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【発明の名称】 反応室の圧力制御方法および装置
【発明者】 【氏名】楠元 寛史
【氏名】戸泉 厚
【氏名】前川 幸弘
【課題】半導体製造装置の圧力制御において、フィードフォワード制御のためのガス流量と圧力と調圧弁の位置との特性を導出するための時間と使用ガス量を削減する。

【解決手段】調圧弁5の位置とガス流量とを固定して反応室1の圧力を検出し、圧力が安定した時の圧力値でガス流量を割って得る排気速度と前記調圧弁5の位置の値との対を排気特性記憶手段10に記憶する。この操作を調圧弁5の位置を変化させて繰り返し、排気速度と調圧弁5の位置の値との集合である排気特性データを排気特性記憶手段10に記憶する。実際に反応室1の圧力を制御する際に、設定ガス流量を設定圧力で割った設定排気速度を制御位置近似値演算手段11に入力し、この制御位置近似値演算手段11で、排気特性記憶手段10に記憶された排気特性データを用いて、設定排気速度に対する調圧弁5の位置の近似値を演算し、演算された位置に調圧弁5を静止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加工処理の内容に応じたガスを流通させる反応室の圧力制御方法であって、予め、ガス供給流量を加工処理のための設定値に固定するとともに排気部の弁装置の開度を任意値に制御して反応室にガスを流通させ、反応室圧力を監視して安定に達した反応室圧力値を検出し、検出した反応室圧力値で前記ガス供給流量値を除して排気速度値として算出し、この排気速度値と前記制御した弁装置の開度の値とを対で保存する工程を、前記弁装置の開度の制御値を変更して繰り返し行なって、複数対の排気速度値と弁装置開度値からなる排気特性データを作成し、反応室圧力を制御する際に、ガス供給流量を前記設定値に制御するとともに、このガス供給流量の設定値と目標とする反応室圧力値とより排気速度値を算出し、この排気速度値に対応する弁装置開度値を前記排気特性データを用いて演算し、算出された開度値の近傍に弁装置を制御し、その後は反応室圧力を監視しつつフィードバック制御にて弁装置を調節することにより、前記目標とする反応室圧力値に制御することを特徴とする反応室の圧力制御方法。
【請求項2】 加工処理の内容に応じたガスを流通させる反応室の圧力制御装置であって、反応室にガスを供給するガス供給手段と、反応室の排気部に設けた弁装置の開度を調節して反応室圧力を制御する圧力制御手段と、反応室圧力を測定する圧力測定手段と、前記加工処理のために設定されたガス供給流量値と反応室圧力値とを記憶する処理レシピ記憶手段と、排気速度値と弁装置開度値とが対になった排気特性データを記憶する排気特性記憶手段と、前記排気特性記憶手段に記憶された排気特性データから指定された排気速度値に対応する弁装置開度の近似値を演算する近似値演算手段と、前記ガス供給手段と圧力制御手段と圧力測定手段と処理レシピ記憶手段と排気特性記憶手段と近似値演算手段とに接続した中央演算手段とを備え、前記中央演算手段により、予め、処理レシピ記憶手段からガス供給流量値を取得し、ガス供給手段のガス供給流量を前記取得したガス供給流量値に固定するとともに圧力制御手段を通じて弁装置の開度を任意値に制御して反応室にガスを流通させ、圧力測定手段を通じて安定に達した反応室圧力値を検出し、検出した反応室圧力値で前記固定したガス供給流量値を除して排気速度値として算出し、この排気速度値と前記制御した弁装置の開度の値とを対で排気特性記憶手段に出力する工程を、前記弁装置の開度の制御値を変更して繰り返し行なって、複数対の排気速度値と弁装置開度値からなる排気特性データを排気特性記憶手段に保存し、反応室圧力を制御する際に、処理レシピ記憶手段からガス供給流量値と反応室圧力値とを取得し、取得したガス供給流量値にガス供給手段のガス供給流量を制御するとともに、取得したガス供給流量値と反応室圧力値とより排気速度値を算出し、算出した排気速度値を制御位置近似値演算手段に出力し、この出力値から制御位置近似値演算手段で演算された弁装置開度の近似値を取得し、取得した近似値に弁装置開度を近づけるよう圧力制御手段を制御し、圧力測定手段により