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【発明の名称】 スロット型光ケーブル製造方法およびスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具
【発明者】 【氏名】岡田 直樹

【氏名】渡邉 裕人

【氏名】山中 正義

【氏名】渡辺 幸一郎

【氏名】宮本 末広

【要約】 【課題】精度の高いスロット位相検知を行うことを可能にする。集合部において光ファイバ心線がスロットから外れることを防止する。

【解決手段】心線集合用治具20は、スロット4の幅より僅かに大きな外径の球体22を持つ。この球体22はスロットロッド3のスロット4の開口縁にコイルバネ21で押し付けられている。この心線集合用治具20を、光ファイバ心線集合工程における集合ダイスとして用いた時は、球体22がスロット4の開口縁に隙間なく接触した状態で光ファイバ心線を導くので、光ファイバ心線がスロット4から飛び出すことを確実に防止できる。スロット位相検知治具として用いた時は、球体22とスロット4との間に遊びは生じないので、精度の高い位相検知を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スロットロッドの外周の螺旋状のスロットに光ファイバ心線を収納したスロット型光ケーブルを製造するスロット型光ケーブル製造方法であって、スロット幅より僅かに大きな直径を持つ球体をスロットの開口縁に弾性的に押し付けながら光ファイバ心線をスロットに収納することを特徴とするスロット型光ケーブル製造方法。
【請求項2】 スロットロッドの外周の螺旋状のスロットに光ファイバ心線を収納する光ファイバ心線集合工程で用いられるスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具であって、スロット幅より僅かに大きな直径を持ちスロットの開口縁に弾性的に押し付けられる球体を備えたことを特徴とするスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具。
【請求項3】 前記球体をスロットロッドの外周を公転可能に設けたことを特徴とする請求項2記載のスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具。
【請求項4】 前記球体をスロットの開口縁に接触した状態で自転可能に設けたことを特徴とする請求項2または3記載のスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スロットロッドの外周の螺旋状のスロット(溝)に光ファイバ心線を収納したスロット型光ケーブルを製造するスロット型光ケーブル製造方法、およびスロット型光ケーブル製造時の光ファイバ心線集合工程で用いられるスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は一般的なスロット形光ケーブル1を示すもので、中心部にテンションメンバ2を持つスロットロッド3の外周に形成した螺旋状のスロット(溝)4に光ファイバ心線5を収容し、スロットロッド3の外周を押さえ巻テープ6で押さえ巻し、その外周からシース(図示略)を施した構成を持つ。
【0003】この種のスロット形光ケーブル1の製造において、スロットロッド3の外周の螺旋状のスロット4に光ファイバ心線5を収納する光ファイバ心線集合工程では、集合部におけるスロット4の位相(スロット4の円周方向の位置(角度位置))を検知することが必要となるが、従来は、スロット位相検知治具として、図6に示すように、スロットロッド3の外周に嵌合する中空円筒部11aの内面に、スロット4に嵌入する爪11bを設けた構造のスロット位相検知治具11を用いていた。また、集合箇所では、光ファイバ心線5を確実にスロット4に収納しかつ収納した光ファイバ心線5がスロット4から外れることを防止するために集合ダイスが用いられるが、従来は集合ダイスとして、図7に示すように、スロットロッド3の外周に嵌合する単なる中空円筒体である集合ダイス12を用いていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のスロット位相検知治具11では、爪11bがスロット4にスムーズに沿う必要がある。このため爪11bはスロット4の幅に対して若干細くする必要があるが、スロット4の幅より爪11bが細いと、そのクリアランス分だけ遊びcが生じるので、この遊びcがスロット4の位相検知精度を低下させる原因となっていた。
【0005】また、上記従来の単なる中空円筒体である集合ダイス12は、その内径寸法をスロット4の外径より僅かに大きく設定しているが、スロットロッド3の外径の製造公差によっては、スロットロッド3と集合ダイス12との隙間hが大きくなり、スロット4から光ファイバ心線5が飛び出す場合があった。
