| 【発明の名称】 |
光ファイバテープ心線 |
| 【発明者】 |
【氏名】勝亦 健
【氏名】村田 暁
|
| 【要約】 |
【課題】光ファイバテープ心線を60℃の温水に2週間浸漬する試験に付しても、光ファイバ素線の伝送損失増加を微かなレベルに抑えることができるようにする。
【解決手段】光ファイバテープ心線3の一括被覆層2のゲル分率を95〜97%の範囲とする。これにより伝送損失増加量を0.1dB/km未満にできる。ゲル分率を95〜97%にするには、紫外線の照射線量を十分とし、紫外線照射時の雰囲気の酸素濃度を十分に低くすることで可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本の光ファイバ素線を平行に並べ、これを紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層によって一体化してなる光ファイバテープ心線において、一括被覆層のゲル分率を95〜97%としたことを特徴とする光ファイバテープ心線。 【請求項2】 一括被覆層のゲル分率を95〜97%とするために、紫外線硬化型樹脂への紫外線照射量を制御することを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線。 【請求項3】 一括被覆層のゲル分率を95〜97%とするために、紫外線硬化型樹脂への紫外線照射時の雰囲気の酸素濃度を制御することを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ線。 【請求項4】 60℃の温水に2週間浸漬した後の光ファイバ素線の伝送損失増加量が、0.1dB/km未満であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、光ファイバテープ心線に関し、温水浸漬時の伝送損失の増加を抑えるようにしたものである。 【0002】 【従来の技術】光ファイバテープ心線は、光ケーブルの光ユニットや光機器内の高密度光配線などに広く使用されている。図1は、このような光ファイバテープ心線の一例を示すもので、図中符号1は光ファイバ素線を示す。この光ファイバ素線1は、径125μmの光ファイバ裸線上に、紫外線硬化型樹脂を塗布,硬化してなるヤング率5kg/mm2以下の軟質の一次被覆層と、この一次被覆層上に紫外線硬化型樹脂を塗布,硬化してなるヤング率20〜200kg/mm2の硬質の二次被覆層とを順次被覆した径250μmのものである。 【0003】この光ファイバ素線1は、その4本が平行に隣接して並べられ、紫外線硬化型樹脂を塗布,硬化してなる一括被覆層2によって、テープ状に一体化されて、4心の光ファイバテープ心線3となっている。 【0004】このような構造の光ファイバテープ心線3の製造は、4本の光ファイバ素線1,1…を同時に連続して塗布ダイスに送り込み、ここで光ファイバ素線1,1…を平行に隣接して並べるとともに一括被覆層2となる紫外線硬化型樹脂を塗布する。ついで、このものを紫外線照射装置に送り、紫外線を照射し、一括被覆層2となる紫外線硬化型樹脂を硬化する方法によって行われる。 【0005】ところで、このような光ファイバテープ心線についての特性評価試験の一項目に、この光ファイバテープ心線を60℃の温水に2週間浸漬し、この温水浸漬による各光ファイバ素線の伝送損失の増加量を規定値以下とする過酷な試験がある。 【0006】このような温水浸漬試験を行うと、光ファイバテープ心線のなかには、各光ファイバ素線の伝送損失増加量が規定値を越えるものがあることが判明した。この現象の理由は不詳であるが、光ファイバテープ心線3の一括被覆層2内に水分が浸透し、ブリスタと呼ばれるコブや微細な水泡が形成される事実が確認されており、これらが形成されると、内部の光ファイバ素線1に悪影響を与えて、光ファイバ素線1の伝送損失が増加するものと予想されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】よって、本発明における課題は、温水浸漬試験を行っても、各光ファイバ素線の伝送損失の増加量が規定値を越えることのない光ファイバテープ心線を得ることにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】かかる課題は、光ファイバテープ心線の紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層のゲル分率を95〜97%とすることで解決される。そして、このゲル分率を95〜97%とすることで、60℃の温水に2週間浸漬する試験によっても、各光ファイバ素線の損失増加量を0.1dB/km未満とすることができる。また、一括被覆層のゲル分率を95〜97%とするには、紫外線照射量および紫外線照射線時の雰囲気の酸素濃度を制御することで可能となる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の光ファイバテープ心線は、例えば図1に示すような構造の光ファイバテープ心線3において、紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層2のゲル分率を95〜97%としたものである。ゲル分率は、一般に熱硬化性樹脂の硬化度合,すなわち架橋度を定量的に表わすパラメータとして用いられているものである。 【0010】本発明におけるゲル分率は、光ファイバテープ心線3の一括被覆層2を剥ぎ取り、これを約1mm角程度の小片に裁断し、これの一定量を試料としてソックスレー抽出装置に入れ、抽出溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を用い、温度90℃,時間240分の条件によってソックスレー抽出を行う。