測定される反応室圧力に基き圧力制御手段をフィードバック制御して弁装置を調節することにより、前記処理レシピ記憶手段から取得した反応室圧力値に制御するように構成したことを特徴とする反応室の圧力制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反応室の圧力制御方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】反応室の圧力制御を必要とする装置に半導体製造装置があり、ウエーハ処理工程に応じて、ドライエッチング装置や薄膜形成装置やドーピング装置など、各種の装置がある。
【0003】たとえばドライエッチング装置は、図5に示すように、反応室1で施す加工内容に即した反応ガスを供給するガス供給手段2と、反応室1の圧力を一定に保つための圧力制御部3と、ガス供給手段2と圧力制御部3の動作を制御する主制御部4とで構成されている。圧力制御部3は、調圧弁5とこの調圧弁5の開度を制御する圧力コントローラ6と反応室1の内部圧力を取得する真空計7とを有し、主制御部4は、処理レシピを記憶する処理レシピ記憶手段8と中央演算手段9とを有している。
【0004】このような構成において、反応ガス流量と反応室圧力とが処理レシピ記憶手段8から中央演算手段9へ読み出され、この中央演算手段9の制御により、ガス供給手段2から所定流量の反応ガスが反応室1に導入されるとともに、真空計7の測定値に基いて圧力コントローラ6により調圧弁5の開度が調節され反応室1の圧力が一定に制御される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した反応室1の圧力を制御する方法としては、反応室1の内部圧力を真空計7で測定し、フィードバック制御により調圧弁5の開度を調節して目標圧力に制御する方法があるが、このような方法では、目標圧力の近傍に到達させるのに時間がかかるという問題がある。
【0006】フィードフォワード制御として、調圧弁5の開度を予め決めた値に固定した状態で反応室1の内部圧力を目標圧力の近傍に制御し、その後にフィードバック制御により調圧弁5の開度を調節して目標圧力に制御する方法も提案されている。この方法によれば、フィードバック制御のみによる圧力調整方法よりも目標圧力近傍への到達時間を短縮できるものの、ガス流量と目標圧力と調圧弁の開度との関係を予め人手によって実験的に調べておく必要があり、それに時間がかかるという問題がある。
【0007】本発明は上記問題を解決するもので、短時間で目標圧力に制御し得る反応室の圧力制御方法および装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、調圧弁の開度が一定の時には排気速度が一定であり、かつ、排気速度はガス流量を圧力で割った値に比例することを利用する。
【0009】つまり、予め調圧弁を任意の位置に設定しガス流量を固定した状態て反応室にガスを流通させ、圧力が安定したらその圧力値を用いて前記ガス流量の値を除して排気速度値とし、この排気速度値に対応する前記調圧弁の位置の値との組み合わせを記憶する、という操作を調圧弁の位置を変化させながら繰り返しすことで、排気速度値と調圧弁位置値との組み合わせの集合を得る。
【0010】そして、実際に圧力を制御する際に、設定圧力と設定ガス流量とに対応する排気速度を求め、求めた排気速度に対する調圧弁の位置の近似値を前記集合から演算し、算出された近似値の位置に調圧弁を移動させ、その状態で測定される圧力が設定圧力近傍になった時点から、フィードバック制御にて調圧弁を調節し設定圧力に制御する。
【0011】このようにすることにより、従来のようにガス流量と目標圧力と調圧弁の位置との関係を実験的に取得することなく、フィードバック制御を開始する調圧弁の位置を演算によって得ることが可能になり、この調圧弁の位置を取得するための時間とガスとを従来より削減できる。
