって周波数の切り換えが行われるのを少なくとも3度検出する必要がある。すなわち、ある周波数から別の周波数に切り替わり再びはじめの周波数の信号を送出するまでの期間を変調周波数の1周期とすると、ペンは少なくとも1.5周期に相当するFSK変調がかかった信号を送出する。なお、本実施の形態では、このFSK変調がかかった信号を送出する期間がパワーオン後約13msec(CPU56による1〜2スキャンの時間)という短い期間になる様に、R6及びC6の容量を定めてある。
【0042】一方、ペンアップになると、スイッチSWがオフとなって回路全体への電力供給が遮断されるため、回路基板69から信号が送出されなくなる。そして、C6にたまった電荷は、ダイオードDを通して急速に放電される。
【0043】次に、CPU56により実行される制御処理について図10のフローチャートに基づいて説明する。CPU56は、まずXコイルをスキャンする(S302)。続いて、Yコイルをスキャンする(S304)。そして、S302,S304のスキャン結果に基づいてペンを検出したか否かを判断する(S306)。具体的には、Xコイルスキャン及びYコイルスキャンの結果、所定のしきい値を越える電圧値を検出した場合にペン検出と判断する。ペンを検出した場合には(S306:YES)、ペンの属性を記憶しているか否かを判断する(S308)。ここで、初めてペンを検出した場合には、ペン属性を記憶していないので(S308:NO)、FSK復調回路55の値を読み込む(S310)。そして、ペン属性判定処理へと進む(S312)。こうしてペンの属性を判定できたら、ペン属性を記憶する(S314)。そして、時間調整(S316)を実行して本処理を一旦終了する。この時間調整は、ペン属性を判定するための処理から座標検出処理へと移行するためのごく短い時間である。一方、ペン属性を記憶している場合には(S308:YES)、X座標演算を実行し(S318)、さらにY座標演算を実行し(S320)、記憶しているペン属性と対応付けてXY座標を記憶する(S322)。これに対し、Xコイルスキャン及びYコイルスキャンを実行してもペンを検出しない場合には(S306:NO)、ペン属性を消去して(S324)、本処理を抜ける。
【0044】次に、ペン属性検出処理の内容について図11〜図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0045】ペン属性検出処理が開始されると、図11に示す様に、まず、信号の立ち上がりが入力されたか否かを判断する(S402)。そして、立ち上がりが検出されたら(S402:YES)、カウンタによるカウント処理を開始する(S404)。そして、再び立ち上がりが入力されたか否かを判断する(S406)。再び立ち上がりが検出されるまでは、カウント処理が繰り返される(S406:NO、S404)。そして、再び立ち上がりが検出されたら(S406:YES)、上述のループを抜け、カウント値Kを出力して(S408)、リセットを行う(S410)。その後、第1加重平均値(レジスタの先頭部分)と第2加重平均値(レジスタの末尾部分)との差△mを演算する(S412)。そして、この差△mをしきい値m1と比較し(S414)、△m≧m1の場合には(S414:YES)、しきい値判定出力を変化させ(S416)、本処理を抜ける。なお、△m≧m1でないと判定された場合には(S414:NO)、S416をパスして本処理を抜ける。こうして、FSK変調のかかった信号波の周波数変化のタイミングを監視している。
【0046】次に、カウンタ処理について説明する。このカウンタ処理は、現在何色のペンが検出されているのかを判断するための処理である。このカウンタ処理では、図12に示す様に、まず最初にしきい値判定出力が変化するのを待つ(S420)。そして、しきい値判定出力が変化したら(S420:YES)、カウントを開始する(S422)。そして、再度、しきい値判定出力が変化するのを待つ(S424)。こうして、一旦しきい値判定出力が変化してから再度しきい値判定出力が変化するまでの間カウントが実行される。そして、再度しきい値判定出力が変化したら(S424:YES)、カウント値をレジスタへ出力し(S426)、リセットを行う(S428)。
【0047】次に、加算器処理について説明する。この加算器処理では、図13に示す様に、まず最初に加算タイミングになったか否かを判定する(S430)。そして、加算タイミングになったら(S430:YES)、カウンタ及びレジスタの出力値を加算する(S432)。そして、この加算値を出力する(S434)。この加算値により、CPU56は、何色のペンが検出されているのかを判定することができる。
【0048】この第1の実施の形態によれば、図14に示す様に、ペンの属性を判定するためのFSK変調がかかった信号は、ペンダウン直後の所定の期間だけ送出され、このペンダウン直後のFSK変調信号に基づいてペンの属性を判定することができる。そして、時間調整を経て、その後はFSK変調から無変調信号に切り替わった信号に基づいてペンの位置検出を行うことができるので、AM成分の影響を受けなくなり、位置検出精度が向上するという効果が発揮される。また、FSK復調を行う期間がごく短期間となり、CPU56の負荷が減少し、高速シリアル通信などの他の処理が実行できる様になり、総合的なコストを低減することができるという効果もある。