そして、このこの抽出後の不溶分の乾燥重量を抽出前の試料の重量で除して算出したものである。 【0011】この一括被覆層2のゲル分率を95%未満であると、温水浸漬時の各光ファイバ素線1,1…の伝送損失が増加し、規定値を越えることになる。また、97%を越えると一括被覆層2と光ファイバ素線1との密着力が高くなって、光ファイバ素線1に歪がかかり、伝送損失が増加する。 【0012】この一括被覆層2のゲル分率を95〜97%とするには、一括被覆層2をなす紫外線硬化型樹脂の硬化度合をコントロールすることで可能となる。紫外線硬化型樹脂の硬化度合は、紫外線照射時の照射線量,照射時の雰囲気の酸素濃度を制御することで可能となる。一括被覆層2のゲル分率を95〜97%とすることは、その一括被覆層2をなす紫外線硬化型樹脂の硬化(架橋)がかなり進行した状態であることを意味する。 【0013】したがって、紫外線ランプの出力を高めるなどして照射線量を十分な量とし、かつ照射時の雰囲気中の酸素濃度をできるだけ小さく、例えば0.5体積%以下とし、十分量の窒素ガスなどの不活性ガスを紫外線照射装置内に流すことが必要となる。 【0014】また、一括被覆層2のゲル分率は、これを構成する紫外線硬化型樹脂の配合組成によっても左右され、そのゲル分率を95〜97%とするための他の手段として紫外線硬化型樹脂の配合組成を変化させるとも考えられる。しかし、この手段は、硬化後の一括被覆層2の化学的特性および物理的特性をも同時に変化させるので、この手段の採用は避けることが好ましい。 【0015】一括被覆層2の被覆厚さは、図1に示すようにその部位によって異なるが、最小厚さで10〜15μmとされる。また、一括被覆層2のヤング率を、光ファイバ素線1,1…の二次被覆層のヤング率よりも小さくすることが好ましく、これによれば光ファイバテープ心線3からの各光ファイバ素線1,1…の単心分離が容易になり、光ファイバテープ心線3の可撓性も良好となる。 【0016】一般に、紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層2の硬化(架橋)が不十分でゲル分率が低い場合には、一括被覆層2中に紫外線硬化型樹脂の未硬化成分(未架橋成分)が多く残存することになり、これによって水の浸透圧が増加して水分が浸透しやすくなる。このため、一括被覆層2のゲル分率を95〜97%としたものでは、架橋(硬化)が十分なレベルとなり、一括被覆層2中の未硬化成分がほとんど存在しなくなり、水分の浸透がわずかなものとなる。 【0017】したがって、後述する実験例からも明らかなように、この光ファイバテープ心線を60℃の温水に浸漬しても各光ファイバ素線1の伝送損失の増加は微かな値に抑えられる。また、このような光ファイバテープ心線3にあっては、一括被覆層2の硬化が十分に進行したものとなっているため、一括被覆層2の表面に粘着性が残っておらず、表面が滑らかであり、この光ファイバテープ心線3から光ユニットなどを作製する際の取扱性が良好なものとなる。 【0018】以下、具体例を示す。図1に示す構造の4心の光ファイバテープ心線を作製した。光ファイバ素線1には径250μmの紫外線硬化型樹脂被覆光ファイバ素線を用い、一括被覆層2にはウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂を用い、紫外線照射時の照射線量および雰囲気の酸素濃度を変化させて、そのゲル分率を変動させた。一括被覆層2の最小厚さは10μmとした。 【0019】この光ファイバテープ心線3を60℃の温水に2週間浸漬し、浸漬前後での各光ファイバ素線1.1…の伝送損失値を波長1.31μmおよび1.55μmで測定した。また、温水浸漬後の一括被覆層2を剥ぎ取り、これを顕微鏡で観察し、ブリスタおよび水泡の有無を評価した。結果を表1に示す。 【0020】 【表1】
【0021】表1における伝送損失値は、4本の光ファイバ素線の平均値で示してある。表1から、紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層2のゲル分率を95〜97%とすることで、温水浸漬によっても、伝送損失の増加を微かなものに抑えうることがわかる。 【0022】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイバテープ心線にあっては、その紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層のゲル分率を95〜97%としたものであるので、このファイバテープ心線を60℃の温水に浸漬した際に各光ファイバ素線の伝送損失増加が抑えられ、増加量が規定値を越えることがないものとなる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005186 【氏名又は名称】株式会社フジクラ
|
| 【出願日】 |
平成12年12月27日(2000.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−196201(P2002−196201A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月12日(2002.7.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−396793(P2000−396793) |
|