【0006】本発明は上記従来の欠点を解消するためになされたもので、光ファイバ心線集合工程におけるスロット位相検知治具としても集合ダイスとしても使用可能であるとともに、スロット位相検知治具としては従来のスロット位相検知治具より高い位相検知精度を実現することができ、また、集合ダイスとしては従来の集合ダイスのような光ファイバ心線飛び出しの恐れのないスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明は、スロットロッドの外周の螺旋状のスロットに光ファイバ心線を収納したスロット型光ケーブルを製造するスロット型光ケーブル製造方法であって、スロット幅より僅かに大きな直径を持つ球体をスロットの開口縁に弾性的に押し付けながら光ファイバ心線をスロットに収納することを特徴とする。
【0008】請求項2の本発明は、スロットロッドの外周の螺旋状のスロットに光ファイバ心線を収納する光ファイバ心線集合工程で用いられるスロット型光ケーブル製造用の心線集合用治具であって、スロット幅より僅かに大きな直径を持ちスロットの開口縁に弾性的に押し付けられる球体を備えたことを特徴とする。
【0009】請求項3は、請求項2の心線集合用治具において、球体をスロットロッドの外周を公転可能に設けたことを特徴とする。
【0010】請求項4は、請求項2または3の心線集合用治具において、球体をスロットの開口縁に接触した状態で自転可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスロット型光ケーブル製造方法および心線集合用治具の実施の形態を図1〜図5を参照して説明する。この実施形態はSZスロット型光ケーブルを製造する場合であって、以下の説明における各図のスロット形光ケーブル1はSZスロット形光ケーブルである。このSZスロット形光ケーブルの断面は図5と同じであるが、スロットロッド3は、図4に示すように、螺旋の向きが交互に反転するSZスロット4を持つ。
【0012】図1は本発明の一実施形態の心線集合用治具20の正面図、図2は図1のA−A断面図である。これらの図に示すように、この心線集合用治具20は、スロットロッド3のスロット4の幅(スロット幅)より僅かに大きな直径を持つ球体22を備え、この球体22はスロット4の開口縁にコイルバネ(すなわち弾性部材)21により中心方向に弾性的に押し付けられている。実施形態は、スロット4が5本の場合であり、対応する5つの球体22は、スロットロッド3の外周に回転可能(前後移動はしない)に被せた中空円筒部23にあけた半径方向の穴24にそれぞれ僅か(例えばコンマ数ミリ程度)に嵌入している。そして、この球体22は、スロット4の開口縁に接触した状態で矢印のように任意の向きに自転可能である。
【0013】実施形態の心線集合用治具20は、図2に示すように、中空円筒部23の外周に平歯車部25を形成している。そして、この平歯車部25と噛み合う平歯車26を設け、この平歯車26の軸26aには、当該心線集合用治具20をスロット位相検知治具20Aとして用いる場合はポテンショメータ等の回転角検出装置27Aを連結し、集合ダイス20Bとて用いる場合はサーボモータ等の回転駆動モータ27Bを連結する。なお、図2では、便宜的に、スロット4を螺旋状でなく直線状に図示している。
【0014】図3は前記心線集合用治具20(20A、20B)を用いてSZスロット形光ケーブル1を製造する概略の全体工程図である。スロットロッド送出し装置31からスロットロッド3を連続的に送り出すとともに、定置の心線供給ボビン32から繰出した光ファイバ心線5を本発明の心線集合用治具20(20A、20B)を用いてスロットロッド3のスロット4に収納して集合し、テーピング装置34でテープ押さえ巻した後、引取装置35を経て巻取装置36に巻き取る。上記において、スロットロッド送出装置32、心線供給ボビン32、引取装置35、巻取装置36は、いずれもスロットロッド3を中心とする回転はしない。
【0015】図3のスロット形光ケーブル製造ラインでは、図1、図2に示した心線集合用治具20を、集合点の直前位置ではスロット位相検知治具20Aとして設け、かつ集合点では集合ダイス20Bとして設けたものである。この心線集合用治具20をスロット位相検知治具20Aとして用いる場合の動作について説明すると、スロット4がSZスロットであるから、スロットロッド3の走行により、スロット4に嵌入している球体22は、スロット4に追随して、円筒中空部23と一体にスロットロッド3の中心回りに左右に交互に回転(公転)する。すなわち、心線集合用治具20全体がスロットロッド3を中心として左右に交互に回転する。その回転が外周の平歯車部25と噛み合う平歯車26を介して回転角度検出装置27Aで検出され、これによりスロット4の位相が検知される。上記のスロット位相検知において、球体22が常にスロット4の開口縁に接触した状態で位相検知を行うので、従来のスロット位相検知治具11の爪11bのような遊びcは発生せず、精度の高い位相検知を行うことができる。その際、球体22が自転可能なので、スロット4に追随する動きが抵抗を受けずに円滑に行われ、この点でも精度の高い位相検知を実現するために有効である。
