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【発明の名称】 定着装置
【発明者】 【氏名】鈴木 智文

【氏名】加藤 彰彦

【氏名】桶川 長和

【氏名】色川 誠一

【氏名】鈴木 修一

【氏名】西田 晴彦

【氏名】稲葉 一美

【氏名】由川 修二

【氏名】河野 将行

【要約】 【課題】温度検知器を加熱回転体の非通紙域に配置した場合であっても、定着動作の実行時において加熱回転体の特に中央部における大幅な温度低下が発生することなく、加熱回転体の温度制御を適切に行うことができるようにする。

【解決手段】制御手段により、加熱ロールを加熱するヒータの加熱温度を変更するように構成し、かつ、定着動作の実行時におけるヒータの加熱温度を、定着動作の待機時における当該ヒータの加熱温度にその待機時における予め計測した加熱ロールの通紙域の最高温度と最低温度との差分を所定のタイミングで少なくとも1回加えた温度に変更するように設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 当接しながら通過する記録紙に担持されている未定着像を加熱して定着させる加熱回転体と、この加熱回転体を加熱する通電加熱式のヒータと、前記加熱回転体のうち最大幅の記録紙が当接して通過する通紙域の外側となる非通紙域に接触してその表面温度を検出する温度検出器と、この温度検出器で検出される温度情報に基づいて前記ヒータへの通電動作を制御する制御手段とを備えた定着装置において、前記制御手段が、前記ヒータの加熱温度を変更する機能を有し、かつ、定着動作の実行時における前記ヒータの加熱温度を、定着動作の待機時における当該ヒータの加熱温度にその待機時における予め計測した前記加熱回転体の通紙域の最高温度と最低温度との差分を所定のタイミングで少なくとも1回加えた温度に変更するように設定されていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】 請求項1に記載の定着装置において、前記制御手段が、前記差分を定着条件に応じて増減した後の補正値として加えるように設定されていることを特徴とする定着装置。
【請求項3】 請求項1又は2に記載の定着装置において、前記制御手段が、一連の定着動作の終了時に、ヒータの加熱温度を定着動作待機時における当該ヒータの加熱温度にリセットするように設定されていることを特徴とする定着装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録紙に未定着像を熱定着することにより画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等に代表される画像形成装置に使用される定着装置に係り、特に、記録紙上の未定着像を加熱して定着する加熱ロール等の加熱回転体における非通紙域に温度検知器を配設し、その温度検知器で検出される温度情報に基づいて前記加熱回転体を加熱する通電加熱式の電熱ヒータへの通電動作を制御するタイプの定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の定着装置は、基本的には、例えば図11に示すように、回転する円筒状の加熱ロール100と、この加熱ロール100の内部に設置されそのロール表面を所要の温度まで加熱する通電加熱式のヒータ110とを備え、そのヒータ110で加熱された加熱ロール100の表面に未定着像(例えば未定着トナー像)を担持する記録紙を当接させるように通過させ、その未定着像を加熱することにより定着を行うようになっている。
【0003】そして、その加熱ロール100の温度制御については、加熱ロール100のうち最大幅の記録紙が当接して通過する(最大)通紙域Wの外側となる非通紙域Fに接触してその表面温度を検知するように配設した温度センサ130で検出される温度情報を制御装置140に入力し、かかる温度情報に基づき制御装置140によりヒータ110への通電動作(例えば加熱目標温度の上限値又は下限値を閾値としたON/OFF動作)を制御することにより行われる。これにより、ヒータ110の加熱動作が制御されて加熱ロール100が所要の温度に加熱されかつ維持されるようになっている。