【0049】次に、第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態における電子黒板1及びペン60の構成等は、第1の実施の形態と同様である。異なる部分は、ペンの座標検出処理の部分である。そこで、第2の実施の形態においてCPU56により実行される制御処理について図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】この第2の実施の形態の制御処理では、CPU56は、まずXコイルをスキャンする(S502)。続いて、Yコイルをスキャンする(S504)。そして、S502,S504のスキャン結果に基づいてペンを検出したか否かを判断する(S506)。具体的には、Xコイルスキャン及びYコイルスキャンの結果、所定のしきい値を越える電圧値を検出した場合にペン検出と判断する。ペンを検出した場合には(S506:YES)、ペンの属性を記憶しているか否かを判断する(S508)。ここで、初めてペンを検出した場合には、ペン属性を記憶していないので(S508:NO)、FSK復調回路55の値を読み込む(S510)。そして、ペン属性判定処理へと進む(S512)。こうしてペンの属性を判定できたら、ペン属性を記憶する(S514)。そして、無変調信号に切り替わったか否かを判定する(S516)。無変調信号に切り替わった後は、AM成分のない信号となるので、精度良くペンの位置検出ができる様になる。そして、無変調信号に切り替わったら(S516:YES)、本処理を一旦終了する。こうしてペン属性が判定された後は、ペン属性を記憶しているので(S508:YES)、X座標演算を実行し(S518)、さらにY座標演算を実行し(S520)、XY座標を記憶する(S522)。これに対し、Xコイルスキャン及びYコイルスキャンを実行してもペンを検出しない場合には(S506:NO)、ペン属性を消去して(S524)、本処理を抜ける。
【0051】次に、第2の実施の形態におけるペン属性検出処理の内容について図16〜図18のフローチャートに基づいて説明する。
【0052】ペン属性検出処理が開始されると、図16に示す様に、まず、信号の立ち上がりが入力されたか否かを判断する(S602)。そして、立ち上がりが検出されたら(S602:YES)、カウンタによるカウント処理を開始する(S604)。そして、再び立ち上がりが入力されたか否かを判断する(S606)。再び立ち上がりが検出されるまでは、カウント処理が繰り返される(S606:NO、S604)。そして、再び立ち上がりが検出されたら(S606:YES)、上述のループを抜け、カウント値Kを出力して(S608)、リセットを行う(S610)。その後、第1加重平均値(レジスタの先頭部分)と第2加重平均値(レジスタの末尾部分)との差△mを演算する(S612)。そして、この差△mをしきい値m1と比較し(S614)、△m≧m1の場合には(S614:YES)、しきい値判定出力を変化させ(S616)、本処理を抜ける。なお、△m≧m1でないと判定された場合には(S614:NO)、S616をパスして本処理を抜ける。こうして、FSK変調のかかった信号波の周波数変化のタイミングを監視している。
【0053】次に、カウンタ処理について説明する。このカウンタ処理は、現在何色のペンが検出されているのかを判断するための処理である。このカウンタ処理では、図17に示す様に、まず最初にしきい値判定出力が変化するのを待つ(S620)。そして、しきい値判定出力が変化したら(S620:YES)、カウントを開始する(S622)。続いて、カウント値が150以上になったか否かを判定する(S624)。カウント値が150以上になっている場合には(S624:YES)、無変調信号になったと判定する(S626)。一方、カウント値が150以上になっていない場合は(S624:NO)、再度、しきい値判定出力が変化するのを待つ(S628)。こうして、一旦しきい値判定出力が変化してから再度しきい値判定出力が変化するまでの間カウントが実行される。そして、再度しきい値判定出力が変化したら(S628:YES)、カウント値をレジスタへ出力し(S630)、リセットを行う(S632)。
【0054】次に、加算器処理について説明する。この加算器処理では、図18に示す様に、まず最初に加算タイミングになったか否かを判定する(S640)。そして、加算タイミングになったら(S640:YES)、カウンタ及びレジスタの出力値を加算する(S642)。そして、この加算値を出力する(S644)。この加算値により、CPU56は、何色のペンが検出されているのかを判定することができる。
【0055】この第2の実施の形態においても、FSK復調は、ペンの色を判定できるまで実行されるだけなので、CPU56の負荷が軽くなる点では第1の実施の形態と同様である。この第2の実施の形態の特徴としては、図19に示す様に、時間調整でなく、変調信号から無変調信号に切り替わったか否かを判定し、無変調信号に切り替わったら直ちにペンの位置検出を開始できるので、位置検出処理において無駄がないという効果が発揮される。
【0056】次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、電子黒板1の構成やペン60の主立った構成は第1の実施の形態と同様である。また、ペンの属性検出や位置座標検出のための制御処理も第1,第2の実施の形態と同様に構成することができる。異なる点は、ペン60の回路基板69の構成にある。そこで、以下に、ペン60の回路基板69の構成について説明する。