【0012】すなわち請求項1に記載の発明は、加工処理の内容に応じたガスを流通させる反応室の圧力制御方法であって、予め、ガス供給流量を加工処理のための設定値に固定するとともに排気部の弁装置の開度を任意値に制御して反応室にガスを流通させ、反応室圧力を監視して安定に達した反応室圧力値を検出し、検出した反応室圧力値で前記ガス供給流量値を除して排気速度値として算出し、この排気速度値と前記制御した弁装置の開度の値とを対で保存する工程を、前記弁装置の開度の制御値を変更して繰り返し行なって、複数対の排気速度値と弁装置開度値からなる排気特性データを作成し、反応室圧力を制御する際に、ガス供給流量を前記設定値に制御するとともに、このガス供給流量の設定値と目標とする反応室圧力値とより排気速度値を算出し、この排気速度値に対応する弁装置開度値を前記排気特性データを用いて演算し、算出された開度値の近傍に弁装置を制御し、その後は反応室圧力を監視しつつフィードバック制御にて弁装置を調節することにより、前記目標とする反応室圧力値に制御することを特徴とする。
【0013】請求項2に記載の発明は、加工処理の内容に応じたガスを流通させる反応室の圧力制御装置であって、反応室にガスを供給するガス供給手段と、反応室の排気部に設けた弁装置の開度を調節して反応室圧力を制御する圧力制御手段と、反応室圧力を測定する圧力測定手段と、前記加工処理のために設定されたガス供給流量値と反応室圧力値とを記憶する処理レシピ記憶手段と、排気速度値と弁装置開度値とが対になった排気特性データを記憶する排気特性記憶手段と、前記排気特性記憶手段に記憶された排気特性データから指定された排気速度値に対応する弁装置開度の近似値を演算する近似値演算手段と、前記ガス供給手段と圧力制御手段と圧力測定手段と処理レシピ記憶手段と排気特性記憶手段と近似値演算手段とに接続した中央演算手段とを備え、前記中央演算手段により、予め、処理レシピ記憶手段からガス供給流量値を取得し、ガス供給手段のガス供給流量を前記取得したガス供給流量値に固定するとともに圧力制御手段を通じて弁装置の開度を任意値に制御して反応室にガスを流通させ、圧力測定手段を通じて安定に達した反応室圧力値を検出し、検出した反応室圧力値で前記固定したガス供給流量値を除して排気速度値として算出し、この排気速度値と前記制御した弁装置の開度の値とを対で排気特性記憶手段に出力する工程を、前記弁装置の開度の制御値を変更して繰り返し行なって、複数対の排気速度値と弁装置開度値からなる排気特性データを排気特性記憶手段に保存し、反応室圧力を制御する際に、処理レシピ記憶手段からガス供給流量値と反応室圧力値とを取得し、取得したガス供給流量値にガス供給手段のガス供給流量を制御するとともに、取得したガス供給流量値と反応室圧力値とより排気速度値を算出し、算出した排気速度値を制御位置近似値演算手段に出力し、この出力値から制御位置近似値演算手段で演算された弁装置開度の近似値を取得し、取得した近似値に弁装置開度を近づけるよう圧力制御手段を制御し、圧力測定手段により測定される反応室圧力に基き圧力制御手段をフィードバック制御して弁装置を調節することにより、前記処理レシピ記憶手段から取得した反応室圧力値に制御するように構成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は半導体製造装置であるドライエッチング装置の概略構成を示し、このドライエッチング装置は、ドライエッチング加工を行う反応室1と、反応室1にドライエッチングに即した反応ガスを供給するガス供給手段2と、反応室1の圧力を一定に制御するための圧力制御部3と、ガス供給手段2と圧力制御部3の動作を制御する主制御部4とで構成されている。
【0015】圧力制御部3は、反応室1の排気部に設けられた調圧弁5と、調圧弁5の開度を調節する圧力コントローラ6と、反応室1の内部圧力を取得する真空計4とを有している。
【0016】主制御部4は、ドライエッチ加工について予め決められたガス流量と圧力の設定値を記憶する処理レシピ記憶手段8と、ガス供給手段2と真空計4と圧力コントローラ6とに接続しこれらとの間でデータ信号と制御信号とを送受する後述する中央演算手段9と、中央演算手段9を通じて入力する排気速度値と調圧弁位置値とが対になったデータを複数に記憶する排気特性記憶手段10と、排気特性記憶手段10に記憶されたデータを用いて、指定された排気速度値に対応する調圧弁位置の近似値を演算する制御位置近似値演算手段11とを有している。