【0004】このような定着装置では、温度センサ130を加熱ロール100の非通紙域Fに配置したことにより、かかる温度センサ130を加熱ロールの通紙域Wに接触するように配置した定着装置において発生するような以下の不具合を回避することができる。すなわち、温度センサ130を通紙域Wに配置した場合には、温度センサ130が接触する加熱ロール100の通紙域W内の表面部分が傷つく場合があり、その傷に起因した画質劣化が発生するおそれがある。また、その加熱ロール100の通紙域Wに存在するトナーや紙粉等が温度センサ130の検出面に付着してその検出面が汚れやすく、この結果、その表面温度の正確な検出が困難となり、ひいてはヒータの正確な制御も困難となる。このような不具合は、温度センサ130を加熱ロール100の非通紙域Fに配置することで回避される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、温度センサ130を加熱ロール100の非通紙域Fに配置した定着装置にあっては、その通紙域Wの表面温度を直接検出することができないため、本来表面温度が一定に保たれるべき通紙域Wの温度情報に基づくヒータ110の通電動作の制御を行うことができず、加熱ロール100自体の適切な温度制御を行うことが困難となる場合がある。
【0006】ちなみに、特開平8−220930号公報には、温度検知手段を加熱ロールの通紙域外に配設した定着装置において、その温度検知手段が出力する温度値を所定の温度分だけ低く補正し、その補正された温度値を用いて加熱ロールの温度制御を行う制御方式が示されている。これは、加熱ロールの通紙部(通紙域)が記録紙の通過(通紙)により奪熱されて温度の低下がある一方で、その非通紙部が記録紙により奪熱されることがなく温度の低下がないため、その通紙部と非通紙部との間の温度差が通紙枚数の増加に応じて大きくなるところ、その温度差を配慮して非通紙域で検出される温度を予め低くした温度差を温度制御のために使用するようにしたものである。しかし、このような温度制御方式を採用した場合には、温度検出手段から出力される温度値を低く補正するための変更ソフトが必要となってコスト面で不利となる。
【0007】また、温度センサ130を非通紙域Fに配置した定着装置にあっては、定着動作の待機時には、図12に示すように加熱ロール100がヒータ110によりその軸方向の中央部がその両端部側に比べて高くなる山形の温度分布(実線SB)となるように加熱されるが、その後、定着動作が実行されると、記録紙の通紙により加熱ロール100の中央部(厳密には通過する記録紙の幅方向の中央部に当たる部位)の熱が記録紙に徐々に奪われて低下してしまい、例えば、その通紙枚数が増加するにつれて温度低下が顕著となり、最悪の場合には加熱ロール100の中央部の温度が定着許容温度の下限値(DL)を下回るような温度分布(2点鎖線RB)となり、定着不良を誘発するおそれがある。このような現象は、加熱ロールの中央部の温度が低下するにつれて通紙域Fの温度も同様に追従して低下すれば、温度センサ110によって検知されて回避される可能性があるものの、かかる非通紙域Fの追従した温度低下が現れないことにも起因して発生するものである。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、温度検知器を加熱回転体の非通紙域に配置した場合であっても、定着動作の実行時において加熱回転体の特に中央部における大幅な温度低下が発生することなく、加熱回転体の温度制御を適切に行うことができる定着装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得る本発明は、当接しながら通過する記録紙に担持されている未定着像を加熱して定着させる加熱回転体と、この加熱回転体を加熱する通電加熱式のヒータと、前記加熱回転体のうち最大幅の記録紙が当接して通過する通紙域の外側となる非通紙域に接触してその表面温度を検出する温度検出器と、この温度検出器で検出される温度情報に基づいて前記ヒータへの通電動作を制御する制御手段とを備えた定着装置において、前記制御手段が、前記ヒータの加熱温度を変更する機能を有してなり、かつ、定着動作の実行時における前記ヒータの加熱温度を、定着動作の待機時における当該ヒータの加熱温度にその待機時における予め計測した前記加熱回転体の通紙域の最高温度と最低温度との差分を所定のタイミングで少なくとも1回加えた温度に変更するように設定されていることを特徴とするものである。
【0010】ここで、上記記録紙は、未定着像を熱定着することができる記録用材料であればよく、具体的には一般の記録用紙のほか、OHPシート、はがきを含む厚紙、封筒などである。上記未定着像は、加熱されることにより記録紙に定着されるものであればよく、例えば、現像剤により現像されて得られるトナー像である。上記加熱回転体は、通常は円筒状のロール形態からなるものであるが、定着域となるベルト内周面側に配される支持部材により支持されて回転するベルト形態からなるものであってもよい。