【0057】図20に示す様に、回路基板69は、大きく分けて、LC発振回路69aと、CPUとにより構成されている。LC発振回路69aには、コイルLと、コンデンサC1,C2と、ICと、抵抗器R1とが図示の様に接続されている。また、CPUは、スイッチSWの開閉を検出できる様に構成されると共に、2つの電界効果トランジスタFET1,FET2のゲート端子に信号を出力できる様に構成されている。そして、FET1のドレイン端子にはコンデンサC3が接続されている。また、FET2のドレイン端子は、コンデンサC1,C2の一端及びFET1のソース端子と接続されると共に、FET2のソース端子は接地されている。なお、この第3の実施の形態の回路基板69の構成をより概念的に示すと図21の様になる。即ち、スイッチSWからなるスイッチON/OFF部と、CPUからなる制御部と、FET1,FET2及びC3からなるFSK変調部と、LC発振回路69aからなるコイル発振部とによって、回路基板69が構成されていることになる。
【0058】そして、ペンダウンによってスイッチSWが閉じると、CPU70は、以下の様な処理を実行する。即ち、図22に示す様に、まず、スイッチSWがオンになったか否かを判断し(S702)、スイッチオンであれば(S702:YES)、FET2をオンにすると共に、FET1のオンオフを繰り返してFSK変調信号を出力する状態に設定する(S704)。この状態で13msecの間FSK変調信号を発振させ続ける(S706)。そして、その後、FET1をオフ状態とすることにより無変調信号を出力する状態に設定する(S708)。その後は、スイッチSWがオフになるまでS708の状態を維持し続ける(S710)。そして、スイッチSWがオフになったら(S710:YES)、FET2もオフにしてコイル発振を停止して本処理を終える(S712)。
【0059】この第3の実施の形態では、回路基板69が上述の様に構成されている結果、ペンダウン後13msec間は、FSK変調がかかった信号を送出し、13msec経過後は、無変調信号を送出する様になる。従って、第1の実施の形態で説明した回路基板と同様に作動し、受信側では、第1又は第2の実施の形態で説明した様なペン情報検出・座標読み取り処理を実行することで、ペンダウン直後の1〜2スキャン分程度の短い時間の間にペン属性を検出し、その後の位置座標検出においてはAM成分のない無変調信号に基づいて、精度良くペンの位置座標を検出することができる様になっている点で、第1,第2の実施の形態と同様の効果を発揮する。
【0060】以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態を採用することができることはもちろんである。
【0061】例えば、第1の実施の形態では、図23の■に示した様に、ペン属性の判定後、送信側の変調信号から無変調信号へ切り換わるまでの所定時間の調整をした後に座標検出の処理のみを行う様にしており、第2の実施の形態では、図23の■にある様に、ペン属性の判定後、送信側の変調信号から無変調信号へ切り換る時を検出して、その後座標検出の処理を行うこととしていたが、図23の■〜■に示す様なペン属性判定及び座標読み取り処理を行う様にしてもよい。
【0062】具体的には、■に示す様に、座標検出処理はペン属性の判定に関わらず筆記具をボードに押し当てた直後から筆記具が離されるまで行う様にしてもよい。また、■に示す様に、送信側の変調信号から無変調信号へ切り換る時までFSK復調を行ってペンの判定をし、座標検出処理は、ペン属性の判定に関わらずに筆記具をボードに押し当てた直後から筆記具が離されるまで行う様にしてもよい。さらに、■に示す様に、ペン属性の判定後、すぐに座標検出処理を行う様にしてもよい。また、■に示す様に、送信側の変調信号から無変調信号へ切り換る時までFSK復調を行ってペン属性の判定をし、その後は座標検出処理を行う様にしてもよい。
【0063】ここで、■〜■のメリットとデメリットを述べると以下の様になる。
【0064】■,■,■は、FSK復調と座標検出が同時となることはないので、座標検出精度は良好である。しかし、ペン検出後の数msec(1スキャン〜2スキャン)分を捨てることになる。
【0065】■,■は、ペン検出後から座標検出の処理をするので、ストロークの初期部分は座標精度が悪くなる。しかし、ストロークの初期部分も座標検出に利用できるので、筆記具による筆記状態の全体に対して位置検出ができるというメリットがある。
【0066】■は、上述した■,■,■と■,■の中間的な処理形態といえる。
【0067】■,■は、変調信号が無変調信号へ切り換るまでペン属性の判定を複数回検出すると、誤判定のないペン属性判定処理ができるというメリットがある。
【0068】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、ペンやイレーサ等の筆記具の属性を識別しつつ、位置座標読み取り用としてはAM成分を含まない交番磁界を発生させて、座標読み取りボードにおける筆記具の位置の検出精度を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
【出願日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【代理人】 【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
【公開番号】 特開2002−108552(P2002−108552A)
【公開日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【出願番号】 特願2000−297895(P2000−297895)