【0016】また、この心線集合用治具20を集合ダイス20Bとして用いる場合の動作について説明すると、前記スロット位相検知治具20Aによるスロット位相信号に基づく制御により回転駆動装置27Bが作動して、平歯車26を正確な回転速度(ないし回転角度)で交互に回転させ、平歯車部25を介して集合ダイス20Bを左右に交互に回転させる。この時、球体22はスロット4の位相(角度位置)に対応して左右に交互に回転(公転)し、スロット4の開口を塞いだ状態に保つ。なお、この場合、球体22はコイルバネ21の力で付勢されてスロット4の開口縁と接触はしているが、円周方向の力を受けない形での接触である。このように、球体22がスロット4の開口縁に接触した状態で光ファイバ心線5を導くので、従来の集合ダイス12のように集合ダイス12の内周面とスロットロッド3外周面と間の隙間h部分から光ファイバ心線5が飛び出してしまう問題は発生せず、光ファイバ心線5の飛び出しを確実に防止できる。
【0017】図3に示した光ファイバ心線集合工程では、スロット位相検出治具20Aと集合ダイス20Bとの両者を設けているが、スロット位相検出治具20Aを省き、単なる遊転の集合ダイス20Bのみを設けることも考えられる。この場合、集合ダイス20Bの球体22が、走行するスロットロッド3のスロット4の開口縁からの反力で左右に交互に公転することでスロット4に追随し、光ファイバ心線5をスロット4に導きかつ飛び出し防止を図ることができる。
【0018】なお、上記の実施形態は、SZスロット形光ケーブルに適用した場合であり、かつ、スロットロッド3および心線供給ボビン32のいずれも回転させずに集合ダイス(集合ダイス20B)だけを左右に交互に回転させて光ファイバ心線5を集合する方式に適用したものであるが、本発明の心線集合用治具は必ずしもこの方式に限定されない。本発明の心線集合用治具は、例えば、スロットロッド3の全体を回転させるのでなく捻回手段によりスロットロッド3の集合部近傍のみを左右に交互に捻回し、定置の心線供給ボビンから繰り出した光ファイバ心線5を定置の集合ダイスによりスロットロッド3のスロット4に収納するスロットロッド捻回方式を採用する場合にも適用できる。この場合、集合ダイスとして用いた本発明の心線集合用治具は、回転はせず、固定的に設ける。また、本発明の心線集合用治具は、回転しつつ走行するスロットロッド3の外周のスロット4に、定位置の心線供給ボビン32から繰出される光ファイバ心線5を収納するスロットロッド回転引取方式にも適用可能である。この場合で集合ダイスとして用いる時は、この集合ダイスはスロット位相検知結果に応じて、スロットロッド3長手方向の前後に移動調整する。また、本発明の心線集合用治具は、回転せず単に走行するスロットロッド3の外周のスロット4に、スロットロッド3の周囲を旋回する心線供給ボビンから繰り出される光ファイバ心線5を収納する心線供給ボビン旋回方式にも適用可能である。
【0019】また、実施形態はSZスロット形光ケーブルを製造する場合のものであるが、本発明の心線集合用治具は、SまたはZの一方撚りスロットのスロット形光ケーブルを製造する場合にも適用可能である。ただし、その場合には、それぞれの方式に特有の動作をするように適宜設計する。
【0020】また、本発明の心線集合用治具において球体22を支持する構成は、実施形態のように中空円筒部23にあけた穴24に球体22を設ける構成に限らず、適宜設計変更できる。また、球体22をスロット4の開口縁に弾性的に押し付ける手段は、実施形態のようなコイルバネ21に限らず、他の弾性部材を使用できる。また、本発明の心線集合用治具を回転駆動する場合における回転駆動機構は、実施形態のような平歯車部25と平歯車26との噛み合いによる機構に限らず、適宜設計変更できる。
【0021】
【発明の効果】本発明のスロット型光ケーブル製造方法に用いる心線集合用治具は、スロット幅より僅かに大きな直径を持ちスロットの開口縁に弾性的に押し付けられる球体を備えた構成であるから、スロット形光ケーブル製造ラインの光ファイバ心線集合工程における集合ダイスとして用いた時は、球体がスロットの開口縁に隙間なく接触した状態で光ファイバ心線を導くので、従来のように集合ダイスの内周面とスロットロッドの外周面と間の隙間hから光ファイバ心線が飛び出してしまう、という問題は発生せず、光ファイバ心線の飛び出しを確実に防止できる。
【0022】請求項3のように球体をスロットロッドの外周を公転可能に設けると、スロット位相検知治具として用いることができ、この場合は、球体が常にスロットの開口縁に接触した状態で位相検知を行うので、スロットに対する遊びは発生せず、精度の高い位相検知を行うことが可能となる。なお、集合ダイスとしての使用では、球体を公転させる場合と公転させない場合とがある。
【0023】請求項4によれば、球体が自転可能なので、スロットの開口縁との間の接触抵抗を大幅に軽減することができる。したがって、スロット位相検知治具として用いた場合には、スロットに追随する動きが抵抗を受けずに円滑に行われ、精度の高い位相検知を実現するために有効である。また、集合ダイスとして用いた場合でも、スロットの開口縁との接触抵抗が軽減されることで、円滑な動作が行われる。
【出願人】 【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
【出願日】 平成12年12月25日(2000.12.25)
【代理人】 【識別番号】100090549
【弁理士】
【氏名又は名称】加川 征彦
【公開番号】 特開2002−196202(P2002−196202A)
【公開日】 平成14年7月12日(2002.7.12)
【出願番号】 特願2000−392316(P2000−392316)