【0011】上記制御手段は、温度検出器で検出される温度情報を予め設定される温度制御用の閾値と比較しながらヒータへの通電動作を制御できるものであればよい。また、上記制御手段は、基本的に、定着動作の実行時におけるヒータの加熱温度を、定着動作の待機時におけるヒータの加熱温度に前記差分を加えた温度に変更するように設定されている。その差分は、定着動作の待機時における予め計測した加熱回転体の通紙域の最高温度と最低温度との温度差であるが、そのうち最高温度については通常加熱回転体の中央部(通常は最大通紙域の中央部)における温度が該当し、最低温度については通常加熱回転体の両端部(具体的には温度検知器が接触している非通紙域)における温度が該当する。また、その差分は1回加えることに限定されず、複数回加えるようにしてもよい。さらに、その差分を加えるタイミングについては、例えば、定着動作開始時(記録紙の定着装置への搬送開始時)であるほか、その定着動作開始時を始点とする所定の設定時間が経過した時点や、さらには定着動作開始時を始点とする複数の所定の設定時間がそれぞれ経過する時点である。このため、1枚の記録紙に対する定着動作時間がない場合や、定着時に連続して通過する記録紙の枚数すなわち通紙枚数が増える場合には、その定着動作中において差分が複数加えられるようになる。
【0012】このような定着装置によれば、加熱回転体は、定着動作の待機時にはその待機時におけるヒータの加熱温度まで加熱され、定着動作の実行時にはその待機時におけるヒータの加熱温度に前記差分を少なくとも1回加えた温度まで加熱される。また、そのときの加熱回転体は、非通紙域に配設された温度検出器で検出される温度情報に基づいてヒータへの通電動作が制御されることにより、そのヒータに設定される加熱温度に保たれる。これにより、加熱回転体は、定着動作実行時にはその追加された差分に相当する温度だけ高い温度に加熱されるため、その記録紙の通紙により熱が奪われても、その加熱回転体の中央部の温度が定着許容温度の下限値を下回ることがない。
【0013】また、上記制御手段については、前記差分を定着条件に応じて増減した後の補正値として加えるように設定するようにしてもよい。これは、定着動作実行時におけるヒータの加熱温度を変更する際に、前記差分をそのまま加えることが適当ではなく、その差分を各定着条件に応じて適宜調整したうえで加えること適当とされる場合の態様である。
【0014】ここで、定着条件は、記録紙の種類(サイズ、厚さ、紙質など)、定着速度(記録紙の通過速度に相当する)、未定着像の定着特性(溶融及び凝固特性など)等である。これらの各定着条件に従って予め定着動作を試行し、その各定着条件に適した加熱温度(定着許容温度範囲)が得られるように差分の温度を増減して調整する。
【0015】さらに、上記制御手段については、一連の定着動作の終了時に、ヒータの加熱温度を定着動作待機時における当該ヒータの加熱温度にリセットするように設定するとよい。
【0016】本発明の定着装置は、加熱回転体を2つのヒータにて加熱するように構成してもよく、この場合には、制御手段についても各ヒータに対応して1つずつ(計2つ)設けるようにするとよい。そして、この場合には、2つの制御手段はいずれも、前記したような(各)ヒータへの通電動作の制御と(各)ヒータの加熱温度の変更を行うように構成される。
【0017】このような2つのヒータを採用する定着装置としては、例えば、当接しながら通過する記録紙に担持されている未定着像を加熱する加熱回転体と、この加熱回転体のうち最大幅の記録紙が当接して通過する領域である最大通紙域を2分割した2つの分割通紙域のうち、その一方の分割通紙域を所要の表面温度まで加熱する通電加熱式の第1のヒータと、その他方の分割通紙域を所要の表面温度まで加熱する通電加熱式の第2のヒータと、前記加熱回転体の前記最大通紙域の両端の外側に隣接する領域であって記録紙が通過しない領域である2つの非通紙域のうち、前記一方の分割通紙域と隣接する非通紙域に接触してその表面温度を検出する第1の温度検出器と、前記他方の分割通紙域と隣接する非通紙域に接触してその表面温度を検出する第2の温度検出器と、この第1の温度検出器で検出される温度情報に基づいて前記第1のヒータへの通電動作を制御する第1の制御手段と、この第2の温度検出器で検出される温度情報に基づいて前記第2のヒータへの通電動作を制御する第2の制御手段とを有するものが挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の実施の一形態に係る定着装置の要部を示すもので、図1aはその正面概要図、図1bはその側面概要図、図2はその温度制御系の構成を示す説明図である。