【0017】中央演算手段9は、処理レシピ記憶手段8から設定ガス流量と設定圧力とを取得して制御位置近似値演算手段11に出力し、この制御位置近似値演算手段11から調圧弁位置の近似値を取得し、取得した各値に基いて圧力コントローラ3とガス供給部5とを制御する。
【0018】圧力コントローラ3は、中央演算手段9より与えられた位置に調圧弁2を固定する機能と、真空計7によって中央演算手段9に取り込まれる反応室1の実際の圧力が設定圧力になるよう調圧弁5をフィードバック制御する機能とを有している。
【0019】このようなドライエッチング装置では、予め排気速度特性を測定する。図2に示すように、S1でガス供給手段2のガス流量をFに固定し、S2で調圧弁5の位置をLに固定する。S3で反応室1の圧力を真空計4により監視し、反応室圧力が安定したか判断する。反応室圧力がPに安定したら、S4において、安定した圧力Pで上記したガス流量Fを除し、その商F/Pと調圧弁5の位置Lとの対を排気特性記憶手段10に記憶する。
【0020】S5で、記憶した位置Lが調圧弁5の位置の最大値であるか判断する。最大値でなければ、S6で調圧弁5の位置をΔLだけ大きくし、次いでS3,S4,S5の工程を実行するという操作を繰り返す。最大値であれば、操作を終了する。
【0021】このようにして、排気特性記憶手段10に、排気速度(F/P)と調圧弁5の位置Lとの組み合わせの集合である排気特性データを記憶する。この集合は、図3に示すようなグラフ上の離散的な点で表される。
【0022】その後に、実際に反応室の圧力を制御する。図4に示すように、S7で、加工対象物についての設定ガス流量Fを処理レシピ記憶手段8から取得し、S8で、この設定ガス流量Fにガス供給手段2を制御する。同時に、S9で、加工対象物についての設定圧力Pを処理レシピ記憶手段8から取得する。取得した設定ガス流量Fと設定圧力Pは排気特性記憶手段10に出力する。
【0023】S10で、設定ガス流量Fを設定圧力Pで除し、その商F/Pを制御位置近似値演算手段11に出力する。そして制御位置近似値演算手段11で、排気特性記憶手段10に記憶された排気速度特性データを利用して、設定ガス流量F/設定圧力Pの値に対する調圧弁2の位置の近似値Lを演算する。近似値の演算は直線補間などの一般的に知られた方法を用いる。
【0024】S11で、算出された位置Lに調圧弁5を移動させる。続いてS12で、真空計4によって取得される反応室1の実際の圧力を監視し、取り込み圧力が設定圧力Pの近傍であるか判断する。取り込み圧力が設定圧力Pになったら、S13で、圧力コントローラ6に対してフィードバック制御を指令する。
【0025】このようにして、排気特性記憶手段10に予め記憶させた排気特性データを利用することで、フィードバック制御を開始する調圧弁5の位置を演算によって容易に得ることができ、ガス流量と圧力と調圧弁5の位置の関係式を取得するために必要な時間とガスとを従来より削減できる。
【0026】なお、上記した実施形態では調圧弁5の位置の変化量をΔL(一定)としたが、調圧弁5の構造等によっては、その開度により排気速度の変化の大きさが異なる場合がある。そして、調圧弁5の開度の小さな変化に対して排気速度が大きく変動する場合に特に、制御位置近似値演算部8での演算の精度が悪くなることがありうる。したがって、演算の精度が悪くなると予想される部分では、調圧弁5の開度の変化量を小刻みにするのが望ましい。
【0027】また、上記した実施形態ではドライエッチング装置を例に挙げて説明したが、この圧力制御方法を薄膜形成装置やドーピング装置などの他の半導体製造装置で実施しても、さらには圧力制御を要する半導体製造装置以外の装置で実施しても、同様の効果を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、フィードフォワード制御のためのガス流量と圧力と調圧弁の位置との特性を導出するための時間と使用ガス量を従来より削減できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2002−297244(P2002−297244A)
【公開日】 平成14年10月11日(2002.10.11)
【出願番号】 特願2001−103995(P2001−103995)