【0019】この定着装置は、図1及び図2に示すように、矢印A方向に回転駆動するように配設される円筒状の加熱ロール10と、この加熱ロール10の円筒内部に配設されてそのロールを加熱する2つのヒータ20,30と、この各ヒータ20,30への図示しない電源部からの通電動作を制御するドライバ25,35と、加熱ロール10の表面に接触した状態で配設されてその表面温度を検出する2つの温度センサ40,50と、この温度センサ40,50で検出される温度情報に基づいて2つのヒータ20,30への通電動作(厳密にはドライバ25,35の動作)を制御する制御装置60と、加熱ロール10に圧接して回転するように配置されて加熱ロール10に記録紙Pを圧接させる加圧部材としての加圧ロール70とでその主要部が構成されている。
【0020】図1a中のTは図示しない画像形成装置の作像部で画像情報に応じて形成された後に記録紙Pに転写されたトナー像、一点鎖線は記録紙Pの搬送経路(状態)を示す。また、図1bの符号WMAXは最大幅の記録紙Pが加熱ロール10に当接して通過する領域である最大通紙域、W1は最大通紙域WMAXを2分割したときの一方の分割通紙域(第1の分割通紙域)、W2は最大通紙域WMAXを2分割したときの他方の分割通紙域(第2の分割通紙域)をそれぞれ示す。
【0021】上記加熱ロール10は、基本的に、アルミニウム、鉄等の金属材料にて円筒状に形成された金属ロールであり、必要に応じてそのロール表面に弾性離型層が積層された構造になっている。また、上記加圧ロール70についても、ステンレス等の金属材料にて円柱状に形成されたものであり、必要に応じてそのロール表面に離型層などが積層された構造になっている。この定着装置では、必要に応じて加圧ロール70に代えて、ベルト形態の加圧部材やパッド形態の加圧部材を使用しても構わない。
【0022】上記2つのヒータのうちでヒータ20は、加熱ロール10における第1の分割通紙域W1を所要の温度M1になるまで主に加熱する通電加熱式のメインのヒータであり、電熱線をコイル状に適宜巻いて発熱部が形成された構造のものである。一方、そのヒータ30は、加熱ロール10における第2の分割通紙域W2を所要の温度M2(通常はM1=M2である)になるまで主に加熱する通電加熱式のサブのヒータであり、電熱線をコイル状に適宜巻いて発熱部が形成された構造のものである。
【0023】また、この2つのヒータ20,30はいずれも、互いに相手側の通紙域についてもある程度同時に加熱するように構成されている。すなわち、メインのヒータ20は、第1の分割通紙域W1を加熱すると同時に第2の分割通紙域W2を前記所要の温度M1よりも低い温度M3になるまで加熱できるものであり、第2の分割通紙域W2と対向する部位においても電熱線をその巻き数や巻き間隔等を異ならせた条件で巻いた構造になっている。また、サブのヒータ30は、第2の分割通紙域W2を加熱すると同時に第1の分割通紙域W1を前記所要の温度M2よりも低い温度M4になるまで加熱できるものであり、第2の分割通紙域W2と対向する部位においても電熱線をその巻き数や巻き間隔等を異ならせた条件で巻いた構造になっている。
【0024】図3は、この2つのヒータ20,30の各加熱特性(配熱分布)を示すものであり、(a)はメインのヒータ20について、(b)はサブのヒータ30について示すものである。図4は、2つのヒータ20,30の加熱特性を配分設定した関係を示すものである。図3及び図4においてヒータ上の位置は、各ヒータの中心位置からの離間距離で示している。また、図3の発熱割合は、各ヒータの最大発熱量を100(%)とした場合の各部位での発熱量の比率を示すものである。図4の発熱割合は、両ヒータを同時に加熱させたときにヒータ中央部で得られる合計した発熱量を100(%)とした場合の各ヒータの各部位での発熱量の比率と、その各ヒータの各部位での発熱量比率を合算した比率を示すものである。なお、このヒータ20,30は、記録紙Pの搬送基準として端部基準(サイドレジ)を採用する定着装置(画像形成装置)において、最大通紙域WMAXの幅が約297mm、第1の分割通紙域W1の幅が約210mm、第2の分割通紙域W2の幅が約87mmに設定された加熱ロール10を加熱するために構成されたものである。
【0025】この図3及び図4から明らかなように、メインヒータ20は第1の通紙域W1を主に加熱するとともに第2の通紙域W2についてもある程度加熱するように設定されており、サブヒータ30は第2の通紙域W2を主に加熱するとともにいる第1の通紙域W1についてもある程度加熱するように設定されている。また、2つの分割通紙域W1,W2の境界部となる領域を加熱する各ヒータの該当部分の発熱割合が、相手側のヒータで加熱する分割通紙域に入り込む方向にむかうにつれて次第に小さくなるとともに途中で交差しあうような特性となり、かつ両ヒータの該当部分の発熱割合を合計した割合が各ヒータの中央部での合計した発熱割合とほぼ同レベルになるように調整されている。
【0026】上記2つの温度センサ40,50はいずれも、加熱ロール10の記録紙Pが通過しない非通紙域に接触するように配設されており、具体的には、温度センサ40は第1の分割通紙域W1と隣接する第1の非通紙域F1に、温度センサ50は第2の通紙域W2と隣接する第2の非通紙域F2にそれぞれ設置されている。この温度センサ40,50は、各非通紙域F1,F2のうちできるだけ各分割通紙域W1,W2に接近した位置に設けるとよい。また、この温度センサ40,50が設置される各非通紙域F1,F2に対しても、各分割通紙域W1,W2と同じレベルに加熱することができるようにヒータ20,30の発熱部(電熱線の巻き)が延長して形成している。
【0027】上記制御装置60は、マイクロコンピュータ等で構成されるものであり、2つの温度センサ40,50から出力される温度情報が入力されるとともに、この定着装置を利用する画像形成装置本体側からの画像形成動作等に関する情報信号S(電源ON−OFF信号、画像形成動作の開始及び終了の信号、使用する記録紙Pのサイズや種類の識別信号など)が入力されるようになっており、これらの入力信号等に基づき温度制御に関する所定の情報処理が行われた後に、各ヒータ20,30の通電動作を制御する制御信号が各ドライバ25,35に出力されるようになっている。
【0028】実際には、ヒータ20の通電に関する制御については、温度センサ40の検出情報に基づきヒータ20の各加熱温度が維持されるように適宜設定される上限及び下限閾値を基準にして行われ、ヒータ30の通電に関する制御については、温度センサ50の検出情報に基づきヒータ30の各加熱温度が維持されるように適宜設定される上限及び下限閾値を基準にして行われる。その閾値としては、いずれのヒータ20、30の場合であっても、各ヒータの各加熱温度を下限閾値とする一方で、その各加熱温度に5℃を加えた温度を上限閾値とし、上限閾値を超えるときには通電を停止する(オフ)状態にし、下限閾値を超えるときには通電を行う(オン)状態とする。
【0029】また、制御装置60は、第1及び第2のヒータ20,30の加熱温度を変更するようになっている。この実施の形態では、図5及び図6に示すように、第1及び第2のヒータ20,30の加熱温度が変更されるように設定されている。ちなみに、この定着装置における定着許容温度は160〜175℃の範囲に設定されている。
【0030】図5は、幅広の通紙(例えばA4版用紙横送り、A3版用紙縦送り)を行う場合における両ヒータ20,30の加熱温度の変更制御パターンを示す。この場合には、両ヒータ20,30の加熱温度をいずれも、定着動作の開始(START)信号(例えば画像形成動作の黒色潜像の書き出し信号に相当する)を受けた時点(S0)で、スタンバイ(定着動作待機)時の加熱温度(150℃)に追加温度M1(10℃)を加算した温度に変更するように設定されている。また、定着動作開始時点S0から所定の時間t1(例えば通紙枚数がA3版用紙で5枚程度となる時間)が経過した時点(S1)で、直前の温度(160℃)に追加温度M2(10℃)を加算した温度に変更し、さらに、その経過時点(S1)から所定の時間t2(例えば通紙枚数がA3版用紙で10枚程度となる時間)が経過した時点(S2)で、直前の温度(170℃)に追加温度M3(5℃)を加算した温度に変更するように設定されている。
【0031】この追加温度M1,M2,M3は、スタンバイ時における加熱ロール10の最大通紙域Wの中央部の最高温度TH(約170℃)とその非通紙域F1(F2)の最低温度TL(約150℃)との差分Tx(=約20℃)を基準にして(図10参照)、追加温度M1,M2については定着温度の急激な温度上昇を避けるため前記差分から所定の温度(約10℃)を減じた温度としており、残りの追加温度M3については定着許容温度の上限値(175℃)を超えないようにするため前記差分から所定の温度(約15℃)を減じた温度としている。そしてまた、両ヒータ20,30の加熱温度を、定着動作の停止(STOP)信号(例えば定着後の最後の記録紙が排紙されたことを検知する信号に相当する)を受けた時点(SE)で、スタンバイ時の加熱温度(150℃)にリセットするように設定されている。
【0032】一方、図6は、幅狭の通紙(例えばA4版用紙縦送り、B5版用紙縦送り)を行う場合における両ヒータ20,30の加熱温度の変更制御パターンを示す。この場合には、図5に示す幅広の通紙の場合と対比すると、第2のヒータ(サブヒータ)30の加熱温度を定着動作の実行時であってもスタンバイ時における加熱温度(150℃)にし続ける点で相違するのみで、他は同じである。すなわち、第1のヒータ(メインヒータ)30の加熱温度を、定着動作の開始信号を受けた時点(S0)で、スタンバイ(定着動作待機)時の加熱温度(150℃)に追加温度M1(10℃)を加算した温度に変更するように設定されている。また、定着動作開始時点S0から所定の時間t1が経過した時点(S1)で、直前の温度(160℃)に追加温度M2(10℃)を加算した温度に変更し、さらに、その経過時点(S1)から所定の時間t2が経過した時点(S2)で、直前の温度(170℃)に追加温度M3(5℃)を加算した温度に変更するように設定されている。そしてまた、メインヒータ20の加熱温度を、定着動作の停止信号を受けた時点(SE)で、スタンバイ時の加熱温度(150℃)にリセットするように設定されている。
【0033】次に、この定着装置の動作について説明する。
【0034】まず、基本的な定着動作について説明すると、定着動作の実行に当たっては加熱ロール10が所定のヒータ20,30によって定着許容温度まで加熱されるとともに、図示しない駆動装置により回転駆動し始める。加熱ロール10が定着許容温度に加熱されると、加熱ロール10と加圧ロール70の間に対して定着対象であるトナー像Tが転写された記録紙Pが送り込まれる。そして、その記録紙Pが加熱ロール10に圧接しながら通過(通紙)することによりトナー像Tが加熱されて定着され、しかる後、記録紙Pが加熱ロール10と加圧ロール70の間から排出されることにより定着が終了する。連続した定着が行われる場合には、以上の工程が同様に繰り返されることになる。
【0035】また、この定着動作に際しては、メインヒータ20は主に加熱する第1の分割通紙域W1と隣接する非通紙域F1側に設置される温度センサ40の検出情報に基づいて通電制御され、一方、サブヒータ30は主に加熱する第2の分割通紙域W2と隣接する非通紙域F2側に設置される温度センサ50の検出情報に基づいて通電制御される。このため、両ヒータ20,30は、各ヒータの自ら加熱する領域に隣接した領域での温度情報にそれぞれ基づいて独立制御されることとなり、正確な制御がなされる。すなわち、このように各ヒータ20,30の独立した通電制御が行われることにより、加熱ロール10の第1の分割通紙域W1と第2の分割通紙域W2が所要の温度まで加熱されるとともにその温度にほぼ維持される。これにより、加熱ロール10は各通紙域において所望の温度に的確に加熱されるため、所望の温度下で良好な定着を行うことができる。
【0036】そして、この定着装置における加熱ロール10は、以下に詳述するような加熱が行われるようになっている。
【0037】初めに、この定着装置では、メインヒータ20による加熱とサブヒータ30による加熱とを同時に行った場合には、図9に示すように加熱ロール10の最大通紙域WMAXにおける表面温度の分布がほぼ左右対称となるように加熱される。この図9は、スタンバイ時における加熱ロール10の温度状態を示したものである。そして、このような加熱が可能であることから、すぐに定着動作を開始することができる。その一方で、この状態から定着動作が実行されると、前述したように記録紙Pによって熱を奪われることにより加熱ロール10の中央部の表面温度が低下し始めるが、この定着装置では各ヒータの加熱温度を特定のパターンで変更するようにしているため、その表面温度が定着許容温度の下限値を下回ることはない。
【0038】まず、幅広の通紙による定着を行う場合について図5及び図7を参照しつつ説明する。図7は、加熱ロール10のメインヒータ20側の非通紙域F1における表面温度を第1温度センサ40により測定した結果(実線)と、そのサブヒータ30側の非通紙域F2における表面温度を第2温度センサ50により測定した結果(1点鎖線)と、加熱ロール10の最大通紙域WMAXの中央部に測定のために配設した温度センサにより測定した結果(点線)とを示したものである。
【0039】幅広の通紙による定着を行う場合においては、加熱ロール10はメインヒータ20とサブヒータ30の双方で加熱される。スタンバイ時においては、その双方のヒータ20,30の加熱温度がいずれもスタンバイ時の加熱温度:150℃であるため、加熱ロール10もほぼ150℃(厳密には通電のオンオフ制御により150〜155℃の範囲)に保たれるように加熱される。そして、定着動作の開始信号が得られた時点(S0)においては、その双方のヒータ20,30の加熱温度がいずれもスタンバイ時の加熱温度:150℃に追加温度M1:10℃が追加された温度(160℃)に変更されることにより、加熱ロール10もほぼ160℃(厳密には通電のオンオフ制御により160〜155℃の範囲)に保たれるように加熱される。
【0040】これにより、加熱ロール10は定着許容温度の下限値(160℃)を少なくとも上回る温度に加熱される。この状態で、記録紙Pが幅広の状態で通紙されて定着が実行されると、図7に示すように加熱ロール10の最大通紙域WMAXの表面温度は低下する。しかし、この際、通紙枚数がA3版用紙で1、2枚程度となる定着であれば、加熱ロール10の温度が定着許容温度の下限値を下回ることはない。また、加熱ロール10の温度が160℃になるとヒータ20,30の通電がオン状態となって加熱が行われるため、加熱ロールは再び加熱され、それ以上温度が低下してしまうことはない。
【0041】そして、定着動作の開始信号が得られた時点(S0)から所定の時間t1が経過した時点(S1)になると、その双方のヒータ20,30の加熱温度がいずれも直前の加熱温度:160℃に追加温度M2:10℃が追加された温度(170℃)に変更されることにより、加熱ロール10もほぼ170℃(厳密には通電のオンオフ制御により170〜175℃の範囲)に保たれるように加熱される。
【0042】この段階は、例えば通紙枚数がA3版用紙で5枚以上となるような連続した通紙による定着が行われる場合であるため、加熱ロール10の最大通紙域WMAXの表面温度が記録紙Pに奪われて大幅に低下しやすい状態にある。しかし、この定着装置では、上記したように各ヒータ20,30の加熱温度が追加温度M2の分だけ高温となるように変更されるため、加熱ロール10もより多く加熱されることになる。このため、連続した多数枚の定着が行われても、加熱ロール10の温度は低下しにくくなり、しばらくの間は定着許容温度の下限値を下回ることもない。
【0043】続いて、上記した所定の時間t1が経過した時点(S1)から更に所定の時間t2が経過した時点(S2)になると、その双方のヒータ20,30の加熱温度がいずれも直前の加熱温度:170℃に追加温度M3:5℃が追加された温度(175℃)に変更されることにより、加熱ロール10もほぼ175℃(厳密には通電のオンオフ制御により175〜180℃の範囲)に保たれるように加熱される。
【0044】この段階は、例えば通紙枚数がA3版用紙で20枚以上となるような連続した通紙による定着が行われる場合であるため、加熱ロール10の最大通紙域WMAXの表面温度がより一層記録紙Pに奪われてより大幅に低下しやすい状態にある。しかし、この定着装置では、上記したように各ヒータ20,30の加熱温度が追加温度M3の分だけ更に高温となるように変更されるため、加熱ロール10もより多く加熱されることになる。このため、連続した多数枚の定着がさらに行われても、加熱ロール10の温度は低下しにくくなり、しばらくの間は定着許容温度の下限値を下回ることもない。
【0045】このように連続した通紙による定着が行われる場合であっても、各ヒータ20,30の加熱温度が上記したような追加温度Mが追加されて高温側に変更されるため、加熱ロール10の最大通紙域の表面温度が定着許容温度の下限値を下回ることがなくなり、定着温度の不足による定着不良が発生するおそれもない。最後に、この一連の定着動作が終了したことを知らせる信号が得られた時点(SE)になると、その双方のヒータ20,30の加熱温度がいずれもスタンバイ時の加熱温度:150℃にリセットされる。
【0046】図10は、この定着装置における加熱ロール10の温度状態の推移について模式的に示すものである。図中の実線SBはスタンバイ時における加熱ロール10の温度分布を示し、2点鎖線RBは連続した通紙による定着を行った場合における加熱ロール10の温度分布を示す。また、Txはスタンバイ時における加熱ロール10の最大通紙域WMAXの最高温度THと最低温度TLの差分、縦軸の(Hight)は定着許容温度の上限値、縦軸の(Low)は定着許容温度の下限値、Mは追加する温度、横軸の矢印(40)、(50)は第1温度センサ40又は第2温度センサ50の温度検知点を示す。さらに、実線Qは、ヒータ20,30の加熱温度を追加温度Mの分増やした温度に変更した後における加熱ロール10の温度分布を示す。なお、この実施の形態における追加温度Mは、厳密には前述したように定着条件に応じた調整を行っている関係上、上記差分Txよりも少し小さい値になる。この図に示すように、ヒータ20,30の加熱温度を追加温度Mの分増やした温度に変更することにより、その温度で加熱された加熱ロール10は、ある程度の枚数の定着を行った場合でも定着許容温度の下限値(Low)を下回ることがなくなる。
【0047】次に、幅狭の通紙による定着を行う場合について図6及び図8を参照しつつ説明する。図8は、加熱ロール10のメインヒータ20で加熱する第1通紙域W1の中央部に測定のために配設した温度センサにより測定した結果(点線)を示した点で異なる以外は、図7と同様のものである。
【0048】幅狭の通紙による定着を行う場合においては、加熱ロール10はメインヒータ20のみで加熱される点で、前記した幅広の通紙による定着を行う場合とほぼ同様である。まず、スタンバイ時においては、そのメインヒータ20及びサブヒータ30の加熱温度がいずれもスタンバイ時の加熱温度:150℃であるため、加熱ロール10もほぼ150℃に保たれるように加熱される。そして、定着動作の開始信号が得られた時点(S0)においては、そのメインヒータ20の加熱温度のみがスタンバイ時の加熱温度:150℃に追加温度M1:10℃が追加された温度(160℃)に変更されることにより、加熱ロール10の第1通紙域W1がほぼ160℃に保たれるように加熱される。
【0049】これにより、加熱ロール10の第1通紙域W1は定着許容温度の下限値(160℃)を少なくとも上回る温度に加熱される。この状態で、記録紙Pが幅狭の状態で通紙されて定着が実行されると、図8に示すように加熱ロール10の第1通紙域W1の表面温度は低下する。しかし、この際、通紙枚数がA3版用紙で1、2枚程度となる定着の場合であれば、加熱ロール10の温度が定着許容温度の下限値を下回ることはない。また、加熱ロール10の温度が160℃になるとヒータ20,30の通電がオン状態となって加熱が行われるため、加熱ロールは再び加熱され、それ以上温度が低下してしまうことはない。
【0050】そして、定着動作の開始信号が得られた時点(S0)から所定の時間t1が経過した時点(S1)になると、そのメインヒータ20の加熱温度が直前の加熱温度:160℃に追加温度M2:10℃が追加された温度(170℃)に変更されることにより、加熱ロール10の第1通紙域W1もほぼ170℃(厳密には通電のオンオフ制御により170〜175℃の範囲)に保たれるように加熱される。さらに、上記時間t1が経過した時点(S1)から更に所定の時間t2が経過した時点(S2)になると、メインヒータ20の加熱温度が直前の加熱温度:170℃に追加温度M3:5℃が追加された温度(175℃)に変更されることにより、加熱ロール10の第1通紙域W1もほぼ175℃(厳密には通電のオンオフ制御により175〜180℃の範囲)に保たれるように加熱される。そして最後には、この一連の定着動作が終了したことを知らせる信号が得られた時点(SE)になると、そのメインヒータ20の加熱温度がスタンバイ時の加熱温度:150℃にリセットされる。
【0051】このように幅狭の通紙による定着を行う場合においても、例えば、その通紙枚数が10枚以上や30枚以上になるような連続した通紙による定着が行われる際には、上記したようにメインヒータ20の加熱温度が追加温度M2、M3の分だけ高温となるように変更されるため、加熱ロール10もより多く加熱されることになる。このため、連続した多数枚の定着が行われても、加熱ロール10の第1通紙域W1における温度は低下しにくくなり、しばらくの間は定着許容温度の下限値を下回ることもない。この結果、定着温度の不足による定着不良が発生するおそれもない。
【0052】なお、このような2つのヒータ20,30により加熱ロール10の加熱を行う場合には、一方のヒータ20のみによる加熱を行うときであっても、その他方のヒータ30により加熱されるべき分割通紙域W2についても比較的低めの温度まで予備的に加熱するため、第1の分割通紙域W1での定着が可能な小さいサイズの記録紙Pに対する定着を続して行っていた直後に第1の分割通紙域W1及び第2の分割通紙域W2を使用する大サイズの記録紙Pに対する定着が行われる場合であっても、前記した第2の分割通紙域W2に対する予備的な加熱がなされている分、ヒータ30による第2の分割通紙域W2の所望の温度までの加熱を比較的早く行うことができるようになる。この結果、最大通紙域における温度差が比較的少なく、定着不良の発生や記録紙のしわの発生が低減されることとなる。
【0053】なお、前記実施の形態では、ヒータ20,30の加熱温度を変更する際に前記差分Txを調整した後の追加温度Mを使用した場合について例示したが、必要により、その差分Txをそのまま(調整せずに)追加した温度に変更するように構成しても構わない。
【0054】また、前記実施の形態では、2つのヒータ20,30により加熱ロール10を加熱する定着装置の場合について示したが、本発明は、従来技術で例示したように1つのヒータにより加熱ロールを加熱する定着装置にも同様に適用することができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、温度検知器を加熱回転体の非通紙域に配置した場合であっても、定着動作の実行時において加熱回転体の特に中央部における大幅な温度低下が発生することなく、加熱回転体の温度制御を適切に行うことができるようになり、この結果、定着温度の不足に起因した定着不良の発生のない良好な定着を行うことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成12年6月22日(2000.6.22)
【代理人】 【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣 (外4名)
【公開番号】 特開2002−6673(P2002−6673A)
【公開日】 平成14年1月11日(2002.1.11)
【出願番号】 特願2000−187664(P2000−187664)